「K A R Y Y N」と一致するもの

Riddim Chango Records - ele-king

 東京の〈Riddim Chango〉レーベルが新作をドロップする。UKのエレクトロ・ファンクのプロデューサー、Lord Tuskによるサンズ・オブ・シメオン名義のDub作品。今回も売り切れ必至なので、ダブ頭でダビーなハートのダブ戦士たちは急がねばです。 

Label : Riddim Chango Records
artist : Sons of Simeon
title : Goliath Brothers

仕様/品番/バーコード
10"インチ・アナログ盤 / デジタル配信 (Bandcamp先行配信) / RCEP-007 / 4580211858257
発売日:2021年3月26日(金)

Side A
01 - Goliath Brothers Verse 1
Side B
01 - Goliath Brothers Verse 7
02 - Goliath Brothers Verse 36
Produced & mixed by Sons of Simeon
Lacquer cut by Jason Goz (Transition Studio)

プレオーダー
https://riddimchango.bandcamp.com/album/goliath-brothers?fbclid=IwAR1IiwKZp3lk786tYVJwWVl51adBvt5eDd5_WLxdCUhrOJ-gzLB3uvP8Usg

 Funkin Evenの〈Apron〉レーベルやJohn Rustの〈Levels〉レーベルでのハウス/テクノ寄りのリリースや、USのレジェンドMCであるMos Defとのアルバム制作、Sun Runners名義でVaporwave寄りのアルバムの発表など多方面で活躍するLord Tuskは大のサウンドシステム・ファンとしても知られている。幅広い音楽性を生かしたLord TuskならではのキラーなDub/StepperをDMZ等との仕事で知られているTransitionスタジオでマスタリング。サウンドシステムの鳴りは安定保証!

Jeff Mills - ele-king

 このコロナ禍、まったく沈黙することなく作品をばんばん積極的に発表しているジェフ・ミルズが今度は雑誌を創刊した。タイトルは『The Escape Velocity(脱出速度)』(https://ziniy.com/newsstand/edition/509)。
 ご覧の通り、デザインもかなり凝っているこの雑誌(表紙はアブカディム・ハック)、ジェフが興味を持っているミュージシャンのインタヴュー記事がメインだが、写真家のインタヴューやSF小説のコラムもある。そのほとんどはジェフ・ミルズが取材し、ジェフ・ミルズが書いている。質問もジェフらしく、未来についての話が目につく。
 テクノDJ/プロデューサーが多いが、サン・ラー・アーケストラの女性メンバー、June Tysonのインタヴュー記事もある。
 なかなか他では読めないものばかりで、日本のファンにもgoogle翻訳を使って読んで欲しいとのこと。ただ、挨拶文と巻頭言のみはジェフのパートナー、Yoko Uozumiによる日本語訳があるので、ここに掲載しておきます。
 

 読者の皆さんへ、

 エレクトロニック・ミュージックにはより良い注意力、常時の観察力が必要とされている側面があります。イベントの告知、業界のサービス、アーチスト育成やオーディエンスが集うことを取り巻く全ての情報をフォローすることを我々は当然だと思っています。しかし何よりも音楽制作そのものが一番肝心な要素です。1980年代半ばに始まったとされるエレクトロニック・ミュージックの誕生から、音楽制作のアートフォームに対する注目が少なすぎると業界に身をおく私は個人的に感じていました。我々が頻繁に目にするのは音楽を聴いた結果、効果なのです。そこに至るまで、音楽制作において公衆に触れるまでの過程はほとんど注目されていません。アーチストの名前や出身地以上にどんなシチュエーションがあったのか?この世のものとは思えないアイディアを音とリズムで表現するこの人たちは誰なのか?我々が聴くことができる音のどこまでがアーチストのパーソナリティに寄与するものなのか?何をみて、何を信じるのか?必ずしも全てのアーチストに公平に発表の機会を与えているとは言えない業界において、クリエイティビティ、意見交換やエレクトロニック・ミュージックを想像の壁を超えて拡げていくことなどを話し合う余地は常にありました。

 The Escape Velocity (エスケープ・ヴェロシティ)アーチスト・プログラムと雑誌はこのようなトピックに貢献すべく生まれました。クリエイティビティのメカニズムにまつわる様々なことを検証していきます。一見、聴く音楽とは関連性がないように思えるものも、実際にはエレクトロニック・ミュージックやアーチストが長年にわたり多くの創造的な努力を促進するのに役立ってきているのです。この雑誌は季刊(3が月ごと)にデジタルで発行されますが、その間インタビュー、記事やパフォーマンスなど色々なことが起きることを予想して季刊の間にサプリメントを発行することも考えています。デジタル形式のため様々な利点があります。雑誌の形態を取りながらビデオを挿入したり、ページ制限がないので記事は好きな長さにすることができます。ページは拡大してみていただくことができます。物理的な発送がないため環境にも優しく、より早く皆さんに届けることができます。そして何より、無料です。

The Escape Velocity マガジンはwww.axisrecords.com から簡単にアクセスすることができます。Axis RecordsとThe Escape Velocityより、皆さんの引き続きのサポートを感謝します。

ジェフ・ミルズ

P.S. 日本語訳をご希望の場合はリンクよりPDFをダウンロードしていただき、Google Translateを利用していただくことになります。


The Escape Velocityマガジンへようこそ。
(本誌P.4-5翻訳)

 この雑誌の内容に飛び込む前に、このアイデアがどこから生まれたのか、そしてどのようにしてこの地点に到達したのかを説明させてください。The Escape Velocityプロジェクトは、2020年の世界的パンデミックによる急激なスローダウンへの反応として生まれました。懸念や現状への反応から文化をじっくりと見つめ、何が最も重要かを認識することになりました。そこで既成概念からはみ出して考え抜く自由で無限の能力を再認識することになります。夢を見ること、その夢を創造性に変換すること。未来派、サイエンスフィクション、宇宙科学、または「何か前向きなことについて」作成された作品の影響を強く受けたスタイルは、これまでも最も影響力のあるアートフォームのいくつかを生み出しました。 元の要素、つまり必要なコンポーネントがまだここにあり、利用可能であることを認識することも重要です。
 
エスケープ・ヴェロシティ「脱出速度」の教科書上の定義は、宇宙空間に出るために地球の引力から解放されるのにかかる速度(時速25,000マイル)を指します。私がこのテーマを選んだのは音楽に当てはめることができるからです。大きな変化を起こすには、アーチストやプロデューサーは同じような極端な精神的体験を通り抜けなくてはならず、クリエイティブ業界でしばしば邪魔になる正常性と自己満足から自分自身を引き離す必要があります。このプロジェクトは、アートフォームを通じて創造性のバリアを超えて探求する人たちを支援し、長年アーチストをサポートしてきた人たちが進歩を確認する機会を提供するために始まりました。二つのセクター間のギャップを狭めることはポジティブにこのアートフォームの拡大を支援することにつながります。

 この1年間、私たちはさまざまな文化分野で最も才能があり想像力に富んだアーティストを見つけて招待し、エスケープ・ヴェロシティのコンセプトに合わせて自分で選んだテーマで制作するように依頼しました。彼らのアイデアとそれらを分析する準備ができているオーディエンスとの間の連絡役として 彼らの機会を増やすことが我々の使命です。特別なコンセプト作品を、創造性とは何かを真に理解している熱心な聴衆に提示すること。これまで、招待された各アーティストは宇宙科学やそれを超越するさまざまな主題に関するコンセプチュアルなアルバムとアートを制作してきました。参加アーティストの数が増えてきたので、彼らの作品やアイデアをまとめて、彼らが誰であるかをもっと知る方法を見つける必要がありました。デジタルカタログの形で、私たちはこの雑誌のアイデアを思いつきました。アーティストの足跡を追い、彼らの作品に触れ、進歩を確認できるより濃密な方法と考えています。

Escape Velocityに関わる全員を代表して今後のサポートを感謝し、この雑誌を楽しんでもらえれば嬉しいです。

──ジェフ・ミルズ

unagi - ele-king

 アコースティック、エレクトロニック、電子音、環境音までさまざまな音を自由自在に操る須長のマルチな才能が全面開花。インナースペースからアウタースペースへと放たれるコズミック電脳アンビエント・ジャズが完成した。ここにはスティーヴィー・ワンダーもモンクもサン・ラーもいる。ソフト・マシーンもエイフェックスもイーノも、ジョージ・デュークもマッドリブもサンダーキャットもいる。昨今のワールドワイドなジャズやオーガニック・ハウス、ローファイ・ヒップホップとも連動するアップデートされた音響は、聴き手の五感をたくみに刺激し、肉体に浸透してインナーマッスルを震わせ揉みほぐしてくれる。
 全曲ほとんどひとりで作られた作品だが、内面に閉じられておらず、人懐っこく語りかけてくるような感覚がある。神秘的な芳香と有機的な躍動感、あたたかいユーモアが同居して、聴き手のイマジネーションをやさしく引き出してくれる。ベーシストだけに低音の冴えは天下一品。ピジカットもアルコもサブベースも含め、ぶっといベースを全編で味わえるのも、この『Perpetual』の大きな魅力だ。ヘッドフォンで聴いてもいいけど、ベースが出るシステムで聴くと、空間が「鳴る」「震える」気持ちよさを体感できる。
 ダンスが第一義の作品ではないのでビートはひかえめだけど、リズムの底にはしなやかなスウィングとグルーヴが流れており、多彩な音の重なりがおりなす柔らかくとろけるようなハーモニーとあいまって、至福のリスニング体験を提供してくれる。(春日正信)

■MV
https://www.youtube.com/watch?v=m73GTcoXRLw

■アルバム情報
unagi『Perpetual』
2月24日配信先行発売
https://nex-tone.link/96350

CD: 3月24日発売(300枚限定生産)
JAN: 4580275440924
品番: BMP-2025

収録曲
1 Perpetual
2 Tillandsia
3 Coholism
4 Lotus Prayer
5 海松(みる)
6 A.M.
7 Night Lights
8 Marbling
9 Urgency
10 Avoid
11 Two Seas
12 After All

■unagi (須長和広)
 2006年、ジャズカルテット『quasimode』のベーシストとしてEMIよりメジャーデビュー(現在は活動休止中)。作曲・アレンジも担当し、EMI / Blue Noteより5枚のフルアルバムをリリース。
 アーティストのライブサポートやレコーディング等にも数多く参加。過去には専門誌である「ベース・マガジン」で連載を持ち、著作のベース教本は国内のみならず韓国においても出版されている。
 音楽制作においてはアコースティック/エレクトリックの中にある楽器本来の温かみあるサウンドを好み、ロック・フォーク・ジャズ・ブラック・ミュージックからエレクトロまで幅広く日々グッドミュージックを模索している。
 2015年にソロ・アルバム「MIRROR」をUniversal Music / Blue Noteレーベルよりリリース。2018年以降は『quasimode』のドラマー・今泉総之輔とのジャズユニット 『COSMIC TEMPLE』も定期的に活動中。

HP | Twitter | Instagram

■unagi×阪急メンズ東京タイアップキャンペーン
CD発売を記念して、3月17日から4月6日まで阪急メンズ東京では数々のタイアップ企画を実施します。ファンには見逃せない特典をご用意!
CD販売は阪急メンズ東京7F「ギンザレコード」及び阪急阪神百貨店公式通販「HANKYU HANSHIN E-STORES」のみとなります。お見逃しなく。

A Tribute To Andrew Weatherall - ele-king

 アンドリュー・ウェザオールの死から最初のアニヴァーサリーにあたる2月17日、〈Rotters Golf Club〉より「In A Lonely Place (A Tribute To Andrew Weatherall)」と題されたEPがリリースされている。送り出したのはアンドリューの兄弟イアンとダンカン・グレイ(イニシャルをつなげた IWDG 名義)。
 表題曲はニュー・オーダーの同名曲のリワークで、デヴィッド・ホルムズ、TLSにおけるアンドリューの相棒だったキース・テニスウッド、そしてハードウェイ・ブラザーズのショーン・ジョンストンによるリミックスも収録。
 すべての収益はアンドリューのパートナーおよび血栓症の慈善団体へと寄付される。


https://soundcloud.com/rotters_golf_club/sets/iwdg-in-a-lonely-place-clips

IWDG
In A Lonely Place (A Tribute To Andrew Weatherall)
Rotters Golf Club

1. In A Lonely Place
2. In A Lonely Place (David Holmes Rework)
3. In A Lonely Place (Keith Tenniswood Remix)
4. In A Lonely Place (Hardway Bros Axis Dub)

Cuushe - ele-king

 華麗に、格好良く泥臭く復活したクーシェ、今度はそのアルバム『WAKEN』のリミックス集を3月10日にリリースする。CDのボーナストラックに収録されていたKate NVIglooghost、submerseのリミックスに加え、
Yu Su、Suzanne Kraft、Loraine James、Ciel、Spring In A Small Townらのリミックスも収録。新世代のプロデューサーたちとの交流によって生まれた新鮮なサウンドをお楽しみあれ。まずはトロントのCiel、〈Hyperdub〉のLoraine Jamesのリミックスが聴けます。

Beautiful (Ciel’s inner beauty Remix)
YouTube
SoundCloud

Drip (Loraine James Remix)
YouTube
SoundCloud

■ Cuushe - WAKEN Remixes
CAT#: FLAUR49
フォーマット:DIGITAL
発売日:2021年3月10日
https://flau.jp/releases/waken-remixes/
■ 予約:
https://flau.bandcamp.com/album/waken-remixes

 昨年11月に5年ぶりの新作となるニュー・アルバム『WAKEN』を発表したCuusheから、早くもアルバムのリミックス集がリリース。過去にもJulia HolterやNite Jewel、Botany、Palmistryなど先鋭的なアーティストがリミックスを提供していたが、本作にも注目のアーティストが並んでいます。
 Peggy Gou、Yaejiに続く才能として〈PPU〉、〈Technicolor〉などから好リリースを連発、先頃〈Music From Memory〉配給によりデビュー・アルバムをついに発表したYu Suによる大陸風シンセサイザーと生ベースを美しく融合させたリミックスからスタートする本作。Cuusheが3作品でゲスト参加しているBrainfeederのIglooghostは、メランコリックでダイナミックなエレクトロニック・サウンドで、短いながらも圧倒的な存在感を放ちます。
 東京を拠点に活動するビートメイカーSubmerseは、最新のジャングル・サウンドにシティポップの影の部分をを持ち込んだ2曲をフィーチャー。モスクワのKate NVによるリミックスは、日本の80年代ポップの感性と現代ニューエイジからの影響を感じさせ、色鮮やかなビートに乗せてバウンシーなエレクトロニック・ポップの世界を。日本でもJohny NashやSuso Saizらとのアンビエント諸作で人気のSuzannne Kraftは、驚きのインディー・ロック・スタイルで魅了し、〈Hyperdub〉のLoraine Jamesは複雑にカットされたボイスとディレイが凝縮された力強いビート・サウンドを提供します。〈Peach Discs〉、〈Coastal Haze〉、〈Spectral Sound〉などからリリースする〈Discwoman〉のアンビエント・ハウサーCiel、温かみのあるヴァイナル・テクスチャーに縁取られた儚いメロディーが美しいSpring In A Small Townによる煌びやかなエレクトロニカで締めくくられる全9曲のリミックス集。
 いずれもポップで前向きなテンションに満ちており、Cuusheのミルフィーユのように繊細に積み重ねられたサウンドのミルフィーユを紐解く面白いコンピレーションに仕上がっています。

Cuushe
ゆらめきの中に溶けていくピアノとギター、 空気の中に浮遊する歪んだシンセサイザー、拙くも存在感ある歌声が支持を集める京都出身のアーティスト。Julia HolterやMotion Sickness Of Time Travelらがリミキサーとして参加したEP「Girl you know that I am here but the dream」で注目を集め、デビュー作収録の「Airy Me」のMVがインターネット上で大きな話題となる中、全編ベルリンでレコーディングされた2ndアルバム 『Butterfly Case』を発表。近年はアメリカTBSのTVドラマ「Seach Party」、山下敦弘 x 久野遥子による「東アジア文化都市2019豊島」PVへの音楽提供や、Iglooghost、Kidkanevil、Et Aliaeらの作品にボーカル参加。長らく自身の音楽活動からは遠ざかっていたが、昨新たなプロジェクトFEMと共に再始動。

Bowler Room R4 - ele-king

 ボウリングとエレクトロニック・ミュージックを組み合わせた異色のイベントが、3年ぶりに開催される。
 渡英後国内では1年以上ぶりのプレイとなる CHANGSIE や、まもなく新作を送り出す Mars89 による初のライヴ・セット、D.A.N. の Daigo Sakuragi と Kishiohno によるテクノ・ユニット Unmoutin やベテランの COMPUMA、ビート・プロデューサー Miii によるソフィーのトリビュート・セットなど、注目の出演が盛りだくさん。さらに玉名ラーメン、okadada、E.O.U、noripi、ykah と、計10組が入り乱れます。
 感染対策に気を配りつつ、ふだんは味わうことのできないボウリングとパーティを楽しみましょう。

Bowler Room R4

ボウリングとエレクトロニック・ミュージックが織りなす異色のパーティBowler Roomが3年ぶりにカムバック! ハイパーポップ含む20年代のエレクトロニック・ダンス・ミュージックへ切り込む、渾身のレイヴ・クラッシュ!!

第4回は時間が20時から朝までに拡張され、サウンドシステムが幡ヶ谷Forestlimitによりパワーアップ。渡英後国内では1年以上ぶりのプレイとなるCHANGSIE、〈Bokeh Versions〉からリリースのアルバムを下地にしたMars89の初ライブ・セット、主宰の1人Daigo Sakuragi (D.A.N.)とKishiohnoによるテクノ・ユニットUnmountin、竹久圏とのアルバムをリリースしたベテランCOMPUMA (悪魔の沼)、静なるハイパーポップな玉名ラーメン、オール・ミックスを体現し、様々なフィールドで活躍を続けるokadada、京都からゲトーなテイストもあるエレクトロニクスで新しいテキスチャを醸し出すE.O.U、〈Maltine〉でも馴染み深い、レーベルの新しいコンピにも収録のビート・プロデューサーMiiiによる故SOPHIEのトリビュート・セット、新旧入り乱れるレイヴ・クラッシャーnoripi、ダブステップを軸としながらサイケな質感もみせるykah、計10人がラインナップ。VJにForestlimitの名物パーティKato Massacreを起点にVRやAR等を駆使した作品や配信で3D表現を模索するJACKSON Kaki、アートワークに"ハイパー"な新世代を象徴する新興コレクティブ〈ether〉のsudden starが参加します。

ダブ/テクノ、ダブステップ/ダンスホール、 ハイパーポップ/ディコンストラクティッド、ブレイクコア/レイヴ、ハウス/ベース等の様々な文脈がビジュアルと相交わり波となり、地層となっては、また波となり、ゆっくりと流動しながら更新されるエレクトロニック・ダンス・ミュージックの新たなる交流へと踏み出す2021年のファースト・ステップ・パーティ!

Bowler Room R4

2021/03/13 sat at Sasazuka Bowl
20:00 - 05:00 powered by Forestlimit
Early Bird/早割 ¥2,500@RA *LTD50
1GAME+shoes ¥700

CHANGSIE
Mars89 - New Dawn Live set -
okadada
COMPUMA
Unmountin
Miii - SOPHIE Tribute set -
noripi
玉名ラーメン
E.O.U - Hybrid set -
ykah

VJ: JACKSON kaki
artwork: sudden star [ether]

※本イベントが3/13に再延期となったため、残念ながらセーラーかんな子は都合が合わずキャンセルとなりました。楽しみにされていた方申し訳ございません。

前売リンク:https://jp.residentadvisor.net/events/1434740

Bowler Roomとは?

投げるもよし、踊るもよし、しゃべるもよし、飲むもよし、まずはみんなでボウリング! 何故なら貴方の投げるボウルによって倒れるピンの音が本イベントにおける一番の参加なのです。そしてその高揚感とダンス・ミュージックを通じて、踊ることだけでなく、空間として、状況として、体験として、新しい “音の楽しみ方” を試みるアートであり、ボウリングとクラブを掛け合わせた楽しいパーティーであり、また音響、照明、装飾にも拘り、ボウリング場の環境音とミニマルなダンス・ミュージックのビートを混ぜ合わせた空間的な実験音楽への試みでもある、Bowler Roomはこの3つのレイヤーによって構成された新感覚のクラブ・イベントです。melting botとDaigo Sakuragi (D.A.N.)が主宰となって笹塚ボウルにて過去3回開催され、これまでにSeiho、食品まつり、Kazumichi Komatsu、YPY、MOODMAN、ERICA等が出演。

https://meltingbot.net/event/bowler-room-r1/
https://meltingbot.net/event/bowler-room-r2/
https://meltingbot.net/event/bowler-room-r3/

- 注意書 / NOTE

※200人限定。入場を確保されたい方は必ず前売り券をお買い求め下さい。
Limited to 200 people. ADV ticket is available for those wanting to ensure the admission.

※ボウリングの際には無料の専用シューズを必ず着用して下さい。
Please put bowling shoes on when you do bowling. The shoes are available for free at reception.

※ボウリングはマストではありませんが、本イベントの主旨でもありますので、1ゲームでもご参加下さい。
Bowling is not must to do but that’s the point of this event so please take part in even one game.

- 下記会場の新型コロナウィルス感染拡大予防対策に必ず従うよう、皆様のご協力よろしくお願い致します。
Please follow the bellow COVID-19 protocol at the venue

・体調がすぐれない方はご来店をお控えください。
・咳が出る場合はご来店をお控えください。
・来店時は手洗い、アルコール消毒をお願いいたします。
・マスクを着用の上ご来店ください。
・ご来店時の検温と健康チェックシートへのご記入をお願いいたします。
・状況に応じて入場制限する場合がございますので、ご了承ください。

- プロフィール

CHANGSIE

1988年千葉県銚子市生まれ。2010年頃にDubstepにハマり、本格的にDJ活動を開始。UKのベースミュージックをメインにHouseやTechnoを織り交ぜプレイ。2020年よりロンドンに拠点を移し活動中。NTS Radioでマンスリー番組を担当している。
https://soundcloud.com/changsie

Mars89

Mars89は現在東京を拠点に活動しているDJ/Composerである。 2018年にBokeh Versionsからリリースされた12インチ“End Of The Death”は、主要メディアで高く評価され、あらゆるラジオで繰り返しプレイされた。翌年にはUNDERCOVER 2019A/WのShowの音楽を手がけ、同年末その音源とThom YorkeらによるRemixをコンパイルし、UNDERCOVER RECORDSより12インチでリリース。田名網敬一のドキュメンタリーフィルム、Louis VuittonやAdidasの広告映像、豊田利晃監督の映画『破壊の日』の楽曲を手がける。 Bristol拠点のラジオ局Noods Radioではレジデントをつとめている。
https://soundcloud.com/mars89

okadada

DJ/producer。東京、関西に限らず全国各地、多岐にわたるパーティーでDJとして出演し、ネットレーベル「maltine records」やbandcampで楽曲をリリース。大規模な都内のクラブや「lost decade」「LESS」「AUDIO TWO」「now romantic」といったレギュラーパーティーから、大小、場所問わず野外フェスからコアなパーティーへの出演等、前例に無い幅広さで活動し各所に存在。2018年末には代官山UNITでの単独ロングセットを成功に収め、19年にはFUJIROCK FESTIVALにも出演。その他各種コンピレーションやRed Bullへの楽曲提供、各種のRemixワーク、雑誌ユースカへの執筆、スペシャの番組でカラオケ等、様々に活動。
https://soundcloud.com/okadada

COMPUMA

ADS(アステロイド・デザート・ソングス)、スマーフ男組での活動を経て、DJとしては国内外の数多くのアーチストDJ達との共演やサポートを経ながら、日本全国の個性溢れる様々な場所で日々フレッシュでユニークなジャンルを横断したイマジナリーな音楽世界を探求している。自身のプロジェクトSOMETHING ABOUTよりMIXCDの新たな提案を試みたサウンドスケープなミックス「SOMETHING IN THE AIR」シリーズ、悪魔の沼での活動などDJミックスを中心にオリジナル楽曲、リミックスなど意欲作も多数。一方で、長年にわたるレコードCDバイヤーとして培った経験から、BGMをテーマにした選曲コンピレーションCD「Soup Stock Tokyoの音楽」など、ショップBGM、フェス、ショーの選曲等、アート・ファッション、音と音楽にまつわる様々な空間で幅広く活動している。Berlin Atonal 2017、Meakusma Festival 2018への出演、ヨーロッパ海外ラジオ局へのミックス提供など、近年は国内外でも精力的に活動の幅を広げている。2020年には、OGRE YOU ASSHOLE「朝(悪魔の沼 remix)」、YPY「Cool Do!(COMPUMA remix)」を手掛け、5年ぶりの新作アルバム、COMPUMA & 竹久圏「Reflection」をリリースした。
https://compuma.blogspot.jp

Unmountin

2020年8月に結成。Daigo SakuragiとKishiohnoによるテクノユニット。様々なハードウェアを操り、チャラ渋いを探求する。
https://soundcloud.com/user-333547485-611565896

Miii

東京を拠点に活動するサウンドアーティスト・DJ。日本のネットレーベルの黎明期から活動を続け、Maltine Records、Murder Channelなどから作品集を多数リリース。2018年1月には長編アルバム『Plateau』、同年8月にはベースミュージックに接近したEP『Mythology』を発表、以後も精力的に活動を続けている。
https://soundcloud.com/miii

noripi

https://soundcloud.com/no_repeat1993

玉名ラーメン / Tamanaramen

2001年生まれのプロデューサー/アーティスト。 トラップからアンビエント、ハウスまでをも内包したアブストラクトなトラックにポエ ティックなつぶやきが融合したオリジナルな音楽性はUK名門レーベルからの注目も集め る。 様々なジャンルやシーンを超えてボーダレスに自然と混ざり合う今の感性を全面に感じる 楽曲を制作している。
https://youtu.be/QSBfXU_mCiw
https://soundcloud.com/user-tamanaramen

E.O.U

2000年愛知県岡崎市生まれ。空間のためのミュージックを楽曲、DJ、Live Setを通して表現する。京都市在住。
https://soundcloud.com/eoumuse

ykah

2020年4月、SoundCloudにMixをアップしたところから活動開始。Dubを中心に潜るサウンドを追求している。
https://soundcloud.com/hkcrlive/tragic-rave-w-ykah-08022021

JACKSON kaki

DJ / アーティスト。 3DCGを用いたVR/AR/映像表現を行う。 学部生時代は社会学を専攻し、また自身の音楽活動によって培われた経験が、表象の根幹を なしている。主な展覧会に「P.O.N.D.」(PARCO MUSEUM TOKYO、2020年) / DIO C'E' (Ultra Studio, PESCARA、2020年)
https://soundcloud.com/user-562335903/20191210new

KANDYTOWN - ele-king

 先日最新EP「LOCAL SERVICE 2」をリリースし、4月にはCD『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』の発売を控える KANDYTOWN。それを記念し、オフィシャル YouTube チャンネルにてメンバーのインタヴュー映像が公開されている。新作の話から料理の話まで、クルー各人の想いや裏話を知ることができる。これは嬉しいプレゼントだ。

 同映像にも出演している Neetz と KEIJU の最新インタヴューはこちらから。

[2021年3月11日追記]
 その後、上記インタヴュー映像の続編となる「PART 2」「PART 3」が公開されている。第2弾では紅蘭、オカモトレイジ、山田健人、柳俊太郎からの質問に、第3弾では JJJ、KID FRESINO、川谷絵音からの質問に回答するメンバーの姿が収められている。合わせてチェック!

KANDYTOWN
新作リリースを記念したインタビュー映像『LOCAL SERVICE's INTERVIEW PART 1』を
公式YouTubeチャンネルにて公開

国内屈指のヒップホップクルー KANDYTOWN が2月14日に配信された 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」、4月21日発売の2000枚限定生産の 2CD EP『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』の発売を記念したインタビュー映像:“LOCAL SERVICE's INTERVIEW PART 1” を自身の公式 YouTube チャンネルにて公開した。

この映像にはクルーのメンバーによるインタビューは勿論、縁の方々からの「メンバーに聞いていみた」質問が寄せられており、初回は第3代 K-1 WORLD GP スーパー・ウェルター級王者・第6代 Krush ウェルター級王者:木村 “フィリップ” ミノル、『GQ JAPAN』編集長:鈴木正文からの質問にメンバーが回答する姿が収められている。

なお、この映像は全3回を予定している。

“LOCAL SERVICE's INTERVIEW PART 1” YouTube URL
https://youtu.be/jDruE7F_iH0

“One More Dance” MUSIC VIDEO YouTube URL
https://youtu.be/iY340Z3BTdA

2nd EP「LOCAL SERVICE 2」& 限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」購入URL
https://kandytown.lnk.to/localsevice2

【KANDYTOWN 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」作品情報】
title:「LOCAL SERVICE 2」
release date:2021.02.14
price:¥1,400(without tax)
track list
1. Faithful (Lyric:IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN Music : Neetz)
2. One More Dance (Lyric:IO, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
3. Dripsoul (Lyric :IO, Ryohu, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric : Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO Music : Ryohu)
5. Coming Home (Lyric : MUD, Gottz Music : Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Sterling Sound 
Sound Produce: Neetz (M-1,2,3,5,6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

【限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」作品情報】
title:「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」
release date:2021.04.21
price:¥2,500(without tax)
track list (DISC1)
「LOCAL SERVICE」
1. Prove (Lyric: Gottz, KEIJU, MUD Music: Neetz)
2. Till I Die (Lyric: Ryohu, MASATO, BSC Music: Neetz)
3. Explore (Lyric: Gottz, MUD, Holly Q Music: Neetz)
4. Regency (Lyric: MASATO, Ryohu, KIKUMARU Music: Neetz)
5. Fluxus (Lyric: Neetz, DIAN, Dony Joint Music: Neetz)
6. Kapital (Lyric: BSC, KIKUMARU, Dony Joint, DIAN, Ryohu Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi at RDS Toritsudai
Masterd by Rick Essig at REM Sound
Sound Produce: Neetz
Additional Arrange: KEM
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

track list (DISC2)
「LOCAL SERVICE 2」
1. Faithful (Lyric:IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN Music : Neetz)
2. One More Dance (Lyric:IO, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
3. Dripsoul (Lyric :IO, Ryohu, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric : Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO Music : Ryohu)
5. Coming Home (Lyric : MUD, Gottz Music : Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Stearing Sound
Sound Produce: Neetz (M-1,2,3,5,6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

【KANDYTOWN PROFILE】 
東京出身のヒップホップ・クルー。
2014年 free mixtape 『KOLD TAPE』
2015年 street album 『BLAKK MOTEL』『Kruise』
2016年 major 1st full album 『KANDYTOWN』
2017年 digital single 『Few Colors』
2018年 digital single 『1TIME4EVER』
2019年 e.p. 『LOCAL SERVICE』,major 2nd full album『ADVISORY』
2020年 Digital single 『PROGRESS』
2021年 2nd EP『LOCAL SERVICE 2』,2CD EP『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』

R.I.P. U-Roy - ele-king

 2月17日、ジャマイカのキングストンでEwart Beckford──音楽の世界ではU-ロイの名前で知られる偉人が亡くなった。没年78。
 U-ロイは、ジャマイカのDeeJay(DJ)カルチャーのオリジネイター──厳密にオリジナル=いちばん最初ではないが、もっとも最初にその人気と影響力をもったことからほぼオリジネイターと言われている。U-ロイとは、マイクを握って音楽に合わせて喋る(トースティングする/ラップする)ことの古典である。
 実際の話、ジャマイカのDeeJay(DJ)カルチャーは今日ぼくたちが親しんでいる音楽の始原と言える。そもそもDeeJay/ディージェイは、サウンドシステム(=強力なスピーカーとアンプを擁する、レコードに合わせたダンス・パーティ)において場を盛り上げるために喋りを入れる司会者めいた役のことで、マイクを手に取り曲間に曲を紹介したりキャッチフレーズを入れたりしたという。ちなみにレコードをかけながら最初に喋った人物=厳密な意味でのオリジネイターはカウント・マチューキである(もちろんキング・スティットも忘れてはならない)。ジャマイカでは座談風にラップすることはトースティングと呼ばれている。
 「ディージェイをやるようになったのは14歳のときだった」、2006年に来日した際、U-ロイはぼくの取材でこう話してくれた。「サウンドシステムにはもっと小さい頃から通っていた。おばあちゃんに行ってもいいか訊いてから行った。もちろんいつでも行かせてもらえるとは限らない。そんなときは寝たふりをして、みんなが寝静まってから家を出たものだ。当時のサウンドシステムは、夜の8時にはじまって朝の4時ぐらいに終わる感じで、とにかくたくさんの人がそこに集まっていたんだよ」
 マチューキを崇拝していたU-ロイだったが、ディージェイになった理由は歌うよりも喋るほうが簡単に思えたからだという。とはいえ、レコードに合わせて喋りを入れるということを客をさらに呼び込むためのひとつの芸にして、しかもそれ自体をあらたな作品/表現としてしまうことはそう誰にでもできることではないだろう。U-ロイはラップの先祖とも言われている。
 彼がマイクを握りはじめたのは60年代初頭だが、ディケイドの後半、つまりロックステディ時代に残したいま聴いてもまったく素晴らしい記録は──世界初のディージェイ・アルバムとして知られる『Version Galore』(1971)で聴ける。ここでは、ロックステディの名曲(ヒット曲)の数々のリディムに合わせてのU-ロイのトースティングがミックスされているわけだが、そのなかにはディージェイ音楽としては空前のヒットとなった“Wear You To The Ball”も含まれている。彼の最初の3枚のシングルは、もとの歌手が歌っているレコードよりも売れたのだ。それは衝撃であり事件である。
 つまりディージェイの台頭は、大衆音楽史における変革でもあった。先にも述べたように、音楽で歌わなくても喋りが面白ければ人は集まるということが証明されたこと、既発の録音物はそれで完結ではなく使い回しができるということが実証されたこと、そして、ディージェイの喋りをより効果的に演出するためには既発の録音物から歌を削除したインストゥルメンタルのほうが向いていること、しかもそのインストゥルメンタルの音の抜き差しによる空間の創出によってさらに喋りが際立つこと──サウンドシステムというブロック・パーティ/レイヴ・パーティの青写真のなかでラップという手法は胎動し、それとリンクしてダブという既存の曲を再構築するという、すなわち今日ぼくたちがリミックスと呼んでいる手法もほぼ同時に生まれたのだった。U-ロイはそうしたダンスホール文化のパイオニアのひとりであり、そして彼の初期のパートナーこそダブの王様キング・タビーその人だった。
 「キング・タビーのシステムでディージェイをはじめて人気が出てくると、ジャマイカ中から人が集まってきた」、ジャマイカのダンスホールを制覇することなる当時の様子をU-ロイはこのように語った。「数あるシステムのなかでもタビーのアンプとスピーカーはすごい技術力で作られていて、とにかく抜きんでいていた。当時はまだ彼のメインの仕事はウォーターハウス地区のゲットーで働く電気技師だった、修理なんかをやるようなね。彼のシステムはほかでは聴いたことのない大音量だったけれど、スピーカーを飛ばしたことはいちどもないんだ。エコー・マシンなど最新の機材も輸入したり、アンプもかなりハイパワーだった。タビーはみんなが寝静まったくらいの時間にヴォリュームを上げるんだけど、それぞれの家庭で電気をあまり使わなくなった時間帯を待って、町中の電気をそこに流れ込ませるためにね」
 U-ロイはその後、〈Virgin〉にライセンスされたソウル・シンジケートとの『Dread In A Babylon』をはじめ、デジタル時代になっても多くのオリジナル作品を残している。90年代はかねてから大ファンだったというマッド・プロフェッサーの〈Ariwa〉から数枚のアルバムを発表しているが、2018年にも同レーベルから『Talking Roots』を出している。また、ベスト盤『The Originator』をはじめとする数々のコンピレーション盤も残しているが、サウンドシステム文化からも離れず、シャバ・ランクスやランキン・ジョー、チャーリー・チャップリンといった次世代のディージェイたちの育成に力を注いでもいた。
 最後まで精力的に活動的していたU-ロイは、2019年にはアルバム『Gold: The Man Who Invented Rap(ゴールド:ラップを発明した男)』をレコーディングしたそうだ。そこには元ザ・クラッシュのミック・ジョーンズ、キリング・ジョークのユース、シャギー、サンティゴールド、ジギー・マーリーらが参加している。夏になる頃にリリース予定だという。

 あらためて言おう。たとえばポップ・ミュージックのファンであれば誰もが知っている“Tide Is High”という曲がある。ザ・パラゴンズの曲で、ブロンディのカヴァーも有名だ。このレコードにU-ロイのトースティングがミックスされると、しかしそれはU-ロイの曲になってしまうのだ。すごいことだと思う。ぼくはこの偉人に取材したとき、限られた時間でついついキング・タビーのことばかり訊いてしまったのだが、U-ロイはこの失礼な日本人相手に始終穏やかに、事細かにタビーの話をしてくれた。持って来たレコードにサインをもらったのだけれど、このDJカルチャーの大大大先輩は、「peace(平和)、love(愛)」と書いてくれた。ゲットーのサウンドシステムで長年マイクを握ってきた先達からの重みのある言葉だと思う。
 最後に『ガーディアン』に掲載された追悼記事のなかの彼の言葉を引用しておきます。「私はただ人びとがユニティするよう呼びかけていただけだ。私は決して人を見下したりしなかった。暴力はじつに醜く、愛はじつに愛らしい。私は大学に行ったことなどないが、常識はある。自分が学んだことを最大限に活用している」
 
 なお、これからU-ロイを聴いてみたい人にぼくからのおすすめは、まずは何よりも『Version Galore』。これがディージェイというスタイルを最初に確立した作品である。古典中の古典だが、いま聴いても充分輝いている。ロックステディ時代(Treasure Isle時代)を網羅している編集盤『Super Boss』もおすすめ。ここではもうひとつの初期の大ヒット曲“Rule De Nation”も聴ける。ベスト盤では I Am The Originator』が曲数も多くおおすめ。キング・タビーとの絡みでは『U-Roy Meets King Tubbys』がある。

KODAMA AND THE DUB STATION BAND - ele-king

 「もうがまんできない」という声がいろんなところから聞こえてくる昨今、KODAMA AND THE DUB STATION BANDのライヴではお馴染みのJAGATARAのカヴァー、「もうがまんできない」のカヴァー12インチ・シングルが3月にリリースされる。3月まで「もうがまんできない」人のために、今週水曜日から先行配信もされています。
 そもそもこの曲は、宮藤官九郎の作・演出による大人計画の舞台、ウーマンリブvol. 14「もうがまんできない」のために、音楽担当の向井秀徳のご指名をきっかけに演奏し、録音したもの。新型コロナウイルス感染拡大を受け、残念ながら舞台は中止となってしまった(その後、宮藤官九郎監督のもと、WOWOWでのオリジナル番組化が実現し、無事、この曲も使用された)。まさに待望のリリースとなるこの曲を、12インチ・シングルに先んじていま、世に放つことの意味をかみしめながら楽しんでほしい。
 なお、12インチのほうの片面には、LP版『かすかな きぼう』には収録時間の関係で収録されなかった“STRAIGHT TO DUB (DUB VERSION)”も収録される。

KODAMA AND THE DUB STATION BAND
もうがまんできない / STRAIGHT TO DUB (DUB VERSION)

KURASHI/Pヴァイン
¥2,500+税
発売日:2021年3月24日

https://dubstation.tokyo

Various Artists - ele-king

 「地球上でもっとも活きのいいジャズは、ケープタウンやヨハネスブルグそして国中から集まった南アフリカに拠点を置くプレーヤーたちが発している」──これは『Wire』誌のリード文だが、パクってしまおう。『Indaba Is』を聴いていると、悲壮感に満ちた北半球の音楽が嘘のように感じられてくる。いや、南半球とてもちろんCovidはまん延し、ロックダウンもしている。昨年末は感染力の強い変異種が確認されたばかりだ。しかし、『Indaba Is』は最終的には、“希望に満ちた喜びのジャズと即興の暴動”になっている。『We Out Here』に次ぐジャイルス・ピーターソンの〈Brownswood〉が手掛けた素晴らしいコンピレーション・アルバムだ。紹介しよう。

 『Indaba Is』には南アフリカ産の現代ジャズが全8曲収録されているが、アルバムに参加したのは総勢52人。収録された8曲は、既発の曲ではない、すべてこのアルバムのために新録さている。ロックダウンの合間をぬって昨年6月の5日間で制作されたそうだ。南アフリカのジャズ・シーンで現在注目されているほとんどすべての若いプレーヤーは楽曲のいずれかでフィーチャーされている。
 南アフリカにはジャズの歴史があるが、アパルトヘイト時代には多くのジャズ・ミュージシャンは国外に亡命した。1990年に釈放されたネルソン・マンデラが1994年に大統領に就任するとアパルトヘイトは廃止され、タウンシップ・ジャズ、クウェラ、クワイトといった彼の地の音楽が国際的にも知られるようになった。近年のゴムやアマピアノなどは欧米や日本の新しモノ好きたちのちょっとしたトレンドにさえなっている。しかし、『Indaba Is』はそうしたいま旬の最新情報集ではない。「(国外には)南アフリカにいまルネッサンスが起きていると考えている人が大勢いる。しかしそうではない。それは私にとって、起こり続けているものだ。継続されてきたもの。ずっと続いていて、その勢いがいますべてが起きているかのように見えているだけ」、本作にも参加しているピアニストでシンガーのタンディ・ントゥリ(Thandi Ntuli)は『Wire』誌の記事のなかでこう話している。

 ヨハネスブルグのレーベル〈Afrosynth〉は昨年9月に地元のDJの選曲のもと、『New Horizons』と冠して『Indaba Is』とほぼ同様のコンセプトのコンピレーションを出している。だから『Indaba Is』だけが南アフリカの現代ジャズを伝えるものではない。ただ、本作はそのきっかけを作ったのがシャバカ&ジ・アンセスターズだったという点において必然の産物だった。ジ・アンセスターズがそもそも南アフリカのジャズ・ミュージシャンから成っているバンドだし、シャバカは以前から彼の地で演奏し、彼の地のジャズ・ミュージシャンたちと交流し、また彼らのほうでもUKで演奏する機会を得ていた。ジ・アンセスターズはもちろん本作に参加している。

 ザ・ブラザー・ムーブス・オンなる集団のリーダー、シヤボンガ・ムセンブ(Siyabonga Mthembu)はタンディ・ントゥリと並んで本作のキューレター役を担っている。ザ・ブラザー・ムーブス・オンは、音楽のみならずDIYによる演劇やパフォーマンス・アートも展開し、しばし(本人たちの意志とは関係なく)サン・ラーのアーケストラと比較されがちだそうだ。ロゴの入った服は着ないと言い切るムセンブは、『Wire』誌が言うには、オーソドックスなジャズ物語とはほど遠く、大学でジャーナリズムや政治を専攻していたそうだが、このコミュニティには純然たる音楽家以外にも、ドラマーであり学者でもあるトゥミ・モゴロシ(ジ・アンセスターズ)のような人も混じっている。『Indaba Is』はたいした考えもなくショーケース的に曲が並べられた編集盤ではない、深い思考があったうえでの音楽が記録されている。

 アルバムはボツワナ生まれのピアニスト、ボカニ・ダイアーによる意気揚々とした美しい曲、“Ke Nako”にはじまる。セツワナ語で「The Time Is Now」を意味するこの言葉は、反アパルトヘイト運動のスローガンだったというが、これが本作のオープナーを務める意味は大きい。なぜならひとつには、「ネオアパルトヘイト」と呼びうる情況がいまは存在するのだとタンディ・ントゥリは説明する。制度としてのアパルトヘイトはたしかに廃止された。しかし1994年に感じていた楽天主義は年を追うごとに衰退し、結局のところ国からのサーヴィスを受けられる白人居住区と非白人が暮らす貧困なエリアとの分断は依然としてあると。
 そしてもうひとつ、ゆえに、本作が2020年6月に録音されたことの意味も大きい。5月25日米ミネアポリスでジョージ・フロイド暴行事件が起き、それが発火点となってブラック・ライヴズ・マターなる歴史的な蜂起が世界のいたる都市で起きたまさにその真っ直中だったからだ。
 『We Out Here』において、反植民地主義の先駆的思想家フランツ・ファノンによる有名な著作『黒い皮膚・白い仮面』へのオマージュ──シャバカ・ハッチングスの“Black Skin, Black Masks”────がアルバムに確固たる意志を与えたように、『Indaba Is』にもファノンの影響下による1曲──ザ・レチッド(The Wretched)の“What is History”──がある。話は逸れるが、スラヴォイ・ジジェクが新刊『パンデミック2』のなかでBLMについてなかなか多くを言及しており、ファノンの話も出てくる。そこでジジェクは、(あれだけヨーロッパの植民地主義を糾弾した)ファノンが決して現代の白人社会に17世紀の奴隷商人の責任を要求したりはしなかったことに着目している。白人の心の内側に罪責感を植え付けることが彼の目的ではなかった。
 良いエピソードがある。『Wire』誌によれば〈Brownswood〉は、このアルバムの制作中(つまりBLM熱の最高潮のとき)、(白人である)自分たちは植民した側の人間であり、今回のこのようなコンピレーションは搾取になるではないかと、一時はリリースすべきではないと考えたそうだ。ムセンブに電話で、これが搾取にならないためにはどうしたらいいのかを訊いたという。結果、レーベルと彼らとの関係性は強化されることになった。契約内容は思いやりのある内容に改訂されて、作品はこうして世に出たわけである。

 『Indaba Is』には、南アフリカのジャズのハイブリッドな魅力が詰まっている。UKジャズにレゲエやソカが混じっているように、こちらには当地の多彩なリズムがあり、また、伝統的でスピリチュアルなハーモニー、南アフリカのメロディとモダンなソウルとの融合、インド音楽との対話まである。ぼくのお気に入りは先に挙げた“Ke Nako”、マーティン・ルーサー・キングの暗殺が語られる、まるでCANめいたファンクの“What is History”、牧歌的なアコースティック・ギターが美しいシブシル・ザバの“Umdali”、ジ・アンセスターズによるグルーヴィーなジャズの“Prelude to Writing Together”、タンディ・ントゥリによるネオ・ソウルめいたメロウな“Dikeledi”……ザ・ブラザー・ムーブス・オンによる瞑想的な“Umthandazo Wamagenge”もいいし、ま、どの曲もいいす。

 南アフリカのジャズ・シーンはいま、まったく楽天的ではない。Covidの真っ直中であり、それ以前から文化的なインフラを持たない同国のミュージシャンはますます窮地に追い込まれている。そこで彼らは現在デジタル・アーカイヴとそのネットワークを構築中だという。だが、昨年の6月にアフリカ大陸の最南の国にいる彼らの団結によって録音されたこの音楽──頭と身体と心のこもったジャズの変種──はいまこうして日本で聴ける/CDやレコードを買うことができる。

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