「K A R Y Y N」と一致するもの

Chart by Underground Gallery 2011.10.20 - ele-king

Shop Chart


1

ONUR ENGIN

ONUR ENGIN Edits 5 [Onur Engin/12inch] »COMMENT GET MUSIC
シカゴの[Plimsoll]からのリエディット作品も話題となった、トルコはイスタンブールのアーティスト ONUR ENGIN新作が、自身主宰レーベル[Onur Engin]から登場。何と言っても今作のオススメは Side-Aに収録された「Love Talkin'」で、先日のDommuneでもDANIEL WANGが一発目にプレイしていた「メリーゴーラウンド」や国内某アーティストによる「Blow」のリエディットなど、ここ数年多くのアーティストがDJプレイに取り込みつつある、山下達郎氏の音源をしようしたもの。この曲は、82年にリリースされた6枚目のアルバム「For You」に収録されていた作品で、作詞を手掛けているのは盟友 吉田美奈子!、原曲をピッチアップし、甘くアーバンな雰囲気はそのままに残した、文句のつけようがない、超フロアーキラーな仕上がりとなっています!!さらに Side-Bには、DJ HARVEYのプレイで知られる ROD STEWARTの名作「Do Ya Think I'm A Sexy」を、トルコの女性シンガー SENAYがディスコ・カヴァーした「Kent Yasami」をリエディット。こちらも原曲以上にパワフルで、ちょっとオリエンタルな雰囲気を感じさせて良いですね縲怐Bどちらもホントに最高です!!今回もリプレスなし、完全限定プレスでのリリースとなっていますので、絶対に買い逃しのないよう、お早目のチェックをオススメしますよ縲怐B間違いなく、下半期を代表するキラータイトルとなる事でしょう。大・大・大推薦!

2

AFRIKAN SCIENCES

AFRIKAN SCIENCES Means & Ways [Deepblak Recordings / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
新世代アフロ・トライバル・ハウス超推薦盤!ここ最近欧州では急激に評価が高まってきている注目黒人ハウサーAYBEEが主宰する[Deepblak Recordings]の新作はかなりヤバめのトライバル・チューンでオススメ! THEO PARRISHのリズムの打ち込みにも通じるような、独特のつんのめり感のある、パーカッションの組み上げ方が、凄まじくカッコイイ、新感覚のアフロ・トライバル・ハウスのB1がヤバい!その他にも、ドリーミーなシンセ音がタームワープするかのように、捩れながら上昇していく、ドラッギーなテック・チューンのA1、デトロイティシュな空間シンセを響かせたディープ・トラックのA2など、全てがキラー!DJ的にもかなりアクセントとなりそうなトラックばかりなので、上手く使って頂きたい一枚です!スタッフ推薦盤!

3

SOFT ROCKS

SOFT ROCKS We Hunt Buffalo No [ESP Institute / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
UKのハードディガー・ユニットSOFT ROCKSによる70's UK Reggae/Dubマナーなオリジナルを、ANDREW WEATHERFALLが男気溢れる[On-U]ライクなロッキン・ダブへリミックス!COS/MESやTIAGOらのリリースで話題を集めた LOVEFINGERS主宰の超人気レーベル[ESP Institutes]新作は、UKのハードディガー・ユニット SOFT ROCKS。PATRICK COWLEY作品を手掛けたり、INDOOR LIFEのヴォーカリストとしても活躍していたJORGE SOCARRASを起用した今作、まず Side-AにはTIM SWENNYも Beats In Spaceでプレイしていた、70'sパンクやNew-Wave、Dub/Reggaeを巧く昇華した ぶっ飛びまくった ドープ・パンキー・ダブ、オリジナル。そしてSide-Bには、UKの超大御所 ANDREW WEATHERALLが不良感溢れるロッキンなリミックス。どちらもとにかく間違いありません!これは何がなんでもゲットしておいて下さい。UGスタッフ 超オススメの1枚!

4

ANSWER CODE REQUEST

ANSWER CODE REQUEST Subway Into [Answer Code Request / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
HARDWAXが送る期待の新レーベル!ANSWER CODE REQUESTなる謎のアーティストによる、デトロイト、IDM、UKG/ダブステップのハイブリッドとも言える、強力盤! この所、リリースペースが落ちていたベルリンHARDWAX関連の作品ですが、久々にリリースされた今作は、 ここ数年のハイブリッド・サウンドの集大成と言えそうな、ダブステップ/UKG、エレクトロニカ、デトロイト・テクノなどの要素が詰まった、流石の地下サウンドを披露!トライバルハウスともUKファンキーともリンクするバウンシーなビートを軸に、デトロイティシュに色ついていくB2「Reflected」、エレクトロニカ的な硬質ビートと、ダークアンビエンスなシンセの絡みが緊張感を生み出しているA2「Escape Myself 」など、4トラックを収録!

5

BOMBAY BICYCLE CIRCLE

BOMBAY BICYCLE CIRCLE Shuffle - Leo Zero Remix - [Let'S Get Lost / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
A MOUNTAIN OF ONEのリード・オブ・マン LEO ZERO リミックス!トビの効いたパーカッションを鳴らした、北欧の天才 RUNE LINDBAEKとの共作、Side-Bが一押し!! KZA氏、[Mule Musiq]共同主宰[Let's Get Lost]第10弾は、同シリーズ初登場となる A MOUNTAIN OF ONEの DJ LEO ZERO。今回は、2009年にデヴューを果たした UKの若き4人組みロックバンド BOMBAY BICYCLE CIRCLEの 3rdアルバム「Different Kind of Fix」に収録された「Shuffle」をリミックス。原曲のポップメランコリーなギターリフを巧く残しながら、よりディスコ/ダンスフロアー仕様へと昇華させた、ナイスなバレアリック・リミックス Side-A、Side-Bでは LEO ZEROのリミックスに、トビの効いたパーカッションなどを鳴らしながら、展開させていった RUNE LINDBAELによるリエディットを収録。バレアリック方面の方は要チェック!

6

V.A

V.A Vibe 2 Compilation [Future Times / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
NYCのアンダーグラウンド、要注目レーベル[Future Times]新作は、現在、シーンのド真ん中で活躍するアーティスト、総勢 9組が参加した、超豪華 12"×2 EP!!NINA SIMONEの楽曲をネタにしていると思われる、デトロイトスタイルなビートダウン・ハウス A1を筆頭に、80年代のアーバンでソウルフルなディスコサウンドを彷彿とさせる TOM NOBLE手掛ける A2、AAX DONNELL & ERIC MALONEの人気クラシック「Golden Cage」的なリズムと[Island]的なトビ感が◎なエレクトロ・ダブ・ディスコ CONFUZED HOUSEの B1、バレアリックフィールなシンセ音とアシッドテイストなグルーブが見事に絡みあう JUJU & JORDASHの C1、浮遊感のあるシンセが印象的な STEVE MOOREのスローモートラック C2など、本当に捨て曲なしなキラートラック 全9トラックを収録!!是非お見逃しなく!

7

HOT BURRITO

HOT BURRITO Hot Burrito #1 [M1 Sessions / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
デトロイトのディストリビューター兼、レコード・ショップ"FIT"(実はSubmergeと同じ建物の中にあるらしいです...)が送り出す、謎多きデトロイトの新レーベル[M1 Sessions]から、DAVID SHETTLERなる人物による、粘り具合ばっちりなディープ・テック・ハウスがリリース! 粘るようにうねる、中音域のシンセ・シークエンスが、巧みな変化を繰り返グルーヴのヘビー・ベースの効いたディスコ・ライクなグルーヴの上で、軽やかに反復するA面、音フェチの方へもオススメ出来る、アナロジカルな電子音が、グチュグチュと変化しながら不規則に動く、ドープなビートダウン・ハウスのB面、共に、かなり個性的なカッコイイです!今後、どんな展開を魅せるのか楽しみなレーベルが誕生です!要チェック!

8

KAHUUN : ARTO

KAHUUN : ARTO Batteri : Midi Sync [Sex Tags Ufo / TOTALLY / 12inch] »COMMENT GET MUSIC
まさに"カルト"という言葉が相応しい、ノルウェー秘境レーベル[Sex Tags Mania]傘下[Sex Tags UFO]の第3弾は、かなりキラー!!その昔UKの[Paper]からも作品をリリースしていた地元ノルウェーのDJ、KAHUUNと、詳細不明のARTOなるアーティストのスプリット12インチ!01年に[Hi Fi Terapi]からリリースしていたA面、KAHUUN「Batteri」は、最近ありそうでないジャズ・ファンク・ライクな、ブレイクビーツハウスを展開!MOODYMANNの傑作の「Black Mahogany」を思い出させる傑作です! ARTOによるTR-808+ピアノな、オールドスクールハウスも◎!

9

FLOATING POINTS

FLOATING POINTS Danger [Eglo Records/ 12inch] »COMMENT GET MUSIC
もはや説明不要の存在、FLOATING POINTS の新作は7インチでのリリース! TR-808ビートとメカニカルでピプノティックなアルペジオシンセで展開していく、かなり個性的なテック・チューン!これはお手上げです...。ベースも低い位置でしっかりと鳴っています!中盤でパッドシンセが迫り上がって来た後の展開に痺れますよ!!

10

FARBEN

FARBEN Xango [Fatiche/ 12inch] »COMMENT GET MUSIC
90年代後半、[Klang]や[Scape]と言った名門から、数多くの傑作を世に送り出してきたミニマル/クリック・ハウスのパイオニアJAN JELINEK aka FARBENが、待望の新作12インチを発表!FARBENらしい、フカフカした手触りと、アナロジカルな空気感は健在!

Mark McGuire - ele-king

 2011年、マーク・マッガイアは彼の過去の大量のアーカイヴからの編集盤『A Young Person's Guide To Mark McGuire』を〈エディションズ・メゴ〉からCD2枚組で発表している。パッケージには、収録元の過去のCDRないしはカセットの作品名とその枚数(75個限定だとか130枚限定だとか200枚限定だとか)が細かく記され、また過去のCDRないしはカセットのアートワークを並べたポスターが封入されている。ポスターの裏側では、フェンダーのテレキャスター、そしてギブソンのレスポール・ジュニアとともにマッガイアが部屋に座っている。牧歌的な『リヴィング・ウィズ・ユアセルフ』や既発のアンビエント作のレコード盤『タイディングス/アメシスト・ウェイヴス』、あるいはアコギ演奏による"VDSQ - Solo Acoustic"シリーズ作など、2010年のエメラルズへの評価と比例して発表された諸作が好評だったこともあって、ソロ・アーティストとしての存在感が急速に増した感じである。
 マニュエル・ゲッチング直系のループ(ミニマリズム)を現代的なドローンの感性で再解釈した『タイディングス/アメシスト・ウェイヴス』、『リヴィング・ウィズ・ユアセルフ』で言えば"Brain Storm"のような瞑想的な曲、それから『VDSQ』や『リヴィング・ウィズ・ユアセルフ』の前半で見せたレイドック気味のコード・ストロークの響きを活かしたメロウな曲、あるいはごくまれに出てくるノイズ・ギター、そうしたものの自由な組み合わせのなかでマッガイアの音楽は鳴っている。『ゲット・ロスト』は『リヴィング・ウィズ・ユアセルフ』以来1年ぶりの新録によるアルバムで、おおよそギターの多重録音という制約がある音楽において、リスナーの期待をうわまる作品だと言える。

 このアルバムがレコード店の視聴機にあったら3曲目の"Alma"から聴くことをお薦めする。透き通るように牧歌的なアコギの反復、そしてメロディ、そしてマッガイアは歌っている。それはおかしな喩えだが、青年になったパンダ・ベアのようなヴォーカリゼーションである。そう、つまり、アニマル・コレクティヴが『サング・トングス』を最後に失ったものがこの曲には、さらに前進したものとしてある。それはホントに、予期せぬ美しいものに出会ったときの感動をもたらす。"Alma"は、5曲目でも繰り返されている。
 素晴らしいチルアウトとトリップを約束する"When You're Somewhere"や"Firefly Constellations"も捨てがたい。"Another Dead End"もマッガイアらしい瞑想的な曲だ。『ゲット・ロスト』には"Brain Storm"や"The Passing Of The Road Chief"を上回る曲がある。しかし何よりも、『サング・トングス』以降というものに出会えたことが嬉しいです。

Ao Inoue - ele-king


1
Glover - Love Skank (1point5 Dubstep Mix) -SiZe Records

2
Roots Manuva - 4everevolution -BIG DADA

3
Jai Paul - BTSTU (Edit) - XL Recordings

4
Cutsigh - Pipedreams - PHASE WORKS

5
Ghost Poet - Cash and Carry Me Home - Brownswood Recordings

6
Wiley - 100% Publishing - BIG DADA

7
Samiyam - Sam Baker's Album - Brainfeeder

8
Bibio - Mind Bokeh - Warp Records

9
Roots Manuva - Get The Get (Breakage Remix) - BIG DADA

10
Snoop Dogg - Wet & Sweat (sarpdagcinar) - via.soundcloud

Welder - ele-king

 エレクトロニック・ミュージックのシーンにおいて〈ワープ〉と〈ニンジャ・チューン〉、そして〈プラネット・ミュー〉は、そのリスナーならびにプロデューサーにとっていまだ憧れのレーベルだ。サンフランシスコで暮らしているブレンダン・アンジェリデは、2年ほど前からエスクモ名義によってその3つのレーベルから作品を発表している。エスクモはグリッチやダブステップといった最新のモードを彼なりに咀嚼した作品をリリースすると、そして2010年に〈ニンジャ・チューン〉からリリースされたアルバムではグリッチを入口としながらも、ある意味ではベースヘッズの期待を裏切るように、なかばシャーマニックな、壮麗かつメランコリックな彼自身のIDMサウンドを展開した。ウェルダー(溶接工)とはそのようにUKのベース・ミュージックに共感しながらも、その本性を安売りしないブレンダンにとっての、エクスモとは別のもうひとつの顔である。

 そのアルバム『フロレセンス(花時)』は、彼自身のレーベル〈Ancestor(祖先)〉から先月の末、配信によってリリースされている。「最新の音(カレント・サウンド)とは関わりを持たない音楽であること、それは音楽産業のゲームのいっさいに参加しないこと」、そして「溶接工というメタファーが暗示するのは熱を持って異なるものを接合すること、ならびにミステリーとその裏に隠された穏やかさにある」と本人はコンセプトについて説明してくれたが、たしかにこれはタイトルが言うようにアンビエント・フィーリングをもって花が成長していくかのような美しい作品で、エスクモのようにベースにフォーカスされてはいない。
 エスクモのハイファイ・サウンドに対して『フロレセンス』はいわばローファイだ。ローファイ・アンビエントと言えばエイフェックス・ツインの『アンビエント・ワークス』が思い出されるが、『フロレセンス』にはハウスからの影響はまずない。どちらかと言えばポスト・ロック的で、ピアノの音、ストリングスの音、控えめなビート、時折挿入される歌声......それら美しい音はおおよそ花のために鳴っているように思える("日本"という曲もある)。
 この物静かな青年はエスクモのアルバムにおいても北カリフォルニアのスギの木に影響されたことを明かしていたし、サンフランシスコに移住した理由もその原生林にあると話していたが、本当に植物が好きなのだろう。アートワークにある溶接工のマスクと花との組み合わせは、ビョークが打ち出すテクノロジーと自然との共生を思わせるが、『フロレセンス』のほうがロマン主義的で、彼が好きだという横田進の作品により近い。その控えめな美しさは自身のレーベルから人知れずひっそりとリリースされてこそさらに意味があるのだ。

 ブレンダンはエスクモ名義でもつい最近リミックス・シングル「ウィ・ガット・モア/ムーヴィング・グロウストリーム」を発表している。アモン・トビン、スラガベッド、スローイング・スノウをはじいめとする6人のリミキサーによるリミックスを収録したこちらでは、『フロレセンス』とは違って、まさに最新の音が聴けるわけだが、そのなかでもアモン・トビンとスラガベッドがずば抜けて面白い。アモン・トビンは例によって音のサーカスのような、圧倒的なIDMサウンドで耳を楽しませてくれる。スラガベッドはまだシングルしかリリースしていないダブステップ系のプロデューサーだが、〈プラネット・ミュー〉そして〈ランプ・レコーディングス〉といった人気レーベルからのリリースを経て〈ニンジャ・チューン〉が契約を交わした期待のひとりである。

James Blake - ele-king

 ブリアルの『アントゥルー』において、デジタル処理され歪められたR&Bヴォーカルは「幽霊のような声」だと評されたが、あれは本当に幽霊の声だったのだと思う。歌と言うよりは、悲鳴や泣き声のようにさえ聞こえたおどろおどろしく物悲しいその声たち。"ニア・ダーク"、"ゴースト・ハードウェア"、"ドッグ・シェルター"、それに"ホームレス"といったタイトル......。生霊なのか死者の霊なのか、シャマランや黒沢清が描いたような都市の内側のすぐそばで漂う幽霊たちの悲鳴を、あのアルバムは拾っていたのだろう。いまでこそダブステップはあらゆる方向に広がりを見せているが、ヴァリアス・プロダクションやブリアルの名によってそのジャンルが広まったとき、こんな風に呼ばれていたのをいまでも思い出す――「レクイエム・フォー・レイヴ・カルチャー」と。
 ジェイムス・ブレイクの"CMYK"で漂っていた声は、完全にそこから地続きで響いたものだった。けれどもそのトラックはケリスとアリーヤを「ネタ」にしていたことが後で話題になり、それらはメインストリームのR&Bが冒険的だった時代の記憶をも「亡きもの」に仕立てたという意味でより複雑な様相を示していた。そしてデビュー・アルバムでブレイクはよりシンガーソングライター的なアプローチで彼自身の歌とエモーションを披露したが、それでもそこにあった「声」は......『アントゥルー』の世界の住人のひとりになりすますかのように加工され、その個体性をぼやかしていたのだった。

 東京はソールドアウトになったというジェイムス・ブレイクの来日公演。大阪では豪華なアーティスト陣が顔を揃えたイヴェント、SATURNのいちアクトとして登場することになった。
 ふたりのメンバーを連れてステージに登場したジェイムス・ブレイクは、写真で見る以上に線の細い、いまだ大学生風情の青年だった。だがシンセの前に座ってその口を開けば、そこからアントニー・ハガティのような深く穏やかなソウル・ヴォーカルが漏れ出してくる。すぐにそこに加わる、生ドラムの打撃を機械に通して増幅されるビート......"アンラック"だ。低域の音圧が想像以上に強く、曲のビートは音源よりも強烈に叩きつけられる。ミニマルでありつつ、ランダムにも聞こえる複雑なパーカッションが、腹にずしずしと直接的にぶつかってくる。だが、恐らくそこにいた誰もが息を呑まずにいられなかったのは、彼自身の声だ。中性的でいてアンニュイで、独特のヴィブラートがかかることでどこか不安定に震えるその声。続く"アイ・ネヴァー・ラント・トゥ・シェア"では冒頭その場でサンプリングされた歌がループされ、彼自身によってコーラスが奏でられたが、それは湧き上がった歓声を押し黙らせるような迫力と緊張感を孕んでいた。だがその声は例によって極端なまでに加工されて歪められ、重々しい低音が少ない音数で地鳴りのように響くなかを浮遊する。ダブステップ譲りのへヴィなビートと、機械と人間の間を行き来しつつ発声される物悲しげなヴォーカル。それは本当に初めて体験する音楽だった。
 その音楽の幅を見せつけたのが中盤だ。"リンディスファーネ"は、孤独に震えるような歌声がそれでもギターの優しげな調べと寄り添い、ライヴ中もっとも穏やかな時間をもたらした。そして単音のシークエンスが繰り返されるとひときわ大きな歓声が上がる。"CMYK"だ! ビートは音源よりもはるかに強調され、驚くほどダンサブルでパワフルなものとして再現される。ケリスのヴォーカル・サンプルだけでなくブレイク自身の歌もそこに加わり、終盤は紛れもなくダンス・ミュージックとしての高揚を生み出していた。"リミット・トゥ・ユア・ラヴ"ではメランコリックなメロディを存分に歌い上げた後、そこにいる誰の腕も上がらないような暗く重たいダブに突入する。"クラヴィアヴェルク"はそのおどろおどろしさや禍々しさでこそ、オーディエンスを引き込む――低音が地を這う。
 ライヴはあっという間に終わりを迎える。素朴に感謝の言葉を述べたあと、最後に披露された曲は"ザ・ウィルヘルム・スクリーム"だった。メロウなメロディが繰り返され、曲が進むにしたがってパーカッションのリヴァーブは深くなり、シンセの和音が重なっていく――水中に深く潜っていくように。「僕は、僕の愛なんて知らない」――ビートがやんだ時に感じられた眩しさは、たしかにゴスペルのそれだった。

 初めて直に聴くその歌声は、まるで救いを求めるように悲しい響きをしていた。そしてそれは機械を通して加工されることで、目の前でジェイムス・ブレイクその人の元すら離れて、孤独な、忘れられた魂がすすり泣く声になっていく。もしこれを、ダブステップの後に来るべき現代のゴスペル、ソウル・ミュージックだと呼ぶのなら――それは、鎮魂歌だ。
 ブリアル以降の最良の成果がジェイムス・ブレイクであり、彼のあまりに特別な才能を目の当たりにする体験であったことは間違いない。けれどもそれは同時に、彼を通してたくさんの幽霊たちの魂と交信するような、そんな畏れを覚える夜でもあった。

(※写真は10月12日の恵比寿リキッドルームでのライヴ模様です)

Bjork - ele-king

 「アメリカのロックンロール産業はアイスランドの電気工組合にくらべてずっと保守的」と言ってのけたのが、もう10年以上昔のビョーク・グズムンスドッティルだ。「電気職人はとにかくで適応が大事。毎年新しい器具が出てきて、いちど電工になったら最後、新しい動きについていくためにいつもいつも研修を受けに行かなきゃならない」※

 今日のUSインディ・シーンにおいて、ラップトップを使った女性アーティスト(ジュリアンナ・バーウィックグルーパー、U.S.ガールズ、グライムス......そしてアマンダ・ブラウンマリア・ミネルヴァなどなど)が大勢出てきたことの契機のひとつとなったのは、まあ、間違いなくビョークだろう。『ホモジェニック』以降の彼女の音楽、そしてひょっとしたら彼女のa way of lifeもそれを促しているかもしれない。16歳でシングルマザーとなって、アナーキスト・バンドのクラスに会いに行くために角砂糖をなめながら旅費を貯め、2ヶ月も風呂に入らずアイスランドからベルリンまで車中で過ごしたような経験を持っている女性が、やがてアイドル的に華々しくソロ・デビューを果たし、そして最初に売り上げが下がったアルバム『ホモジェニック』において用いた方法論――つまりラップトップによるIDMサウンドをその後の自らの基盤としたビョークの活動の軌跡は、性別に関係なく触発されるものだ。彼女が"ハンター"で歌ったように、「旅の途中で家を見つけたとしても、私はそこにとどまらない」とは真実なのだ。

 僕はいま『EYESCREAM』誌の連載コラムで『バイオフィリア』について書き終えて、そのノリのなかでこのレヴューを書いている(これはそのコラムの補足のようなものです)。『バイオフィリア』は"自然科学"をモチーフとしたアルバムだが、コラム原稿のなかで、彼女がエレクトロニクスを用いて"自然"を描いた最初の名曲が"ヨーガ"であると僕は書いている。"ヨーガ"は、3.11を経験している我々がいま聴いたら重たい曲かもしれない。何故なら彼女が表現する自然とはオーガニック系が好むところの豊かな緑と暖かい海に囲まれたそれではなく、地底でマグマがうごめき、灰色の岩々が空に突き出た、荒涼とした大地が広がる自然なのだ。それは心象風景でもあるが、間違いなく自然そのものでもある(そしてその曲には、アレック・エンパイアによるさらに荒涼としたヴァージョンが3つもある)。あるいはまた、彼女は『ホモジェニック』に収録された"アラーム・コール"では、長持ちする電池とカセットを持って山頂に登って、愉快な音楽を流して人類を苦しみから解放することの夢想を歌っている。彼女は自然も愛しているが、同時にテクノロジー(科学)への評価も忘れない。

 ......と、偉そうなことを書いているが、正直なところ僕はビョークに関してはなかばミーハーなので、先行リリースされた12インチも4枚買ったし、今作の話題のひとつ、曲ごとのiPhone用のアプリもすべて購入した。もっとも僕はタッチスクリーン操作が彼女ほど好きではないので、電車のなかでちょっと触ってみるぐらいだが、まあ簡単に言えば、学研の『科学』の付録のようなものである。「科学とアートはかつて同じところにいたのよ。21世紀になって、その両者はふたたび結ばれるんじゃないかしら」と、彼女は『ガーディアン』が企画した読者からの質問に答えている。
 とはいえ、ビョークは科学者ではなく音楽家だ。かつて自分の音楽を「本能的」と形容した彼女の本質が変わっているとも思えない。理性を失っているわけではないが、ディオニソス的である。アルバムのなかのベスト・ソング"クリスタライン"は、結晶=鉱物を曲のテーマにしている。稲垣足穂めいた美意識を持ったこの曲には、いまでも「ナーディなダブステップや2ステップ、ミニマル・テクノのCDを買っている」という彼女らしい躍動的なブレイクビートの素晴らしい展開がある。いまでも僕は『ホモジェニック』を愛しているが、ストリングスを多用したあのアルバムのメランコリーに比べて『バイオフィリア』には"クリスタライン"に代表されるシンプルさと前向きさがある。"コモスゴニー(宇宙発生論)"も白眉のひとつで、この曲には『ホモジェニック』ならびに『ヴェスパタイン』とより近い叙情的なエレクトロニックな響きがある。サブベースを擁した"ウィルス"、ハーブのシンプルな音と歌のみで構成される"ソルスティス"もまた、IDM時代のオルゴールのようである。
 それぞれの曲には自然科学から引用したコンセプト(DNA構造をリズムに置き換えたり、重力や月の周期をリズムの反復に置き換えたり......)があるが、こうしたヨーロッパ音楽における数学的な論理ないしは天体の動きを譜面化するような試みは、それこそ彼女も言うようにギリシャ時代からあるもので(たとえばジョスリン・ゴドウィン著『星界の音楽』参照)、彼女が非宗教的な"科学"をモチーフにしたことは注目に値すると思うが、僕は『バイオフィリア』においてそのコンセプトの内容までは深追いはしない。 それよりも"自然"というテーマと直面としたときに生楽器の使用しかアイデアの浮かばないような音楽家とは100万光年離れたビョークの多様な音色と音階が織りなすエレクトロニック・ミュージックの面白さをまずは楽しみたい。『ピッチフォーク』は「革新者としての彼女はいまだ力強いが、ソングライターとしての彼女は疲弊している」などと書いているが、ソングライターとしての彼女は『ヴォルタ』のときよりも魅力を増し、音数は少なく表現として豊かで(サブベースは、現代的な威力を発揮している)、ところどころ陽気に僕には思える。まあ何にせよ、科学が金銭欲と結びつくよりも芸術と結ばれることを強く願っているのは、日本で暮らしている我々であろう。

※エヴェリン マクドネル (著)、栩木 玲子 (翻訳) 『ビョークが行く』 (新潮社)

interview with Joker - ele-king


Joker
The Vision

4AD/ホステス

Amazon iTunes

 リアム・マクリーン......ジョーカーを名乗るこの青年は、路上では不良だったかもしれないけれど、音楽シーンではいわば神童だ。地元ブリストルのグライム・シーンで頭角を現していた彼は、2009年に〈ハイパーダブ〉から"デジデザイン"を発表すると、その評価はいっきに加速した......というのも強いて喩えるのなら、"デジデザイン"からはデビュー直後のマッシヴ・アタックのあの蛇のような艶めかしい暗さがいよいよグライム/ダブステップのフロアに接続されたかのような、ある意味では我々が待ち望んでいた陶酔が展開されていたからだろう。
 また、ジョーカーが、ピンチやペヴァリストといったDJ/プロデューサーが開拓したブリストルのダブステップのシーンにおいて、もっとも若いひとりだったことも彼の神話に拍車をかけたのかもしれない。いずれにしても、グイードとジェミーとの3人による通称パープル・サウンドのパーティは、ジョーカーによればそれはDOMMUNEが広いと感じるぐらいの規模だったというのに関わらず、ブリストルの新風の象徴として瞬く間に広く知れ渡った。
 『ザ・ヴィジョン』はジョーカーのファースト・アルバムで、待ち望まれていた1枚だ。ブリストルのアンダーグラウンドのこの10年の秘密を明かすかのように、グライム、ジャングルやダブステップが混ざっている。そして本人に自覚はないかもしれないが、多くのリスナーはブリストルらしい"低音"を感じるだろう(彼の音楽が「町から生まれたもの」であることは、以下のインタヴューを読めばわかると思う)。ビートが直撃するようなパワフルなR&B"ザ・ヴィジョン"は数ヶ月前に先行リリースされているが、アルバムのなかばの"ミルキー・ウェイ"以降の流れはとくに素晴らしい。フラフラになりながらクラブの入口を目指して真っ暗な階段を下っていく。その先に待っているのは暗闇のなかの孤独な恍惚だ......。たとえ本人がこの言われ方を拒もうが、ジョーカーからはブリストルの"ネクスト"を感じる。ヒップホップを基盤としながら、騒々しいベースを擁するメランコリー・ミュージックという意味において。

自転車にはまっていた。ゲットー・バイクという自転車に乗って悪いことをするグループに入っていて、俺はそのグループのなかでもいちばん落ち着きのない子供だった。ずっと喋っているし、落ち着きがなかった。で、「うるさいから、おまえ、黙っておけや」って、「おまえはジョーカー(おどけ者)だな」って。

昨晩のDOMMUNEでのプレイ、わずか1時間でしたが素晴らしかったです。

ジョーカー:えー、あー、......(しばし沈黙、そして日本語で)ありがとう。

どういたしまして(笑)。今日着ているそのTシャツは、ビリオネア・ボーイズ・クラブ(ファレル・ウィリアムスのファッション・ブランド)のヤツですよね?

ジョーカー:そうだよ。昨晩着ていたのも同じブランドさ。原宿の店で買ったんだ。

ファレル・ウィリアムスというのは、あなたにとってヒーローのひとりと言っていいんですか?

ジョーカー:ああ、そうだね。

ゾンビーもファレル・ウィリアムスがヒーローだと言っていたけど、あなたがた世代にとって彼は本当に大きな存在なんですね......あ、でも、ゾンビーのほうが年上なのかな?

ジョーカー:ゾンビーは30歳だよ。

あー、ぜんぜん彼のほうが上なんですね。ちなみにあなたはファレルのどんなところが好きなんですか?

ジョーカー:数年前にネプチューンズのインタヴューを読んだ。そこでファレルが、「俺たちにできるんだから君たちにもできる」って言ってて、俺はそれで「そうか、できるのか!」って。

とくに音楽的に影響を受けたってことはないんですか?

ジョーカー:もう、メチャメチャメチャメチャメチャメチャ......好きだ。彼の音楽は大好きだ。

音楽にのめり込んだきっかけは?

ジョーカー:つねに音楽があったから。

親からの影響?

ジョーカー:てか、音楽が嫌いなヤツっているのかな? 音楽はずっとそこにあった。最初の影響は、10代になったばかりの頃に聴いたアンダーグラウンド・ミュージックだった。それから俺はターンテーブルを手に入れて、クルーに入って、ますます音楽の世界に入っていった。

あなたのいうUKのアンダーグラウンド・ミュージックとは、昨晩も話したけど、グライムのこと?

ジョーカー:いや、違う。最初はどちらかと言えばガラージだった。それからジャングルだね。ジャングルは、UKではものすごく大きいから。グライムはガラージの新しい型で、ドラムンベースはジャングルの新しい型っていう言い方もできるよね。

[[SplitPage]]

ひとりっ子で、いつも母親といっしょだった。彼女は車を運転しながらいつも音楽を聴いていた。それがジャングルだった。9年前に兄弟ができたんだけど、それまではずっと住む場所も転々としていて、ようやく一カ所に落ち着いて住むことになったとき、近所にクラックハウスみたいな家があって......

最初はDJから? 

ジョーカー:俺、ひとりっ子で、1日のうちの24時間、1週間のうちの7日間、母親といっしょだった。母親は車を運転しながらいつも音楽を聴いていた。それがジャングルだった。9年前に兄弟ができたんだけど、それまではずっと住む場所も転々としていて、ようやく一カ所に落ち着いて住むことになったとき、近所にクラックハウスみたいな家があって......まあ、実際に売人の家ってわけじゃなく、そう見えたってことなんだけど、そこにたまっていた連中のひとりが、いかにも売人なのか中毒者みたいな人なんだけど、いつも車で音楽を流しながらカセットテープを売り歩いていたんだ。それを友だちがよく買っていて、それを俺はよくコピーさせてもらっていた。そのテープを聴いていたよ。

そのテープがガラージだったんですか?

ジョーカー:そう、ガラージとグライムがミックスされていたね。

あなたはどういう風に、音楽制作を学んでいったんですか?

ジョーカー:いとこの家に行ったときにコンピュータを見せてもらって、そのなかにものすごい数のループがあったんだ。それをつないでいるのを見て、「あれ、それって曲を作ってるの?」って訊いたら、「そうそう」って。「こうやって、こうやって、こういう風にやるんだよ」って、で、「おお!」みたいな。それが最初だったね。それから数ヶ月後に自分でもコンピュータを手に入れて、そこにループを集めて、で、自分でやるようになったんだよ。

それは何歳のとき?

ジョーカー:13歳だね。えー......だから2002年ぐらいかな。

音楽に夢中になった理由みたいなものについて話してもらえますか?

ジョーカー:7歳の頃かな、さっきも言ったように母親の車になかにいるときにはいつも音楽があって、で、車中で流れている曲に自分の頭のなかで想像で違うフレーズを加えていった。だから子供ながらに頭のなかでトラックを作っていた。「俺ならこうするのに」とか、「何でここでこうならないんだろう」とか、実際に作る前からずっとそういうことをやっていた。

2007年にピンチの〈イヤーワックス〉から「Kapsize EP」をリリースするまでの経緯を教えてください。

ジョーカー:ヘンリーって男がいてね、彼はダブプレートを作っているんだけど、そのヘンリーがピンチの知り合いだった。俺はいつもダブプレートをヘンリーに頼んでいた。そのダブプレートがピンチのパーティのオープニングで何度か使われた。そのとき、けっこう良い反応をもらって、で、あのシングルがリリースされたんだ。15歳ぐらいのときかな。まあ、18歳になるまでは、ホントに身近な人しか俺が18歳以下(合法にクラブに行ける年齢)だということは知らなかった。

「Kapsize EP」の前から、ダブプレートはけっこう切っていたの?

ジョーカー:俺、その前からラジオのDJもやってたんだ。その頃はまだCDJがそんなに一般的ではなかったし、いまでも俺はCDよりもヴァイナルが好きだから、ラジオでプレイするためにもダブプレートはけっこう切っていた。

ちなみに何であなたはジョーカーという名義を使ったの?

ジョーカー:音楽とは別に、自転車にすごくはまっていたんだ。ゲットー・バイクというね、自転車に乗って悪いことをするグループに入っていて、俺はそのグループのなかでもいちばん落ち着きのない子供だった。ずっと喋っているし、落ち着きがなかった。で、「うるさいから、おまえ、黙っておけや」って、「おまえはジョーカー(おどけ者)だな」って。いつもそういう風に言われていて、最初は「俺のことをジョーカーと呼ぶな」と反論していたんだけど、いつしかそれも面倒くさくなって、「ま、いいか」と。それでジョーカーになった。

トランプの最強のカードって意味かと思った(笑)。

ジョーカー:ま、それでもいいよ(笑)。

そういえば、2009年、あなたが"デジデザイン"を出したあとに『ガーディアン』に載った記事で、あなたが"パープル(紫色)"を用いるのは、女の子が入りづらいような、モノクロームでダークなダブステップへの抵抗みたいな話がありましたが、実際のところどうなんですか?

ジョーカー:悪いけど、そのことに関しては話したくないんだ。俺が意図したこと以上に、話がでかくなってしまって......。

でも、今日も紫色のデザインのTシャツじゃないですか。

ジョーカー:......(ものすごく小さな声で)たまたまね。

[[SplitPage]]

俺は、自分の音楽をブリストル・サウンドだと思っていない。正直言って、レジェンドとされているマッシヴ・アタック、トリッキー、ポーティスヘッドのことはよく知らない。それよりも〈フル・サイクル〉やロニ・サイズのほうが俺にとっては身近だった。

ところでブリストルという町は、日本のリスナーからも音楽の町として知られています。

ジョーカー:その通り。

そういうブリストルの歴史や背景は知ってましたか?

ジョーカー:ああ、ある程度は認識していたよ。

そのあなたの地元で、とくに好きな音楽家はいましたか?

ジョーカー:それを言うのは難しいな。正直言って、レジェンドとされているマッシヴ・アタック、トリッキー、ポーティスヘッドのことはあんまよく知らない。名前は知ってるよ。でも、彼らの音楽は聴いていない。それよりも〈フル・サイクル〉やロニ・サイズのほうが、俺にとっては身近だったな。あのあたりは友だちも多いし、知り合いもいるしさ。


Joker
The Vision

4AD/ホステス

Amazon iTunes

なるほど。でも、あなたの『ザ・ヴィジョン』、あるいは昨晩のDJプレイにも、ブリストルらしさと言われているメランコリーを感じたんですよね。

ジョーカー:俺は、自分の音楽をブリストル・サウンドだと思っていない。だいたい、昨晩のDJではブリストルの音は使ってないよ。

わかりました。あなたのなかでアルバムというのは、どういう風に考えている?

ジョーカー:うーん。いまのところ『ザ・ヴィジョン』には何と言って良いかわからない。

曲のコレクション?

ジョーカー:違う。それ以上のものだ。でも、いまは何と言って良いかわからないんだ......。

シングルとは別に考えていたわけですよね?

ジョーカー:作っているときにはまったく別物だと考えていたね。それで、結果的にできた......そういう感じなんだ。

『ザ・ヴィジョン』というタイトルにしたのは?

ジョーカー:その言葉はいまとなっては半々かな。最初は、自分のなかの「ヴィジョン」を目指して作っていった。でも、そのヴィジョンを果たせたわけではない。そういう意味で半々だよな。ただ、結果には満足しているよ。当初考えていたものとは違ったものになったけど、それもまた「ヴィジョン」だからさ。

あなたのなかには理想のアルバム像のようなものはありましたか?

ジョーカー:ない。

フライング・ロータスには共感がありますか?

ジョーカー:うーん、何と答えたらいいかわらないな......ふたりとも黒人だからそう言うの?

ヒップホップに影響された音楽でありながら、コズミックなところが似ているかなと。

ジョーカー:ああ、たしかにそこは共通するね。彼とは友だちだし。

あなたはフライング・ロータス以外にもたくさんの人たちとの交流がありますよね。同郷のグイードやジェミー以外にも、ラスティとか。みんなそれぞれのバックボーンを持っていると思いますが、もっともあなたが共感しているのは誰になるのでしょう?

ジョーカー:それはものすごい数のリストになってしまうな......。たとえその人が俺の好みの音楽でなくても、でもその人が何をやりたいのかわかっているから、俺には共感があるし、だからすごい長いリストになってしまうんだよ。

ここ数年で、ダブステップやベース・ミュージックのシーンはずいぶんと大きくなったように思います。あなたはいまの状況をどう思っていますか?

ジョーカー:大きくなったことをハッピーに思っていない連中がいることも知っているけど、俺は良いと思っているし、実はシーンのことは気にしてないんだ。やっぱ、そのジャンルの人間だとカテゴライズされるのが嫌だし、自分はこれからもただ自分の好きな音楽をやっていこうと思っているから。(ダブステップのような)ひとつのジャンルで括られるのは本当に嫌なんだ。そうするとそこから外へ出て行けない。それ以上のものをやっていても、そのカテゴリーのなかでしか語られないっていうのがね。......まあ、呼びたいように呼んでくれればいいんだけどさ。

なるほど。もし自由に使える時間があれば、四六時中音楽のことばっか考えているようなタイプなんですか?

ジョーカー:ガキの頃、ホントに他にやることがなかったんだ。他にやることと言えば、チャリンコ乗って、盗みやってっていう、音楽以外にまともなことをやっていないんだよ。まあ、もし1日自由に使えるとしたら、半分は音楽制作、もう半分はコンピュータ・ゲームか自転車に乗ってるか、あるいは友だちと遊んでいるかだね。

なるほど(笑)。今日はどうもありがとうございました。

 ......それにしてもジェームス・ブレイクの"リミット・トゥ・ユア・ラヴ"は、あんな風にベースラインを活かして、ダンス・ミュージックとしてミックスするんだな。まったくあれは......グライムじゃないか。いやー、震えるほど格好いいと思った。

special thanks to E-Jima @ Disc Shop ZERO

MARTYN - ele-king

ten favourite recent tracks


1
Redshape - Throw in Dirt -forthcoming 3024

2
Daphni - Jiao -Jiaolong

3
Mosca - Dom Perignon -3024

4
Mathew Jonson - Cold Blooded dBridge remix -Crosstown Rebels

5
Morphosis - Too Far Marcel Dettmann remix -Delsin

6
Rustie - Flash Back -Warp

7
Kate Wax - Echoes and the Light -Holden edit -Border Community

8
Dj Assassin - Face in the crowd -Cross Section

9
Jimmy Edgar - Women -white

10
Rivet - Metrist -Kontramusik

Chart by JET SET 2011.10.17 - ele-king

Shop Chart


1

FRAN-KEY

FRAN-KEY FRANBRAIN »COMMENT GET MUSIC
湘南発、現在は沖縄を拠点に活動するFran-Keyによる待望の新作12"がホームCrue-Lから登場。レーベル・ボスLuger E-Goによる驚愕のサイケデリック・エディットに加え、Foolish Felixによるフロア・ライクなリワークも最高。

2

MARVIN GAYE PLAYA EDITS

MARVIN GAYE PLAYA EDITS 5 KING'S (MR. K ALEXI SHELBY) & PROFESSOR »COMMENT GET MUSIC
76年リリース作"I Want You"ネタのパーカッシブ・ディープハウス・エディット2Ver.に加え、ブラックネスなベースラインやパーカッションを用いたアフロ・ハウス仕立ての傑作"What's Goin' On"のグレイテスト・リエディットB面と、両サイド共に最高のリエディット・ワークです!!

3

V.A.

V.A. VIBE 2 »COMMENT GET MUSIC
エレクトロ~アーリー・ハウスの良質リヴァイバルを展開するUS地下発の大注目レーベル"Future Times"から、2009年にリリースされジャンルを跨いだ大反響傑作となったレーベル・ショーケース"Vibe 1"の続編第二弾が遂に登場。

4

JAMES BLAKE

JAMES BLAKE ENOUGH THUNDER »COMMENT GET MUSIC
Joni Mitchell名曲"Case Of You"のカヴァーB1や、UKベース・シーンを揺るがすジューク・ショックからの影響も伺える新機軸傑作トラックA2も収録の傑作です!!

5

KAHUUN / ARTO

KAHUUN / ARTO BATTERI / MIDI SYNC »COMMENT GET MUSIC
ノルウェーの地下拠点、Hi Fi Terapiの10周年アニヴァーサリー企画としてリリースされた、Skatebard "Way Out / Why Not?"の続編。Annie率いる"Totally"とカルト・レーベル"Sex Tags UFO"による新作スプリットEP。

6

WATER BORDERS

WATER BORDERS HARBORED MANTRAS »COMMENT GET MUSIC
ご存じHoly OtherやBalam Acabらのリリースで人気爆発中のブルックリン・レーベルTri Angleから、サンフランシスコの超新星デュオWater Bordersによる傑作1st.アルバムが登場です!!

7

J-BOOGIE'S DUBTRONIC SCIENCE

J-BOOGIE'S DUBTRONIC SCIENCE UNDERCOVER FEAT. CHRYS ANTHONY »COMMENT GET MUSIC
I,CedやDotmatic、Spinnerty等の良質リリースを送り出すフィリーのレーベルRecord Breakin'から、レーベル史上最大とされるビッグ・ボムが登場!

8

GREENWOOD

GREENWOOD CHEERLEADER STRUT »COMMENT GET MUSIC
ジャパニーズ・シティ・ポップ最高峰"Sparkle"が超爽快クリスタルなモダン・ソウル~ハワイアンAORに。ハワイアン・バンド、Greenwoodによる幻の激レア自主制作盤のデッドストックを発見です!!実はA面曲も日本人カヴァーです。

9

RENAISSANCE MAN

RENAISSANCE MAN WHAT DO YOU DO WHEN YOU DO WHAT YOU DO »COMMENT GET MUSIC
Dubsided出身のバウンシー・ディスコ・デュオがTurboから登場!!リミックスも豪華です。フィンランドの2人組、Renaissance Manが、KitsuneやMade To Playからリリースを経て、Turboに堂々の移籍。似非エキゾなバルカン・ダーティ・ハウスで勝負!!

10

FIELD

FIELD LOOPING STATE OF MIND »COMMENT GET MUSIC
Kompaktが誇るストックホルムのシューゲイズ・テクノ・ジーニアス、Field。待望のニュー・アルバム到着です!!アナログ2枚組+CD封入。

Chart by JAPONICA 2011.10.17 - ele-king

Shop Chart


1

SUN RA

SUN RA THE MIKE HUCKABY REEL TO REEL EDITS VOL.2 ART YARD / KINDRED SPIRITS / NL / 2011/10/2 »COMMENT GET MUSIC
目玉はやはりSUN RAの代名詞的ナンバーでもある"SPACE IS THE PLACE"の長尺エディットB-1。ミステリアスでスピリチュアルな趣を密封しDJユースにリコンストラクトされた渋味のあるエディット・ワーク◎その 他"FRIENDLY GALAXY"、"TO NATURE'S GOD"といずれも耳馴染みの良いSUN RAジャズ・セレクトで送る極上内容。勿論今回も特殊スリーブ仕様の限定プレス。

2

DR DUNKS EDITS

DR DUNKS EDITS DUNKS GOT THE ANSWER / ON YOUR KNEES DISCO DEVIANCE / UK / 2011/10/9 »COMMENT GET MUSIC
LARRY LEVANやDAVID MANCUSOもフェイバリットにあげるガラージ・クラシックにして70'S漆黒ブギー・ファンクCROWN HEIGHTS AFFAIR"SAY A PRAYER FOR TWO"ネタのB面"ON YOUR KNEES"がやはりキラー!最高です。

3

JAY SIMON

JAY SIMON FAITH WILD OATS / US / 2011/10/9 »COMMENT GET MUSIC
JAY SIMONなる新人(?)クリエイターによるもので、1995年リリースのグッドR&BチューンFAITH EVANS"YOU USED TO LOVE ME"をダンサブルにピッチ・アップしラグドなビートダウン・フォーマットへ落とし込んだ痛快作。原曲が素晴らしいので、もうその時点で間違いないのです が、この塩梅な仕上がり具合はホント最高の一言。

4

SHIT ROBOT

SHIT ROBOT ANSWERING MACHINE DFA / US / 2011/10/12 »COMMENT GET MUSIC
MCDEリミックス!・・に尽きます。意外とも思える組み合わせですが、完全にいつものMCDE節を前面に押し出したヒンヤリ&クールな質感で黒 いエレクトリック・ディープハウスに仕上げてきました◎ここ<DFA>よりアルバム・リリースも果たしたマルチ・インストゥルメンタリスト PLANNINGTOROCKによる"WHISPER REMIX"も同路線でカッコ良し!

5

SABRINA MALHEIROS

SABRINA MALHEIROS DREAMING FAR OUT / UK / 2011/10/12 »COMMENT GET MUSIC
AZYMUTHのベースプレイヤー=ALEX MALHEIROSの実娘でもある女性ブラジリアン・シンガー=SABRINA MALHEIROSによる通算3枚目となるソロ・アルバム。父でもある前途のALEX MALHEIROSをはじめとした多数の熟練名プレイヤー達によるブレの無い安定したバック演奏を基に伸びやかに歌い上げる爽快ブラジリアン・フュージョ ン・ソウル傑作。

6

KLIC

KLIC DISCO MUSIC / BUMP HOMETAPING IS KILLING MUSIC / UK / 2011/10/9 »COMMENT GET MUSIC
なんとも気持ちの良いシンセ・フレーズのループにヴォイス・サンプルやディスコ・フレーズ等ちりばめながら巧くまとめたA-1"DISCO MUSIC"。こちらもループするシンセ・フレーズにもったりしたキックとハンド・クラップ・サウンドがバッチリハマったB-1"BUMP"。両サイド共 にかなりハイクオリティに仕上がった好内容!

7

LEO ZERO EDITS

LEO ZERO EDITS MAGNIFICENT DUB LEO ZERO EDITS / UK / 2011/10/2 »COMMENT GET MUSIC
LARRY LEVANのフェイバリットとしても有名なUKのパンク・ロックバンド=THE CLASHによるドス黒パーカッシヴ・ブギー・ナンバー"MAGNIFICENT DANCE"をLEO ZEROがドライブ感増強、濃厚なダビー・ディスコ/ハウスへリエディット!本編には無いヴォーカル・パートを盛り込み随所で抜群のダブワイズも差し込ん だ超絶エディットに仕上がっております。

8

COFFEE & CIGARETTES BAND

COFFEE & CIGARETTES BAND SESSIONS -LIVE AT FORESTLIMIT- DISQUES CORDE / JPN / 2011/9/28 »COMMENT GET MUSIC
3台のラップトップ、ドラム、シンセサイザー、フルート、ギターと総勢8名によるほぼバンド編成とも言える迫力の陣容で送る第2弾。根底としてあ るDJ視点な部分がしっかりセッションの中で息づいており耳馴染みがとても良くミックスCD感覚でも楽しめます◎そしてKUTMAHに続くジャ ケット・アートワークは勿論この人、山尾光平 as BAKIBAKI!<CORDE>主宰MASAAKI HARA氏のライナーノーツも封入。内容/仕様共に素晴らしい!

9

OBRIGARRD

OBRIGARRD HEIGE ME MARS E.T. 音韻王者REC. / JPN / 2011/10/13 »COMMENT GET MUSIC
お待たせの再プレス!世界各地に点在する民族/辺境音楽にB-BOY的視点から選び抜かれた王道/定番ドラムブレイク、サンプリング・ソースをふ んだんに差込み、見事マージナルなブレイクビーツ・トラックへと磨き上げる粋な手法にて生み出された傑作アルバム「OBRIWORLD」から、厳 選4トラックが待望のヴァイナル化!

10

DJ NATURE

DJ NATURE CELEBRATE YOUR LIFE / LET IT RING GOLF CHANNEL / US / 2011/9/22 »COMMENT GET MUSIC
ラグドなクラップ・グルーヴに淡いシンセ・フレーズ、そして味わい深いヴォーカル/コーラス・ワークが艶やかにフィーチャーされる極上ブラック・ ビートダウン"CELEBRATE YOUR LIFE"、そしてディスコ・ファンク調のミニマルな疾走系グルーヴにこちらも黒い女性ヴォーカルが絶妙に馴染むクラップ・ディスコ・ハウス"LET IT RING"の鉄壁2トラック!
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727