「K A R Y Y N」と一致するもの

Gary War - ele-king

「セレブ」という言い回しは英語圏だと少しバカにしたニュアンスを含んでいるので、社会に影響力があると認められつつも、そこには様々な留保もつけられている。米フォーブス誌が今年のベスト・セレブに選んだのもジェニファー・ロペスだったし、アンジェリーナ・ジョリーやジョージ・クルーニーがそれほど高すぎない位置にいたのも、彼らの政治活動に対する評価があってのことだろう(3位にジャスティン・ビーバー、8位にケイティ・ペリーw)。そして、100位以内にけっこうな数を占めていたのが右派のディスク・ジョッキーで、なるほど、アメリカにはみのもんたがわんさかいるんだなーと(ボブキャット・ゴールドスウェイト監督『ゴッド・ブレス・アメリカ』に現代のボニー&クライドを気取るふたりがついでのように右派のTV司会者を撃ち殺すシーンがあった)。とはいえ、ラジオの強さは、欧米社会でははよく言われることで、クリア・チャンネル以後の音楽プログラムはともかく、ディスク・ジョッキーの地位が低下したという事実はないらしい。つまり、バグルスは間違っていた! 『ラジオ・スターの悲劇』でもなんでもなかった!(MTVが開局して最初に流した曲もこれでしたが)

 バグルスとしてのリリースが絶えてからも(解散はしていない)、アート・オブ・ノイズやイエスのメンバーになるなど、ミュージシャンとしての活動も諦めたわけではなかったトレヴァー・ホーンが31年ぶりに新たなポップ・グループを結成した。元デル・エイミトリのアシュリー・ソーンやロル・クリーム(元10cc)らと組んだプロデューサーズがそれで、それこそ非の打ち所のないポップスのオン・パレードである。どこかにまだ未来が残っているかのような屈託のなさと、それだけで前に進んでいたともいえる80年代を正確に再現した職人仕事。ポーズだけの苦悩や「感性」という言葉で人を差別できた過去があまりにも懐かしく蘇ってくる。50年代のアメリカ映画が極端に明暗を分けていたように、80年代のアンダーグラウンドにはそのすべてを疑う視点が広く偏在していた。しかし、メジャーはどこ吹く風で、ひたすら耳に優しいメロディを量産し、消費することが善だった。それに反発するのではなく、むしろ、アンダーグラウンドに引き入れたとき、レイヴ・カルチャーが急浮上したとも考えられる。だって、ここに再現されているような「屈託のなさ」を拒む理由はなかったから。1986年のクラブ・カルチャーを評して「それはマインドレスだった」という告発が僕の頭から離れたことがない。アンダーグラウンドがいつも正しいとは限らない。いまは......どうなんだろうか。

 現在進行形で同じように屈託のないポップ・アルバムをつくれるのは、おそらくエアリアル・ピンクしかいない。彼にはシッツ・アンド・ギグルズのような裏の顔があることも知っているだけに、なおさらその韜晦性と職人ぶりには驚かされる。『フェアウェル・アメリカン・プリミティヴ』改め『メイチュア・テーマ』(邦題表記は『マチュア・シームス』。エアリアルをアリエルと記すなら「メイチュア」を「マチュア」はわかるけど、「テーマ」だけはなぜ「シームス」と原音に忠実になるのか。教えてアエロスミス!)では「ピンク・スライム」のような社会問題も、それこそトレヴァー・ホーンを思わせる甘いメロディにのせて歌われていく(どんな神経なんだ......)。そして、エアリアル・ピンクのバックから独立したゲイリー・ウォーことグレッグ・ダルトンが(サンバーンド・ハンド・オブ・ザ・マンのテイラー・リチャードスンと結成したヒューマン・ティーネイジャーとしてのデビュー作に続いて)リリースしたソロ3作目もポップ・アルバムの歴史に名を連ねようとするスノッブなヴァリエイションである。

 前作『ホリブルズ・パレード』がエアリアル・ピンクをそのまま宇宙に連れ出したようなヴァージョンであったことを踏襲しつつ、かなり一本調子だったそれに強弱や変化をつけ、遊園地を駆け回っていくような音世界を構築していく。スピード感あふれるアレンジの連打はエアリアル・ピンクの磁場から飛び出そうともがいているかのようであり、エレクトロのリズムに新境地を見出している部分は〈ノット・ノット・ファン〉との共振も予感させる。ここでもいい意味で屈託のなさが功を奏している。リバーブではなく、単純なエコーが冴えているというか(底辺にはいささかクラウトロックが透けて見える)。ダルトンの屈託のなさは、アメリカにモーグ・シンセサイザーのブームが吹き荒れた60年代にも通じ、トム・ディッセルヴェルトブルース・ハークがこのところ活発に再発されていることとも符号は合っている。現実逃避するなら、これぐらい遠くまで行ってしまえよということなのだろうか。ズンズンタッタ、ズンズンタッタと機械的に刻まれるベースはとにかく先へ進むことしか考えていない。そう、アメリカのあさってに向かって......(いままでデタラメだったアートワークもようやく内容と一致してきた。クレジットを見てびっくりだったけど!)。

Chart JET SET - ele-king

Shop Chart


1

Lindstrom - De Javu / No Release (Smalltown Supersound) /
Lindstromが今年の頭にリリースしたフルアルバム『Six Cups Of Rebel』からのリミックス・カット第2弾作品!アルバム中で最も強烈な存在感を放っていた"Deja Vu"をRub-N-Tugが更なる高みを望むアシッド・ディスコ・ダンサーへと昇華させた卒倒覚悟の衝撃作品!

2

J Rocc - Minimal Wave Edits Vol.2 (Stones Throw) /
Nyブルックリンのカルト・エレクトロ発掘レーベルMinimal Waveの音源をP.B.W.が監修した、例のコンピ・シリーズから派生したリミックス・シングル第2弾。

3

Onra - Deep In The Night (Fool's Gold) /
デジタルでの先行配信で既に盛り上がりを見せていたブツが、UsのFool's Goldより待望の12"リリース! 誰もが待ち望んでいた路線だけにファンならずとも要チェック!

4

Trinity (Sadat X, Ag & Dj Jab) - Sunshine (Fat Beats) /
これまに数々のクラシックを残してきたレジェンド=SadatxとA.G.、プロデューサー/DjのDj Jabの三つ巴ユニットがこのTrinity Project! とりあえずタイトル曲がヤバすぎます!

5

Teengirl Fantasy - Tracer (R&S) /
脱臼ベース鬼才Actressリミックスを搭載した前12"『Motif』で好調のベルジャン老舗R&Sへと電撃を果たしたレフトフィールド・ポップ・デュオがヘッズも驚愕の強力アルバムを完成です!!

6

Funkineven & Fatima - Phoneline (Eglo) /
『Follow You』も当店メガヒットしたスウェーデン出身のソウルSsw、Fatimaと、漆黒のドファンキー鬼才Funkinevenがガッツリ手を組みました! 極上のエレクトロ・フューチャー・ソウル!

7

Chris Coco - Freedom Street (Melodica) /
ロンドンのチルアウト職人Chris Cocoによる超絶品アルバム!!ゆったり柔らかいオーガニック・ダブ・サウンドに多彩なヴォーカルをフィーチャー。何もかもトロける特大傑作です!!

8

Adrian Sherwood - Survival & Resistance (On-U Sound) /
ソロとしては6年ぶりとなる3作目。ダブ~レゲエを下敷きに、ジャズやブラジル音楽、エレクトロニカの要素も取り込んだ極上のチルアウト・ベース・ミュージックが完成です!

9

Mala - Cuba Electronic (Brownswood) /
ダブステップのパイオニアDigital MystikzのMalaが、Gilles Petersonと共にキューバで制作した話題の新作『Mala In Cuba』からの先行12インチ・カット!!

10

Roland Tings - Milky Way (100% Silk) /
既に大変な反響を呼んでいる新鋭Roland TingsのデビューEp。100% Silkど真ん中のアーリー~アシッド・ハウス通過ベッドルーム・フロア・サウンド!!

DJ KAZUSHI (DUB FRONTIER) - ele-king

1983年福島県浪江町生まれ。
2011年から拠点を仙台に移し、DJ YA△MA DJ MONGOOSE DJ CMTなど第一線で活躍するアーティストを招集し仙台CLUBシーンに一石を投じる。2012.8月に祈りを込めたMIX CD [living stone MIX]をTHE BRAVE NEW RECORDS.よりRelease!

DJ KAZUSHI Blog : https://djkazushi.blogspot.jp/

まだまだ現状は何も変わっていない。復興への祈りを込めた10選


1
Miles Davis - In A Silent Way - COLUMBIA

2
The orb - star 6 & 7 8 9 - BIG LIFE

3
kinetic - golden girls - R&S RECORDS

4
The irresistible Force - nepalese bliss(DJ Food remix) - Ninja tune

5
Global Communication - 9:25 - Dedicated records

6
Coco / Joe Thomas

7
From Silence fall into the silent mix / TYCOON TOSH

8
Orbital - BELFAST - FFRR Records

9
DR.BUZZARD'S ORIGINAL SAVANNAH BAND - Sunshower - RCA Records

10
KLF - DOWN TOWN - The Jams the sound of mu(sic)

 8月2日(木曜日)、〈ハウス・オブ・ヴァンズ〉にて、ワッシュド・アウト、チェアリフト、レモネード......というツボをついたラインアップがあった(https://www.brooklynvegan.com/archives/2012/08/washed_out_play_2.html)。
これに行こうかなと思っていた矢先に、〈カメオ・ギャラリー〉で、ジーノ・アンド・オークランダーがプレイすると聞いた。『エレキング』に載ってるローレル・ヘイローも出演するという。これは興味深いと「女性と電子音楽」がテーマのエレキング・ブック『vol.6』を持参した。その『vol.6』をジーノ・アンド・オークランダーのリズに渡すと、興味深そうに自分たちのインタヴューを読み(見て)、共演の日本人アーティストのナオ・キタフチに「なんて書いてあるの?」と質問攻めにする。 
 会場の〈カメオ・ギャラリー〉は、ラヴィンカップ・カフェの奥にあり、カフェと  会場を行ったり来たりできる。近くに、ラ・サラ(音楽会場)/カンティナ・ロイヤル(レストラン)もあるが、ショーを見にきた人も、食事しに来たお客さんもミックスで出演バンドたちがブースでハング・アウトしているのが見れる。

 ローレル・ヘイローは、ショーを通して「男前」な印象だった。長い髪を振り乱し、スニーカーに半パン 、Tシャツというラフな格好で、目の前にある機材をすらすら操る。ネオン色のライトが照らされ、ところどころでスニーカーのラインが蛍光ピンクに光り、妖艶な雰囲気をも醸し出していた。観客がステージ上の彼女ひとりをじーっと凝視している図は少しおかしな感じがしたが、みんな真剣に見入っていた。   
 それに比べてジーノ・アンド・オークランダーは、見せるライヴだった。インタヴューで「毎回ライヴは違う」とリズが言っていた通り、前回見たときと印象は違った。前回は、初めて見たので、すべてにおいて新しい感じだった。今回は基本の流れと、次に来る物が何となく想像できた。目新しさより、瞬間瞬間に音を作り上げていく、ふたりのやり取りが興味深かった。明確な合図はないのだが、ピンポイントで互いの音を受け止め、横に上に広げていくのは、長年築き上げたチームワークなのだろう。突然登場するリズのフランス語のヴォーカルも音に沿っていて、音楽というより見るアートピースであった。

Laurel Halo/Xeno & Oaklander@ Cameo 8/2/2012
photos by Daniel Catucci

 次の日金曜日は、「セレブレート・ブルックリン」という毎年夏にプロスペクト・パークで開かれるイヴェントにワイルド・フラッグ、ミッション・オブ・バーマ、テッド・レオを見に行った。会場には簡易シートがあり、その後ろや横の芝生にもシートを引いて、のびのびしている人たちがいる。
 今回のショーはフリー(任意で$3の寄付)で、野外だというのに、サウンドも悪くなく、電飾も凝り、プロフェッショナルなカメラが数箇所で動き、後ろからでも、スクリーンで見ることができた。オーディエンスの層がウィリアムスバーグと違って、マナーのある大人で、オールエイジだからか、子供も多かったし、隣に座ったお姉さんもとても爽やかに席を譲ってくれた。

 ミッション・オブ・バーマは、経歴が長いだけあり(80年代から活動している)、演奏がタイトで安心して見れた。オーディエンスも年配なのだろう、みんな椅子に大人しく座って見ていた。ワイルド・フラッグがはじまると、どこからともなく人が現れ、椅子のあいだを立っている人が占領した。係員が「スペースを開けて!」と注意していたが、すでにロックしはじめたオーディエンスは言うことを聞くはずがない。私の隣では、子供も踊っていた。

セレブレート・ブルックリン
Wild Flag at Prospect Park - photos by Amanda Hatfield@BrooklynVegan

 ワイルド・フラッグを見るのは3回目。出てきた瞬間から大きな声援で、彼女たちの人気が伺える。キャリーは黒のトップにタイト・パンツ。メアリーは赤のボーダートップに黒のタイトスカート、レベッカは白黒ボーダーシャツに黒スカート、ジャネットはフロントに光ものがついた黒のドレスと、すでにキャラ分けもできている。
 全員女の子で、ステージに華があるし、みんな歌える。コーラスにも熟練を感じる。日本でまだ人気が出ないのは、このど迫力のライヴを見ていないからだと思う。演奏している彼女たちからは目が離せないし、スーパー・バンドと呼ぶに相応しいオーラを放っていた。

Wild Flag @ Propect Park Band Shell 8/3/2012
photos by Amanda Hatfield@BrooklynVegan

 こういった野外ライヴは、プロスペクトパーク以外にも、ウィリアムスバーグパーク、マカレンパーク、サウスシーポート、ピア84などで毎日のようにやっている(今週のセレブレート・ブルックリンは、元ダムダム・ガールズ、ヴィヴィアン・ガールズなどのフランキー・ローズとリトル・ドラゴン)。ニューヨークでライヴを見たいなら夏はオススメの季節だ。フラッと遊びに行くといろんなミュージシャンにも出会えるし、現実逃避もできる。

 行け行け行け行け! の続報である。
 先日のニュース欄でとりあげたアニマル・コレクティヴの新曲"トゥデイズ・スーパーナチュラル"にダニー・ペレズの映像がついた模様。行け行け......にあおられて画面を疾走するのはインドネシアのバロンや日本の獅子舞などを思わせる獅子型スーパーナチュラルだ。小型のカートにあしらわれた獅子の頭が、長い布をひきずって砂地を爆走していく。色彩もあざやか、豪快なドライヴ感、やはり新作のメッセージは超エネルギッシュなものでありそうだ。
 ダニー・ペレズはアニコレの盟友とも呼べるヴィジュアル・アーティスト。ブラック・ダイスのローディーだったこともある彼は、グッゲンハイム美術館でのインスタレーションほか、サンダンス映画祭で上映されたヴィジュアル作品でもアニマル・コレクティヴとコラボレートしており、彼らの視覚的なイメージのいち側面をささえてきた重要人物である。パンダ・ベアとの作品のほか、さまざまなイヴェントでも活躍し、プリンス・ラマなどアニマル・コレクティヴ周辺人脈とはもちろん、最近のスケジュールではナイト・ジュエルやティーンガール・ファンタジーなどのDJセットにも登場しているようだ。
 ちなみにアニマル・コレクティヴのインタヴューは来月発売の紙ele-king vol.7に掲載されるぞっ。


商品情報:
アニマル・コレクティヴ / センティピード・ヘルツ

US(ドミノ)盤 2012.9.4 

日本(ホステス)盤 2012.8.29

Bob Marley - ele-king

 今週末から東京周辺をボブが駆けめぐる(地方の方は8月30日のdommueをチェック)。9月1日から公開されるボブ・マーリーのドキュメンタリー映画、実に2時間を超える大作『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を記念してのボブ月間のはじまりである。ちなみに監督は、パレスチナ武装組織によるミュンヘン・オリンピック時の「黒い九月」事件を扱った映画『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』を撮ったグラスゴー出身のケヴィン・マクドナルド。ある意味では打って付けと言えよう。
 1981年5月、ガンのためにこの世を去ったボブ・マーリーは、アフリカ大陸をふくめると世界でもっとも聴かれている音楽家だと言われている。彼の反植民地主義を反映した力強いメッセージ・ソングから美しいラヴァーズ・ロックまで、日本全国には数多くのボブからの影響がいまも存在しているので、これを機にみんなで歌いましょう。おのおのの意味を込めて、せーの、「ウィ・ドン・ニィィィィ・ノー・モー・トラボー」

■8/19(日)
『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開記念PARTY
Bob Marley songs Day @海の家OASIS
"ボブを歌ってジャマイカに行こう!"
応募締切8/9。メールまたはオアシスカウンターで。
ボブ・マーリー・ソングス・デーは1994年、OASISではじまり、5月のONELOVE JAMAICAFESTIVALの主要企画としても親しまれ、引き継がれている人気イベント。予選通過した一般応募者が、オアシスバンドをバックにボブ・マーリーを歌い、優勝者にはジャマイカ行きのチケットが授与されます。
場所:海の家OASIS 神奈川県三浦郡葉山町森戸海岸
TEL :049-876-3812(期間中のみ)
時間:14:00〜18:00
料金:Music Charge ¥1.000
guiest:南條倖司 & CHAN MIKA
OASIS https://www.oasis-jahnodebeach.jp/

■8/30(木)
@「DOMMUNE」
著名人らが語るボブ・マーリーとLIVE
場所:DOMMUNE(渋谷区東4-6-5 サンライズビルB1F)
時間:19:00〜
進行:Ackky、DJ Hakka-K
GUEST:工藤Big"H"晴康、ランキンタクシー、ICHI-LOW(Caribbean Dandy)and more...
DOMMUNE https://www.dommune.com/

■8/31(金)
「BOB MARLEY/ ROOTS OF LEGEND release party」
"レゲエ"という一つの音楽ジャンルを世界に広めた伝説のカリスマ、ボブ・マーリー。彼の波乱に満ちた人生、その"素顔"を描いた映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』(ジャマイカ独立50周年記念作品 ボブ・マーリー財団初のオフィシャル・ドキュメンタリー)のリリース・パーティ。レゲエに限らず様々なジャンルからボブ・マーリーの生き様、メッセージに感銘を受けたアーティストが集い彼に因んだパフォーマンスを披露する。ONE LOVE !
場所:eleven(港区西麻布1-10-11 セソーラス西麻布B1/B2)
時間:22:00 open
料金:¥3,000
   ¥2,500 with flyer
   ¥1,000 early bird(〜23:30)
LIVE:Hiroshi Fujiwara +INO Hidefumi
   工藤Big"H"晴康
   NESTA BAND
   渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET/THE ZOOT16/猪苗代湖ズ) and more...
DJ:PART2STYLE SOUND(1TA-RAW/Ja-ge/TAKASHI-MEN)
  SLENGTENGS( 後藤トシユキ/長谷川ケンジ ) and more...
eleven https://go-to-eleven.com/

■9/1(土)
角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー開始!!!!

■9/8(土)
「BOB MARLEY SONG NIGHT」ーボブ・マーリーの歌をみんなで歌おう!ー
15周年を迎えた老舗レゲエ・クラブ"OPEN"のDJたちが、心を込めて選曲します。ボブはもちろん、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラー、リタ・マーリー、ジュディ・モワット......。他のアーティストによるカヴァー、すべて、かけます、かかります。リクエストもOKですよ。
場所:OPEN(新宿区新宿2-5-15-B1 TEL:03−3226−8855)
時間:21:00〜5:00
料金:¥1,000/1drink
出演:工藤Big"H"晴康、絵里奈、レゲリーマン、YU-KO and more!
   只今、出演者募集中です。カラオケ、ギターでの弾き語り、アカペラ、なんでもOK!
   当日の夜11時までに集合してください。
DJ:Mr.NAKAMURA、TAROU、KATSU、Luv Kiyoshi、工藤Big"H"晴康

■9/15(土)
REGGAEでいいじゃないか!〜THANK YOU BOB MARLY〜
場所:warp(武蔵野市吉祥寺本町1-30-10)
   bar Cheeky & warp
時間:warp open 24:00
   bar Cheeky open 21:00
料金:warp ¥2,000/door
   bar Cheeky door free
LIVE:SPECIAL BAND
selector:工藤 Big"H"晴康、山名 昇、AXEMAN、大石 始、RAS KOUSKE、SHlNIS、Massa Tora I &Ras Issy、8×8、Take Hi-Fi and more...
FOOD:world kitchen BAOBAB
warp https://warp.rinky.info/

■9/21(金)
NEW PORT Presents Luv&Dub Paradise at bar bonobo
"DISCO DEVIL & STREET PLAYER"
場所:bar bonobo(渋谷区神宮前2-23-4)
時間:open/start 22:00
料金:door \1,000
Special Guest:工藤Big"H"晴康 and more...
DJ's:DJ AGEISHI(AHB.pro)
   DJ NORI(Smoker/Gallary)
   DJ SHO(HOUSE NATION since1985)
Lounge:DJ Hakka-K(Luv&Dub Paradise)
JAHTOME(Ambient Dub Set)and more...
GJ:魔人
bar bonobo https://bonobo.jp/
Luv&Dub Paradise https://www.luvdub.jp/
NEW PORT https://newport1999.com/


『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』
9/1(土)より、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター他にて3週限定ロードショー!

監督:ケヴィン・マクドナルド 『ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実』『ラストキング・オブ・スコットランド』
出演:ボブ・マーリー、リタ・マーリー、ジギー・マーリー、セデラ・マーリー
バニー・ウェイラー、ピーター・トッシュ、リー・ペリー、ジミー・クリフ、クリス・ブラックウェル
エグゼクティブ・プロデューサー:ジギー・マーリー、クリス・ブラックウェル
2012年/アメリカ、イギリス/144分/1998×1080 1:1.85(FLAT)/5.1ch
原題:MARLEY/字幕翻訳:石田泰子/字幕監修:藤川毅
後援:ジャマイカ大使館、ジャマイカ政府観光局
公式HP:https://www.bobmarley-movie.jp
公式facebook:https://www.facebook.com/bobmarley.rootsoflegend
公式twitter:https://twitter.com/Bmarleymovie


配給:角川映画
宣伝:ミラクルヴォイス
〒150-0033 渋谷区猿楽町26-13 グレイス代官山A棟301
TEL:03-6416-3681 FAX:03-6416-3699 E-MAIL:info@miraclevoice.co.jp

interview with The Orb - ele-king


The Orb Featuring Lee Scrach Perry present
The Orbserver In The Star House

COOKING VINYL/ビート

Amazon

 「if you're thirsty, drink some water(喉が乾いたら水を飲みな)」...... 何をそんなに当たり前のことを。いや、しかしこれは金言、75年以上の人生から来るアドヴァイス(人生訓)なのだ。そろそろ酒の量を減らそう。
 アンビエント・ハウスの巨匠、ブラック・アーク伝説の偉人との共同作業は、これまでのジ・オーブのカタログのなかでもとりわけ気を引く1枚となる。なにせアレックス・パターソンとトーマス・フェルマン、そしてリー・ペリー、この3人のコラボレーションなのだ。我々はいま、新しい惑星(star house)からの新しい電波をキャッチするところなのである。
 おかしくて、神聖で、心地よい電波だ。ジ・オーブ(アレックス・パターソン、トーマス・フェルマン)というレゲエ好きで知られるエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーは、ペリーの酔狂なラップを迎え、彼らのダブワイズを展開している。それは瞑想的というよりも、ダンサブルで、ちょっとファンキーだ。"ポリスとコソ泥"というレゲエ・クラシックのカヴァーも披露しているが、これがまた良い。そして、"リトル・フラッフィ・クラウド"のリフを使った"ゴールデン・クラウド"はなお良い。
 
 コンゴスとサン・アロウとのコラボ作は、暑いこの季節、最初に聴いたとき以上に、あのだらしなさが愛おしくなってきている。ジャマイカのウサイン・ボルト選手とは真逆の、速くない音楽である。チルアウト......、そう、いまやこれは音楽のなしうる大きな役割のひとつとなった。ゆえにダブワイズは新たな空想的なタペストリーを広げているのだろう。
 『ジ・オブザーヴァー・イン・ザ・スター・ハウス』もそうだ。肩の力が抜けて、世界に必要な笑いを取り戻し、そしてちょっと楽になる。

ずっと逆立ちをしてるんだよ。75歳の老人が、逆立ちだぜ? 若かったり、身体すごく鍛えてたり、健康食品ばかり食べてたりとかだったら普通だけど、75歳のジャマイカンが逆立ちだなんて、本当に感動的だよ! 心から感動したね!

いままであなたはいろいろなミュージシャンと共同作業をしてきましたが、あなたにとって今回のアルバムはどのような意味があるものなのか話してもらえますか?

アレックス:これまでの作業と今回の違いは、歌詞の内容だね。ある賢い男が、もっと落ち着いて、もっと水を飲んで、酒は飲むなと世界に語ってるんだ。今回はヴォーカルの内容に繋がりがあるから、それをぶつ切りにして繋げるようなエディットができなかった。いままで俺たちは作品全体に同じヴォーカリストを使ったアルバムを作ったことがないんだ。アルバム全体にここまでヴォーカルが入ったことも、ひとりのヴォーカリストとのコラボだけで一枚のアルバムを作ったこともない。それが今回のアルバムだよ。

あなたはデビュー時からレゲエに関する知識が豊富なことで有名なプロデューサーでしたよね。音楽的にもダブからの影響を取り入れ、〈ワウ! ミスター・モド〉からもビム・シャーマンを出してました。"ブルー・ルーム"ではマッド・プロフェッサーをリミキサーに起用し、「ハイル・セラシエとマーカス・ガーヴェイの会話」を作ったり、レゲエはあなたのずっと身近な音楽でした。そういうあなたが、リー・ペリーの音楽(1)、アート(2)、人間性(3)、メッセージ性(4)についてどう考えているのか教えてください。

アレックス:とにかく、彼はパイオニア。彼がダブ・ミュージックのアイディアのパイオニアだった頃に、俺は彼の音楽にハマったんだ。70年代半ばだな。ある意味、ダブはそれよりもっと前から存在してたわけだけど、彼はダブの世界の中心のひとりだと思う。彼には、独特の効果があるからね。ヴォーカルがより多くて、ディレイやリヴァーブも多い。リー・スクラッチ・ペリーは、そのサウンドの草分け的存在さ。彼の音楽を好きにならないわけがないよな。

アートは?

アレックス:超エクスペリメンタルだと思う。彼の作品には、たくさんの二重の意味が含まれているんだ。

人間性はどうでしょう?

アレックス:彼は本当に優しくて、ジェントルマンなんだ。彼の頭のなかにはつねに課題がある。だからこそ、我々が引きつけられるあの魅惑的な作品を作ることができているんだ。彼の頭のなかはいつも純粋。いつも新しいことに心をオープンにしている。それが、彼が常に素晴らしい作品を作ることができる理由なんだ。

最後にメッセージ性についてお願いします。

アレックス:宗教的だと思う。彼のメッセージは、彼の魂から来てるからね。彼の魂、心、頭から。彼の信じるものが反映されているんだ。

リー・ペリーの作品でもっとも好きなアルバムを3枚挙げてください。

アレックス:スーパー・エイプ』と、ザ・コンゴスの『ハート・オブ・ザ・コンゴス』、あとは......『Lee Perry The Upsetter Meets Scientist - At The Blackheart Studio』その3つだよ。

好きな理由を聞いてもいいですか?

アレックス:まず『スーパー・エイプ』を選んだのは、俺はカヴァーーが好きだから。あのアルバムのおかげで、ダブの魅力を知ったしね。ザ・コンゴスのは、彼の作品のなかでもベスト・チューンのひとつだと思う。リズミカルで楽しくて、クールなんだ。で、最後の『Lee Perry The Upsetter Meets Scientist - At The Blackheart Studio』は、理由を言う必要はないよな? 誰が聴いても絶対に気に入る作品だろ?

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"リトル・フラッフィ・クラウズ"と"似ている"雰囲気を持たせたかったからさ。"同じ"じゃなくてね。だから、まったく同じサンプルじゃなくて、同じ音楽の違う部分を使うことにした。


The Orb Featuring Lee Scrach Perry present
The Orbserver In The Star House

COOKING VINYL/ビート

Amazon

我々がリー・ペリーから学ぶことがあるとしたら何だと思いますか? 

アレックス:この質問は、リー・ペリーにするべきだよ。俺じゃなくてね。でも、俺自身が学んだのは、彼を見てると、年の取り方を学ぶんだ。つねに何かを持続して、つねに変化していく。留まってはいけないんだ。
 彼が言ってたよ。レコードをリリースするだけじゃダメ。レコード自体は動かない。だから自分でレコードを流していかなければいけない。CDを流さなければならないんだ。人生も同じ。ひとつのことに足を取られてはいけない。音楽への愛も同じさ。もし人がいまでもセックス・ピストルズを聴いてるなら、俺からすれば、もっとしっかり生きろって言いたいね。セックス・ピストルよりも、もっと多くの音楽がこの世には溢れてるんだから。もちろんセックス・ピストルズは好きだし、素晴らしいバンドってこともわかってる。でも、彼らはただ1枚アルバムを出しただけなんだ。
 これは例えばの話であって、決して彼らを批判してるわけじゃない。でもとにかく、動けってこと。つねに進まないと。川の流れのようにね。川も流れが止まれば、汚れていくだけだろ? 音楽も同じさ。音楽も流れを意識しないといけなんだ。変化させていかなきゃ、ただ退屈しておわってしまう。彼を見てると、本当にそう思うよ。彼は75や76歳になっても、つねに新しいことを試し続けて、新しいアイディアを求め続けてる。本当に感銘を受けるよ。音楽面に関しては、ちょっと違うかもしれないけど、ヴォーカルと音楽のバランスを学んだね。ここまでヴォーカルを取り入れた作品は初めてだったから。

2004年のメキシコのフェスティヴァルで出会ったのが今回のコラボレーションのきっかけだったそうですが、具体的にはどのように進んだのですか?

アレックス:これもよく聞かれる質問なんだけど、どこからがストーリーのはじまりかは正確にはわからないんだよな。彼に初めて会ったのは、2001年だったし。フィンランドの音楽フェスティヴァルで会った。そのあと2003年にもロンドンで会ってるし、そのあともどこかで会ったし。その次が2004年のメキシコかな。
 それがきっかけになった理由は、クルーの規模も断然大きくて、本当に楽しかったから。1週間くらいそこにいたから、これまで以上のもっとお互いを知ることができた。で、2年半くらい前にマネージャーと話してて、リー・スクラッチ・ペリーみたいな誰かと一緒に何かやるべきだってことになった。だから彼に連絡をとってみて、一緒に音楽を作ってくれるか訊いてみようってことになったんだ。そしたらオーケーが出たってわけさ。1曲くらい一緒に作れればと思ってたのが、結果的にアルバムを作るまでに発展したんだ。最高だよ。

ということは、先に提案したのはあなたのほうということですよね?

アレックス:ああ。彼からオファーはこなかったね(笑)!

リー・ペリーと一緒に仕事をしてみて、あらためて感銘を受けたことがあれば教えてください。

アレックス:なんどもあったさ! 例えば、彼、ずっと逆立ちをしてるんだよ。75歳の老人が、逆立ちだぜ? 若かったり、身体すごく鍛えてたり、健康食品ばかり食べてたりとかだったら普通だけど、75歳のジャマイカンが逆立ちだなんて、本当に感動的だよ! 心から感動したね! ワーオ! って感じ。彼の身体のなかには、すべての平和が漂ってるんだ。彼が愛するすべてのものとコンタクトをとってる。動物でも、鳥でも。そういう姿をみてるのは、ただただ素晴らしかったよ。

一緒にスタジオに入ってやったんですか? 

アレックス:そうだよ。彼と一緒にスタジオに入って、彼がヴォーカルを担当した。彼ヴォーカルを録ったあと、で、俺たちが音楽だけをリミックスしたんだ。リミックスをしたときは、彼と一緒じゃなかったけどね。彼はスイスの家にいたけど、俺たちが作業してたスタジオはベルリンだったから。

すべては新しく録音したトラックなんでしょうか?

アレックス:すべての曲がリー・スクラッチ・ペリーをフィーチャーしていて、新しいトラックだよ。なにせ彼と会ってからできた曲のほうが多いんだからね。最初はアルバムさえ作る予定じゃなかったんだから。数曲だけ録ろうと思ってたんだけど、彼がスタジオに入ってヴォーカルをやると、彼のおかげで少しヴァーカッションのアイディアを思いついたりもした。スタジオの外で歌いながら木の破片を叩いたりね。

"ポリスとコソ泥"のカヴァーも新しいんですよね?

アレックス:そうさ。あれはカヴァーだけど、まったく新しい作品。とくにベースラインは全然違う。ヘヴィーなベースラインが鳴り響いてるんだ。

実質、どのくらいの時間がかかったんでしょうか?

アレックス:全部を合わせると8ヶ月くらいだったと思う。

それは計画通りの時間だったんですか?

アレックス:どうだろうね......最終的に、7ヶ月の間で、8、9回くらい、家(ロンドン)からベルリンに作業に行って、家に帰って、またベルリンに戻ってっていうのを繰り返した。7ヶ月は、自分たちのなかでは早いと思ってたよ。実際早かったかはわからないけど、とにかく早いなと自分たち自身は感じた。この前アルバムを書くことを決めたと思ったら、もうリリースされるわけだから、やっぱりあっと言う間だったな。しかも、たった2、3日で13曲も新しい曲を書いたわけだからね。
 1週間の予定だったリー・ペリーとのレコーディングで、火曜~土曜の5日でヴォーカルを録る予定だったんだけど、火曜、水曜で全部録り終わってしまった。だから急遽、木曜と金曜で新しい曲を書いて、それを土曜にレコーディングした。リー・ペリーと一緒だったのはその5日間だけで、あとは自分たちでミックスしたよ。

"ゴールデン・クラウド"で、あらためて"リトル・フラッフィ・クラウド"のリフ(スティーヴ・ライヒの曲のサンプル)を使ったのはどんな経緯だったんですか?

アレックス:たしかにまた使いはしたけど、ちゃんと聴けばわかると思うけど、あれは同じリフじゃないよ。同じサウンドであっても、同じスティーヴ・ライヒから書かれていても、ちょっと違うんだ。
 "カウンターポイント"(もとネタになっているスティーヴ・ライヒの曲)について知りたければ、ウィキペディアにいってくれ。また彼のサンプルを使ったのは、"リトル・フラッフィ・クラウズ"と"似ている"雰囲気を持たせたかったからさ。"同じ"じゃなくてね。だから、まったく同じサンプルじゃなくて、同じ音楽の違う部分を使うことにした。
 じゃないと、ただのカヴァー・ヴァージョンになってしまうだろ? 俺たちはカヴァーを作りたかったんじゃなくて、似たような名前と似たような雰囲気を持った、もうひとつの新しい曲を作りたかったわけだから。今回は彼の名前もちゃんとクレジットで公表してるし、彼に許可を得て使用してる。まったく問題ないよ。

"ゴールデン・クラウド"とは何かのメタファーですか?

アレックス:メタファーなんかではないさ。"ゴールデン・クラウド"は"ゴールデン・クラウド"。"リトル・フラッフィ・クラウズ"とは全然関係ないし......まず、アルバム全ての曲のタイトルは、その曲の内容がそれについてだからそのタイトルがつれてる。すべての曲がそうさ。"マン・イン・ザ・ムーン"は、その名の通り月にいる男の話だし、自分が書いた曲にタイトルをつけるときに、その歌詞の内容に関係したタイトルにするのはすごくシンプルで当たり前なことだと思わないか? 歌詞の内容に関しては、リー・スクラッチ・ペリーに聞いて欲しいね。

近年の作品のなかでは、サンプリングやブレイクビートを多用していませんか?

アレックス:これは答えられないね。使ってると言えば何を使ってるかって話になるわけだろ? そういうのは、自分たちが気づけばそれでいい話なんだ。だったらあ、「俺たちはサンプルなんて使わない」って言ったほうがマシなのかもね。いまの世のなか、アプリケーションがこれでもかってほどあるんだし、いろいろなサウンドが溢れてる。もう、サンプリングなんてする必要がないんだよ。「俺たちは、もうサンプリングする必要はない」、単純に、それが答えさ。
 いろいろな音楽から"影響"を受けることはあるかもしれない。でも、それをサンプリングする必要性はもうないわけだ。世界なかのたくさんのバンドが、どっちにしろ他のバンドのコピーをやってる。パイオニアのバンドでない限りはね。だから、パイオニアが作ったアルバムは、他より面白くなる。俺たちがどんなサウンドを作ってるかっていうのが重要なんだ。誰の作品を使ってるかなんて、意味のない質問だよ。
 このアルバムは、3人のパイオニアによって作られてるんだからね。アルバムをすでに聴いてくれたたくさんの人たちや、過去にリー・スクラッチ・ペリーを一緒に作業したことがある人たちでさえも、これは過去10年のなかのベスト・レコードだと言ってくれたよ。俺たちの作品をサンプルの固まりとしてじゃなく、俺たちの作品として聴いて欲しいね。

何度か繰り返して聴いて、とても楽天的な印象を持ったのですが、あなた自身はこのアルバムをどう思いますか?

アレックス:夏っぽく暑くて、温かい、デリシャスなアルバムかな。確実にウィンター・レコードではないね(笑)。ビーチで聴くべきアルバムだよ。熱気のあるバーとかでもいいかもね。すべての曲がフィットすると思うよ。誰も持ってないようなレコードを作ったつもりだから、俺たちオーブの昔の曲を聴いたことない人がたまたまこのアルバムのことを知って、気に入ってくれたら最高に嬉しいね。

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リーは端っこに座って、7インチのテレビでアフリカ映画を見てたんだ。で、俺が、「リー、その映画の意味わかってるのかい?」(言語がわからないから)って聞いたら、「全然! 何言ってるのか見当もつかないよ! でも最高に素晴らしい!」って言うんだよ(笑)。


The Orb Featuring Lee Scrach Perry present
The Orbserver In The Star House

COOKING VINYL/ビート

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今回のアルバム作業を通して、あなたがいちばん嬉しかったことは何ですか?

アレックス:全部だよ。ある部分だけをピックアップして、差を付けることはできない。実質、このアルバムは1週間で作られてるからね。だからまあ、敢えて言うなら、このリー・スクラッチ・ペリーと一緒だった1週間かな。あの1週間は、パーフェクトな瞬間が何回もあったから。今回の作業は、巨大な喜びのジグソーパズルって感じだったよ。

"ポリスとコソ泥"をカヴァーはどうして生まれたのですか?

アレックス:リーと作品を作ることが決まっていたときに、ロンドンの暴動が起きたんだ。俺の家のすぐそばでね。それで、一緒にレコーディングするときにあの曲をやらないかとリーに頼んだ。そしたら彼からOKが出て、カヴァーを作ることになった。暴動の1ヶ月後にレコーディングしたんだよ。

それは面白い話ですね(笑)。今回、ベルリンのトーマス・フェルマン、トビアス・フレウンドのふたりはどんな役目をしていたのでしょうか?

アレックス:俺はジャム、トーマスはチーズ、トビアスはピーナッツバターとでも言っておこうか(笑)。肉はナシだな。俺がヴェジタリアンだから。リーもヴェジタリアンだし。で、ときにはサラダもあるっていう役割分担。
 リー・スクラッチ・ペリーはヴォーカルを担当してる。彼の声がトーマスと俺が作ったレコードから聴こえてくる。トビアスもヴォーカルを担当した。ヴォーカルを担当したというか、ヴォーカルを整えたといったほうがいいかな。彼はヴォーカルを汚れていない、純粋なままのサウンドに聴こえるようにしてくれた。あと、もうひとりトーマス(トム)がいるんだけど、Tom Thiel(トム・ティール)が俺たちのエンジニアだった。で、俺たちのトーマス(フェルマン)は音楽を作ったってところかな。

レコーディング中で何か面白いエピソードがあったら教えてください。

アレックス:ある日みんなでディナーを食べてるとき、そこがドイツのけっこう良い雰囲気のレストランで、ナイフとフォークがテーブルにセットしてあって、ジャズが流れてる感じだったんだけど、リーは端っこに座って、7インチのテレビでアフリカ映画を見てたんだ。で、俺が、「リー、その映画の意味わかってるのかい?」(言語がわからないから)って聞いたら、「全然! 何言ってるのか見当もつかないよ! でも最高に素晴らしい!」って言うんだよ(笑)。で、次の日はハリウッド映画を見てた(笑)。おかしいだろ(笑)?

リー・ペリーの歌っている歌詞で、とくに面白く感じたのはどれでしょう?

アレックス:「酒をいまより控えて、もっとたくさん水を飲め」、このメッセージかな。

ところで、オーブの新作は準備されているのですか?

アレックス:まだ完成はしてないんだけど、コヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラハウスのために曲を書いている。オペラを演出してて、オペラハウスで披露されるんだよ。ちなみに、リー・スクラッチ・ペリーはこれとは全然関係ないからね(笑)。彼のことだから、やろうと思えばオペラもできちゃうのかもしれないけど(笑)。

はははは、他に何かプロジェクトはありますか?

アレックス:あるよ。実は3つくらい抱えてるんだ。4つとも言えるかもしれないけど、まずは3つだな。ひとつはスクリーン。こないだ〈マリシャス・ダメージ〉からアルバムが出たんだ。それから、HFB(High Frequency Bandwidth)。このプロジェクトでは、京都のピクセルジャンクっていうテレビゲーム会社のために音楽を作ってる。2年前は、このゲームのサウンドトラック・ミュージックで英国アカデミー賞にノミネートされたんだよ。あれはクールだった。自分たちのレーベル、〈プロジェクター・ルーム・レコーズ〉から、ニュー・アルバムの『サイドトラックス』がiTunesでリリースされたばかり。
 あとは、ルートマスターズ。俺と女性アーティスト(ニナ・ウォルシュ)とカントリー・コンボを組んで、カントリー・ミュージックをやってる。こっちはまだアルバムは出てないんだけど、EPが出ている。俺たちは超オールド・スクールだから、ヴァイナルのみだけどね。
 それに、ティー(Tee)っていうプロジェクトもあるんだ。ミスター・ガウディと俺で、ダブっぽいサウンドを作ってる。ピュアなアンビエント・ミュージックで、ピュアなノー・ビートサウンド。あとは......毎週火曜日にはラジオ番組をやってる。8時~10時まで。そんな感じかな。

音楽以外で、いまのあなたが興味あることはなんでしょうか?

アレックス:ほとんどは音楽だけど、あるにはあるよ。サッカー。

いまでもプレイするんですか?

アレックス:いや、もうしないね。昔は学校とか会社でやってたけど。でもどちらかと言えば、バスケのほうがもっとプレイしてたな。若いときはバスケのほうが好きだったんだ。もっとスポーティーだったから。プレイするには最高のスポーツだよ。サッカーは、美しくて素敵なスポーツだと思う。頭を使うんだ。

いま日本では反原発が盛り上がっていますが、あなたの原発に関する考えを教えてください。

アレックス:こっちでは全然情報がないんだよな。食べ物に放射能が含まれてないといいけど......日本に行ったら、もっと状況がわかるだろうね。この野菜は食べない方がいいとか、大丈夫とか。毎回食事するごとにもやしを食べるといいってきいたけど? あと海藻。日本って、どちらもよく食べるんだよな? 元々体にいいし、放射能対策にもなるなんて素晴らしいよね。日本ではサイドディッシュによく出てくるって聞いたから、君たちは知らずに自分たちの身体を守ってるのかも。「My body is my temple」って言葉があるけど、まさにそうだね(笑)。素晴らしい哲学だよ。
 話がずれたけど......とにかく、俺はあまりよくわかってないから、言えるのは、もやしと海藻を食べろってことだね(笑)。原発は、やはり考えないとはいけないと思う。だって、また数年以内に大きな地震が起こるって言われてるんだろ? 太陽フレアも起こるって言われてるよな。それは日本だけじゃなくて俺たちの問題でもある。科学者がそういう情報をちゃんと流して、それを想定した行動をとっていくべきだと思うね。原発に反対することも間違ってないかもしれないけど、原発を無害にする方法も考えるべきかもね。

【LEE 'SCRATCH' PERRY】
生きる伝説=リー'スクラッチ'ペリーの来日公演決定!

2012/10/5 (FRI) 渋谷 O-EAST
OPEN/START 18:00
前売 ¥6,000 (1drink 別途 ¥500)

出演:
LEE 'SCRATCH' PERRY
あらかじめ決められた恋人たちへ
PREPARATION SET
and more!!!

INFO: BEATINK 03-5768-1277 https://www.beatink.com/

【THE ORB JAPAN TOUR 2012】
10.19 FRI @ 大阪 CONPASS
INFORMATION: 06-6243-1666 (CONPASS) https://conpass.jp
10.20 SAT @ 東京 ELEVEN
INFORMATION: 03-5775-6206 (ELEVEN) https://go-to-eleven.com

Jon Convex - ele-king

 『アタック・ザ・ブロック』を制作したエドガー・ライトといえばデビュー作にあたる『ショーン・オブ・ザ・デッド』がいまだに金字塔的作品で、このところ強くなっていく一方だったゾンビを極端に弱い存在にしたことがひとつの勝因ではあったといえる。それを、さらに上回るというか、下回る弱さでゾンビを登場させたのがキューバ初のソンビ映画『フアン・オブ・ザ・デッド(邦題『ゾンビ革命』)』で、いくらなんでも弱すぎるというか、これではゾンビがどんどん増えていくのは不自然かも......と思うほどだった(おかげでキューバ音楽とのマッチングはよかったし、海底のシーンはかなりよかった)。また、アメリカとの関係はやはり複雑なんだなーと思う場面が多々あって、アメリカは圧倒的に強いということを示すためにゾンビの頭部がまとめて刈られていくシーンがあり、そのひとつが地面に転がった瞬間は奇妙な間も含めてなかなか印象に残る場面となった。ゾンビの首がちょっとかわいかったんですよね。

 頭部マニアなのか、インストラ:メンタルの抽象路線とはやや様変わりしつつ、ジョン・コンヴェックスのファースト・ソロにはまたしてもキャサリン・Wの頭部がデザイン的にシリーズで使われている。アルバム・タイトルは「アイドル」と読ませたいんでしょうか。前半が英語で後半はローマ字? とはいえ、キャサリーン・Wが低い声でボソボソと歌う感じは(なんとなく「エイジ・オブ・ラヴ」なんだけど)アイドルのイメージからは遠くかけ離れていて、ある種のSM的イメージを浮かび上がらせる。つーか、単純に混乱させられる。村上隆の作品を初めて見せられた欧米人の感覚はこうだったかも......しれない。

 先行シングル→https://soundcloud.com/surus/jon-convex-fade-convex

 抑制の効いたオープニングからアルバムは全体にスキューバやジミー・エドガーとは雰囲気の異なるストロング・スタイルのエレクトロやゴツゴツとしたテクノで占められ、ロスカと同じくケヴィン・サンダースン的なセンスを随所で感じてしまうと同時に、ソロの石野卓球にも近い資質を感じさせる(あるいは、その原型であるジョーイ・ベルトラム=ニュー・ビートとデトロイト・テクノの交点に彼は現れた)。拷問と快楽が紙一重で混在する極端なストイックぶりには、ルーシー以降のコールド・ミニマルや、16ビートを志向しないシンセ-ポップ・リヴァイヴァルがファクトリー・フロアー(やトレヴァー・ジャクスンのミックスCD『メタル・ダンス』)のようにビートを強化してインダストリアルな傾向(=ミニマル・ウェイヴ?)に突進しはじめたこととも共振性はあるだろう(むしろアンディ・ストットやマルセル・デットマンのような生真面目な快楽主義とは、どことなく相容れない?)。太鼓の乱れ打ちを思わせる「ディソレイション(孤独)」がとくにいい出来かな(また、同じインストラ:メンタルからアレックス・グリーンもボッディカ名義でジョイ・オービソンとナイス・コラボレイションを連発中で、ボッディカもエレクトロ主体ながらだいぶ奇妙な方向性を示しているし、すでに9曲はあるわけだから、このタッグのままでなんとかアルバムもやって欲しい限り)。

 唐突にダブステップを取り入れたクリスチャン・ヴォーゲルの14作目も結果的にはストロング・スタイルのエレクトロに聴こえる作品を完成。新機軸を取り入れているのに、なぜ『慣性の』というタイトルにしたのかはわからないけれど、スペインのバレエ団のために2枚のアルバム制作していたため(これがいい!)、いわゆるダンス・ミュージックのアルバムとしては5年ぶりとなった。もともと、アブストラクトな感性をあふれんばかりに携えてデビューしてきた人なので、どことなく90年代初頭に戻った感もあり、それが円熟味を増して完成度を高めたと聴くことも可能だろう(スーパー_コライダーも呑み込んで!)。『リスケイト137』で自らのルーツ(=チリ系)を全開にした時もちょっと感動があったけれど、ややこしいリズムの連打にはやはり心が和んでしまう。波をイメージしたらしきエンディングは意外にもガス(マイク・インク)を思わせるアンビエント・タッチ。

七尾旅人 - ele-king

新しい希望の歌文:桑田晋吾

七尾旅人
リトルメロディ

Felicity

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 このアルバムの音源が届いてから、毎日聴いた。十数回ほど通して聴いたあとに、思った。ここでもまた、この稀有な歌い手は、音楽によるファンタジーを呼び起こしている。いままでで、もっとも親しみやすいやりかたで。そして少し、複雑な方法をとって。

 はじめに聴こえるのは、砂嵐のようなノイズだ。ガイガー・カウンターを想起させる不穏な信号音。男が咳きこむ音。およそ20秒の混濁の後、輝く雨垂れのように美しいアコースティック・ギターが、そっと響きはじめる。そうして「圏内」に足を踏み入れた瞬間、この新しい音の旅は、はじまる。いま"きみのそばへ"行くために、乱れた現実のなかを、くぐりぬけていく――『リトルメロディ』は、そんな風にはじまる。
 少なくない反響を呼び起こした"圏内の歌"。この曲のなかでは、雨が降っている。目に見えない物質が含まれた水で濡れた世界を、ガット・ギターとピアノが小さく乱反射しながら描き出す。歌声は、ささやくような「小さな」声だ。雨樋のある屋根。どろんこで遊ぶ子ども。水辺にうつる月。おばあちゃんの話。そのような風景の記憶を持つ人に、この曲は語りかける。「離れられない 小さな町」。それは、例えば「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の20km圏内」の小さな町であると同時に、聴く人の心のなかにある、故郷のような、その人にとって大切なものがある「町」のことかもしれない。その「町」が不条理な力で汚されたとき、人は簡単にその特別な場所を、離れることができるだろうか。どこまでも優しくて綺麗なこの音の奥にあるのは、引き裂かれるような痛みの感覚だ。
 この曲をアルバムのはじめに持ってくることは、大きな決断だったはずだ。曲の美しさとは別の場所で「メッセージ性」が発生して、それによってはじかれてしまう人もいるかもしれないから。でも、この『リトルメロディ』と題された作品は、この曲を必要とした。あの日以来の現実に基づいた歌を響かせて――ある種の「重し」を聴き手の心にくくりつけてから――七尾旅人は、聴き手を飛翔させようとする。彼がずっと信じ続けてきた、「歌」という翼で。そして"my plant"で「圏内」をもういちどくぐりぬけ、歌は、湘南などの圏外の世界へ向かっていく。

 『リトルメロディ』は、七尾旅人の作品のなかで、もっとも抑制されたアルバムだと思う。サイケデリアも、奇抜さも、この世界では鳴りを潜めている。そしてそれが、これまでの七尾旅人の作品とは違った種類の、曲と聴き手の親和性の高さを生みだしている。"湘南が遠くなっていく"(森俊之編曲)"サーカスナイト"(Dorian共編曲)"七夕の人""Memory Lane""リトルメロディ"。耳に残るメロディがいくつも散りばめてある。普通のJポップ・歌謡曲として流れても違和感のない曲が並んでいる。爪弾かれるアコースティック・ギター、太田朱美が奏でる風のようなフルートが、夏をメランコリックに広げる"Everything is gone"。そして"Rollin' Rollin'"に続くヒット・ソングとなるだろう、甘く苦い"サーカスナイト"。まるでサザンオールスターズのような夏の物語"湘南が遠くなってゆく"。切ない感覚を残すメロウな3曲が続き、アルバムのハイライトを作る。"七夕の人"から"Chance☆"までの煌めきが、後半をファンタジックに染めあげる。そして、コスガツヨシを迎えてエモーショナルに響く"Memory Lane"。そこで聴こえる真っ直ぐで伸びやかな歌声も、七尾旅人の新しいステージを感じさせる。

 「おまじない」("アブラカダブラ")をかけること、かけようとすること。「おまじない」にかかること、かかろうとすること。それはいま、とても難しいことだろう。おそらくこの国の(戦後の)ファンタジーにおいて最大級の影響力を及ぼしてきたと言えるであろう宮崎駿も、東日本大震災の後、「いまはファンタジーを作るべきではない」と言った。
 震災によって非日常的な状態が日常に入り込んでしまった新しい現実の後、なお音楽による「ファンタジー」を呼び覚ますとはどういうことなのか。この『リトルメロディ』には、七尾旅人のひとつの答えが示されている。いま、ファンタジーという言葉を使うこと自体がとても難しい。書きながらそう思っているけれど、僕がここで考えているのは、このような意味でのファンタジーの力のことだ。

 「ダンスを踊ったり、音楽を聴いたりするときと同じように、物語を頭だけでなく、心と体と魂で読むならば、その物語はあなたの物語になる。そしてそれは、どんなメッセージよりもはるかに豊かなものを意味するだろう。それはあなたに美を提供するだろう。あなたに苦痛を経験させるだろう。自由を指し示すだろう」「彼ら(ファンタジーの紡ぎ手たち)が回復させようとしている感覚、取りもどそうとしている知識は、ほかの人たちがほかの種類の生活を送っているかもしれないどこかほかの場所が、どこであるにせよ、どこかにあるというものだ」(アーシュラ・K・ル=グウィン著・谷垣暁美訳『いまファンタジーにできること』河出書房新社)

 『ゲド戦記』の原作者のこの言葉は、七尾旅人の歌、『リトルメロディ』にも当てはまると僕は思う。『リトルメロディ』と同じように、『911fantasia』も、大きな力が作動した後に作られた。でもふたつの作品には、対極的といっていいほどの大きな違いがある。
 『911fantasia』では、「おじいちゃん」の「独り言」に、すでに死んだ子どもが相手をする。世界を覆ってきた「幻」について語る「おじいちゃん」も、じつは幻に捕えられていたという、ある意味でかなり怖い構造を持っている。幽霊や幻から目覚めようとする巨大な物語は、最後に「いつまで(幻のなかを)探してるの?/なんだかおかしいわ」と、「此処」にいる「歌」が応答することで終わる。その意味では、『911fantasia』は「ここにある歌」に立ち返ろうとする作品でもあった(そのための旅が、あまりにも大きすぎたのだが)。『911fantasia』に収められた一片の宝石"Airplane"は、「あの飛行機」に乗る女の子の視線を宿して創造された。七尾旅人の想像力が、高度何千メートルの、乗ることが不可能な飛行機のヴィジョンにまで羽ばたく。その飛行機は、この現実世界で起こった事実のなかの飛行機であり、しかし同時に「外の世界」の出来事のなかの飛行機でもあっただろう。でも"圏内の歌"、『リトルメロディ』は違う。七尾旅人は、現実の福島に赴いている。実際に七尾旅人や僕らの生きるこの国の「町」や人の歌物語だ。そこに、『リトルメロディ』の光の秘密があるように思う。

 この作品の最後の歌の最初の瞬間、もういちどノイズが訪れる(歌詞の通りに耳を澄ませてこの曲を聴くと、何か巨大なものが湧き上がってくる音、風になびくような微かな歓声など、繊細なサウンド・デザインによる音の景色が聴こえる。そしてまた、水晶のようなピアノの響きが)。この"リトルメロディ"に託された想いがどんなものなのか、ここで説明するまでもないだろう。七尾旅人が創った、新しい希望の歌。最後の瞬間に子どもが口ずさむ言葉が、余韻を残していく。
 大きな悲鳴のあとで、もういちど、心から「わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)」と歌うことができるように。『リトルメロディ』に、僕はそんな願いを感じる。素敵な作品だと思う。

 「朝に夕に仰ぐ星と同じく現実なのです。そして、翔びたいと願うものは誰でも、歌と引きかえに翔ぶことができるのです。/歌の力によって人が肉体を離れる瞬間に、唇は語ることをやめますが、歌はなおもつづき、人が翔びつづけるかぎり歌もつづくのです。もし今夜、わたしが肉体を離れるとすれば、皆さんにも覚えておいてほしいのです。歌は終わることなしと」(トマス・M・ディッシュ著・友枝康子訳『歌の翼に』国書刊行会)

文:桑田晋吾

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小さなメロディにおける両義性 文:橋元優歩

七尾旅人
リトルメロディ

Felicity

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 七尾旅人はこれからもフォークのスタイルをつづけていくのだろうか。『リトルメロディ』は美しいが、どこか不自由で息苦しい印象を受ける。筆者にはその理由の一端が彼のフォークにあるように思われる。かつてあれだけ多様な音楽性を乱反射させていた七尾がなぜこのスタイルへ向かったのか。

 そもそもの1作目から言葉が渦を巻いていたわけだから、それが言葉とギターというシンプルな形態に結びついていったのは必然だったかもしれない。デビュー作の歌詞カードを見れば瞭然であるように、はじめそれらの言葉はまったく整理されていなかったが、ひとつひとつがつよい磁石のように、まったくおびただしい音や形式を引きよせているのがわかった。「雨に撃たえば...!」などという表記は、荒唐無稽であるようでいて、物事とその名前や意味がくっつかないでぶらぶらと宙をただよっていたようなあの時期(99年の流行語には学級崩壊やだんご三兄弟があり、改正住民基本台帳法が成立してぶらぶらしたものは数字をつけて管理されようとしていた)の感性をすばらしく圧縮している。

 いま聴き直してみると、そうしたぐちゃぐちゃな表出がやがて現代詩のような体裁をそなえはじめるころに、フォークのスタイルが獲得されていったようにみえる(『ひきがたり・ものがたりVol.1 蜂雀』)。言葉の序列が整ったことがフォークを呼び寄せたのか、フォークへ行きついたことが言葉を整えさせたのかはわからないが、それは朗読や物語りを編むまでに研磨されて、やがて『911ファンタジア』へと結実していく。その意味で『911ファンタジア』はプログレッシヴなフォークというふうに言えるかもしれない。その後に発表されるのが前作『ビリオン・ヴォイシズ』である。

 これらの作品にあってそのスタイルは挑戦であり先鋭性そのものであった。フォークにおいて社会的なテーマ性が往々にして硬直してしまうという難点を、ただ切り離して四畳半フォークへとスライドさせてしまうのではなく、音楽自体を研磨することで踏み抜いてしまう......つまり食えないプロテスト・ソングではなくジューシーなプロテスト・ソングを組み上げていた。「プロテスト」という言葉自体が硬直しているため、そのように言ってしまうと作品のイメージをとてもせまく限定的にしてしまうが、甘い音に固い言葉をのせるなどというレベルをはるかに超え、七尾旅人という大きな創造性のなかに彼自身の社会的な問題意識をきわめて自然に組み込んでいた。"シャッター商店街のマイルスデイビス"などは『911ファンタジア』からの方法的な成果をふまえ、ファンタジーと社会批評とが卓抜なアイディアとパフォーマンスによって縫い合わされた曲だ。そこには「フォーク・シンガーって、いかになにもしないかだと思ってるから」とうそぶく余裕やユーモア、そしてフォーク・シンガーというものの本質的ないかがわしさへの憧れをみることができた。

 こうしたカーヴを描きながら、いま彼のフォークは直接性へと向かっているようにみえる。よりダイレクトに、より平易な表現で、手の届く範囲へ届けたいという思いが本作の背景にあったのではないか。フクシマに材をとった "圏内の歌"は、ここまでパッケージ化されることなく、あくまで肉声での表現にこだわって各地で歌われてきた。震災がひとつの引き金になったのかもしれないが、大胆で融通無碍な七尾のフォームは、小ささというあたらしい倫理へと変容しかけているようにみえる。それはもちろん、これまでの作風のひとつの進化として、ひとりの表現者としての誠実さや真摯さから生み出されたものであるはずだ。

 七尾の近年の活動、とくにライヴ活動には、なによりもつよくコミュニケーションが前提されている。彼のフォーク・スタイルはほとんどそのために選択されているようにさえ感じられた。歌は自己表現というよりは、そこにいる人々に向かって投げられる対話の端緒であり、そのフィードバックをえて再度投げられる。客をいじるのも、ツイッターを組み込むのも同じことであり、彼はそれをとても鮮やかな手つきでみせてくれる。「百人組手」などの取り組みや、ストリーミング配信、さまざまなミュージシャンとの録音やコラボレーションも同様である。七尾はそうして対話の端口をひらこうとするような取り組みを、もうずいぶんとあの黒と麦わらのいでたちでおこなってきた。それはさながら踊り念仏の聖人のようでもあり、各地へおもむき、自分のじかの声が届く範囲の人びとに、彼の信じる歌の力を届けてまわるという"圏内の歌"=小ささの倫理のスタンスは、すでに準備されていたのだとも言えるだろう。

 だが、それならばライヴ・アルバムの名盤を作ることもできたのではないか。スタジオ・アルバムというパッケージングにおいて、七尾の取り組みの価値がうまく取り出されているとは言えない。"エヴリシング・イズ・ゴーン"や"湘南が遠くなっていく""七夕の人"などは普遍的なラヴ・ソングとしての平明さをそなえ、また宛名のついた曲でもあるような直接性もにじませていて、七尾が想定する聴き手の射程がより小さく絞られたというようにもみえる。つまり、小ささの倫理にもとづき、生の声で伝えることのできるライヴやプライヴェートな演奏において引き立つ曲だというようにも思われる。"湘南が遠くなっていく"のシングル盤が湘南地区限定で販売されているのも同様の原理からであろう。だがアルバムのなかではやや一本調子である。さまざまなアーティストとの録音にはとても緊密な空気がある。だが"サーカス・ナイト"や"メモリー・レーン"は、"ローリン・ローリン"を超える一手を打てない。"アブラカダブラ"の微熱のようなサイケデリアや"ビジー・メン"のもつれるようなビートのアプローチも全面化されるわけではない。

 "リトルメロディ"ではこう歌われる。「そしてみつけたよ/小さなメロディ/何千光年の遠すぎる時間を/短い歌で超えよう」......小さなメロディの本質は、その小ささで思いもかけない距離を超えていけるものとして表現されている。歌というものがものを動かす途方もない力について、七尾のような稀有な歌い手には確信があるのだ。だがその「小ささ」とはかならずしも平易さという意味ではないはずだ。「リトルメロディ」によって、自身の大きさを規制してしまってはいけない。ギターと言葉だけで人びとを愉しませ、あるいは煙にまくことの、本質的なうさんくささをもういちど引き寄せてほしい。そのことで自身のフォークのもうひとつの倫理性を立ち上げてほしい。そのように思った。

文:橋元優歩

Various Artists - ele-king

 以下本文--------------------
"原稿投函完了!!ビーチボーイズなんて聴いてんじゃねー!!って勢いで書きました。"

 菊地佑樹 Yuki Kikuchi ?@kikuchi1968xx 2012年6月8日 - 6:55 Echofonから
https://twitter.com/kikuchi1968xx/status/210852388863606785

 例えば、僕も含め平成生まれエレキング読者の人間がアナログ・レコードを買うようになるのは、当たり前なのだが、ノスタルジア(懐旧)に浸るためではないだろう。ノスタルジアの対象となる時代など我々はまだ持ち合わせていない。生まれたときから「バブルというのがあって...それがはじけて....」/「関西で大変な地震」/「てるくはのる」/「宅間守」/「ビン・ラディン」などなど.....が幼少の頃から刷り込まれていた。いや、簡潔に言おう。まだ若いからだ。ノスタルジアなど知らない。
 話がぶっきらぼうに逸れましたが....つまり、生まれたときから音楽といえばCDだったので、アナログ・レコードなどは見たことがなかったし、父親がもっていたドアーズや矢沢永吉のCDを邪険にあつかって傷をつけて再生できなくなるようにしたのが「懐かしい」くらいだ。そんなCDかMDはたまたMP3のデジタルデータしか知らない子供だった人間が物心ついて、青春の時代にアナログ・レコードを手にし「演奏」して思ったことは(アナログ・ターンテーブルの説明書には〈再生〉ではなく「演奏」と記述されている)、「こんな音聴いたことない!」ということ。つまり、新しい感覚。

 さて、本ウェブサイトに掲載されているトュー・ウーンデッド・バーズ『Two Wounded Birds』のレヴューについてだと思われる菊地氏の冒頭の言葉が、今日まで僕の胸につっかえていた。目の覚めるような思いだった。例えばYouTube上でも地域/年代問わずあらゆる音楽が平坦に並んでいるこのご時世に、あえてザ・ビーチ・ボーイズのような誰もが否定しようのない(また、してももう意味がない)ものから、敢えて忌避する意志を示さなければならない強迫観念が籠められているのを感じ、それに恐怖し、しかし、同時に自分はその観念を必要としている気がしたからだ。
 そうだ。2012年8月1日現在において、ザ・ビーチ・ボーイズは単なる金持ちジジイの同窓会バンドめいてるにも関わらず、久々の新作は好評で、アメリカ・ツアーだけでなく来日公演まで果たそうとしている。また、若いバンドについてのレヴューを読んでも、音楽性に言及されるときザ・ビーチ・ボーイズは頻繁に引き合いに出されている。例えば、CDショップで配布されているようなフリーペーパーでインディーのロックやポップのディスク・レヴューなんかでも散見されるのだ。

 「ビーチボーイズなんて聴いてんじゃねー!!」

 しかし、おそらくレヴューされるアーティスト側もザ・ビーチ・ボーイズを好んで聴いているのだ。レヴューする側も、ファルセットをふくむ美しいハーモニーとくれば、アーティストもリスナーもザ・ビーチ・ボーイズが頭に浮かんでしまう。そこでフォー・フレッシュメンとはならないのだ。そういえばブライアン・ウィルソン自身、「ロックにハーモニーを取り入れた最初のバンド」だとDVD『アン・アメリカン・バンド』で語っていたっけ.....。

 89年に東京に生まれ育っている人間(例えば僕)が60年代アメリカの音楽であるザ・ビーチ・ボーイズをノスタルジアとして聴くことは難しいが、ヴァーチャルなノスタルジーに浸ってしまう可能性はある。2011年に作られた音楽を数えるほどしか聴かず、ザ・ビートルズとザ・ビーチ・ボーイズとレッド・ツェッペリンに胸を焦がされていたのだとしたら......これはヴァーチャルなノスタルジーだったのだろう。僕は中学生のころからザ・ビーチ・ボーイズばかり聴いてきた。つい最近もUKオリジナル『Sunflower』のアナログを購入して喜んでいるような人間だ。野田編集長にはこう言われた。「斉藤くんは若いのに、ホント、古いのが好きだよね、おじさんとしては嬉しい限りだよw」。うっ.....僕は返す言葉もなくグラスの底のビールの一滴ほどを口に滑らせるしかできなかった。

 そして後日、野田編集長から「斎藤くん、これ好きでしょ」と渡されたのが、本作、英仏ジョイントの新興レーベルである〈ZAPPRUDER〉のコンピレーションCDだ。レーベル〈もしもし〉や〈キツネ〉あるいは同じく英仏レーベルである〈ビコーズ・ミュージック〉を容易に彷彿とさせる、潮っけのあるシンセサイザーが全編で鳴り渡っている。そうですよね。いま夏ですし、僕はホット・チップとかザ・ビーチ・ボーイズが大好きだから、こういうの好きです.....。
 しかし、この音楽は、ヴァーチャルではなく、完全なノスタルジーだ。これこそがノスタルジーだ。初めて1曲目を再生したとき、2009年ごろに渋谷のライヴハウスなんかにこういうのっていなかったかななどと思った。ところがどっこい、実際にはそれどころではないことが、2曲目がはじまった瞬間にわかった。この音楽は聴いたことがある。ゼロ年代のシンセ・ポップ、ああ、すばり〈ビコーズ・ミュージック〉のメトロノミーじゃないか! そして、ほんのひとかけらのホット・チップ。日本で言うなら、シグナレス? なぜ、まだ若い僕が、2012年の音楽を聴いて、4年前の音楽を懐旧しなければならないのか!

 その2曲目、実際にメトロノミーとの人脈をもつナスカ・ラインズ(NZCA/LINES)の"Okinawa Channels"の響きは、海外からの旅行者が沖縄で(あるいは、そのヴァーチャルなノスタルジアで)チルアウトしてるというよりも、毎年のように沖縄に旅行している在日の日本人が、帰りの車のなかで「もう来年は違うところに行こう....」という気持ちを胸に秘めておきながらも結局かれこれ5年くらいは毎年決まって沖縄に来てしまっているかのような倦怠感がある。なんという直近のノスタルジア(追憶)。そして、その旅行者は次の新たな旅行先を見つけることが出来ないままで、きっと来年も沖縄に旅行をするのだ。これこそが恐ろしくリアルで卑近のノスタルジアである。歳である。ああ、ザ・ビーチ・ボーイズを聴いてヴァーチャルで悦に浸っている若者などまだ可愛いものだ。 よく聴けば、サビでもこう歌っている。

 沖縄、ちゃうの? 日本にいようよ(アウーウーウウウウー)。時差ねえし便利よ.......(アウーウーウウウウー)。
 沖縄、ちゃうの? 日によるよ(アウーウーウウウウー)。そろそろ行かねばの....(アウーウーウウウウー)

 そう、ナスカ・ラインズは、エレクトロ・ポップが80年代のリヴァイヴァルだとか言われるのとは違い、もはやその数年前の直近のエレクトロ・ポップを懐かしんでいるのだ。
 懐かしまれてしまったメトロノミーも昨年に3年ぶりのアルバム『The English Riviera』を発表しているが、ナスカ・ラインズは彼らを撃ち落とす姿勢なのかもしれない。ベッドルーム・ポップとしての納まりのよさは、バンドのフィジカルなグルーヴを強調してしまうメトロノミーよりも、ソロ・ユニットであるナスカ・ラインズのほうに軍配が上がるだろう。ルックスも同じくナスカ・ラインズ。しかし、ウォッシュト・アウトの轍を踏まないようにしなくてはならない。まだまだ、これからだ。

 コンピの前半は、この夏まっ盛りにして、部屋のなかあるいはときたまウェッサイ/G-FUNKを模したようなトラックに乗りながら、2~3年前の夏へのノスタルジアが後頭部に疼き出してしまっているボーイズのR&B風の合唱で占められている。その様を、この8月に〈もしもし〉(日本版は9月19日Tugboat Records/P-VINE)から『The Palace Garden』をリリースするビート・コネクション(Beat Connection)がありふれた諧謔でオチをつけている。

 僕の想像し得るかぎり最高のヴァージョン
 ....がまさに起こったところさ
 海岸で僕は立っている
 でも砂のなかにいるのはつらい
 そしたら、彼女は僕の手を握って
 「私についてきて」と言うんだ
 
 夕暮れのなかで彼女を見つけた
 だけど、それはまったくの夢
 僕が計画したんだよ
 銀幕の上で
Beat Connection "Silver Screen (Dreamtrak Diamond Sound)"(2011)

 コンピ後半には、ステファロー(Steffaloo)/クラス・アクトレス(Class Actress)/レインボー・アラビア(Rainbow Arabia)/ソーヴェイジ(Sauvage)らが「浮女子」感の溢れる歌声とトラックで、「あなたを腕の中で抱きしめていたい」「あなたがいないと寂しくなってしまう。わたし待つわ」「あなたがフリーじゃないことは知ってる。問題ない。ただ、あなたの夜を私にちょうだい」なんて歌ってくれているけども、見つかった分の収録曲の歌詞を読んだが、浮女子が期待してやるほどの男子はこのCDのバンドのなかにはいないだろう。リスナーの男子にもいないかもしれない。ソーヴェイジに続いて、フレンチ・フィルムス(French Films)"Pretty In Decadence"の本当に本当に気の抜けたサーフ・ロック・サウンドが聴こえてしまうくらいだから。

 気をとり直すために(天国からの?)階段を降りたけど
 売り渡すような魂(ソウル)も僕には残ってなかった
 
 自助、純血人種、旧約聖書
 ラインに沿って歩くのは
 健康な人を狂わせる
 おお、なんて素晴らしい、素晴らしい人生
 
 メイン・ストリートを歩くたびに
 僕にはわかる
 僕はむしろこんな感じでいたいのさ、ベイビー
 吸血ブルースに愛国心を示したりするよりも
French Films "Pretty In Decadence"(2011)

 なんだかんだで20回以上も通して聴いてしまったので、このCD自体すでに懐かしいものになっていく。浮男子、おどけてばかりいないで、しっかりいこう!

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