「K A R Y Y N」と一致するもの

Vol.9 「Razer Edge」 - ele-king

 

 みなさんこんにちは。夏真っ盛りですね。今回は少し趣旨を変えて、いつものゲーム・ソフトではなく、ハードウェアの方を取り上げたいと思います。というのも、面白いガジェットを手に入れたのですよ。

 それが上記写真のこちら。まるでiPadの左右に無理やりコントローラーを付けたかのような豪快なデザインのこのガジェットこそ、今年3月末に発売された、PCゲームが遊べるタブレットPC(史上初!)、「Razer Edge」です。

 近年多種多様な機種が出ているタブレットPCですが、その中でもRazer Edgeはトップ・クラスのスペックを誇り、また専用のゲーム・パッドと組み合わせれば、まさに携帯機さながらの感覚で最新のPCゲームを遊ぶことができるのです。いままでこういうハードウェアはありませんでした。

 これを作った〈Razer〉というメーカーは、マウスやキーボード等PCゲーム用の周辺機器を中心に手掛けていて、普通のコスト感覚から外れたハイ・スペックと高価格を併せ持つ、変態的デバイスを数多く世に送り出しています。かく言う僕もこのRazer Nagaという17ボタンマウスには、趣味と仕事の両面でお世話になっています。何かもう17ボタンって聞くだけで変態的でしょ。

 
12個のテンキーをそのままサイドにくっつけた暴力的とも言えるデザイン。しかしこれが意外と使いやすいんです。

 そしてこの『Razer Edge』もご多分に洩れず、じつに〈Razer〉らしい変態的な製品です。ていうかまぁ、変態なのは見るからに明らかなのですが、外見以外でも、たとえば価格は本体が約14,5000円に専用のゲーム・パッドが2,4000円と、ゲーム機としては有り得ない高さ。また本製品はアメリカとカナダの限定販売だったので、今回僕は輸入代行業者を挟んで購入し、その手数料や送料も含めると総額180,000円以上になりました。知り合いにこの話をしたら「命懸けてるね」と言われましたよ。

 いやー、でも、外でPCゲームを遊びたかったんですよ。普段忙しくてゲームをやっている暇がなかなか無いから、せめて電車のなかとか移動中の時間を有効活用したかった。それに本製品のOSはWindows 8なので、持ち前のハイ・スペックと組み合わせるといろいろと遊べるんじゃないかという期待もありました。

 果たしてRazer Edgeはそんな期待に応えられる製品だったのか。180,000円も出すに値するものだったのか。そこのところを今回のレヴューで明らかにしていきたいと思います。

『Razer Edge』のプロモーションビデオ。大体どんなものかわかるはず。

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■ゲーム機としてのRazer Edge

 さっそく、ゲーム機としてどうなのよって点について語っていきたいと思いますが、その前に基本的なスペックの説明をすませましょう。

 Razer Edgeには複数のモデルがありますが、今回僕が手に入れたのは最上位に当たる「Razer Edge Pro 256GB」。CPUはCore i7-3517U 1.9GHz、メモリが8GB DDR 3、256GBのSSDにディスプレイが10.1インチで解像度が1364x768、さらにそこにグラフィック・カードのGT 640M LE(2GB DDR3)が加わり、そこらのコンバーチブルPCと同等以上のスペックを誇ります。

 なので、約14,5000円の本体価格も、ゲーム機としてとらえるとギョッとしますが、本製品と同等のスペックのコンバーチブルPCの価格と比較すると決して法外な値段ではありません。ただしゲーム・パッドの方はぼったくってますね。これ単体で2,4000円というのは正直有り得ないと思いますが、これが無いと本製品の真価が発揮されないので仕方がない。

 
本体の外見は厚めのiPadといった感じ。〈Razer〉にしてはシンプルなデザインに好感。

 さて肝心の使い心地ですが、良い点から挙げると、まずは没入感がとても高い。ディスプレイの大きさも解像度もタブレットPCとしては最大級ではありませんが、ゲーム・パッドを装着して持ったときの視界の占有率はとても高く、市販の携帯ゲーム機を遥かに凌駕しています。それこそ感覚的には24インチのディスプレイで遊ぶときとほとんど遜色ありません。

 実際にゲームを遊んだときのパフォーマンスはまずまずといったところでしょうか。いくらタブレットPCとしてハイ・スペックとは言え、最新のPCゲームを最高画質で且つ60FPSで動かすのは不可能です。どうしても動かしたい場合は相当設定を下げざるを得ません。

 ただし30FPSを基準にすれば、最高設定とまではいかないものの、かなりの品質を出すことができます。これは人によって考えが違うとは思いますが、現行のコンシューマ用のゲームがほとんど30FPSで動いていることを考えれば、コンシューマと同等のパフォーマンスでより高い品質で遊べる、というふうにとらえればアリかな、というのが僕の感想です。

 あまり専門的な話にしたくないので今回は詳細なベンチマークは行いませんが、あくまでもザックリとした観測として30FPS基準で大体これぐらいの画質で動くよ、という感じで最近のゲーム4本のスクリーン・ショットを用意しました(クリックで拡大できます)。

 
『BioShock: Infinite』は今回の4本のなかでは最もコスト・パフォーマンスが良かった。グラフィックス設定をすべてHighにしても30~40FPSを維持し、快適に遊べた。

 
次いでパフォーマンスが良かったのがウクライナ産ポスト・アポカリプスFPSの『Metro: Last Light』。SSAAとTessellationをオフにする以外はすべて最高設定。これで屋内はほぼ30FPS以上を維持。屋外では20FPS代前半に落ち込む場面もあり。

 
いちばん厳しかったのが『Crysis 3』。PCゲーム・グラフィックスのベンチマーク的存在の同作は、元々重いこともあり、30FPSを出すにはすべての設定を中以下に落とす必要があった。

 
脱メスゴリラを遂げた、等身大のララ・クロフトが売りの新生『Tomb Raider』。画質は簡易プリセットのままではコスト・パフォーマンスが良くないが、各項目を個別に設定すれば大分改善される。

 もうひとつ良かった点が、〈Steam〉のゲームを遊ぶ際のSteam Cloudによる連携ですね。最近の〈Steam〉のゲームはセーブ・データをクラウド管理でき、すべての環境でそれを読み出すことができます。これを利用することで、ひとつのゲームを出先ではRazer Edgeで遊び、家に着いたら続きをデスクトップPCでやるといったことが可能なのです。まさにハードウェアに縛られないクラウド時代ならではのゲーミングと言え、じつは今回いちばん感動したのもこの点でした。

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■携帯し難い携帯機

 良い点を先に挙げてみましたが、悪い点ももちろんあります。というか、本製品は良い点も相殺しかねないぐらいの弱点を抱えており、それはズバリ物理的に重くて長いということです。

 まず重さ。本体自体が約960gでiPad 2の1.5倍近い重さがあり、これにさらにゲーム・パッドを装着すると約1.9kgになる。それを左右のグリップで支えると手首にとても負担が掛かります。とてもじゃないけど普通の携帯機と同じ感覚で持つことはできず、座って膝に置くなり何らかの支えが不可欠です。

 次に長さ。これも本体だけなら約280x180mmとiPadより少し細長い程度なのですが、ゲーム・パッドを装着すると横幅が約410mmになります。これは電車の座席で利用すると両サイドに手がはみ出る長さ。普通に迷惑であり、使う際は状況をよく考えなければいけません。

 またこの長さは持ち運ぶ際にも何かと不便。まずリュックサックは必携。個別のケースにしてもゲーム・パッドを装着したときの約410x190mmという変則的な大きさをピッタリ収めてくれるものは見つかりませんでした。ここは公式でケースを販売してほしかった。

 
持ち運びが不便な携帯機。良くも悪くも常識を打ち破っていると言える。

 加えてバッテリーの短さについても触れておかなければなりません。平常時は大体4~5時間程ですが、いざゲームを動かすと、保って1時間半といったところ。ヘヴィなゲームを動かすには大量に電力が必要なのはわかりますが、これだけ短いと携帯機としては何とも心許ない。一応ゲーム・パッド側に内臓させる拡張バッテリーも別売りされていますが、それを積むとさらに重くなるというジレンマにも悩まされます。

 要するに携帯機としてはあまりにも取り回しが悪すぎるわけです。ただ、これについては初めからわかっていないはずがなく、普通は取り回しも考えてベターな仕様に着地させるものを、たとえ本末転倒になっても極端な大画面・高性能に舵を切ってしまうのが〈Razer〉らしいというか、変態たるゆえんだと思います。

 良さも悪さも理解した上で、それでも使いたいやつだけが使えばいい。むしろこれだけ高額のものを購入した時点で、覚悟はできているんだろ? そうとでも言いたげな開き直りさえ感じます。

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■タブレットPCとしてのRazer Edge

 ここまではゲーム機としてのRazer Edgeについて触れてきましたが、前述したように本製品はそれだけに留まるものではありません。ここからは汎用タブレットPCとして見た場合にどうなのかという点について書いていきましょう。

 ズバリ言ってしまえば、本製品のタブレットPCとしての最大の長所であり同時に短所でもあるのは、OSがWindows 8であるということです。

 周知のとおり、Windows 8は新たにタッチパネル操作に最適化されたModern UIが採用されていますが、使い勝手は良くありません。というか、従来のデスクトップ型のUIと混合していて、両者を行ったり来たりするのが非常に煩雑なのです。

 
Modern UIもそれだけなら決して悪くはないのだが......

 それを象徴しているのがWin 8版Internet Explorer 10。こいつはなんとModern UI版とデスクトップ版の2種類が混在している。Modern UI版はタッチパネル操作に最適化されていますが、履歴機能が欠けており、また一部動作しないプラグインもあって、ブラウザとして十分ではありません。

 一方のデスクトップ版はModern UI版の物足りなさはありませんが、各ボタンが小さくてタッチパネル操作では使い難い。さらにModern UI版とデスクトップ版はCookieやブックマーク等の情報が共有されない!

 こうしたちぐはぐさはOS全般に見られ、何をするにもまずはこのオペレーションの煩雑さに慣れなければいけません。Windowsではいまにはじまった話ではありませんが、改めて普段使っているiPhoneとの差を実感してしまう次第です。

 ただしどんなに腐ってもWindowsであり、巷に溢れる多種多様のソフトウェアやハードウェアを使うことができるのが何よりの利点。従来のWindowsと同じく、OSそのものの煩雑ささえ克服できれば、スペックの高さも利用していろいろなことができるでしょう。

 ゲーマーとしてまず思いつくのが、Frapsを使ったスクリーン・ショットや動画の撮影。またはゲームの内部データを弄ったり、ネットからMODをダウンロードしてきて適用したりも思いのままです。

 しかしそれ以上に僕がやりたかったのが、Photoshopを動かして絵を描くということ。これさえできれば僕にとってはPCで行うことのおよそ8割が実現できるも同然なのです。とは言えPhotoshopを十分に使うにはさまざまな周辺機器も不可欠です。マウスとかキーボードとかペンタブレットとか。そんなわけで、半ば強引に必要なものを揃えてみました。

 
何か根本的に間違っている気がする。

 じゃん。出オチ感が半端ないですが一応解説すると、マウスは例の17ボタンのRazer Naga、ペンタブレットはIntuos 4のLargeとそれぞれ普段愛用しているものを転用。キーボードはBuffaloのワイヤレス・キーボード、SRKB04BKを新調。テンキー付きで大分横長ですが、そもそもRazer Edge自体横長なので、いっしょに持ち歩くなら関係あるまいとこれを選択。またRazer Edge自体はひとつしかUSBポートがないので、ElecomのUSBハブ、U3H-A401BBKも合わせて用意。

 結論から言えばPhotoshopを動かすこと自体は可能でした。今回この連載のタイトルバナーを新調しましたが、この絵の原寸が4320x2080px。これだけの大きさの画像でも軽快に動作し、ほぼストレス無く作業ができたのは感激です。ただし前述した本製品の携帯機としての意義以上に、本末転倒感が拭えません。

 少なくともこういうことをやるのであれば、ゲーム・パッドと同じくアタッチメントとして販売されているキーボード・ドックやドッキングステーションが必要不可欠でしょう。またマウスとタブレットもさらにコンパクトで且つワイヤレスにするのが望ましい。言うまでもないことですが、今回のセッティングはまったく実用的ではありません。

 理想は液晶タブレットのようにタッチパネルを直接ペンで操作できることですが、現状のスタイラスペンでは実用に耐える精度は出せませんし、この辺は今後の技術向上に期待といったところでしょうか。PCゲームの携帯化が実現できたいま、僕が次に待ち望むのはCG制作環境の完全な携帯化に決まりました。

 
ちなみにRazer Edgeでの制作は早々に切り上げ、結局普段通りデスクトップでの作業に戻っていきました......

■まとめ

 個人的には、この『Razer Edge』は大満足です。180,000円出した価値はありました。やはりPCゲームを野外で遊べるというのは、他には代え難い体験です。しかしその体験を得るために犠牲にしなければいけないこと、克服しなければいけない課題がたくさんあり、その点で他人にはまったく薦められないデバイスなのも確か。これは一般人を端から度外視した、どうしても使いたいやつだけが使うものなのです。

 ただこうしたゲーム体験は現状こそ『Razer Edge』のみで得られる特異なものですが、あと数年すればわりと近いことは一般のタブレットPCでもできるようになるんじゃないかと僕は思っています。先日iOS7がゲーム・パッドへの正式対応を発表し、それとともに出回った装着型のゲーム・パッドの画像は、まんまRazer Edgeを彷彿させるものでした。一般向けタブレットPCの性能向上も著しく、そう遠くないうちに現行機レベルのゲームをそこらのタブレットPCで動作させられる環境が整ってくるはずです。

 そんな、来るかもしれない未来を想像しつつ、現状においてはその未来を唯一体現できるこのRazer Edgeを、僕はこれからも満喫したいと思います。


P.S.
本記事でもサラッと触れましたが、今回長らく仮のままだったタイトル・バナーを一新しました。日本人の立場から洋ゲーを遊ぶ、レヴューするという意味で、日本的美少女を中心にした絵になりました。

 装いも新たにした当連載を、引き続きよろしくお願い致します。
 

The XX - ele-king

 今年も終わってしまった......。
 フジロックは3日間で100を超すアクトがライヴを繰り広げるのだが、そのなかで毎年いくつかの奇跡のようなステージが生まれている。毎年必ずフジに行く人たちはそのことをよく知っているので、自分のアンテナを最大限に広げ、最高の瞬間の目撃者たろうとがんばるのである。
 それはかならずしもメイン・ステージのヘッドライナーではないし、自分が大好きなアーティストであるわけでもない。普段はあまり聴かないアーティストでも、会場にいてタイムテーブルを眺めていると、妙に気になったりするのだ。
 そしてその予感につられて泥濘んだ山道をえんえん歩いた先にとんでもない瞬間を目撃するのは、このフェスの醍醐味のひとつだろう。

 今年は予想通り3日間断続的な雨に降られはしたものの、オーディエンスは雨などものともしない完全装備であの広い会場を移動していた。まったく目撃することはできなかったが、ライ(Rhye)やマムフォード・アンド・サンズ(Mumford & Sons)、マヤ・ジェイン・コールズ(Maya Jane Coles)そしてウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson)はよかったんじゃないだろうか? 僕は今年それほど多くのステージを観ることはできなかったが、それでもThe XXだけは見逃さなくてほんとによかった、まさに奇跡としか言いようのないステージだったのだ。

E王
The XX
Coexist

Young Turks/ホステス

Amazon iTunes

 彼らのセカンド・アルバム『コエグジスト』が発売になったときには全体のトーンがファーストより落ち着いていたこともあって聴き流してしまい、どうしても自分なりの入り口が見つからなかった。
 しかしその状況は3月ぐらいに一変した。きっかけはユーチューブにアップされたBBCのスタジオ・ライヴで、彼らがカヴァーしていたのは2001年に世界中で大ヒットとなったハウス・ナンバー、キングス・オブ・トゥモロー(Kings Of Tomorrow)の"ファイナリー(Finally)"だった。その解釈のあまりの素晴らしさにドギモを抜かれ、これは『コエグジスト』を完全に聴き逃しているに違いないと、即座にリピート再生を開始した。

 それは界面のあまりの滑らかさに、かえって手触りや特徴を消し去られているような純度の高いアルバムだったと、ようやく発売から半年たってから気がついた。そして4月のコーチェラ、6月のボナルーとグラストンバリーのライヴをユーストやユーチューブで見ると、演奏も歌もファースト発売時より格段にレベルアップしている。まさかこれほど旬な時期に彼らのライヴを観られるとは願ってもないタイミングだ。
 昼間のうちに降った雨の湿気が森に溜まり、照明の光がぼやけた輪郭となって反射するなか、ライヴは"トライ(Try)"からはじまった。まず驚いたのはビートの音色の多彩なことだった。決して音数は多くないリズム・パターンなのに、ひとつひとつの音がほんとによく響いてくる。
 彼等の大きな特徴はダンス・ビートとの絶妙な距離感にある。そう、ダンス・ミュージックそのものを作ろうとはしてないのだ。そうではなく自然とこのビートを感覚で選びとっているのだ。ちょうどユーチューブで"ファイナリー"を発見した頃、同じようにジェイミーがソロ名義でルイ・ダ・シルバ(Rui Da Silva)の"タッチ・ミー(Touch Me)"のカヴァーをやっているのを見つけたことを思い出した。"タッチ・ミー"は2002年に全英でナショナル・チャート初登場2位でランク・インしている。
 彼等にとってティーンネイジャーの入口だった2000年から2002年あたりのイギリスのチャートの半分はダンス・ミュージックだったのである。これから自分はどんな音楽を聴くべきかを彼等が真剣に考えはじめたときに、イギリスでいちばん勢いがあったのがダンス・ミュージックであったことは間違いない。少なくともテレビやラジオからはさまざまなダンス・ミュージックが、毎週トピックになる新譜として流れていたはずだ。だとするならば音楽が彼等にとって大事なものとして意識された時点から、すでにそれはダンス・ミュージックだった。そしてこれは僕の妄想かもしれないけれど、"ファイナリー"と"タッチ・ミー"に共通する存在はダニー・テナグリア(Danny Tenaglia)である。テナグリアのDJで2000年から2005年ぐらいに踊ったことのある人ならすぐわかるだろう。The XXがもしテナグリアやジョン・ジョン・ディグウィードになんらかの影響を受けていたとすれば、彼等のビートの洗練のされ方は納得がいく。
 ステージにはスモークが焚かれ、白を中心とした照明が黒い服を着たロミーとオリバーを照らす。ちょうどライヴの中盤あたりで"ナイト・タイム(Night Time)"、これまでのステージに圧倒され言葉も出ない。ここからの後半さらにふたりのヴォーカルの響きが強さと深さを増した。彼等は孤独を歌っているけれど決して孤独を嘆いてはいない。その部分は変わっていないのだが、彼等の声の響きと演奏から強力な自信と信念が伝わってくる。
 これまで共鳴というかたちで響き合っていたメンバーの関係性がさらに進んで有機的に絡み合っているように思えてならない。もし、彼等が、もしくはロミーとオリバーがより深く向き合ってこのステージを行っているとしたら、いまこのときにしか見ることのできないライヴだ。僕は"シェルター(Shelter)"あたりから、ロミーとオリバーからまったく目が離せなくなってしまった。彼らもオーディエンスの思いに応えるということでなく、オーデェンスもそれぞれの気持ちを重ねるということではなく、目の前に現れた予想を遥かに超えたなにか純粋なものに息を飲むというような瞬間が続く。

 ラストの"エンジェル(Angel)"を終えてステージ袖に消えてゆくロミーとオリバーが手をつないだ瞬間、僕はほんとに胸が締め付けられた。
 もしあのふたりが僕の想像するように向き合っているのなら、これほどまでにピュアな関係性が現実ならば、僕はこの先の彼等に訪れるものを想像して震えてしまう。いやそうではない、終わってほしくない物語がまたひとつはじまったのだ。
 イギリスでは3枚、4枚と続いて進化もしくは深化し、さらにテンションを維持しながらアルバムを作り続けるアーティストはまれである、それはしかたのないことなのだ。しかし彼等なら、次の次元あるいは想像を超えた風景を見せてくれるかもしれない。

The XX "finally"


Jamie XX & Yasmin "touch me"


Pet Shop Boys - ele-king

「だから、レインボウ・ステージが必要なんですよ」

 フジロックも終わりに近づく3日目の深夜3時、僕は酔っ払って40代のゲイの友人に、日本のフェスでのゲイ・ステージの必要性を説いていた。
「海外のフェスだったらけっこうゲイ・ステージあるじゃないですか。日本で洋楽を含むフェスやるんだったら、その文化も取り込まないと。日本ではゲイ・ポップスなんて皆無に等しいし」
「まあね。世間的にはゲイだと知られてるポップ・シンガーも歌の上ではノンケってことになってるし」
 友人は僕のデタラメな思いつきに付き合ってくれている。
「でしょう。だから、マトモスとか、ハンクス・アンド・ヒズ・パンクスとか、ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアとか、カッコいいゲイのアーティストを呼んで、でもゲイの内輪ノリにならないようにストレートも入りやすいようにして。トリを大物にするとか......わからないけど、カイリー・ミノーグとか」
「いや、カイリーがゲイ・ステージのトリをやる文脈すら、日本には浸透してないよ」
「ええーっ!? そうか。じゃあ、アントニーだったら主旨を伝えればやってくれるかも。でも賑やかな感じも欲しいから、ベタだけどミーカとか、シザー・シスターズとか、それかペッ......」
 ペット・ショップ・ボーイズ、と言おうとして、僕は口が止まってしまった。ペット・ショップ・ボーイズは、レインボウ・ステージのトリをやってくれるだろうか?

 というのは、ペット・ショップ・ボーイズは自らのゲイ性(と、ここでは呼ぼう)をいつも高らかに謳っていたわけではなかったからだ。いや、どちらかと言えばそこに何かしらの批評を用意している例が多かったように思う。たとえばニール・テナントが大っぴらにカミングアウトする以前の"キャン・ユー・フォーギヴ・ハー?"では、ロックが嫌いでディスコが好きなことを女にからかわれる男のことが歌われているが、もちろんこれは性的嗜好を隠して女と付き合って失敗するゲイについての歌だ。もっと言えば、「異性愛の」セックスに失敗する屈辱についてだろう。ゲイにとってこういった話はよく聞くところではあるが、かと言ってそれをポップ・ソングにしてしまうことはそうあることではない。「みんな違って、みんないい」みたいながんばれソングになりがちなゲイ・ポップス界において、PSBの知性は異色であった。それこそある程度の「文脈」を理解していないと本当の意味で楽しめないものも多く、そのゾーニング自体が、ゲイが社会においていくつもの顔や隠語を用意しておかなければならない状況に対する痛烈なアイロニーのようだ。ヴィレッジ・ピープルによる同性愛賛歌"ゴー・ウェスト"のカヴァーがサッカーの応援歌としてマッチョな連中に無自覚に歌われることを嫌がるゲイも少なくないが、逆に言えばそのねじれた状況にほくそ笑むことだって、ある意味ではできるわけである。
 では、ペット・ショップ・ボーイズのエレポップは「文脈」を楽しめるひとたちだけのものなのだろうか?

 『エレクトリック』はPSBの久しぶりの快作で、とにかくアッパーなナンバーが揃っている。しかも簡潔。9曲という比較的少ない曲数を、ハウス・ビートとシンセ・サウンドで一気に聞かせてしまう。PSBは何にアッパーになっているのだろうか。イギリスでの同性婚合法化に? UKでのハウスな気分に? たんに内省的だった前作『エリシオン』の反動? わからないが、テンションとして近いのは『ナイトライフ』(99)辺りか。つまり、音としてはゲイ・ポップスの度数がとても高い快楽的なアルバムである。
 とにかく、煌びやかなピアノの和音のリフと、得意のゴージャスなストリングス・ワーク、そしてフワフワしたニールのヴォーカルを聴くと、ああPSBだ! と思う。いきなり攻撃的な"アクシス"でのオープニングに驚いている場合ではない。"ラヴ・イズ・ア・ブルジョワ・コンストラクト"なんて"ニューヨーク・シティ・ボーイズ"と"ゴー・ウェスト"を掛け合わせたような臆面もなくキャッチーなナンバーだし、"シャウティング・イン・ジ・イヴニング"のトランスめいたアップリフティングさには腰を抜かしそうになる。
 その"ラヴ・イズ・ブルジョワ・コンストラクト"は格差社会における無力感と愛の欠如が重ねて歌われる、いかにもPSBなややこしさが孕まれたナンバーだが、アルバムには彼らならではの皮肉めいたスパイスも用意されてはいる。なかでも"ラスト・トゥ・ダイ"はなんとブルース・スプリングスティーン『マジック』収録曲のカヴァー。ここでは汗と大地の匂いがする男の怒りが、ミラーボールの下のダンスに読み替えられていて、そこには多くのポリティカル・ソングのマッチョさへの批評を見て取ることもできるかもしれない。かつてU2の"ホェア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネーム"のカヴァーをやって、見事にその男臭さを消していたこと(と、U2がそのカヴァーを聴いて怒ったこと)を思い出すひとも多いだろう。

 けれども、アルバムは......PSBは、それ以上にこの音を前にした者を分け隔てなく踊らせることを欲望している。全編を通してきわめてダンサブルだが、ラスト2曲が本作をよく表している。まず"サースデイ"はタイトル通り、週末がまだ訪れていない木曜日についての歌だ。ハウシーなイントロがウィークエンドへの期待をどこまでも高めていく。新しくもなくトレンドでもない音だが、クールとアンクール、インとアウトの境界がここでは消えていく。そして、歌詞もヴィデオも衒いなく古きよきレイヴを謳う"ヴォーカル"。20年前にタイムスリップすることを、この曲は少しも恥ずかしがらない。その高揚において。
 だから僕は、いまのPSBにはレインボウ・ステージにぜひ立ってほしいと思うのだ。そこには男も女も、もちろんそうでないひともたくさんいる。「文脈」を知るひとも知らないひとも、等しく踊っている。たくさんのキスとハグがある。レインボウ・フラッグがゲイとストレートを、マイノリティとマジョリティを分断するものであってはならない。ロックよりもディスコで踊りたい気分のストレートが、ダンスフロアで開放されてもいいのだ。「今夜は全てが正しく、すごく若々しい/ぶちまけたかったこと全てが高らかに歌になる("ヴォーカル")」

YO.AN (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

2013年7月24日にHOLE AND HOLLANDよりFUSHIMINGの初ソロEP"HEAVY MOON EP"がリリースされます!以前ALTZ氏のele-king DJチャートにピックアップされた"SELENADE"も収録されています。
https://soundcloud.com/hole-and-holland/sets/fushiming-heavy-moon-ep
リリースパーティーは8/16に渋谷SECOにて開催。
その他MIX、MASTERING作業やスケボーDVDの曲製作、EDIT、自身のソロもマイペースですがやってます。
2013年上半期にプレイし反応良かった曲や印象深い作品をリストしました。

DJ SCHEDULE
7/23 神宮前bonobo
7/27 東高円寺grassroots
8/15 恵比寿bBATICA
8/16 渋谷SECO
8/17~ 三浦BEACH WHISTLE
8/24 静岡EIGHT&TEN
8/31 中野Heavy sick zero
9/17 神宮前bonobo
9/21~23 CHILL MOUNTAIN@大阪

https://soundcloud.com/yoan
https://twitter.com/YOholeAN
https://instagram.com/holeandholland
https://www.hole-and-holland.com/

2013上半期(順不同)


1
FUSHIMING - SELENADE - HOLE AND HOLLAND

2
RAMSEY HERCULES - Disco Morricone - Stereopor Records

3
Grandmaster Flash & Melle Mel - White Lines (Don't Don't Do It) - Sugar Hill Records

4
stim - Blue (Taichi Remix) - Revirth

5
Altz.P - Dodop - Crue-L Records

6
BOTTIN&RODION - ONE FOR ALL - Tin

7
AKIOCHAM - JAMAICA mix - AKIOCHAM.com

8
ASHLEY BEEDLE VS DJ HARVEY - Voices Inside My Head - Bbv

9
Justin V - Version 2 - Keep It Cheap

10
YO.AN - HANG - HOLE AND HOLLAND(promo)

10年たってもなんにもできないよ - ele-king

 四谷にライヴハウスがあるというイメージをお持ちの方はあまり多くないかもしれない。が、じつはいま、都内のライヴハウス事情に詳しい人の間では知る人ぞ知る勢いのある場所がある。それが〈アウトブレイク!〉である。
 構えとしては一見すると普通のロックのライヴハウスである。しかし、このご時世、単なる普通のライヴハウスのままで生き残るのは尋常なことではない。そんななか、店長の佐藤“Boone”学を中心に次々と奇策や珍企画を打ち出して周囲を驚かせたり呆れさせたりしているのがこのお店。

 たとえばライヴハウス史上初の「松屋」とのコラボレーション。ライヴハウスの受付前にあるチケットを隣の松屋に持って行くと生卵or定食ご飯大盛りが無料に!
 酒が旨いのはライヴハウスにとっても重要、ということでキンミヤ焼酎とコラボしたTシャツを制作、見事に完売しそれを記念して〈キンミヤナイト〉も開催して大いに盛り上がったという。
 かと思えば複数ライヴハウスと共同で、お勧めのバンドを集めた試聴機をタワーレコードで展開。また高円寺のヴィレッジ・ヴァンガードでも〈アウトブレイク〉・コーナーを展開と、店の外への展開にも余念が無い。

 もちろんライヴ自体が面白くなければ話にならないが、これまた手を変え品を変え、面白い企画をどんどん打ち出している。遠藤ミチロウとストリッパーの共演。日曜朝5時から11時までという狂った時間帯にバンドやDJ、お笑いに演劇まで詰め込んだ早朝イヴェント。JUKEとGORGEのパーティも定期的に開催。BiS階段発祥の地であり、PV撮影のロケ地になったのも記憶に新しい。

 こうした新しい試みの数々を見ていると、刺激されることが大変多い。

 とまあ、なぜか頼まれてもいないのにお店を持ち上げるようなことを書いてきたが、そんな四谷〈アウトブレイク!〉で今週末行われるライヴをご紹介。10年前からつづく大甲子園というスカムパンク・バンドの10周年企画が、店とがっつり組むかたちで開催される。インセクトタブーと水中、それは苦しいも招かれており、深い夜が期待できる。とくにこの2バンドは、どちらかが好きなら両方気に入る可能性が大ではないだろうか。一見くだらないようで手の込んだ言葉遊びの奥に潜む詩心とポップ・センスというか。大甲子園のメンバー、junne氏のブログには、自身がファンであるとして詳しく紹介されているので、そちらも参照されたい。

 そして今回は前売予約特典として、3バンドの未発表音源を収録したCD-Rがプレゼントされるとのことだ。大甲子園はそのために10年間で初のレコーディングを敢行。その録音も〈アウトブレイク〉で行ったという。これもおもしろい試みで、月1回くらいのペースで平日を終日レコーディングの日とし、料金の代わりに「アウトブレイクで一本ライヴやってね」というアイディアとアーティストへの理解、そしてシーンを耕そうという気概にあふれるサーヴィスだ。店長自らエンジニアを務めてくれる。

 さすがに一流スタジオのような録音は無理なようだが、バンドのことをしっかり理解した上で作業を進めてくれ、メンバーいわく「少なくとも我々にとっては大変やりやすかった。おかげさまでメンバー自ら“くだらねえー”と失笑するような素晴らしい録音ができました」とのこと。

 ライヴハウスについては部分的にネガティヴな議論もされがちな昨今であるが、当たり前の話だけど、面白いことやってるところはちゃんとある。バンドをしっかりサポートし、自らも全力で楽しもうという姿勢には共感しかありません。ということで夏フェスもいいけどライヴハウスも楽しいよ!


大甲子園

insect taboo

水中、それは苦しい


■大甲子園結成10周年記念シリーズ企画
「10年たってもなんにもできないよ」

■日時
8/11(Sun)
19:00 Open / 19:30 Start

■場所
四ツ谷アウトブレイク

■入場料
adv: 2000yen / door: 2500yen(+1drink)

■出演
大甲子園
insect taboo
水中、それは苦しい

■予約方法
メールおよびFacebookで受け付けます。

・メールの場合、タイトルを「8/11予約」として、
氏名
人数
を明記の上、noiz666+juunen(at)gmail.comまで、(at)を@に変えてお送りください。

・Facebookの場合はイヴェントページ(https://www.facebook.com/events/102635429941845/
で「参加」としてください。予約は前日まで受け付けます。



ECD - ele-king

 無地で、品質は最高、カットはシンプル、そしていつまでもすたれないデザイン――。『チープ・シック』(草思社、1977)が称揚したシックな着こなしというのは、「服を第二の肌にする」ということだった。おカネはかけないが、服はこだわって選び、だがそれ自体が目的ではないので、歩いているうちに着ていることさえ忘れてしまおう、と。そしていま、再評価の最中にあるこの素朴な古典は、そうした服装哲学の次の段階として、このように説いている。「つまらない、いっときのファッションには関係なく、静かに、個性的に、自分自身の人生を追うのです。」

TEN YEARS AFTER』と『Don't worry be daddy』に続く三部作めいたECDの新作『The Bridge 明日に架ける橋』にとっても、服(オシャレ)との距離感、音楽それ自体の価値、そして、生活のあり方は重要なキーワードだ。
 ヒップホップにおけるファッションの流行史と、その時々の自分のリアルな反応を回想していく"憧れのニューエラ"は、サッカー・スタジアムの割れる声援のような高揚のムードに煽られ、過去の固有名詞を有意に列挙していくリスト・ソングとしてまず素晴らしいが、さまざまな流行り廃りに流され、やがて「ディッキーズにコンバースに無地TEE」へとたどり着くまでの歴史を通じて、必然的に自らのラッパーとしての立ち位置をも明らかにしていくあたり、唸るほどカッコいい。
 「服を第二の肌にする」――あるいは音楽もそうあるべきだろう。音源のために使えるおカネがもっとあったらいいのに、と思うこともあるが、本当にそれが必要なときに、部屋の棚やiTunesのライブラリーを悠長にひっくり返しているヒマはない。自分にとって第二の肌みたいな音楽があれば、それをサッと手に取り、軽いスニーカーを履いて、ただ自分がいるべき場所へと向かえばいい。時間が余れば本も読めるし、映画も観られる。あなたが望むのならば、デモにも行ける。
 ......と、思いきや、その傍らでECDは、たとえば"NOT SO BAD"のような曲をやる。積みっぱなしの本、買ったきり聴けてないレコード、遠慮もなく押し寄せる日常――「これが生活だ、出した答え」と"今日の残高"で宣言して以来の、いわば「ECD生活編」の最新作だが、日々のやりくりは必ずしも思い通りではないようだ。だがそれは、未練がまったくないと言えばウソになる、というくらいの軽いタッチで、『Don't worry be daddy』にはなかった微笑を誘うユーモアがそこに加えられている。リリックの組み立ては、間違いなくさらに巧くなっている。

 ECDの音楽には、わかりやすい希望もないが、ワザとらしい涙もない。『仁義なき戦い 広島死闘篇』のラストにおける山中正治(北大路欣也)が、どれほど望みを絶たれても決して泣かなかったように。おそらく、「明日」や「未来」という概念が、あらかじめ定められたように希望を騙ってしまう危うさへの残忍な眼差しが、そうさせるのだろう。"俺達に明日は無い"、その凄まじく両義的な精神はいま、"The bridge"と"遠くない未来"という、性格があべこべな双子のような楽曲を生んでいる。
 ソウルフルな序盤から、サイケデリックな(さらにはソフト・ロック的な)展開へとトラックが移植されていく表題曲"The bridge"においてECDが架ける橋は、漠然とした希望と言うよりはもっと暴力的で、ある種の強制力を伴うものだ。いかにも壊れそうな橋だが、否応なしに目の前に準備され、人はそこを渡るしかないし、いちど足をつけたらもう後には戻れない、そういうものとして「明日」は描かれる。それは今日よりも悪いものなのかもしれない、だが僕たちはどうやっても昨日には戻れないのだ。
 あるいはまた、雑誌『ポパイ』に寄稿された、ジョージ・オーウェル(とカレー屋)についてのECDのコラムを読み、なんてブレのない人なんだろう、と思った。そこで、同じくオーウェルを題材にした『remix』のコラムを思い出したのは筆者だけではないだろう――「しかし、家族がいるとそういうわけにはいかない。用心深くなったのは事実だ。それに、先のことを考えると昼間の仕事は60歳になったら辞めなければならないようだし、そうなったら、ビルの清掃員でもやるしかない」(『remix』219号)。
 当時、そのように総括されていた未来図は、図らずも現実のものとなったことが、"遠くない未来"において赤裸々に語られる。だが、文中の「そうなったら、ビルの清掃員でもやるしかない」が、「雇ってくれる原発見つかれば、廃炉作業員として現場」へと差し替えられた"遠くない未来"には、ブラック・ユーモアすれすれの緊張感を突きつけられつつも、小さな希望を僕は見た気がした。

 いろいろな話が混線してきた。が、とにかく、選択肢がありすぎて何も選べないようなときに、サッと手に取るべきもの。僕にとってのECDが、いつの間にかそのような存在になっていたことに気づいたのは、〈Shimokitazawa Indie Fanclub 2013〉でライヴを初めて観たときだった(DJはもちろん、イリシットツボイ)。
 そのダンサブルなトラックがライブでこそ本性を明かす、最高のパーティー・スターター"憧れのニューエラ"、鬱屈した犯罪願望をギンギンに露悪するsoakubeatsとの"ラップごっこはこれでおしまい"、『160OR80』を通じてジューク・カルチャーに捧げられた、ラッパーを振り落すようなバウンス・ビートの"Far from Chicago Beat"にはじまり、音源よりも長めにネタ元のイントロが取られた思わせぶりな"NO LG"、最後は"Wasted Youth"から"大阪で生まれた女"に向かって全力で駆け抜けていくECDは、低いステージの上で強く輝いていた。それはたぶん、僕がこの歳になって初めて観たパンクのライヴでもあった。

 トラップめいた"ラップ最前線"、パンク・ロック"tiolet toilet"、成功という概念にトラウマ的に脅える"ストレステスト"――他にも言及すべき楽曲ばかりだし、アルバムとしても『The Bridge 明日に架ける橋』はECDの代表作たり得る充実ぶりだ。だが、たとえば「傑作」なんていう惰性のような言葉では、それを書いている方が何も満足できないのは何故なのだろう......。
 そう思い、ふと視線を上げる。ここはどこだ? いまは2005年なのか? デジャ・ヴのような政治の狂気が、世間を堂々と闊歩している。以前よりも露骨に、陶酔さえ携えながら。それと対置されたような、労働や疲労による殺気と、謎めいた相変わらずの緩慢さでグロテスクに塗りつぶされた群衆......気づけば、そんなものにさえ慣れてしまいそうになる。
 だが、あのときほど無防備な人間ばかりではない。変わりつつある社会の領域も、確実に存在する。それは本作に託された実感でもある。「26年前には曖昧模糊としたイメージしか持てなかった『1984年』の世界が目の前に蘇った」(『ポパイ』796号)――それは、10年前と変わらない姿で迫りつつあるいまの社会でもあるだろう。流行りの服を体にあてがい、鏡の前でぐずぐずしているヒマなど、やっぱりない。

R.I.P. Mick Farren - ele-king

 去る7月27日、ミック・ファレンが亡くなった。享年69歳。彼のバンド、デヴァイアンツのライヴ中に心臓発作を起して倒れたそうだ。
 ミック・ファレンの音楽はサイケというか、いつでもプレ・パンクのような音楽だった。性格がパンクだったからだろう。
 「ミック・ファレンの業績は音楽だ」とあげる人が多いかもしれないが、ぼく的には音楽シーンにユーモアとアメリカン・コミック、SFを持ってきた人間ということで評価している。
 その辺のことは、彼の著書『アナーキストに煙草』に詳しく書かれているので読んで欲しい。
 そして、それ以上にこの頃、ぼくがミック・ファレンに対して気になっていた事は『アナーキストに煙草』の後半部分である。その部分には彼が『NME』にアメコミと笑いをどう反映していったか書かれているが、それ以上にぼくを惹き付けたのはプレ・パンク、パンク時代の『NME』のジャーナリストたちである。
 この頃のイギリスのロック・ジャーナリストは、各自が押すバンドを擁護するために派閥争いのような喧嘩をしていたというのを聞いていたので、ぼくはこの頃のロック・ジャーナリストが嫌いだったのだが、ミック・ファレンの本を読むとなんか、みんなかっこいいのである。
 この本を読む前に、ぼくはミック・ファレンの弟子のようなニック・ケントの『ザ・ダーク・スタッフ』を読んで、そこで『NME』なんかで原稿を書いていたニック・ケントが自分をもっと磨こうと、レスター・バングスの所に半年丁稚奉公しにいった話が書かれていて、そういうのもかっこいいなと思っていたからかもしれないが。
 イギリスのロック評論の方がずっと上だと思っていたのに、73年頃はアメリカにロック・ジャーナリズムの方が上だったというのは衝撃を受けた。
 でも、そりゃ、そうだよね、『ローリング・ストーン』というインディペンデントの雑誌がロック評論の新しい扉をひらいたわけだから、アメリカの方が上なのは当たり前だ。普通の出版社から発行していた『ミュージカル・エキスプレス』や『メロディ・メイカー』が『ローリング・ストーン』以上のことを出来るわけがない。
 でも、パンク以降はイギリスのロック評論が時代をリードしていくわけだ。その秘密がミック・ファレンの本には書いてあると思う。
 というか、自分はそういう風にして文章を書いてきた。
 自分はロック・フォトグラファーというのはダサイと思っていたんだけど、ロック・ジャーナリストというのはかっこいいかなとこの頃思っていた。そんなやさきにミック・ファレンの死はなかなか考え深いものがあった。


※明日、8月6日火曜日DOMMUNEにて、追悼番組あります。
19:00~21:00 MICK FARREN(THE DEVIANTS)追悼番組!「アナキストに献花を」
~ブリティッシュ・アンダーグラウンド・サイケ・シーンの始祖
出演:松谷健(CAPTAIN TRIP RECORDS)、赤川由紀子(翻訳家)他

Möscow Çlub - ele-king

 サウンドクラウドとバンドキャンプ上に多数の音源をアップロードして国内外で支持を集めていたmöscow çlub(モスクワ・クラブ)は、「インディーゴーゴー」というクラウド・ファンディング・サーヴィスを利用して目標額5000ドルを集め、おそらく日本のロック・バンドとしては初めてプロジェクトを完遂、目的であるアナログLPをリリースした(すみません、僕は後からレコードを買ったので出資していません......)。

 彼らのオフィシャル・ブログバンドキャンプに並ぶジャケット画像、20世紀のポップ・カルチャーからの引用を散りばめた曲名、あるいはブログ「Come-In Come-Out」のインタヴューなどを参照してもらえればわかる通り、モスクワ・クラブは非常にコンセプチュアルなバンドで、厳格なまでにバンドのイメージを統制している。匿名的とまでは言わないものの、個を全面に出すようなことは決してしない。本作『ステーション・M.C.Ç.B.』のジャケット同様、バンドのイメージはじつに不明瞭でところどころに余白が残されており、はっきりとした実像を結ばない。

 インタヴューによれば、バンド名の由来は「ドストエフスキーの『罪と罰』からの影響と、UKでもUSでもない第三世界の不明瞭さ、未知への憧憬・興味」(モスクワ、というかロシアは「第三世界」ではないと思うが......)ということであり、イメージ統制に関しては「熱心なリスナーがバンドキャンプで偶然にアートワークが目に止まり、音を聴いたところ気に入って、それがたまたま日本人だったというようなことになれば素敵だなと。そういうわけで、音とビジュアル以外の情報を発信する必要は無いなと考えました」とのことである。つまり彼らは純粋に音楽(とそれに付随するヴィジュアル)で勝負をしたいのであって、その賭けはクラウド・ファンディングでのプロジェクトの成功という素晴らしい結果を生んでいる。

 ということで、彼らの望みに反して音楽の「外側」の話ばかりしてしまったのであるが、モスクワ・クラブの音楽は80年代の大英帝国産インディ・ロック、セカンド・サマー・オブ・ラブの幻影、ディスコとブラック・コンテンポラリーのグルーヴ、ニュー・ロマンティクス、ノイエ・ドイチェ・ヴェレのミニマリズム等々を飲み込みながら、チルウェイヴのゆったりとした揺らぎにも身を委ねている。"シンキング・オブ・ユー"や"デイジー・ミラー・パート・2"、"ビキニキル"(!)、"レイディオ・ヴェトナム"、"チュー・チュー・トレイン"などはネオアコ風の甘いメロディを携えたローファイなギター・ポップだ。一方、"オープニング・セレモニー"や"レター・フロム・シックス・ガムラン・シンディケイト"、"ファーレンハイト・451"、"パシフィック・724"、"ターン・グルーヴ・サウンズ・オン"といった楽曲は、キラキラと輝くシンセサイザーが舞い踊るグルーヴィでウェルメイドなダンス・ミュージック。〈コズ・ミー・ペイン〉の連中同様、この憎らしいほどにハイ・センスなモスクワ野郎どもにとって、ダンス・フロアとライヴハウスはひとつの回路で結ばれているのだ。

 再び「外側」に話を戻すと、『C86』や〈サラ・レコーズ〉が築きあげた時代に範を取るモスクワ・クラブのグッズやレコードといったモノに対するフェティシズムは、おもしろいことにインターネットをフルに活用しながら稼働している。同じようなこだわりを見せるバンドにBoyishなどがいるが、そういった80年代のインディペンデントな音楽家たちの姿勢に強く影響されたバンドがいる一方、70年代のロックからそれ以前の大衆音楽の淵源にまで迫ろうとする森は生きているや、どこに向かっているのかさっぱりわからない破天荒などついたるねんといった数多の個性的でバラバラなバンドたちが近(くて遠)い場所でひしめきあっている現在の東京のロックというのは、いやはやおもしろい。(僕は体験できなかったが)一時期の関西と同じほどの爆発しそうなエネルギーが渦巻いているのではないだろうか。

 そういった東京のバンドたちのなかで一際大きな存在感を放っているミツメ。ミツメの大竹はモスクワ・クラブのメンバーでもあるが、インディペンデントなバンド運営へのこだわりも二者で共通しているように見受けられる。作品は全て自主レーベルから、アナログ盤もリリースし、ZINEやグッズによるマーチャンダイズも欠かさない。
 さて、ギター・ポップだったファースト・アルバム『mitsume』、逃避的なシンセ・ポップへと不時着したカセット/7インチ・シングル『fry me to the mars』、そして贅肉を削ぎ落したソリッドなギター・リフとダビーな音響処理とで実験的な姿勢を打ち出したセカンド『eye』――その音楽性を作品ごとに大きく跳躍させてきたミツメは、新しいシングル『うつろ』で再び新しい方向へと舵を切っている。
 『うつろ』に収められた4曲はどれも(異色の"Chorus"を除けば)ゆったりとしたダウンテンポで、反復を基調としており、恐ろしいほど虚無感を放っている。チルアウトさえしない、妙に重たくて気怠く、隙間だらけだが粘っこいグルーヴ。すっきりと統制のとれたクリアな音像の『eye』と比べると、『うつろ』はダーティでルーズで未整理な音が詰め込まれている。

 歌謡曲風のメロディが耳にしこりを残すような"うつろ"は、夜通し踊った後の朝方5時半に強い疲労感を覚えながら心を空っぽにしてソファに体を沈めているときのBGMのような曲で、サイケデリックというにはあまりにニヒリスティックで空虚であるし、リラックスもできない違和感を湛えている。ずぶずぶとした重たいグルーヴをひきずる"会話"や"きまぐれ女"における川辺のヴォーカルにはまるで生気がなくゴーストリーに響く。"Chorus"では奇妙なほどに明るい曲調と反するかのように、ヴォーカルの幽霊じみた感触はより強調されている。
 このシングル盤を聴くと、ミツメは言葉を信用しながらも裏切っている......曖昧な態度を取っているかのように思える。これまでの楽曲に現れてきた、ある種ノスタルジックで逃避的な言葉から離れ、よりニュートラルでフラットでどっちつかずのグレーゾーンへと踏み出している。そしてそれはおそらく、ゆらゆら帝国が『空洞です』(2007)で踏み入った場所に程近い。

にせんねんもんだい - ele-king

 にせんねんもんだい。その妙ちくりんなバンド名を初めて見つけたときは「あふりらんぽ」「オシリペンペンズ」「ズイノシン」などの字面が頭をよぎり、勝手に関西ゼロ世代の仲間たちと思いこみ、表現の極みのようなものを想像していたのだが。いやいや、その音楽はじつにストレートにしてこの上ない熱を秘めていて、一筋縄ではいかない頑固な爆発力こそ彼らと通じるものがあるものの、冷たい金属に触れるようなきんと張りつめた空気の持続に体を硬直させたものだ。しかもその音楽を奏でているのは東京を拠点に活動する可憐な女子3人という。

 そんな前置きはさておき、にせんねんもんだいの新作『N』が届けられた。2011年にリリースされたオフィシャル・ライヴ作品『NISENNENMONDAI LIVE !!!』(この日、会場にいたのだが、その発熱たるやいわく言いがたし!)で、これまでの集大成ともいえる高密度な楽曲群、そして刻々と研ぎ澄まされて増幅していくリアレンジを披露。その後も何度か彼女たちのステージを目撃していたので、次なるもんだいにこちらの耳はたしかに、よりミニマル化し、よりゼンマイ化した彼女たちを予測し、ある程度の回答を用意していたつもりなのだが......こいつはたまげた。
 
 まぎれもなくにせんねんもんだいの音楽でありながら、こちらの想像するカラクリをはるかに上回るカラクリ。とある存在感がじりじりと迫りながらも何も起こらない。そんな事態に直面するもどかしい美しさ。そう、今年4月に行われた〈SonarSound Tokyo〉でのステージでも垣間見えたように、音のひとつひとつが極限まで精巧に研磨され、ただただただただ規則に従って並べられる。これまでわずかに顔をのぞかせていたコードリフ、メロディらしき装飾はそぎ落とされ、高田のギターはミュートしながらディレイさせる粒手のような反復リズムに徹し、時折、その上に薄雲のような効果音を漂わせる。また、地鳴りのような4つ打ちキックとチキチキ鋭く刻まれる16ビートのハイハットによる抑揚のみで空間を昂揚させる姫野のドラム(スネアすらほとんどなし)。恐るべき集中力でリズムと一体化し、高いテンションを保ちながら残像だらけのマン(ウーマン)・マシンに変ずる姿を想像するだけでスパークしてしまう。そして2013年のにせんねんもんだいにおいて、もっともキーポイントとなるのが在川のベースである。容赦なく進行する曲の中心に注意深くふいと現れ、重たくもエッジの効いたパターンをくりかえすくりかえす。その最小限の音と動きはいつしか楽曲全体を先導し、わずかに横に揺れたり、巧みなエフェクト使いで連音を紡いだりしてダンス中枢をじわじわとくすぐる。3つの点が線となり円となり、さまざまな幾何学模様を描く生成変化の瞬間に耳をそば立てると、そこにはいつもベースの絶妙な運動があるのだ。

今作『N』は、ディス・ヒートやソニック・ユースの影響を起点とし、ジャーマン・ロック~ベーシックチャンネルよろしくどんどん禁欲的にミニマルに没頭していくにせんねんもんだいの次なる一歩として、多くのリスナー/音楽家たちの憧憬と嫉妬を同時に集め続けるに違いない。皆が大好きな往年のエクスペリメンタル・サウンドに影響を受けた、とてつもなく共感を得やすい音楽性にしてとてつもなく孤高。人力ハード・ミニマルと言ってしまえば簡単だが、ほかとは違う何か。キックの強弱。ハイハットの開け閉め。ベースの抜き差し。一音の変化。慎重を極めたギターのリズム/コード・チェンジなど、大きな流れのなかの一瞬のタイミングで日常の喜怒哀楽を一気に超越する何か――そんな「ポップ・ミュージック」の謎を解く何かを求めて再び『N』を再生させる。電子ハイウェイを駆け抜けるように。くりかえしくりかえし。

Marcellus Pittman - ele-king

 欧米のいまのテクノ/ハウスの盛り上がりは本当にすごい。NHK'Koyxeиとスカイプで話して、向こうの状況を聞いていると羨ましくなる。まず何がすごいかって、NHK'Koyxeиもローレル・ヘイローもマーク・フェルもディーン・ブラントも、そしてピート・スワンソンもネイト・ヤングもホアン・アトキンスもURもジュリアン・バーウィックもミカ・ヴァイニオもアンソニー・ネイプルスもアンディ・ストットも、同じようなイヴェントに出演している。境界線は取っ払われて、拡張し、開かれているというわけだ。『TECHNO definitive 1963-2013』で取りあげていた連中が、いま見事に合流している。ハウス・シーンが新旧入り乱れて活性化しているように。
 ジェイムス・ブレイクやエア・ヘッドらがデトロイト・ハウスに触発されている話は前にしたが、デトロイト・ハウスは何もセオ・パリッシュとムーディーマンだけではない。マルセラス・ピットマンも代表的なひとりだ。彼は3 Chairsの第4のメンバーでもあり、ジャジーでメロウなトラックは自らのレーベル〈Unirhythm〉から出している。ブラック・ミュージックとしてのハウスの最良なモノが彼の音楽にもある。この夏のお盆、君の魂をケアするのは、破産した米国の工業都市からやって来るマルセラス・ピットマンになるだろう。


Marcellus Malik Pittman Japan Tour 2013


8.9(FRI)Osaka@Triangle

Music by Maurice Fulton & Marcellus Pittman

open/start 21:00
Door 3000yen with 1Drink
With Flyer/Advanced 2500yen with 1Drink
Pia, e+

Info: Triangle https://www.triangle-osaka.jp
大阪市中央区西心斎橋2丁目18-5 TEL 06-6212-2264

AHB Production https://www.ahbproduction.com

Red Bull Music Academy Radio
https://www.redbullmusicacademy.jp
https://www.rbmaradio.com

8.10(SAT)Niigata @goldenpigs yellow
- Lights Down Low -

Guest DJ: Marcellus Pittman
DJ: Ichiya TAKIO KAIZU & smook
LJ: CON
SOUND SYSTEM: february audio

open 22:00
Door 3500yen
Advanced 3000yen

Info: Golden Pigs Yellow https://www.goldenpigs.com/yellow.html
新潟市中央区東掘通6番町1051-1 G.Eビル3F TEL 025-201-9981
WAXIN' https://waxin-essence.blogspot.com
Cave Records TEL 025-201-8878

8.11(SUN)Ueda @LOFT
- Sound of LOFT -

Guest DJ: Marcellus Pittman
DJ: Masahiko Uchikawa(Rhythm Of Elements, LOFTSOUL), Atsushi Fujisawa(H.R.N), Tatsuga&Tetsuta

open 21:00
Door 3000yen
With Flyer 3000yen with 1Drink

Info: LOFT https://www.facebook.com/loft0268
長野県上田市中央2-13-10ツカサビル3F TEL 0268-25-6220


8.15(THU)Kyoto @COLLAGE
- welcome Marcellus Pittman -

Guest: Marcellus Pittman
Act: hanky and friends

open 20:00
Adm 3000yen with 1Drink
With Flyer 2500yen with 1Drink

Info: COLLAGE https://www6.ocn.ne.jp/~collage/collage/
京都市中京区西木屋町通四条上ル紙屋町336?レイホウ会館3F TEL 075-256-6700


8.16(FRI)Tokyo @Amate-Raxi
- Marcellus Pittman Feat. Re:Funk -

B1F
Marcellus Pittman
AYUMU OKADA (yes. / disk union)
KAJI (JMC / XXX)
OHISHI (JMC / SODEEP)

DANCE PERFORMANCE...
Lagos APT. +SODEEP (NAO, UEMATSU)

1F
STOCK (JMC / World Spin)
konsin (WALKERS)
Dee Jay

open 22:00
Door 3500yen with 1Drink
With Flyer 2500yen with 1Drink

Info: AMATE-RAXI https://www.amrax.jp
東京都渋谷区渋谷3-26-16 TEL 03-3486-6861


8.17(SAT)Nagoya @Club Mago
- audi. -

Guest DJ: Marcellus Pittman
DJ: Sonic Weapon, Jaguar P
Lighting: Kool Kat

open 22:00
Door 3000yen
With Flyer 2500yen

Info: Club Mago https://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F TEL 052-243-1818

TOTAL TOUR INFO: AHB Production 06-6212-2587 www.ahbproduction.com



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