「K A R Y Y N」と一致するもの

なのるなもない × YAMAAN - ele-king

 00年代に降神として頭角をあらわし、ソロでも活動をつづけているラッパー、なのるなもない。その新作は、かねてよりコラボを重ねてきたトラックメイカーのYAMAANとの共作アルバムに。アルバム単位でがっつり組むのは今回が初めてだという。題して『水月』、10月10日リリース。YAMAANによるニューエイジ~アンビエント・タッチのトラックのうえで、なのるなもないによる独特のことばが流れていく……いや、このマッチング、相性ばっちりなのではないでしょうか。ダンサブルな曲もアリ。CDは特殊パッケージで、モノとしてのよさも堪能できそうだ。ぜひチェックしてみて。

https://linkco.re/1cnUB1Tg

ラッパー・スポークンワーズアーティストのなのるなもないと、プロデューサー・トラックメイカーのYAMAANが共作アルバム『水月』を10月10日(火)にリリース。

ラッパー・スポークンワーズアーティストのなのるなもないと、プロデューサー・トラックメイカーのYAMAANが共作アルバム『水月』を10月10日(火)にリリースする。
なのるなもないは2002年頃から志人とのユニット「降神」として活動。日本語のヒップホップの言語表現の枠を大きく拡張してきた。ソロでは「melhentrips」「アカシャの唇」などの作品を発表し、日常の中にある小宇宙を詩的な感覚ですくいあげて、ラップやスポークンワーズという形で表現してきた。
YAMAANは降神や多彩なアーティストが在籍するクルーTemple ATSのメンバーとして活動を開始。アンビエントやヒップホップ、ハウスなどを行き来しながら活動し、’20年に『幻想区域EP』 を発表。’21年にはアンビエントとメンフィスラップにインスパイアされたCHIYORIとの共作「Mystic High」を発表した。
なのるなもないとYAMAANは2005年の”melhentrips” 収録の“shermanship” をはじめとして多くの楽曲を生み出してきたが、今回が初の共作アルバムとなる。タイトルの「水月」から想起されるように、しなやかで静的なムードも漂うトラックの上で、なのるなもないの小宇宙が展開する作品となった。
瑞々しいニューエイジアンビエント的なサウンドと真夏の白昼夢のようなリリックでアルバムの幕をあける『空よりも青く』や、躍動的なビートの上で生命や時間についての考察、死生観をも感じさせる詩が力強く歌われる『Beacon』。ディープハウストラックに官能的なリリックとスクラッチが心地よく刻まれる『優しくして』、不条理で暴力的な社会に対するリリックをトラップサウンドの上で綴った『Criminal Spirituals』など、なのるなもないとYAMAANの様々な側面が表現された8 曲入りのアルバムとなっている。
アルバム中の2曲にはTemple ATSのメンバーでもあり、数々のDJバトルでも実績を残してきた DJ SHUNがスクラッチで参加。楽曲の世界観に呼応した音楽的でスキルフルなスクラッチを演奏 してくれている。
アルバムのオリジナルアートワークは尾道在住の画家、白水麻耶子。深い緑の森や水辺のような不思議な心地良さを持った絵画が「水月」の世界観を押し広げている。
そしてオリジナルアートワークをもとにデザイナーTakara Ohashiがディレクションを担当。今回モノとしてリリースする面白さを大切にしたいという意向を汲み、箱庭型に組み立てが出来るジャケットを監修してくれた。
本作は自主レーベル「studio melhentrips」からの記念すべき第一作。フィジカルはCD、デジタルはBandcamp、ストリーミングにて発表となる。


なのるなもない x YAMAAN
"水月"

1. 空よりも青く
2. Beacon
3. Bloom Rain
4. 優しくして feat.DJ SHUN
5. モールスコード
6. Criminal Spirituals
7. VIBLE feat.DJ SHUN
8. 物語をはじめよう

レーベル : studio melhentrips
発売日 : 2023年10月10日(火)
フォーマット : CD
品番 : SMT-001
販売価格: 2,200円(税込)

Metamorphose ’23 - ele-king

 メタモルフォーゼが帰ってくる。2000年にスタートしたこのエレクトロニック・ダンス・ミュージックを中心とする祭典が最後に催されたのは2012年。じつに11年ぶりの復活だ。しかも富士山の裾野で実施されるのは20年ぶりとのことで、眼前に富嶽広がるソーラーステージ、巨大ウェアハウス・パーティを再現するオールナイトのルナーステージともに充実のラインナップ。テクノからクラブ・ジャズ、ヒップホップ、ロックのレジェンドたちが大集合しているが、そんな大ヴェテランたちに混ざってGEZANや羊文学といった新進気鋭、若手アーティストが加わっている点は要注目だろう。テント・エリアもあり自分のペースで楽しめるフェス、開催はもう間もなく。


Metamorphose ’23
2023年10月14日(土)~15日(日)

OPEN 14日 10:00 / CLOSE 15日 21:00

https://www.metamo.info/

会場
御殿場市 遊RUNパーク玉穂

主催
Metamorphose 実行委員会

後援
御殿場市
御殿場市観光協会
J–WAVE
K-MIX

10/14 (土) SOLAR STAGE
Afrika Bambaataa / Dorian Concept / GEZAN
JAZZANOVA (DJ SET)/ paranoid void / 富岳太鼓

10/14(土) LUNAR STAGE [ALL NIGHT]
Carl Craig / CYK / Darren Emerson / DJ KRUSH
DJ YOU-KI / Joaquin“Joe” Claussell / MAYURI
ManoLeTough / Q’HEY / Timmy Regisford

10/15(日) SOLAR STAGE
DUENDE / Los Hermanos / Nai Palm / Ovall
SMTK / toconoma / 羊文学 / 家主

HENRY FRANKLIN - ele-king

Henry Franklin - ele-king

AMBIENT KYOTO 2023 - ele-king

 開幕までいよいよあと1週間となった《AMBIENT KYOTO 2023》。参加する各アーティストの展示作品内容が発表されている。
 坂本龍一+高谷史郎が展開するのは、『async』をベースにしたインスタレーション。コーネリアスバッファロー・ドーター山本精一はすべて新作だ。朝吹真理子はデビュー作の朗読を配信。
 さらに宿泊やギャラリー、京都メトロやMeditationsなどとのコラボレーションも告知されている。京都がアンビエントに染まる秋。詳しくは下記をご確認ください。

 なお10月20日には『別冊ele-king アンビエント・ジャパン』が刊行。《AMBIENT KYOTO 2023》の会場では先行発売されます。ぜひお手にとってみてください。

アンビエントをテーマにした視聴覚芸術の展覧会
AMBIENT KYOTO 2023

◉展覧会:
いよいよ開幕まであと1週間。
各アーティストの展示作品内容を発表。
◉ライヴ:テリー・ライリーのライブ、両日共にソールドアウト。
◉コラボレーション:第一弾を発表。

会期:2023年10月6日(金)~12月24日(日)

Homepage
Twitter
Instagram
Facebook

AMBIENT KYOTOは、昨年2022年、第一回目として、アンビエントの創始者ブライアン・イーノの展覧会を開催し大成功を収めました。第二回目となる『AMBIENT KYOTO 2023』は、今年10月6日(金)より京都の特別な複数の会場を舞台に展覧会とライブ、そして朗読作品の公開が行われます。開幕を1週間に控え、展覧会の展示作品内容と、会期中に実施される本展とのコラボレーション企画の第一弾をお知らせします。

◉展覧会:各アーティストの展示作品内容のお知らせ。
京都新聞ビル地下1階の約1,000平米の広大なスペースには、坂本龍一 + 高谷史郎の作品が展示されます。また、昨年2022年、第一回目が開かれた京都中央信用金庫 旧厚生センターには、コーネリアス、バッファロー・ドータ―、山本精一による作品が展示されます。

■京都新聞ビル地下1階

坂本龍一 + 高谷史郎 | async ‒ immersion 2023

坂本龍一が2017年に発表したスタジオ・アルバム『async』をベースに制作された高谷史郎とのコラボレーション作品の最新版。
京都新聞ビル地下の広大な空間に合わせ展開するサイトスペシフィックなインスタレーション。

音響ディレクション:ZAK
映像プログラミング:古舘 健
サウンド・プログラミング:濱 哲史
音響:東 岳志、山本哲也、細井美裕
照明ディレクション/デザイン:髙田政義(RYU inc.)
美術造作:土井 亘(dot architects)
展示設営:尾﨑 聡

企画協力:Kab Inc./KAB America Inc./Dumb Type Office Ltd.


アルバム『async』(2017年)

■京都中央信用金庫 旧厚生センター - 1/2

革新的な作品を生み出し続け、世界的な評価を得てきたアーティスト、コーネリアス、バッファロー・ドー
ター、山本精一によるアンビエントをテーマに表現した作品。出展作品は、すべて新作。

コーネリアス

ZAKによる立体音響と、groovisionsによる映像作品や高田政義による照明がシンクロして生み出される視聴覚体験。

「QUANTUM GHOSTS」
最新作『夢中夢 -Dream In Dream-』収録「火花」のカップリング曲。本館で最も大きな展示室で行われる、360度に配置された20台のスピーカーから鳴らされる立体音響と、高田政義による照明がシンクロする作品。
「TOO PURE」
最新作『夢中夢 -Dream In Dream-』収録曲。立体音響と、groovisions制作の映像作品が立体スクリーンに映し出される、7.1chの音と映像の作品。
「霧中夢 ‒ Dream in the Mist ‒」
最新作『夢中夢 -Dream In Dream-』収録曲。立体音響と、高田政義による照明、そして特殊演出による霧が相互作用する霧の中の夢。
「Loo」
本展のために書き下ろされた新曲。


最新作『夢中夢 -Dream In Dream-』(2023年)

■京都中央信用金庫 旧厚生センター - 2/2

バッファロー・ドーターと山本精一の作品は同部屋で展示される。
斜めに仕切られた展示空間において展開する、ZAKによって立体音響化された音と、それを増幅させる映像のインスタレーション。

バッファロー・ドーター

「ET (Densha) 」 、「Everything Valley」
2曲とも、最新作『We Are The Times』に収録。「ET(Densha)」は、映像はベルリン在住の映像/音響アーティスト 黒川良一による作品。「Everything Valley」は、映像クリエイター 住吉清隆による作品。


最新アルバム『We Are The Times』(2021年)

山本精一

「Silhouette」
本展のために書き下ろされたアンビエントの新曲。映像は、リキッド・ライティングの手法を用いたヴィジュアル・アーティスト 仙石彬人と、山本精一による共同制作作品。


最新作『Silhouette』(2023年)

朝吹真理子

デビュー作『流跡』を著者自身が全編朗読した作品を会期中ウェブにて配信する。

作品名:『流跡』~著者自身による全編朗読作品
朗読:朝吹真理子
録音:朝吹亮二
録音監督 & Mixing :ZAK
編集: 岩谷啓士郎 & 吉田祐樹

◉コラボレーション第一弾が決定。
アンビエントは、その音楽が流れる環境の一部となる音楽です。AMBIENT KYOTOは、京都の文化・人々と共に作り上げることを目指して、コラボレーション企画を実施していきます。今後も、食、香り、伝統工芸、音楽、アートなど多数の企画を発表していきますので、ご期待ください。

●Ace Hotel
AMBIENT KYOTO 2023の割引チケット付きの宿泊パッケージを用意しました。
こちらのプランで宿泊のお客様はAce Hotel Kyotoのお食事が全て10%OFFとなります。
客室ではレア・グルーブ・レコードがセレクトしたレコードを楽しむことができます。
またAce Hotel Kyotoでの宿泊がなくても、本展のチケットをご提示すればホテル内での飲食が10%OFFとなります。
https://jp.acehotel.com/kyoto/offers/ambient-kyoto/

●Art Collaboration Kyoto(ACK)
ACKのチケットを提示すると、受付にて当日料金から100円割引となります。
※チケット販売カウンターは会場:京都中央信用金庫 旧厚生センターのみで取り扱い。
※それぞれ、 一般料金のみに限ります。
※他の割引との併用はできません。
※いずれも1枚につき1名、各館とも1回限りの適用となります。
https://a-c-k.jp

●Elbereth
アレックス・ソマーズの個展が、京都のギャラリーElberethにて開催されることが決まりました。
京都のヴィーガンカフェ Stardustが手がけるギャラリー Elbereth。そこでAMBIENT KYOTO 2023のキーヴィジュアルを制作したアレックス・ソマーズの個展が、10月14日(土)から10月31日(火)まで開催されます。古い和紙に印刷された、彼のキーヴィジュアルを含めた全16作品が、アンティーク・フレームに額装され、展示・販売される。また彼の、映像作品も展示される。
展覧会概要 開催期間 10月14日(土)から10月31日(火)| 営業時間 12:00 ‒ 18:30

会場 Elbereth / エルベレス | 京都市北区紫竹牛若町1-2(問)info@stardustkyoto.com
stardustkyoto.com
https://www.instagram.com/elbereth_stardust
https://www.instagram.com/stardust_kana/

●京都CLUB METRO
日本で最も長い歴史を誇る老舗クラブ、京都CLUB METROと共に企画した、アンビエントやアートの関連イベントを会期中に実施します。第一弾として3つのイベントを発表しました。

① 10月29日(日)「COLLABORAION : Ambient Kyoto × ACK」。共に秋の京都を彩るアートの祭典同士がその会期中に連携したスペシャルイベント。
出演:田中知之 (FPM)、真鍋大度、Ken FURUDATE、武田 真彦
② 11月19日(日)京都の地で17年に渡り、様々な解釈でアンビエントミュージックの発信を続けているイベント&レーベル「night cruising」のコラボレーションイベント。
出演:冥丁、Kin Leonn、moshimoss、RAIJIN、Tatsuya Shimada
③ 12月14日(木)英有力音楽誌『The Wire』の表紙を飾るなど、世界的に高い評価を集めるPhewと大友良英によるスペシャルなセットが実現。
出演:Phew+大友良英
https://www.metro.ne.jp/

●Meditations
アンビエント、電子音楽、インド音楽など多ジャンルにわたり世界中の音楽を取り扱う京都のレコード店Meditationsと共に、完全オーガニックの草木染めトートバッグを製作しました。南インド産のコットン・キャンヴァスを使い、アーユルヴェーダの薬草と発酵を繰り返し何年も熟成された藍を使って染め上げたトートバッグ。会期中にオフィシャル・ショップにて数量限定で販売します。
ヴィデオ:草木染めトートバックが出来上がるまで
南インド、オーロヴィルのカラーズ・オブ・ネイチャー社での製造過程を撮影した映像。

◉開催概要
タイトル:AMBIENT KYOTO 2023(アンビエント・キョウト2023)

参加アーティスト:会場
[展覧会]
・坂本龍一 + 高谷史郎:京都新聞ビル地下1階
・コーネリアス、バッファロー・ドーター、山本精一:京都中央信用金庫 旧厚生センター
[ライヴ]
・テリー・ライリー:東本願寺・能舞台
・コーネリアス:国立京都国際会館 Main Hall
[朗読] 朝吹真理子

会期:2023年10月6日(金)-12月24日(日)
   *休館日:11月12日(日)、12月10日(日)
開館時間:9:00 - 19:00 入場は閉館の30分前まで

チケット:
・チケット購入サイト: https://ambientkyoto.com/tickets

[展覧会]
一般 ¥3,800 / 専・大学生 ¥2,600 / 中高生 ¥2,000
・前売:200円引・小学生以下無料
※京都新聞地下1階のみ、一部無料枠を設ける予定

[ライブ]
◉テリー・ライリー
・会場:東本願寺・能舞台
・日程:2023年10月13日(金)、14日(土)
・開場 17:30 / 開演 18:30
・チケット:SOLD OUT

◉コーネリアス
・会場:京都国際会館Mail Hall
・日程:2023年11月3日(金・祝)
・開場 16:00 / 開演 17:00
・チケット:全席指定 S席 9,800円/ A席 8,800円
      未就学児入場不可

主催:AMBIENT KYOTO 2023 実行委員会(TOW / 京都新聞 / Traffic / 京都アンプリチュード)
企画制作:TOW / Traffic
協力:文化庁 / α-STATION FM KYOTO / 京都 CLUB METRO / 株式会社サンエムカラー / 小川珈琲株式会社 / 株式会社ハッピーマンデー / CCCアートラボ
後援:京都府 / 京都市 / 公益社団法人京都市観光協会 / FM COCOLO
音響機材協賛 : Genelec Japan / ゼンハイザージャパン / 株式会社静科 / 株式会社MSI JAPAN大阪 / アビッドテクノロジー / Synthax Japan / Abendrot International LLC / Sonos Japan
映像機材協賛:bricks & company / Magnux
技術協力:パナソニック株式会社
協賛:Square
広報協力 :HOW INC.
特別協力:京都中央信用金庫

展示ディレクター(旧厚生センター)/ 音響ディレクター:ZAK
空間ディレクションアドバイザー(旧厚生センター):高谷史郎
プロジェクト・マネージャー:關秀哉(RYU inc.)
舞台監督:尾崎聡
照明ディレクター / デザイナー:髙田政義(RYU inc.)
美術造作:土井亘(dot architects)
照明:上田剛(RYU inc.)
音響:東岳志 / 山本哲也 / 濱哲史 / 細井美裕
香り:和泉侃

キービジュアル:Alex Somers
アートディレクター:田中せり
デザイナー:宿谷一郎、岡本太玖斗

会場 アクセス

① 京都中央信用金庫 旧厚生センター (展覧会場)

参加アーティスト
コーネリアス
バッファロー・ドーター
山本精一

〒600-8219京都市下京区中居町七条通烏丸西入113
・電車:JR京都駅より徒歩5分
・バス:市バス烏丸七条バス停より徒歩1分

② 京都新聞ビル地下1階 (展覧会場)

参加アーティスト
坂本龍一 + 高谷史郎

〒604-8577京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239
・電車:地下鉄烏丸線・丸太町駅下車 7番出口すぐ
・電車:地下鉄東西線・烏丸御池駅下車 1番出口より徒歩7分

③ 東本願寺・能舞台 (ライブ会場)

参加アーティスト
テリー・ライリー 立体音響ライブを実施

〒600-8505京都市下京区烏丸通七条上る
・電車:JR京都駅より徒歩7分
・電車:地下鉄烏丸線・五条駅より徒歩5分
・バス:市バス烏丸七条バス停より徒歩1分

④ 国立京都国際会館 Main Hall (ライブ会場)

参加アーティスト
コーネリアスのライブを実施

〒606-0001 京都市左京区岩倉大鷺町422番地
・電車:地下鉄烏丸線・国際会館駅より徒歩5分
・バス:市バス・京都バス・国際会館駅前より徒歩5分

◉お問い合わせ先
メディアお問合せ窓口
Traffic Inc. MAIL: web@trafficjpn.com TEL:03-6459-3359 FAX:03-5792-5723
お客様お問合せ先:ローダイヤル: 050-5542-8600(全日 9:00 ‒ 20:00)
AMBIENT KYOTO info@ambientkyoto.com

Tirzah - ele-king

 ティルザの格好良さは、そりゃあ、いろいろある。何気にトリップホップを更新し、R&Bにさりげなく前衛を持ち込んでみせるところとか。彼女が、派手なメイクや衣装やリリース前の政治発言なんかで自己アピールすることはない。なにせ昨年リリースしたリミックス・アルバム『Highgrade』のアートワークは洗濯物が入った洗濯機だった。これはセカンド・アルバム『Colourgrade』の裏ジャケットから来ているわけで、ぼくが所有しているアナログ盤のインナーには、さらに生活感がにじみ出ている台所(あるいは女性の居場所は台所という父権社会へのアイロニー)の写真がデザインされていると、つまりこれはもう、彼女にとっては人生が実験であり政治であり前衛であるべきものだという、フルクサス的なことなのだ、とぼくは勝手に思っている。ミカ・リーヴィ、そしてコビー・セイ、あるいはディーン・ブラントといった、女性とブラック・ブリティッシュが彼女の音楽仲間であることも、現代の新しい物語にリンクしていると言えるんじゃないだろうか。
 そうそう、ちゃんと紹介しなかったけれど、昨年のリミックス・アルバム『Highgrade』も良かった。リミキサーが超豪華で、アルカにロレイン・ジェイムス、天才肌のアクトレスラファウンダ、ウー・ルー、スピーカズ・コーナー・カルテット、期待のAnja Ngoziや新作が待ち遠しいスティル・ハウス・プランツ……とか(三田さんはアクトレスのリミックスがいちばんだね、と言ってたな)。で、それに続いて早くも3枚目のアルバムが配信のみとはいえ、こんなに早く聴けるとは望外の喜びである。そう、喜びではあるのだが、しかし『trip9love...?』は微笑みかけるような種類の音楽ではない。むしろ、人生が必ずしも自分の思うようにはうまくいかないということ、あるいは、自分がほんとうにいちばん欲しいものこそ手にすることができないというザ・スミス的なその空しさ、そして諦め切れなさに焦点が当たる。
 そこでは「時間」がひとつのキーワードだ。「時間は存在しない」というイタリアの物理学者の本が数年前に流行ったけれど、ティルザの「時間」は物理学では計れない感情的な時間だ。時間はないし、時間はある。しかしやはり時間はない。

費やした時間は必要のない時間だった
“Promises”

嘘だと思いながら、時間をかける
君を連れ戻すよりは近いだろう
君のガラクタ、時間のかけら
間違いを数え、領収書を保管する
“u all the time”

 にべくもなく魅力的というか、『trip9love...?』は冷たい月夜の美しさにも似ている。ここには、これまでのティルザ作品にはなかった、荒々しさもある。前作にもあった攻撃性と甘美さ、冷たさと愛とのコントラストはここにもある。ただ、今回はよりダークだし、ややもすればハードで、不協和音があって、しかし陶酔的だったりもする。ひずんだリズムの“F22”、そして続く“Promises”、さらに続く“u all the time”……まず最初の3曲がキラー過ぎる。サウンド面での協力者は今作もミカ・リーヴィだが、『trip9love...?』は過去2作よりもラフな音響で、ギター・ループがフィーチャーされ、トリップホップというよりはヒップホップ化したコクトー・ツインズというか、インディ・ロックの暗いムードの疾走感に近い。その寒々しいテクスチャーを後ろに歌われるソウルフルな“their love”のなんと美しいことか。

彼らの愛はただの夢
失うのは愛だけ
“their Love”

 ティルザとミカは、1年のあいだ互いの家を行き来しながらレコーディングをし、本作を完成させた。壊れたピアノとひずんだ機械音に溶け込むスウィートな歌声は“today”という曲となり、トラップめいたリズムとインダストリルの洪水に、ちょっとグルーパー風の彼女のメランコリーが立ち上がるのは“stars”という曲だ。ディストーション・ギターが唸りをあげるMBV風の“2 D I C U V”も悪くないが、静寂のなかティルザが自由に歌っている“6 Phrazes”のほうがおそらく光っている。しかし、最後の曲“nightmare”の歌詞におけるよるべない気持ちと、サウンドにおけるヴェルヴェッツ風の冷たさを聴いたら、テュルザがこのアルバムを生ぬるい感情におさめるつもりなどさらさらないことを思い知るのだ。

時は過ぎ去り/語られないことの多く/ とても近い
私は知らない /私がもっているすべてのこと
君はもっている/いま時間がある、抱きしめる時間
時間がない、語られないことの多く、近い、とても近い
君の愛をもっと見せてくれないか
“nightmare”

別冊ele-king アンビエント・ジャパン - ele-king

日本のアンビエント~環境音楽を大特集

featuring
細野晴臣/坂本龍一/吉村弘/横田進/畠山地平/冥丁/SUGAI KEN
interview
デイヴィッド・トゥープ/スペンサー・ドーラン/ZAK

日本のアンビエント名作選125
AMBIENT KYOTO 2023
Off-Tone/みんなのきもち

菊判220×148/192ページ

------
AMBIENT KYOTO 2023開催
2023.10.6─12.24
ambientkyoto.com

目次

「環境音楽」からクラブ・カルチャーを経て多様化の時代へ──日本のアンビエント概説 (三田格)
【インタヴュー】デイヴィッド・トゥープ (野田努+坂本麻里子)

■細野晴臣と坂本龍一における「アンビエント」を温ねる
アンビエント・アーティストとしての細野晴臣と坂本龍一 (三田格)
細野晴臣、アンビエントの旅行者 (ポール・ロケ/五井健太郎 訳)
細野晴臣 ambient works (三田格)
坂本龍一 ambient works (三田格)
「非同期」から聴こえてくるもの──音楽・サウンド・ノイズ (高橋智子)

【インタヴュー】スペンサー・ドーラン (小林拓音/青木絵美 訳)
「kankyō ongaku」の発明 (ポール・ロケ/五井健太郎 訳)
アール・ヴィヴァンとその時代 (立花幸樹)

横田進とレイヴの時代 (野田努)/横田進 selected discography
アンビエントの精神を具現化する、野外フェスティヴァル〈Off -Tone〉 (野田努)
トランス集団「みんなのきもち」が試みるアンビエント・パーティ (yukinoise)
日本のヒップホップとアンビエント (二木信)

【インタヴュー】畠山地平 (三田格)/畠山地平 selected discography

特別寄稿 冥丁/SUGAI KEN
五・七・五を聴く──ケージの音楽と俳句 (高橋智子)
たゆたう、アンビエント/環境・ミュージック/音楽 (北條知子)
アンビエント・ジャパン選書 (野田努)

■日本のアンビエント・ディスクガイド78選
(三田格、野田努、小林拓音、デンシノオト、河村祐介)

■AMBIENT KYOTO 2023 ガイド
【インタヴュー】中村周市/ZAK

執筆者プロフィール

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
TSUTAYAオンライン
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
Yahoo!ショッピング
HMV
TOWER RECORDS
disk union
紀伊國屋書店
honto
e-hon
Honya Club

P-VINE OFFICIAL SHOP
SPECIAL DELIVERY

全国実店舗の在庫状況
紀伊國屋書店
三省堂書店
丸善/ジュンク堂書店/文教堂/戸田書店/啓林堂書店/ブックスモア
旭屋書店
有隣堂
くまざわ書店
TSUTAYA
大垣書店
未来屋書店/アシーネ

Spellling - ele-king

 謎を含む音楽というのはひとを惹きつけるものだが、スペリングを名乗るクリスティア・カブラルのサウンドにもつねにミステリアスなところがあり、そこが大きな魅力となってきた。独特のタイム感を持った粘り気のあるヴォーカルはビョークやケイト・ブッシュが引き合いに出されもするが、そんなよくある比較では彼女の音に近づけないような感覚がある。特徴的なのはデビュー作『Pantheon Of Me』(2017)に顕著な濁った音だ。ときにその甘美なヴォーカルを埋もれさせるほどの大きさで鳴らされる様々な雑音や不協和音は、しかし雑音や不協和音と呼んでいいのか判断しかねる存在感でスペリングの楽曲における歌と渡り合うようだ。意図的な「汚し」や「乱れ」がそこにはあって、そのエクスペリメンタルなR&Bは周到に潔白なイメージから身をかわしてきた。スペリングというからには何か呪術的なニュアンスを含んだ音楽なのだが、spelllingとあらかじめスペルミスを含んで呪文のなかに違和感を注入している。その細かいズレに不思議な快楽が仕込まれた音楽なのだ。

 本作はこれまで〈Sacred Bones〉からリリースしてきた3枚のアルバム『Pantheon Of Me』、『Mazy Fly』(2019)、『The Turning Wheel』(2021)に収録された楽曲を、カブラル自身のプロデュースによって再構築したものだ。ある意味早すぎるベスト・アルバムのようなところもあってスペリングをはじめて聴くひとにも推薦できる作品ではあるが、もちろんコンパクトにキャリアをまとめることが本作の目的ではない。現在のツアー・バンドとともにオーケストラを導入したゴージャスなサウンドへと変化を遂げており、リッチな演奏をバックにしたカブラルの堂々とした歌にフォーカスが当たっている。おそらく彼女自身がここのところフル・バンドとともに音楽を作ることにエキサイトしていて、その成果を残しておきたかったのだろう。基本的には、オリジナルのエレクトロニックな要素を生楽器主体のアレンジに変え、ストリングスの多用もあってエレガントなムードが高まっている。そして、スペリングの音楽における雑音や不協和音は(なくなっていないものの)後退しており、何よりもカブラルのヴォーカルが中心に置かれた。メジャーっぽくなったと感じるひともいるかもしれない。しかし、そんな単純な話ではないとも思う。
 オープニング、歌のタメによって聴き手の意識を惹きこむ “Walk Up to Your House” はスムースなプロダクションに仕上げられていて、なるほどシンプルにクオリティの向上を示したかったのだろうと思わせもするが、代表曲 “Under the Sun” を聴くとそれだけではないような気がしてくる。もともとドラマティックなメロディを持ったナンバーではあるが、ピアノやストリングスやシンセが入れ替わり立ち替わり現れる新アレンジではよりスケール感が増しており、歌が情熱的に高ぶっている。それがゆえにどこか演劇的なのだ。つまりカブラル自身が用意するカブラルの新しい舞台。歌のエモーションがよりダイレクトになっているからこそ、それは何やら戯画化されたものに感じられる。オリジナルではあえてチープなシンセ音を使っていた “Haunted Water” は本作では猛々しいギターとドラムが鳴らされてほとんどプログレのような展開を見せるし、「わたしは学校の男子たちを憎んでいる」という強烈な歌い出しで始まる “Boys at School” は、デリケートなオーケストラ・アレンジで優美な雰囲気を醸す。かと思えばオーセンティックなソウルのようなアレンジの “Always” はドリーミーにすら聞こえる。アレンジとプロダクション、すなわち衣装が変わるたびに聴き手=舞台の観賞者は翻弄される。シンガーソングライターの楽曲において単純に称揚されがちな「生々しい感情」を、本作ではどうにも素直に信じこめない。だからこそ中毒性がある。
 自作自演歌手というような言い方があるが、たとえばスーダン・アーカイヴスUSガールズのように「自演」の部分をアレンジメントの妙で見せる女性アーティストがいま目立っているのは……いや、僕が好きなのは、外部から短絡的にイメージを投影されやすい女性シンガーによる意識的/無意識的なジェンダー・ポリティクスが入っているからなのかもしれない。自分自身が用意したサウンド・デザインでイメージを固定化させないのだ。スペリングは本作で情熱的な女性を演じきりながら、そのこと自体を異化する知性を備えている。その複雑な両立に、僕はやはりミステリーを感じ夢中になってしまうのだ。

interview with Adrian Sherwood - ele-king

 UKダブ界の巨匠・エイドリアン・シャーウッドのインタヴュー依頼が舞い込んできたとき、かつてないほどの幸運と緊張を感じた。普段は、とくにここ数年はというとポスト・レイヴの風に飲まれ様々なリズムのダンス・ミュージックに取り憑かれており、ようやくダブに興味を持ちはじめたのもつい最近のことである。そんな自分に聞き手が務まるのだろうかと葛藤したが、自身が愛するジャングルやドラムンベース、UKガラージにダブステップ、グライムといったUK発のベース・ミュージックのルーツであるサウンドシステム・カルチャーの存在はたしかに偉大なものであり、それらに宿る意識が20年代のエレクトロニック・シーンにおいてノスタルジックかつフューチャリティックに新たなかたちで脈々と受け継がれてもいるのもまごうことなき事実である。常に多くの領域に広くインスピレーションを与えてきたこの奥深きダブ観に、自身と同じく無意識のうちに恩恵を受け好奇心の扉が開きつつある若者も少なからずいるのではないのだろうか。こうしてダブへの関心が芽生えたいま、UKにおけるダブを再定義した張本人に話を聞けるという絶好の機会を逃すわけにはいかないと思い立ち、勇気を出して素人質問を多くぶつけ改めてダブの魅力を教えてもらった。エンジニア・プロデューサーとして圧巻のスキルでキャリアと数々の功績を積み上げてきたエイドリアン・シャーウッドが今回の取材を通じて語った「Each One Teach One」互いに教え合うことの精神を、ぜひこの現代のダブ・ガイド的インタヴューから感じ取ってみてほしい。

ダブは音楽ジャンルとして定義されがちだけど、本来のダブとはテクニックなんだ。

昨今、ダブに新たな興味を持ちはじめている人が増えてきています。とくに若い世代がクラブ・ミュージックの発展を機に関心を示すようになり、現在27歳の自分もそのうちのひとりです。今回はそんな人びとに向け、これからダブをより楽しむために初歩的なところからいろいろお聞きしたいのですがまずダブとはどんな音楽なのか、ご自身のレーベル〈On-U Sound〉について改めて説明してもらえますか?

エイドリアン:よくダブは音楽ジャンルとして定義されがちだけど、本来のダブとはテクニックなんだ。元々ジャマイカのヴァージョン、インストの曲を一度バラバラにしてそこからエフェクトを加えたり、ひとつのリズムをどんどん広げたりと色々なアイデアを織り込むってのがダブの起源になる。On-Uというのも言葉遊びから生まれたネーミングで、あなたにとってすごく大事な音(on you sound)という意味が込められてるんだ。また、Newという発音になるように新しいという意味も含んでいるこのレーベルでは、ジャマイカ、日本、アフリカなど多種多様な国、レゲエ、ニューウェイヴといった様々なバックグラウンドを交えながら、新しい音を作ろうと思ってやってきた。

ダブに初めて出会ったときの衝撃を覚えていますか?

エイドリアン:最初に愛を注いだのはジャマイカの音楽だったな。もちろんジェイムズ・ブラウンやT. Rexとかも好きだったし、若い頃はいろんな音楽を聴いてたよ。音楽を聴きながらよく友達とお茶を飲んだりチルしてて、そういった状態で聴くダブ・レコードはメディテーション的に完璧だったんだ。たしか最初に聴いたアルバムはオーガスタス・パブロの『Ital Dub』、『King Tubbys Meets Rockers Uptown』……キース・ハドソンの『Brand』は本当に素晴らしかった。良質なダブからはそこにない音が聴こえてくるんだよ。だから自分がプロデュースする作品でもそういったマインドの広がりに夢を見させてくれるような、イマジネーションが掻き立てられるようなサウンドにしたいと意識しているよ。

ダブに出会いエンジニア、プロデューサーとしてサウンドを構築するなかで発見したダブならではの面白さはどんなものですか?記憶に残っている印象的なエピソードや思い出がありましたら、あわせて教えてください。

エイドリアン:19歳の頃にプリンス・ファーライと一緒にショーをやってからエンジニアとして多くのことを学んだ。最初のショーでは外部のエンジニアを雇っていたんだけど、ハイハットやベースの上げ方を指示してたら「君がやりなよ!」って言われてね。彼にここがエフェクト、ディレイだよと卓を見せてもらいながら教わって自分でバランスを調整するようになったら、その後のショーで多くの人から最高の音だったと褒められたんだ。そこで自分がエンジニアに向いてることに気づいて、その後はスタジオに入ったりライヴ・サウンドを手がけたりしてプロデューサーへとなっていった。プリンス・ファーライのおかげで音楽をはじめられたから彼には本当に感謝しているよ。スタジオに入りたての時はデニス・ボーヴェルの友人が手伝ってくれたり、僕も腕のいいエンジニアの手伝いをしたりと時間をかけて自分自身でミックスするようにもなって。最近はだいぶデジタル化したんだけど、まだアナログ機材の方が好きだね。

たしかに、現在はDAWなどを使用しデジタルの環境でダブを作るプロデューサーも数多くいるかと思います。使用する機材や製作環境には時代ごとに変遷があると思いますが、今でもアナログな環境にこだわる理由はなんですか?

エイドリアン:デジタルはデジタルでいいところもあるけど、あらかじめ計算されすぎていてすべてがコントロールされてるような音に聴こえてしまう。アナログの機材だとEQスイーピングとか音を曲げたりだとか表現の幅を広げやすいし、いまだ!って感じた瞬間にフィードバックできる。その場の気持ちに任せてやる、僕ってそういう人間なんだ。

なるほど。では、もし現代のデジタルネイティヴな世代がこれからダブの制作に挑戦するとしたらどんなアドヴァイスを与えますか?

エイドリアン:いまはデジタルがかなり進歩して新しいものがいっぱいあるから、たくさんの選べる音があるなかで自分がいちばん好きなディレイとリヴァーブを2〜3種類ほど見つけて、そこにダブのテクニックを2〜3個加えながら極めていった方がいい。アナログでやるなら高くても安くてもいいから自分の好きな機材を見つけること。たとえばマッド・プロフェッサーがすべての曲に加えている400msだと完璧にタイムを合わせたい僕みたいな人にはそれだとズレてるように聴こえてしまう、もちろんそれが好きって人もいるけど僕が好きなディレイのスピードは3/16なんだ。だからアナログでもデジタルでも、まずは自分の好きな音を極めてアイデアを組み込んでいくことが大事。

自分自身でも音を極め、目指すサウンドを実現できるようになるまでは大変でしたか?

エイドリアン:基本的に学ぶことが好きだから若い頃もただただ楽しかったよ。アナログミックスのレコーディングが終わって、すべて完成したものが自分のところに回ってきた段階は特に楽しくて、出来上がったものを崩してリヴァーブやディレイを追加しながら自分を表現する瞬間が大好きだね。でも大変なところと言えば、最近のライブでは昔と違ってどこもデジタル環境だからライブにアナログのミキサーを持ち込まなきゃいけないところかな。今回の来日公演のためにもいろいろ特別な機材を持ってきたよ。

デジタルはデジタルでいいところもあるけど、あらかじめ計算されすぎていてすべてがコントロールされてるような音に聴こえてしまう。アナログの機材だとEQスイーピングとか音を曲げたりだとか表現の幅を広げやすいし、いまだ!って感じた瞬間にフィードバックできる。その場の気持ちに任せてやる、僕ってそういう人間なんだ。

自身の作品をデザイナー・ダブと呼ぶことに関して「最初からダブ・ミックスとして作られた音楽である。ジャマイカのダブは、元々ある曲のヴァージョンとして始まったから、生まれた形が違う」とのことですが、あらかじめダブmixを見越して元の素材を作っているのでしょうか。

エイドリアン:そうだね。毎回じゃないけどホレス・アンディならダブ・ヴァージョンを見越して作ったし、アフリカン・ヘッド・チャージなら最初からダブを基本にインストを作ってる。どれもダブのテクニックを加えることを前提に制作してるからダブ・アルバムを作るというよりもダブ・レコードを作る感覚で、僕がダブ・ミュージックって言い方が好きじゃないのも楽曲をダブ・トリートメントするって表現の方が合ってるからだと思う。

ダブ・ミュージックという表現があまり好きではないとのことですが、自身のレーベル〈On-U〉の設立をはじめにあなたが再定義したUKにおけるダブは、後のダブステップのようにサウンドシステム・カルチャー由来のクラブミュージックにも多大な影響を与えているかと思います。Pinchとのコラボレーションを始はじめ自身の作品や〈On-U Sound〉からのリリースでもそうしたクラブ・ミュージックを取り入れ続けているかと思いますが、あなたのレガシーの影響下にあるUKクラブ・ミュージックの発展をどのように見ていますか?

エイドリアン:僕の音楽に影響を受けたと言われるのは最高の褒め言葉だしとても嬉しいことではあるんだけど、自分自身は影響を与えるつもりで音楽をやってるわけじゃないんだ。それこそPinchのような影響下にあるサウンドのことを言われても、結局僕はテクニックと魂を込めて自分のやりたいことをやってるだけだから、何かを与えたという気持ちはないんだよね。僕がすごいことをやってきたという意識はまったくないし、いまでも音楽に対しては自分自身が興奮できる新しい音を作ることだけに集中してる。

現代のクラブ・ミュージックを経由し、自身のようにいま新たにダブに興味を持ちはじめてきてる人びとがいます。彼らがこのインタヴューを通じダブをより楽しみ、理解を深めるには作品、楽曲をあなたならではのチョイスでいくつか教えていただきたいです。

エイドリアン:リー・ペリーの『Blackboard Jungle Dub』はとても良い作品で、自分が関わった作品なら彼とダブ・シンジケートの『Time Boom X De Devil Dead』、最近のドラスティックな作品だとホレス・アンディの『Midnight Scorchers』リー・ペリーの『Heavy Rain』。それから、ダブではないけどマーク・スチュワートの『Learning to cope with Cowardice』は40年前の作品でダブ・テクニックが加わっててすごくイケてる、彼が今年亡くなったことを思うと本当に悲しいよ。まだまだ他にもたくさんあるけど、アフリカン・ヘッド・チャージの新作もだし、いま挙げた作品は全部僕からしたらダブ・アルバムなんだ。「Each One Teach One」というジャマイカンの言葉があるように、こうしてひとりひとり誰かに教えあうことが影響を与えるということなんだろうね。

ありがとうございます。あなたからの教えを手掛かりに、これから新たにダブへの理解を深めていく人々が増えていくのではないかと思いました。最後の質問になるのですが、あなたが往年のキャリアの中で見出したダブのサイケデリクスとはどういったものですか?

エイドリアン:ダブの良いところは歌があるのにリリックまみれじゃないところで、BGMとしても成立するからひとりで瞑想するときにも合うし、音をめちゃめちゃ上げてみてもいい感じになるんだ。ミュージシャンだったらその上から自分で楽器を弾いてみたりテクニックを加えてみることもできるから、メディテーションだけでなく頭のなかにあるクリエイティブなマインドを育てるにもいいんじゃないかな。サイケデリクスの影響下から生まれてるものと言えば、クリエイション・レベルの『Starship Africa』もトリッピーで最高だからさっきのダブ・アルバムリストに入れておいてほしいな。今度リリースされる『Hostile Environment』も次なるモードな感じで素晴らしいアルバムになってるよ。

Oneohtrix Point Never - ele-king

 喜びたまえ。現代を代表する電子音楽家、大いなる期待を集める最新アルバム『Again』のリリースを今週金曜に控えるワンオートリックス・ポイント・ネヴァー。4度目の来日公演の決定である。しかも、ソウル、ベルリン、マンチェスター、ロンドン、パリ、ニューヨークとつづくワールド・ツアーのスタートにあたる公演とのことで、つまりOPNの最新パフォーマンスを世界最速で堪能できるってこと。
 ちなみに前回の来日は5年前、『Age Of』(2018)リリース後で、バンドやダンサーを引きつれてのライヴだった。はたして今度はどんなパフォーマンスを披露してくれるのか──まずは9月29日発売の『Again』を聴いて、妄想を膨らませておきたい。
 日程は来年2月28日@六本木 EX THEATRE と2月29日@梅田 CLUB QUATTRO の2公演。時期はまだ少し先だけれど完売必至と思われるので、ご予約はお早めに。

 なお、今週木曜9月28日には新宿の映画館で新作のプレミア試聴会&トーク・イヴェントが開催されます(https://twitter.com/beatink_jp/status/1703980222692106661)。そちらもぜひ。

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
ニューアルバム『Again』をひっさげ待望の来日ツアー決定!
圧巻の最新ライブセットがここ日本で世界初披露!
アルバムはいよいよ今週発売!

TOKYO 2024/2/28 (WED) EX THEATRE
OSAKA 2024/2/29 (THU) 梅田 CLUB QUATTRO

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が音響アート/ミュージック・コンクレートのひとつの到達点とも言うべき、衝撃のニューアルバム『Again』をいよいよ9月29日に発売!音楽ファンやミュージシャンはもちろん、多種多様のアーティストやクリエイターからも大きな注目が集まる中、待望の来日公演が決定!ここ日本で最新ライブセットが世界初披露されることが明らかとなった。

テンションにテンションを重ねた得も言われぬ解放感とイマジネーションを拡張する圧倒的な世界観、息をのむ美しさ。名作『R plus Seven』を壮大なスケールにアップデートしたような大傑作だ。バラバラに散らばった断片たちが、時間を逆流し緻密且つ巨大な美しいアートピースを完成させるさま、カオスからコスモスへ、聴く者たちをカタルシスへ導く逆流アートの到達点がここに誕生した。

電子音楽、ヴェイパーウェイブ、ノイズ、アンビエント、コラージュ、カットアップ、ミュージック・コンクレート、、、当初はマニアックな実験音楽やサブカルチャーのカリスマだったワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)ことダニエル・ロパティンは、自身の作品のみならず、音楽プロデューサーとしてアノーニやザ・ウィークエンドを手がけ、映画『Good Time』(2017)ではカンヌ映画祭最優秀サウンドトラック賞を受賞するなど活躍の場をひろげて来た。2021年にはザ・ウィークエンドによるスーパーボウル・ハーフタイムショーの音楽監督を務め、シャネル 2021/22年 メティエダールコレクションショーでも音楽とパフォーマンスを担当。世界チャート1位を獲得したザ・ウィークエンドの『Dawn FM』では、エグゼクティブ・プロデューサーを務め、アルバム収録曲の大半で演奏も行っている。

今週ついにその全貌が明らかとなる最新作『Again』をひっさげたOPNの最新のライブセットが、ここ日本を皮切りに、ソウル、ベルリン、マンチェスター、ロンドン、パリ、ニューヨークという世界の主要都市をツアーすることが発表された。妥協なき美意識にもとづくその高い芸術性で、今や音楽カルチャーのあらゆる分野で引く手あまたの、現代を代表する音楽家、作曲家、プロデューサーとなったOPNことダニエル・ロパティンが魅せる圧巻のライブ・パフォーマンス!これは絶対に見逃せない!

公演詳細 >>> https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13709

---------

ONEOHTRIX POINT NEVER
JAPAN TOUR
出演:ONEOHTRIX POINT NEVER(サポートアクト:TBC)

[東京]
公演日:2024年2月28日(水)
会場:EX THEATRE
OPEN:18:00 START : 19:00
チケット料金:前売 1階スタンディング¥8,000(税込) 2階指定席¥8,000(税込)
*1ドリンク別途 
特記: 別途1ドリンク代 ※未就学児童入場不可

[大阪]
公演日:2024年2月29日(木)
会場:梅田CLUB QUATTRO
OPEN:18:00 START : 19:00
チケット料金:前売¥8,000(税込) オールスタンディング / 1ドリンク別途 
特記: 別途1ドリンク代 ※未就学児童入場不可

企画・制作 BEATINK www.beatink.com
INFO BEATINK www.beatink.com / E-mail: info@beatink.com

【TICKET INFO】
★ビートインク主催者WEB先行:9/29(金)10:00~
[TOKYO] https://beatink.zaiko.io/e/opn2024tokyo
[OSAKA] https://beatink.zaiko.io/e/opn2024osaka

[東京]
イープラス最速先行受付:10/3(火)12:00~10/9(月)23:59 [https://eplus.jp/opn-2024/]
一般発売:10/21(土)~ イープラス、LAWSON、BEATINK

[大阪]
イープラス最速先行受付:10/3(火)12:00~10/9(月)23:59 [ https://eplus.jp/opn-2024/]
一般発売:10/21(土)~ イープラス、LAWSON、チケットぴあ、BEATINK

Oneohtrix Point Never - A Barely Lit Path
YouTube >>> https://youtu.be/_kyFqe36BqM
配信リンク >>> https://opn.ffm.to/ablp

9月29日にリリースされる待望の最新作『Again』。Pitchforkが選ぶ「この秋最も期待できる47アルバム」で大きく取り上げられ、CRACK MAGAZINE最新号の表紙を飾るなど、アルバムへの期待は加速的に高まっている。本作についてダニエルは、現在の視点を通して、当時の自分の音楽的アイデンティティを捉えた瞑想であり「観念的自伝」だと説明する。現在公開中の新曲「A Barely Lit Path」は、ロバート・エイムズの指揮と編曲、ノマド・アンサンブルの演奏によるオーケストラをバックに、アルバムのクライマックスを飾る。合わせて公開されたミュージックビデオは、ダニエルがビデオ・アーティストのフリーカ・テットと書いた原案をもとに、フリーカ・テットが監督したもので、擬人化された2人の衝突実験用ダミーの悲惨な物語が描かれている。

OPN待望の最新アルバム『Again』は、9月29日 (金) にCD、LP、デジタル/ストリーミング配信で世界同時リリース!国内盤CDにはボーナストラックが追加収録され、解説書と歌詞対訳が封入される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(ブルー・ヴァイナル)、日本語帯付き仕様盤(ブルー・ヴァイナル/歌詞対訳・解説書付)の3形態となる。さらに、国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットの発売も決定。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never (ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)
title: Again (アゲイン)
release: 2023.9.29 (FRI)

商品ページ:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13613

Tracklist:
01. Elseware
02. Again
03. World Outside
04. Krumville
05. Locrian Midwest
06. Plastic Antique
07. Gray Subviolet
08. The Body Trail
09. Nightmare Paint
10. Memories Of Music
11. On An Axis
12. Ubiquity Road
13. A Barely Lit Path
+ Bonus Track

国内盤CD+Tシャツ

限定盤LP+Tシャツ

通常盤LP

限定盤LP

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727