「K A R Y Y N」と一致するもの

J.A.K.A.M. - ele-king

 日本において果敢にグローバル・ビーツを開拓しつづける JUZU a.k.a. MOOCHY こと J.A.K.A.M. が2月11日に新たなアルバムをリリースする。タイトルは『ASTRAL DUB WORX』で、2016年からヴァイナルで展開されてきた「ASIAN DUB」シリーズを中心に、世界各地の民族音楽を導入、多彩なゲストを招きながら、これまでの彼の歩みを凝縮した1枚に仕上がっている模様。ダブ処理は内田直之。リビア空爆に反対するジャーナリスト、ダム開発で故郷を失った民族、エジプトの大御所ウーム・クルスームなど、素材も気になるものがたくさん。期待大です。

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world’s end girlfriend × Yaporigami - ele-king

 おもしろいリリースを紹介しよう。world’s end girlfriend が昨年9月に発表した “RENDERING THE SOUL” は「シンギュラリティ後にAI自身が楽しむ音楽はどんなものだろう? 人間には理解できない/処理できない音楽になるだろう。その中で人間が理解できる/面白がれる音楽が在るとしたら『AIが人間の不完全さや非合理性を面白がり、人間が持つ孤独や苦悩や悲哀などを「感情のコスプレ」として真似して遊んでる音楽』かもしれない」というコンセプトにもとづいて、VOCALOID を用いて制作された楽曲だった。
 そして本日、同曲をベルリン在住の日本人アーティスト Yaporigami がリミックスしたトラック “RE-RENDERING THE SOUL (Yaporigami REMIX)” が、デジタル・シングルとして〈Virgin Babylon〉よりリリースされている。「感情のコスプレ」を「リミックス」するとどうなってしまうのか? 試聴・購入はこちらから。なお Yaporigami は今月29日にアルバム『
Decoded Sphere』を発売予定。

RE-RENDERING THE SOUL (Yaporigami REMIX)

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RENDERING THE SOUL

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Ben Vida - ele-king

 ベン・ヴィーダは、シカゴのミニマル・アンサンブル・バンドとして有名なタウン・アンド・カントリーの元メンバーであり、バード・ショウ(Bird Show)名義で〈Kranky〉からアルバムをリリースしていた音楽家である。タウン・アンド・カントリーのアルバムは2006年にリリースされた『Up Above』、バード・ショウとしては2008年にリリースされた『Untitled LP』が、それぞれ現時点ではラストになっているが、ベン・ヴィーダ名義ではコラボレーション、ソロなど10年代以降もコンスタントにアルバムもリリースし続けていく(もっとも最初のソロは2000年の『Mpls.』である。とはいえベン・ヴィーダ名義でリリースが活発になるのは2010年の『Patchwork』、グレッグ・デイヴィスとの共作『Ben Vida, Greg Davis』からのこと)。〈PAN〉、〈Shelter Press〉、〈iDEAL Recordings〉などの著名なエクスペリメンタル・レーベルからアルバムをリリースし、マニアたちから密やかな(という言い方もおかしいが彼の作風からしてそういう方が合っているようにすら思えてしまう)注目を浴びた。
 加えて2010年には韓国においてグルーパーことリズ・ハリスとのライヴ、2013年にはニューヨークのブルックリンにあるイシュー・プロジェクト・ルーム(ISSUE Project Room)におけるタイヨンダイ・ブラクストン、サラ・マゲンハイマーらのプロジェクトなどのコラボレーションもおこなうなど、ライヴ活動も展開している。

 その彼が2019年に〈Shelter Press〉からUSBカード/データでリリースした4時間に及ぶドローン作品が、本作『Reducing The Tempo To Zero』である。この『Reducing The Tempo To Zero』には、全4曲各1時間のドローン・アンビエント・トラックが収録されている。4時間という途轍もない収録時間の『Reducing The Tempo To Zero』だが、その時間に怯む必要はない。長くじっくりと聴覚の遠近法を溶かすように聴き続けても良いし、カジュアルに、そのときの気分で聴きたい時間だけ聴いても良いだろう。どちらでも耳をリフレッシュしてくれるような効果を得ることができるはず。とにかく美しい音響作品なのだ。
 全4曲、サウンドのトーンは異なっている。聴き続けるとトーンの変化に聴覚が敏感になり、各曲における音響の微細な差異が明確に感じられるようになってくる。どの曲も、ひとつの持続ともうひとつの音が重なり、アンビエンスなオブジェのような音響空間を持っている。特に最終曲 “Reducing The Tempo To Zero (Part 4)” では、それまでのミニマムな音響を総括し拡張するようなドローンが1時間に渡って展開されており、息を呑むほどの美しさに圧倒された。これは本作のマスタリングを担当したステファン・マシューのアンビエント/ドローン作品にも共通するムードである。持続音の細やかな音のテクスチャーと時間意識の拡張だ。つまりはマシューに代表される00年代中期以降の現代ドローン/アンビエントの系譜を継承する作品の証ともいえよう。

 『Reducing The Tempo To Zero』は、ベン・ヴィーダのソロの系譜においても決定的な作品と私は考える。彼は2012年に〈PAN〉からリリースされた『Esstends-Esstends-Esstends』以降、鉱物的な響きによるミニマムな楽曲を突き詰めてきた。2016年に〈Shelter Press〉から発表された『Damaged Particulates』はその完成形といってもよいだろう。じじつ、それ以降、アルバム・リリースは途絶えた。2018年には〈iDEAL Recordings〉からマリナ・ローゼンフェルドとの共作『Feel Anything』をリリースしているが、次のソロ名義の発表に4年の月日を要したことは、ヴィーダが新たな音響作品を模索していた証左に思えてならないのだ。
 だがそのような長い時間こそ、彼には必要だったのではないかといまは思う。時間をかけること。時を経て変化するサウンドに耳を澄ますこと。時間が染みわたるように感じる瞬間が生まれること。持続する音響を聴き込むことで得られる無限からゼロへの時間の往復、そのような時の流れを音楽に求めること。
 すると『Reducing The Tempo To Zero』が、4時間もの時間を必要とするアンビエントだった理由もみえてくる。時間をかけて音/音響/音楽を聴き手の意識に、音の存在と変化のさまを浸透させるため、ではないか、と。かつて彼がメンバーだったタウン・アンド・カントリーもまたそのようなミニマムな室内音楽を展開していた。すべては反復と持続音の中に反復し、円環するのだ。それはもしかしたら、とても閉塞した世界かもしれない。だがしかし、ゼロと無限は両極であり同一のものでもある。ドローン音響音楽はそれを教えてくれる。

 時と音が反復し、反響し、交錯し、持続する。そうして長い持続の音響・音楽が生まれる。聴き手はその持続の時に、永遠でもあり、無でもある時間を意識する。本作『Reducing The Tempo To Zero』のアンビエント/ドローンには、そんな瞬間がそこかしこに鳴っていたのだ。まるでマーク・ロスコの絵画作品を前にしたときのように時が凍結するような感覚。『Reducing The Tempo To Zero』は、10年代の最後に現われた美しく、長大で、しかし優雅ですらある、現代ドローン・ミュージックの傑作である。

Random Access NY vol. 122 - ele-king

 2020年になった。私は21年目のニューヨーク生活に突入したのだけれど、いまだにやることはあまり変わっていない。バンドを見に行って、音楽に関する記事を書いて、人と人を繋げていく。毎日のように出かけているといろんな人に会うし、あらためて面白いことをやっている人がたくさんいるんだなと思うけれど、刺々しい感じなんか全くなく、みんな自然に、自分のライフワークのように好きなことをやっている。
 私はブルックリンのミードバーでたこ焼きイベントを毎月オーガナイズしているのだけれど、今回はフラワーズ・フォー・オール・オケージョンズというカフェバー出張たこ焼きナイトを開催した。

Tim (les savy fav)+ Debbie (Glitterlimes) たこ焼き食べに来てくれました

 で、そこ、いま注目の“双子のライトニング・ボルト”と言われるVenus Twinなるバンドが出演した。
 ヴィーナス・ツインは、ジェイクとマットの双子によるプロジェクトで、双子だからそっくりなのは当たり前だが、それにしても似すぎてて、私はいつもジェイクに向かって「マット」と声をかけてしまう。
 2人はいつも一生懸命で、フットワークも軽く、機材も自分たちでしっかり運んでくれるし、オーガナイザーからしてもありがたい存在だったいする。友だちも多く、そのほとんどが20代前半の男の子。ツアーにもよく出てるし、日本に行ったら受けるだろうな、と思うこの頃。


Venus Twin

 この夜は、Peseudo Animal(ペセウド・アニマル)とEl Venado Azorao (エル・ヴェナド・アゾラオ)、JuiceとAdam Autryとのノイズ・デュオも登場した。


Juice + Adam Autry

 ペセウド・アニマルは、ギター、ベース、キーボード、ドラムというノイズ・フル・バンド(最近では珍しい)で、エル・ヴェナド・アゾラオは、トロピカル・フレーバード・ノイズといったところ。Olneyville Sound System(オルネイヴィル・サウンド・システム)のドラマーでもあるAdam Autryが最後の曲にドラムで参加していた。JuiceとAdamのデュオはシンセを操り、2人の創造力がひとつになり、耳にこだまする独特な音が創出される。
 狭いフラワーズは溢れるばかりの人で、たこ焼きもよく売れたけれど、バーにも人が群がって、大変なことになっていた。


Peseudo Animal

 Gustafは、ジェニファーバニラ(Ava lunaのBecca のプロジェクト)を観に行ったときに、アルファヴィルで見たことがある。奇妙なパフォーマンスなフロントの女の子とギタリストの男の子が歌う、女子男子混合の5人組で、ブッシュ・テトラス見たいな、パンク姿勢のあるバンドだ。まだリリースは何もないが、ツアーもしているし、一本ネジが外れたブルックリンっぽい音楽だと思う。


Gustaf

 そしてAaron Waldman、彼はニッティングフ・ァクトリーで偶然に見たのだが、懐かしいライヴ・パフォーマンスに釘付けになった。昔のボブ・ディランを思い起こさせる、パンクでファンキーなストレートなシンガーソングライタータイプだ。革ジャンで、ギターをかき鳴らし、ときには客を煽り、ときには目隠しして、ステージの端を練り歩く(最後にはフロアに落ちる!)。今時こんなストレートなバンドがいるのかと思う、久しぶりのヒットだった。


Aaron Waldman

 この日はAaron とJames Beerの2バンドを見たのだが、メンバーがほとんど被っていた。昔のエレファント6のコミュニティのように、楽しそうに演奏している感じも良い。練習風景まで目に浮かぶような感じ。

 月曜日の夜というのに満員で、ブルックリンの音楽シーンは、まだまだ活発です。DIYスペースも減ってるとはいえ、最近はレストランやバーで、ショーをブックし、ハウスパーティも増えてきた。何だかんだでいまでは口コミがいちばん信じれる。それを生かし、良いバンドがたくさん見れそうな予感の2020年である。

16FLIP × Georgia Anne Muldrow - ele-king

 昨年、LAのシンガー、ジョージア・アン・マルドロウとの驚きのコラボ・シングルをドロップした 16FLIP だけれど、話題を集めたそのシングルがあらためて7インチとしてリリースされることになった。気になるB面は、SHINOBI, EPIC & BUDAMUNK の楽曲 “Mystic Arts” (昨年のアルバム『Gates To The East』収録)の、DJ SCRATCH NICE & 16FLIP によるリミックス。発売は2月19日。完全限定生産とのことなので、お早めに。

ISSUGI の変名としても知られる 16FLIP とシンガー、ジョージア・アン・マルドロウのコラボ曲が完全限定プレスで 7EP としてリリース! SHINOBI, EPIC & BUDAMUNK “MYSTIC ARTS” feat. ISSUGI の DJ SCRATCH NICE & 16FLIP によるリミックスをカップリング!

 ISSUGIの変名としても知られ、MONJU や ISSUGI、仙人掌、5lack、SICK TEAM、BES らの作品でのプロデュースや自己名義のビート・アルバムのリリース/DJミックス、日本各地のクラブやレセプション、ショップのインストアパーティでのDJなど、多岐に渡る活躍をみせるDJ/トラックメイカー、16FLIP。
 昨年、ケンドリック・ラマーやエリカ・バドゥ、ロバート・グラスパー、モス・デフらが称賛し、「現代のニーナ・シモン」とも称され、〈ストーンズ・スロウ〉や〈ブレインフィーダー〉からの作品リリースでも知られている女性シンガー/プロデューサー、ジョージア・アン・マルドロウをフィーチャーしたシングル “Love it though” のリリースも話題となりましたが、同曲が待望の 7EP としてもリリース! カップリングには SHINOBI, EPIC & BUDAMUNK の昨年リリースされた『Gates to the East』に収録されている “MYSTIC ARTS” feat. ISSUGI の DJ SCRATCH NICE & 16FLIP によるリミックスを収録! 完全限定プレスにつきお買い逃しなく!
 また、16FLIP が SEEDA の名盤『花と雨』をリミックスし、07年リリースの 16FLIP vs SEEDA 『Roots & Buds』が新たにリマスタリングされ、本日デジタル・リリースされました。こちらも合わせて是非チェックしてみてください。

[7EP 概要]
アーティスト: 16FLIP
タイトル: Love it though feat. Georgia Anne Muldrow
レーベル: P-VINE / Dogear Records
品番: P7-6240
ジャンル: R&B / JAPANESE HIPHOP
税抜販売価格: 1800円
発売日: 2020年2月19日(水)

[7EP - TRACKLIST]
Side-A 16FLIP / Love it though feat. Georgia Anne Muldrow (Original Version)
Side-B SHINOBI, EPIC & BUDAMUNK “MYSTIC ARTS (REMIX)” feat. ISSUGI Remixed by DJ SCRATCH NICE & 16FLIP

16FLIP vs SEEDA / Roots & Buds[ReMastered]
linkco.re/T5GEmV2C

[16FLIP プロフィール]

東京生まれ、HIP HOP のビートメーカー。
自身も所属するグループ “MONJU” が06年に立ち上げたレーベル〈DOGEAR RECORDS〉を中心に数々の作品をリリース。MONJU、5lack、ISSUGI、仙人掌、KID FRESINO、BES らの作品をプロデュースしてきた。
またDJとしての顔も持ち、5lack 主催のパーティー《weeken》でのレジデントをはじめ、全国各地からイベント出演のオファーが絶えない。
19年7月、LAアンダーグラウンドを代表する女性シンガー Georgia Anne Muldrow を客演に迎え、自身初となるシングル「Love It though」をリリース。ISSUGI のビートメイカー名義。

https://soundcloud.com/16flip
https://issugi.tokyo/disco/16flip

Daniel Avery - ele-king

 アシッドびしびしのダンス・レコードから『A.I.』シリーズのごときリスニング体験へ──その歴史をたどりなおすかのような音楽性で昨今の90年代リヴァイヴァルの筆頭にのしあがったともいえるイギリスのDJ/プロデューサー、ダニエル・エイヴリーがふたたび日本にやってくる。4月17日、会場は VENT。きっとまたすばらしい夜を演出してくれることだろう。詳細は下記。

Andrew Weatherall をはじめ、世界中のメディアが称賛する
トップ・テクノDJ、Daniel Avery が再び VENT にやってくる

Andrew Weatherall が大絶賛し、世界中のメディアが手放しで褒め称えた2枚の傑作アルバム『Song For Alpha』と『Drone Logic』。2010年以降のテクノ・シーンを駆け上がるようにスターダムにのし上がった Daniel Avery (ダニエル・エイヴリー)が4月17日の VENT に再びやってくる!

イギリスのテクノ・シーンの系譜を受け継ぐ Daniel Avery は、Andrew Weatherall の強力なフックアップを受けたあと、2012年にはロンドンの名門クラブ Fabric による人気ミックス・シリーズのコンパイラーとして選出された。その後 Erol Alkan のレーベル〈Phantasy Sound〉から2013年にデビュー・アルバム『Drone Logic』をリリース。また Fabric でも自身のレジデント・パーティーを始めイギリスだけでなくヨーロッパを代表するトップ・アクトの仲間入りを果たした。

2014年には BBC の人気番組『Essential Mix』、2016年には『DJ-Kicks』のミックス作品を手掛け、人気DJが辿ってきた道を順当に歩んできたと言えるだろう。そして2018年にはセカンド・アルバム『Song For Alpha』をリリースし、その人気はまさにワールドワイドで不動なものになったのだ。Four Tet や Jon Hopkins などによるリミックス作品もリリースされ、日本のレコードショップでも話題になっていた。

昨年には VENT での待望の初ギグを披露し、満員御礼のオーディエンスを狂喜乱舞させたことも記憶に新しい。「音楽は世界の全ての戯言からあなたを連れ去る力があり、暗闇の中で光を照らしてくれる。愛は世界を前進させ続けてくれるものなんだ。私にとってそれが最大のインスピレーションなんだ」という Daniel Avery の最新DJセットを再び VENT のフロアで直に体験してほしい!

[イベント概要]
- Daniel Avery -

DATE : 04/17 (FRI)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥3,600 / FB discount : ¥3,100
ADVANCED TICKET : ¥2,750
https://jp.residentadvisor.net/events/1385980

=ROOM1=
Daniel Avery

And more

VENT:https://vent-tokyo.net/schedule/daniel-avery-2020/
Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/192869298754685/

※ VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case. Thank you for your
cooperation.

Boreal Massif - ele-king

 人新世。あるいはアントロポセン。もうすぐ出るグライムス新作のタイトルもそうだけど、日本でもここ何年かで、地質学由来のこの術語がじょじょに一般レヴェルにまで浸透するようになってきたのではないかと思う。これまで長らくわたしたちの生きている時代は「完新世」だとみなされてきたが、じつはもうその時代は終わりを迎えており、現在の地球にはかつての惑星の衝突と比肩しうるような巨大な変化が訪れている、そしてその変化は二酸化炭素や放射性物質の排出など、産業革命以降の人間の活動によってもたらされたものである──そのような考えが「人新世」なるワードには反映されている。もちろん、異論もある。なぜなら「人新世」ということばは、まるで人間たちがみなひとしく同列の存在であるかのような錯覚をもたらしてしまうからだ。
 考えてもみてほしい。日々の生活に四苦八苦している貧乏人ひとりが排出する二酸化炭素の量と、大企業の排出する二酸化炭素の量がおなじであるはずがない。2年半前の『ガーディアン』の記事によれば、温室効果ガスの70%はたった100の企業によって排出されている。原因だけではない。気候変動の結果もまた、万人に平等に訪れることはない。酷暑や土砂崩れのようなしっぺ返しが来たときに、それをそのまま耐えなければならない貧乏人と、いくらでも対処のしようのある金持ちとでは、受けるダメージがちがいすぎる。その非対称性をないことにするのはいかがなものか……というわけで、「人新世」なる語が隠蔽してしまう格差をちゃんと見つめようとする動きが出てきているのだ。
 対案のひとつは「資本新世(キャピタロセン)」である。地球なり自然なりを今日のような壊滅的な状況へと追いやった主犯は、けっして人間全般ではなく、ひとにぎりの富裕層なのであり、ひいては資本主義そのものである──たしかにこっちの考えのほうがしっくりくる。環境を守るために個々人がエコ活動にいそしむのもけっして悪いことではないのだろうけど、そのまえにまず資本主義をなんとかしなければならない。

 ロウで、磨かれていない、アナルコ=エレクトロニクス。レーベルのプレス・リリースにはそう記されている。その文言だけでもうテンションがブチ上がってくるけれど、2010年代の重要な潮流のひとつ、インダストリアル~ジャングル~ダブの更新者のひとりであり、残念ながら昨年クローズしてしまった〈Blackest Ever Black〉からのアルバム(紙エレ最新号77頁)がいまなおいびつな輝きを放ちつづけているブリストルのプロデューサー、ペシミストことクリスティアン・ジャブスと、同作に参加していたコーンウォールのループ・ファクションことルーベン・クレイマーによるコラボレイション・プロジェクト、それがこのボーリアル・マスィーフである(「北の山塊」の意)。
 すでにかの悲観主義者の音楽に親しんでいるリスナーは、あの寒々しい極北のサウンドを思い浮かべてしまうかもしれない。が、ボーリアル・マスィーフの音楽はペシミストほどダークではない。たしかに彼は2019年、おなじラフハウスのメンバーであるカリム・マアス(トム・クーパー)とともに、あいかわらず暗いドローン作品を送り出してもいるが、今回のアルバムはそれとも異なる趣で、おそらくは「トリップホップ2.0」なる標語を掲げるループ・ファクションからの影響が大きいのだろう、「フィールド・レコーディングを駆使したトリップホップ」とでも呼ぶべき内容に仕上がっている。
 レーベルのインフォが誘導しているように、往年の〈Mo’ Wax〉を彷彿させるサウンドです、と紹介すれば伝わりやすいだろうか。冒頭 “We All Have An Impact” から種々のノイズとパーカッションがなんとも気だるい空気を漂わせている。もっともそれらしいビートを聞かせてくれるのは “The Brink Of Extinction” だが、とはいえ “Low Forties” や “Deerhound” なんかのドラムはやはりインダストリアルで、その辺がペシミストによる仕事なのかもしれない。“Fast Fashion” まで来るともうほとんどゾウナルである。
 大半の曲がベリアルばりのクラックル・ノイズ(=過去性の喚起)に覆われているのもポイントだろう。“Artificial World” や B12 を思わせる “Weather In August” あたりがわかりやすいけれど、インダストリアルとの両立という点では “Black Rapids” に注目したい。この曲が呼び覚ます風景は完全にスティームパンクのそれであり、どうやら過ぎ去りしかつての産業革命を想起させることこそがこのアルバムの主眼のようだ。
 その点を踏まえて全体を聴きなおすと、ギターの音色を活かした “Angel Of Dub” や “Somewhere In Galicia” なんかは、産業革命以前の非工業的な風景を映像資料として眺めているような感覚をもたらしてくれる。随所に練りこまれた具体音も本作の肝で、虫ないし鳥のような鳴き声が強調される “Dew Point Rising” は、最良のアンビエントとしても機能する。まるで自然破壊の惨状を憂いているかのごときこの……いや、というか、じっさいにそれこそが本作のテーマなのだ。

 わたしたちみんなが影響をおよぼす──タイトルを直訳するとそうなるだろうか。プラッドの力作同様、気候変動や自然破壊にたいする強烈なメッセージを搭載したこのアルバムは、たんにフィールド・レコーディングによって「美しい自然」の風景を幻視させるのではなく、インダストリアルの手法とクラックル・ノイズにより工業性と過去性を喚起させることで、逆説的に、わたしたちみんなが平等に影響をおよぼすわけではないことをほのめかしている。産業革命以降の世界を加速させたものとはなんだったのか、本作を聴いているとそのことに思いを馳せずにはいられない。

Jagatara2020 - ele-king

 会場には余裕をもって到着した。私には異例のことである。なんとなれば原稿をご依頼いただいた野田さんが、けっこう出した前売りも完売したみたいよ、とおっしゃる。リポートする身には人垣で舞台がみえないのもこまりものである。それもあって、ふだんなら開演時間ぎりぎりに会場にやってくるものをこの日にかぎっては早めの行動をこころがけた。ところが平日だというのに渋谷のクラブクアトロでは4階のエントランスに向かうエレベーターホールにもすでに二十名以上のお客さんが列をなしている。年恰好からコンサートのお客さんにちがいない、エレベーターは令和の世にそぐわないほどのんびりしており昇ったきりなかなか降りてこない、会場に早く入りたいお客さんはじれてくる、そのうち並んでいる列のなかに牽制と連帯がいりまじった奇妙な空気が漂いはじめる。あんた彼らのことどれだけ知ってんの的な、そもそもライヴみたことあんの的な。私の目の前の妙齢の女性の背中が私にそう語りかける。私はアケミさん追悼イベントとかには足を運んだことはありますが80年代は……と妄想のなかで口ごもると、女性の背中はじゃあ去年の「TOKYO SOY SOURCE 2019」は? そもそもあんた芝浦にいったことあんのとかなんとか、矢継ぎ早にたたみかける、そのようにひとり上手に時間をついやしながら、ようやく4階にたどりつけば、そこにも入場を待つ長蛇の列が。蜿蜿とつづく人波をかきわけ、物販のセクションに後ろ髪をひかれながら5階にたどりつくと、フロアもすでにあらかた埋まってしまっている。みわたすと、中高年が目につくのは当然だとしても、彼らのひとまわり下、さらにその下の世代も散見するのは、生き馬の目を抜くことにばかりかまける現代で、彼らの音楽が30年もの風雪にたえてきたことの証である。

 この日、2020年1月27日月曜日で、じゃがたらのヴォーカリスト江戸アケミが1990年の同日世を去ってからまる30年がすぎた。年忌法要でいえば33回忌は再来年ということになろうが、弔いあげにあたる30年のときを経てもなお、江戸アケミの、じゃがたらの歌や演奏がこれだけ多くのひとたちの心の支えとまでは私には断言できないとはいえ、傷のようなものとして残っているのがまちがいないのは、さっきから会場にながれている旧作音源が開演時間をすこしすぎて “もうがまんできない” にさしかかったとき、BGMにあわせて万感の思いを押し殺し呟くような合唱が方々で自然に起こったのでもわかった。

 トップバッターは吹越満だった。いまや映画やドラマ、舞台でもひっぱりだこの名バイプレイヤーとなった吹越はこの日はタキシード姿で口にくわえた細長いビニール袋を膨らませるパフォーマンスを披露、静と動のあわいにひそむ真空に似た狂気を表現するに長けた、ワハハ時代を彷彿するパフォーマンスに、私なぞはそれだけで感動したが、ここにじゃがたらのトロンボーン奏者村田陽一が加わり、儀式空間は不意に祝祭の色を帯びる──と袖からじゃがたらの面々が登場。先頭には「うた」と、この日の司会進行役も担った南流石が、つづいてギターの OTO と EBBY、ドラムスの中村ていゆうにヤヒロトモヒロ(Perc)とエマーソン北村(Key)、ホーンでは先述の村田陽一と吉田哲治(Tp)ら、じゃがたらのバイオグラフィを網羅したメンバーに、ベースの宮田岳と打楽器とコーラスで関根真理を加えた布陣が2020年、令和二年のじゃがたら、すなわち「Jagatara2020」の基本形となる、その足まわりをたしかめるように本編は EBBY がヴォーカルをとる “裸の王様” で幕をおとした。おそらく愛好者の数だけじゃがたらには代表曲があり、おのおのの胸のうちでアケミの歌が象る世界にも差異はあろうが「いまにもこぼれそうな傾きかけた街」を描くこの歌の惹起する影像ほど、それを歌うものが幻視者であることをあらわすものはない。リズムもひきしまっているしホーンもよく鳴っている。Jagatara2020 名義も渋谷クアトロもはじめてではないとはいえ、きょうは単独ライヴであり、さきのMCで南流石が宣言したとおり長丁場でもある。ハナからフルスロットルで大丈夫なのかという思いが頭をかすめるが、ゲスト・ヴォーカルを迎えた2曲目以降も出し惜しみはいっさいなし。田口トモロヲは “でも・デモ・DEMO” で天にツバするパンクの本懐をつきつけたし、大槻ケンヂの “タンゴ” は四半世紀にわたってこの曲を歌いつづけてきた大槻みずからMCで述べたとおり、持ち歌と見紛うばかりの堂々たる歌いっぷりだった(この曲で大槻は町田康や巻上公一に、歌がうまくなったと褒められたそうです)。田口と大槻のパフォーマンスはじゃがたらという巨大な多面体のパンクでポップな側面をひきうけるかのようであり、会場の熱気もいや増しに増したが、何度か(も)版を革めた “タンゴ” が EBBY の手で Jagatara2020 ヴァージョンに生まれ変わっていたのが私には印象的だった。いくぶん(ハード)ロックよりだったのは大槻の歌唱との相性を考えたのかどうかはわからないが、ノスタルジーに終始しないじゃがたらの矜持はおくれてきたリスナーである私にもわかった。

 その姿勢をゲストも意気に感じたのか。つづく鮎川誠、Nobu (桑原延享)、さらに町田康が客演した “Black Joke” ~ “Fade Out” ~ “アジテーション” の3曲はサブスクなんかだと通のためのプレイリストに入りそうな選曲だが、ロックンロール、ダブ、サイケデリックあるいはファンクの形式の骨組みとなるシンコペーションとポリリズム、反復のグルーヴがゲストの存在感と一体化し会場の空気をひきしめていた。メンバーではおそらく最年少の宮田岳のベースがナベの演奏の旨味をひきついでいたのも特記すべきであろう。他方でゲストの最年少、平成元年生まれの折坂悠太から昭和もなかばごろに生まれたこだま和文にマイクがわたった “中産階級ハーレム” ~ “ある平凡な男の一日” は語り部=江戸アケミに焦点をあてた選曲というべきか、あるいは中産階級という令和のニッポンが廃棄した物語が、江戸アケミの身体がまだこの世にあったころ、すなわち折坂が生をうけた平成のはじめまでは健在だったことの傍証とすべきか。「大丈夫マイフレンド」といって演奏を〆た折坂につづき舞台にあらわれたこだまが「大丈夫じゃないぜ、マイフレンド」と呼応したのはこの日もっとも印象にのこったことのひとつだった。こだまの発言はだれにもおびやかされてはならない日々の暮らしが、しかしそのようになっていないこの世界における人々の声なき声、サイレントマジョリティなる広告的な分類学にも統計学的な数値にも回収できない顔のある声を代弁するかのようであり、それはそのままこの日の最初に披露した新曲 “れいわナンのこっちゃい音頭” の主題へとつながっていく。タートルアイランドの永山愛樹をヴォーカルに、ロンサム・ストリングス~ストラーダの桜井芳樹(Gt)が加わった布陣は1990年につみのこした課題がいまも古びていないどころか喫緊の課題であることをしめすかのようであり、リリースしたばかりの新曲の演奏が有名曲とならべても見劣りしないのは散発的な活動をふまえると驚異的というべきである。たしか最後のほうのMCで OTO はこの日のライヴを紅白歌合戦になぞらえており、ラインナップもふくめ総花的なのもそのとおりなのだが、その真ん中に音楽があり、それが脈打っているかぎりは大丈夫だぜ、マイフレンド。などと安請け合いする私はうっかり書きもらしたが、永山+桜井の両ヨシキの前にはマツリスタジオからやってきた向井秀徳がその無二の異物感を “つながった世界” で注入していたのも明記すべきである。その後の七尾旅人と、田口トモロヲとのガガーリンからフェダーインを経て渋さ知らズを率いる不破大輔が参加した “都市生活者の夜” の深々としたグルーヴと、ビルのように屹立する向井の “つながった世界” は好対照というべきものだったが、この時点で演奏開始からほぼ2時間半。1曲が長いうえに曲数も多いため、待ち時間のあいだに不破大輔はすっかりできあがっていたかにみえたが、「そんなことは少しも問題じゃない」と七尾旅人が歌いあげる。この “都市生活者” しかり、つづく “みちくさ” しかり、束になった管のフレーズが印象的な曲を後半に堪能できたのも、私はうれしかったが、それを奏でるホーンセクションにはサックスの ko2rock、渋さ知らズの北陽一郎(は左隣の吉田哲治とうりふたつだった)が加わり最終的に総勢4名になった。

 山でいえば八号目といったところだろうか。高田エージ、いとうせいこう、近田春夫といった腕達者な面々の参加をえた “みちくさ” はコール&レスポンスにうってつけの曲調もあいまって、山頂までの道のりを九十九折りにうねらせはじめる。きょう登場した歌手のなかでも、声と唱法と関係性で、とびぬけてアケミにちかい高田の歌唱にいとうのラップと近田のパフォーマンスとくれば、場が沸かないはずもなく、この日最長尺の演奏にもかかわらず、グルーヴに弛みとてなく、完走した瞬間の観客の歓声は地というより心の底からわきあがるものに思えた。

 本編の掉尾を飾ったのは “夢の海” だった。『ロビンソンの庭』が収めるこの曲を、Jagatara2020 は江戸アケミのヴォーカル・トラックにナマで演奏をつける逆カラオケに仕立てた。みなさんご存じのあの軽快な前奏にのせた南流石の口上につづき、アケミの声がながれた瞬間の、目の前に遮るもののない風景が広がるような恬淡とした祝祭性はこのイベントの幕引きにふさわしい。ピンスポットが照らす舞台中央の不在は存在が作品だった江戸アケミそのひとを逆説的にあらわすかのようでもあった。そして30年という時間はその存在がもたらした音楽の大きさをかみしめるに十分な長さだった。“夢の海” の遠いこだまのようにアンコール1曲目に演奏したもうひとつの新曲 “みんなたちのファンファーレ” から “クニナマシェ”、最後にはフロアに降りた南流石と出演者と会場の全員で合唱した “もうがまんできない” の、古びるどころか切迫感をますばかりの音の渦に揉まれながらじゃがたらはやっぱりすごいバンドだと、私は現在形で思ったのだった。
 気づけば3時間20分がすぎていた。観客の年齢層からいって立ちっぱなしでは厳しい長さだったが、会場をあとにするお客さんのうしろ姿に疲労の色はみえなかった。だって1987年のパルコパート3のじゃがたらは4時間もやったのよ──とひとごみでごったがえすエントランスの向こうに消えていく女性の背中が語りかけてくる気がした。その翌々日、私は疲労が腰にきた。

セットリスト
曲名 (収録アルバム) ゲスト・ヴォーカルほか

オープニング 吹越満+村田陽一
01 裸の王様 (裸の王様) EBBY
02 でも・デモ・DEMO (南蛮渡来) 田口トモロヲ
03 タンゴ (君と踊りあかそう日の出を見るまで) 大槻ケンヂ
04 BLACK JOKE~気の利いたセリフ (南蛮渡来) 鮎川誠
05 FADE OUT (南蛮渡来) NOBU
06 アジテーション (南蛮渡来) 町田康
07 中産階級ハーレム~故ジョン・レノンと全フォーク・ミュージシャンに捧ぐ~ (それから) 折坂悠太
08 ある平凡な男の一日 A DAY IN THE LIFE OF A MAN (それから) こだま和文
09 つながった世界 (それから) 向井秀徳
10 れいわナンのこっちゃい音頭 (虹色のファンファーレ) 永山愛樹+桜井芳樹
11 都市生活者の夜 (ニセ予言者ども) 不和大輔+七尾旅人
12 みちくさ (ニセ予言者ども) 高田エージ+いとうせいこう+近田春夫
13 夢の海 (ロビンソンの庭) 江戸アケミ

E1 みんなたちのファンファーレ (虹色のファンファーレ) 南流石
E2 クニナマシェ (南蛮渡来) OTO、南流石、EBBY
E2 もうがまんできない (裸の王様) 全員

Jon Hassell - ele-king

 やはり2018年の新作『Listening To Pictures』で、現役感ばりばりの尖ったサウンドを呈示したことが大きかったのだろう。昨年のラファウンダ『Ancestor Boy』における客演もそうだけど、最近「第四世界」のコンセプトがグローバル・ビーツの動きと共振してきているというか、世のジョン・ハッセルにたいする関心がますます高まってきているように思われる。
 この絶妙なタイミングで、ハッセルのファースト・アルバム『Vernal Equinox』(1977)が、本人主宰の〈Ndeya〉からリイシューされることになった。CDでは30年ぶり、ヴァイナルにいたってはじつに42年ぶりのお目見えである。もちろん、オリジナルのマスターテープをもとにリマスタリングが施されている。日本盤CDにはハッセル本人とブライアン・イーノによるライナーノーツが付属。発売は3月20日。
 ちなみに、ハッセルがブルキナ・ファソの伝統音楽グループ=ファラフィーナと共作した1988年の『Flash Of The Spirit』も、この2月に〈Glitterbeat〉傘下の〈tak: til〉からリイシューされることになっている。合わせてチェックしておこう。

JON HASSELL

オリジナル・マスターテープからリマスタリングした
伝説的名盤『VERNAL EQUINOX』の再発が決定!
高音質CDで発売される国内盤CDは、ジョン・ハッセルとブライアン・イーノによるライナーノーツ訳付き!

ジョン・ハッセルのコンテンポラリー・ミュージック史における偉大さは、マイルス・デイヴィス、ジミ・ヘンドリックス、ジェームス・ブラウン、もしくはヴェルヴェット・アンダーグラウンドに匹敵する。 ──The Wire 誌

鬼才ジョン・ハッセルの記念すべきデビュー作にして、実験音楽史に残る大名盤『Vernal Equinox』が、 “春分” を意味するタイトル通り、3月20日(金)に自身のレーベル〈Ndeya〉から再発されることが決定! 音源は、当時のオリジナルのマスターテープからリマスタリングされたものとなり、CDは30年ぶり、アナログ盤は実に42年ぶりに商品化されることとなる。国内盤CDは、高音質UHQCD(Ultimate High Quality CD)仕様で、解説書に加え、ジョン・ハッセルとブライアン・イーノによるライナーノーツ訳も封入される。

Jon Hassell - Vernal Equinox (Remastered Reissue)
https://youtu.be/4Vv3snJ56MY

米ピッチフォークが選ぶ歴代最高のアンビエント・アルバム50枚にも選出されている傑作『Vernal Equinox』は、1977年に〈Lovely Music〉からリリースされたジョン・ハッセルにとって初の公式リリース作品である。同時に、西洋と非西洋の合体をコンセプトに、フィールド・レコーディング、エレクトリック・ジャズ、アンビエント、ワールド・ミュージックを融合させた「第四世界」シリーズの第一作目としても位置づけられた実験音楽史に残る超重要作。ハッセルのトレードマークでもある、音響信号処理された不可思議なトランペットのサウンドを主役に、ブラジルが誇る世界的パーカッション奏者、ナナ・ヴァスコンセロスによるパーカッションと、バイオフィードバック音楽のパイオニアとして知られる電子音楽家、デヴィッド・ローゼンブームによるシンセサイザーを含む至高のアンサンブルが、静謐で瞑想的で独創的な音響美を生み出している。

ジョン・ハッセルJON HASSELL
トランペット奏者、作曲家、コンセプチュアリストであるジョン・ハッセルは、前衛音楽と先鋭的な音楽の発展の歴史において、大きな功績を残してきた。後のカンのメンバーらとともに、ケルンのカール・ハインツ・シュトックハウゼンに師事した後、テリー・ライリーの『In C』(1968)のレコーディングに参加。ラ・モンテ・ヤングが結成したシアター・オブ・エターナル・ミュージックのメンバーにも名を連ね、パンディット・プラン・ナートと共に、キラニック・スタイルの歌唱を学ぶ。それらすべてが、彼の演奏と異なる音響信号処理を施したトランペットの音作りに影響を与えている。世界中の先住音楽に対する関心が高まった結果、「第四世界」のコンセプトを開発。様々なスタイルを融合させた音楽は、1970年代後半に『Vernal Equinox』や『Earthquake Island』などのアルバム作品で世に送り出された。またそれらの作品は『Possible Music』でコラボレートしているブライアン・イーノを魅了し、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノによる名作『My Life In The Bush Of Ghosts』にも多大なる影響を与えている。そこからトーキング・ヘッズの『Remain In Light』やピーター・ガブリエル、デヴィッド・シルヴィアン、ビョークらの作品に参加。また多くの映画音楽や舞台音楽を手がけている。近年では、2018年にリリースされた『Listening To Pictures: Pentimento Volume One』が賞賛され、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーやフエコ・エス、ヴィジブル・クロークスら新世代の実験音楽家たちにも影響を与え続けている。

label: BEAT RECORDS / NDEYA
artist: JON HASSELL
title: Vernal Equinox
release: 2020/03/20 FRI ON SALE

高音質国内盤CD BRC-634 ¥2,500+tax
国内盤特典 高音質UHQCD / 解説書+ジョン・ハッセルとブライアン・イーノによる解説訳封入

[ご予約はこちら]
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10832

Tracklisting
01. Toucan Ocean
02. Viva Shona
03. Hex
04. Blues Nile
05. Vernal Equinox
06. Caracas Night September 11, 1975

TREKKIE TRAX vs TYO GQOM feat. Ahadadream - ele-king

 日本のエレクトロニック・ミュージックの最先端を走りつづけるコレクティヴ兼レーベルの〈TREKKIE TRAX〉と、日本初のゴム・クルーである〈TYO GQOM〉が、ロンドンから Ahadadream を迎えて開催するパーティ《TREKKIE TRAX vs TYO GQOM feat. Ahadadream》に、ジャパン・ツアーを終えたばかりの Raji Rags が緊急参加することとなった。Rags は〈Bleep〉の A&R や NTS Radio、Boiler Room のDJ/キュレーターを務めてきた人物で、現在は〈R&S〉の A&R として腕をふるっている。さらに、イヴェント当日に新作「Kokodoko」をリリースする なかむらみなみ もライヴで参加するとのことで、記念すべき一夜になりそうだ。2月12日は CONTACT へ足を運ぼう。

WED 12 FEBRUARY 2020
TREKKIE TRAX vs TYO GQOM feat. Ahadadream
TREKKIE TRAXとTYO GQOMが激突

CONTACT
Ahadadream (More Time | UK)
Raji Rags (NTS Radio | R&S Records UK)

– TREKKIE TRAX –
Seimei
Carpainter
andrew

– TYO GQOM –
DJ MORO
Hiro “BINGO” N’waternbee
mitokon
K8
KΣITO -DJ & Beat Live

なかむらみなみ (Kokodoko Release Shot Live)

[FOOD]
新宿ドゥースラー

OPEN 20:00 CLOSE 3:00
UNDER 23 ¥1000 DOOR ¥2000 (1D)
GENRE Techno | House | Gqom

https://www.contacttokyo.com/schedule/trekkie-trax-vs-tyo-gqom/

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