「K A R Y Y N」と一致するもの

Alt-J - ele-king

 今年の英国の夏は肌寒かったので、上着が手離せなかった。
 思えば、むかしの英国はあんな感じだった。80年代にロンドンに住んでいた頃は、8月でもクラブに行くのにコートを着ていた覚えがある。しかし、地球の温暖化というのは本当なのか、近年は30度近くまで気温が上がっていたので、寒い英国の夏のことをすっかり忘れていた。
 そんな按配だったので、今年は海辺のリゾート地ブライトンも盛り上がらなかった。その侘しい夏のテーマ曲であったかのように、地元民がまったりとふきだまっているバーやカフェでかかりまくっていたのが、Alt-J(アルト・ジェイ)のデビュー・アルバムだった。
 いやらしい音楽だな。と、聴いた瞬間に思った。
 加えて、それは今年の夏に妙にしっくり来るサウンドであった。が、それは気温の低い夏に似合う、というより、英国の夏が寒かった時代を思い出させる音なんじゃないか。とも思った。そしてそれはいったい何故なんだろうと考えていた。

 エレクトロニカ、インディ・ロック、ダブステップ、モダン・フォーク、トリップ・ホップ、ギター・ポップなど、こちらのメディアが書いた彼らのレヴューを読むと、いずれも音楽のジャンルを称する言葉の羅列だ。最終的にはフォークステップという言葉に落ち着いたようだが、要するに、彼らの音楽は純雑種(そんな言葉があるとすれば)なのである。個人的には、エレクトロニカとギター・バンドが完璧な配合で結婚した音楽に聞こえるが、わたしが前述の「いやらしさ」を感じてしまうというのも、やはりこの結婚とか雑種とかいう、子作りを連想させる異種交合の匂いに起因するのかもしれない。
 彼らの音楽は「シネマティック」と評されることも多く、それぞれの曲に映画や書物、特定の人間に感情などのテーマが存在するそうで、文化系おタク青年らしく本人たちが進んで種明かしをしている。映画『レオン』に触発されたという曲には主人公の女の子の名前"Matilda"がそのままタイトルになっているし、"Breezeblocks"は、モーリン・センダックの絵本「かいじゅうたちのいるところ」に基づいているという。"Fitspleasure"は、Hubert Selby Jr.の著著「Last Exit To Brooklyn」がネタになっているらしい。
 しかし。どんなに文化的・芸術的背景を解説されても、彼らのサウンドから漂う性的な匂いは消えない。だいたい、絵本をヒントにしたという"Breezeblocks"にしろ、おもちゃのピアノの音なんか使ってみたところで楽曲そのものがいやらしくてしょうがないし(そもそも、「かいじゅうたちのいるところ」は、少年が夜の航海に出て大人になって帰ってくるというセックスの話ではないか)、"Tessellate"に至っては、暇を持て余したしょぼい大学生にしか見えない青年たちにどうしてこんな音楽が作れるのかと思うほど色っぽい。ギークの性のほむら。というやつをわたしは見くびっていたのだろうか。

 ところで、日本には草食系という言葉があるそうだが、英国では、草食化が進んだのは一般の男性ではなく、ロック界だったように思う。
「レディオヘッドとコールド・プレイの音楽はソウルレスだ」
 と言ったのはジョン・ライドンだが、このツートップとも言える巨頭バンドを系譜の始祖として、UKロックはクリーン・カットのインテリ君かメロディアスな泣き虫君かに大別されるようになった。Alt-Jなんかも、一見すればインテリ君そのものだし、実際、彼らをレディオヘッドと比較する評論家もいる。が、彼らの場合、そこに収めてしまうにはサウンドがあまりに不純すぎるのだ。
 2012年ベスト・アルバム特集号で彼らを5位に選んだ『NME』が、選評で「smart, sexy, baby-making music」と書いていたので、そう感じていたのはわたしじゃなかったのね。と思って笑ったが、しかし、実はこのbaby-makingという言葉は本質をぐっさりと突き刺しているかもしれない。

 異なるジャンルの音楽を次々と交尾させて全く新たな音楽(というベイビー)を作り出す。
 という手法は、ポスト・パンクの代表的音楽製造メソッドだった。それはとてもエキサイティングでリスキーで不埒なほど多様で、それ故とてもセクシーな音楽の時代だった。Alt-Jの1stは、サウンドこそ剥離しているものの、あの時代のバンドが発散していた猥雑な音の交尾臭を感じさせる。
 まるで80年代のように寒かった今年の夏、英国でAlt-Jがブレイクしたというのは偶然ではなかったかもしれない。
 2012年のUKはパンク前夜のようだったが、もはやこの国の大衆音楽シーンは打ち壊すものなど何もないほど崩壊しているので、来年はいきなりポスト・パンクな年になる可能性もある。
 Alt-Jの『An Awesome Wave(アン・オーサム・ウェイヴ)』は、そのブリリアントな予兆だったのかもしれない。

エレグラ後日談! - ele-king

木津:お疲れ~! まあ乾杯しましょう!(プシュッ)

竹内:お疲れさまです!(プシュッ)

木津:いやあ、盛り上がったねー。とにかくひとが多かったよね。

竹内:多かったです。正直、あんなにいるとは思わなかった。

木津:僕も。かと言って、ある特定のアクトだけに集まったって感じでもなかったよね。

竹内:なかったですねー。とにかく若い印象を受けましたよ。ほとんどが20代に見えました。

木津:たしかにねえ。僕はもっともっと若い世代も来てほしいけど、それでも20代が多かったことは確かやね。ちょっと最初から振り返ってみようか。けっきょく最初以外、ほぼ別行動やったね。

竹内:別でしたね。序盤でいうと、まずはアモン・トビン、とてもアーティスティックだったのですが、なんだかスイッチが入らない感じがして......

木津:そういうひともけっこういたみたいだけど、IDMの極北として見れば、僕はあれぐらいやってくれて良かったかなと。


AmonTobin photo by Masanori Naruse

竹内:なるほど。なので、僕は中抜けしてDJケンタロウでスイッチ入れました(笑)。

木津:ああ、そうなんや? いや、ていうかその前に、コード9でスイッチ入ったでしょう! ジャングル、ダブステップってこれまでの音もあるけど、ジュークもかけるし、とにかく熱い。あと、トゥナイトの"ハイヤー・グラウンド"とかね。

竹内:あれは盛り上がってましたね! 代官山で観た〈HYPERDUB EPISODE 1〉でもそんな感じで、後半はジューク祭りだった記憶があります。

木津:やっぱりいまのアンダーグラウンドの、熱気のあるところを変わらずしっかり追ってる感じがしたなあ。

竹内:でも、フットワークしてるひとはあまり見かけませんでしたね。20代が多かったのは間違いないけど、ある意味、そのなかでもフットワークがひとつの境界にもなっていたかもしれない。

木津:境界って?

竹内:ちゃんと練習を積まないと踊れないステップですからー。あ、もちろん、僕も踊れないです。ちょっとだけ教えてもらったことはあるけど(笑)。

木津:まあね。でも、前回僕が言ったような醍醐味がいきなりコード9で炸裂したってことですよ。ジュークを聴いたことのないひとが、そこで出会うっていうね。これから踊りだすひともいるよ、きっと(笑)。だから、トップ・バッターがコード9は良かったなあ。

竹内:そして、次にアモン・トビン?

木津:すごかったよ。音はメタリックでハード、で、映像もまあ、柔らかいところはほとんどなく。僕にとっては、ある種のマゾヒスティックな快感を刺激される体験かなあ。あと、現代アート的なとっつきにくさみたいなもの自体を楽しむっていう。ちょっと倒錯しているけどね(笑)。対照的に、DJケンタロウはアゲアゲだったって?

竹内:アゲアゲでした。フロアにひともあまりいなかったから、伸び伸びやっていましたよ!

木津:それはいいね。DJクラッシュも、僕はもっともっとストイックなものを想像してたんだけど、けっこう激しくて。でも、チャラくはならない絶妙さが良かったなあ。

竹内:こっちも、あの夜の入り口にはちょうど良かったです。でも、なにせ次の電気が......

木津:来た(笑)! これは語ってもらわないと。

竹内:ハロー! ミスターモンキーマジックオーケーストラ!

木津:からはじまったんやっけ?

竹内:です。もー、最高だった。開催前の対談で、いろいろ牽制球を投げていたじゃないですか、僕。でも単純がいちばん気持ちいいというか、自分のなかの批評性が死滅するのを感じました。

木津:竹内正太郎から批評性が奪われたら、読者とか、ツイッターのフォロワーの間に衝撃が走るんじゃない(笑)?

竹内:だって、ミリオン、スコーピオン、インマイブレイン、なんですよ!

木津:どういうこと(笑)?

竹内:ミリオン、スコーピオン、インマイハウス、なんです!

木津:ははは(笑)。じゃあ、開催前の対談で、電気は浮いてるよねって話、してたやん? でも、竹内くんのダントツのベスト・アクトなわけであってさ、あそこで電気だけが表象していたものっていうのは何?

竹内:うーーーん、つまり......。いや、なんだろうなあ......。

木津:批評性を取り戻して(笑)!

竹内:だめです! 頭の中がサソリでいっぱいです(笑)!

木津:はっはっは。まあ、これは竹内くんが馬鹿になれた記念日やね。

竹内:まあ、ひとことで言うなら、アホなことを真剣にできるアホさというか、それはすごいと思いました。

木津:ああでも、それはわかる。僕はその時間帯、スクエアプッシャーを観たんやけど、IDM周辺がちょっと厳しいのは思ったかな、正直なところ。

竹内:なるほど。あまり気分じゃなかったという?

木津:うん。僕みたいに、アモン・トビンでマゾヒスティックな快感を得る変態は別として、狂気じみたことをやっていても、やっぱりどこかが賢しく思えてしまうというかね。

竹内:でも、それが求められた時代があったわけですよね。何が変わってしまったのか?

木津:ビートがさらに多様化してるってことは、快感のあり方もさらに多様化してるってことだから。IDMみたいなものの快感のあり方が、ちょっと定型化してしまった感じはあるかも。スクエアプッシャーも、すごく安定した内容だったと思うし、面白かったけど、〈ソナー〉でLEDヴィジョンのプレイはいちど観たからねえ。最後にやったベース・プレイが、もっと有機的にそこにハマれば、さらに良くなるとは思ったかな。

竹内:なにかを突き破りたいもどかしさの象徴なのかもしれませんね、そのベースは。その点、フォー・テットなんですけど、僕は前回の対談の締めに、「彼のキャリアの軌跡って、いまの若いリスナーが通った道ともかなり近い気がするんですよね」と言っています。

木津:うんうん。

竹内:つまり、ポストロック~IDM/エレクトロニカ~ダブステップ周辺の領域からダンスへと。でも、電気の後だったせいか、少し慎重すぎるように思えました。4つ打ちがところどころ出てきて、高揚の兆しが見えるのですが、寸止めで消されてしまうという。

木津:そうか。でも、だから、竹内くんが言ってた「こんな単純な4/4に乗れるか!」ってタイプのひとが、じゃあ4/4をやるときにどうするか、って話でしょう?

竹内:まさにそう。だから所詮、僕はガリガリ君だったわけです(笑)。あと、当たり前すぎてあれなんですけど、家で聴くのとああいう会場で聴くのとでは、全然ちがったと。

木津:なるほどねえ。でも、フォー・テットの寸止め感も、新しい快楽なのかもよ?

竹内:たしかに。会場からは、悶える声が漏れていましたよ。ソフトMの世界でした(笑)

木津:またSM(笑)。ただ真面目な話、ああいうハウスのあり方っていうのはジェイミーXXなんかに受け継がれてるし、可能性があるものだとは思うよ。だから、フロアという現場でそれがどういうものになっていくかってことを期待したいかなと。そういう意味で、僕のベストはトゥナイトだったなあ。

竹内:聞かせてください。

木津:まずね、BPMが遅いのがいいと思った。ヒップホップと同じぐらいか、ちょっと速いぐらい。重心が低くて、ほんとヒップホップ的なグルーヴ感が保たれつつ、上モノはハウシーなきらびやかさがあったりでね。すごくいまっぽいレイヴ感だなあと思った。で、「そうか、トゥナイトって"今夜"って意味や」と思ってジーンときて(笑)。

竹内:いいですね! その流れでいくと、ロータスは気持ちよく入れました?


FlyingLotus photo by Tadamasa Iguchi

木津:フライング・ロータスは、フロアの期待度が高かったから緊張した(笑)。

竹内:緊張(笑)?

木津:いや、トゥナイトのときのフロアのざっくばらんな感じと明らかに違ったから。やっぱカリスマなんだなあと。で、音はけっこうエレクトロニックだったね。やっぱ新作のモードだったんだ。

竹内:ですね、BPMもほとんど上げずに、やはりヒップホップくらいだったと思います。

木津:うん、でも、やっぱりあのサイケデリック感はすごい。エレガントだけど、それが壊れそうなスリリングさがつねにある。

竹内:それでいて、「トキヨー!」と何度も煽ってましたよね(笑)。

木津:うん。いつかみたいに、「カメハメハー」じゃなくて良かった(笑)。あと、ケンドリック・ラマーをかけたよね? あれに野田さんが超感動したらしく、その話は次号の紙エレキングの座談会でもトピックになってる。まあ、いまこの話をすると広がりすぎるから、次号『vol.8』を読んでねってことで。

竹内:うおー、宣伝を盛り込んできた(笑)!

木津:ははは(笑)。でもああいう、いまのポップ・シーンで起こってることを自分のコスモスに混ぜていくっていうのは、ロマンティックだなあと思ったかな。

竹内:確かに。ちなみに、その裏でやっていたのはオービタルとウェザオールです。オービタルは途中まで観ていたのですが、電気とオービタルに挟まれたフォー・テットが不憫に思えるくらい、こちらもアゲアゲでした(笑)。

木津:なるほどね。でもオービタルは、僕は昔からぜんぜん肯定派で。とくにいま聴くと、すごく朴訥な古き良きテクノに聴こえるというかね。

竹内:そうです。だから、彼らが呼ばれた意味は絶対にあったと思います。なんていうんですかねえ、あのアガる感じ、なぜ人がクラブに集まるのをやめないのか、ちょっとだけ分かった気がしました。

木津:おお! 竹内正太郎がクラブに近づく日が(笑)! 

竹内:ついに......26年越しの(笑)。

木津:それで言うと、ウェザオールは超カッコ良かったよねえ。オールドスクールなテクノを、頑固一徹にやる感じ。

竹内:でも、保守的な風には見えなかったなあ。

木津:そうそう!

竹内:逆に、僕がテクノを知らないせいか、どことなく全体の雰囲気に通底していたヒップホップの気配よりは、はるかに新鮮でした!

木津:なるほど、それは面白い意見だね。ウェザオールの場合は、精神性でブレないってことかなと。ほんとセクシーだったよー。これは見た目の話ね!

竹内:ここで見た目の話に戻った(笑)。

木津:で、マーク・プリチャードとトム・ミドルトンで結局朝まで踊ったと。ここでも、ジュークかけてたねー。マーク・プリチャードみたいなベテランがちゃんとかけるっていうのは、文化として生きてる感じはあるね。さっきのウェザオールの話と逆だけど。

竹内:変わっていく、変わらないもの、なんですかね。

木津:それが両方あるのがクラブ・カルチャーの面白いところのひとつだね。さて、本格的なオールナイトのイヴェント、初体験を総括するとどうですか?

竹内:楽しかったです、今日をずっと引き伸ばしていく感じ、今日と明日の境目をなくしていく感じというか......。

木津:まあ、気がつくと朝になってるからね(笑)。

竹内:時間が経つのが本当に早かった!

木津:僕、あと3時間は踊れると思ったよ。若い世代もたくさん来てたし、次に繋がる感じはしたよね。

竹内:僕はまた行きますよ。というか、他のイヴェントももっと遊びに行きたいなと。

木津:はっはっは。だからさ、ほんとに気軽に来ればいいのに、って話ですよ。

竹内:本当に。誰も、シリアスな理由を引っ提げて来てる風はなかったですよね。

木津:そうそう。楽しまないと、「今夜」をね。

竹内:ははは。やはり、「トゥナイト」だと(笑)。いい夜でした!

ダブステップ人生(DUBSTEP FOR LIFE) - ele-king


VARIOUS ARTISTS
1ST ASCENSION

GURUZ

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 こんにちは。
 レーベルGURUZ主宰のDJ Doppelgengerです。

 僕がDUBSTEPのDJをやりはじめたのが約5年前。それからいまを比べれば、随分と認知は広がったように思えます。当初はBack To ChillとDrum&Bass sessionsぐらいしかDUBSTEPのパーティがなかったですし、DJの数もまだ少なかったのを思い出します。僕は幸いなことにそのなかでプレイをすることができ、多くの国内、そして海外アーティストとも共演することができました。

 そのなかで記憶に新しいのがDJ PINCH。Techtonicといういまや有名なUK DUBSTEPレーベルを主宰する彼との交流は、すごく貴重な時間でしたね。彼は僕と同じ境遇、クリエイターでもありDJでもありレーベルマネージメントもおこなっており、れでいて、あれだけ多くの作品を輩出し世界で認知させてきた経緯など、いろいろ聞かせてもらいました。

 一緒に居て思い浮かんだ言葉は「情熱」。
 例えば、1枚のレコードやCDを出すことにも、実に多くの労力と時間、そして覚悟が必要です。ひとつひとつ、その思いが詰まったレコードたち。PINCHのレコードバッグはすべてDubplate(テストプレスの白盤。なかにはアンリリースも多々!)だったのが衝撃でした。
 それと針がSHUREの44Gを使ってたんですよね。何でこんな針圧も弱く、ハウリングしやすい針を使うのか? Dubplateは通常のレコードよりも溝が浅いので、ortofon等の針圧の強いものだと溝がえぐれてすぐに盤がダメになってしまうからなんです。なもんで、リハも相当入念に行ってましたね。これだけ自分の曲からリリース、そしてDJセットまで、すべて究極を追求し、それをスピーカーを通じて聞き手に届けている......本場のDUBSTEP、そのひとりの姿勢を魅せて貰いました。

 これは例として、海外DUBSTEPアーティスト全般、皆オリジナル思考がすごく強くあって。それって音楽云々以前のとても大切な部分であり、人と違う自分だけのものを追求するっていう大切な行為だと思います。

 DUBSTEPが海外でこれだけ大きくなった背景には、このオリジナル思考を随所に感じます。まだそれほど歴史は短いにしても、この枝分かれ具合にしろ、スタイルにしろ、細分化の早さがそう物語ってますね。

 聞いたことあるかもしれませんが、Digital Mystiksが主宰するパーティDMZはあまりに尋常じゃないBASSを出すので、入口で耳栓を配るそうです。イカレてますよね(笑)。けど、そこでのサウンドは相当やばいらしく、平気で数千人のクラウドが集まるとか。やっぱヨーロッパのクラブシーンの個性、そしてレヴェルの高さは凄いですね。
 やってる人は解ると思いますが、オリジナル志向って度胸や覚悟も必要なんですよね。自分や仲間の、それも未マスタリングのアンリリースの曲って音質もバラバラだし、鳴りも同じくマチマチですし。スタイルも何処にも属さない、誰も知っちゃいないような曲ですし。けど、それをプレイすることってすごく大事なんですよね。

 たとえ未完なものでもいいんです。いまを全力で追及した結果を1曲に封入し、それを現場でかけるって行為が大切なんじゃないかと。

 最初の頃は、なかなか良い結果は出ないでしょう。それだけ、自分の曲でフロアを納得させる事って簡単じゃないですから。けど、作り続け、かけては直し入れてを繰り返し、そしてプレイし続ければやがて「この曲好きです!」っていうのが出てきます。そこでようやく長年かけ続けてきた意味が出てくるわけであって。そして、「自分の音」ってものが確立され、DJとしても一脱出来るんじゃないかと。全体がそうなっていけば、それぞれの個性がもっと出て、パーティの盛り上がり方も変わってくると思うんです。自分らの曲でアンセムが出来たりして、やがて独自の文化が生まれると思うんですよね。

 日本のDUBSTEPは、徐々にそれが浸透していっているように感じられます。今年僕は1st Album『Paradigm Shift』をリリースして、国内ツアーで全19カ所を回ってきたんですが、随所でそういったアーティストと会うことが出来て。人数は少ないながらも、オリジナル曲で勝負してるDJもいました。
 そして、そんな仲間に声をかけて集まった曲をすべてリリースしようと思い、年末の12/22にコンピレーションアルバム『1st Ascension』をリリースすることになりました。

 今回最年少だと17歳と20歳の兄弟デュオSeimei&Taimei。僕が知り合った頃、兄のSeimei君は19歳だったんで、クラブに入れないっていう話で(笑)。そして弟のTaimei君はまだクラブ行けないそうです......。
 しかし、曲聴いてびっくりですよ。若い柔軟な脳みそってここまで吸収しちゃうんだなーと。DUBSTEPが好きだという気持ちが全面に出ていて、それが随所で感じられて、見ててこっちも刺激になりますね。深夜クラブには行けないけど、彼らなりにやれる場を探して、早い時間帯のU20のパーティに出演したり、自分でUstream配信したり。この情熱は見習うべきですね。是非彼らの曲、聴いてみると良いですよ。そして彼らを例に、若いクラブミュージック好きな人、いますぐ曲作りにチャレンジしてみるといいでしょう。着手は早いに越したことが無いし、若い方が覚えるもの速いです。時間も余裕あるだろうし。

 話戻しますね。

 あと、栃木にB Lines DelightというDUBSTEPクルーがいます。
 彼らも凄いですね。何が凄いって、メンバーほぼ全員が曲作ってて、それを現場でしっかりかけてるんですよね。東京以外でここまで成熟したクルーは彼らぐらいしか現状居ないと思います。それぞれやばい曲作りますし、なかには海外ラジオや有名DJがかけている曲も保有してます。

 コンピにも彼らのなかからSivariderとRyoichi Ueno、Negatinが参加してます。とくにRyoichi Uenoの曲「Brain」はラッパーの志人君の声がサンプリングされてて彼の諭すような声と重厚なビートが合わさって、いままでに無いDUBSTEPサウンドが出来たと思います。志人君に聞かせたところ、快くOKしてくれて。嬉しかったです。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとう!

 それに加え、今回は沖縄出身のアーティストが3組います。DUBGYMNER、Helktram、CITY1。それぞれ別々に知り合ったんですけどね。昔から何故か、沖縄の人とは縁が深いです。それってやっぱ土地柄というか、沖縄って全般的に個性が強い場所だと思うんですよね。
それが音楽にもやはり反映されてて、3人とも全然違った個性ながらも、かっこいい曲作ってきますよ。DUBGYMNERのMONDOってやつはDJもやってて、BUD RYUKYUっていうDUBSTEPパーティも主宰してます。僕もツアーで足を運ばせて貰ったんですが、凄く良いパーティでしたよ。沖縄DUBSTEPシーンの先駆け的なパーティでしたね。

 あと、これはBack To Chillを通じて知り合った100mado、DEAPA、DUBTRO。とくに100mado「Indian Zombie」はかれこれ2年前ぐらいからプレイしており、それを自分のレーベルからリリース出来て、すごくうれしいですね。僕のDJを何回か聴いた事のある人は、絶対に耳にされてる曲だと思います。DUBTROもじわじわと頭角を現してきてますしね。

 これは制作秘話? ってほどでも無いんですが、マスタリングはこれまたBack To ChillクルーのENA君にやってもらいました。やはり同じジャンルに精通しているだけあって、実に理想的な音に仕上げてくれました。
 彼と作業した1日も、いろんな意味で面白かったですね。エンジニアワーク見てるって面白いですよ。制作とはまた違う視点で。使ってるケーブルやら機材、電源やら、スピーカーとか吸音材とかの話もして。かなりマニアックな話でした。ついでにですが、ENA君のアルバムが来年7even Recordingsからリリースされます。これもかなり凄い内容で、国内外で話題になる事でしょう。

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VARIOUS ARTISTS
1ST ASCENSION

GURUZ

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 こんな感じで、自分を取り巻くDUBSTEPアーティストの皆さんと協力して、今回こういったリリースが出来る訳でありまして、なんとも感慨深い気持ちですね。しかも「国内初の日本人DUBSTEPコンピレーション」という名目まで! ありそうで無かったんですよね。これが。そして12月22日。マヤ暦が終焉を迎えるこの日を敢えてリリース日とさせて頂きました。タイトルも『1st Ascension』。これは、JAPANESE DUBSTEP新時代の幕開けという裏テーマが隠されています。

 これを皮切りにレーベルGURUZからどんどん日本人DUBSTEPをリリースしていく予定です。何故か? DUBSTEPが好きだからですよ。
 これ、PINCHにも同じ質問してこう返ってきたんですよね。シンプルかつ響いた言葉、僕も使わせてもらいます。

 もっといろいろなスタイルがあって良いと思うし、さまざまな解釈があってこそ、DUBSTEPだと思います。それこそ、いま大きく言えば二極化してるブロステップとディープ系ダブステップ、それぞれが盛り上がるって大事なことですよ。
 いまのシーンを見てると、ブロステップの流行が目に入りますね。こないだのスクリレックス公演なんか3000人SOLD OUTらしいですね。僕は正直、ブロステップに関しては好きではないです。聴く努力はしましたけど、サウンド然り、どうも馴染めないです。けど、それはそれでそういったシーンが出来たという現実は受け止めてますし、彼らの功績もまた凄いですね。ただ、いまそれがアメリカで流行ってる、だから正しい、というわけではないと思います。日本人はとくにメディア操作に操られ過ぎです。
 シーンが虚空の肥大をして過度のビジネス傾向に陥り、魂の無い音楽が蔓延して、結果、何も残らないっていうね。それではならんのです。
 僕はDUBSTEPを大事にしたいんですよね。だからこそ、そこに魂、そしてメッセージが宿っているかどうか? ってことにはサウンドクオリティと同等に気持ちの比重を置いてますね。

 これは自分に対する課題でもあると思ってます。いまの僕視点でのDUBSTEPが果たして正しい道なのかどうか、これは時間が経たないと解らないじゃないですか。それだし、僕が提唱しているDUBSTEPでもきちんとビジネス出来る環境を作らなきゃいけないって思うんです。
 これはUK DUBSTEPシーンを見ていてもそう。例えば先に言ったPINCHやMALAみたいなアーティストが、 いまの日本のシーンで成功出来るとは到底思えない。しかし、彼らは向こうじゃトップアーティストであって、音楽で生活を賄っているわけで。

 これを日本でやろうって「無理だ」って言葉が大多数ですけど、そう言って動かないでいては何も変わらない。畑は耕さないと、芽はいつまでも出てきませんから。僕はDUBSTEPとこれからも長く付き合っていきたいです。そのためには少しずつ、ひとりずつ納得、共感してもらって土壌を作って行く事が今の自分がすべき事だと思ってます。サウンドクオリティの向上は当然ながら、それとともにリスナーの聴くレヴェルも向上させていく必要性は感じてますね。

 だから、僕はレーベルを立ち上げたというのもありますし。GURUZからもっといろいろな日本で暮らしているDUBSTEPのクリエイターを世に知らせていきたいなと。そして、もっとこの国で起こっているドープなDUBSTEPのシーンの実情を国内外共に伝えていきたいんですよね。これだけ世界で大きな波となってるDUBSTEP、だけどそれって日本の場合、大衆には僕らがやってるDUBSTEPというのが現状あまり見えてないと思うんですよ。先に言ったブロステップ然り、表面的なものでストップしちゃってる。

 これを広めるって容易では無いですよ。一人対全国ですから。しかし、不毛だからこそチャレンジしたいっていうね。あきらめたらそれまで。前進すれば道は拓ける。これは音楽云々以前の、人としての生きる姿勢の選択であって。地道に時間かけてでも、道を拓く覚悟ですよ。

 パーティにおいては、東京だとDrum&Bass sessionsやBack To Chillなんか、音響も素晴らしいですし、日本最高峰のDUBSTEPが聴ける現場と言えるでしょう。最新の国内外のDubplateもガンガンかかってるし、DUBSTEPのいまを知るにはうってつけのパーティと言えますね。まだ行ったことの無い方、そして若いDUBSTEP好きな方は是非、足を運んでみるといいでしょう。大箱でしか体感出来ない極太BASSを体全身で感じれば、DUBSTEP本来の素晴らしさを知ることでしょう。

 最後に、12月22日のリリース日に、僕の地元大宮でリリースパーティも開催します。僕がいま思う新鋭アーティストを揃えた奇跡の一晩となることでしょう。サポートは地元のDUBSTEPクルーMAMMOTH DUBがしてくれてて。彼らとは共に3年、地元でパーティを開催してきて。大宮は年々DUBSTEPが育っていってる感をビシビシ感じますね。オリジナル曲もどんどん増えてるし、この日はかなりの数のオリジナル曲がスピンされるでしょう。都内からも近いですし、是非皆さん遊びに来て下さい。
JAPANESE DUBSTEPの新たな一面をここで垣間見ることでしょう。

 東京でのリリパは2月を予定。詳細をお楽しみに! ほか、地方公演もいろいろ入ってきてます。スケジュールは以下の通り。各地の皆さん、またお会いしましょう!

 それでは、DUBSTEP FOR LIFEでした。
 PEACE.

DJ Doppelgenger - DJ SCHEDULE
12/1 Version @ CACTUS (乃木坂)
12/8 Drum&Bass Sessions @ UNIT (代官山)
12/22 [ 1st Ascension ] Release Party @ 444quad (大宮)
12/31 Countdown Party @ 444quad (大宮)
1/13 TBA @ Circus (大阪)
1/20 Dubstep Area @ The Dark Room (福岡)
1/25 TBA @ TBA (長野)
2/1 TBA @ TBA (東京)
2/23 TBA @ Bangkok (タイ)
3/2 TBA @ Rajishan (静岡)

■2012 DUBSTEP sellection 10
MALA / MALA in Cuba (Album)

今年一番好きなアルバム。
これだけポップに、かつ相当凶悪なベースを鳴らしたアルバムってこれぐらいなのでは? ダブステップとキューバ音楽とのコラボ、これは楽しい1枚でした。

Review Amazon iTunes

GOTH TRAD / NEW EPOCH (Album)

言わずもがな、GOTH TRADのニューアルバム。
前作MAD RAVER'S DANCE FLOORから世界へと進出し、研ぎすまされた次のビジョンを見させてもらいました。
RESPECT。

Interview Amazon

Swindle / Do The Jazz (12inch)

DEEP MEDIからの新たな刺客Swindle。
彼の持ち味のJAZZがふんだんに盛り込まれた、新しいスタイル。
これは斬新だった。

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ENA / Analysis Code (12inch)

これまた、何処にも属さない全くオリジナルスタイルを提唱した問題作。
来年出るアルバムも、かなり物議を醸し出しそうな予感。
これからの進化がどうなるのか、予測不能で楽しみです。

Amazon iTunes

Shackleton / Fablic 55 (MIX)

ミックスながらも全曲オリジナルでの編成。
これは凄い。呪いステップですね。世界観の統一具合、クオリティ、完璧でした。

Review Amazon

KRYPTIC MINDS / THE DIVIDE (12inch)

ミニマルテクノ+ダブステップ。
凄くシンプルながらもフロアライクなテッキースタイル。
こういうダブステップもどんどん出てほしい。

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DUBTRO / MIND HUMAN (Compilation)

Back To ChillクルーDUBTROのニューチューン。
これはUK ダブステップレーベル [ MIND STEP ]コンピレーションからの1曲。
これまでのDUBTROを越えた感がありました。

KILLAWATT & THELEM / kaba (12inch)

KILLAWATT好きですね。他もだいたい好きです。
ダンジョン系ダブステップ最高峰。

iTunes

V.A / 1st Ascension (Compilation)

僕が見てきた日本のダブステップが此処に。
今、日本のアンダーグラウンドダブステップの実情を知りたいのならば、これを聴いてほしい。

Amazon

DJ Doppelgenger / Paradigm Shift (Album)

今年リリースした僕の1stアルバム。
僕のアーティスト人生も大きく変わった、2012年、一番心に残る一枚となりました。

Review Amazon iTunes


DJ Doppelgenger ( GURUZ )

15歳からDJキャリアをスタート、そして2008年よりDJ Doppelgenger名義でDubstep DJとしての活動を開始する。世界各国を放浪した経験を基に、ワールド感漂う独自の音楽観をDubstepというフィールドで表現している。東京を代表するBass Music Party『Drum&Bass Sessions』@代官山UNITのレジデンツとして出演。そして、2009年より地元埼玉でMAMMOTH DUBを開催し、多くのアーティストを招聘している。これまでにrudiments、subenoana等のレーベルよりmix、trackをリリース。

NEON INDIAN - ele-king

 ネオン・インディアン......チルウェイヴから登場した人気者です。彼がDJとして来日します!!! SK8THINGたちと一緒にDJパーティです。インディ・キッズからクラバーまで、幅広く楽しめるでしょう。
 とくにファッション(服)やデザインが好きな人、お洒落が好きな人、快楽主義者のあなたは注目してください。夢見る80sのシンセ・ポップやイタロ・ディスコなんかで踊りましょう。自分を着飾ることはまったく正しいことです。ちょっとここ数年の東京にはなかった夜になりそうですね。

PROM launching party "PROMNITE"

DJ:
NEON INDIAN <https://neonindian.com/>
SK8THING (C.E)
KIRI (YES/REVOLVER)
AVERY ALAN + SEM KAI (PROM)
TETSUYA SUZUKI (honeyee.com)
MR.TIKINI

日時:12月15日(土)
開場:9PM
場所:Le Baron de Paris (南青山) https://www.lebaron.jp/map/

Supported by PHENOMENON, Mr.GENTLEMAN, Revolver

Door Price:¥3.000 w/ 1Drink
RSVP Price:¥1.500 w/ 1Drink

www.tokyoprom.com>にてRSVPフォームを通してお名前とメールアドレスを登録していただければ半額の1,500円にて入場案内させていただいております。

Power Animal - ele-king

 それは、はじまりのはじまりなのか? それとも、終わりのはじまりなのか?
 そう、昨今のポップ・ミュージックをめぐる膨大な情報量は、すでにひとりの人間が取捨選択できる量を物理的に超えている。極めて原始的な状況だと言えるが、もちろん、ある意味ではこの上なく健全な状況になったとも言える。そう、底が完全に抜けてしまった焼け野原のような場所で、わたしたちは自分たちの現在地を新しい方法で確かめつつあるように思う。ここで重要な機能を果たしているのが、(いまさらながら)レーベルだ。星の数ほど存在する無数の音楽を最低限のサイズの輪のなかでグループ化する、中間的なコレクティヴとして、それは間違いなく復権している(2012年、欧米の先進的なウェブ・メディアでは「レーベルズ・オブ・ジ・イヤー」が積極的にセレクトされている)。
 たとえば、ヴェイパーウェイヴのセル化で話題を呼んだ〈ビア・オン・ザ・ラグ〉、その母体とも言える〈AMDISCS〉、ジュークにハマっている日本のトラック・メイカー、食品まつり a.k.a. foodmanのリリースを行ったことでも知られる〈オレンジ・ミルク・レコーズ〉など、ウェブ・レーベル以降の流れを踏まえつつ、日本のレコード・ショップでもフィジカル作品が流通するレーベルはいまや少なくない。もちろん、他に挙げだしたらキリがないが、そこに一貫しているのはその「一貫性/整合性のなさ」である。ほとんどのレーベルが、最初からオムニバス的なセレクト・ショップとして立ち上がっている。
 〈クラッシュ・シンボルズ〉も、2010年の創設以降、「Dope F**k」を標榜しているアメリカの新興(在宅)レーベルだが、ヒップホップからガレージ・ロック、テクノ、サンプリング・ポップ、その他アヴァン・ポップなどをカセット/ヴァイナル/MP3でリリースし、そこに整合性らしい整合性はない。インタヴューも何本か発表されているが、「〈クラッシュ・シンボルズ〉は、わたしたち(複数のオーナー)の美意識の重なり合いなんだよ」という言葉が象徴的だろう。いいと思ったら何でもやる、というわけだ。

 今日はそのうち、2012年にフィジカル・リリースされたアルバムを2枚、紹介しよう。まずはテキサスのトラック・メイカー、スティーブン・ファリスがコズミック・サウンド名義で(元々は2010年に)発表した『VHSヴィジョン』だが、簡潔に言うなら、これは〈ノット・ノット・ファン〉と〈ニュー・ドリームス・リミテッド〉のミッシングリンクである。ゴーストリーなローファイ・ファンク(ディスコ)と、1990年代的な終末論とインターネットへの期待感を反省的に仮視する、ヴェイパーウェイヴ的なシンセ・ポップ、あるいはスクラップ処分されたローファイ・ハウスのような音を立ち上げる。2012年によって発見された、2010年の知られざる問題提起、いわば早すぎた2012年の断片である。
 また、キース・ハンプソンと兄弟/友人によるユニット、パワー・アニマルの『エクソシズム』は、アニコレ以降のインディ・ポップに、サンプリングと生演奏をチャーミングに結びつける。自身のレーベル(と言ってもバンドキャンプのアカウント?)からリリースされている前作『ピープル・ソングス』(2011)も、よりバンド演奏に重心を置いた素晴らしい内容で、少し前なら「音楽の編集能力」などと言ってもて囃されたであろうセンスが、いまや「name your price」でゴロゴロしていることを知る。そしてそのことを、他でもなく彼自身が理解しているがゆえに、わかりやすい「アガリ」を設定しないのだろう。『エクソシズム』は、飽和した音楽の情報網がバグとして排出した、あるいは不要になったMP3データが山ほど突っ込まれた、デスクトップの片隅に配置されたごみ箱が奏でるシンフォニーである。

 「コンピュータ、インターネットなどは、音楽へのアクセスを簡単にしたし、音楽を作るのを簡単にした。だから、ひとつの音楽に支配されることは、わたしたちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、いいこともたくさんあると思う。」――米音楽メディア『ピッチフォーク』の編集者、エイミー・フィリップは、本誌のインタビューにかつてそうコメントしている。音楽流通の革命的な合理化は、様々な物語(時代を象徴するカリスマ? とか)をわたしたちから奪った、ということにされているが、わたしたちがたどり着きつつあるのは、島宇宙の乱立による物語なき閉塞などではない。そこには希望とも取れる新たな風景が広がっている。
 わたしたちが卒業したのは、多数決という野蛮なシステムであり、いま、時代を定義づけるような大衆文化の社会現象というものが、音楽の担うべき役割から完全に離れつつある、それを何年かかけて確認したに過ぎないのではないか。かつて成立していた「ポップ(多数)」は瓦解し、その残滓が「サブ(下位)」へ細かく再分配されるのは、もう避けられない。それは、より端的に言えば、「良い/悪い」の話ではなく、単に踏まえるべき圧倒的前提である。だとすれば、私たちリスナーに求められるのは、ポップの捏造的な再興を望むことではなく、どれだけ細部にまで愛をもってコミットできるかではないか。たとえそれが、どんなに小さい世界であっても。
 いい時代が来たなと、私は心から思っている。

"No.5"を聴きながら。 - ele-king

 師走といっても東京の空はのんびりと晴れ、天下泰平世はこともなし.....とはさすがに言えないレベルに騒がしき世情ではあるが、このヴィデオを眺めて過ごす3分半ぐらいは、あたたかい陽差しを感じながらだらだらしてもよいのではないだろうか。
 シャムキャッツのニュー・アルバム『たからじま』がいよいよ本日リリースされた。それにともない、特設サイトでは収録曲"No.5"の最新ミュージック・ビデオや、夏目知幸による「レコーディング夢日記」など新しいコンテンツが公開されている。
 さっそく"No.5"を見てみよう。ナインティーズUSインディへの素朴なリスペクトを感じさせながら、ローファイな音像とローアングルな東京の風景とを重ね、2012年のリアリティをゆるやかに描き出している。

 ele-kingでもシャムキャッツのインタヴューを近日公開予定。
 インタヴュアーは、田中宗一郎だ! 乞うご期待!



シャムキャッツ"No.5"


シャムキャッツ"なんだかやれそう"

『たからじま』特設サイト:https://siamesecats.jp/takarajima/

Chart - DISC SHOP ZERO 2012.12 - ele-king

2012年のZERO的注目プロデューサー&レーベル

今年のZERO周辺で盛り上がり、そのサウンドや活動の濃さから来年も更なる進化・発展を期待できるプロデューサー/レーベルを紹介します。ここ数回のチャート・バックナンバーや、ちりばめたキーワードもぜひ検索してみてください


1

KAHN & NEEK - Backchat (Hotline Recordings)
ZEROのお客さんなら、今年のMVPナンバー・ワンであることに異論はないでしょう。Gorgon Sound、そしてソロ(最新作はDeep Mediから)でも人気の若手ブリストリアン。ダンスホール・レゲエやダブとグライム、そしてオリエンタルなエスニック風味と、作品/名義ごとに様々なバックグラウンドを自由自在に組み替える楽曲は、Rob SmithやDaddy Gも一目置く才能です。

2

FLATLINERS, DUBMONGER & THE UNTOUCHABLES - Kangaroo Dub Refix / Hungry Belly (Alphacut)
イスタンブールのプロデューサーFlatlinersがライプツィヒのレーベルからリリースした200枚限定シングル。傘下45Sevenからの7インチでも聴かせてくれた、ジャマイカン・スタイルを受け継いだドラムンベースで、ステッパーズ・ビートとジャングルを今までにない形でフィットさせています。マスタリング/カッティング・エンジニアでもあるLXCが主宰するAlphacutは姿勢も含め刺激的です。

3

SWINDLE - Forest Funk EP (Deep Medi Musik)
Malaのキューバ・プロジェクトのライヴ・バンドにキーボーディストとして抜擢されたプロデューサーによる、大きな話題となった『Do The Jazz』に続くシングル。8歳でピアノを始め、様々な楽器を演奏できる彼の才能は、グライムのスタイル上でも発揮されています。客演・リミックスも要チェックです。

4

unknown - OM UNIT EDITS VOL.2 (unknown)
ジュークに出会い、その作品の幅と奥行きが一気に増したOm Unitのエディット・シリーズの2。A面はVangelis、B面はReinhard Lakomyという、古いシンセサイザー・ミュージックを素材に、外部だからこそ出来るジュークを生み出していると思います。彼が運営するCosmic Bridge、そしてリリースの拠点としているCivil MusicのKuhnも要注目な"Juke not Juke"。

5

ASC - Out Of Sync (Samurai Red Seal)
自らAuxiliaryも主宰し、最新作ではUlrich Schnaussともコラボをしているプロデューサー。軽く聴くと80年代のシンセ・ミュージックだったりダウンテンポ的な響きも持っていますが、その裏の緻密なリズム&空間プログラミングは本当に素晴らしく、ドラムンベースを感じさせつつ遥か先を見せてくれます。姉妹レーベルSamurai Horoからリリースされた、実験的側面の強いアルバム未収曲を集めた12インチもぜひ。

6

SHADOW CHILD AND HORX feat. TK WONDER - Bordertown (Apollo)
R&S傘下でアンビエントな指向を請け負っていたApolloが復活し素晴らしいリリースを続けています。それぞれにキャリアのあるプロデューサーを立たせつつ、レーベルのコンセプトも一貫して現れていると思います。12月頭時点で最新作である本作も、2組のリミキサーが素晴らしい仕事をしています。好みはあると思いますが、どの作品もチェックしてみてほしいです。

7

CHUNKY - The Chunky EP (Swamp 81)
Swamp 81は、ダブステップ好きなら説明不要のレーベルですが、いまでもAddison Groove『Footcrab』を筆頭に別ジャンルのDJ達に売れ続けているということで、今後も更なる広がりが期待できます。本作はLoefahのサイドMCも務めているマンチェスター在住の才能による4曲入で、ディープ・ハウス/テクノ/グライム...etcという折衷感が面白いです。

8

PART2STYLE SOUND - Original Baba Loo / Run Down Dada (Future Ragga)
日本のベース・ミュージックを、レゲエを起点に盛り上げるクルーが立ち上げた新レーベルから、名前通りの7インチが2枚同時にリリース。クラシックなダンスホール・リディムを改変し、彼らにしか成し得ないサウンド生み出しています。このベースは魔物です。

9

ENA - Purported / Whereabouts (7even Recordings)
前回チャートでも紹介したENAは、個人的にも2012年にビビらされた才能のひとり。やっぱり今も言葉にできないし、言葉にしたくない音。来春にもリリースというアルバムが一体どんなものになるのか、今から楽しみです。

10

B-LINES DELIGHT Exclusive Dub Mix / Mixed By DJ END - (B-Lines Delight)
栃木のベース・ミュージック・クルー/イヴェントB-Lines DelightのDJ EndによるDJ Mix(2011年9月作)。全曲がクルー(Doctor Jeep / Dd Black / Negatins / Sivarider / Tat'scha / Ryoichi Ueno / Rebel Aoyama)によるオリジナル曲で構成されている...というだけでも今までの日本にはあまりなかったし、そのトラックそれぞれも、海外にひけをとらないハイ・クオリティ。現在の彼らは更にアップデートされているし、現場での体験含め、もっともっと注目してほしい集団です!! もちろん2013年も期待MAX!!

Sun Araw - ele-king

 2012年は奇妙な年だった。バランスは崩れ、何人かの人たちは東京から脱出した。ものごとは二元化され、逃げることも組みすることもできない中途半端な人間はサン・アロウを聴いた。『ジ・インナー・トリーティ』はコンゴスとの共作『アイコン・ギヴ・サンク』に続くリリースで、昨年の『Ancient Romans』に次いでのソロ・アルバム。ファラオ・サンダースのカヴァーをやっている。1970年に〈インパルス〉から発表されている『Summun Bukmun Umyun - Deaf Dumb Blind』というアルバムのA面の最初のパートをやっているわけだが、しかし、なんという、まったく、なんという気の抜けようだろうか......。

 先日、紙エレキングの年末座談会のために、木津毅、田中宗一郎、松村正人、三田格という面々と1年を振り返った。そのとき、結局誌面には載らなかったのだが、「アメリカの終焉」という話が出た。ラナ・デル・レイの繰り返されるアメリカン・ドリーム用語集をはじめブルース・スプリングスティーンの新作のメッセージ、同性婚と大麻合法、そして白い子供たちのレイヴ三昧......まあ、戦後アメリカの繁栄とそれを支えた価値観が壊れているのだろう。そもそも僕には、木津毅や倉本諒のように、アメリカが良い国だなんて、まあ、とてもじゃないが思えない。もちろん、彼らが賞揚するような良い部分はあるにはある、が、僕が何度も何度もアメリカに行くたびに感じたのは、より露骨な格差社会、日本の格差社会などかわいいものだと不謹慎に思えてしまうほど生々しく視覚化され、都市の構造と化した貧富の差。ああいう社会でサヴァイヴするのは、自分には無理かもな......と思った。

 そういうなかにおいてサン・アロウのファンク(恐怖)のないファンク、気が抜けたダブはちょっとした突然変異に思える。昔ながらの、アメリカ的なレイドバックな感じではない。ただ、とにかく、腰が入っていない。覇気がない。サン・アロウは、そのずっこけ感を極めつつある。
 かつてリー・ペリーがプロデュースを手がけたキングストンの伝説のコーラス・グループ、コンゴスとの共作は、サン・アロウのキャリアにおけるピークかと思えたが、新作『ジ・インナー・トリーティ』は、彼のジャマイカ体験が無駄ではなかったこと、それどころか体験が彼の養分となったことを明らかにしている。「こんなユルくていいんですか」と、僕は、1曲目の"アウト・オブ・タウン"の隙間だからけのリズム、ベース、ギターを聴きながら感心した。これは......ザ・スリッツにもブリストルにもアレックス・パターソンにも(もちろんベーシック・チャンネルにも)思いつかなかった、間抜けなダブの真骨頂だ。
 ダブという技法、スタイル、ジャンルは、もうたいがいのことがやられているけれど、サン・アロウを聴いていると、まだ次の一手が残っていたことを思い知らされる。徹底的に脱力すること、気合いなど入れないこと。マスタリングをソニック・ブームが担当しているように、これをEARのダブ・ヴァージョンと位置づけることもでるかもしれない。小刻みなリズムが気持ち良すぎる。全体的にだらしないが、バランスを失っていはない。

 ああ、疲れた。肩が凝る。サン・アロウを聴こう。嬉しいことに日本盤には訳詞がついている。そして、キャメロンの歌詞が、興味深いダブルミーニングの言葉遊びとナンセンスであることを知る。それでこの音楽性か......ますます好きになったわ。

Chart JET SET 2012.12.03 - ele-king

Chart


1

Slow Motion Replay Presents Dunk Shot Brothers - Love Me Tender Ep (Smr)
早くも、HikaruやMr.Melody、やけのはら等がプレイするなど、前作同様のヒットを予感させるエディット集が到着しました。様々なシチューエーションでばっちりハマるレコード・バック内のスタメン確定な1枚です。

2

Maxmillion Dunbar - Woo (Rvng Intl.)
Beautiful Swimmersの片割れにして、Future Times主宰者のAndrew Field

3

Greg Foat Group - Girl And Robot With Flowers (Jazzman)
これまでの作品は全て即完売で先行シングルも大ヒット。エレガントでサイケデリックでグルーヴィーな独自の世界を進化させた、待望のニュー・アルバムが遂にリリース!!

4

七尾旅人 - サーカスナイト (felicity)
2012年リリースの最新作『リトルメロディ』より名曲「サーカスナイト」がアナログ盤で登場!!名曲オリジナルVerに加えて、向井秀徳、Mabanua、Luvraw&btb、Grooveman Spotによるリミックスも収録!!

5

Will sessions - Xmas Break (Funk Night)
素晴らしく骨太な楽曲に加え、今回は赤と緑のラベルで完全クリスマス仕様です!!

6

Lusty Zanzibar - Empress Wu Hu Remixes (Glenview)
100枚限定で先行リリースされたVakula & Oeによるリミックスに加え、気鋭Volta Cabによるリミックス+オリジナル・トラックを追加収録した話題の一枚が到着。

7

Pepe California - Yureru - Dj Nozaki's Pure Pleasure Control Mix (10 Inches Of Pleasure)
Mick「Macho Brother」のカルト・ヒットも記憶に新しい"10 Inches Of Pleasure"から話題沸騰の新作第二弾が無事到着。2010年に自主レーベルからリリースされたPepe California最新アルバム『White Flag』収録曲をレーベル首謀Dj Nozakiがリミックス!!

8

Star Slinger - Ladies In The Back Feat Teki Latex (Pias)
フィジカル12"第1弾『Dumbin'』のメガヒットも記憶に新しいマンチェスターのStar Slinger待望のソロ第2弾には、シカゴのベース人気者Chrissy Murderbotによるジューク・リミックスも搭載です!!

9

Dntel / Herbert - My Orphaned Son - Die Vogel Remix (Pampa)
音響ハウス帝王Lawrenceのリリースでもお馴染み、天才Dj Koze率いる越境ミニマル・ハウス名門Pampaから、看板デュオDie Vogelと主宰による極上リミックスを搭載した特大傑作が登場です!!

10

Echocentrics Feat. Grant Phabao - Echocentrics Remixes (Ubiquity)
名門Ubiquityお抱えの人気バンドEchocentricsの1st.アルバム収録曲をGrant Phabaoがジャマイカン・リミックス!!

ROOM FULL OF RECORDS主宰のパーティ@吉祥寺 - ele-king

 先日DOMMUNEでも訴えさせてもらったヴァイナルの新しい流れ。今年になってその流れを牽引するROOM FULL OF RECORDSがいよいよレーベルとしては初のコンセプト・パーティーを開催。世界流通の道もはじまり、いよいよ今後の活動が楽しみになった同レーベルの最初のパーティの開催場所がこれまた東京ローカルとして近年良質なトラックメーカーを多数排出している吉祥寺。以下レーベルより頂いた熱いメッセージをどうぞ!! (五十嵐慎太郎)


 データ音源が主流になった現在だからこそ、実際に手に取れるアナログ・レコードの魅力に取り付かれた亜流な連中が世界にはわんさかいます。"ライブ・パフォーマンスが出来るアーティストのオリジナル曲とそのダンスリミックスというカップリングにてアナログ・レコードをリリースする。そして、その全てを日本人アーティストで行う。"こんなコンセプトを引っ提げて誕生した「ROOM FULL OF RECORDS」はリリース3枚目にして世界への流通を開始。日本人の作品が世界への足掛かりを掴みました。

 中央線沿線に脈々と流れるバンド熱、渋谷、青山といったクラブ発ダンスミュージック。レーベルコンセプトとしてのこれらの融合を、井の頭線、渋谷からの帰着駅"吉祥寺"にて、おこないます。ジャーマン・ロックを語る上で外すことのできない最重要バンドのひとつ、CANのボーカルダモ鈴木との共演は勿論、先日のDOMMUNE出演でも"マニュエル・ゲッチング再来?!"とのつぶやき多数だった今まさに世界へ向けて発信すべきイツザイMandog !!!

 アウトドアブランド"コロンビア"のイメージソング提供から、ロサンゼルスのネットラジオ局"dublab"とアメリカの"Creative Commons"によるプロジェクト、"Into Infinity"への参加と実力のほどは間違いのないスリリングで荒削りなサウンドと、繊細なメロディーメイクに定評のある札幌発スリーピースバンド、The Olololop。

 そして地元吉祥寺の夜を牽引する弁天通り発、dextraxのryo of dextraxとAutoPilotのUZNKによるThe Dubless。キャリア満点、引っ張りダコの人気DJであるYOGURT氏の胸を借りて、上記3バンドとともにおこなうレーベル初のショーケース・パーティ。

 普段はあまり吉祥寺に足の向かない、遊び場が渋谷周辺の方、ダンスミュージックはちょっと......という中央線沿線の方、このパーティーで、そんな皆さんもレーベルコンセプト同様に融合出来たら最高です。

Manhattan Records Presents
「ROOM FULL OF RECORDS Show Case 2012」
2012.12.08 SAT @ STAR PINES CAFE
23:30~5:00

LIVE : MANDOG, Olololop, The Dubless
DJ : Yogurt, DJ hiroki onodera - lil - Olololop
VJ : Tajif (FORTE / VIDEO ORCHESTRA), Satoshi (BLIND ORCHESTRA)
FEE : 2500yen (1D) / with Flyer 2000yen (1D)

URL : https://www.roomfullofrecords.com/


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