「K A R Y Y N」と一致するもの

日野浩志郎 × 鼓童 - ele-king

 goat や bonanzas、あるいはソロの YPY として精力的に活動を続けている日野浩志郎から、新たなプロジェクトが届けられた。今回はなんと芸能集団、鼓童とのコラボ。1ヶ月にわたって佐渡島に滞在し制作した楽曲を、昨年『破壊の日』(劇伴は Mars89)で話題を集めた映画監督・豊田利晃が映像化している。コロナ禍での新しい音楽体験を目指してつくられたという同作は、セリフ一切なしの野心的な内容になっているようだ。本日2月5日19時より配信がスタート。打ち震えよ!

見えない音に震える89分

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信
2月5日(金)19:00より緊急配信開始!

気鋭の現代音楽家 日野浩志郎と、
佐渡島の太鼓芸能集団 鼓童とのコラボレーションを豊田利晃が描く、
コロナ禍の新たな音楽体験
『戦慄せしめよ / Shiver』

越島~地域文化に根ざした新たな音楽映像配信として、気鋭の現代音楽家 日野浩志郎と、佐渡島の太鼓芸能集団 鼓童とのコラボレーションを豊田利晃が描いた、コロナ禍の新たな音楽体験、『戦慄せしめよ』が2月5日(金)19:00より緊急配信開始!

 goat / bonanzas のプレイヤー兼コンポーザー、ソロプロジェクト YPY 等マルチに活動する日野浩志郎と、2021年に創立40周年を迎える鼓童による今回のコラボレーションは、鼓童のメンバーからの一通のメールがきっかけで始まった。延べ1ヶ月にも及ぶ佐渡島での滞在制作を経て完成した楽曲群を、2020年12月の記録的な豪雪の中、制作の拠点となった鼓童村の稽古場をベースに、全編を佐渡島内で収録、撮影を行った。
 その模様を捉えたのは、『青い春』『破壊の日』の豊田利晃。昨年のコロナ禍の中で撮影され公開された唯一の映画『破壊の日』は、全世界で2020年7月24日に公開され、イタリアのオルトレ・ロスペッキオ国際映画祭2020では監督賞を受賞、日本映画のベスト1と絶賛された。

 コロナ禍での新しい音楽体験を目指し製作された本作品は、セリフが一切なく、音と映像だけで語られる、見えないはずの音に震える89分間の新感覚の映像作品となっている。

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信 『戦慄せしめよ』は2月5日(金)19:00より、Vimeoほか各映像配信プラットフォームにて配信開始!

【配信概要】
配信開始日時:2021年2月5日(金)19:00 各配信プラットフォームにてオンライン配信開始
鑑賞料金:1,000円(税込)
販売開始日時:2021年2月4日(木)18:00
配信先:
Vimeo:https://vimeo.com/ondemand/shiver2021/
Streaming +:https://eplus.jp/etto0205/
ZAIKO:https://ettoworld.zaiko.io/e/shiver/
PIA LIVE STREAM:https://w.pia.jp/t/shiver/
※別途、配信プラットフォームによる手数料がかかります。

■ 豊田利晃(監督)photo: Keisuke Nagoshi
〈プロフィール〉
1969年3月10日生まれ。大阪府出身。91年、『王手』(阪本順治監督)の脚本で映画界にデビュー。
98年に初監督を務めた『ポルノスター』で日本映画監督協会新人賞受賞を果たす。その他『青い春』『ナイン・ソウルズ』『空中庭園』などの作品で知られる。
2019年、短編映画『狼煙が呼ぶ』公開。自伝『半分、生きた』を出版。
2020年4月11日、小笠原諸島を舞台としたドキュメンタリー映画『プラネティスト』、同年7月24日『破壊の日』公開。『破壊の日』は全世界で2020年7月24日に公開され、イタリアのオルトレ・ロスペッキオ国際映画祭2020で監督賞を受賞。日本映画のベスト1と絶賛された。
www.imaginationtoyoda.com

■ 日野浩志郎(音楽)photo: Dai Fujimura
〈コメント〉
今回の制作を通して鼓童を知るほど、伝統が今でも伝統として存在している理由や力強さを感じていった。スピーカーでは鳴りえない空気の振動、木の鳴り、そして太鼓を打つ姿の美しさ。その圧倒的説得力に純粋に感動し、伝統と向き合う事の意味を深く体感した。
その上で正しいとされるものを疑い、音楽として形を成すことを捨てたところからこれは始まる。
単なる音の響きを探し、その音にリズムを与え、いくつかのリズムが絡みあうことで大きな律動が生まれ、それは音楽となっていく。僕たちは「作曲家」、「鼓童」として切り分けた関係ではなく、同じ仲間として楽器の持つ音や演奏法、グルーヴを再発見し、その興奮や喜びを共にしていった。
ゆえにこれは単に「鼓童の為に作曲した作品」ではない。今自分たちはデビュー当時の鼓童の興奮や発見を追体験しているのではないか、そう思える時間を共にした記録となった。

〈プロフィール〉
音楽家、作曲家。1985年島根県で生まれ育ち、現在は大阪を拠点に活動。
メロディ楽器も打楽器として使い、単なる変拍子とは違う複数拍子を組み合わせた数学的作曲などをバンド編成で試みる「goat」、そのノイズ/ハードコア的解釈のバンド「bonanzas」、ソロプロジェクトとして電子音楽やフィールドレコーディングなどをカセットデッキでコラージュする「YPY」名義の活動を行っており、そのアウトプットの方向性はダンスミュージックや前衛的コラージュ/ノイズと多岐に渡る。また自身の舞台作品として、クラシック楽器や電子音を融合させたハイブリッドオーケストラ「Virginal Variations」、多数のスピーカーや移動する演奏者を混じえた全身聴覚ライブ「GEIST(ガイスト)」の作曲、演出の他、カジワラトシオ、東野祥子によって設立されたアート/パフォーマンス集団ANTIBODIES collectiveでの活動や、元維新派のメンバーによる新たな舞台「孤独の練習」の音楽担当なども行っている。
国内外のアンダーグラウンドミュージシャンのリリースを行うカセットレーベル「Birdfriend」、コンテンポラリー/電子音楽をリリースするレーベル「Nakid」主宰。
https://soundcloud.com/koshiro-hino

■ 太鼓芸能集団「鼓童」(演奏)photo: Takashi Okamoto
〈プロフィール〉
太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。1981年、ベルリン芸術祭でデビューし、以来52の国と地域で6,500回を越える公演を行ない、2021年に創立40周年を迎える。また、豊かな自然と芸能の宝庫である本拠地・佐渡において、1988年より佐渡の市町村と共に国際芸術祭「アース・セレブレーション(地球の祝祭)」を開催し、国際交流や地域振興にも大きく寄与している。
https://www.kodo.or.jp/

■「越島」とは
日本という6,852もの島々で構成された不思議な島国から、 Isolationの時代も、島々を隔てる海も越えて、音楽や文化、それが生まれる土地の暮らしを伝えたい。 アーティストと共に日本各地を旅して学び伝える、地域文化に根ざした新たな音楽映像の表現。
https://etto.world/

監督・脚本:豊田利晃
音楽・演奏:日野浩志郎、鼓童(阿部好江、中込健太、小松崎正吾、住吉佑太、鶴見龍馬、小平一誠、前田順康、吉田航大、三枝晴太、渡辺ちひろ、小野田太陽、詫間俊、中谷憧)
出演:渋川清彦
撮影:槇憲治 照明:野村直樹 美術:松本千広 衣装:服部昌孝、江戸一番隊 ヘアメイク:白銀一太
音響効果:北田雅也 音楽録音:葛西敏彦 録音:高橋勝
スチール:大森克己 編集:沖鷹信
制作プロデューサー:沖鷹信
企画・製作:越島(安澤太郎、黒瀬万里子)

2021年/カラー/日本/5.1ch/89分
公式サイト:https://etto.world/
公式Twitter:https://twitter.com/etto__world

配信表記:2月5日(金)19時一斉配信開始
©2021 越島

Minmoa - ele-king

 いつまでも聴いていたい魅力的な歌声に、なんとも繊細なバンド・アンサンブル──なるほど、結成から5年かけてつくりこんだという話も納得だ。ひとつひとつの音が丁寧に絡み合っている。おいしいはなしの今野嵩朗を中心に結成されたフォーク・ロック・バンド、ミンモアのファースト・アルバム『帰郷の日』が2月3日にリリースされている。どこか懐かしいのに現代的、寂しげなのになぜかあたたかい、絶妙なニュアンスが表現されています。ぜひチェックを。

微睡みを誘う柔らかな歌声にそこはかとなく漂う寂寥感……、ソフト~フォークロックからの源流を現代的なサウンドへと昇華した至高の音世界~ミンモア『帰郷の日』本日発売&MV解禁!

微睡みを誘うような柔らかなサウンドでありながらどことなく漂う寂寥感、そして独創的な世界観を “うた” で表現する女性ヴォーカルで東京インディー・シーン唯一無二の存在感を示すミンモア。Salt Water Taffy や Eternity’s Children、Millennium、さらには Fairport Convention や Virgin Insanity といったソフト&フォークロックからの源流を現代的に解釈したサウンドで高い評価を受けていた彼らが、結成から5年の月日をかけて作り込んだ待望の1stアルバム『帰郷の日』がいよいよ本日発売&収録曲 “深夜の定期便” MV解禁! ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザー、フルート、キーボードといった多様な編成による印象的なアンサンブルとレイドバックしたフィーリングによるソフトなサイケデリック感は、半世紀という長い年月をかけて紡がれてきたまさに至高の音世界です!

・ミンモア「深夜の定期便」(Official Music Video)
https://youtu.be/bt-cvdCtKps

推薦コメント(五十音順・敬称略)

●岡村詩野(音楽評論家/TURN編集長)

「ニッポン・フォークロア」そんな名前をつけたくなる作品だ。
ブラジルはミナスの音楽や、アパラチアン・フォークへのアプローチを感じさせつつも、どうしようもなく日本の情緒が言葉とメロディに刻まれていて胸が甘やかに締め付けられる。
あの頃の風景と、これからの生活とを繋ぐ魔法の扉のような、柔らかで穏やかだけど意志の強い歌。
リーダーのコンノくんとは「おいしいはなし」の頃からのつきあいで、その頃からちょっとヘンテコな曲を作るソングライターだなと思っていたけれど、今はこんなにも地に足のついたヒューマンなコンポーザーだ。
どの曲も素敵だけど、私は「帰郷の日」が特に好き。旋律もハーモニーもアレンジもパーフェクトです。

●柴崎祐二(音楽ディレクター/評論家)

前バンド〈おいしいはなし〉の頃から、リーダーの今野くんは常になにか胸中に思いを秘めたところのある人だと思っていた。
やりたいことをやりながらも、同時に本当にやりたいことを探している、そんな佇まい。
ミンモアという新しいバンドを始動させたという便りを聴いて以来、その「やりたいこと」をどのように熟成させていくのかを密かに期待していたのだけど、このアルバムはその期待に応えてくれる、というかそれ以上の成果を聴かせてくれる。

バンドという形態をもってこういう繊細なニュアンスに富んだ音楽をやること。「ひとり」で音楽をつくることが常態化してしまった今、それはかなり難しい道であると想像する。けれど、ここに結実した音楽は、いかにも軽やかで、センスフルだ。

豊かな余白が全体を包み、さまざまなコミュニケーションの色彩が織り込まれてもいる。
彼らも私も、長らくインディー・ポップに執心してきた同志であるという気持ちを再確認させる、みずみずしい「懐かしさ」。経年とともに新たに生成する、音楽の芳醇。
今、こういう音楽があってくれることが、とてもありがたい。

やりたいことを焼き付けながらも、その余白でやりたいことを更に想像させる音楽。
思えば、私はそういう健やかな野心が秘められた音楽をずっと聴いてきたし、これからも聴き続けるだろう。

●元山ツトム(ペダルスティール奏者、ゑでぃまぁこん)

待望のミンモアのフルアルバム。素晴らしいですね。抜けるようなフルートやグロッケン、巧みに構築されたコーラス。
この大きな作業をやり遂げた後のライブを早く見てみたいと思いました。きっと素敵に違いないことでしょう。
ボーカルのサエコさん、ちょっとやそっとじゃ動じない佇まいで、なにやら元々ハードコアな界隈に出入りしてたそう。
ガンガンにディストーションだった人達が作るソフトなロックってやっぱりちょっと違いますよ。
僕や僕の周りも割とそんな感じなのでまた一人仲間が増えたみたいで頼もしくもあります。
そしてお坊さんでもありサッカー選手でもあると聞いた。もう逆らえないですよ。笑

[アルバム情報]
アーティスト:ミンモア
タイトル:帰郷の日
レーベル:P-VINE
品番:PCD-25316
定価:¥2,500+税
発売日:2021年2月3日(水)

試聴/購入 https://smarturl.it/minmoa_kikyoNoHi

《収録曲》
1. 誰かが私を通り抜けた
2. 帰郷の日
3. 音信
4. 深夜の定期便
5. オオカミ
6. あこがれ
7. 草原

Minmoa(ミンモア)
2016年、ギターの今野嵩朗を中心に結成されたソフトサイケ~フォークロックバンド。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザー、フルート、キーボードといった多様な編成で都内を中心に精力的なライヴ活動を行い2018年にはゑでぃまぁこんの元山ツトムがマスタリングを手掛けた1st EP「Minmoa」を発表、60年代ソフト〜フォークロックを多彩なアンサンブルで現代的なサウンドへと昇華したスタイルで東京インディー・シーンにおいて唯一無二な存在感を示す。2021年2月に待望の1stフルアルバム『帰郷の日』を発売。

今野嵩朗(Guitar) / 沙恵子(Vocal, Synthesizer) / 古見千桜子(Drum,Chorus)

-Mimoa Official-
https://minmoaband.tumblr.com
https://twitter.com/minmoaband

R.I.P. BIG-O / OSUMI - ele-king

 90年代の日本のヒップホップ・シーンを代表するグループのひとつ、SHAKKAZOMBIE のメンバーとして活躍し、その後、進出したファッション業界でもデザイナーとして大きな成功を収めた BIG-O ことオオスミタケシ氏が、2021年1月24日、敗血症にて亡くなった。享年47歳であった。
 ファッション・ブランド「MISTERGENTLEMAN」のデザイナーとして世界的にも知られる存在であったオオスミ氏だが、本稿では彼のルーツであるラッパー、BIG-O/OSUMIとしてのキャリアを振り返ってみたい。

 ヒップホップ誌『FRONT』の1996年6月号に掲載されたインタヴュー記事によると、彼がDJの TSUTCHIE と組んで活動していたところに二つ歳上の HIDE-BOWIE (のちの IGNITION MAN)が加わり、1994年、2MC1DJのグループとして SHAKKAZOMBIE が結成されたという。ちなみに「SHAKKAZOMBIE」というグループ名はキミドリのクボタタケシのアイディアによるものだ。

 グループ結成の翌年にはEP「SHAKKATTACK」にてインディー・デビュー、さらに1996年春にはシングル「手のひらを太陽に」によって〈カッティング・エッジ〉からメジャー・デビューを果たす。当時の〈カッティング・エッジ〉と言えば、ECD、You The Rock、Buddha Brand といったアーティストを抱える日本のヒップホップ・シーンを象徴するレーベルのひとつであり、そのラインナップに SHAKKAZOMBIE が入るということは彼ら自身にとっても大きな意味を持つ出来事であった。さらに彼らの名前をシーンに知らしめたのが、Buddha Brand とともに結成したユニット、大神(おおかみ)名義で制作した “大怪我” という曲だ。彼らは1996年7月に日比谷野外音楽堂で行なわれた伝説的なヒップホップ・イベント『さんピンCAMP』のオープニングにも登場して “大怪我” を披露し、強烈なインパクトを残した。

 1997年に SHAKKAZOMBIE は1stアルバム『HERO THE S.Z.』をリリースし、その後、『JOURNEY OF FORESIGHT』(1999年)、『THE GOODFELLAZ』(2003年)と通算3枚のアルバムを発表している。時代の風潮もあり、デビュー当初はハードコアなイメージも強かった SHAKKAZOMBIE であるが、『HERO THE S.Z.』に収録された彼らの代表曲である “虹” や “共に行こう” における独自のメッセージ性や視点は明らかにいままでの日本のヒップホップ・シーンにはなかったもので、プロデューサーである TSUTCHIE の先進的で高い音楽性と共に、作品を重ねるごとにさらにグループの個性が磨かれていく。

 当時、筆者も取材やクラブ、イベントの現場などで彼らと会う機会があったが、体も大きくて一見強面なイメージのオオスミ氏が、実は誰からも愛されるような親しみやすいキャラクターであることに驚いた記憶がある。また、非常に繊細な部分も持ち合わせており、そんな彼の一面はリリックやラップのスタイルにも現れている。オオスミ氏の魅力はグループ外の作品でも強く発揮されており、1996年にリリースされた Indopepsychics プロデュースよる “百万光年のやさしさが注がれる限り” は彼の代表曲のひとつと言えるだろう。さらに SHAKKAZOMBIE の活動と並行して、1998年には OSUMI 名義でソロ・アルバム『control (the spiritual matters)』もリリースしており、DJ WATARAI、DEV LARGE らがプロデュースを手がけたこのアルバムは、90年代後半の日本のヒップホップ・シーンの空気感を充満した傑作だ。

 ロックのシーンとも繋がりが深かったりと、さまざまなカルチャーと結びつきを持つ SHAKKAZOMBIE であったが、彼らがそのマルチな才能を発揮したプロジェクトのひとつが、1996年に原宿にオープンしたヒップホップ居酒屋「龍宮」であった。オオスミ氏と HIDE-BOWIE がプロデュースを手がけたこの店はヒップホップ業界の交流の場としても機能し、筆者自身何度も訪れたことがある。

 1999年にはオオスミ氏と HIDE-BOWIE がディレクターを務めるファッション・ブランド「SWAGGER」がスタート。ヒップホップ・アーティストが手がけるブランドの先駆者ともなった「SWAGGER」は東京を代表するストリート・ブランドのひとつとして人気を博した。さらに2004年に自ら立ち上げたブランド「PHENOMENON」にてオオスミ氏はデザイナーとしてファッション・シーンでも一目置かれる存在となり、「PHENOMENON」を離れた後は「MISTERGENTLEMAN」のチーフデザイナーとして手腕をふるった。

 音楽業界からファッション業界へと華麗な転身を遂げたオオスミ氏であったが、2007年には BIG-O & DJ WATARAI 名義でアルバム『STRAIGHT TO NEXT DOOR』をリリースしており、このアルバムには Lupe Fiasco や O.C. といった海外の大物アーティストがゲスト参加するなど、この幅広い人脈も彼ならではだ。さらに2018年にリリースされた MONDO GROSSO (大沢伸一)のアルバム『Attune / Detune』収録の “One Temperature” という曲にて、彼は10年以上振りにラップを披露している。この曲の中の「俺は今も渋谷の住人」というラインは、90年代からの彼を知っている人であれば何か心の琴線に触れるものがあるに違いない。

 2019年11月にリニューアルオープンした渋谷パルコのレコードショップ「WAVE」のプロジェクトにもディレクターのひとりとして参加していたオオスミ氏であるが、その渋谷パルコのオープニング・レセプションが筆者にとっても彼本人と会った最後のときであった。会うこと自体が久しぶりだったのだが、こちらの挨拶に返してくれた昔と全く変わらない彼の笑顔が忘れられない。
 ご冥福をお祈りします。

2 僕の中のAriel Pink - ele-king

 こんにちは。光の速さで時が過ぎ、2021年もすでに2月ですが、世間は緊急事態宣言が出ていてもわりと賑やか。コロナ終結の兆しはまったく見えませんが、一足先に終わりを告げたトランプ政権。ですが、ドナルド・トランプは最後の最後までドナルド・トランプ。ビキニチューバッカ男や演壇泥棒、Qanon、過激なトランプ支持者たちを扇動し連邦議会突入し占拠するという米英戦争以来200年ぶりのド派手なクーデター未遂をやらかしたわけですが、インディー・ヒーローがその現場にいたとか。

Shame - Drunk Tank Pink

 Phoebe Bridgers, Mitski, Khruangbinなど近年ヒットが多い〈Dead Oceans〉からShameの待望のセカンド・アルバム『Drunk Tank Pink』です。 僕は2018年にLAで彼らのライヴを観たのですが、本国イギリスやEUはもちろんアメリカで も細かく回ってかなりの数をこなしていてだいぶ完成されているなという印象でした。『Drunk Tank Pink』のイントロと共にヴォーカルが登場、Tシャツを脱いで「We're white christian band from England!!」と怒鳴り、会場大ウケ。1曲目からバンドもオーディエンスもフルスロットル。その後もツバ吐いて体に塗ったり、ずっと乳首いじりながら歌ったり、ベースがステージを走り回って頭からコケたりめちゃくちゃだけど会場はもう盛り上がり過ぎじゃないかってくらいの熱気で、曲間のジョークもウケるウケる。サウスロンドンのインディー・シーンで頭ひとつ抜け出る理由はこれか、と妙に納得した思い出があります。そんなShameの新作は曲がかなり複雑で、ポスト・ロック的な、よりライヴを意識したアルバム。


 そうご存じ、Ariel PinkとJohn Mausです。正直僕は世代ではないけどもちろん大好きで、僕はAntiトランプというのもあり、わりと悲しかったけど、いままでヒーローと崇めていたのにいきなり掌返してレコード叩き割る人もいるのか……それはそれで落ち込む。  アメリカ国民の半分はトランプ支持者というのも事実で、言い出さないだけで隠れトランピストやレイシストのミュージシャンやアーティストもアメリカのみならず日本にもまだまだいるでしょうし、音楽業界内でのセクシズム関連の問題もいまだ根深い。批判も大いに必要。  Arielから話は逸れますが、トランピストに関してはバカと揶揄するのは簡単だが(バカじゃないとは言ってない)ただ“排除”していったところで怒らせるだけで、むしろその行為がこの分断のそもそもの一因なのでは? と思うのです。数は減ろうとも根絶には至らず、またいつか揺り返しとして“そういう”主義に同調する人びとが増える。これは永く繰り返されてきたことで、レイシズム、セクシズムその他諸々の悪習を根絶やしにするためには、吊し上げて制裁を加えるのではなく、彼らが何故そのような思想に陥ったかを検証し、対話し、忘れず、教育に生かすことではないでしょうか。BLMに関しても、僕の認識としては、個人単位での批判ではなく、BLMという運動のもとに個々の事件や問題を集約し、構造その物を標的に改革を目指すことがもっとも効果を出すという理論で動いているからこそいま大きな力を持つ運動となっているのではないでしょうか。

Holy Motors - Horse

 NYの〈Wharf Cat Records〉からエストニアのドリーム・ポップ・バンド、Holy Mortorsのセカンド・アルバムです。本人たちがルーツだとするアメリカン、ロカビリー・テイスト満載。でもいくらアメリカナイズされようとも拭えない寒い国ならではの霧がかかった様な陰鬱さ。そのバランスが心地よいドリーム・ポップです。ツイン・ピークス好きは必聴。


 それでも僕はArielがレイシストであれど彼のレコードに罪があるのか? 2009年に天邪鬼な変人オタク野郎を〈4AD〉と世界が受け入れただけで彼自身は子供の頃から何も変わって無いような人で、そこがみんな好きだったんじゃないの? とも思ったり。 ただ、変わったのは僕らでArielのレコードはいつも変わらずそこにいてくれる。

Viagra Boys - Welfare Jazz

 スウェーデン、ストックホルムのインディ・レーベル、〈YEAR0001〉からViagra Boysのセカンド・アルバム。もう最高っ! 前作よりも色付いたようにゴージャスになって再登場。基本ポスト・パンクだけど、ヴィンヴィンなベースと反復されるビートがずっと聴いてると気持ちよぉ~くなってくる。Suicideのそれと似てるかも。 彼ら見た目が怖すぎるのですが、なかでもヴォーカルの全身タトゥーでビールっ腹のおじさん、IDLESのヴォーカルとタメ張れるくらい怖い。でも半ケツでフラフラ踊りながら歌う姿が超笑えるので一見の価値ありです。これもライヴが楽しみなアルバム。早く生ケツ……大きい音で聴きたいな~。

Roberto Musci - Melanesia

 フランス〈Oxmose Records〉からイタリア・ミラノの実験音楽家、Roberto Musciの新作です。 前作『Tower of Silence』はエキゾチック・アンビエント、オリエンタルな雰囲気もあるけどアフリカの民謡っぽくもあり、彼は70年代から80年代にかけてインド、アフリカなどの国を放浪していたらしく、色んな国を旅している気分なれるわりと聴きやすいアルバムでした。
 今作は『Melanesia』というオーストラリアの北北東に位置するパプア・ニューギニアやソロモ ン諸島のある海洋一帯がテーマらしい。全然知らない。聞いたこともない。
 アルバムの説明によると、「メラネシアにある数千年の歴史のある民族音楽は人間と音楽の本質的なつながりを探究しており、その儀式的なサウンドと彼の音楽研究に基づく実験的、 電子的な手法がぶつかり合うメルティングスポットを発見できる。(中略)メラネシア海域ではその特徴から原始的な文化とおそらく音楽を保存している」(意訳) お分かりの通りだいぶ変わった方ですね。
 アルバム通して不穏なサウンドで、“Kauli Storm Song”という曲は雨音と雷が人の手が加わっていない自然の恐怖を感じる。前作も真面目なアルバムだったけど今作も本気(マジ)。


 このAriel騒動だけじゃなく、好きだったアーティストが突拍子もないことして幻滅なんてよくあることで、僕らは所詮自分から見た彼らしか見れないから、僕から見たAriel、友だちとしてのAriel、息子としてのAriel、アーティストとしてのAriel、Arielの自意識、と全部彼だけど彼じゃない。そしてArielの曲はArielだけどArielにあらず。これはアーティストや芸能人に限らず身近な存在にも適応すると思う。だからArielの政治的な態度は受け付けなくて批判しても、彼の曲まで嫌いになる必要は無い。そうやって考えると誰かを嫌いにならなくて済むんじゃないかと思った1月でした。罪を憎んで人を憎まず。アリエルのバカヤロウ!

Peel Dream Magazine - ele-king

 ニューヨークを拠点とするシューゲイズ/ドリーム・ポップ・バンドのピール・ドリーム・マガジンが2020年にリリースしたセカンド・アルバム『Agitprop Alterma』は、この時代のモダン・シューゲイズ・バンドらしく、ステレオラブなどの90年代的なインディ・ロック・サウンドを基底に、クラウトロックから60年代中期的なサイケデリック・ロックまでを臆することなく展開した見事なアルバムだった。リリースが米国インディ・レーベルの名門〈Slumberland Records〉ということも興味深い。

 ピール・ドリーム・マガジンは、ジョー・スティーヴンスのプロジェクトとしてスタートし、2018年にファースト・アルバム『Modern Meta Physic』を〈Slumberland Records〉からリリースした。この時点ですでにヴェルヴェッツ・チルドレン的な90年代リヴァイヴァルとでもいうべきインディ・ロックなのだが、そこには「60年代のリヴァイヴァルである90年代のインディ・ロックを10年代後半視点で再構成する」というような捻じれた感覚(つまりアルバム名にあるようなメタ)がある。おそらくいまの時代に90年代インディへの憧憬を示すということに批評性があるのではないか。
 それから2年を経てリリースされたセカンド・アルバムが『Agitprop Alterna』だ。ファーストの『Modern Meta Physic』ではジョー・スティーブンスの個人プロジェクトだったピール・ドリーム・マガジンだが、『Agitprop Alterna』ではよりバンド的な佇まいへと変化した。つまり参加したミュージシャンの存在感が重要になっているのである(メンバーの集合写真だったアーティスト写真にも表れている)。特にヴォーカルの Jo-Anne Hyun はツイン・ヴォーカルの重要な要である。彼女の声が重なることであのステレオラブを思わせるアンサンブルが生まれているのだから。さらにドラムスのブライアン・アルヴァレス(Brian Alvarez)とケリー・ウィンリック(Kelly Winrich)も、ときにクラウトロック的な曲も展開するピール・ドリーム・マガジンにおいて、その柱ともいえる重要なビートを鳴らしている。とうぜんジョー・スティーヴンスも、ギター、ヴォーカル、オルガン、ドラムマシンと曲・サウンド作りの中心として活躍だ。
 そんな新生ピール・ドリーム・マガジンが放つ『Agitprop Alterna』だが、なかでも1曲目 “Pill”、3曲目 “It's My Body”、9曲目 “The Bertolt Brecht Society”、11曲目 “Do It” などは格別の名曲だ。ツイン・ヴォーカルの妙、アナログ・シンセの音色、オルガン的な音色のドローン・バッキング、60年代サイケ・ロック的なサウンドなど『Emperor Tomato Ketchup』期のステレオラブやオリヴィア・トレマー・コントロールなどの90年代中期の米国インディ・レーベル〈エレファント6〉勢を思わせるエクスペリメンタル・ポップなバンド・サウンドを存分に展開していたのだ。

 そして『Agitprop Alterna』後にリリースされた「Moral Panics」にはさらに驚かされた。「Moral Panics」は2曲を追加したヴァイナル・エディションが2021年にリリースされているので、まさに今年の新譜でもある。
 「Moral Panics」は、特に1曲目 “New Culture” に打ち抜かれてしまった。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの “You Made Me Realise ”、もしくは『Isn't Anything』を思わせるシンプルにしてソリッド、かつ浮遊感のあるシューゲイズ的なサウンドなのだ。もしくはロケットシップが1996年にリリースした『A Certain Smile, A Certain Sadness』収録の “I Love You Like The Way That I Used To Do” が2020年初頭に転生したらこうなるのではないかと思わせるタイニー・シューゲイズ・サウンドだったとでもいうべきか。つまりこの曲には初期マイブラへのオマージュとして90年代のロケットシップ、00年代のザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートを継承する意志を感じてしまったのだ。むろん『A Certain Smile, A Certain Sadness』も『The Pains Of Being Pure At Heart』も、〈Slumberland Records〉からリリースされたアルバムなので、90年代以降のインディ・ロックの系譜を強く感じてしまうのは当然だろう。
 続く2曲目 “Verfremdungseffekt” はミニマル・シンプルな曲と演奏はどこかヴァセリンズを思わせる。そして3曲目 “Dialectrics” に至ってはジャングリーなステレオラブかといった趣の曲調で堪らない。ヴェルヴェッツ・チルドレン的な曲・演奏に90年代インディ・ロックへの憧憬すら感じる5曲目 “Life at the Movies” もいうまでもなく最高だ。さらにはコーネリアスの “Tone Twilight Zone” や “Blazil” をほんの少しだけ思わせる7曲目 “The Furthest Nearby Place” もチル&アンビエントなモンド・トラックで実に心地よい。

 サウンドの「凝り方」としてはアルバム『Agitprop Alterna』は実に作り込まれている。まさにモダン・インディな音だ。対して『Moral Panics』はサウンドや演奏の「風通しの良さ」「自由さ」「曲のよさ」という意味で群を抜いた魅力を放っている。また80年代~90年代以降のインディ・ロックとの継承を意識しているようにも思えた。要するに二作ともに2020年から2021年のインディペンデントなロック/ポップのありようを実にヴィヴィッドに聴かせてくれるアルバムなのだ。
 つまり二作、甲乙つけがたい。2021年には二作をまとめたデラックス・エディションも配信されている。まさに必聴の作品である。

R.I.P. Double K (People Under The Stairs) - ele-king

 LAを拠点に活躍し、2019年に引退を発表していたヒップホップ・デュオ、People Under The Stairs (以下、P.U.T.S.)のメンバーとして知られる Double K (本名:Michael Turner)が、1月30日に入院先の病院にて亡くなった。享年43歳で、詳しい死因は明らかになっていないが、彼の友人であるLAのベテランDJ、Mark Luv によると Double K は「安らかに亡くなった」という。


来日時の様子(写真:大前至)

 P.U.T.S.ではMC、プロデューサー、ライヴDJも担当していた Double K が、Thes One と共にグループを結成したのが1997年頃のことだ。LAのミッドシティと呼ばれるエリアにある高校に通っていた彼は、同じ高校に通う(のちに Living Legends を結成することになる) Murs、Eligh、Scarub らが中心となっていたクルー、Log Cabin Crew の一員として活動しながら、すでにビートも作りはじめていた。16歳のときにサンプルネタを探すために訪れたレコード屋にて出会ったのが同じくまだ十代であった Thes One で、それぞれ自分の作ったビートを聴かせあいながらお互いを認めるようになり、その後、彼らは P.U.T.S. としての活動をスタートすることになる。

 USC (University of Southern California)に通う大学生であった Thes One の学生ローンを元手に、1998年、彼らは最初のシングル「The Next Step II」とアルバム『The Next Step』をリリース。ともにDJでありラッパーでありビートも作っていたふたりに共通するのは、彼らが強く影響を受けた80年代から90年代半のヒップホップのフレイヴァーを継承しながら、自ら見つけ出した誰も知らないサンプリング・ネタで新しい音楽を作り出すという点で、いまで言うブーンバップのスタイルを彼らはデビューの時点で確立していた。自主制作盤を手に彼らは契約できるレーベルを探していたが、しかし、LAのヒップホップ・シーンの中で徒党を組むようなタイプではなかった彼らに後ろ楯はなく、最終的に契約を結んだのがサンフランシスコを拠点とするヒップホップ色の薄いレーベル、〈OM〉であった。しかし、〈OM〉と契約を結んだことで彼らはヨーロッパにファン・ベースを築くことに成功し、さらに世界的なアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンの盛り上がりの波にも乗り、日本を含む世界中に数多くのファンを獲得する。

 グループ結成から解散までの22年の間に、P.U.T.S.は通算10枚のフル・アルバムと2枚のコンピレーション・アルバムを残してきた。彼らの作品の中でも特に個人的に思い出深いのが、筆者がLAに住んでいた期間にリリースされた通算5枚目のアルバム『Stepfather』と次の『FUN DMC』だ。『Stepfather』リリースのタイミングに合わせて彼らの日本ツアーが行なわれたのだが、そのタイミングで筆者も一時帰国し、彼らが日本のヒップホップ・ファンから強く愛されていることをダイレクトに感じた。『FUN DMC』発売時のLAでのリリース・イベントではステージ上にビールサーバーが置かれ、様々なアーティストや関係者と共にステージ上でビールを飲みながらライヴを観るという貴重な経験もさせてもらった。そして、『FUN DMC』の後にシングル・リリースされた「Trippin At The Disco」のPVになぜか一瞬だけ出演することになったことも忘れられない。

 P.U.T.S.のふたりには取材などもさせてもらったが、一緒にいて感じたのがグループとしてのふたりのバランスの良さだ。Thes One は P.U.T.S.のスポークスマンであり、細かい事柄にも気を配りながら、オーディエンスを強く惹きつける勢いや爆発力もあり、明るくポジティヴな面も持っている。ライヴ中はラップもしながらDJもする Double K は、少し下がって Thes One の後ろのポジションにいながら、落ち着いて全体を見ながらムードを作っていくタイプで、決して口数は多くはないが彼のメローな雰囲気は人に安らぎを与える。全く異なるタイプのふたりだからこそ、お互いを補完することができたであろうし、絶対的な信頼が彼らの22年間のキャリアを支えてきたに違いない。

 前述したように、2019年にリリースされたラスト・アルバム『Sincerely, the P』を最後に音楽業界から引退し、ファンを驚かせた彼ら。地元LAでも引退に合わせたライヴは一切行なわれず、ラスト・アルバムだけを残して突然いなくなってしまった印象が強い。彼らの引退に関しては唯一『LA Times』にインタヴュー記事が掲載されているが、彼らが音楽をはじめたときとの環境の違いや自らの年齢なども理由としながら、アーティストとしてやり切ったという前向きな姿勢も感じられる。その一方で記事では Double K の健康状態にも少し触れており、もしかしたらそれが彼らが突如引退した理由のひとつであったのかもしれない。

 Double K の死は本当に悲しい出来事であるが、P.U.T.S.が残してきた音楽はこれからも色褪せることはなく永遠に残っていくだろう。彼らのライヴでの定番曲であり、間違いなく彼らの一番の代表曲である “San Francisco Knights” を聴きながら、この追悼文を締めたい。


https://open.spotify.com/track/0msneWUDfYKAGrifwEDhtl

KANDYTOWN - ele-king

 2019年、クルーとしてのセカンド『ADVISORY』を発表し、新たな一歩を踏み出した KANDYTOWN。来る2月14日、新作EP「LOCAL SERVICE 2」がリリースされる。
 これは、2019年2月に発売されたEP「LOCAL SERVICE」にはじまるシリーズの続編で、昨年の非常事態宣言の時期に公開されたものを再レコーディングした曲と、新曲3曲が収録される。おもなプロデュースを担当したのは Neetz。
 また、4月にはその両作をカップリングしたCD『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』もリリースされる。
 どこまでも走りつづける KANDYTOWN、2021年もかっ飛ばしてくれそうだ。

KANDYTOWN
2nd EP「LOCAL SERVICE 2」を2月14日にリリース決定。
本日24時より “One More Dance” 先行配信!
更に4月21日には「LOCAL SERVICE」シリーズ2タイトルを初CD化した
限定生産 2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」を発売。

国内屈指のヒップホップクルー KANDYTOWN が2月14日に 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」をリリースすることが発表となった。本日24時より “One More Dance” の先行配信がスタート。この楽曲は Neetz が手掛けたトラックに IO、Gottz、Holly Q が参加した楽曲。更に Official YouTube Channel には Neetz による収録曲をMIXした「SPOT LOCAL SERVICE 2」が公開されている。

この作品は2020年の4月・5月の Stay Home 期間中に公開された楽曲3曲を再度レコーディングしリアレンジしたものに新曲3曲を収録。楽曲のレコーディングやプロデュースをメンバーの Neetz が担当。海外作家との共作やアレンジャー起用して作られたトラックなど意欲作が並ぶ。

そして、4月21日には、配信リリースされていた2019年2月14日発売の 1st EP「LOCAL SERVICE」と2021年2月14日発売の 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」の両作品を2000枚限定で初CD化し1枚にコンパイル。
DISC 1 の「LOCAL SERVICE」は過去に限定でレコードのリリースはあったがCD化は初となる。

●2nd EP「SPOT LOCAL SERVICE 2」YouTube URL
https://youtu.be/MfKYBFHFR34

●2nd EP「LOCAL SERVICE 2」&限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」購入URL
https://kandytown.lnk.to/localsevice2

●KANDYTOWN 2nd EP「LOCAL SERVICE 2」作品情報
title:LOCAL SERVICE 2
release date:2021.02.14
price:¥1,400(without tax)
track list
1. Faithful (Lyric: IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN, Music: Neetz)
2. One More Dance (Lyric: IO, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
3. Dripsoul (Lyric: IO, Ryohu, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric: Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO, Music: Ryohu)
5. Coming Home (Lyric: MUD, Gottz, Music: Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN, Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Stearing Sound 
Sound Produce: Neetz (M-1, 2, 3, 5, 6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

●限定生産2CD EP「LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION」作品情報
title:LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION
release date:2021.04.21
price:¥2,500(without tax)

track list (DISC1)
「LOCAL SERVICE」
1. Prove (Lyric: Gottz, KEIJU, MUD, Music: Neetz)
2. Till I Die (Lyric: Ryohu, MASATO, BSC, Music: Neetz)
3. Explore (Lyric: Gottz, MUD, Holly Q, Music: Neetz)
4. Regency (Lyric: MASATO, Ryohu, KIKUMARU, Music: Neetz)
5. Fluxus (Lyric: Neetz, DIAN, Dony Joint, Music: Neetz)
6. Kapital (Lyric: BSC, KIKUMARU, Dony Joint, DIAN, Ryohu, Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi at RDS Toritsudai
Masterd by Rick Essig at REM Sound
Sound Produce: Neetz
Additional Arrange: KEM
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

track list (DISC2)
「LOCAL SERVICE 2」
1. Faithful (Lyric: IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN, Music: Neetz)
2. One More Dance (Lyric: IO, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
3. Dripsoul (Lyric: IO, Ryohu, Gottz, Holly Q, Music: Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric: Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO, Music: Ryohu)
5. Coming Home (Lyric: MUD, Gottz, Music: Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN, Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Stearing Sound
Sound Produce: Neetz (M-1, 2, 3, 5, 6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

●KANDYTOWN PROFILE
東京出身のヒップホップ・クルー。
2014年 free mixtape 『KOLD TAPE』
2015年 street album 『BLAKK MOTEL』『Kruise』
2016年 major 1st full album 『KANDYTOWN』
2017年 digital single 『Few Colors』
2018年 digital single 『1TIME4EVER』
2019年 e.p. 『LOCAL SERVICE』, major 2nd full album『ADVISORY』
2020年 Digital single 『PROGRESS』
2021年 2nd EP『LOCAL SERVICE 2』, 2CD EP『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』

ZULI - ele-king

 高い評価を受けたファースト『Terminal』から2年強。近年台頭する新世代のなかでも飛びぬけている感のあるエレクトロニック・プロデューサー、カイロを拠点に活動するズリがフロア・オリエンテッドな新作12インチ「All Caps」を3月12日にリリースする。
 なぜこのタイミングでダンスものを? じつはこれには経緯がありまして……もともとはアルバムの数ヶ月後に発売予定だったそうなのだけれど、なんと機材が盗まれてしまい、録音もおじゃんに。かくして新たにつくりなおされたのがこのEPというわけ。ジャングルやフットワーク、グライムなどから影響を受けた6曲が収録されるそう(“Penicillin Duck” のみ、失われたデータから生き残ったトラックとのこと)。
 レーベルはリー・ギャンブルの〈UIQ〉、マスタリングはラシャド・ベッカー。今年の重要なシングルになりそうな予感。

ZULI
ALL CAPS

Format: 12” / Digital
Label: UIQ
Cat. No: UIQ0012
Release Date: March 12th, 2021
A1 / 01. Tany
A2 / 02. Bassous
A3 / 03. Where Do You Go
B1 / 04. Penicillin Duck
B2 / 05. Keen Demag
B3 / 06. Bro! (Love it)S

Deep Modern Jazz From Japan - ele-king

 ピート・ロックやジェイ・ディー、キング・ブリットなどをフィーチャーした「Beat Generation」シリーズで知られる英〈BBE〉。彼らは日本のジャズのコンピも編んでいて、その第1弾と第2弾は速攻で初回プレスが売り切れてしまったそうだけど、このたび第3弾がリリースされることになった。
「われわれはこのコンピレイションに幅広いスタイルを入れたかった。速弾きのフュージョンで埋め尽くすのはとてもたやすいが、そんなことをしてもおもしろくない。だから、さまざまな異なるスタイルを入れることにしたんだ。ハード・バップ、サンバ、モーダルとかね。松風鉱一と古澤良治郎の “Acoustic Chicken” なんかはフリー・ジャズに接近してる」とは、レーベルのトニー・ヒギンズの弁。
 発売は3月で、CDは2枚組、LPは3枚組となっている。即完するまえに入手しておきたい。

『J-Jazz (和ジャズ)』待望の第3弾が登場!

3/3 on sale
『和ジャズ・ディスク・ガイド』掲載レア盤収録曲多数!

シティ・ポップからニューウェーヴ、ニューエイジに至る様々なジャンルで 近年爆発的な盛り上がりを見せるメイド・イン・ジャパンのミュージック・ ライブラリーの中でも古くから海外で評価の高い、いわゆる「和ジャズ」の激ディープなセレクションでコンパイルし話題となった。

V.A.
J-JAZZ (和ジャズ) VOL.3 - DEEP MODERN JAZZ FROM JAPAN

label : BBE
genre : J-JAZZ / 和ジャズ
format :
 ① CD2 (帯・日本語解説付き国内仕様盤)
 ② CD2 (輸入盤)
 ③ 3LP (輸入盤)
発売予定日 :
 ① 2021.3.3
 ② &③2021.3 上旬予定
価格 :
 ① 定価 ¥3,300+税
 ② 税抜卸価格 ¥2,240 (オープン価格)
 ③ 税抜卸価格 ¥4,080 (オープン価格)

TRACKLIST

●2CD
[DISC 1]
1. Song Of Island - Yasuhiro Kohno (河野康弘) Trio + One
2. Morning Tide - Kohsuke Mine (峰厚介)
3. Kemo Sabe - Masao Nakajima (中島政雄) Quartet
4. Groovy Samba - Hideo Shiraki (白木秀雄) ※CDのみ
5. Song for Hope - Aki Takase (高瀬アキ) Trio
6. Cumorah - Eiji Nakayama (中山英二)
7. Phoebus - Hiroshi Murakami (村上寛) & Dancing Sphinx
8. 1/4 Samba II - Tatsuya Nakamura (中村達也)
[DISC 2]
1. Cumulonimbus - Shigeharu Mukai (向井滋春)
2. Burning Cloud - Ryojiro Furusawa (古澤良治郎) ※CDのみ
3. Planets - Masaru Imada (今田勝) Trio + 1
4. Wolf's Theme - Seiichi Nakamura (中村誠一) ※CDのみ
5. Honey Sanba - Itakura Katsuyuki (板倉克行) Trio
6. Kirisame - Ryusei Tomoyose (友寄隆生) Quartet
7. Black Nile - Hideyasu Terakawa (寺川秀保) Quartet Featuring Hiroshi Fujii (藤井寛)
8. Acoustic Chicken - Koichi Matsukaze (松風鉱一) Trio feat Ryojiro Furusawa (古澤良治郎)

●3LP
A1. Song Of Island - Yasuhiro Kohno (河野康弘) Trio + One
A2. Cumulonimbus - Shigeharu Mukai (向井滋春)
B1. Morning Tide - Kohsuke Mine (峰厚介)
B2. Black Nile - Hideyasu Terakawa (寺川秀保) Quartet Featuring Hiroshi Fujii (藤井寛)
C1. Song for Hope - Aki Takase (高瀬アキ) Trio
C2. Honey Sanba - Itakura Katsuyuki (板倉克行) Trio
C3. Kirisame - Ryusei Tomoyose (友寄隆生) Quartet
D1. Kemo Sabe - Masao Nakajima (中島政雄) Quartet
D2. Phoebus - Hiroshi Murakami (村上寛) & Dancing Sphinx
D3. Planets - Masaru Imada (今田勝) Trio + 1
E1. 1⁄4 Samba II - Tatsuya Nakamura (中村達也)
E2. Cumorah - Eiji Nakayama (中山英二)
F1. Acoustic Chicken - Koichi Matsukaze (松風鉱一) Trio feat Ryojiro Furusawa (古澤良治郎)

〈アケタズ・ディスク〉からのリリースで知られる河野康弘トリオが86年にリリースした激レア中の激レアのプライヴェート・プレスのアルバムのタイトル曲 “Song Of Island” から、サックス奏者、峰厚介の『Mine』〈スリー・ブラインド・マイス〉と同年にリリースされた〈フィリップス〉からの『First』の一曲目を飾る “Morning Tide”、『祭の幻想』と双璧を成す、白木秀雄の人気盤『プレイズ・ボッサ・ノバ』からニコラ・コンテら海外著名DJもピックアップする「Groovy Samba」、中島政雄のファースト・リーダー・アルバムからドナルド・ベイリーのドラムが冴えるスリリング・ジャズ “Kemo Sabe”、高瀬アキの1981年ベルリン録音にして、森山威男、井野信義とのトリオでの名演 “Song for Hope”、“Aya's Samba” が人気のジャズ・ベーシスト中山英二の78年録音 “Cumorah”、杉本喜代志、峰厚介、本田竹曠など錚々たる面子が揃った名ドラマー村上寛の78年作『Dancing Sphonx』のタイトル曲、沖縄のジャズマン、友寄隆生による “Kirisame”、Katsu の活動名で知られる板倉克行の激レア盤『密林ダンス』(邦題)よりタイトル曲、島根のジャズ・スポット DIG でのライヴ録音を収めたサックス奏者の寺川秀保によるウェイン・ショーター “Black Nile”、『Earth Mother』リイシューも話題を呼んだ日本のエリック・ドルフィーこと松風鉱一による中央大学427教室での録音『AT THE ROOM 427』から古澤良治郎オリジナル “Acoustic Chicken” など。今回もグラミー賞ノミニーのカーヴェリーによるリ・マスタリングによる初リイシュー/カルト曲てんこ盛り!

Chiminyo - ele-king

 紙媒体のエレキングで2020年のジャズ・シーンを振り返り、ロンドン勢ではモーゼス・ボイドリチャード・スペイヴンらドラマーによるアルバムをピックアップしたのだが、彼らのように既に名の知られた存在に負けず劣らず気になったのがチミニョである。チミニョは2019年に「アイ・アム・チミニョ」という12インチEPでデビューしたドラマー/パーカッション奏者だが、本名のティム・ドイルとしてはアフロ・ジャズ・バンドのマイシャの一員として活動しており(リーダーのジェイク・ロングがドラマーのため、もっぱらパーカッション奏者として参加)、既にミュージシャンとしてのキャリアはいろいろ積んでいる。
 北ロンドンを拠点に活動していて、トルコ、ギリシャ、ルーマニアなどの民族音楽やジプシー音楽も取り入れたユニークなバンドのドン・キッパーにも参加するほか、エズラ・コレクティヴのサックス奏者のジェイムズ・モリソンらとコズミックなジャズ・ロック~フュージョン・バンドのシカーダ(Cykada)を結成して、こちらも2019年にアルバムを発表した。『アイ・アム・チミニョ』のリリースやシカーダのアルバムによって、2019年頃から注目度を高めていったアーティストである。マイシャのほかにシャバカ・ハッチングス、テオン・クロス、ザラ・マクファーレンなどサウス・ロンドン勢ともいろいろ共演してきており、また2020年はマイシャを通じてスピリチュアル・ジャズのレジェンド的存在のゲイリー・バーツとも一緒にレコーディングをおこなった。

 『アイ・アム・チミニョ』はDJのベン・ヘイズが共同プロデューサーとして関わり、エレクトロニクス・サウンドとチミニョの生ドラムを融合した作品集となっていた。ダブステップ、ベース・ミュージック、ビート・サウンドなどとジャズやエクスペリメンタル・ミュージック、インプロヴィゼーションを結び付けたそのサウンドは、ロンドンのジャズ・ミュージシャンの中でも最先端のひとつで、モーゼス・ボイドやリチャード・スペイヴンのさらに先を行くミュージシャンになるのではないかと予感させた。いろいろいるドラマーの中でももっともエレクトロニクスとの結びつきが深く、タイプとしてはドリアン・コンセプトとも共演するチド・リムに近い印象を持った。また “ダーマ・ボディーズ” というインド音楽を取り入れた演奏もあるが、これなどはドン・キッパーでやっている民族音楽的アプローチを発展させたもので、音楽的引出しの豊富さも感じさせた。2020年は前述のとおりマイシャでのゲイリー・バーツとの共演セッション録音があったが、『アイ・アム・チミニョ』から1年ぶりの録音となるデビュー・アルバムの『アイ・アム・パンダ』を完成させた。

 『アイ・アム・パンダ』はチミニョによるセルフ・プロデュースで、作曲からアレンジまで全て自身でおこなっている。キンクスが設立したことで知られるコンク・スタジオで録音はおこなわれ、レコーディング・エンジニアはジョルジャ・スミス、サンファビンカー・アンド・モーゼス、エズラ・コレクティヴなどの作品を手掛けたリカルド・デミアンが担当。
 チミニョはドラムやパーカッション演奏に加えてピアノとヴォーカル、そしてエレクトロニック・プロダクション全般も手掛け、ほかのミュージシャンとしてはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ダブル・ベースなどの弦楽器に、インドネシアのスリン、中央アジアのカヴァルなど民族楽器の演奏家も加わっている。そしてゾンゴ・ブリゲイドというアフロ・フュージョン・バンドを率いるガーナ系のラッパーの K.O.G.、アーティスト集団のスティーム・ダウンのメンバーであるブラザー・ポートレイト(ニュー・グラフィック・アンサンブルオスカー・ジェロームのアルバムにも参加していた)、ドン・キッパーの同僚でギリシャとルーマニアがルーツのドゥニャ・ボチックなどがゲスト・シンガーとして参加している。昨今のロンドンの音楽シーンを象徴するようなマルチ・カルチュラルなアルバムである。

 ヴォイスとドラム・ビートがシンクロした “アイ・アム・パンダ” でアルバムは幕を開けるが、ドイツのパーカッション奏者兼シンガーであるジョージ・クランツが1980年代にヒットさせたエレクトロ~ガラージ・クラシックの “ディン・ダ・ダ” を思わせるようなはじまりだ。ドリーミーなシンセ空間が広がる “ラン” もエレクトロな質感の楽曲だが、そうした中でドラムが生き物のように自由なビートを刻んでいく。シルキーやスウィンドルなど、ダブステップとジャズ、ライヴ・インストゥルメンタルを結び付けたようなアーティストに近い楽曲である。“パンズ・コール” はワールド・ミュージック調のコーラスや旋律を持ち、ほかのロンドンのジャズ系アーティストにはない個性を感じさせる作品となっている。この曲や “リーチン” に見られるように、チミニョはドラム以外にキーボードの腕前もなかなかのものであり、『アイ・アム・パンダ』は単にドラマーのスキルだけでなく、チミニョの総合的なサウンド・プロデューサーとしての姿を見せてくれるものだ。
 また “ハイアー・トゥゲザー” などに見られるように、ほとんどのドラム・パートがエフェクトをかけたり編集したりして素材として使用されている点も、通常のドラマーのアルバムとは異なっている。クララ・セラ・ロペスの歌をフィーチャーした “ブレッシン” のようなネオ・ソウル調の作品もあれば、ブラザー・ポートレイトのポエトリー・リーディングのバックでコズミックで未来的な風景が広がるジャズ・ミーツ・テクノな “シンキン”、チミニョの演奏する深遠なピアノが印象的なポスト・クラシカル曲の “イントゥ・ザ・サンキス”、K.O.G.のラップでアフリカ音楽とジャズとグライムが出会ったような “シー・ミー”、ドゥニャ・ボチックのヴォイスと共に中央アジアから東ヨーロッパにかけての民族音楽を取り入れ、最後は混沌とした音の渦となって終わる “パンドラ” と、実に幅広く豊かな音楽性も披露している。その実験性や先進性も含めて、現在のロンドンの若手アーティストで筆頭株に挙げられるのがチミニョではないだろうか。

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