「K A R Y Y N」と一致するもの

Illuha - ele-king

 先日僕は、TMTの下山のレヴューを興味深く読んだ。暴論じみてもいるが、日本がどう見られているのか、のぞき見として面白い。もっとも、「日本のロックの歴史は、本質的に、アメリカの文化帝国主義に対する日本人の集合的意識の入口における苛立たしい承認の、アンビヴァレンスの歴史である」という前提は、日本のロック(大衆音楽)を見るときの外側からの視線として、何度か目にした覚えのある言葉だ。
 我々は、いくら『アンノウン・プレジャーズ』のTシャツを着ようが、どうしようもなくジャパニーズであり、そう見る視線からは逃れられない。そして、欧米の急進的なジャーナリズムは、往々にして、無邪気なコピー・バンドを文化的服従だと感じつつも、「日本で人気のあるジャンル──J-ロック、ジャパノイズ、音響系、ハードコア──は、強制的に輸入された欧米文化というテンプレートのうえで自分たちのルーツを(曖昧ながら、あまり意識せずに)持っている」と分析している。そして、ボアダムスやアシッド・マザー・テンプルから下山のような、欧米文化を受け入れながら服従(コピー)しない、日本は欧米の一部という幻想──まさにヴェイパーウェイヴが問うたように、何でも等価のウルトラ・フラッターな世界(1998年生まれのアイドルも石橋英子も見事に並列化される『CDジャーナル』的世界とでも言えばいいのでしょうか……)にも甘んじない、白い文化に一撃を加えるぐらいの何かを持っているバンドの肩を持つ。
 自分の内側の醜さを打ち破るには、内側にはないモノ=異文化に期待したいという衝動は、洋楽ファンである自分にも身に覚えのある話だ。が、この国の音楽がアンビヴァレンスの歴史であり、そして、なかば強引に与えられたモノへの齟齬感、ある種の服従と抵抗が具現化されている音楽が国際舞台における個性だと言うのなら、それはパンク的な記号のみに集約されるとは限らないと思う。それは、アンビエント・ミュージックのなかにこそよりよく見えるかもしれない。

 それはジョン・ケージだとか、鈴木大拙だとか、禅宗だとか、お香だとか、そういうことを言いたいわけではない。そもそも日本人は大人しいし、静かだし──正直、本当にそうなのか疑問を感じることが多々あるが──、とにかくそれを美徳としてきている。その気風は、民主主義的には、あるいはフットボール的には有効的ではない場合もあるが、抵抗となるときもあるだろう。
 アメリカの影響力あるレーベルのひとつ、テイラー・デュプリーの〈12K〉からリリースされるイルハ──伊達トモヨシとコーリー・フラー、日本人とアメリカ人からなるアンビエント・プロジェクト──の新しいアルバムに、静けさを追求するこの作品に、僕は衝突めいた感覚を覚える。2011年のデビュー作『シズク』には、とくにそれが明瞭にうかがえた。アメリカの古い教会で録音されたそのアルバムは、当時、デンシノトさんがブログで書いたように「いわゆる〈日本的なもの〉への適切な距離と美意識が同時に感じられる」作品だが、西欧的なるもの、たとえばモダン・クラシカル的響きがあるとしたら、それがと日本的エートスが仲良く並んでいるのではなく、細部でせめぎ合いながら、彼らの衝突/葛藤は、発狂、怒り、苛立ちといった過剰さから遠ざかり、静けさに戻ろうとする。その「適切な距離」こそが我々の美意識かもしれないし、それはアイデンティティのメンテナンスなのもしれない。

 『アカリ』は、イルハにとって3年ぶりのセカンド・アルバムで、録音は、かのZAK氏のST-ROBOスタジオでおこなわれている。最近の彼らのライヴを見ている人は知ってる話だが、ラップトップは使われていない。アナログ・シンセ、オルガン、ギター、小型エフェクターやアナログミキサーやカセットテープ、安価で揃えられる多くの機材を工夫して使っている。録音は手間暇をかけたであろう、ただそれだけ酔えるほど素晴らしい録音で、イルハならではの叙情性と言えるモノも広がっているには広がっている。「いわゆる〈日本的なもの〉への適切な距離と美意識」は今作にもある。
 僕は『アカリ』に、畠山地平とのオピトープによる新作『ピュシス』との連続性も感じるかもしれない。作っている人間もひとり違うし、『ピュシス』の録音は2008年から2011年なので、新作との連続性を言うのはこじつけがましいのだが、音の間の空き方で言えば、『アカリ』は前作『シズク』より『ピュシス』に近い。
 が、『アカリ』には、『ピュシス』の滑らかさと違って、やはり何か衝突めいた感覚が潜んでいる。わりとメロディアスで、メロウに浸れる過去の作品と違って、『アカリ』は、普通は印象に残るはずの旋律的な要素は目立たず、ときおり鳴り出す無旋律/ドローンめいた音響は耳に付く。ときには中心よりも背景が、表側よりも裏側が目立つように仕組まれているが、結局は、どちらかが一方的に際立つことはない。
 細かい音の断片──ピアノ、具体音、電子音などなど──は、いままで以上に細かく断片化されている。露骨ではないが、フリー/インプロヴィぜーションへのアプローチも今作の特徴だ。音は、それ自体が単調/モノトーン/フラットであっても、ゆっくり、やがてさざ波のようにたがいに干渉し合って、他の何かを醸成していく。
 また、“音の持続への重力の関係”だの、“共鳴音の身体的な解釈のダイアグラム”だの、曲名の意味は僕にはさっぱりだが、この作品は1曲目の最初から聴くことを強制しない。つまり、矛盾した言い方をするが、3分聴いても60分弱のアルバム全体はつかめないが、3分のなかに60分弱のすべてがあるとも言える。

 座禅の経験者や日常的に黙想をしていた人にはよくわかることだが、ゆっくり流れる時間感覚は、早いそれよりも順応しづらいものだ。黙想していると時間の流れは遅くなるし、大量の情報を浴びていると時間の経過は早く感じる。テンポの速い曲のほうがポピュラーだし、メインストリームだし、売れ線だ。疲れを知らない我が家の幼児もハイピッチの曲にはノるが、疲れを知っている遅い曲にはノれない。歳を重ねるごとに良くなってくるのがアンビエントだと言いたいわけではない。たんに僕は、あまりにも長いあいだ、疲れ知らずという美学に拘泥していただけの話である。
 伊達トモヨシとコーリー・フラーは、何気に、すでに新しい場所へと進出しているのかもしれない。彼らの音楽へのアプローチにならって言えば、イージー・リスニングとアンビエントとは、やはり別モノである。気休めの音楽としても楽しめるかもしれないが、本質はそうではない。繰り返すが、そこにはむき出しにはならない、確固たる衝突、ひいては抵抗があるように感じる。
 そして、あからさまに言わないだけで、いつもは、この忙しい日常生活では、なかなか振り向かない角度に我々の関心を惹きつけているように思える。それがアンビヴァレンスの歴史からの逸脱なのかどうかは僕にはわからないが、自分に夢中の人がやっている音楽とは明らかに一線を画している。

※最近は、アナログ盤のみのリリースだったアルゼンチン人のフェデリコ・デュランドと伊達トモヨシとのメロディア名義の作品『サウダーデス』のCDもリイシューされる。

※また、彼らはただいま絶賛ツアー中です

GREAT 3 - ele-king

 もう、いったい何度聴いたかわからなくなってしまった。2004年2月のライヴを最後に活動停止状態だったGREAT3。彼らが再び活動を開始し、9年ぶりとなるアルバム『GREAT3』をリリースしてから約1年ぶり/結成20周年となる通算9枚目の本作に、目下のところ筆者は中毒状態だ。
 94年、元ロッテンハッツの3人により結成されたGREAT3のファースト・アルバム『Richmond High』を、初めて聴いたときの衝撃はいまもハッキリと覚えている。60年代ロック、フォーク、AOR、パンクなど、あらゆる音楽スタイルをぶち込み、現在進行形のサウンドとして鳴らす作曲&演奏能力。海外文学からの影響を感じさせつつも、当時20代だった筆者の心にリアルに響く、狂おしいほど切なく切羽詰まった歌詞の世界。一瞬で虜になった。そんな彼らがシーンから姿を消していたこの数年間は、心にぽっかりと穴があいたような気持ちがしたものだが、3人とも充実したソロ活動をおこなっていたから、まさかこうして彼らの新作を心待ちにする日が来るとは夢にも思わなかった。

 白根賢一(ドラム)の自宅スタジオで制作された前作は、「とにかく、いますぐにでも音を出したい」という思いが爆発したような、荒削りなサウンドが印象的だった。本作では、そうした初期衝動を内包しつつも、本来の彼らの特徴である「練りに練った一筋縄ではいかない楽曲」が、まるで生き物のようにひしめき合っている。高桑圭(現Curly Giraffe)に代わって新加入したベーシスト、Janの弾き語り曲“丸い花”で幕を開け、ナイル・ロジャースばりの軽やかなカッティング・ギターと、地を這うようなベースがファンキーな“愛の関係”、90年代UKギター・ロックを彷彿とさせる“穴と月”、ニューオリンズ風のビートがグイグイと高揚感を煽る“5.4.3.2.1”、怒濤のヘヴィ・サイケ・メドレー“マグダラ”、オートチューン(?)でエフェクト処理された片寄明人のヴォーカルが官能的な“モナリザ”、そして、ジルベルト・ジル&ジョル・ジュベンの共演作『ジル&ジョルジ(Gil e Jorge)』を彷彿とさせるようなスリリングなアコギ曲“魂消”と、古今東西の名曲を片っ端からYouTubeでザッピングしているような、変わらぬ守備範囲の広さに圧倒される。しかも、目まぐるしく展開してゆく曲構成や突如鳴らされる奇妙な音色、動物の鳴き声など、一曲ごとに仕組まれたギミックも楽しく、聴き手を最後まで飽きさせないし、全編アナログ・レコーディングというだけあって、曲間にかすかに聞こえるヒスノイズにもワクワクさせられる。メンバー全員、「新譜を聴いて、こんなに楽しい時代は初めてだ」と口を揃えているというが、朋友・長田進(Dr.StrangeLove)を迎え、溢れるアイデアに興奮しながらレコーディングをしている様子が目に浮かぶようだ。

 サウンド的にはダフト・パンク最新作のディスコ路線、MGMTやテーム・インパラに代表される新世代サイケデリアあたりとの共通点を感じさせるが、思い返してみればGREAT3の音楽には、初期の頃からそうした要素は含まれていたわけで、「影響された」と言うよりは「共感し、触発された」と言った方が的確だろう。

 表題曲“愛の関係”で、片寄は歌う。「どうせいつか/死ぬんだろ/崖っぷちで/笑いたい/泣きながら/生き抜いて/出来る事を/やり切って/あとは/天に任そう/これでいいんだ」と。それはまさに、GREAT3が一貫して持ち続けている哲学そのものだ。希望と絶望、歓びと哀しみ、生と死、すべてを丸ごと抱え込んで、「泣き笑い」で突き進んでいく。そんな、どうしようもなく無様でカッコいい彼らが、いままたこうして最高傑作クラスのアルバムを作り上げたことを、心からうれしく思う。

Rainbow Disco Club 2014 - ele-king

 良いフェスの条件とは? 良い音楽があること。良い場所でおこなわれること。良い人が集まること。良い音楽は、良いオーディエンスを呼ぶ。会場の雰囲気が良いことは、音楽以上に、君の気持ちをあげてくれる。
 いまからGWの予定を考えている方に朗報。4月29日の昼前から夜にかけて、晴海客船ターミナルにて開催される「Rainbow Disco Club 2014」、ラインアップを見るだけでもワクワクする。
 ヘッドライナーにはムーディーマン。で、プリンス・トーマス、ヘッスル・オーディオ、マジック・マウンテン・ハイ……。まったく素晴らしい。
 まずは、主な出演者を簡単に紹介しましょう。

■ムーディーマン
 デトロイト・ハウスの……いまや巨匠と呼べばいいのか。90年代後半にこの人とセオ・パリッシュが出てきたとき、人がどう捉えたのかは1997年頃のele-kingを読むとよくわかる。はっきり言って、度肝のを抜かれている。いまでこそ、黒いだの、ファンキーだのと言われているが、当時彼のハウスは、実験的で、レフトフィールだった。先日リリースされたアルバム『Moodymann』は、日本でも異例のロングセラー。その直後の、しかも2年ぶりの来日になる。
 面白いのが、とかく「黒い」と評されるムーディーマンだが、彼のDJでは、マッシヴ・アタックもかかるし、ローリング・ストーンズさえかかる。音楽に人種も国境もない。フットボールにも。
 ムーディーマンは作品も良いが、DJも良い(マイクを握ることも多々あり)。選曲にも意外性がある。彼は間違いなく君に嬉しい驚きを与えるでしょう。

プリンス・トーマス
 ノルウェーのDJ/プロデューサーで、リンドストロールとともに、コズミック・ディスコ(プログレッシヴ・ロックとイタロ・ディスコの出会い)大使として知られる。2005年のアルバム『Lindstrøm & Prins Thomas』はマスターピースとして知られている。幅広い選曲からか、バレアリックとも言われるが、本人は地中海ではなく北欧の人。情報筋に寄れば、日本のインディ・シーンまでチェックしているそうなので、今回のRDCのメンツのなかでどんな選曲になるのか興味深い。

ヘッスル・オーディオ
 もっとも評価の高いポスト・ダブステップのレーベルで、運営する3人──ピアソン・サウンド/ラマダンマン(デヴィッド・ケネディー)パンジア(ケヴィン・マックオーリー)、そしてベン・UFO(ベン・トーマス)がそろってDJする。ピアソン・サウンドとパンジアは、ともにUKガラージ/ポスト・ダブステップからミニマル/テクノへとアプローチ。ジョイ・オービソンやボディカ(あるいはカッセム・モッセ)らとともにテクノのニュースクールの潮流として注目されている。
 ベン・UFOは、レーベルの看板DJとして活躍中。昨年のRDCにも出演している。また、昨年は、ファブリックからミックスCD『Fabriclive 67』をリリースしているが、その選曲を見れば、彼の趣味の良さがわかる。そこには、オリジナル・シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノとベース・ミュージック、あるいはハーバートからカイール・ホールまで、この20年のダンス・カルチャーの素晴らしい部分が切り取られ、繋げられている。はっきり言って、かなり期待できるDJ。

■マジック・マウンテン・ハイ
 90年代から活動するベテランのムーヴ・D率いるプロジェクト。ハウス、アンビエント、テクノの折衷主義で、昨年末〈ワープショップ〉からアルバムを出して、大いに話題になったばかり。
 いま、マジック・マウンテン・ハイは、新譜を出せばレコード店で面だしされるほど注目度の高いので、現役で12インチを買っているリスナーには「おっ」という名前だが、ムーヴ・D自体は、この20年テクノを聴いているリスナー(それもかなりディープに聴いている層)には馴染みの名前である。90年代のムーヴ・Dは、自身のレーベル〈ソース〉をはじめ、アンビエント・レーベルで知られる〈FAX〉、あるいは〈ワープ〉などからも作品を出しているほど。エクスペリメンタルでありながら、メロウなところもあり、野外で聴く彼らの音響は、オーディエンスに良い夢を見させてくれること請け合いである。

 ──という、良いメンツを休日の昼から夜にかけて聴けるのである。
 ちなみに、会場は、先述したように、東京湾に面する晴海客船ターミナルという場所なのだが、実は東京オリンピックのための再開発によって、いま見える景色は来年には見れなくなる。かつてウェアハウス・パーティの会場だったテームズ側沿いの倉庫街が、再開発によってなくなったように……。
 そんなわけで、新自由主義的に亡くなっていく風景を心に焼き付けながら、ムーディーマンやマジック・マウンテン・ハイを聴こう。もう来年には、そこで踊ることはできないのですから。
 渋谷からだと40分〜50分で行ける。会場内には、Red Bull Music Academyによるセカンド・ルームも設置される。
 また、当日は、夜になると東京タワーもレインボーに発光するらしい……です。(野田努)

■Rainbow Disco Club 2014
■開催日:2014年4月29日(火)
■料金:前売チケット6500円 / 当日8000円
■時間:10:00 OPEN/START 〜20:00 CLOSE

■RDC STAGE:
MOODYMANN
PRINS THOMAS
MAGIC MOUNTAIN HIGH
HESSLE AUDIO
SISI

■RBMA STAGE
Special Secret Guest
San Soda
Kuniyuki
Hiroaki OBA
Kez YM

■チケットプレイガイド
CLUBBERIA https://www.clubberia.com/store/
イープラス https://eplus.jp/
Smart e+ https://sm.eplus.jp/e/170
楽天チケット https://ticket.rakuten.co.jp/
tixee https://tixee.tv/
Resident Adbvisor https://jp.residentadvisor.net/event.aspx?555668

■店頭発売
DISC UNION https://diskunion.net/
Technique https://www.technique.co.jp/
JetSet https://www.jetsetrecords.net/
Light House https://lighthouserecords.jp/

■MORE INFO:
RDCオフィシャルウェブサイト
www.rainbowdiscoclub.com


KUJITAKUYA (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

https://www.hole-and-holland.com/

DJ schedule

2014. 4.9(金) BLACK WATER @神宮前BONOBO
https://bonobo.jp/schedule/2014/04/001315.php

2014.4.18(金)OPSB & HOLE AND HOLLAND Presents [UP] @中野heavysick ZERO
https://www.heavysick.co.jp/zero/

チャートテーマ

1. 2014/4/18金曜日@中野heavysick ZEROにて開催される、OPSB & HOLE AND HOLLAND Presents [UP] に持って行こうと思っているレコードです。

2. 昨年末の大盛り上がりだった[UP]の後、レコバッグをなくしてしまい、その中に入っていたレコードですw。また買います。

3. HOLE AND HOLLAND関連のpv とsoundcloudです。


1
OPSB - CHANGE YOUR ROUTINE - room full of records

1
TAMBIEN - THE TAMBIEN PROJECT2 - public possession

1
DJ RASHAD - I DONT GIVE A FUCK - hyperdub

1
CRATEBUG - TUGBOAT EDITS PRESENTS CRATEBUG EDITS - tugboat edits

2
JURNY - ONLY WHEN I'M DREAMING - NO MORE HITS

2
SSK - I'M LOST DOWN - SSK VERS

3
FUSHIMING - SERENADE (PV)
https://www.youtube.com/watch?v=FMDsCt55d40

3
EDO KANPACHI - KOUTA RAP REMIX
https://soundcloud.com/edo-kanpachi/kouta-rap-remix

3
KUJITAKUYA - FEELING OF A BIRD
https://soundcloud.com/nosetail92/feeling-of-a-bird

3
RIDE MUSIC EP RELEASE TOUR 2012 (PV)
https://www.youtube.com/watch?v=JLGC0BhzuAE

interview with Kelela and Total Freedom - ele-king

「これ以上、神聖なものって、ないの?」

 いつのまにか音楽はしぼみ、日本語のナレーションがくりかえし聞こえてくる。さっきまでトータル・フリーダム(=Total Freedom)のDJで盛り上がっていたフロアは、波がひいたように静まりかえった。会場の全神経がステージ上に注がれる。ほどなくして歌声が響きはじめ、しなやかな身のこなしでケレラが姿をみせた。「Is there sacred anymore?」――そのとき、10分後の気持ちさえ誰も予測できなかっただろう。当時はアルバム一枚さえなかった。たった一曲で彼女は話題になったのだ。張りつめたムードのなか、ケレラとオーディエンスが「はじめまして」からお互いをさぐりはじめる――あまりに官能的な瞬間だった。
ケレラはイヴェントが終わる直前にも、20人もいなかっただろうフロアに降りて、ふたたびマイクを握った。あの日むかえた夏の朝5時は、とても小さいのに広がりがあって、優雅でありながら繊細で、みんなが美しい汗に濡れていた。僕にとって〈Prom Nite 3〉は、2013年どころか、ヒカリエでの〈Revolver Flavour〉と並んで、生涯の最高の夜のひとつだ。


Kelela - Cut 4 Me
Fade to Mind

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 念のためおさらいしておこう。2013年5月にリリースされたキングダム(Kingdom)・フューチャリング・ケレラの楽曲“バンク・ヘッド(Bank Head)”が、サウンドクラウドで〈フェイド・2・マインド(Fade to Mind)〉レーベル史上(ケタひとつ違う)最多の再生数を記録し、『ダミー』誌や『デイズド&コンフューズド』誌は2013年のベスト・トラックとして評価している。同年10月に満を持してレーベル初のアルバムとなるケレラの『カット・4・ミー(Cut 4 Me)』がリリースされ、音楽メディアが軒並み高評価のレヴューで取り上げたのはご存じのとおり。受け身(feat.)のシンガーに納まりたくなかったケレラも陽の目をみるチャンスをうかがっていたはずで、R&Bサンプリングを愛してきたキングダムにとっても、そして世に知られるための決定的なフックを必要としていた〈フェイド・2・マインド〉にとっても、『カット・4・ミー』はまさにウィン・ウィンの結晶といえる作品だ。それによってケレラだけでなくレーベルの存在も急浮上し、『ファクト』誌は〈フェイド・2・マインド〉を2013年のベスト・レコード・レーベルとして讃えた。

 また、〈フェイド・2・マインド〉にはマイノリティとしての背景/出自があることも忘れてはならない。天野龍太郎がレヴューで触れているように、ケレラは移民の娘として育ち、マイク・Q(Mike Q)はヴォーグのフィールドで名を馳せているほか、レゲトンをかけまくっていたトータル・フリーダムやングズングズ(Nguzunguzu)はラテン系移民のLGBTコミュニティが集まるLAでのパーティ〈ワイルドネス(Wildness)〉で活動していた。

ドキュメンタリー映画『ワイルドネス』(ウー・ツァン(Wu Tsang)監督、2012年)には、周囲の圧力によってパーティが中止に追い込まれる様子が記録されているようだが、いまのところ観る手段はなさそう。

 そういった事柄は〈フェイド・2・マインド〉のあくまで一面/一要素にすぎないかもしれないが、まったく無視してしまうわけにもいかない。あのパワフルな「Ha!」が幾度となくミックスされているのは、けっして故なきことではないのだから。

 2014年3月末リリースのボク・ボク(=Bok Bok)との新曲“メルバズ・コール(=Melba’s Call”を、あなたは聴いただろうか? ケレラはまだまだ野心的だ。ぶつ切りにされたエレクトロ・ファンク。脳がゆれるようなオフビート。この故障気味のトラックに歌を乗せてしまうぶっ飛び様にはただただ感服するしかない。「次はこんなに近くで(=DOMMUNE)観れないかもね」と1-DRINKさんがささやいていたように、たしかにケレラの人気は高まっていくばかりだろう。けれど、彼女はけっして安全牌に落ち着くことなく、野心的な活動を続けてくれるにちがいない。

 幸い、近くで観れなくなるかもしれないその前に、僕はケレラとアシュランド(=トータル・フリーダム)に話をきく機会に恵まれていた。帰国直前のふたりといっしょに小さな町の蕎麦屋の暖簾をくぐったのは、2013年、コンクリートもジューシーに焼きあがり、トリップしそうになるほど暑かった真夏の昼のこと………。

(※ぜひ日本のファンに読んでほしいとケレラ本人から届いたラヴ・レターを、最後に添えておきます。)

アメル・ラリューっていうシンガーのライヴを初めて見たときのことなんだけれど、彼女がわたしのなかの何かをぶちこわしたの。あんなに自分の人生を懸けて歌を歌っている人を見るのは生まれて初めてだった。

アシュランド、今年(=2013年)だけで日本には4回も来ていたけど、今回はいろいろと慌ただしい滞在でしたね。そんななかわざわざ時間をくれてありがとうございます。まずはルーツについて訊かせてください。初めて買ったレコードは何ですか?

アシュランド:初めてのレコードはトッド・ラングレンかな。名前が思い出せないんだけど、彼が80年代に出した変なエレクトロっぽいやつ。8歳のときに初めてお小遣いをもらって、家族とショッピングモールに行ったときにレコード屋で買ったテープがそれだった。見た目が可愛かったからジャケ買いしたんだ。

ケレラはどうでしょう?

ケレラ:わたしは……トレイシー・チャップマンのデビュー作だったな。

アシュランド:素敵だね。

ケレラ:うん。でも自分で買ったわけじゃなくて、父からの贈り物だった。たぶん彼は私に気を遣って買ってくれたんだと思うわ。そのとき両親は離ればなれに暮らしていて、父がいつもわたしの送り迎えをしてくれていたの。学校に車で迎えにきてくれるときにだけ、父とふたりで会うことができる時間だったのだけれど、そのときにいつもおねだりばかりしていたから……Oh、 アリガトウゴザイマス(訳者註:蕎麦を運んできた店員に対して彼女は満面の笑みでそう応えた)。

初めていまのようなアーティストになりたいと思ったのはいつ頃ですか?

アシュランド:僕は自分のことをアーティストだなんて思っていないんだ。だからそのようなことを考えたこともない(笑)。そういう誰かのレコードを聴いて、この人みたいにいつかなりたいっていうプロセスで物事を考えたことはないんだ。

ケレラがシンガーになろうと決めたきっかけはなんだったのですか?

ケレラ:アメル・ラリューっていうシンガーのライヴを初めて見たときのことなんだけれど、彼女がわたしのなかの何かをぶちこわしたの。それがきっかけよ。あんなに自分の人生を懸けて歌を歌っている人を見るのは生まれて初めてだった。彼女の歌を聴いて涙が出てきたし、同時にとても幸せな気分にもなった。彼女はべつにわたしのそばでわたしの瞳を見つめながら歌ってくれていたわけではないのよ。ワシントンDCにある大きなコンサートホールで、わたしはステージから遠く離れて座っていたの。それなのに彼女の歌声はわたしの心の奥深くまではっきりと届いた。そのときは信じられなかったわ。その事実も、そんなことができる彼女の歌唱力も。その日を境に、わたしも人生のうちで一度くらいは歌に懸けてみるべきだと思いはじめた。 

それはいつ頃の話ですか?

ケレラ:わたしはもう大学生だったから、2004年頃のことかな。それまで浴室でシャワーを浴びながら歌ったりはしていて、学校の行事とかでソロで歌わされたりしたことはあったけど。あ、そういえばわたし、高校の「将来ポップ・スターになりそうな人ランキング」で1位に選ばれたのよ!

アシュランド:ハハハ(笑)。

ケレラ:きのう考えごとをしていたらちょうどそのことを思い出して。でもとにかく若いときから毎日下手なりに歌は歌っていたわ。日に日に少しずつ上達していっていまに至ったと思う。

以前、インタヴューで「アシュランドはアートスクールに行っていないことを誇りに思っている」とサブトランカのマイルスが言っていましたが、実際どうでしょう?

アシュランド:べつに誇りになんて思ってないけど(笑)、でも多くの人が僕はアートスクール卒だと思うみたい。実際、〈フェイド・2・マインド〉の連中や周りの友だちがみんなそうだし、シカゴに住んでいたときからの知り合いも未だに深い関係にある人はみんなアートスクールの出身なんだ。恐らくそういうイメージがつきやすいのは僕の立ち位置によると思う。僕はアートの世界でコンスタントに活動しているけれど、とくに音楽活動をするときにはいつもインスティチューショナルな現代アートの世界とクラブの世界の両方を行き来するようにしてきたしね。

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それこそが歴史的にシーンと呼ばれるものが生まれてきたポイントだと思うんだ。そこにあるんだと言ってしまうこと自体がそれを生むというか。

あなたがキュレーターを務めたプロジェクト『ブラスティング・ヴォイス』(Blasting Voice)はLPとエキシヴィションの両方の形で発表されましたが、あのヴァリエーション豊かなキュレーションは、何かのシーンを総括するようなものだったのでしょうか?

アシュランド:違うよ。コンピレーションを依頼されたときに「君のシーンにすごく興味があるから何かそれを総括するような物を作ってくれないか」って言われたんだけど、実際それを聞いてすごく笑ってしまったんだ。「それっていったいどういう意味?」って。依頼してきた人のこともまだよく知らなかったし、そのときはそれがすごくおかしくてさ。彼が想像していたようなシーンはそこには存在しなかったし、それぞれのアーティストもその作品もお互いに影響しあわずにすでにそこにあった。だからきっとすごくおもしろい仕事になるなって思ったよ。互いに繋がりのないさまざまな人たちの作品をそこに何か関連があるって想像しながらひとつにまとめていくんだから。でもそれこそが歴史的にシーンと呼ばれるものが生まれてきたポイントだと思うんだ。そこにあるんだと言ってしまうこと自体がそれを生むというか。だから、それはレコードを作る理由としてはじつに楽しいアイデアだったよ。本来のゴールとは違う形だったとはいえどもね。内容の時間軸もバラバラで、2005年頃に知り合いからもらった作品もあればリリース直前に完成した楽曲も入ってる。でもコンピレーションが出るまで誰も聞いたことがなかったものばかりだよ。エキシヴィジョンも同様で、すでに存在していたシーンをリプリゼントしたようなものではないんだ。
どちらもできる限り広範囲から選ぶように努力はしたんだけど、実際思ったより狭い範囲でのキュレーションになってしまったかな。みんな僕の知っているアーティストだったからそういった意味で偏りがあるのはどうしようもないけどね。

わたしが表現した「心地の悪さ」というのは、そこにまた戻ってきたいと感じさせる類いのものなの。それはただ無益に人を傷つけることとは違うのよ。

ケレラは、『ファクト』誌のインタヴューで、「ほとんどの人に共鳴されるとともに、リスナーを心地わるく(uncomfortable)させ」たいという旨をおっしゃっていましたが、それには何か理由があるのですか?

ケレラ:それは、「不安を感じること」には「成長すること」が伴うというわたしの考えから来ていると思う。いままで心地の悪さを経験したときにはいつも、「どうして不安になるんだろう?」って考えさせられてきた。だってもうそんな気分味わいたくないじゃない? たとえそれが意図的に経験させられたものじゃなかったとしてもよ。
わたしが表現した「心地の悪さ」というのは、そこにまた戻ってきたいと感じさせる類いのものなの。それはただ無益に人を傷つけることとは違うのよ。わたしが言いたいのは、他人のパフォーマンスを見ることによって自分が成長できるような瞬間があるということなの。単に「きみは歌がうまいね」とか「あの曲を見事に次の曲にミックスしていたね」とかそういうことじゃなくて、わたしはあなたに関与したいし、あなたにも関わりを感じてほしい。わたしは芸術というフォーマットを通して人との繋がりを得たいし、それだけが人が歌を歌う理由だと思わない? もしも誰にも触れることができないのだとしたら、わたしにはこれを続ける理由がわからないわ。

心地の悪さ、不安感などを伝えることで表面的な部分だけでなく、より深い部分でコミュニケーションを取りたいということでしょうか?

ケレラ:そうね。他にいい言葉がきっとあるはずなんだけど、思い浮かばないな……。とにかく人に関わりを感じて(feel engaged)ほしい。それは「OK、いまのわたしはこの場を去ることはできない」とか「あぁ、いまは飲み物を買いにいけない」とか、いまここで起きていることしか考えられなくなってしまう感じ。それはとても楽しいことにもなりえるのよ。とてつもなく幸せな瞬間にも。ただわたしはそこに心地の悪さや不安感のような感情までも含めてあげたいと思うの。クラブだけじゃなくてどんな場所でも言えることだけど、わかりきった内容のものなんてぜんぜんおもしろくないでしょう。そのために、わたしはいつもそこにある空気を破れるように、みんなのスペースに割って入ることができるようにトライしているわ。

『カット・4・ミー』の歌詞はご自分で書かれているのですか?

ケレラ:基本的には。でも自分ひとりではどうしたらいいかよくわからなくなるときもあって。そんなときにはアズマ(=ングズングズのメンバー)がよく助けてくれる。“エネミー”の歌詞は彼女といっしょに書いたのよ。それからスタジオでもときどきみんなに「ここはこうじゃなくてこう言うべきだ!」って強く言われるときがあった。わたしも「あー! うるさいな!」って感じになっちゃうんだけど、それがよりいい結果に繋がることも多くて(笑)。だからひとりで書いているつもりはないし、みんなでクリエイトした結果だと思ってる。

パートナーとしてングズングズのアズマを選んだのは何か自分と似ているところがあるからですか?

ケレラ:そう。彼女とは知り合ってまだ1年半くらいだけれど、彼女はわたしとまったく同じところからやってきた人のように感じるの。お互い両親が移民だってことも関係しているのかもしれないけれど、彼女もわたしと同じで、ある種のコンテキストに挑戦しながら生きてきた人だし、いまはともに挑戦していける同士だと思ってるわ。だから彼女とはとても深い関係にあるわね。とくにふたりでいっしょに歌詞を考えてるときは、彼女はとても利口で立ち回りの上手な女の子だって気づかされる。英語的表現で言うところの、「Girl in da hood」ね(笑)。とても頭が良くて、必要なときにさりげなく気を利かせてくれる。それは彼女も同じ経験をしてきたから。そしてわたしも同じことを経験しているということにとても重きを置いてくれている。だから彼女と歌詞を書くことは大好きだし、彼女のフィードバックを聞くのも大好き。「ここはこのままで大丈夫よ~」 「なんでここ変えちゃったのよ~?」「ここはこうするべきだわよ~」って。彼女の意見には反発できっこないわ(笑)。

(そっくりなアズマの声真似に一同笑)

アシュランド:いつもそんな感じだよね。みんな自信ないときは「本当にこれで大丈夫なの? アズマに訊かないと……」ってなっちゃうんだ(笑)。

ケレラ:アシュランドもそういう立ち位置だけどね。

〈フェイド・2・マインド〉のアネゴ的存在なんですね(笑)。

ケレラ:わたしにとってアシュランドが父親でアズマが母親みたいな感じなのよ。

みなさん本当に仲良しですね。インク(inc.)のスタジオでおふたりは出会ったときいていますが……

アシュランド:インクのスタジオが初めて会った場所だったっけ?

ケレラ:そうよ。はっきり覚えてるわ。エレベーターの中でふたりで話していて、「友だちがフューチャー・ブラウン(Future Brown)って名前のグループやってるんだけどさ」って言われて、「『フューチャー・ブラウン』だって!? 一体どうしてこのわたしがそのバンドのメンバーじゃないのよ。どこにデモ送ればいいの?」って話したのよ。

アシュランド:(笑)

そのときのお互いの印象はどうだったのですか?

アシュランド:僕はすでにそのときレコーディングしていたティーンガール・ファンタジー(Teengirl Fantasy)のデモで彼女の歌声を聴いていたから、その印象が強かったかな。ケレラはたぶんなんで僕がそこにいたのかも知らなかったと思うよ。僕がニック(筆者註:ティーンガールのニックだろう)の彼氏だったってことは知ってたんだっけ?(笑)

ケレラ:わたしはそう聞いてたわよ。アシュランドが素晴らしいDJだってことも聞いてたけど、プレイを見たことはなかったし、彼がそこにいることの背景とかをまだぜんぜん理解してない状況だった。

アシュランド:彼女はインクのことも知らなかったんだ。その時ティーンガール・ファンタジーがスタジオを探していたから僕がインクのふたりに頼んで使わせてもらっていたんだけれど、それでその日に知ったんだよね。

ケレラ:インクも知らなかったし、トータル・フリーダムも知らなかったの。そのときにはティーンガール・ファンタジーのことも知ったばかりだったし、その背景にある世界っていうのもわたしにはまったく新しいものだった。〈フェイド・2・マインド〉も〈ナイト・スラッグス〉もぜんぜん知らなかった。

アシュランド:君はいったいどこからやってきたのさ(笑)? ティーンガール・ファンタジーの“EFX”のデモを聴いたときに、「これはいますぐにでもヴォーカルを見つけてきて完成させるべきだ! 宅録じゃ駄目だよ、絶対にスタジオでだ!」って言ったんだ(笑)。ケレラはそのときにはもうティーンガール・ファンタジーのふたりとは知り合いだったのかな?

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ティーンガール・ファンタジーの“EFX”のデモを聴いたときに、「これはいますぐにでもヴォーカルを見つけてきて完成させるべきだ! 宅録じゃ駄目だよ、絶対にスタジオでだ!」って言ったんだ(笑)。

ケレラ:たしか10月に彼らがLAでジェイムス・ブレイクとプレイしたのだけれど、その後だっけ? あまりよく思い出せないな。とりあえずそのイヴェント会場で初めて彼らに……ちょっと待って、アシュランド、あなたもあそこにいたわよ!

アシュランド:LAだったらたぶん僕もいたはずだけど……あれ、本当に?

ケレラ:わたしはそこでローガン(筆者注:ティーンガールのローガンだろう)を待っていて、誰も知らなくて不安だったら、そこにあなたもふたりといっしょに現れたじゃない! 初めて会ったのにすごく素敵でキュートな挨拶をしてくれて。そのあとみんなでハウス・パーティーに行ったのよ。

アシュランド:ダニーの家(筆者註:インクのダニエルだろうか)! そうだ思い出した。それが初めて会ったときだよ。なんか不思議だね(笑)。 

ケレラ:すごく行き当たりばったりよ。その日に顔合わせして初めて“EFX”のデモに合わせて歌ったんだけど、わたしはまだ歌詞を持ってなかったの。コクトー・ツインズみたいに自分の独自の言語を作って歌いたいって話をして、ローガンがそのアイデアをとても気に入ってくれたのを覚えてる。まだインクのスタジオに入る1ヶ月以上前の話よ。だからそのときが初めて会った日。訂正するわ。

やっぱりいつもアシュランドがキーパーソンなんですね。ニックと付き合っていたということも驚きです。

アシュランド:本当にただしい期間の間だけだよ(笑)。でも僕らの関係がなかったらケレラは生まれていない。

ケレラ:本当にそうよ。アシュランドの交友関係が広くなければインクのスタジオを使ってレコーディングすることにもなってなかったし、わたしも〈フェイド・2・マインド〉のことも知らずに生きてたんじゃないかな。

すごく興味深いです。それでは、アシュランドはどういった経緯で〈フェイド・2・マインド〉と関わるようになったのですか?

アシュランド:エズラ(=キングダム/Kingdom)とングズングズとは同時期に出会ったんだ。彼らはお互いのことはまだ知らなかったはずだけどね。当時エズラはボストンに住んでいて、とあるバンドのメンバーだったんだ。そのバンドをシカゴで僕がブッキングしたんだよ。彼とはそれ以来の付き合いかな。
その後エズラはバンドを辞めてニューヨークに引っ越すんだけど、ちょうど同じ頃に僕もングズングズとウー・ツァン(筆者註:序文で先述したとおりドキュメンタリー映画『ワイルドネス』の監督)といっしょにシカゴからLAに引っ越したんだ。彼らとは昔からいっしょに音楽を作ってはいたんだけど、LAに越してからングズングズのダニエルがダンス・ミュージックに入れ込みはじめた。そのうちアズマも彼といっしょにビートを作るようになってたんだ。そこでングズふたりにエズラの音楽を聴かせたらマイスペースで連絡をとったみたいで、彼らも友だちになった。それ以来エズラはときおりLAに遊びにくるようになったんだけど、しばらくしたらエズラもLAに引っ越すって言い出してさ。彼は当時テキサスに住んでいたプリンス・ウィリアム(Prince William)とすごく仲がよくて、新しいレーベルをはじめる計画に関してずっとやり取りしていた。それでエズラがLAに越してきてから1年くらい経ってウィル(=プリンス・ウィリアム)もテキサスから越してきたんだ。
それからはみんな毎日のように集まっては音楽を共有したり、ジャムしたりする生活がはじまった。そして〈フェイド・トゥ・マインド〉が生まれたんだ。だからとても自然な経緯だったよ。誰かが「神経質なトータル・フリーダムをレーベルに迎え入れて彼が垂らす不満を聞きながら今後のことを決めていこうじゃないか!」だなんて言い出したわけじゃない(笑)。はじめからそこにいただけなんだ。とても自然に。

アシュランドのDJに毎回テーマはあるのですか?

アシュランド:ないよ。唯一気をつけていることといえば、DJの前に自分が持っている新しい曲たちをUSBかCDに焼くのを忘れないようにすること。

ケレラ:それが彼の準備のすべてなのよ。

アシュランド:それがすべてだよ(笑)。

「いまの会話のなかで君はR&Bという言葉を1回たりとも使わなかったけど、それはどうしてなのか教えてくれるかい?」って。そこで初めて気がついたの。わたしはR&Bという言葉で自分の音楽を考えたことが一度もなかったんだって。

※アシュランドについてはもうすこし掘り下げたかったのだが、彼は一足先に帰ることになっていたので、後日メールでくわしく話しをきくことにして、ひとまず彼を見送った。

それでは、ケレラに質問していきます。現在アメリカにR&Bのシーンのようなものは存在しているのでしょうか?

ケレラ:R&Bに関する何かは起きているわね。でも正直それがなんなのかさっぱりわからないの。ちょうどいまリズラ(=Rizzla)といっしょにわたしのプロフィールを作っているところなのだけれど、わたしのバイオグラフィーに関してひと通り彼に話す機会があって、そのときに彼はこう言った。「いまの会話のなかで君はR&Bという言葉を1回たりとも使わなかったけど、それはどうしてなのか教えてくれるかい?」って。そこで初めて気がついたの。わたしはR&Bという言葉で自分の音楽を考えたことが一度もなかったんだって。それはわたしがルールよりも先に作品のクオリティのことを考えているからかもしれない。作品の完成形を追い求めているときにわたしはR&Bのことを考えていないのよ。完成した後にこれは何ですかって訊かれたら「あぁ、これはおそらくR&Bよね」って単純に思うだけで。だからその言葉を使うことに抵抗は無いし、もしあなたの音楽をまったく知らない人にごく簡潔にあなたの音楽について説明してくださいって言われたら、「これはクラブR&Bよ」って言うと思う。でも歌っているときの影響やなんでそのようなメロディなのかって訊かれたときにR&Bという言葉はそこにはあてはまらない。
それに気づいたとき、リズラといっしょにこの「R&B」現象はいったいなんなんだろうって話をしたわ。だってR&Bに関することなんて2年前には誰もわたしに質問してこなかったもの。この1~2年の間に何かが起こったの。わたしにはそれがよくわからない。でもそれはおそらく、上位中産階級の白人たちみんなに「いま、君はR&Bを聴いているべきなんだよ」って書かれたメモが配られたような、そういう類いの変化なんだと思う。そしてみんながいっせいにそれに関するオンラインのリサーチをはじめて、あたかもいままでずっとそういう音楽を聴いてきたかのように振る舞いはじめたのよ。まるで「オーマイガッド! 僕はR&Bを愛しているし、いままでもずーっとそうだったんだよ! 本当のことさ! やっぱり君は最高だよね!」みたいな感じ。そう、だから何か起きているのはたしかなのよ。
でもわたしはそんな状況をあてにしたくないだなんてカッコつけたことを言うつもりはまったくないわ。すべてのシンガーは自分の限界というものと戦わなければならない。多くのアーティストがそれを乗り越えようとしているし、いまこの瞬間にもそれは実際に起きていることなの。その暗闇は、アーティストからしたら――それはそれはとてつもなく冷たい現実なのよ。
ただ、そういうインターネットで白人でインディなる何かがそこに覆いかぶさってきたような……本当につい最近のことなんだけど。

もともとヒップスターだった白人のキッズたちのことでしょうか?

ケレラ:まさしくその通り! 「だった」というより彼らは未だにそうなの。現在のヒップスタリズムの提示する美学の中にはなぜかR&Bを聴くことも入ってしまっているの。いつからそうなってしまったのかはまったくわからないけれど。でも大事なのはここよ、次のパートよ、よく聴いていて。
そういったこともぜーんぶ含めて、わたしはそれが起きてくれて本当によかったと心から思ってる。正直小さなことはどうだっていいわ。もしヒップスターたちが「R&B」を好きになってくれるなら、それはわたしがアーティストとしてすこしでも長く生活していけるということなんだもの。不満なんてまったく言えた立場じゃないわ。ただ、自分がどこから来たのかってことをいままでよりダイレクトに、はっきりと伝えなくちゃいけないっていうことだけなの。そして何よりもいちばん重要なことは、いまこそがわたしのクリエーションがいちばんノリに乗っている瞬間ということではないっていうことをはっきりとさせることなの。だって「R&B」が流行っていなかったとしても、多少違うかたちにはなっていたかもしれないけれど、わたしの表現したかったこと、目指してきたものは対して変わっていなかったと思うもの。だからどんな理由であれ、いまの状況になってくれて本当によかった。「わたしの音楽が好きなの? アメージング! チケットを買ってショーを見に来てくれるの? グレイト! 本当にありがとう。とても感謝しています」。そういう気持ちだわ。

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現在のヒップスタリズムの提示する美学の中にはなぜかR&Bを聴くことも入ってしまっているの。そういったこともぜーんぶ含めて、わたしはそれが起きてくれて本当によかったと心から思ってる。

なるほど……。続いて「R&B」関連ですが、ジェシー・ウェアと彼女の音楽についてはどう思いますか?

ケレラ:ジェシー・ウェア?  今日中にメールで返答しなくちゃいけない他のメディアからのインタヴューがあるんだけど、そこにも彼女に関する質問があったの。ちょっとここで読ませてもらってもいいかな?

どうぞ。

ケレラ:「質問その1) われわれはあなたもジェシー・ウェアと同じようなラウンドを進めていくものと予想しています。脇役としてのアンダーグラウンド・シンガーからメインストリーム・アーティストへの素早い立ち上がり。この予想に関してはどう思われますか?」

(一同沈黙)

ケレラ:ジェシー・ウェアの音楽に関してわたしがどう思うかというと、彼女が有名になる前に当時の彼女の歌を聴いたことがあるんだけど、正直あまり好きにはなれなかった。彼女が去年くらいに出したアルバムも聴いたけど、わたしはもっとクラブよりのものが好きだし、そういう文脈で音楽を模索していた時期だったこともあって、いまいちぱっとしなかったんだ。何よりもそういうクラブの文脈の中にいるってことがわたしのファースト・ステートメントだと思っているし。
ステートメントの話から派生するとね、わたしにとって「物語(narrative)」ってとても重要なことで。ここで言われている「脇役からメインストリームへの立ち上がり」っていう物語は、わたしにとってとても問題のあるものなんだよ。誰かに付随した価値を得たいと思ったことは一度もないし、その誤解を防ぐためにつねにベストをつくしているつもりなの。たとえば、わたしが最初にキングダムとのフューチャリング・トラック(“バンク・ヘッド”)をリリースしたときのことなんだけど、プロモーターがみんなキングダムとケレラをいっしょにブッキングしたがったの。みんな「Kingdom featuring Kelela」を見たがっていた。たぶんあなたたちもそう思っていたと思うけど……。

プロモーターがみんなキングダムとケレラをいっしょにブッキングしたがったの。みんな「Kingdom featuring Kelela」を見たがっていた。たぶんあなたたちもそう思っていたと思うけど……。

たしかに、あなたが出てきたときには正直そのようなコラボレーション・シンガーのような印象をすくなからず抱いていました。

ケレラ:そう見えたと思う。わたしはそれがすごく嫌だった。エズラはもちろん素晴らしい友だちだしいっしょにやってて楽しいから、最初はイエスばかり言っていっしょにギグをしてたんだ。でも最初の4、5回がすぎた頃、わたしのマネージャーにこう言われたの。「この『Kingdom & Kelela』ってのは一体なんなの? バンドでもやってるの?」って。違うわ、そういうつもりじゃないのよってわたしは言ったけど、彼は「君はソロをやろうとしているんじゃないのかい? 僕にはそのようにはまったく見えない。」って。
つまりわたしが言いたいのは、あなたの意図っていうのはそれが物語の中に反映されていなければまったく意味がないってこと。とくにインターネットの世界では、あなたの考えている意図とはまったく関係なく、そこに提示されている物語がすべてなの。だからエズラに伝えなければならなかった。もうこれ以上はできないって。それはとても辛い会話だったわ。なぜなら、わたしは誰かに付随した価値を得たいわけじゃないんだって、はっきりと言わなければならなかったから。それと同時に、誰かがわたしに付随するDJにもなってほしくなかった。最近はアシュランドといっしょにギグをすることが多いけど、ケレラのショーではあなたのお気に入りのDJがミックスを披露することもあって、トラックを繋げたり、エフェクトを懸けたりするような形でケレラのライヴセットをサポートすることもあるっていう見え方であってほしいの。そしてケレラも彼らのミックスに合わせて歌うこともあるっていう、そういうストーリーであるべきなのよ、ケレラの物語は。ボノボ(=bonobo/イギリスのプロデューサー)っていうアーティストがいるでしょう?

アンドレヤ・トリアーナ(Andreya Triana) をプロデュースしていますよね。

ケレラ:そうよ。アンドレヤはとても長いあいだ歌ってきたのよ。ボノボとのフューチャリングをはじめるずーっと前から。
だからわたしが言いたいのは、物語っていうのはわたしにとってとても重要なことで。男性の横で――いや、それが白人だったらもう本当に最悪なんだけど――白人男性の横で歌う薄幸の黒人「R&B」シンガーの女の子が、ハンサムな彼に拾い上げられて世界の目にさらされたことで初めて成功することができたっていうシンデレラ・ストーリーはわたしのなかではまったく受け入れられないんだ。たいていの場合、そんなのぜんぜん事実じゃない。わたしはべつにジェシー・ウェアが嫌いなわけじゃないよ。おそらくわたしたちが会って話をしたらすぐに仲良くなれると思う。きっと共通項もたくさんある。でも彼女の音楽のこととなると、やっぱりその物語が好きになれないし、それは音楽を聴くときにも反映されてしまうことなの。わたしもよく訊かれるんだよ、「キングダムとの曲“バンク・ヘッド”は素晴らしい出来です。ところで彼はどこであなたを発掘したのですか?」……って。すでに質問の中に暗に含まれてしまっているのよ。わたしの才能を発見したのはわたし自身なのよ。そしてケレラのプロジェクトのほとんどにおいてキュレーションをしているのはわたし自身なのにって。そういうときは本当に悔しい。いままで歌だけ歌って呑気に生きてきたビッチが、運良く腕の良いプロデューサーに育ててもらっただけでここまで有名になれたんだ、っていうこの業界のステレオタイプには本当にうんざりしてる。そしてこういう類いのことはいつも女性に起こっているのよ。女性アーティストに対しては、ありえないくらい頻繁に起こっているの。悲しいけれど、自分の物語は自分自身で守っていくしかないのよ。だからわたしの物語というのはもっと複雑だってことをちゃんと見せていくことで、そういったものには挑戦しつづけたいと思っている。

悲しいけれど、自分の物語は自分自身で守っていくしかないのよ。だからわたしの物語というのはもっと複雑だってことをちゃんと見せていくことで、そういったものには挑戦しつづけたいと思っている。

とても素晴らしい話をありがとうございます。日本の状況を生きる我々にとっても心に突き刺さる内容でした。今回のインタヴュー中に、あなたの口から「コンテクストに挑戦する(Breaking the context)」というような表現を何度か耳にしました。それから代官山〈UNIT〉でのパーティ、〈DOMMUNE〉でのリハーサルの際に、どちらのPAスタッフも女性だったことに、あなたはおおきな喜びを表現していましたね。

ケレラ:超最高(So Sick)だったわ。

やはり、あなたの言うコンテクストというのは男性至上主義なるものなのですか?

ケレラ:そうね。たしかにわたしたちはとても男性優位な社会に住んでいるわよね。でもそれに挑戦することだけがわたしのゴールや目的ではまったくないわ。わたしはべつに男性より強くなりたいわけではないし、いまの男性のポジションが女性のものになるべきだとも思っていない。いちばん重要だと思っているのは、やっぱりわたしたちがちゃんと当たり前にいい仕事をすることなの。そしてそれらのいい仕事の副産物として、そういった社会的コンテクストにも挑戦することができたら素晴らしいと思うの。べつにその人が女性だからってPAスタッフに雇うだなんてことをわたしはしたいわけじゃないよ? わかるでしょう。たとえばクラブのフロアに入ってサウンドチェックで音がパーフェクトで、微妙なマイクの調整も何のドラマや問題もなくスムーズに起きて、すごく満足しているときに、サウンドの担当を見たら女性だったっていう事実は、やっぱり多くを語っているのよ。それはとても意味あることだと思う。

わたしたちの住むこの社会のコンテクストにおいては?

ケレラ:そうよ。そして、それは女性たちの間だけの問題ではないのよ。マッチョさがより少ないっていうのは、何かを成し遂げるときにはとくに必要なように感じる。仕事を無事に終えることを心配されるっていうのは女性たちに共通して起きていることで。自分なりに正しくあるってことよりも、そっちに気を遣ってしまっている女性はやっぱり多いと思う。アズマやファティマ(・アル・カディリ/Fatima Al Qadiri)のようなわたしとおなじシーンに属している女性たちを代表してどうこう言うつもりはないけれど、わたしたちに共通して言えるのは、わたしたちはべつに男性になろうとしているわけではないということ(筆者註:ファティマは「ゲイのムスリム・クウェート人」と中傷されたことへの怒りのツイートを残している)。アグレッシヴでハードなダンス・ミュージックに、フェミニンなタッチが正しい形で融合されることって、いままでに起きた最高のことのひとつだと思ってる(笑)。この前のテキサス州オースティンでの〈SXSW〉でのアフターパーティーのときに、レーベルのみんながバック・2・バックでDJプレイしたのだけれど、アズマがプレイする番になったときのことは言葉で表現できないくらい素晴らしかったわ。彼女の醸し出す上品さがCDJの上にまるで女神のように降臨したのよ(笑)。そして、それはとても価値あることなの。わたしたちの住むこの社会のコンテクストにおいてはね。

貴重なお話をありがとうございます。それでは、最後の質問です。今回の来日公演での1曲めで「Is there nothing sacred anymore」という歌詞を、くりかえしオーディエンスに尋ねるパフォーマンスをしていましたね。その言葉を選んだ理由はなんでしょうか?

ケレラ:1曲めのあの歌はアメル・ラリューの曲のカヴァーなの。わたしにとってとても重要な意味をもつ歌で、“セイクリッド”っていう曲よ。ユーチューブで聴けるわ。その歌詞と曲を選んだ理由は、くり返すようだけれど、みんなのスペースに割って入りたかったから。心地を悪くさせたかったからよ。あそこがクラブじゃなく、聴衆が椅子にすわって待っているような、とても静かな場所だったとしたら、おそらくあの歌は歌っていない。照明を落としてあの曲でパフォーマンスをはじめて、その場のトーンを決めたかったんだ。それに、ケレラにとってとても意味のある歌だから、だよ。

 「本当にありがとう。また会おうね!」 最後にハグをしながらケレラはそう言った。まだ8月前半だったというのに、ケレラと挨拶をしてわかれたとき、僕は夏が終わったのをはっきりと感じた。

結局あの夏から、アシュランドは追加の質問の返答をくれていないままだ。けっこう大切な質問だったんだけどなぁといまでも悔やんでいるのだけれど、なんと今年5月に〈Prom Nite 4〉でJ・クッシュ(J-CUSH)とともに来日するらしい

 今年も春をむかえようとしているさなか、ケレラから手紙が届いた。

BANK HEAD  (Translated into Japanese)

Like kicking an old bad habit
(悪い習慣を断つときのように)
It's hard, but I'm not static
(苦しいのに、落ち着いていられないんだ)
We lock eyes from far away
(遠くから目が合っても)
And then you slowly turn your face
(あなたはゆっくりと顔を背けるのだもの)
Like middle school we're a secret
(ミドルスクールのような秘密の関係ね)
There's more to it but we keep it
(本当はそれ以上だけど抑えてるんだ)
It's not a game I know
(遊びじゃないのはわかってる)
We're moving at our pace
(ただわたしたちのペースで進んでいるだけなんだ)

Remembering that one time
(あの時のことを思い出す)
Had to stop it's making me hot
(本気になってしまいそうで 止めなければならなかった)
Come on out, there's no need to hide
(姿をみせてよ、隠れる必要なんてないのに)
Could you be my new love?
(わたしの恋人になってくれますか?)
Could it be that we need some time?
(それとももっと時間が必要なのですか?)
I'm still browsing, there's no need to buy
(わたしはまだ窺っている、お金で買えるものでもないのに)

It's all I dreamed of, it can't get started
(すべてわたしが夢みていたこと、起こりえないことなんだ)
Time goes by really slow and I need to let it--
(ただ時が過ぎるのが遅すぎて、わたしは――)
And all I dreamed of, it can't get started
(それはわたしが夢みていたこと 起こりえないことなんだ)
Time goes really slow and I need to let it--
(ただ時が過ぎるのが遅すぎて、わたしは――)

Out
(吐き出さずにいられない)

I'm keeping you close you know it
(あなたの近くにいるのは知ってるでしょう)
And I'm taking my time to show it
(時間をかけてそれを伝えていることも)
You're touching me like you've had it all along
(初めから全部わかっていたかのように触れられると)
Feels like you're right
(あなたが正しいような気もするんだ)
And once you're around I notice
(でもいっしょにいると気がつく)
That I need to draw you closer
(もっと近くにたぐり寄せなくちゃならないことに)
A breath away, I wonder how you keep it all inside
(ため息がこぼれるたび、あなたがどうして内に秘めていられるのか気になるんだ)

Remembering that one time
(あの時のことを思い出す)
Had to stop it's making me hot
(本気になってしまいそうで とめなければならなかった)
Come on out, there's no need to hide
(姿をみせてよ、隠す必要なんてないのに)
Could you be my new love?
(わたしの恋人になってくれますか?)
Could it be that we need some time?
(それとももっと時間が必要なのですか?)
I'm still browsing, there's no need to buy
(わたしはまだ窺っている、お金で買えるものでもないのに)

It's all I dreamed of, it can't get started
(すべてわたしが夢みていたこと、起こりえないこと)
Time goes by really slow and I need to let it--
(ただ時が過ぎるのが遅すぎて、わたしは――)
And all I dream of, it can't get started
(それはわたしが夢みていたこと 起こりえないこと)
Time goes really slow
(ただ時が過ぎるのが遅すぎて、わたしは――)

And I need to let it out…
(吐き出さずにはいられない……)

Sad we couldn't go any deeper...
(これ以上深い関係になれなくて残念だよ……)
Something tells me you're a keeper...
(あなたしかいないような気がしているのに……)
Time. goes. by.
(時は過ぎてゆく)

[Something I can't define; Is it love? Loooooove...]
(言葉にできない何か;これが愛なの? 愛……)


Road 2 Battle Train Tokyo - ele-king

 恵比寿のリキッドルームで、日本初のフットワーク・バトル・トーナメントが開催されます。3月29日(土曜日)に、激しいダンス・バトルが見れます。興味のある方、ぜひ、足を運んで……いや、足を高速に動かす人たちを見物しましょう!

 昨年10月にリキッドルーム2階奥のKATA + Time Out Cafe & Dinerにて開幕した日本初のフットワーク・バトル・トーナメント=Battle Train Tokyo(略してBTT)。今年6月28日(土曜日)に開催されるBTTに向け、その前哨戦となる"Road 2 Battle Train Tokyo(略してR2BTT)が3月29日(土曜日)に決定! まずはR2BTTを勝ち抜きBTTのシード権をその手につかもう! 競いしフットワーカー/ダンサーの勇姿をみなで刮目しましょう!

 シカゴ・ハウスを源泉にまさにそのシカゴのローカル・シーンにて独自の進化を続け高速化した音楽スタイル「ジューク」が、足技に重きを置いたダンススタイルと密接に関連し、低音と三連譜などトリッキーなリズムが強調され「フットワーク」という音楽/ダンス・カルチャーとして広がり進化/発展。この国でもさまざまなイヴェント/パーティー/ワークショップなどが開催されるなか、BTTはBPM160のジューク/フットワーク・トラックの上でさまざまなダンサーたちがスタイルやルーツ、世代を超えて競い合えるオープンなバトル・トーナメントの場として、この国のジューク/フットワーク・シーンを支えるDJやトラックメーカー、ダンサーたちと一緒にさらなるこのシーンの燃焼と循環を目指します。毎月第三水曜日にはフットワークDOJO=Battle Train Tokyo Express(略してBTTE)も同会場にて開催中。

※3月19日(水曜日)19:00(ジューク日、ジューク時)より、同会場にて第三水曜日に定期開催されているフットワークDOJO=Battle Train Tokyo Express(略してBTTE)が開催! 概要は下記リンク先をご参照ください。
https://www.kata-gallery.net/events/BattleTrainTokyoExpress_3/

《概要》
Road 2 Battle Train Tokyo

@KATA
Judge:HARUKO(RudeGirl3),
KENT ALEXANDER(PPP/PAISLEY PARKS), Takuya(HaVoC) and You
Host:ヒューヒューBOY(GROSS DRESSER/MAGNETIC LUV)
Exhibition:HARUKO(RudeGirl3) x Takuya(HaVoC)
Guest DJ:SEX山口
Chicago Legacy Set:D.J.April(Booty Tune)
Sound by:Booty Tune, DjKaoru Nakano, DJ SEKIS & DJ DIKE, SHINKARON

@Time Out Cafe & Diner
BTT Lounge presents
JINTANA&EMERALDS "DESTINY" pre-release party supported by PPP
special oldies B2B and live session:JINTANA&STRINGSBURN
DJ:LUVRAW, iga-c, Kent Alexander

《バトルへのエントリー/ルールについて》
・バトルは個人戦のみです。2ターン(1バトル5分ほど)になります。
・ダンス・スタイルは自由ですが、バトル中に流れる楽曲はジューク/フットワーク・トラック(BPM160)のみとなります。
・バトル時の選曲は主催者側でご用意させていただきます。
・オーディエンスの声援と審査員によるジャッジ・システムを採用致します。
・バトル・トーナメントへのエントリー・フィーは2,000円となります。
・優勝者には6月28日(土曜日)に開催されるBattle Train Tokyoのシード権、優勝賞金10,000円を進呈させていただきます。
・前回のBTT優勝者、準優勝者のエントリーは今回はありません。
・バトル・トーナメントへのエントリーは件名を「3.29 R2BTT」として<entry@liquidroom.net>までメールにてお願い致します。ネーム表記と連絡先(氏名/電話番号)も合わせてお送りください。なお、お送りいただきました個人情報は今回の「R2BTT」に関わる目的にのみ使用し、他の目的には使用致しません。

2014.3.29 saturday evening
KATA + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
open/start 17:00/18:00-22:00
battle tournament entry fee 2,000yen / admission fee 1,500yen

info
Battle Train Tokyo twitter | Facebook
KATA https://www.kata-gallery.net
Time Out Cafe & Diner 03-5774-0440 https://www.timeoutcafe.jp/
LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

《出演者紹介》
▼HARUKO(RudeGirl3)
コンテスト受賞歴:BIGBANGダンスコンテスト特別賞/femal trouble 3位/tokyo dance delight特別賞/BTT準優勝
13歳の頃ブラックミュージックと出会い、ヒップホップダンスを踊り始める。その後レゲエミュージックと出会い、ヒップホップ、レゲエを共に、独自に踊り始める。2003年ニューヨークで本場のストリートダンスのレッスンをうける。その後クラブでのショータイムに出演しつつ、インストラクターとして活動、2009年にはジャマイカに渡り現地のdancehallqueenコンテストにも出場。セカンドラウンドまで勝ち残る。そしてヒップホップ、レゲエなどをミックスした独自のダンススタイルを確立する。そして、2013年BTTにて準優勝。footworkの活動を開始する。現在は都内のクラブでのショーやバトルで活躍中。

▼Takuya(HaVoC)
東京都在住。本場シカゴでも有数のフットワーク・クルーHaVoCに唯一の外国人として名を連ねるフットワーカー。高校時代よりダンスを始め、ブレイキン、ソウルダンス、ハウスなど様々なジャンルをどん欲に学ぶ。2011年、ダンスバトルの世界大会Juste Deboutで活躍するFootworKINGzに衝撃を受け、フットワーカーとしてのキャリアをスタート。ほどなくして開設したYouTubeチャンネルにアップした動画をきっかけにH.a.V.o.Cにスカウトされる。その多彩なステップはフットワーク専門サイトFORTUNE&BANGに取り上げられるなど、本場シカゴでも高く評価されている。2012年10月に開催されたTRAXMANの来日公演にダンサーとして帯同。そのフットワークで各地に熱狂をもたらした。2013年はPaisley Parks、MOP of HEADのミュージックビデオに出演するなど、活躍の場を広げている。
https://twitter.com/TAKUYAxHaVoC

▼KENT ALEXANDER(PPP/PAISLEY PARKS)
ヨコハマ【PAN PACIFIC PLAYA / Бh○§†】所属。BAYなJUKE/FOOTWORKチーム【PAISLEY PARKS】構成員。まるでRAVECOREなDJチームTERROR Pとしても爆笑中。ゲットーレイブ育ちのDJ。インターナショナルスクール時代からアングラパーティー活動のしすぎでアメリカへ落ちる。2012年末、横浜帰還。シカゴのラジオ局のDJMIX SHOWに出演して、PAISLEY PARKSオンリーミックスを披露したり、日本で初めてのFOOTWORK大会【BATTLE TRAIN TOKYO@KATA】を主催するなど、JUKE/FOOTWORK周辺に集まる最もクレイジーな連中の1人。これまでにSWEET SOULのMIX ”Sweet Temptation”と、PAISLEY PARKS音源をアシッドEDITした”THE MIX”を発表。和訳、英訳のお仕事承ります。陽気な大きい弟系の通訳/アテンドもお気軽に◎
https://twitter.com/kent045
https://www.panpacificplaya.jp/blog/
https://ghost045.bandcamp.com/

▼ヒューヒューBOY(GROSS DRESSER/MAGNETIC LUV)
ヨコスカン&ミウラーノ光る海岸系DJユニット『GROSS DRESSER』で活動中。チルってなんぼなメロウトリッピンMIXCDをALTZMUSICAより発表。ハッピーな目つき「MAGNETC LUV」所属。LUVRAW&BTBのライブで、にぎやかしい司会を担当。好評と酷評の間で居眠り一千万。江ノ島OPPA-LAの便所や各種野外パーティーでUP&DOWN、毎年好評の秘密ビーチパーティーも欠かさず解放中。彼の作るホットサンドを食べた内、3人くらいが人生を成功させたようだ。司会、ホットサンド、DJのご用命はお気軽に☆

▼SEX山口
1976年生まれの牡羊座。神奈川県出身の脱力系アイドル。マイケル・ジャクソンと井手らっきょを同じ目線で愛し、FUNKとお笑いを同じ目線で体現したパフォーマンスを得意とする。ダンサー・エロ本編集者・DTPデザイナーを経て、最近はやたらしゃべるディスクジョッキーとして各所でメイクサムノイズ中。インターネットラジオ、block.fmにて生放送でお届けする「SEX山口のGWIG GWIG RADIO」(毎月第2月曜日20時~)ではメインMCとしてZEN-LA-ROCKと共にグイグイっとおしゃべり中。自身のアパレルブランド「S.E.X.Y. by NAOKI YAMAGUCHI」のアイテムや各種おMIX CDも随時デリバリーしてまっす♪
https://secscreativeworks.tumblr.com/
https://twitter.com/sexyamaguchi
https://sexybyny.theshop.jp/
https://block.fm/program/gwig_gwig_radio.html

▼D.J.April(Booty Tune)
Hardfloorでシカゴハウスに目覚め、そんなサウンドをらりくらりと追いかけつつ、Jukeレーベル「Booty Tune」のPR&ARをしております。
https://twitter.com/deejayapril
https://bootytune.com/

▼Booty Tune DJs[D.J. Kuroki Kouichi, Yuki aka 3D, D.J.April]
https://bootytune.com/
https://bootytune.bandcamp.com/
▽D.J.Kuroki Kouichi
1999年 DJ開始。同時期に1人焼肉デビュー。
2001年 DJデビュー。地元の焼肉屋を卒業。都内各地の焼肉屋にて武者修行開始。
2004年 100%ゲットーパーティー「CHICAGO BEEF」を、焼肉屋の上にあるクラブで主催。DJと肉が融合。
2007年 肉好き集団を率い肉を食べまくる肉パーティー「肉GROOVE」を主催。
2008年 下北沢「肉人」に出会う。ホルモン革命が起きる。
2009年 赤身からホルモンまで、あらゆる肉の部位を完璧に焼けるようになり、「肉マスター」就任。
2010年 焼肉対決で「焼肉大王」に勝ち、2タイトル制覇。日本一の焼肉屋「スタミナ苑」の常連入り。
2011年 Juke/Ghettotech専門レーベル「Booty Tune」に加入。
2012年 Booty TuneのCOO(スィーオウオウ)就任。狩猟免許取得。
2013年 シカゴハウスの伝説的レーベル「Dance Mania」の全カタログをコンプリート。
あまり意味が無くてカッコいいダンスミュージックをプレイするよう心がけています。
▽Yuki aka 3D
Booty Tune所属22歳のJuke/Footwork DJ。通称てっどまん。
▽D.J.April
Hardfloorでシカゴハウスに目覚め、そんなサウンドをらりくらりと追いかけつつ、Jukeレーベル「Booty Tune」のPR&ARをしております。

▼DjKaoru Nakano
大阪府出身。14才頃からblack music, rockのレコードを集めだし、18才頃DJを始める。garage, houseなどを経て2009年頃からminimal dub, technoなどでDJ活動をリスタート。2010年頃からjukeに傾倒。2013年11月にNODEレーベルよりmix CD「footwork & smooth」をリリース。Track makerとして日本初のjukeコンピレーション"Japanese Juke & Footwork Compilation"に参加。
https://soundcloud.com/kaorunakano

▼DJ SEKIS & DJ DIKE
JUKE/FOOTWORKのPRODUCER。ホームグラウンドである吉祥寺・西荻窪にて主に活動中。
▽DJ SEKIS
https://twitter.com/djsekis
https://soundcloud.com/dj-sekis
▽DJ DIKE
https://twitter.com/DJ_DIKE
https://soundcloud.com/dj-dike

▼SHINKARON
FRUITY、BoogieMann、Weezy、吉村元年、芝田創、VaEncから成るクルー。 2009年3月よりノンジャンルパーティとしてスタートし、現在はjuke/footworkのレーベルとしても活動中。所属メンバーの他DJ Roc、Paisley Parksなど、国内外問わず様々なアーティストのリリースを手掛ける。
https://shinkaron.info/


 日本のフットボールクラブのサポーターが「Japanese Only」と書かれた横断幕をスタジアムに掲げて問題になったという。
 日韓共同開催W杯のときに日本に行った英国人にその話をすると、「あのときも日本の飲食店には『Japanese Only』と書いた紙を貼っている店があった」という。あの「Japanese Only」も、当時UKではちょっとした話題になった。日本人の排外主義は甚だしいと憤った人もいた。が、実際には日本の飲食店には英語を喋れる店員が少なく、海外発行のクレジットカードやデビッドカードが使えないから、会計時に揉め事になるとややこしいと思った飲食店主たちが「Japanese Only」の札を掲げていた。という日本側の理由が説明されると、なんとなく辺境の国ふしぎ話になって終わった。
 が、今回の「Japanese Only」はちょっと違う。そもそも、Jリーグなんてのは、発足当時を知るばばあから言わせてもらえば「Japanese Only」だったら成立しなかったのだ。ジーコやリトバルスキー、「日本で何もせずに大金を稼いできた」と今でも本国でジョークのネタにされているリネカーなど、著名な外国人選手が来たからこそ客が入るビジネスとして成立するようになったのだ。それがいつの間にか「Japanese Only」の横断幕がかかるようになったとは、なかなか感慨深いものがある。
 「ブライトンの柔道教室に『English Only』って書いた札を下げてるようなもんだよな」
 フットボールの母国イングランドのある男性はそう言って笑った。
 とは言え、ある国に余所者が入ってくると排外的リアクションが出るのは当然だ。が、昨今のUKでは、排外ではなく、排内主義の問題が深刻化している。

               **********

 隣家の息子が失業保険を打ち切られてやむなく社会復帰を果たし、たいへん非人道的な会社に入った。というのは以前も書いた話だ
 「おめえの会社、ヒューマンライツはどうなってんの?」
 隣家の息子が仕事の話をするたびにうちの連合いはそう言うが、「仕事があるだけでもありがたいと思え」な時代に、溺れる若者が掴むのは人権の藁ではない。
 「だって、ヒューマンライツじゃ食えないもん」
 暗い目をしてため息をつく隣家の息子は、最近、気になることを言い出した。
 「俺、UKIP支持に回るかも」
 UKIP(英国独立党)とは、ゴリゴリの右翼政党である。が、この政党が不気味に支持を伸ばしているため、保守党政権が著しく右に傾いているとも言われている。「アンチ移民」ポリシーを掲げるUKIPに隣家の息子が共感しているというのは、十代の頃から彼を知っている移民の隣人としては聞き捨てならない。
 彼が最近、ポーランド人の同僚たちに不満を感じているのは知っていた。彼やうちの連合いが働いているダンプの運ちゃん業界でも、近年は外国人労働者の台頭が著しい。公営住宅地で育った隣家の息子がUKIPに走るのはよくあるルートだ。が、しかし彼の場合は、わたしと酒を飲みながら折り紙を折ったり、柿ピーとおにぎりせんべいのうまさについて熱く語り合ったりして、異人や異文化にはオープンだった筈である。
 「外国人の同僚が増えると、中にはムカつく奴もいるだろうから、PCなことばかりは言ってられないだろうけど」
 わたしが言うと、隣家の息子は言った。
 「っていうか、雇用主が英国人を切って外国人を雇うのがムカつく」
 話を聞いてみれば、平素から上司に対して「これは雇用法違反ではないか」みたいなことを言うタイプの英国人青年が、業務上の些細なミステイクを理由に解雇され、代わりにポーランド人労働者たち(みんな身内らしい)が連れて来た運転手が雇用されたという。
 「あいつら、ファミリー&フレンズのグループでがーっと来て、違法だろうが滅茶苦茶な時給だろうが黙って働くんだよ。そら雇用主にとっては一番便利だよね。で、あいつらはみんなで一時的に家を借りて雑魚寝してて、金を貯めたら国に帰るからいいだろうけど、彼らと同じ時給じゃ、英国人が英国で生活していけない」
 過重労働でめっきり痩せて老け込んだ隣家の息子はいう。
 たしかに、映画『This Is England』の時代の移民と、現代の出稼ぎ移民とは、異なる性質のものだ。EUのおかげで自由に行き来できるようになった移民には、昔のように「この国で生きる」みたいな決意はない。どれだけ時給が安かろうと、それが自国でそれなりの収入になれば、がんがん働いて国に帰るだけだ。「英国で生きる」どころか、現代の移民の多くは「こんなに物価が高くて治安の悪い国に根を下ろすのはまっぴらご免だ」とさえ考えており、その構図はさながら田舎ののんびりした場所に家を持ちながら、都会に通勤する人びとにも似ている。

 サッチャーが製造業を破壊する前、全国各地の工場は労働者階級の人びとの職場だった。で、90年代にそれに代わる新ワーキング・クラスの職場と言われたのはコールセンターだった。しかしコールセンターも今ではインドなどの人件費の安い国(先日、PCが壊れてメーカーに電話したら、マジでエジプトに繋がれた)に拠点を移している。それに加え、国内に残された仕事までも外国人たちに占領されたら、英国のワーキング・クラス民には働く場所がなくなる。
 「英国人の若者は下層の仕事はしたがらない」というのは一昔前の話で、失業保険や生活保護打ち切りの時代には、彼らは社会復帰しようとしている。しなきゃ食えないからだ。そんな切羽詰った貧民たちと外国人労働者が競争して下層職を取り合えば、時給はどんどん下がる+待遇は悪くなるの一方で、これが「インディヴィジュアルの競争に任せる」キャピタリズムの有り様ならば、この競争に勝てる者は「黙って雇用主に蹂躙されることができる者」ということになる。市場競争の掟とは「コストを下げ、利潤を上げる」ことだが、人件費というコストは有機物だ。そこには労働を提供する人間の命や生活がかかってくる。
 英国の人件費を押し下げている外国人と、賃金が下がって貧困している英国人労働者。
 UKIPが支持を伸ばすのも道理だが、問題の本質は、下層で低賃金の仕事を取り合っている外国人と英国人の衝突ではなく、非人道的なまでに人件費コストを抑えて競争に勝とうとしている上層のキャピタリスト魂だろう。

               **********

 Obscenely Richという表現が英語にはある。
 Obscenelyをマニュアルどおりに「不愉快なほど」と訳せばどうということはない表現だが、Obsceneは本来、「猥褻」を意味する。「淫らなほど金持ち」とは日本語では言わないので、何処から来た表現なんだろうと考えていた。
 「ソーシャリズムの発端はキリスト教の誕生まで遡る」と言った学者の話は以前も書いたが、実際、新約聖書の時代と現代社会は似ている。貧困者や病人、障碍者が切り捨てられ、「神の怒りに触れた者たち」と見殺しにされた社会と、敗者が切り捨てられ、「自主責任」というキャピタリズム信仰のもとに見殺しにされている現代。世の中は、2000年の時を隔ても相変わらず野蛮だ。
 「それじゃいかん」と反旗を翻したダイハードなソーシャリストがキリスト(実際、聖書を読むと彼はしょっちゅうキレている)であり、彼の種々の言葉が西洋思想のベースにあるとすれば、「淫らなほど金持ち」という表現の出所はそこら辺なのかとも思う。
 英国では、社会がキャピタリズムに傾き過ぎると、必ず反対側に戻そうとする動きが出て来るそうだが、それも「Obscenely Rich」という表現を現代まで絶やすことなく使い続けてきた文化を持つ国だからなのかもしれない。

 ハッピー・マンデーズのべズが来年の総選挙への出馬を表明した。
 労働党候補として出馬する彼は、富の再配分を公約に掲げている。彼が出馬するサルフォードは、英国でもっとも家庭の貧困率の高いマンチェスターでもとくに貧しいこどもが多い地域だ。
 最近、やたらとこういう話を耳にするようになってきた。
 何かの兆しのようなものが、ほのかに表出をはじめたのかもしれない。

                *******

 さて、日本は?

SIMI LAB - ele-king

 シミ・ラボの3年ぶりのセカンド・アルバム、『Page2 : MIND OVERMATTER』は素晴らしい作品だ。ラップ、リリック、トラックのどれもクオリティが高い。たとえば、2003年のMSC『マタドール』、2007年のNORIKIYO『OUTLET BLUES』、2011年のERA『3 WORDS MY WORLD』のように、先鋭的なトラックとリアルな言葉、ラップのエネルギーが調和した、この先も記憶されるべきマスターピースだ。

 トラックのベースは、OMSBによって作られている。よって、本作は彼のソロ・アルバム『Mr. "All Bad" Jordan』の発展型だとも言える。『ele-king vol.13』でのOMSBのインタヴューを読んでなるほどと思ったのは、影響を受けたトラックメイカーについて「RZAとプリモ(DJプレミア)ってでかくて。あとはJ・ディラ、カニエも大きい」と発言していたことだった。なんという、幅の広さ……。そしてヒップホップへのこだわり。ベスト・ソングとして挙げたい“Come To The Throne”──この曲は微妙にブレたビートの上に激しいサックスのブロウのサンプリングを複雑にかぶせたナンバーで、絶え間ない編集作業のなかから生まれた──をはじめ、OMSBのヒップホップへの情熱が具現化されている。

 新作には、OMSB、DyyPRIDE、QN、MARIAを中心にしたファースト・アルバムと比べて、参加ラッパーの人数が圧倒的に多い。それぞれの楽曲にテーマを据えて、各メンバーが大喜利的にストーリーテリングするさまはそれだけでも刺激なのだが、ブロークンなトラックの上で披露される“Karma”はとくに強烈だった。1ヴァースめを担当するOMSBは、ビートを無視しつつもさり気なく韻を踏んでいく。それに対して、2ヴァースめのUSOWAはがっつりビートに合わせて韻を踏んでいく。こうした構成上の工夫が作品の随所にある。スリリングで、聴いていて楽しい。

 とにかく、のびのびとやっているのだが、前述の通り、1曲でひとつのテーマを複数視点で展開しているので、ヴァースごとにメンバーの個性が如実に表れている。「Worth Life」では、冒頭でUSOWAが「今日の繰り返しがほら 来たるべき明日さ 回すKey Chain」と冷めた人生観を披露すると、JUMAは「難しい事は言えないけど太陽に手かざして血潮が見えれば life goes on !」とおおらかに歌う。さらにトリのDyyPRIDEは「不甲斐無え過去のてめえとおさらば」と現在の自分を讃え、明日への活力をみなぎらせる。ライムも言葉も十人十色で、若者たちの人生の縮図がそれぞれの曲に描かれているようだ。

 最近の日本のヒップホップ・シーンにはスターがいないと言われるが、そんなことはない。SIMI LABはもちろん、5lack、PUNPEE、サイプレス上野とロベルト吉野、AKLO、SALU、田我流、SEEDA、NORIKIYO、KOHH、MSC、ERA、Fla$hBackS……、彼らはストリートのスターである。『Page2: MIND OVER MATTER』を聴いていて、AKLOの「ダサいものと戦うのが俺のREBELだ」という発言をあらためて思い出した。ヒップホップへの情熱によって生まれたこのアルバムは、今日の日本のストリート・カルチャーの豊かさを証明するものであり、ヒップホップのリスナー以外にも聴いてほしい傑作である。

interview with Cloud Nothings (Dylan Baldi) - ele-king


Cloud Nothings - Here And Nowhere Else
Carpark / ホステス

Review Tower HMV iTunes

 インディ・ロックが2014年にもっとも期待する盤のひとつがリリースされた。年若き才能ディラン・バルディが率いるクリーヴランドの4人組、クラウド・ナッシングス3枚めのフル・アルバムだ。バルディの書く曲はデビュー当初から大きく注目を浴びていたが、結成から約5年の間、彼らはてらうことなく活動を充実させてきた。

 本インタヴューへのディラン・バルディからの返答は、どれもとても率直なものだった。アーティストとしてのエゴがきちんとありながら、しかし自らの像に下駄を履かせない。それは彼の表現に直接的に結びついていていることでもある。シンプルでまっすぐなパンク・ロック。そのまっすぐさがともすれば危うく感じられるほどロウに切り出されたのがスティーヴ・アルビニ録音の前作『アタック・オン・メモリー』(2012年)だとすれば、それをまさにエモとして咀嚼し、控えめながらポップ・ミュージックとしての洗練を加えているのがジョン・コングルトンとの今作『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』ではないかと思う。バルディという中心はいつでもただ率直に音楽に向かい、そして抜きんでて印象に残るメロディを生みつづけている。

 音楽に祝福されているとしか言いようのない、その若い生の喜びと憂愁にみちたパフォーミングについては、気づけばもう3度もレヴューを書いているので割愛するとして、棒立ちに近かった彼らの音のたたずまいが、枚数を重ねながら、そのまま人生における時の積み重なりにつられるように自然にカーブしていくさまに感動を覚えたことを記しておきたいと思う。今作において「完璧に仕上げることを自分に要求するようになった」というバルディは、勢いや生々しさ、青春の追い風によってはアルバム一枚しか作れないということを感覚で知っているのかもしれない。そして、それが職人になることではなく、心の中の衝動に目をつむるということでもなく、「自分がどういう人間なのか、自分はこの世界でどこに位置するのかっていうことについて語ってるんだ。成長するにおいてそれが大事だって俺は思うんだよね」──成長するということに自覚的であることを通して思考されていることに、彼のまっすぐさの深みがのぞいているように思う。10代のように思いあがっているのではない、10代のように真剣なバルディのこの先の時間には、パンクやロックにとっても重要な契機がふくまれているはずだ。

いまは卓越した楽曲を書き上げることに満足してる。だけど何年か経ったら、それに疲れてなんか狂ったことをするんだろうね。

今回、ジョン・コングルトン(John Congleton)をプロデューサーに迎えたことにはどのような意図があったのでしょう?

DB:ジョンは、去年俺たちのマネージャーをしていた人に薦められたんだ。ジョンについてはあまり詳しくなかったんだけど、いろいろ調べてから彼がふさわしいんじゃないかって思ってね。俺のテイストの音楽じゃないものでも、彼が手掛けたものはすべて素晴らしかったんだ。だからきっといいものができるって確信を持てたんだ。

新しく彼から学んだことはありますか?

DB:完璧に仕上げることを自分に要求するようになった。そうすればいいアルバムができるってことがわかったんだ。普段は「完璧」なサウンドになるようにっていうようなこだわりは持たないんだけど、ジョンと仕事をしてから、すべてのパートにベストを尽くせばもっと強い主張性を持ったアルバムを届けられるってことがわかったんだ。

“パターン・ウォークス”には大胆にギターのインプロヴィゼーション・パートがフィーチャーされていますね。こうしたさまざまな模索があなたの音楽の次の段階をひらいていくように思われますが、ご自身としてはどうですか?

DB:インプロを入れるのは大好きなんだ。俺たち曲にいつも入れている。ツアーで毎晩毎晩同じ曲をやるとき、狂わないで済む理由はまさにインプロだね。そこで新しいことを試すのがすごく楽しいんだ。

前作はアルビニ録音ということもあって生っぽさが意識されてもいたと思いますが、今作はさらにノイジーになっていますね。前作リリース後から今作制作にいたるあいだ、ご自身の音楽についてどのようなことを考えていましたか?

DB:『アタック・オン・メモリー』では転機を迎えて、それがあったこそ『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』にたどりつけた。音楽が前作では暗くなりすぎて、いまの自分とはちょっとすれ違うものがあったんだ。だから『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』ではまた俺のちがう面、新しい感情を入れ込みたかったんだ。

“ヒア・アンド・ノーウェア・エルス”とはどのような場所のことを言うのでしょうか?

DB:「いま」だね。いま、この瞬間を示している。場所じゃないんだ。自分の前にあるもの、後ろに置いてきたものじゃなくて、ただ「いま」を生きることが大事だっていうことを伝えたかったんだ。

今作は「ポジティヴな」作品であるとも語っておられますね。それはハッピーで明るい曲が増えたということではなくて、むしろ勢いやアグレッシヴさが増したということであるように感じます。あなたにとってのポジティヴな状態についてもう少し教えていただけませんか?

DB:歌詞はこのアルバムの方がポジティヴだね。音楽はアグレッシヴだし、生身のエネルギーを感じられるものだと思うんだけど、歌詞は自分がどういう人間なのか、自分はこの世界でどこに位置するのかっていうことについて語ってるんだ。成長するにおいてそれが大事だって俺は思うんだよね。

大人になったら何になろうと思っていました?

DB:何かをつくり上げる人。将来自分が何をしているかって考えたときに、何かしらアートを作り出している自分しか想像がつかなかった。

音楽制作において、「新しい音楽をつくりたい」「見たことのないものをつくりたい」という思いは強いですか?

DB:いまはそうでもないかな。いまは卓越した楽曲を書き上げることに満足してる。だけど何年か経ったら、それに疲れてなんか狂ったことをするんだろうね。

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歌詞は本当にギリギリになって書くんだ。じゃないと考えすぎて、自分が言おうとしていることはアホなんじゃないかっていう思いに陥いりそうでさ。


Cloud Nothings - Here And Nowhere Else
Carpark / ホステス

Review Tower HMV iTunes

あなたはシンプルながら本当に忘れがたいメロディを持った曲を作られますね。パワーポップやガレージ・パンク、あるいはサッドコアなどの名作と比較されることも多いかと思うのですが、意識したりリスペクトするバンドやアーティストはいますか?

DB:リスペクトしてるアーティストはたくさんいるよ。いまのお気に入りはザ・ワイパーズ(The Wipers)、スウェル・マップス(Swell Maps)、ザウンズ(Zounds)、プロトマーター(Protomartyr)、タイベック(Tyvek)……リストはキリがないよ!

歌詞は熟考しますか?

DB:いや、歌詞は本当にギリギリになって書くんだ。じゃないと考えすぎて、自分が言おうとしていることはアホなんじゃないかっていう思いに陥いりそうでさ。

本当に、ある意味ではすべてシングル曲と呼べるくらい1曲1曲が独立し完結した魅力を備えていると思うのですが、「アルバム」というフォーマットについてはどのように考えていますか? また、次のアルバムの構想はありますか?

DB:楽曲を順に並べるのは楽しい作業なんだ。実際、筋の通った順っていうのは一つしかないんだよ。『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』の曲順はあれ以外に考えられないね。次のアルバムの予定はまだないよ。先に曲を仕上げないとな。

フィジカル・リリースへの思い入れはありますか?

DB:レコードを集めるのは大好きなんだ。だけど実際なくなって空虚感が残るかって言われたらわからないな。

昨年(2013年)よく聴いた音楽を教えてください。

DB:プロトマイティア(Protomartyr )の『ノー・パッション・オール・テクニーク』。デトロイト発のバンドで、飛びぬけてるアルバムなんだ。俺がいままで聴いてきたなかで完璧だと思った楽曲がこのアルバムにはたくさん収録されているんだ。

小説やコミック、映画、ゲームなど物語系のコンテンツで好きなものを教えてください。

DB:手塚治虫の『ブッダ』をちょっと前に読んだんだ。とてもよかったよ。一つ一つの絵が映画みたいなところが好きなんだ。言葉がなくても、何を物語っているかがちゃんと伝わってくるんだよ。

THE KLO (TIGER HOLE) - ele-king

カクカクシカジカで少しの間足を休めてましたが、また踊りはじめました THE KLOと申します。
以後お見知り置きを。
今年2/15におよそ2年ぶりにやったTigerHole@bonobo。
久しぶりだしKURUSUとTARO AKIYAMAと自分の寅年レジデント3人でやろうと動きだしてからCola&JimmuのLIVE追加決定!
喜んでた所にKURUSUくん骨折!
そんな中遊びに行ったTerrence Parker@oppa-laでCMTと遭遇し快くピンチヒッターを引き受けてくれる(踊りに行けば未来は開ける)も当日大雪の為無念のリタイヤ!それを知ったNOBU君が急遽DJやってくれることに!!
そんなこんなで最高な友達と一緒に遊んでくれたパーティーアニマルな皆様のお陰で無事お昼過ぎまで素敵な時間をつくれました。
後日ジミテナーから最高のパーティーだったと連絡あり感激!!
次回TigerHoleはCMTリベンジ!KURUSU復活?
お楽しみに!
今回選んだのは そんなTigerHoleで最高の瞬間をつくってくれた10曲(順不同)です。


1
Music Hall - Levantis - TTT

2
Port Side Waves - Stephan Laubner - Perlon

3
Trade(Ricard Villalobos Mix) - Mono Box - Logistic Records

4
Everything - Rampa feat Meggy - Keine Music

5
Frequency Sexxx - Reade Truth - Planet E

6
Out Of Breach - MU - Out Put

7
Let Me See You Butterfly - Traxmen - Dance Mania

8
Situation(Hercules Love Affair Remix) - Yazoo - Mute

9
Deputy Of Love - Don Armandos Second Avenue Rhumba Band - ZE Records

10
Bad Driver(Aroy edit) - Chicago Skyway & Dcook - Mos Recordings

DJ予定
3/29 ハメ太郎@福岡TSUTI
GUEST DJ
YAZI(BLACK SMOKER/TWIN PEAKS)
THE KLO(TIGER HOLE)
DJ
DEE/IMMA/TAKENAWA/Michitoki KT
VJ
Livera Rhythm
FOOD
博多手いっぽんJr

4/17 PENINSULA@代官山saloon
4/21 @千駄ヶ谷bonobo
5/10 TOXICO@渋谷EN-SOF TOKYO
5/18 @歌舞伎町BE WAVE

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