「K A R Y Y N」と一致するもの

地点×空間現代 - ele-king

 ただいまわが国は国会討論の真っ只中なわけですが、経済政策は切実な問題のひとつです。安倍政権時代を通して、日本の貧困率は先進国では中国、アメリカに次いで3番目に高いという、深刻な問題になってしまったのです。そんな時代の空気に合っているとしか思えないゴーリキーの『どん底』、あるいは、インターネット社会における引きこもりにも通じるドストエフスキーの『地下室の手記』などを京都を拠点に活動する劇団「地点」(https://chiten.org/)が音楽バンド「空間現代」とともに、吉祥寺シアターにて連続公演します。
 上演するのは上記の2作のほか、革命への思いと絶望が交錯するブレヒトの戯曲『ファッツァー』、太宰治の『グッド・バイ』も同時上映。どの作品もじつに興味深いです。
 期間は11月18日から12月9日まで。4作が順番に上映されます。『どん底』は11月18 日〜21日、『地下室の手記』は11月25日〜28日、『ファッツァー』は12月2日〜12月5日、『グッド・バイ』は12月9日〜13日。詳しくはホームページを参照してください。URL https://chiten.org

レパートリー連続上演 全公演共通
■会場
吉祥寺シアター
180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町 1-33-22 TEL. 0422-22-0911
■チケット発売日
2021 年 10 月 23 日(土)
■料金 (全席指定席)
一般 前売 3,800 円/当日 4,300 円
学生 前売 3,000 円/当日 3,500 円
4 演目セット券 前売のみ 13,000 円 *地点のみ取扱・枚数限定
■チケット取扱
https://teket.jp/events
*「地点」で検索
*クレジットカード及びコンビニ決済
▽武蔵野文化事業団
https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-s/
TEL.0422-54-2011(9:00-20:00)
▽ローソンチケット
https://l-tike.com/chiten2021/
▽演劇最強論-ing (手数料無料、チケット代のみで購入可)
https://www.engekisaikyoron.net/
▽地点
https://chiten.org/
(4演目セット券のみ取扱・申し込み後に銀行振込が必要になります)
新型コロナウイルス感染症の拡大防止策についてご確認のうえ、ご来場ください。
■お問合せ 地点 075-888-5343 info@chiten.org


地点(ちてん)
演出家・三浦基が代表をつとめる。既存のテキストを独自の手法によって再構成・コラージュして上演 する。言葉の抑揚やリズムをずらし、意味から自由になることでかえって言葉そのものを剥き出しにす る手法は、しばしば音楽的と評される。2005 年、東京から京都へ移転。2013 年には本拠地・京都に 廃墟状態の元ライブハウスをリノベーションしたアトリエ「アンダースロー」を開場。レパートリーの 上演と新作の制作をコンスタントに行っている。2012 年にはロンドン・グローブ座からの依頼で初の シェイクスピア作品『コリオレイナス』の上演を成功させるなど、海外での評価も高い。2006 年、ミ ラー作『るつぼ』でカイロ国際舞台芸術祭ベストセノグラフィー賞受賞。2017 年、イプセン作『ヘッ ダ・ガブラー』で読売演劇大賞作品賞受賞。

空間現代(くうかんげんだい)
2006年結成。メンバーは野口順哉(gt/vo)、古谷野慶輔(ba)、山田英晶(dr)。編集・複製・反復・ エラー的な発想で制作された楽曲を、スリーピースバンドの形態で演奏。これによるねじれ、 負荷が 齎すユーモラスかつストイックなライブパフォーマンスを特徴とする。地点との共同制作にブレヒト作『ファッツァー』(2013年)、マヤコフスキー作『ミステリヤ・ブッフ』(2015年)、シェイクスピア作『ロミオとジュリエット』(2017年)。2016年、京都・錦林車庫前にライブハウス「外」をオープン。2018年11月3日に空間現代×坂本龍一『ZURERU』をリリース。2019年5月、最新アルバム『Palm』をリリース。2019年度、京都市芸術文化特別奨励者。

Black Country, New Road - ele-king

 2021年はUKのインディ・ロック/ポスト・パンク新世代たちの活躍が目覚しい。ロンドンの7人組、ブラック・カントリー、ニュー・ロードもムーヴメントの中心の一組だ。今年2月5日に鮮やかなデビュー・アルバム『For the first time』を送り出している彼らだが、そのほぼ1年後にあたる2022年2月4日、早くもセカンド・アルバムをリリースする。総力をあげて制作したそうで、これまでのスタイルを大胆に更新した作品になっているとのこと。まだ4ヶ月ほど先ですが、楽しみに待っていましょう。

Black Country, New Road
全英チャート初登場4位を記録、2021年の年間ベスト筆頭として満点レビューを多数獲得した衝撃的デビュー作発売から1年、早くもセカンド・アルバム『Ants From Up There』を2022年2月4日にリリース決定!
ファンの間ですでにライブ・アンセムとして知られる傑作シングル「Chaos Space Marine」が先行曲として解禁!

1stアルバム『For the first time』に対する称賛

バトルスとかサンダーキャットなどにも似た形で、熱狂的なブレイクを果たす予感がビリビリとする - rockin’on
現代のギター音楽における重要なマイルストーン - CLASH
独創的な曲作りと荒々しくもテクニカルな演奏でリスナーを引き込んでいく - Music Magazine
もし世界に救いが必要なら、それは彼らかもしれない - The FADER
名作 - Loud & Quiet 10点満点

ロンドンを拠点に活動する、アイザック・ウッド(ヴォーカル/ギター)、ルイス・エヴァンス(サックス)、メイ・カーショウ(キーボード)、チャーリー・ウェイン(ドラム)、ルーク・マーク(ギター)、タイラー・ハイド(ベース)、ジョージア・エラリー(ヴァイオリン)の7人から成るバンド、ブラック・カントリー・ニュー・ロード。2021年のベスト・アルバムの一つとして各方面から評価され、メディアからの満点レビューが続出、全英チャート初登場4位の快挙を達成した衝撃のデビュー作『For the first time』に続くセカンド・アルバム『Ants From Up There』を2022年2月4日にリリースすることが発表され、アルバムからの先行配信曲「Chaos Space Marine」が公開された。

https://bcnr.lnk.to/afut

本楽曲は既にライブではファンの間で人気の楽曲で、混沌としながらも整然とした楽曲についてフロントマンのアイザック・ウッドは次のように語っている。

これまで書いたなかでも最高の曲だ。
この曲には、アイデアがあれば誰のものであってもすべて投入した。
だから、この曲の制作は、本当に早かったし、ユニークなアプローチでもあったんだ──とにかく何もかも壁に投げつけて、それをすべてくっつけたままにしておく、という感じだった。
──アイザック・ウッド

本作は、バンドが総力をあげたアルバムで、これまであった様式を大胆に更新した作品でもあり、自然に完成した作品でもあり、巧みなバランスの仕上がりとなっている。デビュー作の『For the First Time』では、伝統音楽のクレズマーやポスト・ロック、そしてインディー・ロックを融合させていたが、その独自の製法を『Ants From Up There』では、さらに発展させ、伝統的なミニマリズムやインディー・フォークやポップ、そしてオルタナティブ・ロック、すでに彼ら独特のものとなっている多彩なサウンドを他に類を見ない形で結合させることに成功した。

アルバムのレコーディングは、バンドの長年のエンジニアであるセルジオ・マシェッコとともに、ワイト島のシャーレ・アビー・スタジオで夏に行われた。深いところに根ざしたバンドの信念を詰めこみ、それが結果としてあらわれたアルバムに対して、メンバー自身も大きな満足を感じているという。

ずっと興奮していた。
制作は本当に楽しかった。残りの人生で自分が手がけるもののなかでも、これが最高の出来事になるかもしれないと、認めているようなかんじ。それでいいと思っている。
──タイラー・ハイド

ブラック・カントリー・ニュー・ロードのライブ・パフォーマンスは、すでに音楽ファンから最高級の評価を得ており、英ガーディアン紙は「UKで最高のライブ・バンド」と評した。この秋には、43日間のUKおよびヨーロッパ・ツアー、そして年明けにはアメリカでのソールドアウト・ツアーが予定されている。

待望のセカンド・アルバム、『Ants From Up There』は2022年2月4日にCD、LP、カセットテープ、デジタルでリリース! 国内盤CDには歌詞対訳・解説が封入され、ボーナストラックが収録される。また輸入盤CDは通常盤に加え、ライブ音源が収録された2枚組デラックス盤CDもリリースされる。LPはブラック・ヴァイナルの通常盤、ブルーマーブル・ヴァイナルの限定輸入盤、日本でしか発売されないクリスタル・クリア・ヴァイナルに日本語帯が付いた日本限定盤、ライブ音源が収録された4枚組デラックスLPで発売される。なお、BIG LOVE RECORDSでは数量限定のサイン入りヴァイナルの発売も予定されている。

[商品情報]
label: Ninja Tune / BEAT RECORDS
artist: Black Country, New Road
title: Ants From Up There
release date: 2022.02.04 fri on sale

国内盤CD BRC685 ¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/歌詞対訳・解説書封入


日本限定カラー盤2LP(帯付き/クリスタル・クリア・ローズ) / ZEN278JP
デラックス輸入盤2CD / ZENCD278X
輸入盤2LP(ブラック) / ZEN278
限定輸入盤2LP(ブルー・マーブル) / ZEN278X
デラックス輸入盤4LP(ブラック) / ZEN278BX
カセット / ZENCAS278

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12146

TRACKLISTING

[CD / BRC685]
01. Intro
02. Chaos Space Marine
03. Concorde
04. Bread Song
05. Good Will Hunting
06. Haldern
07. Mark’s Theme
08. The Place Where He Inserted the Blade
09. Snow Globes
10. Basketball Shoes
+ Bonus Track

[Deluxe CD / ZENCD278X]
Disc 1
01. Intro
02. Chaos Space Marine
03. Concorde
04. Bread Song
05. Good Will Hunting
06. Haldern
07. Mark’s Theme
08. The Place Where He Inserted the Blade
09. Snow Globes
10. Basketball Shoes

Disc 2
01. Mark’s Theme (Live from the Queen Elizabeth Hall)
02. Instrumental (Live from the Queen Elizabeth Hall)
03. Athens, France (Live from the Queen Elizabeth Hall)
04. Science Fair (Live from the Queen Elizabeth Hall)
05. Sunglasses (Live from the Queen Elizabeth Hall)
06. Track X (Live from the Queen Elizabeth Hall)
07. Opus (Live from the Queen Elizabeth Hall)
08. Bread Song (Live from the Queen Elizabeth Hall)
09. Basketball Shoes (Live from the Queen Elizabeth Hall)

[2LP Tracklist]
Side A
A1. Intro
A2. Chaos Space Marine
A3. Concorde
A4. Bread Song
Side B
B1. Good Will Hunting
B2. Haldern
B3. Mark’s Theme
Side C
C1. The Place Where He Inserted the Blade
C2. Snow Globes
Side D
D1. Basketball Shoes

[Deluxe 4LP]
Ants From Up There
Side A
A1. Intro
A2. Chaos Space Marine
A3. Concorde
A4. Bread Song
Side B
B1. Good Will Hunting
B2. Haldern
B3. Mark’s Theme
Side C
C1. The Place Where He Inserted the Blade
C2. Snow Globes
Side D
D1. Basketball Shoes

Live from the Queen Elizabeth Hall
Side A
A1. Mark’s Theme (Live from the Queen Elizabeth Hall)
A2. Instrumental (Live from the Queen Elizabeth Hall)
A3. Athens France (Live from the Queen Elizabeth Hall)
Side B
B1. Science Fair (Live from the Queen Elizabeth Hall)
B2. Sunglasses (Live from the Queen Elizabeth Hall)
Side C
C1. Track X (Live from the Queen Elizabeth Hall)
C2. Opus (Live from the Queen Elizabeth Hall)
C3. Bread Song (Live from the Queen Elizabeth Hall)
Side D
D1. Basketball Shoes (Live from the Queen Elizabeth Hall)

Jamael Dean - ele-king

 これまでEP「Black Space Tapes」やソロ・ピアノ作などのリリースを重ねてきた〈Stones Throw〉の新星ジャズ・ピアニストが、ついに正式なファースト・アルバム『Primordial Waters』をリリースする。ジャズ・サイドとヒップホップ・サイドに分かれた2枚組の大作になっている模様。ヨルバ族のディアスポラが主題とのことで、テーマの面でも興味深い。注目しましょう。

JAMAEL DEAN
Primordial Waters

Kamasi Washington、Thundercat、Miguel Atwood-Ferguson、Carlos Nino等とのコラボレーションやパフォーマンスを経て、ピアニストJamael Dean(ジャメル・ディーン)の正式なデビューアルバムが遂に完成!!
自身のグループによる演奏を収録したジャズサイドと、その演奏をサンプリングしたヒップホップ/ビート・サイドという、全20曲の注目作!!
Stones Throwとringsにより、日本限定盤MQA対応仕様の2CDでリリース!!

これまでもEPやソロ・ピアノ作で、ジャメル・ディーンはその才能の片鱗をうかがわせた。ラッパーのジャシーク、ビートメイカーのジーラとしても勢力的に音源を発表してきた。そして、待望のファースト・アルバムが届いた。自身のグループ、ジ・アフロノーツと録音されたジャズ・サイドと、その音源を使ったヒップホップ/ビート・サイドの二部構成で、ヨルバ・ディアスポラをテーマとした壮大な物語を完成させた。(原 雅明 ringsプロデューサー)

アーティスト : JAMAEL DEAN(ジャメル・ディーン)
タイトル : Primordial Waters (プライモーディアル・ウォーターズ)
発売日 : 2021/12/08
価格 : 3,000円+税
レーベル/品番 : rings / Stones Throw (RINC82)
フォーマット : 2CD (日本企画限定盤) MQA対応
バーコード : 4988044070684

*MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

Official HP : https://www.ringstokyo.com/jamael-dean-3

Lawrence English - ele-king

 ここのところローレンス・イングリッシュのリリースが活発になっている。自身が主宰するエクスペリメンタル・ミュージック・レーベルの老舗〈Room40〉から鈴木昭男、デヴィッド・トゥープとの共演盤『Breathing Spirit Forms』、イングリッシュのソロ作品『A Mirror Holds The Sky』をリリースしたのだ。両作ともフィールド・レコーディングを主体とした音響作品である。環境音に深く没入するようにリスニングすることでリスナーの聴覚の遠近法が刷新されるような見事な音響作品だ。

 今回取り上げるのは、もうひとつのソロ作品『Observation of Breath』である。このアルバムは〈Room40〉からのリリースではない。シアヴァシュ・アミニ、カリ・マローン、FUJI||||||||||TA、ノーマン・ウェストバーグ、ミキ・ユイ、マッツ・アーランドソンなどのアルバムをリリースしてきたスイスの実験音楽レーベル〈Hallow Ground〉からのリリースである。意外に感じるかもしれないが、イングリッシュは同レーベルにおいてマスタリングを手がけてきたので唐突なことではない。
 音楽性は環境音主体の〈Room40〉からの『Breathing Spirit Forms』『A Mirror Holds The Sky』とは異なり、ローレンス・イングリッシュがこれまでリリースしてきた多くのアルバム、特に近年の『Wilderness Of Mirrors』(2014)、『Cruel Optimism』(2017)、『Lassitude』(2020)などで追及されてきたダークなトーンのドローン作品である。ちなみにこれらの作品で用いられたオルガンはブリスベンのミュージアムに収蔵されていた1889年製のオルガンという。

 『Observation of Breath』は、イングリッシュが追求してきた「ドローンという音楽」の達成ともいえるアルバムである。クラシック・オルガンの機能・性能を追求し、人間の呼吸のリズムに深く作用するようなドローン作品に仕上げているのだ。音の持続と循環が呼吸のように持続していると言うべきか。呼吸のように音が生成し、そして変化し、人の感覚の中で音は拡張されていくのだ。
 本作は、シャルルマーニュ・パレスタインの提唱する「マキシマル・ミュージック」に挑戦したドローン作品という。現代的な音響に視点を向ければ、カリ・マローンや FUJI||||||||||TA などのモダンにしてクラシカルなオルガン・ドローン作品の現代的系譜に連なるアルバムともいえよう。ここにあるのはミニマリズムを超えてマキシマリズムに至るドローンである。

 アルバムには全4曲が収録されている。1曲目と4曲目がそれぞれ10分と20分の長尺で、2曲目と3曲目がそれぞれ6分と2分40秒ほどのトラックだ。アルバムの曲は、オルガンの音が中心である。そのアブストラクトなサウンドを聴きこんでいくと、オルガンの音がまるで顕微鏡で拡大されたかのように拡張されていく。
 特にアルバムの最終曲である4曲目 “Observation Of Breath” は、20分に及ぶ長尺の楽曲で、アルバムを象徴するような曲といえよう。オルガンの音色が、柔らかくも霞んだ理想的な音色を生成し、没入的なドローン・リスニングへと誘ってくれる。もちろん1曲目 “A Torso” もアルバム特有のサウンドスケープを鳴らしているし、2分42秒の小曲である3曲目 “And A Twist” では二音の往復によってドローンから旋律へと変化する音楽の原型のようなサウンドを聴かせてくれる。まさにドローン作品の逸品である。

 それにしてもわれわれはなぜアンビエント/ドローンを聴くのか。メロディもリズムも希薄な音響作品になぜ深く魅了されてしまうのか。いろいろな意見があるだろうが、音へのフェティシズムを得る快楽と、心に安らぎと静謐さを与えるためではないか。一定のトーンの持続音の連鎖に耳を澄まし、その微細な変化に耳を澄ますこと。不安定な知覚の揺れを、持続する音によって調整・調律すること。心の平穏を得ること。
 しかしだからこそ、この『Observation of Breath』において各曲が唐突に、途切れるように終わるのはなぜなのかと考えてしまうのだ。ロマン主義的なサウンドを断ち切るような終わり、中断。音という現象の終わり。もしかすると現在のローレンス・イングリッシュは、ドローンを過度に精神的な安定剤のようにするのをどこかで避けたがっているのではないか。音の物質性を追求するマテリアリストのように。

 ロマンティシズムとマテリアリズム。彼にはこの二種の顔がある。これは00年代のローレンス・イングリッシュの頃からみられた傾向だ。例えばマテリアリストなサウンド・アーティストとしての側面は『it's Up to Us to Live』(2009)、ロマンティックやアンビエント・コンポーザーとしての側面は『A Color for Autumn』(2009)というように。しかし10年代から20年代にかけて、この二つが融合しはじめているように感じられるのである。自分はその傾向を非常に興味深く思っている。

 10月にリリースされるローレンス・イングリッシュとジェイミー・スチュワートとのユニット、ヘキサの新作アルバム『Material Interstices』は、そのタイトルからしてマテリアストとしての側面が存分に発揮されているアルバムではないか。
 そう、ローレンス・イングリッシュは、音の探求者であり、音のロマン主義者であり、現代的なドローンの実践者であり、音のマテリアリストでもある。そしてレーベル主宰者とし、さまざまなアーティストを繋ぐ存在でもある。
 彼の音の追求は、さながら人生のように出会いと出会いを重ねながら続いていくのだろう。

Tirzah - ele-king

 夏が来る前のこと、年内にティルザの新譜が出る予定だと知ったときには心躍るものがあった。ポップ・ミュージックこそ実験であり、冒険すべき未来がまだあるのだと、そんなヴィジョンを甘美なエレクトロニカR&Bとでも呼べそうな1枚として具現化した2018年の『Devotion』は、これだけ情報過多な今日でもたまに聴きたくなるアルバムだ。幼友だちのミカチュー(広くはオスカーにノミネートされたこともあるMica Leviとして知られる)と作り上げたデビュー・アルバムは、言うなれば90年代後半のビョークを更新する音楽で、レトロな意匠をもったゼロ年代UKのシンガーたちとは対照的に、スタイルよりもテクスチュアに、個人よりもサウンドに重きが置かれている。
 もっとも、歌モノのバックトラックをそうした現代風エレクトロニカにする向きは、ここ数年はとくに他にもたくさんいる。またそれかよ、などと思われた方もいるかもしれない。が、その一群において『Devotion』が頭ひとつ抜けていたのは、ミカチューによるサウンドプロダクトの妙技はさておき、なんと言ってもティルザに歌手としての魅力があるからに他ならない。彼女の声は、自分を思う存分に主張するような性質のものではない。滑らかな優しさを持っているそれは、抽象的でありながら親密で、夜の大気に溶けていく、喩えるならそんな感じだ。というわけで、彼女の新作は楽しみでしかなかった。

 それでまあ、数ヶ月前に先行リリースされた“Tectonic”を聴いたわけだが、これが正直なところぼくには最初ぴんと来なかった。『Devotion』とはずいぶんかけ離れているというか、ミニマル・ビートと語りに近い彼女のヴォーカルとのコンビネーションによる“Tectonic”は、前作がロマンティックな夜風ならこちらはマンホール下の艶めかしい廃棄物ように思われたのだ。身勝手な話だと思うが、それはぼくが彼女の音楽に望んでいたものではななかった。
 しかしながら、人生においてもっともきつかった夏が終わり、“Tectonic”から数ヶ月という時間を経たうえで、ようやく届いたアルバム全曲を最初から通して聴いてみたところ、自分の感性がティルザ&ミカチューの冒険心についていけなかっただけのことだったと、そう思い知った。これはすごいアルバムだ。前作から3年、33才になったティルザはこの間結婚し、二度出産を経験している。人生の幸せな時期にいると言えるだろう。そんなときに彼女が選んだのはサウンドを更新すること、赤ちゃんを寝かしつけた後、友と一緒にさらに夜を冒険をすることだった。
 1曲、彼のパートナーであり、シャバカ・ハッチングスとも共演しているジャズ・ミュージシャンのクウェイク・ベイスと、ロンドンでもっとも謎めいた芸術家のひとり、ディーン・ブランドとの共作がある。その曲“Recipe”は初期のトリッキーのダークサイドを迂回しながら、インダストリアルな響きを持ってアンビエントへと発展する。じっさい彼女はまだ無名だった2014年、トリッキーのアルバムで2曲歌っているわけだが、なるほど本作はブリストル・サウンドにおける暗い揺らめきと共鳴しているように感じる。“Tectonic”だって、そしてまた、前作に引き続いてのゲスト参加のCoby Seyと一緒に歌う“Hive Mind”という曲も、マッシヴ・アタックがやるべきサウンドを彼女たちが先にやってしまった感がある。

 『カラーグレード』は真夜中の音楽だ。ゼンマイ仕掛けのドラムンベースが綿のようなシンセ音とともに繰り返されるなか咳払いしながらその美しい歌唱を響かせる“Beating”、歪んだギターに機械の軋みを交えながら歌が流れる“Sleeping”、壊れた8ビート・ドラムと一緒に囁くように歌う“Send Me”、トム・ヴァーレインをトリップホップで再現したかのような“Skin In”……。曲は音数少なく静的で、ときに官能的で、ときにおおらかで夜風のように優しい。聴くたびにイメージが湧き上がり、脆弱な日々のなか、ティルザが音楽に夢中にさせてくれる。ここにはぼくが望んでいた以上のものがあった。

DJ TASAKA - ele-king

 自らのレーベル〈UpRight Rec.〉を立ち上げ、3作目となるアルバム。リリースはデジタルのみで、2020年の『Goodie Bag』から、1年と経たずにリリース。ここ数年の活動を振りかえると、どこか長いインターバルからの再始動……と思っていたが、実際は自身のレーベル第1作目となる2015年のアルバム『UpRight』以前は、2009年『Soul Clap』からのリリースでその間は6年。その前が2005年『Go DJ』ということを考えれば実はマイペースに定期的にリリースしていて、逆に言えば、その5年後の『Goodie Bag』からの本作というのが、異例のインターバルの短さでリリースされたということになる。ちなみに2017年には、長いキャリアでは初となる、実は中学時代からの友人だったという JUZU a.k.a. MOOCHY とのエスノ・サイケデリックな、テクノ・プロジェクト、Hightime Inc.のアルバムもリリースしている。

 と、この勢いを感じるタイミングでリリースされた本作『KICK ON』であるが、デジタルのみという潔いフットワークの軽さも含めて、おそらくだが作品制作の充実感がダイレクトに反映された作品ではないかと思う。個人的には、一連の近作3作品のなかで最も愛聴している作品という感じで、それはもちろんタイミングが全てではなく、自分が思う DJ TASAKA のサウンドのうまみがシンプルに出た作品だからではないかなという。そのうまみとは、具体的に言えば、ファンクやディスコ、ヒップホップが溶け込んだ野太くもしなやかなグルーヴのエレクトロ、ハウス、テクノだが、なんというか、ずっしりと重いファンクネスはあれど、インダストリアルでメカニカルなのに堅くないというのが結構重要で、それこそフロアを笑顔にするような温かなユーモアの感覚とともに、それはある種の「軽さ」となってグルーヴの方向性を決定づけているようにも思うのだ。軽やかな心持ちのヘヴィーなファンクネス。ここ数年でおこなってきた作品の魅力がシンプルに融合して、凝縮している。まぁ、月並みな表現だが、ともかく聴いていて楽しくなるファンキーなテクノやハウスの魅力がこれでもかと襲ってくる。なんとなくだが、ここ数年でリヴァイヴァルしてきている、1990年代初頭のファンキーなハウスやブレイクビーツ・テクノ的なレイヴ・トラックにも通じるようなグルーヴもあって、そのあたりもこの作品を聴きこんでいる理由かもしれない。

 アルバムはゆっくりとブレイクビーツ・ダウンテンポ、そしてセカンド・サマー・オブ・ラヴのパイレーツ・ラジオ集成に着想を得たとおぼしき、メランコリックなブレイクビーツ “'88 RADIO” (名曲)でスタートする。ちょっと意外な感触からスタートするが、まさに前述したようにバウンシーなドラムとベースラインがフロアを笑顔でロックする “Aaahh” で一気にヴォルテージをあげていく。個人的に本アルバムでよく聴いているのが中盤から後半でベースラインが気持ちいいディープ・ハウス “Oh Dear”、レイヴの雰囲気をまとったブレイクビーツ “Whoop”、性急なアシッド・トラック “Touch It” あたりの3曲だ。アップリフティングなディスコ・テクノ “Rulers of the Generation” ときて、アルバムを締めるエレポップ的な “Open the Gate” のエンディング・テーマのように終わっていく感じもいい。

 全体的に、いわゆる12インチ的なダンス・トラックのようなストリクトリーにミニマルな構成という感覚よりも、アルバム1枚として飽きさせずに「フロアの感覚」のリスニング体験が持ち込まれていて、そのあたりはなんというか、石野卓球のソロ・ワークにも通じるもので、テクノとしてのツボを充分に押さえつつも、いわゆるわかりやすい「歌」や「メロディ」にそこまで頼ることなく、そこはあくまでもテクノという表現に自覚的というか、それでいてポップにその作品を聴かすという明確な意志を感じる作品でもある(もちろんこれはいまにはじまったことではないが)。前述のような彼のサウンド・カラーのうまみを伝えるサウンドの感覚も良い。現在のスピーカーや他のリリースのなかにあっても、確実に自身のサウンドのそうしたうまみを「聴かす」処理がなされている感覚がしていて、自らのカラーとそうしたアップデート感が絶妙なる塩梅で迫ってくる。そのあたりの采配も本作をより魅力的なものにしている。作品を良作に至らしめる、ある種の余裕と、それまでの着実なキャリアが無意識ながら強固に結びついたサウンドの説得力、それが本作品にもびっちりと溢れていると言えるだろう。

新時代の扉がいま開かれる──
ビジネス、社会、ゲーム……私たちの生活はどう変わるのか?

最近ニュースなどでよく見かけるようになった “メタヴァース”。
オンライン上の3D仮想空間のことを指すそれは、“インターネットの後継” とまで呼ばれている。
はたしてそれは私たちにどのような影響を及ぼすのか?

セカンドライフ、VRChat、cluster、「バーチャル渋谷」、フェイスブック、Oculus Quest 2、ブロックチェーン、NFT、『フォートナイト』、『Roblox』、MMORPG、『竜とそばかすの姫』、『ソードアート・オンライン』……

いま多方面から注目を集める “メタヴァース” を初心者向けに解説、
様々な角度からその魅力に迫る!

インタヴュー:三淵啓自、宇川直宏(DOMMUNE)、國光宏尚&新清士(Thirdverse)、今井晋、TREKKIE TRAX、池上英子、藤嶋咲子
コラム:飯田一史、小谷真理、斉藤賢爾、白石嘉治、巽孝之、田中 “hally” 治久、藤田直哉、三田格、エフゲニー・モロゾフ


contents

◆interview
三淵啓自 メタヴァースが変える世界──先駆者セカンドライフの持続性から未来を探る
宇川直宏 無限の幻想を共有すること──ヒッピー・ムーヴメントが果たせなかった夢の続き
國光宏尚&新清士 来るべき「オアシス」への道筋──SNSとゲーム、VR、ブロックチェーンの交差がメタヴァースを実現する (取材:葛西祝)
今井晋 スラングと身振り手振りの重要性──『フォートナイト』が脚光を浴びた理由
TREKKIE TRAX クラブ・カルチャーをもう一回やり直している感覚──VRChatでワールド・ツアーを敢行、DJ集団が目撃した景色とは
池上英子 人間は古来よりずっとアヴァターを使ってきた──文明そのものを成り立たせるヴァーチャルの力
藤嶋咲子 「声」の熱量を、意志を表現する──ヴァーチャル・デモの可能性

◆how-to
メタヴァースを体験するには何が必要? 事前に用意しておきたいもの
実際にメタヴァースを体験してみよう① ヴァーチャルSNS/ソーシャルVR編
実際にメタヴァースを体験してみよう② オンライン・ゲーム/ゲーム型コンテンツ編

◆column
巽孝之 『スノウ・クラッシュ』使用前後──ニール・スティーヴンスンのSF的想像力
斉藤賢爾 ブロックチェーン、NFTと個別に構築されるメタヴァース
田中 “hally” 治久 プレヒストリック・メタヴァース──「ごっこ遊び」はいかにして「メタヴァース」へと至ったか
藤田直哉 『竜とそばかすの姫』と日本的メタヴァース
飯田一史 アインクラッドはなぜ特別なのか──『ソードアート・オンライン』におけるアヴァターの「顔」
白石嘉治 「分身」の夜のうた──VRの淵源、アルトーの「潜在的現実」によせて
小谷真理 現実における性差の歪さをいかに変えることができるか──漫画『ルサンチマン』が突破した壁
三田格 異世界へ転生すると何が起きる?──メタヴァースの先にあるもの
エフゲニー・モロゾフ もうひとつのデジタル世界は可能だ──プライヴァシーの向こう側 (訳:土田修)

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
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TOWER RECORDS
紀伊國屋書店
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Koji Nakamura - ele-king

 先日《Hardcore Ambience CH.》の映像作品を公開したばかりのナカコーからまたも嬉しいお知らせです。なんと、ワンマン・ライヴが決定しました。11/24と11/25に下北沢440にて、11/27に茨城は取手Atelier ju-touにて開催。ドラムに沼澤尚、ベースに345を迎えたトリオ編成で、ナカコーはギターとヴォーカルに専念します。セットリストもすでに公開されています(下記参照)。これは楽しみ!

interview with BADBADNOTGOOD (Leland Whitty) - ele-king

 トロント出身の3人組のバンド、バッドバッドノットグッド(以下BBNG)の、5年ぶりとなるニューアルバム『Talk Memory』がリリースされた。
 BBNGは、トロントの有名大学、ハンバーカレッジのジャズ・プログラムで出会った、アレックス・ソウィンスキー(ドラム)、チェスター・ハンセン(ベース)、リーランド・ウィッティ(サックス、ギター)から成るバンドで、数多くのアーティストとのコラボレーション活動で知られている。2010年結成以後、ヒップホップを中心とした楽曲のインストゥルメンタル・カヴァーが注目され、その後自身の作品リリースと並行して、ゴーストフェイス・キラーと共作アルバムを発表し、ケンドリック・ラマーをはじめとする人気アーティストの楽曲プロデュースを手がけるなど、彼らはつねにバンドの外の世界と混じりあいながら活動を進めてきた。MFドゥームダニー・ブラウンサンダーキャットフランク・オーシャンからスヌープ・ドッグ、ブーツィー・コリンズまで、彼らの共演者は枚挙に暇がない。
 2014年、彼らが初めてレーベルと契約したアルバム『III』のリリース時、大阪にある小規模ライヴハウス、CONPASSで彼らのライヴを見た。当時、彼らを形容する新世代ジャズという言葉が指す音楽は、いまほど振り幅が広くなく、ヒップホップのビートを強調する生演奏といったイメージがあったが、実際見たライヴはむしろロック・バンドの印象に近かった。レイドバックするグルーヴよりも、前に前に繰り出す音の波動が、衝動的なエネルギーと同時に発散されていて、演奏する彼らもオーディエンスも同じようなフィーリングを交換し合っていた。終演後もバンド・メンバーは観客と写真を撮り合い、自分たちの写真をコラージュした手作り感満載のステッカーを手渡しで配っていた。
 数年が経ってリリースされた2016年のアルバム『IV』には、作り込まれた緻密な作風があり、ライヴのカジュアルな印象との違いに驚いたが、その後の大規模な世界ツアーの反響を見ると、彼らの演奏は大きな会場になっても以前のライヴと変わらないテンションを持っていることがわかった。そして、なぜここまで多くのアーティストが彼らとコラボレーションしてきたのか合点がいった。
 インタヴューでも答えてくれているが、ツアー中にウッドブロックを紛失してしまったことがあり、空になったウィスキーの瓶を用いた、「ジムビームのパーカッション」の演奏が盛り上がりメディアでも取り上げられていた。その曲はケイトラナダと作った “Lavender” だったのだが、この曲を聴いた筆者の子供たちが、手元にあった割り箸をとっさに掴み、思い思いにリズムを取りはじめたのには驚いた。この様子に、瓶を叩く彼らの姿が重なり同じ音楽を共有するというリアルな感覚を覚えたからだ。なるほど、彼らの音楽には、共に音を出したくなる魅力があるのだろう。今年 TikTok で大ヒットした “Time Move Slow” のリメイク動画も、同じような衝動から生まれたに違いない。BBNGの音楽がここまで広がりを見せるのは、音楽への衝動を引き出す力が、彼らの活動の中に備わっているからなのだと思う。
 さて、今回のニュー・リリースは、どんなメンバーがコラボレーションに加わっているのだろう。過去と現在を繋ぎ新たな文脈で自己を表現する、地域も時代性も異なるアーティストが集結している。ブラジルの伝説的なアレンジャー/プロデューサーのアルトゥール・ヴェロカイ、マンチェスター出身で現代のUKシーンを代表するプロデューサー、フローティング・ポインツ、アンビエント/ニューエイジの巨匠、ララージ、デトロイトのジャズとクラブ・ミュージックを体現するドラマー、カリーム・リギンス、そのデトロイトでハープをジャズに取り入れた先駆者、ドロシー・アシュビーを継承するブランディー・ヤンガー、Pファンクの真髄を知るLAのプロデューサー/サックス奏者、テラス・マーティン。さらに、UKからジョー・アモン・ジョーンズ、日本では Ovall といった世界中のミュージシャンが先行シングルをカヴァーし、このリリースは大きなプロジェクトへと発展しはじめている。
今回のインタヴューは、サックスやギターなど複数の楽器を操るマルチプレイヤー、リーランド・ウィッティが担当してくれた。非常に温和な対応が印象的だった。

メロディに関しては、歌えるようなメロディを作ろうと心がけているよ。歌えるようなら愛着も湧くし、記憶に残りやすいと思うから。その代わりテクスチャやサウンドをユニークなものにしたり、ハーモニーを少し複雑なものにしたりする。

少し前の話からはじめたいのですが、前作の『IV』の成功で世界を飛び回ってツアーをしてきたと思います。その中で印象的な経験を教えてください。

リーランド・ウィッティ(Leland Whitty、以下LW):そうだね、僕たちは確かにツアーで世界各地を回ることができた。その思い出はひとつひとつが特別なものだけど、特に印象に残っているのは、ホームのトロントにある Massey Hall という会場でやったギグ。レッドブルが主催のイベントで、たくさんの友人を誘って彼らと一緒に演奏することができて、弦楽部門も入れることができた。トロントを象徴する、とても美しい会場なんだ。僕たちは今までに Massey Hall で数多くの公演を見てきたから、自分たちがそこでギグをやるということは僕たち全員にとって特別なことだった。もうひとつ印象に残っているのは、サンパウロでアルトゥール・ヴェロカイの前座を務めたとき。彼のセットはオーケストラが入っていて、その最後の4曲で僕たちもジョインして、僕たちがいままでずっと大好きな曲として聴いてきた、アルトゥール・ヴェロカイの曲を、彼のオーケストラと一緒に演奏した。感激するほど素敵な体験だったよ。あの機会があったから、アルトゥール・ヴェロカイとの関係性を確立できたと思う。

この数多くの経験が『Talk Memory』にフィードバックされていると思いますが、曲作りからレコーディングまでのプロセスを教えてください。

LW:様々な場所でライヴをしてきたという経験は、今回のアルバムの大きなインスピレーションになっている。僕たちは、とても長い間、アルバム『IV』のツアーをしていたから、その期間に、アルバムの曲を進化させて、形を変化させていったり、即興演奏を長く取るようにしていった。そうしたことで、曲がさらに自由になっていったという実感があったから、それを今回のアルバムの音楽に反映させたかった。今回のアルバムの考え方としては、全てが前もって作曲され、練習されているということだった。レコーディングの2ヶ月前に曲が完成されていたものが多かったと思う。だから曲は、とても新鮮なもので、かつ、丹念に練習されていたから、レコーディングのプロセスはとても手短に、シームレスにおこなうことができた。自分たちがどういう演奏をして、何を成し遂げたいのかということが既に明確になっていて、自信もついていたからね。だからレコーディングのときは、ライヴでおこなう即興演奏のような感じはあまりなかったんだ。

でも今回のアルバムには即興された部分も収録されていますよね?

LW:その通り。全ての曲は、それぞれメロディ、ハーモニー、形の構成が全てでき上がっているんだけど、そこに大抵、ひとりかふたり分のソロを入れられる余白が残してあるから、そこで即興ができるようになっているんだ。元々の構成をしっかり作って、それに自信を感じられるようになっていたからこそ、即興をするというときに、より自由に演奏することができたと思う。

ツアーのインスピレーションと言えば、新録に収録されている “Open Channels” ではウッドブロックのリズムが印象的でしたが、もしかすると、ツアーでお馴染みになったジムビームのボトルパーカッションを使っていまか?(笑)

LW:ハハハ! アルバムでもそうすれば良かったね! 実際に使ったのは本物のウッドブロックだよ(笑)。“Lavender” という曲をライヴで演奏したときに、曲にはサックスのパートがないから、僕はパーカッションをやったんだけど、パーカッションが行方不明になっちゃったから、ジムビームのボトルをシンバルのスタンドにくっつけて、それを使ったんだ。

盛り上がっていましたよね。BBNGの曲を聴いていると、耳に残るメロディがあって、70年代のレコードと重なるようなときがありますが、過去のそれとは異なる何かが混じって新鮮な響きなり、それがBBNGの個性になっている気がします。曲作りではどんなことを意識していますか?

LW:感情に訴えかけるような音楽を作ろうという意識はある。メロディに関しては、僕たちそれぞれのアプローチがあると思うけれど、僕個人としては、歌えるようなメロディを作ろうと心がけているよ。メロディに関しては、知性に訴えるものである必要はないと思っていて、歌えるようなら愛着も湧くし、記憶に残りやすいと思うから、僕個人はそういう面を大切にしている。その代わりテクスチャやサウンドをユニークなものにしたり、ハーモニーを少し複雑なものにしたりする。それが君の言っていることかもしれないね。メロディを、より現代的で個性的なものへと昇華させる。それにしても、僕たちの音楽が古くて馴染みのある感じに聴こえるというのは嬉しいことだね(笑)

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僕たちはアルトゥール・ヴェロカイの大ファンだから、一切のディレクションをしなかったんだ(笑)。そしたら彼はアレンジの音楽を作曲して、スタジオを予約して、ミュージシャンを雇って、録音した音楽を僕たちに送ってくれた。それを聴いた僕たちは一瞬で圧倒されたよ。

新作について、話を移しますが、今作はBBNGの初期の作品の影響となったアーティストのオマージュとのことですが、まずその点についてお聞きしたいです。

LW:僕たちがアルトゥール・ヴェロカイを知ったのは、MFドゥームが彼をサンプリングしていたのがきっかけだった。だからこのふたつのコネクションは非常に強い影響だと思う。特にBBNGの初期の影響はジャズとヒップホップだからね。ジャズをサンプリングしたという影響も大きかったし、サンプリングという技術のおかげで、僕たちは、ブラジル音楽や、その他のジャンル──MFドゥームを発見していなかったから聴いていなかったかもしれないジャンル──の音楽という世界への扉が開けた。だからアルトゥール・ヴェロカイとMFドゥームからは強い影響を受けている。今作に関して言えば、僕個人としてはブラック・サバスやマハヴィシュヌ・オーケストラ、マイルス・デイヴィス、フローティング・ポインツなどもたくさん聴いていたよ。

他にもたくさんの共演者がいますが、過去の音楽を継承しながら自分の色を作っている現在のアーティストや、現在の音楽シーンで新たなイメージで活躍しているベテランがいて、地域も世代も幅広い人選になっていますね。

LW:人選についてはその通りだと思うね。実際に会ってレコーディングしたのは、テラス・マーティンカリーム・リギンスのふたりだけで、それは僕たちがロサンゼルスでこのアルバムをレコーディングしていて、彼らがロサンゼルスにいるアーティストたちだったという理由から。元々彼らとはツアーをしているときに知り合って、交友がはじまった。もちろんそのずっと前から彼らのことは知っていたけど、彼らのライヴを実際に聴いてから、より刺激を受けた。だからこのふたりと一緒にレコーディングできたのはラッキーなことだった。その後に、アルバムのメイントラックを全て撮り終えたんだけど、パンデミックが発生してしまったから、残りのゲストたちとのやりとりは全てEメールだったんだ。まあそれもあって、国や地域性を特に意識せずに、誰とコラボレーションしたいかということを自由に考えることができた。でもやっぱり、ゲストたちと仕事をするときは、同じ空間で一緒に音楽をやる方が断然いいよ。今回はララージブランディー・ヤンガー、そしてアルトゥール・ヴェロカイに自分たちの音楽を送ってという形になったけれど、彼らとコラボレーションできたのは素晴らしい体験だった。

ゲストとはそれぞれどんなやり方でレコーディングをしたのでしょうか? コンセプトやイメージを共有するために取った方法を教えてください。

LW:最初に(リモートで)コラボレーションしたのはアルトゥール・ヴェロカイだった。僕たちは当初からストリングスのアレンジを音楽に加えたいと思っていて、自分たちでアレンジをしようかと考えていたんだけど、誰かがアルトゥール・ヴェロカイに頼んでみようと提案したんだ。アルトゥール・ヴェロカイは非常に多作な人で、いまでも数多くのアーティストたちのプロジェクトを手掛けているにもかかわらず、僕たちのプロジェクトに関わることに対しても快諾してくれた。僕たちはアルトゥール・ヴェロカイの大ファンだから、彼に対して「あなたが手がけるものなら何でも、僕たちの音楽にぴったりとはまると思います」と言って一切のディレクションをしなかったんだ(笑)。そしたら彼はアレンジの音楽を作曲して、スタジオを予約して、ミュージシャンを雇って、録音した音楽を僕たちに送ってくれた。それを聴いた僕たちは一瞬で圧倒されたよ。
 その次に依頼したのはララージだったかな。僕たちはララージの音楽もずっと聴いてきていて、今回の “Unfolding” という曲に彼の美しいテクスチャを全体的に加えたら、素敵なアンビエントな曲になって、とても合うと思った。彼とはZoomで連絡を取り合っただけで、実際にはまだ会ったことがないんだ。ララージは自宅にスタジオのセットアップができていたから、そこで録音してもらった。
 ブランディー・ヤンガーも、彼女の自宅でレコーディングしてもらったんだけど、彼女は僕たちにいわゆる「贅沢な悩み」を与えてくれた。彼女は “Talk Meaning” の演奏を3テイク分、送ってくれたんだけど、3つともすごく素晴らしくて、ひとつずつが個性的なものだったから、選ぶのがすごく難しかったんだ。しかもそれが、アルバムを完成させてミックスへ送る直前の、パズルの最後のピースだったんだ。

アルトゥール・ヴェロカイに関しては何の指示もしなかったということですが、他のゲストたちとはコンセプトやイメージを共有したのでしょうか? それとも音楽をゲストに送るだけで後はゲストに任せるという感じでしょうか?

LW:ほとんどの場合、ゆるい感じの指示しかしない。例えば、ララージのときは、彼特有のドローンな感じを曲全体に纏わせてくれたらいいと思って、そういう漠然とした感じを伝えた。僕たちの指示がなくても、ララージは自分で選択した道を歩んで、最終的にあの仕上げ方をしていたと思うけれどね。ブランディーの演奏に関しては、ジャズで言う「コンピング」という、メロディーに合わせて伴奏する形式に近かった。ハープはとても美しい響きを持つ楽器だし、彼女の演奏も素晴らしいから、僕たちの漠然とした指示だけでも良いコラボレーションになった。“Unfolding” と “Talk Meaning” はどちらもオープンな曲というか、余白が十分に残された曲だったから、ララージもブランディーも自分たちが望むような演奏ができたと思う。

アーティストのたまごのような人たちにとって、他の人たちとアイデアを共有したり話し合ったりすることのできるコミュニティがあるということは、お互いの成長を助けるという意味でとても大切だと思う。

前作は自分たちのスタジオでのレコーディングで、今回はLAのヴァレンタイン・スタジオでの録音ですが、どんな違いがありましたか?

LW:前作『IV』は自分たちのスタジオでレコーディングしたから時間的な余裕があった。前作も今作もテープに録音されたものなんだけど、テープ録音をするときは、ある特定の姿勢でその録音方法に取り組まないといけないんだ。だけど、前作は時間的な余裕があったから、細かいことを気にして直したり、セッティングを変えたり、完璧なシンセのトーンを見つけようとしたりして、時間を贅沢に使っていた。僕はオーバーダブを何度もやって、自分のパートや演奏に対して過剰に批判的になって、完璧なものが撮れるまで録音を延々とおこなっていた。でも、LAのヴァレンタイン・スタジオでレコーディングしたときは、状況は全く違うものだった。主な理由としては、スタジオ・エンジニアのニックがものすごく早いペースで仕事をする人で、僕たちがどんな提案や難題を彼に投げても、つねにレコーディングする準備ができているというタイプの人だったからなんだ。だからニックはバンドのもうひとりのメンバーみたいな感じだったよ。さっきも話したように、今回のアルバムでは、曲を事前にしっかりと練習していたから、自分たちがやりたいことが明確になっていた。だから今回のレコーディングの方が、前回よりもずっと少ないテイク数で終了した。通常なら、僕たち全員が満足するものが撮れるまで何度もレコーディングするんだけど、今回は全ての曲が4テイク以下で済んだ。

前回のように、レコーディング機材のセッティングは頻繁に変えて工夫しながら録ったのですか?

LW:セッティングは少し変えたけれど、全ては僕たちがアクセスしやすいようにセッティングされていた。機材に関しては、ヴァレンタインは60年代に作られたスタジオだから、そこにあった機材の多くは、僕たちが最も好きな60年代という時代からのものなんだ。そういう機材に囲まれてレコーディングできたのもアルバムに影響を与えたと思うよ。保存状態が完璧なヴィンテージのマイクや、美しいミキシング・コンソールや外付け型のプレアンプやイコライザーなどは、アルバムのプロダクションに大きな影響を与えたと思う。楽器に関しては、僕たちはトロントからLAに行ったから、必要最低限のものしか持っていかなかった。僕はサックスとフルートを持っていき、チェスターはベースを持っていき、アレックスはシンバルを持っていったけれど、それ以外のものは全てスタジオに完備してあった。ギターやアンプなど素晴らしいコレクションが備わっていたよ。僕がいままでに触ったピアノや聴いたピアノの中で最も美しい音を出すスタインウェイのグランド・ピアノもあったし、フェンダーローズもあった。そういう素晴らしい楽器がたくさんあったから、実際に自分たちでそういう楽器を弾いてみると、とても良い刺激になった。

いまの時代は技術革新が進んでいるから、スマートフォンやノートパソコンを使える人なら誰でも、良い作品を作ることが可能だと思う。でも僕は音楽というものは、それ以上に、コラボレーションが基盤となっている活動だと思っている。様々な人たちと様々な環境で一緒に仕事をしていくという技術を身につけることは非常に重要なことだと思うから、それが将来、不要なものとしてなくならないことを願うよ。

全体の音質作りに関して参考にした作品はありますか?

LW:今回のアルバムのプロダクションや音質作りに関しては、ディアンジェロを参考にした部分があった。だからアルバムをディアンジェロのアルバム『Voodoo』を手掛けたラッセルに仕上げてもらったことはとても重要な意味合いがあった。それから、ブラック・サバスやマハヴィシュヌ・オーケストラ、ジミ・ヘンドリクスといったもう少しヘヴィーな音楽も参考にしたし、ルディ・ヴァン・ゲルダーが手掛けた昔のジャズ、例えばコルトレーンやウェイン・ショーターなどによる素晴らしい音響のレコードも参考にした。プロダクションやアレンジメントやテクスチャや即興に関しては、アルトゥール・ヴェロカイのレコードを今回も参考にしているよ。

ラッセル・エレヴァードはこの新作にどのように関わっていますか?

LW:彼は素晴らしい音楽をたくさん手掛けてきたレジェンドだ。そんな人と一緒に仕事ができたということ自体が光栄で素晴らしい経験だった。彼とスタジオに入って、彼の作業を実際に見ることができたら最高だったんだけど、パンデミックの影響で残念ながら、彼と実際に会って仕事をすることはできなかった。アルトゥール・ヴェロカイとララージとブランディー・ヤンガーがオーバーダブをしたパートはデジタルでレコーディングされたんだけど、それ以外の僕たちのパートは全てアナログでレコーディングされたものだった。それをラッセルに送ることによって、ラッセルはそのプロセスを引き継いでくれた。彼はミキシングのときはプラグインを一切使わないし、素晴らしいアナログ処理の機材を所有している。彼は僕たちの素材を全て上手にまとめ合わせてくれて、温かみのある層を加えてくれた。それにミキシング・エンジニアとしての絶妙さというのにも長けていて、アルバム全体にかけて、テクスチャやトーンのニュアンスを絶妙に調節してくれた。曲を書いて演奏した僕たちでさえあまり気づかない箇所も彼は微妙な処理をしてくれて、音楽全体を素晴らしいものに仕上げてくれた。

ところで、新作から逸れますが、初期の活動場は、アレックスのお父さんが持っていて提供してくれた地下室だったり、チェスターのお父さんがあなたたちの好きなヤマハ・シンセサイザーの CS-60 を探し回って見つけてくれたりと、ファミリーの応援が垣間見られるエピソードを記事で読みました。家族やコミュニティとの関わりもBBNGの活動の重要な点だと感じますが、あなたたちが家族やコミュニティとどのように関わり合ってきたのか教えてください。

LW:そうだね、家族は僕たちにとってものすごく重要な存在だ。アレックスの父親のビルは、昔からバンドのいちばんの支援者だった。ビルはいつも僕たちのことをライヴ会場まで車で連れていってくれたんだ。ライヴのときは、機材を車に積んだり、降ろしたり、会場内へ運んだりしないといけないから、彼のサポートは本当に心強かったよ。最近はパンデミックの影響であまりバンドの家族と会うことができなくなってしまったけれどね。僕の両親はカナダにいるんだけれど、かなり遠く離れているから、ここ2年くらい会っていないんだ。でも今度トロントにまた引っ越してくるからもうすぐ会える。僕の両親も僕の音楽活動をずっとサポートしてくれているよ。コミュニティに関しては、アーティストのたまごのような人たちにとって、他の人たちとアイデアを共有したり話し合ったりすることのできるコミュニティがあるということは、お互いの成長を助けるという意味でとても大切だと思う。ただそれも最近のパンデミックのせいで、ライヴが開催されなくなってしまったから、友人に会う機会も減ってしまったし、友人のアーティスト活動をサポートするのも難しくなってしまった。でも、通常の状況においては、そういうコミュニティ内でサポートをし合って、成長していくということが僕にとってはとても大切なことだったね。

最後に、これからの音楽シーンに関して思うことを教えてください。

LW:いまの時代は技術革新が進んでいるから、スマートフォンやノートパソコンを使える人なら誰でも、良い作品を作ることが可能だと思う。それはすごいことだと思うし、多くの人にそのアクセスがあるということは良いことだと思う。でも僕は音楽というものは、それ以上に、コラボレーションが基盤となっている活動だと思っている。様々な人たちと様々な環境で一緒に仕事をしていくという技術を身につけることは非常に重要なことだと思うから、それが将来、不要なものとしてなくならないことを願うよ。人と一緒に音楽をやることの良い点というのは、コミュニティが育まれ、広がっていくということ。そのコミュニティが、個人やアーティストとして成長できる場になるし、活躍する機会も増えて行くと思う。お互いの成長や発展をサポートし合っているコミュニティに多く広く所属している方が、成功する機会も増えていくと思うんだ。音楽業界で成功するのは難しいことだと思うけど、人と関わっていく技術や、コミュニティを大切にするということは成功する上でとても役に立つと思うよ。

スマーフ男組 - ele-king

 スマーフ男組、その名前からしてマッチョイズムのパロディになっているこの3人組——マジアレ太カヒRAW、コンピューマ、アキラ・ザ・マインド——は、90年代に活躍した実験的ラップ・ユニット、Asteroid Desert Songs (A.D.S.)を母体とし、よりエレクトロ(彼らは初期トミー・ボーイなど、オールドスクールのエレクトロ狂でもあった)にフォーカスしたグループとして1997年に始動、そして2007年に1枚だけアルバム『スマーフ男組の個性と発展』を発表、やがてシーンから消えていった。しかしながら彼らのあまりにも独創的なその音楽は、忘れられることはなかった。むしろ年を追うごとに彼らのユーモアと実験精神たっぷりのその音楽は、町の酒場の片隅で、あるいはネット上で、ことあるごとに語られ続け、そして10月20日に未発表曲を3曲加えたかたちでリマスタリングされ発売されることになった。封入されるブックレットには、活動当時のアーカイブ、パーティー・フライヤー、CD発売当時のお祝いコメント、マジアレ太カヒRAWの楽曲解説、磯部涼による解説入りという豪華盤。売れ切れ必至なので、早めにどうぞ。

スマーフ男組
スマーフ男組の個性と発展

Lastrum / MUSICMINE / JET SET

※2LP+Download Code付き
ゲスト・ミュージシャンはZEN-LA-ROCK(FNCY)、Nanao Del Monaco (FATHER)、AYA (OOIOO)。デザインは前田晃伸

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