「K A R Y Y N」と一致するもの

duenn feat. Nyantora - ele-king

どんな音でも受けて入れてしまえ文:野田 努

 カセット・レーベルがこの日本でも増えている。東京の〈コズ・ミー・ペイン〉をはじめ、〈クルックド・テープス〉、そして福岡の〈ダエン〉......〈コズ・ミー・ペイン〉は昨年に欧米進出を果たしつつ、〈クルーエル〉からビューティが12インチをリリースし、〈クルックド・テープス〉はロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉などとの協調しながらリリースを重ね、そして福岡の〈ダエン〉はレーベルとしての第二弾を発表した。それが今回の中村弘二によるニャントラ名義の作品。100本の生産らしいが、こうした超限定盤を土台としながら、今日USアンダーグラウンドが盛り上がっていることを思えば、当たり前の話、ちょっと期待してしまう。日本国内でのカセット・テープの生産は終了したというから、それなりに強い気持ちがないと継続はできない。
 もっともUSのインディ・レーベルがアナログ盤とカセットのみのフィジカル・リリースに至った理由も、昔は良かった的なノスタルジーというよりも、実利的な観点に立ったときの前向きさにあるんじゃないだろうか。CDでリリースしても勝手にダウンロードされてしまうわけだし、だったら数は少なくなくても買ってもらったほうがいい。ボロ儲けたい人には向かないが、経済活動と芸術活動を両立させるうえではひとつの可能性だと言える。
 ここ数年、USのカセット作品を買いまくっていたという中村弘二にとっては、こうしたリリースは望むところだったに違いない。この作品は、アンビエント・テイストが際だっていた過去のニャントラ名義のどの作品とも違っている。作り方としては、ジェームス・フェラーロやOPN、ハイプ・ウィリアムスなんかと近いと思われる。音の断片を集め、それを編集していく。ナカコーらしく、まったくもって感覚的な作品だが、ひとつ思うのは、一時期のトーマス・ケナーのようにこの音楽には多くの静寂があるということだ。ケナーはかつて自分の音楽を「ふだんは聴こえない音を聴く」行為だと定義しているが、ニャントラのカセットもそれと似た謙虚さからはじまる。デヴィッド・リンチの映画のように一瞬だけ暴力的な世界に引きずり込みはするが、すぐにまた柔らかい電子の海へと戻してくれる。
 ナカコーらしく、まったくもって感覚的な......と僕は先に書いたが、彼の音楽においてもっとも重要なことは、彼が音に対してオープンであるということである。年を経るごとにどんどん開かれていく。多くの時間を空想に費やすであろう彼だが、部屋に引きこもるだけではなく、彼はアルヴァ・ノトのライヴにも石野卓球のDJにも出かけ、灰野敬二と同時にガムランの響きにも耳を傾ける。彼の鼓膜はつねに好奇心を帯びている、そうだ、どんな音でも受けて入れてしまえ。
 本作は、そういう意味では様式(スタイル)を持たない印象的音楽(アンビエント)で、中村弘二の自由の断片を聴くことができる。スーパーカーのファンの期待から逃れながら、販売戦略の文脈には乗らないこの音楽性がカセットで発表されるということも、まあ、微笑ましいと言えば微笑ましい。本当に聴きたければ聴けばいいし、手続きが面倒であるのならそれだけの話。

文:野田 努

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素直に楽しめない作品では、あるが...... 文:竹内正太郎

いつかは君と本当の空を飛べたらなぁって、それだけさ
スーパーカー"CREAM SODA"(1997)

 本当じゃない空を走る、真っ白なひこうき雲。成熟に対する拒絶と、未熟に対する拒絶を同時に抱えながら、反抗という社会性をなんら帯びなかったそのバンドの思春期は、シューゲイジーなギター・プロダクションと、倦怠をはらんだ歌唱、そして何より、言葉に落とし込まれた過敏な十代の感性によって、世の典型さや平凡さを斜めに断裁しながら、あっという間に過ぎていった。癖になった意味のないため息、うんざりするような馴れ合い、不必要に甲高い連中の笑い声、ありふれた虚栄、虚飾、駆け引き、出し抜き、気持ちの悪い上昇志向、そして、それらをシニカルに見つめる自分の凡庸さ。『スリーアウトチェンジ』(1998)は、およそ十代という罪深い幻の季節を、コンパクト・ディスクの許容値ぎりぎりまで使い、ギター・ロックのエチュードとして録音している。

 1995年、青森県八戸市にて結成。どう考えても遅すぎる出会いだったが、私は彼らの解散がアナウンスされた後、初めてその車に乗った。従前のギター・プロダクションにエレクトロニクスが屈託のない表情で交わる『JUMP UP』(1999)は、作品のバランスという点で、彼らの早熟さをもっとも端的に捉えている。ウォーク・スローリー。しかし、この時期のシングルB面で、ドラムンベースの試験的導入や、憂鬱なダウナー・ポップを披露せずにはいられなかった彼らにとって、そうした思春期性はもはや足枷でしかなかったに違いない。ろくにトリートメントされていないようなロウなミックスで過去を一括清算した『OOYeah!!』『OOKeah!!』(1999)を経て、彼らはトランス・ロックの加速度でもってゼロ年代の始まりを一気に駆け抜ける。『Futurama』(2000)は、レイヴ・ミュージックへの憧憬を、ロックの文脈においてヴァーチャルに昇華させた意欲作だった。

 ところで、良くも悪くも独りでは曲を作れないという点に、団体音楽の大きな魅力がある。密室で顕微鏡をのぞくような、省察が行き届いた孤独なベッドルーム・ミュージックにはない、共同体の中でのある種の運動(ときに競争原理)が働くことによって、バンドのポップ・ポテンシャルが大きく引き出される例を、私たちはよく知っている。『HIGHVISION』(2002)は、互いの方向性に違和を感じ始めた彼らにとって、ポップ・バンドとしては最後の結実だった。益子樹や砂原良徳らとの合流、テクノの跳躍力、電子音の煌めき。全反射するような"愛(I)"は光の伝送路で無限に増幅され、ひこうき雲が消えた本当じゃない夜空に、"Strobolights"を何本も突き刺す。終盤、勝井祐二のバイオリンが外界の光を閉じていくそのアルバムは、バッド・トリップ気味に暗い示唆をまき散らしながら終わっていく。

消えてしまったストーリー
出番を独り待っている
静かに 静かに ただ静かに 夢を見ている
スーパーカー"LAST SCENE"(2004)

 そして、最後の妥協点を探るように作られた『ANSWER』(2004)は、ポップ・バンドとして結成された彼らが、かつて拒絶していた成熟(少なくとも高度化や洗練)を受け入れ、セミ・ポップの領域へと踏み出したことを如実に物語る。音の装飾よりも空間のニュアンスを重視した、メロウなプロダクション。散文的な歌詞。ミニマルな展開。その削ぎ落とされた妥協点は、逆説的に彼らの飽和でもあった。翌年、バンドは解散を選ぶ。これ以降の4人の物語と、私はなぜか一定の距離を保ってきた。個人的にもっとも親しみをもって追いかけたのは、リミックス・ワークを通じてTV・オン・ザ・レディオやデイダラスら海外のオルタナティブ、そしてボーカロイド文化とも前向きに交わってきたフルカワミキであるし、一般的にもっとも成功した存在として認知されているのは、ロック・バンドのプロデュースからK・ポップの作詞まで手掛ける、いしわたり淳治であろう。

 中村弘二(以下、ナカコー)はといえば、アンダーグラウンドを好み、端的にはiLLを名乗ってレフトフィールドの開拓を試みてきた。テクノ、アンビエント、グリッチ、ドローン、ストーナー・フォーク、チェンバー・ポップ、ひと回りしてのロック、あるいはスーパーカーの再考、そしてLAMA。そうした変遷の先に、いつの間にか復活させたNYANTORA(ニャントラ)名義によって、ナカコーは相変わらずの実験趣味(と孤独趣味)を爆発させている。〈ダエン〉からのリリースとなった、レーベルの代表アーティストでもあるダエンとのコラボレーション『duenn feat nyantora』は、相当時間の無音部・微音部を含む、実に抽象的な作品となっている。カセット・テープなので、スキップもできずにとりあえずは黙って聴いているしかないわけだが、音も鳴らないし、あー、眠ってしまおうか、と、忘れたころに浮かび上がる音。かと思えば、あれ、いつから音、鳴ってないんだっけ、と、気付いたら霧散している音。鳥のさえずりもあれば、心地よいグリッチ、耳をかすめる程度のノイズもある。
 正直にいえば、一応、遅れてきたスーパーカー世代である筆者としては、素直に楽しめない作品では、ある。私はまだ音楽に加速度を欲しているし、ポップのある意味での下品さを必要としている。とはいえ、狭く聴かれることと、広く聴かれないことを同時に望んできたナカコーの立場からすれば、本作は完全な匿名性をまとうことに成功した作品ではある(いま、無条件でカセット・テープを聴ける人はそう多くないはずだし、ネット上で聴くこともできない)。というか、不況だ、不況だと言われて久しい昨今の音楽業界にあって、内容的にも外装的にも、"あえて広がり過ぎない音楽"をアナログ・メディアでリリースすることを、私は贅沢なことのように思う。DIY文化のプライドか、LAMAとのバランスか。いずれにせよ、小さな承認を大仰に分け合う、繋がりすぎた私たちのネットワークを断ち切るように、聴き手の受動性を拒絶するアンダーグラウンドの精神は続く。

文:竹内正太郎

Chart by JET SET 2012.02.20 - ele-king

Shop Chart


1

LINDSTROM

LINDSTROM SIX CUPS OF REBEL »COMMENT GET MUSIC
Mungolian Jetsetによる傑作シングル/アルバムやDJ Harvey Remixを収録したDiskjokke新作12"など人気作のリリースが相次いでいる"Smalltown Supersound"から、天才Lindstromによる話題の最新アルバム「Six Cups Of Rebel」がアナログ2枚組で登場。

2

PITCHBEN

PITCHBEN STAND UP »COMMENT GET MUSIC
昨年"Compost"からデビューしたドイツの新鋭Ben Pitchによるデビュー・アルバム『Pitchslap』から、シーン屈指の人気を誇るRunawayとTiger & Woodsの2トップによる強力リミックスを収録した話題の12"カットが待望の入荷!!

3

EDDIE C

EDDIE C ALL I WANT »COMMENT GET MUSIC
昨年リリースされた待望の1stアルバム『Parts Unknown』をはじめ、"7 Inches Of Love"シリーズも大好評頂いた、カナディアン人気アクトEddie Cによる新録4楽曲。

4

RAY MANG

RAY MANG LOCK & POP / VIVA LAS VEGAS »COMMENT GET MUSIC
Dr. Dunksによる前作22番がビッグ・ヒットとなった"Disco Deviance"最新作に、UKディスコ・シーンの才能Ray MangによるダブルサイダーEPが登場。

5

GANG COLOURS

GANG COLOURS FANCY RESTAURANT »COMMENT GET MUSIC
Gilles Petersonが絶賛する逸材、Gang Coloursの会心の1曲。柔らかいピアノに切なく響く歌声、優しく刻まれる裏打ちから滲み出る最新モード。文句なしのスウィート・メロウ・キラー!!

6

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO LOOK AROUND THE CORNER »COMMENT GET MUSIC
Rotary Connection「Les Fleur」直系の鮮やかなストリングスとソウルフルなコーラスが、キューバのリズムに乗って感動的な歌声を盛り立てる特大名曲!!

7

LAPALUX

LAPALUX WHEN YOU'RE GONE »COMMENT GET MUSIC
大人気KorelessやSeamsらのリリースでお馴染みPictures Musicからのカセット・リリースでデビューを飾った美麗ウォンキー新星Lapaluxが満を持してのヴァイナル・デビュー!!

8

NEW AGE STEPPERS

NEW AGE STEPPERS MY NERVERS (PUNK) »COMMENT GET MUSIC
まさかの最新作『Love Forever』に収録のテイクとは別ヴァージョンの7インチ。アルバムver.よりも危ない雰囲気が増していて、相当ヤバイです!!

9

GEORGIA ANNE MULDROW & MADLIB

GEORGIA ANNE MULDROW & MADLIB SEEDS »COMMENT GET MUSIC
更に制作力を増し続ける鬼才MadlibとGeorgia Anne Muldrowがコラボした話題の楽曲が、ニューレーベルSomeOthaShip Connectより限定500枚でリリース! クリア・バイナル仕様。

10

VEDOMIR

VEDOMIR VEDOMIR EP »COMMENT GET MUSIC
Eddie C、Luke Vibertのリリースが大好評を博したブギー・ディスコ・シリーズ"Kerrier District"に続く、Jazzy SportとSound Of Speedによるコラボレート企画最新作。

Chart by JAPONICA music store&cafe bar 2012.02.20 - ele-king

Shop Chart


1

LORD ECHO

LORD ECHO MELODIES WONDERFUL NOISE / JPN / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
SISTER SLEDGE"THINKING OF YOU"のレゲエ/ソウル・カヴァーを収録した先行12"EPが各所で大好評即完売に至った話題のレゲエ/ラヴァーズ・ソウル・プロジェクトLORD ECHO、お待たせの2LPフル・アルバム!

2

ANDRES

ANDRES NEW FOR U LA VIDA / US / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
<KDJ>や<MAHOGANI>を中心としたリリース作品はいずれも即ソールドアウト、内容も言わずもがなのフューチャー・クラシックな傑作を 数多く残してきたデトロイトの至宝=ANDRESが遂にセルフレーベルを立ち上げ、その第1弾をリリース。

3

EL NEGRO & ROBBY / ALAYAVIJANA

EL NEGRO & ROBBY / ALAYAVIJANA SPLIT EP CROSSPOINT / JPN / 2012/2/15 »COMMENT GET MUSIC
ワールド~ラテン/ジャズを包括する至高のNYアンダーグラウンド・ミュージック!鬼才KIP HANRAHANプロデュースによる03年作をライセンス・アナログ・リリース!from <CROSSPOINT>

4

EP-4

EP-4 BRUTAL 500 SERIES PART 3 BRUTAL MUSIC / UK / 2012/2/8 »COMMENT GET MUSIC
京都の伝説的プロト・テクノ・バンド=EP-4レア・トラック編集盤がまさかのクレイツ・ディガーDOM THOMAS主宰<BRUTAL MUSIC>よりリリース!この骨太肉厚サイケ・ファンク・サウンドは今の感覚にドンピシャです・・!

5

BURNT FRIEDMAN

BURNT FRIEDMAN BOKOBOKO NONPLACE / GER / 2012/2/14 »COMMENT GET MUSIC
生音と打ち込みのバランスが絶妙すぎるエクスペリメンタル・トラック満載!鬼才BURNT FRIEDMAN通算5枚目となるフル・アルバム「BOKOBOKO」!オウン・レーベル<NONPLACE>より。

6

FLIGHTS OF FANCY

FLIGHTS OF FANCY VOLUME ONE INTERNATIONAL FEEL / URY / 2012/2/14 »COMMENT GET MUSIC
<INTERNATIONAL FEEL>2012年ファースト・リリースは詳細不明のニュー・プロジェクト=FLIGHTS OF FANCYによるウォーミーなスローモー・バレアリック/コズミック・チューン×2!

7

MR. K ALEXI SHELBY

MR. K ALEXI SHELBY FINEST CUTS LEGENDS AMOUR / FRA / 2012/2/7 »COMMENT GET MUSIC
今回も反則級のネタ使い&粋なエディット・ワーク披露してます!シカゴ・ハウス重鎮MR. K ALEXI SHELBYが仕掛けるフランス発の注目エディット・レーベル<AMOUR>第2弾。

8

THE UNITY SEXTET

THE UNITY SEXTET THE UNITY SEXTET LEGERE / UK / 2012/1/28 »COMMENT GET MUSIC
極上の漆黒スピリチュアル/コズミック・ジャズ・ファンク・アルバム!昨年末にCDリリースされていた本作がこの度アナログ・リリース!あの MADLIBの仮想ジャズ・バンド・プロジェクト=YESTERDAYS NEW QUINTETを彷彿とさせるとびきり黒い艶やかなジャズの世界を偏差値高めなヒップホップ感覚をも取り込み描き上げた濃厚スピリチュアル/ファンクネ ス・ナンバー全13曲収録。

9

J.M.F.G.

J.M.F.G. #1 J.M.F.G. / FRA / 2012/1/18 »COMMENT GET MUSIC
詳細不明"謎"のクリエイターJ.M.F.G.によるかなり怪しい体裁でのMOODYMANN音源リワーク集が緊急リリース!全4トラック共にオ リジナルのそれに勝るとも劣らない絶品にリメイクされた極々上盤。インフォには「Kenny Dixon Jr. Real work ! Limited」と記載あり。

10

SLUGABED

SLUGABED ROCKIN U UNKNOWN / UK / 2012/2/11 »COMMENT GET MUSIC
<PLANET MU>や<RAMP>、そして<NINJA TUNE>と名だたるレーベルより確かな作品を残してきたビート・シーンきっての注目株=SLUGABEDがブート仕様で以前よりSOUNDCLOUD上 にアップされていたプライベート・ワークスを限定アナログ・リリース!

Chart by Underground Gallery 2012.02.17 - ele-king

Shop Chart


1

JEFF MILLS

JEFF MILLS Taken (Taken / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
2011年、活発なリリースだったJEFF MILLSが、2012年一発目に発表するのは 「Something In The Sky」から派生した「Taken」(拉致)なる新シリーズからの 新作12インチ! 「Something In The Sky」シリーズ直系と言える、危機迫るような、スリルのあるシンセ・シークエンスを軸にした、スペーシーなサイエンス・フィクション・テクノが4トラック。レーベルからの詳細が一切無く、ミステリアスな「Taken」シリーズ、どんなコンセプトなのか、今後のリリースで明らかになっていくことでしょう

2

SECRET CIRCUIT

SECRET CIRCUIT Nebula Sphynx / Parascopic Rope (Beats In Space / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
TIM SWENNYによる話題の新レーベル[Beats In Space]第2弾!今回は、[Whatever We Want]からもリリースを残す LAUGHTING LIGHT OF PLENTYの EDDIE RUSCHAによるプロジェクト SECRET CIRCUIT! RUB'n TUG、MAP OF AFRICAで御馴染み、THOMAS BULLOCKとのライブプロジェクト LAUGHTING LIGHT OF PLENTYや、同じく、[Whatever We Want]からもリリースを残す、 FOOD OF THE GODS名義での活躍で知られる EDDIE RUSCHAが、新プロジェクトを始動させ、TIM SWENNYによる話題の新レーベル[Beats In Space] 第2弾として登場!ドープなアシッド・グルーブに、アナログ・シンセやトリッキーなサンプルを散りばめた。ディープ・エレクトロ・コズミック2トラックを披露。

3

MODEL 500

MODEL 500 Control (R&S Records / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
デトロイト・テクノのパイオニア、JUAN ATKINSが、MODEL 500名義にて新作12インチ をリリース! 前作はMIKE BANKSと元URのMARK TAYLORが制作をサポートしていましたが、今作 はJUAN ATKINS自身が、スタジオに籠って創り上げた完璧なソロ作品。 緊張感のあるリズムとダークなベースライン、そしてデトロイト・シンセにヴォーカ ルがのった、古くからのファンにはお馴染みのMODEL 500節炸裂のAサイド、浮遊感漂 うシンセとラフ・ビートの疾走感溢れるムーディーなトラックのBサイドの2トラック。

4

BOB CHANCE

BOB CHANCE Wild It'S Broken/It'S Broken (Emotional Rescue / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEY、RUB'n TUG、SOFT ROCKS等がプレイする、BOB CHANCEのレア・ロック・ディスコが、UK [Emotional Rescue]より 7インチにて、嬉しい再発! カリフォルニアのマイナー・レーベル[Morrhythm]よりリリースされた、コンポーザー/プロデューサー/シンガー、BOB CHANCEの80年作。ロカビリー、コズミック、ディスコを巧く融合させた、ファンキーなディスコ・ロック・ナンバー。オリジナルは本当にレアな作品なだけにコレは絶対に見逃せません!

5

MITSUAKI KOMAMURA

MITSUAKI KOMAMURA Vintage Moon Ep (Weedis / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
カナダのモノ・ミニマル・レーベル[Relolver]からのリリースで知られる、東京在住 のトラックメイカーMITSUAKI KOMAMURAが主宰する[Weedis]レーベルの第二弾! THEO PARRISH や MARCELLUS PITTMANにも通じる、LO-FIで黒味のあるマッド・アシッ ド・ハウス! MIKE INKが[Profan]でやっていたようなアシッド感に、ローファイなのに立体的な音 響処理を施したキックとハットが絶えず表情を変えながら展開していく、その様が、 月の満ち欠けを表現しているというA1「Sorcery In Eclipse」、ローファイでヒプノ テックなリズムに、太くてファンクを感じさせるベースが絡む、シカゴ・ハウス・ラ イクな「Tribe On The Moon」、ジャズ・ベーシストのウォーキング・ベースのような フレーズを軸に、シンプルなベース・ラインとローファイなリズムがコンビとなって 展開する「Bunny hopper」は、デトロイトのTERRENCE DIXIONに捧げたい、そんな1曲。 マスタリング及びマスターカットは、レーベル1番に引き続きMONOLAKEやHARDWAX関連 のリリースに携わるベルリン「Dubplate & Mastering」にて、CGB竏・によるアナログ感 満載で太く暖かみのある音に仕上がっている。

6

MARVIN BELTON

MARVIN BELTON Find A Way (Mahogani Music / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANN主宰、[Mahogani Music]の新作はTHEO PARRISH率いるTHE ROTATING ASSEMBLYのメンバーであり、同レーベル前作JOY OF SOUND PRODUCTIONSのプロデューサーでもあるMARVIN BELTONによるスモーキーでソウルフルなデトロイト・ディープ・ハウス! しっとりとした、アダルトなムードが漂うハウス・グルーヴに極め細やかなアルペジオ・シンセが旋回する「I Believe」、デトロイトらしいLO-FIなアフロ・パーカッシブ・ハウスの「Back To Africa」など、全4曲、[Mahogani Music]らしいソウルフルでスモーキーなディープ・ハウスばかり!

7

ANDRES

ANDRES New For U (La Vida / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANNが主催する[KDJ]や、[Mahogani Music]からのリリースでもお馴染み、Slum Villageのメンバーとしての肩書きも持つ、DJ DEZ aka ANDRESが自身のセルフレーベル[La Vida]をスタートし、新作12インチを発表! ヒップホップで培われた、サンプリング・センスが光る、デトロイト・マナーな漆黒のディスコ・グルーヴを軸に展開される3トラックを収録。限定盤。

8

HARDWAY BROTHERS

HARDWAY BROTHERS MANIA THEME (Is It Balearic? / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
[History Clocks]や[Luna Flicks]、[I'm A Cliche]、[Astro Lab]など、UGでも一押ししている、人気レーベルから多数の傑作を生み出してきた、HARDWAY BROTHERSが、COYOTE主宰[Is It Balearic?]より新作をリリース。 今回は、スローモーなディスコ・ダブ・グルーブに、サイケデリックなシンセや、スペーシーなキーボードを響かせた、コズミック・トリッピーなサイケ・ジャムのA1、カップリングには、最近リリースラッシュが続く、番長 ANDREW WEATHERALLによる ドープ・スローモー・エレクトロ、心地良く伸びやかに広がるメローなスペース・シンセを響かせ、原曲のドープな雰囲気を一転させる、北欧ムードなディープ・スペーシー・ハウスへリミックスしたTOBY TOBIASなど、どれも本当に良い楽曲ばかり。

9

ROBERT OWENS

ROBERT OWENS Sacrifice (Ndatl / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
LARRY HEARDがプロデュースした、ROBERT OWENSのアルバム『ART』に収録されていた 「Sacrifice」を、デトロイトのKAI ALCEがリミックスした話題作。 現在、デトロイトで最も勢いのあるレーベルと言っても過言ではない、KAI ALCE主 催[NDATL]新作は、シカゴの大ベテラン・シンガーROBERT OWENSが初登場。昨年リリー スしたアルバム『ART』に収録されていたLARRY HEARDプロデュースによる楽曲 「Sacrific楽曲を、レーベル主宰KAI ALCEが4ヴァージョンのリミックス。初回プレス のみの限定盤ですので、お早めに

10

DISCO DEVIANCE PRESENTS

DISCO DEVIANCE PRESENTS Ray Mang Edits (Disco Devience / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
THE REVENGE、SOCIAL DISCO CLUB、ONUR ENGIN、ERIC DUNCAN aka DR.DUNKSと好調なリリースが続く[Disco Devience]新作は、意外なことに今回が初登場となる RAY MANG。 今回は、80年代の鮮やかなディスコ作品を使用。A面、B面ともに、パーカッシブでトライバルなブギー・ディスコを下地に、オリジナルの甘くソウルフルな女性ヴォーカルを巧く引き立てた、ナイスなリワークを披露。どちらも本当最高ですね!既に ERIC DANCAN、AL KENT、THE REVENGE、LEO ZERO、JACQUES RENAULT、TODD TERJE、FAZE ACTION、OOFT、CRAZY P、RAYKO、COSMIC BOOGIEらを筆頭に、錚々たる著名DJ陣がサポート中!

Wild Flag - ele-king

 今週の月曜日に竹内正太郎が書いたラナ・デル・レイの評だけれど、少し説明を加えたい。彼女のアルバムは僕がよく読んでいる欧米メディアからはけちょんけちょんに言われていて、1周回ってそれを評価するのが頭が良いみたいな論もあるのかもしれないが、ラナ・デル・レイを契機としながら、人間の醜悪さ、あるいはポップの資本主義の議論へと飛躍している点ではレディ・ガガどころの騒ぎではないく(そういう意味ではポップ・アイコンとしては充分な役割を果たしている)、ひとつ議論の焦点を言えば、彼女の露骨な名声欲というよりも、彼女が「偽物(fakeないしはshtick)」であることへの批判と「それでは偽物のどこが悪いのか?」という意見にある。メッセージと思わしきものなどには目もくれず、ポップ商品の戦略としても凡庸な偽物があることが前提で議論が進んでいるという、なかなか面白い展開を見せている。この件に関して異様な執念を見せたのが(ドローンやノイズやアヴァンギャルド系に強い)『タイニー・ミックス・テープス』で、5点満点中0点としながらも、彼女の歌詞の主題/言葉を科学者のように何の感情も見せず分析して、その言葉のセンスがいかに型にはまったものであるかを立証するためであろう、ものの見事にインデックス化している。それはアメリカのポップ文化の内部におけるインディ文化からの憤りに思えるが、『TMT』は皮一枚の冷静さを装って「我々はなぜ偽物を拒否するのか」という観念的な問題提起までそれとなくしている(この情熱には、我々にも見習うべきところが大いにあるのでは......)。

 そこへいくとワイルド・フラッグについて考えることは気が楽に思えるかもしれない。ワイルド・フラッグは、沢井陽子さんが昨年レポートしているように、「このバンドは、スリーター・キニー(キャリー、ジャネット)、ヘリウム(メアリー)、マインダーズの(レベッカ)メンバーで結成された、いわばスーパー・ガールズ・バンド」である。スリーター・キニーといえばライオット・ガールを代表するバンドのひとつで、活動家であり、フェミニスト・バンドとしてよく知られている。と同時に、1997年のマスターピース『ディグ・ミー・アウト』がそのもっとも高みといわれている作品だが、ギター・ロック・バンドとしての実力も充分に認められたバンドだ。キャリー・ブラウンスタインはそのバンドのヴォーカル&ギターで、彼女はワイルド・フラッグにおいても、元ヘリウム(スリーター・キニーと同時期のインディ・バンド)のロリータ・ルックで知られるメアリー・ティモニーとともにギターを抱えて歌っている。『ガーディアン』によればロンドンではいよいよ90年代リヴァイヴァルが本格化しているようだし、20年前にフランネル・シャツ姿で歌っていたメアリーはいまやファッションとしてもど真ん中だ。
 とはいえ、僕がおよそ半年前にリリースされたワイルド・フラッグのデビュー・アルバムについていまさら書いているのは、そうしたトレンドとは関係ない。ライヴ・レヴューにも書いたように、ザ・ガールのライヴが良かったことも引き金となっている。実はこのアルバムについては「いつか書こうといつ書こう」と思いながら昨年から机の上に積まれたCDのなかの1枚となっていたが、ヴァレンタインの夜にようやく「自分で書こう」と思い立った。

 ロックンロールにとっての大きな問題点は、ノスタルジーである。亡きモノに未練たらしく思いすがってしまうこと。多くのガールズ・バンドは、たとえばヘリウム時代のメアリーが学生スカート姿でノイズを鳴らしているだけでも充分に新しかったように、ロックンロールの思い出話に砂をかけながら巧妙に、あるいは勇気を持って前に進んでいる。ダム・ダム・ガールズは思い切りクリシェを強調することで、ロックンロールをマニア向けの中古レコード店から解放する。で、それでは......ワイルド・フラッグのまずはどこが気を引くのかと言えば、繰り返しになるが、キャリー・ブラウンスタインとメアリー・ティモニーのふたりがギターを抱えて歌っているという点にある。誤解を生むような喩えで申し訳ないけれど、PHEWと戸川純が一緒にパンク・バンドを組んだとしたら......それはスーパー・バンドになるだろう。タイプの異なった女性ふたりがふたり同時にバンドの顔になるというのは、いままでなかった。
 が、このバンドのもっとも肝心なことは、『ワイルド・フラッグ』というネーミングが暗示するように、これがひとつの声明、宣戦布告であるということだ。「私たちはロマンスとはなんたるかを知っている」と歌う1曲目の"ロマンス"(アルバムにおけるキラー・チューン)は、いろいろな意味に受け取れる曲だ。音楽の喜び、ロックンロールへの忠誠心、男性社会への反旗、インターネット依存者への嘲笑、純粋な愛......しかし僕がこのバンドを(あるいはザ・ガールを)格好いいと思えるのは、彼女たちが"生意気さ"をまったく包み隠さないところにある。すべての楽器が有機的に絡んで生まれるグルーヴは、楽しもうという気持ちと彼女たちの小生意気さとを結合させる。「私たちは音を愛する。私たちの見つけた音。音は私とあなたのあいだに流れる血」――アルバムには聞き分けの悪い子たちも耳を傾けるであろう堂々とした良い言葉、すなわち力強い自己主張でいっぱいだ。
 ワイルド・フラッグは、ラナ・デル・レイ的なものとは対極にある。ジェームズ・ディーン、グレイト・ギャツビー、ウィスキー、ギャングスタ、そしてセックスとドラッグとアメリカン・ドリームといった耳にたこが出来ているような言葉を並べているラナ・デル・レイとは100万光年離れたところで"野性の旗"は涼しい風になびいている。キャリー・ブラウンスタインに関して言えば、サタデー・ナイト・ライヴのフレッド・アーミセンと一緒にケーブルTVでコメディ番組までやるような、あちらではいわば国民的な人気者で、彼女の番組にはボン・イヴェールやセイント・ヴィンセントも出演している。ワイルド・フラッグにはアメリカのポップ文化の最良なものがあると思うのだが、我が国ではラナ・デル・レイの"shtick"のほうがメディ的にも大衆的にも受けているようである。まあ、別に良いんですけど。

派手にやろう
私たちに失うものなんて何もない ワイルド・フラッグ"ブーム"

THE GIRL, TADZIOほか - ele-king

 DOMMUNEで「GOTH-TRAD特集」をやった翌日の晩、筆者はブルックリンのライヴハウスにいた......というのはもちろん嘘だが、沢井陽子さんが本サイトでレポートしているようなイヴェントにいた。2月14日、いわゆるヴァレンタインのチョコレートには縁のない筆者と小原泰広は、小雨の降るなか、3組のガールズ・バンドが出演する新代田の〈FEVER〉に向かった。「BATTLE AnD ROMANCE」という名前のイヴェントで、筆者のお目当てはタッツィオである。
 7時になると最初のバンド、THE EGLLE が登場。ヴォーカル&ギター、ベース、ドラマーの3人組のガールズ・バンドで、「グッド・イヴニング」という英語の挨拶からはじまった。音は初期のキュアやデルタ5といった感じで、気だるいミニマルなビートとぺらぺらのギターが暗いムードを誘い、(オーディエンスとコミュニケーションをはかるというのではなく)引きこもりを思わせるヴォーカルが際だっている。〈4AD〉リヴァイヴァルとも重なっている雰囲気もあって、興味深い演奏だった。

 この日の主宰者はきくりんと呼ばれていた21歳の青年で、長州ちから(28歳)という名前のパートナーと一緒にセット・チェンジの合間のDJとMCも担当していた。歌謡曲をかけたり、ヒップホップをかけたり、ハードコアをかけたり、意味がわからなかったが、とにかく陽気で、バカみたいにご機嫌な連中だった。ちょっとオタクっぽくも見えたが、絶えずツイッターをやっているようなタイプではなかったし、どこか20年前の小林を彷彿させた。「BATTLE AnD ROMANCE」の主題は? と訊いたところ「クロスオーヴァーであります」と21歳は語気を強めていたが、それは多くの自由時間をPCの前で過ごしているSNS世代への反発とも受け取れなくもない。

TADZIO

 7時半を過ぎて、ステージにはタッツィオのふたりが登場する。いきなりラウドなノイズ・ギター、そのすぐ横ではドラマーがしっかりとリズムをキープしている。ルックス、そして演奏にもポップとノイズが衝突しているが、実に感覚的なこのバンドが素晴らしいのは、言葉に酔うことを拒むかのような衝動、その威力、その勇気にある。「ブス」「こんにちわ」......闇雲にわめき散らしている彼女たちを観ていると、微笑みがこみ上げてくる。説明よりもノイズが先走る。言葉を口から出す前の、そのうまく言えないもどかしさを音は突き抜けていく。そう、いい感じです。新曲の"3939"は素晴らしいドライヴ感を持った曲で、演奏は後半のほうが良かった。何度もライヴを観ている人に訊いたら、その日の出来は60%ぐらいだったとか。

TADZIO

THE GIRL

 8時を過ぎると日暮愛葉率いるTHE GIRLが出てくる。THE EGLLE と同様に3人組のガールズ・バンドで、ヴェルヴェッツの"フー・ラヴズ・ザ・サン"をBGMに演奏ははじまった。そしてTHE GIRLは......ロックンロールのジェットコースター、ドラムとベースが創出するグルーヴは素晴らしいうねりとなって、オーディエンスをすっかり魅了する。彼女たちの演奏は否応なしに身体を揺らすもので、気持ちをどんどん上げていく。
 THE GIRLを訊いていると筆者は13歳のときにラジオで大貫憲章さんが紹介した"シーナ・イズ・パンク・ロッカー"すなわちロックンロールというものを初めて聴いた夜の気持ちを思い出すことができる。音楽を聴いて、生きていることにわくわくしてくる。それはいつまでも変わることのないファンタジーであり、ロマンスであり、永遠なのだ。

 これだけの圧倒的なステージのあとに出演するバンドは、ちょっと気の毒だった。杏窪彌(アンミン)は台湾人の女性ヴォーカルをフィーチャーしたバンドで、相対性理論を思わせた。MCは中国語と日本語だった。トリを飾ったバンドは、男ふたり組のGAGAKIRISEで、ライトニング・ヴォルトを思わせた。それぞれ個性的なパフォーマンスだったし、GAGAKIRISEは迫力満点の演奏によって、今後おそらくもっともっと知名度を上げていくだろう。
 しかしこの晩に限って言えば、誰が何と言おうとチャンピオンはTHE GIRLだ。久しぶりにロックンロールで踊り、筆者は彼女たちのロックンロールにプラトニックな恋に落ちたのである。

THE GIRL

Marsimoto - ele-king

 ケルンの企画レーベル〈マガジン〉からリリースされたアクゼル・ヴィルナーによるループス・オブ・ユア・ハート名義『アンド・ネヴァー・エンディング・ナイツ』はアブストラクトな展開を意図したものだけれど、これがあまりにもクラウト・ロックの過去をなぞるだけで、単純にがっかりさせられた。ヴィルナーがザ・フィールドの名義で追求してきた快楽モードのシューゲイザー・ミニマル・テック-ハウスはいつも完成度が高いだけに、余計にキャパシティの限界を見せられたようで、欲が裏目に出たという印象も。イェン-ユーベ・ボイヤーやドラムス・オブ・ケイオス(ヤキ・リーヴェツァイト)にはじまった同シリーズは、今後、ヴォルフガング・フォイトやカール・セイガン(!)へと引き継がれるらしい。

 クラウトロックというのは、間章か誰だかが書いていたことだけれど、60年代のドイツでは「アメリカのコピー」でしかなく(たとえばボブ・ディラン)、これに対する猛反省から生まれてきたものだと言われている。本当かどうかは知らないけれど、クラウス・ディンガーやホルガー・シューカイ、あるいはラルフ&フローリアンやマニュエル・ゲッチングが独自の音楽性を切り開いたことはその通りで、その強度が現在に至っても衰えないことは、それだけオリジナルを生み出そうという妄執に煽られていた証左ではあるだろう。そして、その後はパンク・ロックやニューウェイヴを加工したノイエ・ドイッチェ・ヴェレにしても、シカゴ・アシッドやデトロイト・テクノをお手本としたジャーマン・トランスからエレクトロ・リヴァイヴァルに至る流れにしても、ドイツというカラーがそこにしっかりと存在していることは周知のことである。

 しかし、ドイツにおいてヒップホップは、いまだに「アメリカのコピー」から脱却できないジャンルである。マッシヴのようなギャングスタ系しかり、インタレックのようなムダにジャジーな感じも同じくで、ロックやテクノと違ってブラック・ミュージックに対するコンプレックスが払拭できないのか、どうにもドイツらしさが出てこない。そんなにあれこれと聴いているわけではないけれど、エレクトロニカと融合したいくつかのものと、MIAの影響下から出てきたらしきルーシー・ラヴが最初はちょっとよかったかなーという記憶があるぐらいである。

 07年からマーテリアとして3枚のアルバムを残してきたマーテン・ラシニーがマーシモトというスペイン語に名義を改めてリリースした『グリュナー・ザムト(=グリーン・ヴェルヴェット)』は、これで一気にドイツのヒップホップが変わってしまうとは思わないものの、なるほどこれはドイツでしかないと思わせるユニークな音楽性に彩られている。まずはスマーフ男組と同じくラップがすべてロボ声で、これが最後まで実に楽しい。サウンドがしっかりとつくられているせいで相乗効果が持続し、ドイツ語なので何を主張しているかはともかく、いきなり「バラク・オバマ!」と来たりして、ネットで調べた限りは(二木信が好きな)コンシャス系のようである。もしかしてデザインも緑の党を意識しているのか?(ちょっと難しいかもしれないけれど、可能なら限定盤のジャケットに触ってみて下さい。アマゾンではなぜか限定盤の方が安いし)。

 オープニングからロボ声でマッシヴ・アタック、2曲目からヒップホップ・サウンドになる......といっても、もちろんUSメイドではなく、ヨーロッパに渡ってウェットになり、腰の重いリズムに派手なSEで景気をつけていくパターン。やはり、最近はベース・ミュージックやダブステップを意識せざるを得ないのか、モードセレクターと同じようにテクノのエッジとウェットなリズムをどう絡み合わせようかという発想になるのだろう、エレクトロに隣接した"グリーン・ハウス"や"アリス・イン・ヴラン・ランド"を基本としつつ、これにバリアリック調の"マイ・クンペル・スポールエィング"やクラフトワークを再構築したような"アングスト"、あるいは、ネジが狂ったようにワールド・ミュージックのサンプリングを組み合わせた"インディアナー"やモンドを掠めた"イッヒ・ターザン・ドゥ・ジェーン"がさまざまに色をつけていく(デア・プランがマジでヒップホップをやってると思いなまし)。ドイツでは移民を中心としたターキッシュ・ラップも盛んだからか、"アイ・ゴット・5"や"ブラウ・ラグン"ではトルコ風の旋律も取り入れられ、リベラルなところも見せる一方で、ドイツ民族の高揚を煽る(ように聴こえる)ような"ヴォー・イスト・ダー・ビート"で「アメリカのコピー」には大きく距離をあけていく。いや、素晴らしいです。難をいえば、ボーナス・トラックとして収録されているテクノ・リミックス("アイ・ヘイト・テクノ・リミックス"となっている)がちとウザいぐらいか。AKBじゃないのにヘビロテ~。

Maria Minerva - ele-king

 負け犬といえば、自分が男だからだろうか、いや、勝ち負けの世界と言えば男の世界だといつの間にか相場が決まっているからだろうか、勝手に男性を想像していたが、考えてみれば同じように女性にも負け犬はたくさんいる。マリア・ミネルヴァは自らを「女の負け犬の研究者」であることを宣言している。
 1988年のセカンド・サマー・オブ・ラヴの年に生まれた彼女は、昨年、フェミニスト理論家、エルーヌ・シクススの名前を冠したアルバムを発表している。そのアルバム『キャバレ・シクスス』ではリヴァーブの深く効いた――チルウェイヴやヒプナゴジック・ポップとは地続きの――今日的なポップを展開しているが、年末に出回った12インチ「スケアド&プロフェイエン・ラヴ(神聖かつ冒涜的愛)」はいわゆるダンス・シングルとなった。だからまあ、やりたい放題のロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉傘下のダンス・レーベル〈100%シルク〉から出ているわけだが、これが実に抗しがたい魅力を秘めている。1980年代のオリジナル・シカゴ"ゲイ"ハウスの淫らさが今日のUSインディ・アンダーグラウンドと見事に出会ってしまったというか、それほどのハイ・レヴェルの妖しさがある。この週末、次号紙エレキングのために三田格が推薦する『ぼくのエリ』を遅ればせながら観て、そしてショッキングだったことのひとつは吸血鬼が実は「女の子ではない」という設定だった。それではあの少年と吸血鬼のプラトニック・ラヴは......。
 ベッドルーム音楽の文化自体は20年以上前からあるのでことさら新しいものでもないのだが、女性プロデューサーが性の揺らぎを主題とすることは近年のトピックである。「インターネット時代における女性らしさとその疎外」を主題としているというグライムスが20年前のエイフェックス・ツイン("カム・トゥ・ダディ"以降ですね)に喩えられる時代だ。マリア・ミネルヴァはジョン・マウスとともに『ピッチフォーク』からは学問界とポップ界の往復者と呼ばれているような存在なので、言葉がわかればもっと深く楽しめるのだろうけれど、彼女の音そのものがある程度のところまで表してくれている。
 それは声だ。なんてやわらかい、透明で、フニャフニャな声......。男ならそこでレトロなシンセサイザーの音色に酔ったりドラッギーな音色で決めるところを彼女たちは自分の"声"を武器にする。ダンス・ミュージックではないが、グライムスやジュリアンナ・バーウィックもそうだ。声、......彼女たちの声にはエルヴィス・プレスリーもミック・ジャガーもいない。パティ・スミスの"グローリア"(こちらはヴァン・モリソンのカヴァー曲)とマリア・ミネルヴァの"グローリア"(こちらはマリアのオリジナル)を聴きくらべれば、この40年弱の年月もあながち無駄ではなかったのではないかと思えてくる。

 こうしたダンス・ミュージックの真新しい潮流のかたわらで、ベテランのリンドストロームが3枚目のアルバムを発表した。彼の音楽が東京で最初に話題になったのは2004年で、彼が自身のレーベル〈Feedelity〉を発動させたのが2002年12月だというから、ノルウェーのコズミック・ディスコの王様もデビューから10年目を迎えていることになる。地中海をまったく感じないのに関わらず何故かバレアリックと呼ばれたりもした彼の音楽の良さは、ひと言で言えばぬるさに尽きる。一時期はリー・ペリーをも彷彿させたラジカルな"いい加減さ"、ダンス・ミュージックの真骨頂のひとつでもある。それは寛容さであって、20年前はそれをバレアリックと呼んだわけで、多幸感のことではない!
 とにかく『シックス・カップス・オブ・レベル』はコズミック・ディスコの王様の新譜である。バカみたいに大仰なイントロダクションからPファンクめいたビートのディスコへと、そしてギターが唸るロックの8ビートへと、まあ、よりファンキーと言えばファンキーな展開を見せている。相変わらず人を食った展開というか、思わせぶりだが無意味で、くだらないことに一生懸命になっているところはいかにもゼロ年代といったところ。このちゃらんぽらんさが懐かしいって? それでは竹内君、週末ぐらいは僕と一緒にバカになろう。

Chart by STRADA RECORDS 2012.02.14 - ele-king

Shop Chart


1

ROCCO & C.ROBERT WALKER

ROCCO & C.ROBERT WALKER I LOVE THE NIGHT-LOUIE VEGA REMIXES FOLIAGE(FR) »COMMENT GET MUSIC
スマッシュ・ヒットしたディープで大人っぽいこの男性ヴォーカル・ハウスにナントLOUIE VEGAによるリミックスが登場!

2

FUDGE FINGAS

FUDGE FINGAS MASS X REMIXES FIRECRACKER(UK) »COMMENT GET MUSIC
Prime NumbersからもリリースしていたFudge FingasがFirecracker Recordingsからまたまた限定盤をドロップ!しかもVakulaとJuju & Jordashが片面ずつリミックスを手掛けた豪華な内容!メロディアスなヴァイブやスペイシーなシンセが絡み合う洗練されたディープ・ハウスのVakulaサイド、やはり遅めなBPMでダビーに展開してきたJuju & Jordashサイド共にさすがの出来!オーダー数がショートしての入荷なのでお見逃しなく!

3

A SAGITTARIUN

A SAGITTARIUN CARINA EP ELASTIC DREAMS(UK) »COMMENT GET MUSIC
第1弾の前作もクオリティーが高かったこのレーベルからの第2弾!ファンキーなブレイクビーツ・ハウス的なビートで始まり、デトロイト・テクノ風なディープなシンセが加わるA1が鳥肌モノのカッコ良さ!ディープ&スペイシーなテック・ハウスのA2もグッド!

4

5 KING'S

5 KING'S GIRL YOU NEED A CHANGE OF MIND AMOUR(FR) »COMMENT GET MUSIC
Marvin Gayeのハウス・リミックスが大ヒットした第1弾も記憶に新しいこのレーベルからの第2弾が入荷!Eddie Kendricksによる名クラシック「Girl You Need A Change Of Mind」を筆頭に、ナントKenny Dixon Jr. のレア曲「Lt 1」やJames Brownネタのエディットまで収録!

5

DISTANT PEOPLE

DISTANT PEOPLE UNCONDITIONAL LOVE(feat.NICKSON) SEASONS LIMITED(FR) »COMMENT GET MUSIC
Sole ChannelやLargeといったレーベルから数多くの作品をリリースしているUKのクリエイターJoey SilveroによるプロジェクトDistant Peopleが男性ヴォーカルものをリリース!グルーヴィーなオリジナル・ミックス、A2のディープめのリミックスあたりがオススメ!

6

TENDERNESS

TENDERNESS GOTTA KEEP ON TRYING-DJ HARVEY EDIT RCA (US) »COMMENT GET MUSIC
オリジナルはレアなこの曲が、オリジナル・ヴァージョンに加えナントIdjut BoysのレーベルNoid RecordingsからリリースされていたDJ Harveyによるリエディットも収録してのミラクル復刻!ソウルフルでパワフルな極上女性ヴォーカルものです!オリジナルの中古もですがHarveyのエディットの方も相当レアだっただけにこれはビックリです!

7

OOFT!

OOFT! MEMORIES FOTO(UK) »COMMENT GET MUSIC
Instruments Of Rapture等からもリリースしているUKはグラスゴーの2人組OOFT!が自身のレーベルから登場!まったりウォーミーなビートダウン・ハウスと、硬質でカッコいいテック・ハウスをカップリング!

8

MAM

MAM MODERN HEAT EP FINA(UK) »COMMENT GET MUSIC
20:20 Vision傘下の注目レーベルFina Recordsからの注目盤!Wolf + Lamb主宰のW+L Blackレーベルからの「Mam Edits」が当店でも売れたMamによる、80'sダンス・クラシックスをネタに使用したグルーヴィーで上質なブギー・トラックス!

9

CHUBBY DUBZ

CHUBBY DUBZ DIRECT EXPERIENCE LOUNGIN (UK) »COMMENT GET MUSIC
Moodymannネタの「DOIN' YA THANG」で大注目されたOliver $絡みのユニット!ディープ&スペイシーなB1、ウッド・ベースがジャジー且つ濃厚な雰囲気を演出しているB2が◎!

10

BUCIE

BUCIE GET OVER IT FOLIAGE(FR) »COMMENT GET MUSIC
Black Coffeeの大ヒット曲「Superman」でヴォーカルを務めていたBucieのソロ作が人気レーベルFolliageから登場!リミキサーにはEzelが参加しており、メロディアスで洗練されたトラックにあの可憐な歌声が乗った極上な仕上がりとなっています!

Oren Ambarchi & Thomas Brinkmann - ele-king

 さすがに「ドローン」も......というところで新機軸か。この数年、待ち続けた「テクノ」とのコラボレイションがようやくお目見えである。

 オーレン・アンバーチはオーストレイリアのギタリストかつパーカッショニストで、いわゆる実験音楽や即興演奏では中堅的存在。ゼロ年代に入ってからはディジタル・プロセッシングを軸にドローンを多様化させ、フェン・オ・バーグの3人などコラボレイションの相手には事欠かない位置にいる。エレクトロニカとも袖摺り合う距離にいて、いわゆるアブストラクト表現を大量にアウトプットしてきた。ブラック・トラッフルは彼が主催するレーベル。

 一方のトーマス・ブリンクマンはマイク・インクを追ってケルンから頭角を現したクリック・テクノのヴェテラン。リッチー・ホゥティンとのインターフェイスなどアカデミックなヴァリエイションで名を挙げ、数々のアノニマス的なプロジェクトに加えてブラック・ミュージックのカット・アップを多用した「ソウル・センター」のシリーズなども人気。4年前にタキシードムーンのウインストン・トンをヴォーカルに迎えた『ウェン・ホース・ダイ......』以降、久々のリリースとなる。

 この2人が取り組んだのは、現代音楽家のモートン・フェルドマンが残した『フォー・ブニータ・マーカス』というピアノ曲にヴァリエイションを与えること。フェルドマンの作品には表面的には静かなものが多く、アンビエント・ミュージックとして機能するものが多い(裏アンビエントP34)。しかし、創作の動機を先に推測してしまうと、この2人の念頭にあったのはスティーヴン・オモーリーとピタによるKTLではないだろうか。ドゥー ム・メタルをエレクトロニカの次元へ持ち去ったKTLからメタルの要素を取り除き、ドローンに違う道筋を与えようとしたのではないかと。実際、ブラック・トラッフルのスリーヴ・デザインはすべてオモーリーが手掛けていて、お互いの作品を意識しやすい距離にいることはたしか(今回に限ってはブ リンクマンがデザインも担当している)。

 とはいえ、まず念頭にあるのは『フォー・ブニータ・マーカス』で、オリジナルで試みられているものとはすべてが異なって感じられる。フェルドマンのそれと聞き比べてみるとよくわかるのだけど、音階とリズムで「間」を聞かせようとするオリジナルが必然的に不条理を演出してしまうのに対して、隙間なく音を詰め込んでしまうともいえるドローンは常にリスナーを音で包み込んでいるようなもので、どこかに投げ出されるような感覚を与えることはない。この2作を同時に再生してみると、まった くぶつからずにひとつの曲に聞こえてしまうことからもその相反性は証明されたも同じだろう。

 また、前者のリズム感覚には緊張感を持続させようという意図があるのに対して、アンバーチ&ブリンクマンによるそれは引き伸ばされたダブに聞こえるほど瞑想性が高く、むしろリラックス効果に重点が置かれているとさえいえる(こういうものを聴き付けない人には同じかもしれないけれど)。緊張感をもたらす要素としては単純に音量を上げたり、トーンをうねらせるなど、それもマッサージの強弱のような範囲で推移し、正直、どこにヴァリエイションを生み出そうとする動機があったのか、正確には掴みかねてくる。この差は、しかし、現代音楽のフェルドマンと実験音楽として分類されるアンバーチの距離(=時代性)のなかにも存在はしたものだろうけれど、そのポテンシャルを最大に引き出したのが、やはり、ブリンクマンであり、テクノだということは間違いない。あるいは、従来のドローンとは違うものに聞こえるのはテクノが原因だとしか言いようがないのではないだろうか。

 まったく代わり映えのしないダンス・ミュージックとしてのテクノも健在だし、モーリツ・フォン・オズワルド・トリオのようにファンク・ミュージックとしての成熟を志すもの、あるいはハーバートのようにジャズとのハイブリッドを作り出すものなど、テクノにも明確な分岐が散見できるなか、ここで試みられていることは(アルヴァ・ノトの軌跡と同様)90年代にテクノが普遍化させた快楽性を抽出し、他のジャンルへ移植し、その機能性を全うさせることだろう。さらにいえば、テクノとドローンが結びつくということは、90年代とゼロ年代のアンダーグラウンドにひとつの横断線が敷か れたということでもある。冒頭の「ようやく」というのは、そういう感慨でもある。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727