「K A R Y Y N」と一致するもの

shotahirama - ele-king

 2019年末にリリースされた『Rough House』で突如ヒップホップに目覚めたグリッチ・プロデューサーの平間翔太。同作は配信限定だったけれど、ひさびさにCDアルバムの登場だ。前回が『Maybe Baby』なので、ほぼ4年ぶりということになる。レーベルは京都の〈SHRINE.JP〉。トラックリストを眺めると、程よい尺の曲が10曲並んでいる。『Rough House』に続き、今回もアルバムらしいアルバムに仕上がっているようだ(そして、プレヴュー音源を聴く限り、今回もヒップホップ作品の模様)。現在、収録曲 “FIRE IN WHICH YOU BURN” のかっこいいMVが公開中です。これを見ながら発売を待ちましょう。


ノイズ・グリッチプロデューサーからビートメイカーへと生まれ変わったshotahiramaが4年ぶりのCDアルバム!

2010年代に自身が主宰するレーベル〈SIGNAL DADA〉より『Nice Doll To Talk』、『Post Punk』など先鋭的な作品を立て続けに発表してきたshotahiramaが、2017年の『Maybe Baby』以来となるCD作品をリリース! 本作『GET A LOAD OF ME』は彼が近年試みている(ターンテーブルを楽器として用いる発想に端を発した)サンプリング・ビート集の最新版といった仕上がりだ。加えて本作では新たな試みとして、全てのトラックがElektron社のドラムシンセ/シーケンサーであるMACHINEDRUMによる一発録音のライブレコーディングによって制作されている。このタイトな制作手法により『GET A LOAD OF ME』には彼の作品が常に携えていたラフで身軽な佇まいが、新たな魅力として顕在化している。

アーティスト:shotahirama
タイトル:GET A LOAD OF ME
発売日:2021年3月19日
品番:SRSW-491
フォーマット:CD
レーベル:SHRINE.JP

トラックリスト:
01. THE WHOLE NINE YARDS (3:03)
02. GET A LOAD OF ME (4:03)
03. FIRE IN WHICH YOU BURN (4:14)
04. SKINZ (3:45)
05. FEEL THE HIGH (3:38)
06. TEARS (5:37)
07. KIDS (4:26)
08. KEEP IT IN THE STREET (3:16)
09. FRIGHT NIGHTS (5:06)
10. TIME TO SHINE (4:12)

https://studiowarp.jp/shrine/srsw-491-shotahirama%E3%80%8Eget-a-load-of-me%E3%80%8F/

Amazon
Tower Records
HMV


プロフィール

ニューヨーク出身の音楽家、shotahirama(平間翔太)。中原昌也、evalaといった音楽家がコメントを寄せる。畠中実(ICC主任学芸員)による記事「デジタルのダダイスト、パンク以後の電子音楽」をはじめ、VICEマガジンや音楽ライターの三田格などによって多くのメディアで紹介される。Oval、Kangding Ray、Mark Fell等のジャパンツアーに出演。代表作にCDアルバム『post punk』や4枚組CDボックス『Surf』などがある。

Mars89 - ele-king

 新たな夜明け──発売日は、あの日からぴったり10年後の2021年3月11日。「幾千もの粉塵から成っているのでないとしたら塵とは何か」……オフィシャルのインフォに記された文章もなにやら意味深だ。サイトへ飛ぶと、VRを駆使したヴィジュアルが展開されている。やはり、なにかしらコンセプトがあるにちがいない。昨年は映画『破壊の日』の劇判を手がけたり、変わらず精力的な活動をつづけている東京のDJ、Mars89が新作をドロップする。レーベルは、これまでも彼の作品を送り出してきたブリストルの〈Bokeh Versions〉。これは要チェックだ。

https://bokeh.tech/

Mars89
New Dawn

Bokeh Versions
2021年3月11日リリース

1. Magnetic Ghosts
2. In The Shed
3. Grotesque Reflections
4. Nocturnal Animals
5. Body Collapse
6. New Dawn

Chee Shimizu+miku-mari - ele-king

 DJや選曲家、著述家として活躍のChee Shimizu、このたび音楽作品をリリースしました。ギタリストmiku-mariとのコラボレーション作品で、Lovefingersが主宰する〈ESP Institute〉(GroundやYoung Marco、Cos/Mesなどのリリースで知られる)からのリリース。タイトルは「Reconstructions」、15分強、12分強のトラックが2曲収録されている。そしてこれ、かなり良いです。70年代のイーノ風の間と空間があって、とても良い時間を過ごせます。ジャケもいいすね!

Chee Shimizu + miku-mari / Reconstructions

 2000年代、Chee ShimizuはDr. Nishimura(当時Cisco Recordsのハウス・ミュージック・バイヤー)と共に、東京のアンタッチャブルなDJチームDiscossessionを率いていた。このユニットのバランスを取っていたのは、スコットランド出身の若かりし頃のJonny Nash(後にSombrero GalaxyやGaussian Curveを結成、Melody As Truthを主宰しアンビエント作家として活躍中)と、ギターの名手でありタトゥーアーティストでもある故Zeckyだった。東京のシーンでマルチな才能を発揮していたDiscossessionは、瀧見憲司主宰のCrue-Lから2枚のEPをリリースし、個人でも様々なミックスをリリースしており、その全てが永遠のカルト的な地位を築いている。CheeがLovefingersに提供したミックス「Denshi-Meiso」(2006)と「Follow My Dream」(2007)、そして東京郊外の八王子にあるHiFiラウンジSHeLTeRでの伝説的な「リスニング・セッション」は、後に彼のフォロワーに「オーガニック・ミュージック」または「オブスキュア・サウンド」として知られるようになる基礎を築いた。『Obscure Sound』は、彼の嗜好を詳細に記録したレコード・ガイドブックで、それ以来、同業者や若い世代のレコード・ディグのバイブルのような存在となっている。
 2009年のESP Instituteレーベル発足時、Lovefingersのコンピレーション・アルバム『Concentration Vol 1』にはCheeによる2曲のエディットが収録された。その後のリリースに向けたアペリティフとしてLovefingersに提供された神話的なオリジナル・トラックは、「Golden Age」と「Dekmantel 061」にデモとして収録されただけで、現在も正式なリリースには至っていない。その後Cheeは古いロープから新しいものを作ることはなく、提供されたのは、東京のギタリストmiku-mariとのコラボレーション作品である。
 ふたりは東京のForest Limitで不定期に開催されている実験的なオーディオ/ビジュアル・イベント「Sacrifice」で頻繁にコラボレーションを行っており、2018年には日本唯一のアンビエント・フェスティヴァル「Camp Off-Tone」への出演を依頼されたことをきっかけに、Cheeはmiku-mariとともにハイブリッドな即興パフォーマンス・ユニットに発展させようと試みた。Cheeは4台のCDJを使って様々なパーカッションのサンプルやフィールドレ・コーディング音源をコラージュし、ウィンドチャイムやアンデスのチャチャを生演奏で加え、miku-mariはギター・コントロールのシンセサイザー、様々なサウンド・アプリケーション、日本のアンビエント作曲家吉村弘が考案した円筒形の音具「Sound Tube」、チベタン・ベルやピラミッド・クリスタルなどによるライブ要素を組み合わせた。このパフォーマンスのためのリハーサルは、フェスティヴァルに先立ってForest Limitで2時間以上にわたり行われ、すべてのパートがマルチトラックとして録音された。その音源を編集したものが、この「Reconstructions」である。

Caribou - ele-king

 昨年リリースされたカリブーの『Suddenly』、まあ、とにかく素晴らしいアルバムだったんですけど、そのリミックス・アルバムが3月12日にリリースされることになりました。既発のリミックスも含め、リミキサーのメンツは以下の通り。
 Four Tet、Floating Points、Morgan Geist、Logic1000、Shanti Celeste、Kareem Ali、India Jordan、Koreless、Toro y Moi、Jessy Lanza、Prince Nifty。
 いやー、こうして並べるといいですねぇ、なかなかのメンツです。期待しましょう! すでに先行シングル「Never Come Back (Koreless Remix)」が公開中です。

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Caribou
Suddenly Remixes

PLANCHA / City Slang
Digital (Album)
2021年3月12日
※日本テリトリーは2月9日 AM0:00から予約開始となります。

1. Never Come Back (Koreless Remix)
2. Never Come Back (Four Tet Remix)
3. Home (Toro y Moi Remix)
4. Sunny’s Time (Logic1000 Remix)
5. Sister (Floating Points Remix)
6. Ravi (Shanti Celeste Remix)
7. You and I (Jessy Lanza Mix)
8. Sunnys Time (Prince Nifty Saddle Up Mix)
9. Never Come Back (Floating Points Remix)
10. Never Come Back (Morgan Geist Remix)
11. Sunny’s Time (Kareem Ali Remix)
12. Like I Loved You (India Jordan Remix)

Heisei No Oto - ele-king

 しかし流行ってますなー、日本の音楽。アムステルダムの〈Music From Memory〉から、またまた面白いコンピレーションがリリースされます。『Heisei No Oto - Japanese Left-field Pop From The CD Age (1989-1996)』、CD時代の日本のポップスに焦点を当てたコンピレーションで、レフトフィールドな楽曲というテーマで選曲されています。
 目玉はなんといっても井上陽水の“Pi Po Pa”ですが、ほかに細野晴臣のアンビエント・シンセ・ポップ・ユニット、Love, Peace & Trance、あるいはジャズ・ピアニストの橋本一子、クラブ系のPOiSON GiRL FRiENDとか、全16曲(https://www.musicfrommemory.com/release/6971/various-artists/heisei-no-oto-japanese-left-field-pop-from-the-cd-age-1989-1996)。
 なお、選曲は大阪のrare grooveの佐藤憲男とRevelation Timeの谷口英司。ライナーはChee清水。発売は2月28日、アナログ盤とCDと出ます。

ECD - ele-king

 去る1月24日は、故ECDの3度目の命日だった。そのタイミングに合わせ、“ECDのジャスト ア フレンド” のMVが公開されている。2014年の『FJCD-015』に収録されていた曲で、リリース当時からMVの制作も進んでいたそうなのだけれど、諸事情により頓挫してしまっていたらしい。それがこのたび、7年越しに完成したという次第。

 なお、同時に他の3本のMVもあらためて公開されているので、そちらもチェックを。
 ECD WAS HERE.

故ECDが2014年に発表したアルバム『FJCD-015』収録の “ECDのジャスト ア フレンド” のミュージック・ビデオが3回目の命日に合わせて公開。同時に“憧れのニューエラ” 等、3つの映像作品も再公開。

 2018年1月24日に亡くなった故ECDが2014年に発表した通算16枚目となるアルバム『FJCD-015』に収録されている “ECDのジャスト ア フレンド” のミュージック・ビデオが、3回目の命日に合わせて公開。ECD自身とECD作品を多く手掛けている佐々木堅人氏と坂脇慶氏が中心となりリリース当時に撮影・制作を進めていたものの、諸般の事情により頓挫していたミュージック・ビデオが7年越しで完成し、公開する運びとなりました。さらに今回のために Illicit Tsuboi 氏が再ミックスとアレンジを加えてくださいました。
 合わせて YouTube の不具合により削除されていた “憧れのニューエラ” (『The Bridge - 明日に架ける橋』収録)、“LINK” (『Three wise monkey』収録)のミュージック・ビデオと “Lucky Man” (『Three wise monkey』収録)のリリック・ビデオを YouTube にて再度公開いたしました。

*ECD “ECD のジャスト ア フレンド” (Official Video)

https://youtu.be/iQVtst1jMRU

*ECD “憧れのニューエラ” (Official Video)

https://youtu.be/Zjx53fR3q58

*ECD “LINK” (Official Video)

https://youtu.be/XCo0uley_eE

*ECD “Lucky Man” (Lyric Video)

https://youtu.be/IB1TeX-F_wo

[作品情報]

アーティスト: ECD
タイトル: FJCD-015
レーベル: FINAL JUNKY / P-VINE, Inc.
発売日: 2014年6月4日
品番: FJCD-015
仕様: CD / デジタル
税抜販売価格: 2,500円

Jun Togawa - ele-king

 感染防止のため、間隔をとった座席で、枚数限定です。
 現段階の状況を鑑みて、開場、開演時間は2時間繰り上げて16時開場、17時開演となります。
(今後も状況を見て変更等あるかもしれません)

公演日 2021.02.13 (土)
会場 名古屋クラブクアトロ

開場/開演 16:00 / 17:00
料金 前売 ¥6,000
税込・整理番号付・全自由
※枚数制限:お一人様2枚まで
ドリンク D別 入場時ドリンク代別途¥600が必要です。

一般発売日 2021.01.09 (土)
チケット販売
e+
チケットぴあ
ローソンチケット
お問い合せ 名古屋クラブクアトロ TEL:052-264-8211

新型コロナウイルス感染防止対策 事前告知事項
下記事項をご確認いただき、予めご承諾のうえご来場ください。

■名簿の作成
みなさまから「氏名、電話番号、メールアドレス」の情報をご記入、ご提出いただきます。
※プレイガイドで購入時に情報をご提供いただいた場合は不要です。
※ご提供いただいた情報は、必要に応じて、保健所などの公的機関へ情報提供を行う場合があります。

■体温チェックの実施
入場前に非接触式の体温計で体温測定を行います。体温が37.5℃以上ある方は、再度検温を行い、熱があると認められた際はご入場をお断りいたします。

■手指消毒アルコールの実施
入場時、消毒用アルコールによる手指消毒のご協力をお願いいたします。

■マスク着用の徹底
名古屋パルコ館内、及び会場内ではマスク着用の徹底をお願いいたします。
また場内での大声での会話や、演奏中の歓声やコールはご遠慮ください。

■座席移動の禁止
一度お座りいただいた自席からの移動は、ご遠慮ください。

■再入場の禁止
コインロッカーのご利用目的以外の再入場は、お断りいたします。

■喫煙の禁止
場内の喫煙所は、閉鎖しています。

■ドリンク販売の禁止
ドリンクの提供は、入場時に交換したドリンクチケットのみとなります。

■プレゼントの禁止
プレゼントやお花、お手紙などのお受け取りはできません。
なお下記事項に当てはまる方は、ご入場いただけません。

〇上記事項にご協力いただいけない方
〇過度な飲酒が見受けられる方
〇体調がすぐれない方、また咳や咽頭痛などの症状がある方
〇新型コロナウイルス感染陽性者との濃厚接触がある方
〇過去2週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間が定められている国・地域への渡航歴がある方
〇主催者や会場スタッフの指示に従っていただけない方


「戸川純の人生相談」も再開してます。TOTOのCM出演裏話などを語ってマッスル。


https://www.youtube.com/watch?v=hKjWbVA58OA


https://www.youtube.com/watch?v=ylw6pt0yGBo

パンデミック2 COVID-19と失われた時 - ele-king

緊急出版第二弾! 長引くコロナ禍がもたらす分断と陰謀論の時代を「最も危険な哲学者」が徹底分析!

大きな反響を呼んだ『パンデミック 世界を揺るがした新型コロナウイルス』の続編が早くも登場。

我々はみな、同じ舟に乗っているのではない――2020年春から秋にかけての世界情勢を見据え、長引くコロナ禍がもたらす貧困と格差、ブラック・ライヴズ・マターからアメリカ大統領選挙に至る分断と陰謀論の時代を精神分析理論と映画を中心とした該博なサブカルチャー知識を駆使して徹底的に分析する!

「この危機とどう闘うかを提案するときには、誰もが哲学者にならなければならない」(本文より)

目次

はじめに──哲学者が農作物の収穫について書く理由
第一章 分からないこと。分かりたくないこと。できること。
第二章 ウイルスワールドの五月一日
第三章 新型コロナ・地球温暖化・搾取──同じ闘い
第四章 銅像の破壊が十分に過激でない理由
第六章 ソーシャルディスタンス時代のセックス
第七章 豚と人間のすばらし(くもな)い新世界
第八章 “非接触型” 未来なんて、御免だ!
第九章 グレタとバーニーは、どこに?
第十章 今、現実世界で上映されているのはどんな映画か
第十一章 パラダイスの殺人
第十二章 今、売られている夢は……
第十三章 はい、赤い薬を……でも、どっちの?
第十四章 シンプルだが実行するには厄介な事ども
おわりに(する時間がない)──無知への意志
補遺 権力と外観と猥褻性に関する四つの省察
監修者解説 ジジェクのパンデミック論の進展(岡崎龍)

著者
スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)
1949年スロヴェニア生まれ。哲学者。リュブリャナ大学社会科学研究所上級研究員、ロンドン大学バークベック人文学研究所インターナショナル・ディレクター。哲学や政治理論における新地平を切り拓き、文学や映画を縦横無尽に論じている。

監修・解説
岡崎龍
1987年バーモント州生。2016年一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学、2021年フンボルト大学ベルリン哲学科博士課程修了。現在一橋大学言語社会研究科非常勤講師。博士論文 Zur kritischen Funktion des absoluten Geistes in Hegels Phänomenologie des Geistes (Humboldt Universität zu Berlin, 2021)、共訳書にジュディス・バトラー『欲望の主体』(大河内泰樹ほか訳、堀之内出版、2019年)、マルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(大河内泰樹、斎藤幸平監訳、堀之内出版、2015年)など。

翻訳
中林敦子
大阪大学文学部卒、カリフォルニア州立大学大学院 言語学MA。フリーランス翻訳者として、主に医療、製薬・医療機器の分野で、企業HPやパンフレット、学会資料などの実務翻訳。市役所の外国人相談員でもあり、市内に暮らす外国籍市民の生活上の問題解決にあたる。訳書にゼイナップ・トゥフェックチー『ツイッターと催涙ガス』、スラヴォイ・ジジェク『パンデミック』(Pヴァイン)。好きなものは、フィリピンのスイーツ「ブコ・サラダ」と、白鳳・天平の仏像と、ハリネズミと、民主主義。


オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
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Emeka Ogboh - ele-king

 どこにも行けないこの部屋でも鳴り響き、アフロビートの陶酔で未知のラゴスの雑踏を幻のようにたぐり寄せる。ひとときの白昼夢を見せるアフロ・ビートダウン──エメカ・オグボー『Beyond The Yellow Haze』は、2021年のはじまりとともにベルグハイン系列のレーベル〈OSTGUT TON〉傘下〈A-TON〉からリリースされた作品。なんというか、いつまでも聴いていたくなるような、ミニマルな陶酔に文字通りハマる作品だ。

 エメカ・オグボーは、ナイジェリアはラゴス出身のアーティストなのだが、これまでのその活動領域はいわゆるコンテンポラリー・アートにある。すでにそちらの領域においてはそれなりにキャリアのあるアーティストで、これまでにヨーロッパやアメリカなどでそのインスタレーション作品は展示され、いくつかの賞レースもものにしているとのこと。その生活圏もベルリンとラゴスを行き来しており、現在はこのコロナ禍でベルリンに留まらざるをえない状況が続いているという。彼のインスタレーションの多くはラゴスの都市をテーマにしたもので、形式的にはラゴスのフィールド・レコーディングや映像、そして彼の音楽で構成。6年に及ぶベルリン生活で培った電子音楽の感覚と、ラゴスの雑踏が彼の作品のインスピレーションであり、そのテーマは比較的政治的な問題(権利、ナショナリズム、外国人恐怖症、人種差別など)を提起するものだという。最近ではリアーナやビヨンセなどもSNSなどで連帯を呼びかけた、ナイジェリア警察の「対強盗特殊部隊(SARS)」による暴力行為へのデモ活動にシンパシーを寄せ、また作品としても今後とりあげることを示唆している。

 さて、話はずれたが、今回のリリースはこのコロナ禍のある種の偶然によって呼び込まれたものだという。この状況でクラブ営業のできない〈ベルグハイン〉、そのメイン・フロアは現在アートスペースとしてときおり活用されているようで、オグボーの作品がとあるアート・イベントで展示されていたのだという。そして、そこで展示されているオグボーの作品を〈OSTGUT TON〉のスタッフが見初め、そのサウンドに衝撃を受け彼らは、今回のリリースへと歩みを進めたということなのだ。

 という感じなので、これまでに私家版のような形でインスタレーション時に販売された作品と、パフィンランドの、Ilpo (パンソニックの生きている方とは別人)なるアーティストと1枚 Bandcamp にてリリースのみなので、ほぼ音楽作品としてのリリースはコレがデビューといっても過言ではないだろう。また、ここ数年盛り上がるアフリカのエレクトロニック・ミュージックの隆盛という流れ(詳しくは紙 ele-king の三田格氏の原稿を参照)に目を移せば、その手のアフリカ由来のアヴァン・エレクトロニクスや実験音楽を集めた2020年の名コンピ『Alternate African Reality – Electronic, electroacoustic and experimental music from Africa and the diaspora』(そちらは今回の作品とは違ったラゴスの街なみで録音されたとおぼしき完全なフィールド・レコーディング作品)にも収録されている。

 ちなみにリリース元の〈A-TON〉は、エフデミン名義で知られるフィリップ・ソルマン名義の作品やマルセル・デットマン(+α)によるプロジェクトなど、アンビエント~エクスペリメンタルなエレクトロニック・ミュージック作品、もしくはルーク・スレイターのリスニング方面の名義たる 7th Plain 名義の未発表集成をリリースするなど、完全フロア対応の〈OSTGUT TON〉に比べてリスニング色の強いサブ・レーベルとなっている。

 さて本題の『Beyond The Yellow Haze』だが、内容としては長尺の楽曲4曲+フィールド・レコーディングなアウトロで構成されており、ダンス・ビートはそこにあるものの、そのチルな雰囲気は、やはりこれはアンビエント・テクノと言ってもよさそうな質感が全体を支配している。ラゴスの雑踏からスタートする “Lekki Aiah Freeway” は、ポリリズミカルなパーカッションから徐々にアルバムが立ち上がるように不穏なグルーヴをミニマルにゆっくりとつむいでいく。そして本作のハイライトとも言えるのは11分を超える2曲目 “Danfo Mellow” だろう。まるでエイフェックス『Selected Ambient Works 85-92』のクリアで内省的なサイケデリアを、セオ・パリッシュがモコモコとアブストラクトでポリリズミックなアフロ・ディープ・ハウスでミニマルにミックスしたような感覚というか、どこまでも続いていくようなアンビエント・タッチのアフロ・ビートダウンだ。またこの曲名の “Danfo” というのはラゴスの街中を縦横無尽に走る黄色いバス(乗り合い?)のことのようで、まさにラゴスの街を象徴する、住民の移動手段だという。気に鳴る人はオグボーによる短い映像がBBCにあがっていたのでそちらをぜひ(https://www.bbc.com/news/av/world-africa-51210773)。
 続く “Everydaywehustlin” は、骨太なブレイクビーツを足場に不穏なループがひょこひょことラゴスの街を歩き回るトリップホップ。そして雷雨のなかを、祈りなのか物売りなのか雑踏の呼び声がループする “Palm Groove”、そして短いフィールド・レコーディング “Outro” でアルバムは幕を閉じる。アルバム全体を貫く、前述の様なアンビエント・タッチの抑制された響きというのは、ひとつ、このラゴスという街を表象させる作品において、少し陰鬱でノスタルジックを呼び起こす。それは帰郷を果たせぬエメカ・オグボーの心象風景からくるものなのかもしれない。またアルバム全体の陶酔の響きは、どこかモーリッツ・フォン・オズワルド+故トニー・アレンによる『Sounding Lines』、その躍動感を排した麻酔のようなアフロビート、そのさらにアンビエントへの展開を彷彿とさせるサウンドでもある。

空間現代 × 三重野龍 - ele-king

 近年は〈Editions Mego〉傘下の〈Ideologic Organ〉からアルバムを発表したり、吉増剛造とコラボしたりと、独自の表現をつづけている空間現代。彼らと、関西のデザイン~アートワーク・シーンで活躍するグラフィック・デザイナー、三重野龍の映像とのコラボ映像が公開されている。
 昨年10月にロームシアター京都にて開催された「ZOU」のパフォーマンスの記録で、空間現代の最新長編楽曲 “象” に三重野のグラフィックが併置・交錯されていく。この京都拠点の2組による初のコラボは大いに注目を集め、当日は入場制限もおこなわれるなど、限られた観客のみが体験することのできるものだった。
 その貴重な映像が2月7日から2月14日まで、1週間限定で無料配信される。下記URLより。

1週間限定の無料配信が決定
KYOTO PARK STAGE 2020 / OKAZAKI PARK STAGE 2020
空間現代 × 三重野龍「ZOU」映像配信

[配信概要]

KYOTO PARK STAGE 2020 OKAZAKI PARK STAGE 2020空間現代×三重野龍「 ZOU」 映像配信
配信日時:2021年2月7日(日)10:00~14日(日)23:59〔日本時間〕
配信場所:ロームシアター京都公式
YouTubeチャンネル(無料配信)
https://www.youtube.com/channel/UC17J354cZsjO_0QOta8sAZw

出演:空間現代
グラフィック:三重野龍
グラフィックサポート:Takuma Nakata
音響:西川文章
照明:藤原康弘
舞台監督:夏目雅也
制作:松本花音(ロームシアター京都)
記録映像撮影・ 編集:片山達貴
撮影協力:顧剣亨
企画製作:ロームシアター京都

[空間現代×三重野龍「ZOU」開催概要]

開催日時:2020年10月17日(土)20:00
会場:ロームシアター京都 ノースホール(雨天のため会場変更して実施)
主催:文化庁、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会、ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都市 文化庁令和2年度戦略的芸術文化創造推進事業「JAPAN LIVE YELL project」

[プロフィール]

空間現代 Kukangendai
2006年、野口順哉(Gt, Vo)、古谷野慶輔(Ba)、山田英晶(Dr)の3人によって結成。編集・複製・反復・エラー的な発想で制作された楽曲をスリーピースバンドの形態で演奏。これによるねじれ、 負荷がもたらすユーモラスかつストイックなライブパフォーマンスを特徴とする。2016年9月、活動の場を東京から京都へ移し、自身の制作および公演の拠点としてライブハウス「外」を左京区・錦林車庫前に開場。新たな試みとして、60分のライブ作品の制作を開始。これまでに『擦過』(2016)、『オルガン』(2017)、『象』(2020)を発表。地点、Moe and ghosts、飴屋法水、吉増剛造、contact Gonzo など、先鋭的なアーティスト達とのジャンルを超えた作品制作も積極的に行う。2019年度、京都市芸術文化特別奨励者。

三重野 龍 Ryu Mieno
1988年兵庫県生まれ。 2011年京都精華大学グラフィックデザインコース卒業。大学卒業後、京都にてフリーのグラフィックデザイナーとして活動開始。美術や舞台作品の広報物デザインを中心に、ロゴやグッズなど、文字を軸にしたグラフィック制作を実践。主な展示に個展〈GRAPHIC WEST8: 三重野龍大全 2011-2019 「屁理屈」〉@京都 dddギャラリー、 2019年。

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