2月、坂本龍一、テイラー・デュプリー、イルハ(伊達伯欣+コーリー・フラー)の共作が〈12K〉よりリリースされる。
これは、2013年の7月、山口県のYCAMホワイエにて坂本龍一をディレクターに迎えて開催された「アートと環境の未来・山口 YCAM10周年記念祭」におけるライヴ音源。
以下、〈12K〉のレーベル・サイトから。
「糧や会話や探求のためにアーティストたちはコンサートの日々に集った。有意義で、打ち解けた情調があり、彼を共演へと導いていった。ピアノ、ギター、パンプオルガンやシンセサイザーによる即興演奏は結果的にアーティストたちに深いところで影響をもたらしたのだった。
4人はそれまで一度も共演したことがなかったが、徐々に彼らを取り巻いた節度や聴力のレヴェルにあっけを取られてしまった。息をのむほどの静寂に腰をおろしたオーディンスたち。音楽は7月の空気に満ちた束の間の休息を彼らに与える。
最後に奏でられた静かな一音が暗闇に消え入るとき、アーティストたちは自らが深い旅に出ていたのだと気づくのだった。このような瞬間が捉えられたときこそ幸運な出来事であり、コンサートはまさにそうであった(その様子は良質なDSDによって録音された)。
不変で齢を重ねることとは無縁な音楽の性質を指す永久性が、シンセサイザーや加工されたギターにはじまり、開放的で空気感のあるプリペアド・ピアノと無音の連続性や、果ては寂寥なピアノ、ひび割れた既製品やフィールド・レコーディングの音声、そして霧のように宙に浮遊する音による、限りなく忘れがたい繊細な子守り歌の緩やかな層を横断する3楽章に存している。
永久性とは我々と時間の伸張を囲い込むだけではなく、単一の記憶や、時間が静止し4人の音楽家が合一する刹那の記録への広がりをも包括するのである」
Ryuichi Sakamoto, Taylor Deupree, Illha
Perpetual
12k
以下、イルハからのコメントです。
「この日の演奏は、坂本さんのプリペアドピアノ、テイラーがモジュラーシンセ、僕らはパンプオルガンとギターを中心にコンタクトマイクなどで坂本さんの音をプロセッシングしたりしました。
演奏前の二日間も演奏者でゆっくり食事ができ、企画のタッツを始め、YCAMスタッフも素晴らしく、良い演奏に繋がりました。
音源を聴いて改めて驚かされたのはPAのzAkさんのミックスと音質の良さです。当日はテイラーとILULHAのトリオの演奏の後に、数十秒のインターバルを挟んで坂本さんとのカルテットでしたが、音楽的な連続性があったので1曲にしました。各チャンネルごとの録音もあったのですが、結局zAkさんの2mixを使うことになりました。
山口という場所に、あれだけの施設があるということは不思議なことですが、山口だからこそYCAMが存在しているんだと思います。
またいつか演奏出来たらと思っています」 ── ILLUHA