「K A R Y Y N」と一致するもの

 5月に入り、ニューヨークは真夏模様になったり寒くなったりはっきりしない天気が続く。私は、カフェの近くにある公園、マカレン・パークでときどき運動をしている。エクササイズ・クラブというチームを組み、2人、4人、あるときはひとりで、時間があう人たちが集まってしたい運動をするという、健康的な集まりである。私はランニング、ストレッチ、バドミントンを専門にしている。この日はとても天気がよく、最高のエクササイズ・クラブ日和だった。日本とは違う種類だが、桜が満開で、ベンチに座っているおじいちゃんおばあちゃんが微笑ましい。週末はピクニックをする人、BBQをする人、読書をする人など、てんやわんやの人ごみになるのだが、エクササイズ・クラブはだいたい平日の昼間なので、人はそんなにいなく、運動するにはちょうど良い。

 i-Podを聴きながら、ランニングする人、ストレッチをする人、ドッチボールをするキッズなどを横目に見ながら、今日は5マイル、次は7マイルなど、どんどん距離を伸ばしていき、完走したときの爽快感に浸る。最高に良いショーをみた後の爽快感と似ている。一昨年までは、向かい側のマカレン・パーク・プール(プールといっても長年使われていない跡地)で、夏のフリー・コンサートが行われていた。MGMT、ヤーヤーヤーズ、ソニック・ユースなどたくさんのバンドがプレイして、毎週通っていたが、いまでは本当のプールに生まれ変わるべく建設中だ。

 こう書くと、なんて健康な日々を過ごしているのかと思われるが、実はほとんど毎日が夜遅くまで働き、ライヴハウス通い。先日は、〈パリ・ロンドン・ウエスト・ナイル〉というパフォーマンス・スペースのクロージング・パーティに朝の3時頃までいた。うちのカフェから2ブロック程先にある一角に、〈グラス・ランズ〉、〈ディス・バイ・オーディオ〉、〈ウエスト・ナイル〉という3つのライブハウスが並んでいる。そのなかの〈ノン・プロフィット・スペース〉と〈ウエスト・ナイル〉が、先日4/13に幕を閉じた。リースが切れたので、グリーン・ポイントに引っ越すのだそうだ。https://www.shinkoyo.com/parislondon/

Zeljko
〈ウエスト・ナイル〉のZeljko

 平日の夜だからといって、そんなに人はいないだろう、と思っていたのだが、なんと会場の前に人が溢れている。なかを覗くと、人ごみのなかで、エクスペリメンタルなロック・バンドがごりごりにパフォーマンスしている。そこで、この場所を仕切っているZeljkoを捕まえたので、インタヴューを慣行。

Ele-king: 今日でこの〈ウエスト・ナイル〉がクローズするそうですが。

Zeljko:そう、今日がラスト・ナイトなんだ。来てくれてありがとう。

Ele-king:まずは、この場所〈ウエスト・ナイル〉を紹介して下さい。

Z:ここはアーティストが住み、仕事をする、〈ノン・プロフィット・スペース〉。5~7人が集団が活躍している。〈ウエスト・ナイル〉は、2006年ぐらいにラフにはじまって、ここに引っ越して来たときは、バスルーム以外は壁も何もなかったんだ。コステス、トニー・コンラッド、ノウティカル・アルマナック、ライト・アサイラム、ブラック・パス、アキ・オンダ、ヴァンピリアなど数えきれないバンドがプレイしてきたよ。「https://www.shinkoyo.com/parislondon」からArchiveに行くとリストがみれるよ。

Ele-king:ショーはどれぐらいの割合でやっているのですか。

Z:だいたい1週間に1~2回、1ヶ月に1~2回の時もあるけど。ショーは口コミとeメール・リストのみ。

Ele-king:今日プレイしているバンドを紹介して下さい。

Z:スケルトンズ、ウィッシュ、ミラーゲイト、ザ・ガマット、フレディナイトライカー、ザ・ナスティズ。僕は、ウィッシュって、ヴォーカルありの、エピック・ダンス・ミュージックなバンドをやっているよ。アニマル・コレクティブをもっとダンシーにしたような感じ。スケルトンズとミラーゲートは友だちで、Shinkoyo(僕らのアートコレクティ))のパートナーでもある。ナスティズは、火曜日に公式に解散する前に、ここでラスト・ショーをして、ザ・ガマットは隣のグラスランズでサウンドを担当しているデリックのバンド。

Ele-king:次のスペースは、いままでと同じような活動をするつもりですか? 名前は同じですか? またいつ頃からはじめるのでしょうか?

Z:次はグリーン・ポイントに引っ越すんだけど、ここは住居兼でなく仕事場だけにしたい。次の場所は、〈ノース・ウエスト・ナイル〉とでも呼ぼうかと思っている。僕らには、コラボレート・グループがカリフォルニアのオークランドにもいて、同じようなことをやっている。彼らのスペースは〈イースト・ナイル〉っていうんだ。ショーは、5月ぐらいからやっていきたいね。

Ele-king:ウエブ・サイトには、「paris london france tokyo berlin texas los angeles georgia cleveland」とありますが、これが〈ウエスト・ナイル〉の正式な名前ですか?

Z:僕らは最初に〈パリ・ロンドン・ニューヨーク・ウエストナイル〉って付けたんだけど、ときどき別の都市の名前を適当に当てて遊んでた。ファッション・ブランドのフラッグ・シップ・ストアがある都市名を適当に並べて遊んでたんだけど、ブランド名はなくして、都市名だけにしたりとか。基本的にジョークで、僕らのスペースのフレキシブルさを表していると思う。

 

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 次の日はライアーズのショーへ。ニューヨークは〈バワリー・ボールルーム〉と〈ミュージック・ホール・オブ・ウィリアムスバーグ〉の2回の公演。今回は〈バワリー〉のほうへ行く。

ライアーズ
新作が話題のライアーズ

 ニュー・アルバム『Sister World』を引っさげてのツアーは、ソールド・アウト。ロスアンジェルスとプラハでレコーディングされたというこのアルバムは、前回までのライアーズのレコードと同様に、超現実的で恐ろしい雰囲気を醸し出しているが、それと当時にいまにも雷が落ちてきそうな、ダークで不思議なテンションのバランスを保っている。このテンションが、いかにもライアーズだ......とライヴを観てあらためて思った。

 決して張っちゃけ過ぎず、一歩寸前のぎりぎりのところを上手く綱渡りしている。ライヴ・セットも5人にパワーアップして、いつものように楽器を取り替えたり、オーディエンスとのキャッチボールもきちんとこなし、知的なエナジーに満ちあふれていた。後ろにいた女の子は、全部歌詞を覚えていてずっと一緒に歌っていた。

 『Sister World』が完成したと同時にアンガスもベルリンからLAに移り、3人が同じ都市に暮らすようになった。観客のなかには、元々ブルックリンでスタートした同じ仲間のバンド、ヤーヤーヤーズのメンバーもいた。LAとブルックリン、いまアメリカのインディ・シーンでいちばん気になるふたつの都市である。共演はどちらもFol Chenという、カリフォルニアのバンドで、US/ヨーロッパ・ツアーはずっとライアーズと一緒にツアーを回っている。メンバーのひとりは、ライアーズのサポートメンバーとしてプレイしていて、アンガスAとエアロンと一緒の学校に通っていたらしい。〈Asthmatic Kitty〉から作品を出している。

****

 カフェからベッドフォードアベニューを南に下がり、ブロードウェイを右に曲がると、『カプリシャス・マガジン』というフォト雑誌のスペース、ギャラリーがある。4月23に開かれたそのアート・オープニングに行ってきた。

 アンドリュー・ロウマンとニコラス・ゴットランドの〈スモーク・バス〉というショーで、日本でもよくショーをしている、アーティストのピーター・サザーランドがキュレーターを務めている。

 ギャラリー関係者や、ミュージシャン、アーティスト、うちのカフェのお客さんもたくさんいて、外もなかもわやわやしている。フロントとバックに部屋がふたつある、ゆったりしたギャラリー兼仕事スペースだ。この展示は、キャンプ、自然、探検がテーマで、フレッシュ・エア・ファンドという非営利団体のベネフィット・ショー。作品をひとつひとつに物語を思い浮かべ、どんな状況でこの写真が撮られて、ここに飾られるまでの過程を考えたり、リラックスした、開放感溢れる雰囲気に包まれていく。音楽もそうだが、アートで人の気持ちを動かす事ができるのは素晴らしい。こういう風に、音楽やアートをしっかり堪能し鑑賞できるような感覚を養っていきたい。

 

 5月5日、日本ではこどもの日だが、アメリカではCinco de mayo(シンコ・デ・マヨ)という、アメリカ人にもっとも良く知られている祝日である。スペイン語で「5月5日」の意味で、メキシコの祝日なのだが、メキシカンがたくさん住んでいるここアメリカでは、すでにアメリカの祭日になっている。メキシカン・ビール、テキーラ、サルサ、タコス、トルティーアなどを食べて飲んで、お祭り騒ぎをするのだが、私たち日本人や他の人種の人たちも、ここに住んでいると関係なくそれに便乗して、マルガリータなどを飲んでお祭り騒ぎをする。

ウィザード
ライトニング・ボルトのベースのブライアンのバンド、ウィザード
ハード・ニップス
日本人女性によるハード・ニップス!

Nobody can stop girls!

 ニューヨークにいると、アイルランドのセント・パトリックスディ、中国人の旧正月、ドイツ人のオクトーバー・フェストなど、いろんな民族の祝日をもれなく体験できる。ちょうどこの日は、ハード・ニップスのCDリリース・パーティで、チーズ・バーガー、ウィザード(ライトニングボルトのメンバー)、エイリアン・ホエール(USA イズ・ア・モンスター、タリバム!、ネッキングのメンバー)が共演。ハード・ニップスは、グリッター仕様のCDリリース・パーティという事もあり、ラメいっぱいの華やかなステージを披露した。

 かなり盛り上がっていたが、バンドが変わるごとに観客がごっそり変わり、それぞれのバンドの個性が面白かった。ウィザードは、ライトニング・ボルトのベースのブライアンのバンドで、このバンドではドラムを叩いている。かなり久しぶりのショーで、バンドも観客も大興奮。彼らもライトニング・ボルトと同じくフロアでプレイした。チーズ・バーガーは元々プロヴィデンスの3ピース・バンドだったのが、いまでは5人に増え、この日はオリジナル・メンバー、ヴォーカリストのJoeが飛び入り参加。このバンドは、ビール缶を投げるのがお決まりのようで、観客は容赦なくビール缶をステージに投げ、最後のほうでは、会場からさっさと電源を切られ追い出されていた。ここでもやはり「ハッピー・シンコ・デ・マヨ!!」と叫んでいた。

 

第3回 FULXUS - ele-king

終わりなき日常のフルクサス〈三〉
1984ヨーゼフ・ボイス〈二〉

 その日の夕方、水戸芸術館のヨーゼフ・ボイス展から妻の両親の家にもどった全員は食卓を囲んだ。毎回歓待を受けるので恐縮するのだが、この日もはやばやとテーブルにプレートがだされ、肉と野菜が並べられた。義母は、この年の女性がなべてそうであるように、「東京から来てクタビレタでしょう。ウフフフ」と笑いながら、一連の動作でビールの栓を抜き、私の前にあるコップになめらかに注ぐとテーブルの正面に座り、彼女の夫は私の左手で空をみあげるように新聞を開いていた。食卓にはザックリ切った野菜が入ったボールと、酒のアテは数種の漬け物と惣菜、妻の父が那珂湊から買ってきた肉厚に切られたマグロやタコの刺身があったが、この日はサイコロ状の鯨肉がメーンだった。
私は水戸駅の繁華でないほうのロータリーから妻の実家の方に向かう途中に鯨肉を食べさせる店がみえ、いつか入ってみたいその前を通るとき力強く宣言していたが、途中からそれをいうのはオヤクソクになっていた。水戸はアンコウ鍋が名物のはずだが、私はアンコウ鍋は食べたことがなく、「アンコウはじつにおもしろい。マジすごい」とおもにそのルックス面からアプローチしてきたが、鯨肉は給食でもでていたからおおよそ察しはつく。リュウグウノツカイとかトカゲギスとか、そこには深海魚は図鑑で見て楽しむものだという、たぶんジュール・ベルヌの『海底二万里』あたりから得た興味本位というか強化ガラス一枚を隔てて覗きみるような距離感があって、それをいえば鯨にだってメルヴィルの『白鯨』という忘れられない本があるが、『白鯨』には逆に移入した。といっても、主役である隻脚のエイハブと話者のイシュメルのどちらかではない。話のなかの彼らは当然役割を備えていたが、私はイシュメルの後ろにいてエイバブを観察するようでもあり、舳先から海原を眺めるエイバブの血眼になった眼を借りたようでもあった。モービー・ディックでさえあった。外洋に連れ出されたというか。

白鯨 ハーマン・メルヴィル
白鯨

岩波文庫

Amazon

私ははじめて読んだのはもう20年以上も前だから、エイハブと白鯨を善/悪、聖/俗、そのほかなんでもいいが、なにかの象徴になぞらえ神話的虚構として読んだわけでは全然なくて、メルヴィルの捕鯨に関する詳細な叙述もあって、ハウトゥというほど役立つわけではないが、抽象に昇華されきってない智恵に、暑い夏の日の真っ昼間に浜辺の木陰で涼をとる近所のオヤジとか老人とかがヒマツブシで語りだす虚構というより、どこまでいっても海しかない私の郷里のシマに伝わるシマの(ドン・キ・ホーテ的な)奇譚のように読んだ。私がまだ小さかったころには、シマにはハブに噛まれた足を毒がまわらないよう切り落とした着流しの老人が杖をついて歩いていて、その精悍な嘉手苅林唱似の顔つきをエイハブに重ねていたからかもしれない。

「最近の鯨は焼きすぎるとマズくなるからさっさと食え」

 妻の父親は北関東のひと特有のそっけなさでいった。彼らはいまは水戸に暮らしているが、元は栃木の出である。

「シャリシャリ感が残るくらいでちょうどいいですかね」と私は聞き返した。

「調査捕鯨で獲った鯨は元々が漁ではないから、船も冷凍の設備がちゃんとしてないのよ。見てよ、このニコゴリみたいな赤い色。これはそのせいよ。高いのにヤんなっちゃうよな、まったく」

「すみません。気をつかわせて」

 私はビールをついだ。

「勝手にやるから気にしなくていいよ。まあ調査捕鯨もそのうち禁止されるだろうから鯨はもう食えなくなっちゃうよなあ。鯨ベーコンなんてなあ、よく食ったんだがなあ。あんたのころもあったの? そう。でもまあ、もう食えなくはなるわなああチキショウメ」

 最後のは妻の父の口癖である。

「シー・シェパードなんか物騒ですからね。でも捕鯨は世界的にみると禁止する流れなんでしょうね」

「商業捕鯨と調査捕鯨を混同しちゃいかんよ。日本が外洋でやっているのは調査捕鯨であって、調査捕鯨は商業捕鯨を再開するためのものでしかありません。商業捕鯨は日本の沿岸でやっている伝統的なものか、IWCの管轄に入らないクジラを対象にしたものなんよ。ウィキペディアによると『IWCの商業捕鯨モラトリアム決議に対して、国際捕鯨取締条約 (ICRW) 第5条に基づく異議申し立てを行ったノルウェーが1993年に再開を宣言し、ミンククジラを対象に沿岸捕鯨を行っている。近年の捕獲実績は年に600頭前後で、2006年は1052頭の捕獲枠に対し捕獲実績は546頭である。アイスランドも2006年に商業捕鯨再開を宣言してナガスクジラとミンククジラ各7頭を捕獲したが、翌年に再停止している。ただし、日本への輸出のめどが立てば直ちに商業捕獲を再開するとしている』とあるのが商業捕鯨でシー・シェパード体当たりしているのは調査捕鯨。市場にでまわってるのは調査捕鯨の副産物である鯨肉しかないので、それをおいしく安価で提供するというお題目はそもそも成り立たないのであろう」

「システムというか流通的にどうしても良質の鯨肉を提供できないなら調査捕鯨は止めればいいじゃないですか?」

「それを止めると商業捕鯨の前提が崩れるべ。科学的論証のある乱獲に当たらない水産資源の有効利用は伝統的な食文化を保護すると主張しないとな」

「その伝統的な食文化が非捕鯨国には倫理観に抵触するんですよ」

「それはあらゆる文化の摩擦にいえるのではないかね。オレは21世紀はそういう時代だと、10年ほど前にさかんにいわれており、ここ数年またちがう局面に入ってきたと思う。国家によらない覇権主義、もう覇権主義の言霊みたいなものだな。それに対抗するには、偶然ある瞬間にであう無名の人びとの集団が有効だとしても、捕鯨はひとりではできないしな。かといって、利害関係が対立する複数国が関係する問題を、国際機関を調整弁として利用して一色に染めようとしてもな。生殺与奪の話には宗教観はからむもんだからな」

「調査捕鯨の名目で獲るからややこしくなったのではないですかね。調査という割には肉食ってると。非捕鯨国にしたら主従が逆転した現状があり看過できないと」

「それはあくまで副次的な問題だべ。オレなんかむしろ、環境問題のグローバル・スタンダードの押しつけな気はするけどな。畜産や養殖みたいに生産計画を立てられるのは倫理を問われないが、たとえ統計学的な推移は提示できても、クジラみたいに生態がよくわらからない、しかもオレらとおなじ哺乳類は希少種であってもなくても、捕獲すべできでないとはわかるけど、それはむしろ神秘主義のにおいがあるな」

「というと?」

「かつてクジラを滅ぼそうとした科学を使ってクジラの象徴性を守るということよ。文化のソウコクは科学的データの積み上げでは対処できなのではないかな」

「タバコも同じですね」

「あれは健康にわるいからダメに決まっとろう」

 妻の父は北関東特有のアクセントで尻上がりにいった。

「大麻はタバコより健康に害がないそうですが、マリワナは吸ってもいいですか?」

「オレはガンジャのことなんか知らんよ、コンチキチョウ」

 私たちは食卓でこんな話をした気になったのは日中に『ボイスがいた8日間』を見て思うことがあったからである。お暇なら前回を読んでいただきたいが、水戸芸術館で私は妻と子と妻の両親ともいっしょだったのだった。外出するときいつもフィッシャーマンズ・ベストを着てキャップをかぶる義父は、アイテムだけみるとボイスとかぶっており、年の頃も彼が最後に日本を訪れたこのときと同じ60代なかばである。この年齢になると男はボイス化するのだろうか? もし読者はここまできて私がムダ話で字数をかせいでいると思われるのは心外である。ネットの原稿に字数などそもそもない。あるのは余白だけだ。広大な階層化したスペース。あるいは自律した集合知の堆積。ボイスがこの時代に生きていたら、私は彼はこれまで「任意の触媒」とみなしてきたマルチプル作品をネット的なコミュニケーションにどう対応させるか、あるいは転用するかたいへん興味がある。

 

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終わりなき日常のフルクサス〈三〉
1984ヨーゼフ・ボイス〈二〉

 マルチプルとは、既製品をそのまま使ったり、簡単に手を加えたりした普及版の美術品で、一点ものより安価で売られる。ボイスは生前800点ほどのマルチプル作品を制作しており、今回の展示の大半もマルチプル作品だった。私は前回、草月会館でのナム・ジュン・パイクとのアクション「コヨーテ・」をとりあげたが、これは展示の最終部にあたる第9室のものであったのでそこに来るまで多くのマルチプル作品の間を縫ってきた。材料は、木材、フェルト、既存もしくはオリジナルの印刷物、ネガフィルム、映像フィルム、ラッカー盤やヴァイナル、ビンとかカンとか多岐にわたり、いずれの作品もボイスの手を経るか監修を受け、エディションが付されているものがほとんどである。ややばらつきはあるものの約30×21×6センチの直方体の前面をとりはらった木箱に鉛筆で書きこみをした「直観」、オープンリールの録音テープを厚手のフェルトに埋めこんだ「ヤー、ヤー、ヤー、ヤー、ヤー、ネー、ネー、ネー、ネー、ネー」、ボイスがじっさいに使った橇を作品化した「そり」を普及版化したマルチプルの「そり」、よくしられた「フェルト・スーツ」や、レモンの酸性成分によってうまれる電流で電球に光を灯す指示のある「カプリ・バッテリー」 ―はボイスが日本を去った85年の作品なのだけど― など、事物とその組み合わせで一見して不可解だがそのウラに素朴な思考の跡があるマルチプル作品は、ボイスの哲学を他者に喚起させる非限定的な「任意の触媒」だが、彼の哲学は彼の履歴が背景にあるせいで神話的ですらある。

第二次大戦中、ドイツの空軍兵だったボイスはクリミア半島上空でソ連軍に撃墜され、重傷を負ったが遊牧民のタタール人に助けられた。脂肪を塗られフェルトでくるまれたおかげで一命をとりとめたことから彼はフェルトと脂肪を長くモチーフにしてきたが、それらの素材はマルチプルになることで、アーティスト、政治活動家、教育者、思想家=ボイスの本文をおぎなう脚注として、この美術史上の巨人の神話性を強化するようにふるまいはじめるが、しかし私はボイスの神話性とはほんとうはシカメ面で考えこむものでもない。
「1921年、クレーフェ、絆創膏を貼った傷跡展。1922年、クレーフェ、近郊モルカライの牛乳展。1923年、コップ一杯の口ヒゲ展(内容はコーヒーと卵)。1924年、クレーフェ、異教徒の子たちの公開展~」とつづく彼の有名なジャーマン・ジョークみたいな自筆年譜(ボイスは1921年、クレーフェに生まれた)を真に受けるべきというか、ボイスの神話が体温をもち、偉人伝の枠をはみだして、演劇的にツクリモノめいてくることに私は無上の喜びさえ感じる。フルクサス的といっていいそのユーモアには思考を外側へ浸透させるものがあり、その目でみてまわると驚くのだ。初期の素描を再編したリトグラフの筆の運びの見事さ、シルクスクリーンや写真作品のデザインの素朴な力強さ、既製品をマルチプル化した資本主義批評であり、デュシャン的でもウォーホル的でもある一連の「経済の価値」シリーズのマルチプルでさえ、そこにはやはり厳密な審美眼を感じた(もっともデュシャンのシュールなエスプリともウォーホルのポップさともちがうボイスのマルチプルは、三者を順番にデュシャン=レコメン→ボイス=クラウト・ロック→ウォーホル=パンクと並べるとしっくり......こないかもしれない、時代背景もまるでちがうし。また普及版であるマルチプルは原曲とリミックス、原曲とエディットの位置にあるとすると、マッシュ・アップではない。ザ・KLF的な非合法性はない。音楽と決別して活動を休止したKLFは作品をまるっきり発表しなくなり死んだデュシャンを思わせる(死後に遺作が発見されたが、KLFもそうなるのだろうか)。

 とはいえ、妻は「いまの潮流にはデュシャンのアイデアのためのアイデアや、ウォーホルのような色彩のあるポップさより、ボイスの落ち着いた、渋さがふさわしいでしょうね」といい、私はそれに同意した。

 私たちはいっしょに水戸芸術館にはいっていた。私はマルチプルひとつひとつを丹念にながめていたが、妻は興味のある作品を中心に見てまわった。娘は第2室にあった加工前のフェルト原料の7本のロールを作品化した「プライト・エレメント」をさわったのを注意されやる気がなくなり、義父母は「あーうーん」とう唸りながら足早に先に歩いていった。彼らは早々にちりぢりになった。彼らのうち誰がただしい鑑賞者だったのだろう。

 会場でもらったパンフレットにはこうある。
「ボイスは本当の資本とは貨幣ではなく、人間の創造性だと語り、わたしたちが生きる世界や社会を、人間の創造性によって未来へと造形する「社会彫刻」の概念を提唱しています。そして、その「社会彫刻」に関与するための潜在能力が備わっている存在として、「人間はみな芸術家である」と語りました。こうして、ボイスは社会に積極的に関与する新しい芸術/家のモデルを提示したのです。」

 これがボイスの代表的な言葉である「すべての人間は芸術家である」であり、「社会彫刻」である。

 ここで流通/交換可能な貨幣のアナロジーになっている創造性とは特定の行為でなく、また、生活の創造性という恣意的なものでもない。「私は芸術家ではあるが、それはたいしたことではない。どんな芸術的な行為も社会の光の中に出なければ輝かない」とボイスがこの展覧会の映像資料のひとつで語ったように、創造性が芸術の社会化であると仮定するなら、社会彫刻では、たがいに触発され啓蒙し合い、積極的にそこに関与する任意の人たちの共同体が作り手となり、芸術家は中心から退く。共同体ではボイスのアクションのひとつの手法でもある「対話」が重視され、対話を通して社会彫刻は構築物としての志向性がきめられる。私はここに、ボイスのマルクス主義(もっといえばプラトン主義で古典的な弁証法)への愛憎と、理想主義者としての倫理と、またすこしの危うさを感じもする。第二次対戦の残響とみえなくもない。その危うさとは、68年5月の革命(とバタイユと)をふまえ、共同体をもちえない者の共同体を友愛(フラタリティ)さえもちだし論じたブランショの『明かしえぬ共同体』に指摘された全体主義への親和性の要件をボイスの思想が一見して満たすということだ。

 私はそのことを考えると黙りそうになるが、ここまで読んでこられた辛抱強い読者よ、思い出してほしい。戦争で死にかけてタタール人に助けられた彼は、西洋と非西洋の境界線で生と死の境目をただよった男でもあった。私は誤解を承知でいえば、ボイスの獣性と理性が混じり合った彼の作品に惹かれてきたと、今回の回顧展をまわって気づいたのだった。アイデアのスケッチにすぎない(?)マルチプルの野趣はディオニュソスというほどむこうみずではないけれども、飼い慣らされない荒々しさで水戸芸術館に転がっている。私は順路をめぐりながら、彼のトレードマークである茶色の十字架や、「野兎の血」と題した作品のビニール製の封筒のなかで、4・のウサギの血がまるでこのあと食卓でだされるクジラの肉にはりつきニコゴリを連想させる凝血になっているのをみながら、「キリスト教的というよりこれは、キリスト教前史というか、ヘルマン・ニッチュとかのウィーン・アクショニストのジオラマみたいだよなー」とつぶやいている。

 そして私は、思わず作品にさわってしまった娘の手に残ったフェルトのザラついた感触と同じ位置に作品をみる行為を置くこと、現在の時制のなかで彼の作品を回想しつづけることで、美術史にすでに固有の場所を占め、象徴的にさえなってしまったヨーゼフ・ボイスという巨大な構築物をガウディのあの教会のように未完の現在につなぎとめることができるのだと思った。

 これこそ、ボイスの行為/芸術(芸術/行為も可)のアルケミーである。

 

Shop Chart


1

L?K?O

L?K?O Bed Making... BLACK SMOKER RECORDS / JPN »COMMENT GET MUSIC
傑作チルサイケMIX CD再発!DOMMUNEでのPLAYも素晴らしく、再放送もされたL?K?OのMIX CD。あの「BLACK SMOKER」からリリースされた本作は、寝室におけるエロス的空間処理、またの名をムード作り、そんなBGMからの視点をサイッコーにサイケデリックにMIXした内容。R&Bのアカペラと、ダビーなバックトラックで異常なとろみが滲みでています。(I)

2

AMEL(R)A a.k.a. ADE FELA

AMEL(R)A a.k.a. ADE FELA Pria Vol.2 BLACK SMOKER RECORDS / JPN »COMMENT GET MUSIC
西新宿から世界中のアンダーグラウンドでVIVIDな音源を提供、シーンから一目も二目も置かれるレコードショップ「LOS APSON」の店主、山辺圭司氏によるMIX CDが「BLACK SMOKER」より到着!インド北東部の神話に"SHOCK HERTS!!!"されたということで、「アレ」な匂いがプンプン。最初から最後まで、途切れないあやしさ。というか、"妖かし"です!(I)

3

RICK WILHITE PRESENTS

RICK WILHITE PRESENTS Vibes New & Rare Music Part B RUSHHOUR / US »COMMENT GET MUSIC
3CHAIRSのメンバー、RICK WILHITEのレコ屋「VIBES」が送るコンピレーション、そのアナログカット第二弾!THEO PARRISHによる未発表音源がヤバい!暗闇のなかで演奏するJAZZ BANDのような、ダークでシリアス、ミニマルで実験的なGROOVE。また逆面には「VEGA RECORDS」からもリリースするRICARDO MIRADAによるアーバンなHOUSEを収録!(I)

4

REVENGE

REVENGE Final Chapter Versionitis (Vinyl 1) WHITE / UK »COMMENT GET MUSIC
あぶな音源RE-EDIT!MARK Eと共に注目が集まるREVENGEが先日リリースしたRE-EDIT音源集に収録されていたMJのスリラーのRE-EDITが12"でリリース!知らない人は宇宙人ぐらいかも!?、なスリラーを尺もたっぷり、焦らしに焦らして展開する鬼フロアー仕様!STILLOVE4MUSICのANDY ASHによるBARRY WHITEのEDITもA-1に収録!(I)

5

GUILLAUME & THE COUTU DUMONTS

GUILLAUME & THE COUTU DUMONTS Can't Have Everything CIRCUS COMPANY / FRA »COMMENT GET MUSIC
間もなくアルバムもリリースされる、フランスの個性派プロデューサーGUILLAUME & THE COUTU DUMONTSによる先行12"。同郷のDOPをフューチャー、アップテンポでアグレッシヴなJAZZ FUNK MINIMAL!生系の音では最高の部類に入る、素晴らしいプロデュース力。逆面のあんにゅいなSAX使いが光るDEEP HOUSEもさすが!(I)

6

RAUDIVE

RAUDIVE Paper EP MACRO / GER »COMMENT GET MUSIC
アヴァンギャルド・ミニマル!UKのベテランプロデューサーOLIVER HOによるRAUDIVEの新作は、現代音楽的側面からテクノにアプローチをする才人STEFAN GOLDMANの「MACRO」レーベルから。A-1!コンテンポラリーっぽいホーンとDEEP MINIMALが合わさった変態的な作品。変わった音をお求めの方に・・・。(I)

7

ミスターメロディー /やけのはら/タカラダミチノブ

ミスターメロディー /やけのはら/タカラダミチノブ Hey Mr.Melody presents Chouja-Machi Saturdaymorning TIME PATROL / JPN »COMMENT GET MUSIC
TOKYOとは違った形で進化し続ける横浜、ハマの名物パーティー「HEY MR.MELODY」のMIX CD!ミスターメロディー、タカラダミチノブ、やけのはらの三人によるスプリットMIXという変則的な作りながら、すごいまとまり。パーティー明け、または休日のノリが出た、ゆるーいMIXです。店頭演奏時、問い合わせが最も多いCDでもあります!(I)

8

LE LOUP

LE LOUP Erotic City REMAKE MUSIC / FRA »COMMENT GET MUSIC
Chocopop Jazzの大ヒットでおなじみREMAKE MUSICからまたも悶絶必至の一発! NYの重要レーベル・WOLF + LAMB MUSICの作品にリミックスで参加しているパリジャン・LE LOUPによる、PRINCE"Erotic City"エディット! トビ系のウワモノとディレイではめてくる相当に中毒性の高い逸品!(Y)

9

MOODY AKA MOODYMANN

MOODY AKA MOODYMANN Ol'dirty Vinyl KDJ / US »COMMENT GET MUSIC
LP3部作第3弾は90年代に製作した音源やロンドンレコーディングなど(詳細はインナースリーヴに)お蔵入りだった音源をピックアップした興味深い1枚。音も相変わらず、そしてマットなスクリーンジャケはレコードを手にする喜びを増幅させてくれます。チェックはお早めに。(S)

10

HUNGRY GHOST

HUNGRY GHOST Illuminations INTERNATIONAL FEEL / BEL »COMMENT GET MUSIC
今年上半期を象徴するレーベルになるであろうウルグアイ発のレーベルinternational Feel。Hungry Ghostなるアーチストのオリジナル、Daniele Baldelli&DJ RoccaとMarcellus Pittman(3 Chairs)という誰も思いつかないようなリミキサー陣のカップリング、全ての音が「ヤバい」としか表現できません。(S)

桜井芳樹・西脇一弘 - ele-king

 烈しくもなく弱々しくもない演奏、軽くもなく重たくもなく、暑くもなく寒くもない音楽だ。アンビエントでもチルアウトでもない。これはふたりのギタリスト――ロンサム・ストリングスの桜井芳樹とサカナの西脇一弘によるコラボレーション・アルバムで、ふたりのギター以外のいっさいはない。フェクトもなく、ポスト・ロック的な展開もない。ダブ処理されているわけでもない。ポップの史学が言うようにヴェルヴェッツの『III』のルー・リード・ミックスをローファイの青写真とするのであるならこれはまさしくローファイな録音の作品で、二本のギターの音のみで構成されたアルバムだ。どちらかが伴奏で、どちらかがリードを担当している。ギターのインストゥルメンタルの作品を、われわれはこの20年いろいろなスタイルで聴いてきているけれど(その多くは、大雑把に言ってメロウなチルアウト感覚に導かれている)、そうしたどれとも違っている。ケレンミなく、いっさいの装飾性はない。きわめて素朴なギター演奏集で、それはまあ、ベタといえばベタな音楽かもしれないけれど、"現在"において不思議なほど説得力を持っているように思われる。

 ジョン・フェイヒィのようにその絶対的なルーツがあるとは思えないふたりは、ブルースやワルツやジャズなど、さまざまなスタイルを演奏する。偉大なるキップ・ハンラハンがデビュー・アルバムでカヴァーした"インディア・ソング"もやっている(オリジナルは1974年のマルグリット・デュラスの監督による『インディア・ソング』の主題歌)。他にもいろいろとネタはあるのかもしれないが、周到に計画されたものと言うよりも、ふたりの好みが混合したものだと思われる。
 曲によってはメランコリックである。桜井芳樹はこだま和文のバックでも演奏していたというが、こだま和文やダブステップやブリストル・サウンドといったメランコリーに特徴を持つ音楽を好む者にとっても嬉しいアルバムと言えよう。そして、あまたのアッパーな音楽にどうしても心の底からのめり込めないリスナーにとっても大切な1枚となり得るだろう。

 われわれの住んでいる世界では、街を歩けば、テレビを付ければ、やけにアッパーな音楽で溢れている。それは何かを隠し、何かを感じることを麻痺させるように、どこか暴力的に鳴っている......としか思えないほどアッパーだ。そんな世界において、このアルバムのような抒情主義は信じられないほど美しく響くのである。

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Shop Chart


1

UNKNOWN ARTIST

UNKNOWN ARTIST TURMERICA / JACOBITE FOOL »COMMENT GET MUSIC
出た!!International Feelからリエディット"EFEEL"シリーズ第3弾が到着!!ヒット作続出で話題沸騰のウルグアイ発"International Feel"から、リエディット・シリーズ"EFEEL"の第3弾。Jacques Renault, Chris Coco, Simon Lee (Faze Action), Brendon Moeller, Johnny Rock, Roy Dank(Wurst Music)らがサポート!!

2

DETACHMENTS

DETACHMENTS H.A.L. / SANDS OF TIME »COMMENT GET MUSIC
コレは死んだ。。。SalemのHeatherをフィーチャーした寂寥ゴシック・メランコリアA-2!!ゴシック・ダーク・サイケ・バンド、Detachmentsの爆裂最高12インチ!!オリジナル2曲に、IkonikaとAndy Weatherallによるリミックス収録。シルクスクリーン・ジャケ限定盤です。

3

SIS

SIS SCEAM / BREAK DOWN »COMMENT GET MUSIC
Sis新作はCocoonから登場!!一度効いたらクセになりそうなサイケデリックなヴォーカル・サンプルがヒプノティックなボトムスと重なるAサイド"Sceam"、相当ヤバイです。これはフロア・ヒットしそうですね。

4

ASWAD

ASWAD CITY LOCK FEAT SWEETIE IRIE »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆UKルーツ・レジェンド・トリオをUKファンキー鬼才Roskaがリミックス!!お洒落過ぎる人選☆あのAswadが'09年に放った最新アルバム"City Lock"のリード・トラックを、人気爆発UKコンビ、RoskaとBreakageがリミックス!!

5

ALOE BLACC

ALOE BLACC I NEED A DOLLAR / TAKE ME BACK »COMMENT GET MUSIC
ビシキメです!Aloe Blac久しぶりの新作は、ガッツリと歌い上げる極上曲!!来たる新作アルバムから先駆けて、リード曲が12"カット!Truth&SoulレーベルのJeff Dynamite、Leon Michelsの二人が手掛けた極上Soul/FunkトラックとAloeの声が絶妙に絡んでます!素晴らしい!!

6

RISCO CONNECTION

RISCO CONNECTION S.T. »COMMENT GET MUSIC
あの激クラシック達を網羅した激レア・ディスコ・レゲエ・バンドのアルバム!!Muro氏も愛する"Ain't No Stopping Us Now"、"I'm Caught Up"等の名カヴァーを残したRisco Conectionの音源を集めた「初」のアルバム!

7

TEAM GHOST

TEAM GHOST YOU NEVER DID ANYTHING WRONG TO ME EP »COMMENT GET MUSIC
M83の初期メンバーNicolas Fromageauによる新ユニット!!完全限定デビュー・10インチ。M83をエクスペリメンタル方向に進ませたような、ダークでメランコリックなシューゲイザー/エレクトロニカ・サウンド!!アートワークも超完璧。爆裂最高ですー!!

8

WILLIAMS

WILLIAMS CONFUSED ARP DISCO »COMMENT GET MUSIC
Dope Shit満載で送る"Williams"新作がグレイト!!"I Feel The Shivering"にてレーベル初作を見事に飾ったグラスゴウの奇才"William Threlfall"によるグッド・スタッフ。迎えたリミキサー陣の暴れっぷりも半端ない鬼作が登場です。

9

ANDRE GALLUZZI / DANA RUH

ANDRE GALLUZZI / DANA RUH FREYA / MAUERSEGLER »COMMENT GET MUSIC
絶好調Ostgut Tonから新作!!ベルリンのアイコン、Berghainが主催するOstgut Tonから、CocoonやCadenzaからのリリースで注目されるAndre GalluzziとBarraca MusicやEinmaleins Musikで活躍する女性クリエイター、Dana Ruhによる共演作!!

10

JESSE ROSE

JESSE ROSE SLEEP LESS (NIGHT TWO) »COMMENT GET MUSIC
Jesse RoseがMarvin Gaye"What's Going On"をリコンストラクトしたA1を搭載っ!!Voodoo ChilliことHerveに続いて、フィジェット・レジェンドJesse Roseもディスコ・リコンストラクト・リヴァイバル・ムーヴメントへと電撃参戦!!

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1

DJ NORI

DJ NORI Journey SLEEPING BUGZ / JPN »COMMENT GET MUSIC
DJ HIKARUによるMIX CD"SUNSET MILESTONE"が各地で絶賛、最注目MIX CDシリーズ「SOUND OF SPACE」の第2弾がリリース!プレゼンターは、昨年DJ生活30周年を迎え、青山LOOPでの30時間に及ぶプレイでの記憶も新しいDJ NORI!幅広いNORIさんのPLAYスタイルの中でも、LOFT的な曲と曲の繋がり、またはグルーヴ、そういったものを大事にした、文字通り"JOURNEY"なMIX CDに仕上がっています!(I)

2

SHHHHH

SHHHHH CHAPTER 32 STRICTLY ROCKERS : RITMO DEL BAILE FUTUROS EL QUANGO / JPN »COMMENT GET MUSIC
東高円寺GRASSROOTSでの"濡れ牧場"を初め、各地のコアなアンダーグラウンド・パーティーでプレイしている、「回す吟遊詩人」SHHHH(シー)による最新MIX CD!しかも、国内のジャンルを問わないオルタナティヴな人選で独自の「REGGAE」感でMIX CDを提供してきた"STRICTLY ROCKERS"から!世界各地から集められた土着グルーヴを15曲放射!(I)

3

ALTZ

ALTZ Funk Do Up HONCHO SOUND / JPN »COMMENT GET MUSIC
奇才にして、鬼才!ALTZ OR WALTZ!?大阪発サイケデリック・ワンダーランド行き(notディ○ニー)の各駅列車!あのALTZによる最新MIXは、これまた個性的すぎるレーベル「HOCNHO SOUND」から!タイトル"Funk Do Wap"が示す通り、またしてもワールドワイドかつオリエンテッドなセレクトで、ヒューマンとマシーンの間を行き来する絶妙なグルーヴ。良質「旅」MIX!(I)

4

HUNGRY GHOST

HUNGRY GHOST Illuminations INTERNATIONAL FEEL / BEL »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEY絶賛!これまでのリリースがすべてヒットしている、ウルグアイ発NEO ACID DISCO!?レーベル「INTERNATIONAL FEEL」の4番!4曲すべてカッコよしですが、オススメはA-2のバルデリREMIX!コズミック!としか言えないような、キラ★キラ・スペース・シンセを全面に出したダンスチューン!さらにMARCELLUS PITTMAN REMIXも収録!(I)

5

FLOATING POINTS

FLOATING POINTS People's Potential EGLO / UK »COMMENT GET MUSIC
これを買っとけば間違いない、クロスオーバーでダンスミュージック好きする一枚!西ロンドン的ブラックネスを土台に、近年良質なHOUSE MUSICを量産しているFLOATING POINTSによる自身のレーベルからの最新作。ネチっこく、エロいベースラインと、控えめなバランスから徐々に盛り上がりを演出するピアノなど、一級品のハウストラックです。(I)

6

MATT JOHN

MATT JOHN Indi Go Lake/Other Side BEATSTREET / GER »COMMENT GET MUSIC
PERLON、BAR25などのレーベルから、少数のリリースながら常に高濃度MINIMALグルーヴを放射しているMATT JOHNによる12inch。B面の変態スモーキー土着トラックで相当な男であることが分かりますが、DOORSをネタにしてるA面をピック!"Break On Through"をネタに、声ネタループさせてからのブレイクでのモロ使いでどーん!な展開。これは盛り上がります!(I)

7

KENNY LARKIN

KENNY LARKIN Glob Remixes PLANET E / US »COMMENT GET MUSIC
「暗黒漫才師」ことKENNY LARKINがPLANET Eから新作をリリース!しかもBEN KLOCK REMIXを収録!HARD STEPなアタックのあるキックに、覚醒感のあるスネア、じりじりとしたSEとストリングスで、素晴らしいインダストリアル具合に仕上がってます。ホーンとパーカッションで大箱っぽいハウストラックにしたKENNY自身によるREMIXも収録。(I)

8

FORWARD STRATEGY GROUP

FORWARD STRATEGY GROUP Combat Code #1 PERC TRAX / UK »COMMENT GET MUSIC
mnml ssgsでのミックスもすばらしかった、FORWARD STRATEGY GROUPのNEW! 岩石を粉砕したかのようなザクザクのビートがワイルド過ぎるUK新世代インダストリアル・テクノ! SILENT SERVANTやBEN KLOCK、DETTMANNなどが好きな方は要チェック!!(S)

9

JOHNNY D/SASCHA DIVE

JOHNNY D/SASCHA DIVE Point Of View/Kamakam LOVE LETTERS FROM OSLO / GER »COMMENT GET MUSIC
OSLOサブレーベル・LOVE LETTERS FROM OSLOから、4番に引き続きJOHNNY DとSASCHA DIVEという鉄板コンビによるスプリット作が登場! パーカッションを多用したファンキーで躍動感溢れる生音ハウスを聴かせるJOHNNY Dと、力強く硬質なキックとシンプルなシンセリフという簡素な組み合わせなのにこの上なく"今"を感じさせるハウスを披露したSASCHA DIVE、どちらも秀逸!(S)

10

BEAT BROKER

BEAT BROKER Deep Sleep SENTRALL / US »COMMENT GET MUSIC
西海岸のレーベルSENTRALLよりRyan BishopのプロジェクトBeat Brokerユッルユルな恍惚バレアリックトラックが入荷。先日の晴海RAINBOW DISCO CLUBでも浅い時間にプレイされていました。限定300枚とのことなので追加入荷はなさそうですよ。(Y)

Caribou - ele-king

 カリブーとは、簡単に言えば、フォー・テットとともに聴かれてきた人である。2001年にマニトバ名義で〈リーフ〉から発表したデビュー・アルバム『スタート・ブレイキング・マイ・ハート』によって脚光を浴びた彼は、柔らかな抒情派エレクトロニカ路線をそのまま進むのかとおもいきや、セカンド・アルバムではソフト・ロック調のメロディを注入し、そしてカリブーと名前を変えてから発表した2005年の3枚目では、もしジャンル分けをするなら迷わずロックの棚に並べられるであろう作品を出している(ありがちと言えばありがちな、クラウトロック風味のロックだったが)。まあ、IDMスタイルからロックへ......これはこの10年におけるひとつの流れで、カナダ人のダン・スナイスもそのひとりというわけだ。ちなみに彼は数学博士である、見た目もふくめて。

 彼はそして、〈シティ・スラング〉に移籍して2007年に『アンドーラ』を発表しているが、さすがにこれには参った。マニトバ時代から、彼の音楽には救いようのない楽天性があったとはいえ、まさかこの人がMGMTみたいなカラフルなサンシャイン・ポップスをやるとは、ショッキングでさえあった(......というほどではないか)。そしてマニトバ名義から数えて5枚目となる新作『スウィム』はダンス・ミュージックときた。最初は警戒した。この人と僕のあいだに接点はない、そう思っていた。が......、聴いているうちに緊張はほぐれ、感動が押し寄せてくる。それは驚くべきことに、まるでアーサー・ラッセルが歌っているようなダンス・ミュージックなのだ。そう、70年代のニューヨークを生きた偉大なるディスコの実験主義者、アーサー・ラッセルだ。彼の直接的な影響を感じる作品というのを僕は初めて聴いたかもしれない。アルバムのタイトルは"スウィム"――そう、おそらくは"レッツ・ゴー・スウィミング"(ラッセルの代表曲)からの引用だろう。

 リキッド・ダンス・ミュージック――カリブーは自分のダンス・サウンドをこのように定義しているが、たしかにこれは揺れるような音に特徴を持つ。音は左右のスピーカーを時差を持って往復する。ドップラー効果めいた揺らぎが目眩を与える(これをちまたでは"ドップラー・エフェクト・ダブ"と呼ぶ)。そして......まさにラッセルのダンス・ミュージックがそうであるように、実にしっかりとしたベースがあり、そして、そう、深いエコーのかかった"歌"がゆらゆらと揺れている。もしいまラッセルが生きていてミニマル・テクノに興味を覚えたら、こんなアルバムを作っていたかもしれない(ラッセルは70年代、スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスら、オリジナル・ミニマリストたちのグループにいた)。

 カリブーは主に、セオ・パリッシュ、リカルド・ヴィラロボス、カール・クレイグ、ジェームズ・ホールデンらに影響を受けたと告白しているが、多くの人からアーサー・ラッセルとの類似点について指摘されていることも明かしている。「それを言われて嬉しかったんだ。なぜなら僕は彼の声が大好きだし」、カリブーは『ピッチフォーク』の取材でこう答えている。「この2年で、彼は僕のヒーローとなったんだから」

 「泳ぎなさい」というタイトルは嘘じゃない。リスナーはこの数学博士の作った音の波を泳げるだろう。ユーモラスな"オデッサ"やドップラー・エフェクト・ダビーな"カイリー"も良いが、マニトバ時代のドリーミーなIDMサウンドをセオ・パリッシュがハウス・リミックスしたような"ボウルズ"の深いトリップがさらに良い(曲中ではアリス・コルトレーン的なハープの音が響く)。ディスコのベースがうなり、かたやメランコリックなシンセが波のように押し寄せる"ハンニバル"も忘れがたい。

 アルバムの最後の曲にも美しい憂鬱の感覚がある。歌は空中を舞って、衝突して落下するように消える......ダンス・ミュージック特有の強烈なはかなさが漂う。もういちど、この独創的なカナダ人の音楽に耳を傾けてみようと思う。

High Places - ele-king

 ポリフォニックな世界観に揺さぶりをかけるかのようなフォースフリーなギター・リフ。驚きだ。ハイ・プレイシズにまったく期待していない要素である。アルバム全編を支配する4つ打ちの力強さにも同様の意外性がある。が、このギターの重用と明確なビート感覚こそが、ハイ・プレイシズらしさの裏をかく今作の2大要素である。

 アニマル・コレクティヴやギャング・ギャング・ダンス、ダーティー・プロジェクターズをはじめとしたブルックリン・アクトたちは、昨今のモードであるトライバル/プリミティヴィズムに先鞭をつけている。彼らはギター・リフという力の象徴のような方法論、「伴奏と歌」というような西洋音楽的でホモフォニックな構成を避け、4つ打ちなどもってのほか、小節線の見えるような截然としたリズム・パターンを避け、やわらかく世界と対峙する姿勢をひらいた。この手のスタイルの先例ならいくつもあるが、彼らには急速に進行するハイブリッドな世界にさらされた若者たちの、新しい態度表明のようでもあった。世界の底は抜け、拡張している。この世界をそれでも愛していくとすれば、どのような方法が可能だろうか。もちろんボアダムスからの影響も大きかったと思うが、その問いの上でチョイスされた"トライバル"でもあったのではないか......。

 〈スリル・ジョッキー〉の男女デュオ、ハイ・プレイシズもブルックリン・アクトの重要なひとつである。『ハイ・プレイシズ・ヴァーサス・マンカインド』は2008年の『ハイ・プレイシズ』以来のフル・アルバムで、ふたりは今作であっと驚くモード・チェンジを果たしている。

 スティールパンと抜けのいいメアリー・ピアソンのヴォーカル、わずかなディレイを伴ってひろがるサイケデリア、軽やかな打楽器。あのソフトでミニマルなハイ・プレイシズ・サウンド、そこに突如としてギター・リフと4つ打ちが闖入する。二元論的なアナロジーになるが、あらゆるものが融け合って存在する"女性的"な世界がこれまでのハイ・プレイシズなら、分節し、統制し、世界を動かす"男性的"な力が今作を色づけていると言えるだろう。これがタイトルにある「ヴァーサス・マンカインド」ということなのかもしれない。"マンカインド"は"人類"また"男性"の意だ。

 冒頭の"ザ・ロンゲスト・シャドウズ"、続く"オン・ギヴィング・アップ"の2曲を聴いただけでも、そう解釈するのに充分だと思われる。独特の残響とスティールパン、トライバルなパーカッション、そして浮遊感あるヴォーカルという彼らのスタイルはもちろん生きている。だが、シンプルだが印象的なベース、圧倒的なヘゲモニーを持って打ち鳴らされる4分音符のキック――ぐっとロック寄りなサウンドになっている。ファズがかったギターとディレイの効いたスネアはセクシーでもある。"男性性"が強調されたからだろうか、メアリーのヴォーカルもとくに2曲目など随分と艶やかだ。〈イタリアンズ・ドゥー・イット・ベター〉あたりのつやっぽい女性ヴォーカルと並べても違和感がないだろう。

 アルバムは、彼ららしいカリビアンで小作りなエクスペリメンタル・ポップを折々に交えながら進む。それでもやはり耳に残るのは"コンスタント・ウインター"や"ホエン・イット・カムズ"などのダンサブルでアシッドなロック・ナンバーだ。曲によっては『スクリーマデリカ』をも彷彿させる。

 こうした傾向がいったい何を意味するのか、"マンカインド"との対決はどういう結末を導くのか、その点は判然としない部分もある。が、それでも、この10年トライバル・サウンドにつき合ってきた耳には、本作を新鮮に聴くことができる。

 トライバルに関してはファッション・ブランドがいまになって追随しているようだが、今年に入ってアニマル・コレクティヴ・フォロワー(あくまでフォロワーに限る)を筆頭に、同傾向の新人バンドは急激に新鮮味を失っている。いまは何か新しいものをと人びとの心がはやるには、難しいタイミングかもしれない。さて、本作は今後10年にとって何かの火種となり得るだろうか。少なくとも、今年はじめて微かな異質さを聴き取った作品だった。

CHART by JET SET 2010.05.03 - ele-king

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1

DJ NORI

DJ NORI JOURNEY »COMMENT GET MUSIC
Sleeping Bugzのミックス・シリーズ!第一弾のHikaru / Sunset Mile Stoneの余韻に浸る間もなく第二弾が登場!今回は大御所DJ Nori!

2

FLYING LOTUS

FLYING LOTUS COSMOGRAMMA »COMMENT GET MUSIC
US西海岸の怪物Flying Lotusが豪華ゲスト陣を迎えた歴史的傑作を完成!!Thom YorkeやLaura Darlington(Long Lost)、Dorian Conceptらも参加、漆黒の崩壊寸前グルーヴで冒頭から突っ走る脅威の17曲!

3

HEALTH

HEALTH DIE SLOW / BEFORE TIGERS »COMMENT GET MUSIC
な、なんとGold Pandaがリミックス。メランコリック・エレクトロニカ・ダンス・キラー!!当店人気の西海岸ノイズ・コア・バンドHealth。大傑作2nd.アルバム"Get Color"からのリミックス盤が登場!!とにかくGold Panda Remixが最高すぎですー!!

4

PRINS THOMAS

PRINS THOMAS MORFAR »COMMENT GET MUSIC
アルバムも大好評ロングセラー中、Prins Thomas早くも新シングル!!

5

BUDZILLUS

BUDZILLUS SHEMIAN - TAKSI TAKSI »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆バルカン・ビーツとキャバレー・ジャズをミニマル・リミックスっ!!モントリオール系スウィンギン・ミニマル絶対要注目レーベルからの第2弾リリースは、即戦力過ぎるスウィンギン&バルカン・ミニマル・リミキシーズ!!

6

GAVIN HERLIHY

GAVIN HERLIHY BACK BUMER EP »COMMENT GET MUSIC
Cadenza新作!!当レーベルからの前作"26 Miles"で注目されたベルリン在住のアイリッシュ・プロデューサー、Gavin Herlihyによる新作が登場!!

7

CARIBOU

CARIBOU SWIM »COMMENT GET MUSIC
話題沸騰中のサード・アルバム、US盤アナログ到着しました。一気にダンス化を果たした特大傑作!!爆裂最高★カナダの天才Dan SnaithことCaribouの4年ぶりのアルバム。Four Tet最新作と同じく、ダブステップやテック・ハウスを大胆に取り入れた2010年型エレクトロニカ・ポップの決定版!!

8

DAM MANTLE

DAM MANTLE GREY EP »COMMENT GET MUSIC
Gold Pandaに続く新世代エレクトロニカ新星!!超限定デビューEP、ちょっとだけ入りました。再入荷はありません。。。今すぐどうぞ!!

9

MISSING LINKX

MISSING LINKX GOT A MINUTE »COMMENT GET MUSIC
Philpot New!!Soulphictionによるニュー・プロジェクト!!限定ホワイト・ヴァイナルでの登場です。

10

BENNY BENASSI PRESENTS THE BIZ

BENNY BENASSI PRESENTS THE BIZ SATISFACTION (AFROJACK REMIX) »COMMENT GET MUSIC
永遠の特大アンセムをダーティ・ダッチ代表格Afrojackがリミックス!!☆特大推薦☆Laidback Luke & Diploの特大ボム"Hey!"直系の、B-MOREビーツが練りこまれたダーティ・ダッチ・キラーの誕生ですっ!!

CHART by DISC SHOP ZERO 2010.05.01 - ele-king

Shop Chart


1

DONAE'O

DONAE'O RIOT MUSIC DIGITAL SOUNDBOY / UK / 2010.3.16 / »COMMENT GET MUSIC

2

ADDISON GROOVE

ADDISON GROOVE FOOTCRAB SWAMP 81 / UK / 2010.3.23 / »COMMENT GET MUSIC

3

POTENZ feat. SOLO BANTON & MC SOOM-T

POTENZ feat. SOLO BANTON & MC SOOM-T MISSION POLICE IN HELICOPTER / GE / 2010.3.21 / »COMMENT GET MUSIC

4

COSMIN TRG

COSMIN TRG NOW YOU KNOW TEMPA / UK / 2010.3.16 / »COMMENT GET MUSIC

5

SCUBA

SCUBA TRIANGULATION HOTFLUSH / UK / 2010.3.27 / »COMMENT GET MUSIC

6

CLOUDS

CLOUDS PROTECTING HANDS REMIXES DEEP MEDI MUSIK / UK / 2010.3.23 / »COMMENT GET MUSIC

7

BONOBO

BONOBO BLACK SANDS NINJA TUNE / UK / 2010.3.19 / »COMMENT GET MUSIC

8

SHORTSTUFF & MICKEY PEARCE

SHORTSTUFF & MICKEY PEARCE TRIPPED UP RAMP / UK / 2010.3.16 / »COMMENT GET MUSIC

9

DUBKASM

DUBKASM TRANSFORMED IN DUB SUFFERAH'S CHOICE / UK / 2010.4.27 / »COMMENT GET MUSIC

10

SAMI SANCHEZ

SAMI SANCHEZ DIRTY SALSA BM SOHO FUNKY / UK / 2010.3.16 / »COMMENT GET MUSIC
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