「K A R Y Y N」と一致するもの

Ryoma Takemasa - ele-king

10/17にファース・トアルバム『Catalyst』をUNKNOWN seasonからリリースしました。かなり濃い内容になってますので是非チェックお願いします。また、『Catalyst』のミュージック・クリップをYoutubeで配信中 です。テンポ良くモダンな映像でかなりかっこいい作品に出来上がってますのでこちらも是非宜しくお願いします。
Ryoma Takemasa "Catalyst (Autumn Evening Mix)"

10/26@原宿Lily
DJ : Ryoma Takemasa、TBA
10/27@恵比寿Zubar
Music : Yoshi Horino、Ryoma Takemasa、Kyoko Kamichika
11/24@恵比寿Zubar
Music : Yoshi Horino、Ryoma Takemasa、Kyoko Kamichika
11/30@Loop
DJ : Shinya Okamoto、DJ Nori(Posivision)、Ryoma Takemasa
Live : Cherry、ngt.

Link
soundcloud | facebook | twitter

CHART


1
Ryoma Takemasa "Catalyst" UNKNOWN season

2
Yoshio Ootani "Strange Fruits (Gonno Remix)" Black Smoker

3
Manzel "Manzel2" Manzel

4
Ryoma Takemasa "Deepn'(Gonno Remix)" UNKNOWN season

5
Ryoma Takemasa "Deepn'(The Backwoods Remix)" UNKNOWN season

6
Sutekh DIrty Needles Drop Beat Records

7
Kenlou "The Bounce" MAW

8
Unbalance "Unbalance5" Unbalance

9
Milton Bradley "Reality is Wrong" Prologue

10
Reality Check "Fantasy" Strictly Rhythm

Meditations 2012.10.15 - ele-king

Chart


1

Jean Dubuffet - Experiences Musicales (II) Rumpsti Pumsti (Musik)
これは事件でしょう...アール・ブリュット提唱者Jean Dubuffetによる61年美術館級音源の未CD再発部分が遂にCDになりました。以前のCDでは聴けなかった激しい演奏ばかりが満載です!

2

Sensations' Fix - Music Is Painting In The Air (1974 - 1977) Rvng Intl.
Spectrum Spoolsの再発で知られるFranco Falsiniが中心である伊プログレバンドの既発、未発&新ミックス盤。黄金色に輝くギターの浮遊感が素晴らしい!

3

Uku Kuut - Estonian Funk Bigtree Records
PPUの編集盤で度肝を抜かされたエストニアのファンク作家による最新作。新曲&リミックスのトレンドからは微妙に外れたハウス/ファンクな音楽性は、今回も多くの音楽好きに爪痕を残します!

4

Ricardo Donoso - Assimilating The Shadow Digitalis Recordings
2LPに渡る壮大な宇宙への旅~ 退廃した近未来世界を思わ暗さを持つコスミッシェ作品。派手な展開はないものの、宇宙地下道をロマンチックに突き進む展開は素晴らしい。影の傑作!

5

Ian Drennan - The Wonderful World Underwater Peoples Records
OESB周辺からこんなものが...!Big Troublesのメンバーによる初ソロ作。ワールド/ニューエイジ臭漂うアンビエントを軸に、破天荒な展開を重ねるポップ/アヴァンの混沌具合...たまりません。

6

Woo - It's Cosy Inside Drag City
Nite Jewelお気に入りのユニットによる89年2ndが再発。現れては消えて行く優しいアンビエンスは唯一無二で、あらゆる人に聴いもらいたい名盤です。今再発されるというのも良いタイミング。

7

M.B. - Neuro Habitat Urashima
言わずと知れたイタリアのノイズ巨匠の82年代表作が再発。ミンチ状に怪音が刻まれ続けるA面に、幻覚から必死に抜け出そうと重くもがき苦しむB面。絶品です...

8

Elg - Mil Pluton Hundebiss Records
Ghedalia Tazartesとの共作でも知られるElgの怪ポップ! 宇宙電子音、コンクレート、EBMにボーカルが絡むという破綻寸前の所でポップに仕上げてます。今年の発狂盤の中でもこれは上位でしょう!

9

Natural Snow Buildings - Night Coercion Into The Company Of Witches Ba Da Bing!
フォークとドローンの間から陰惨な破滅を導き続ける男女ユニット。08年作の再発盤となるここでは、3CDという長尺で最初から最後まで一直線に破滅へと導くノイズ・ドローンを披露。純粋なノイズでは無い分余計にむごいです。

10

Roberto Cacciapaglia - Sei Note In Logica Wah-Wah Records Sound
前作に続いて79年の2ndも再発。児童による演劇を観ているような、危なっかしいハラハラした感覚と素朴な楽しさが心地良い電子音楽/ミニマリズム。蛍が現れては消えていく淡々とした美しさです。

JET SET 2012.10.15 - ele-king

Chart


1

Trimbal - Confidence Boost (R&S)
ご存じ時代の寵児James BlakeがHarmonimix名義でWiley率いるRoll Deepの元メンバーTrimbalとのタッグで作り上げたポスト・ポストUkベース/ヒップホップ・アンセム!

2

Lapalux - Same Other Time (Brainfeeder)
初来日も果たしているポストR&Bを牽引するビートメイカー=Stuart HowardことLapaluxが、類い稀な音楽センスを存分に披露した深化したコズミック・ソウル全5トラックを披露! これまた話題に上ること間違いなし!

3

Prins Thomas Orkester - Oving Ep (Full Pupp)
2年前にリリースされた自身の過去楽曲をバンド・リワークした大注目の作品!片面1曲、2枚組12"という贅沢な仕様も嬉しい"こだわり"の逸品です

4

Felipe Venegas - Critmical Baco (Cadenza)
Hoehenreglerからの前作"Tutu Calling Ep"や同レーベルからの"I Ching"等も大好評、チリの気鋭Felipe Venegasによる最新作!

5

Southern Shores - New World
昨年のデビューEp「Atlantic」が最高だったトロントの新星Southern Shores。2枚目のEpも当店大人気のCascineから!!ダウンロード・コード封入。

6

Sascha Dive - Move On (Oslo)
自身の主催するDeep Vibesを中心に、TsubaやOslo傘下のL.l.f.o.から数々の傑作を生み出すフランクフルトの才人Sascha Diveによる最新作品!

7

Dj Nu-mark - Broken Sunlight Series 4 (Hot Plate)
MochillaからリリースされたミックスCd『Take Me With You』でも感じられた質感で挑んだシリーズ第4弾! Quanticを迎えたスチール・パン入りトロピカル・グルーヴ、辺境アフロビートを収録したダブルサイダー!

8

Daphni - Jiaolong (Jiaolong)
CaribouまたはManitoba名義でもお馴染みDan Snaithが、美麗音響工作やフリーキーな仕掛けも満載のレフトフィールド・ハウス/ミニマル特大傑作を完成しました!!

9

V.A - International Feel A Compilation (International Feel)
2009年のリリースを皮切りに度肝を抜くクオリティーの作品を次々に世界に送り出してきた、ウルグアイのInternational Feelを120%堪能出来るコンピレーション!

10

Kylie Auldist - Changes / Nothin' Else To Beat Me (Tru Thoughts)
オージー・ファンク最高峰バンド、Bamboosの女性ヴォーカリスト。最新サード・ソロ・アルバム『Still Life』からの素晴らしい2曲を収録した限定7インチ!!

ROOM FULL OF RECORDS - ele-king

 さまざまな配信サイトやデジタル機器の発展のおかげで、我々は世界中の良質な音源をたやすくゲットできるようになった。
 デスクトップ・ミュージックは、一昔前なら高価な機材を揃えなくては実現できなかった表現をパーソナルなモノにしてくれて、アーティストの金銭格差を縮めてくれた。
 これはとても歓迎することではあるのだが、ここ最近日本のアンダーグランド・シーンにわざわざアナログでリリースをする若者が増えて来たことは特筆するように思う。HOLE AND HOLLANDDJ P-RUFFの7インチ、まだ未見だが主に中央線沿線で活動を続けるBlack SheepもカセットテープによってMIX TAPEを新規でリリースしているという具合。
 彼らに共通して私が面白いと感じるのは、私のような昭和生まれのヴァイナル・ノスタルジー世代が「レコードこそ至上」と言うのとは違い、主に20代~30代前半でデジタル技術の恩恵を最大限に享受しながらも、自身の表現の手段としてアナログフォーマットを選択しているところだ。
 今回そんな流れから紹介させて頂くのは、長年CLUB MUSICを発信し続けている「manhattan records」内に設立されたヴァイナル専門のROOM FULL OF RECORDSだ。

 今年に入って着々とリリースを重ね、日本国内はもとより、つい先日東欧のディストリビューターとも契約した。日本発のヴァイナルがいよいよ世界各国へと発信される。一昔前ならこういう話も多々聞かれたことではあるが、前述の通り世界的にデジタル化が進む昨今では賞賛に値することだ。

 このレーベルの陣頭指揮を取っているのが、元CISCO HOUSE店にて長年店長を勤めていた野口裕代嬢。レーベル躍進の理由もうなずけると言えばそうなのだが、そこには並々ならぬ彼女の愛情と熱意が込もっている。
 私が何より嬉しいのは、こう言った先人のノウハウや熱意が若い世代といい具合にリンクしはじめていることだ。このような現象はDJカルチャーに留まらずさまざまな場面で起こっている(例えば宮大工や農業等)。
 ある意味技術革新も飽和状態になりつつある昨今、若者が自らの感性で失われつつある文化を選択している。そしてこういった伝承の精神こそが何でも画一化されて行きやすい今日において素晴らしい文化を守るヒントになっているのだと私は考える。

 随分前置きが長くなってしまったが、今回ご紹介させて頂くレコードはその〈ROOM FULL OF RECORDS〉から第3弾シングルとして発売されたばかりの「The Dubless - JAMKARET」だ。
 グループを率いるRyo of DEXTRAXは小生も関わらせてもらった「20years of Strictly Rhythm" Mixed by DJ NORI & TOHRU TAKAHASHI」でRE-EDITをお願いした彼の新ユニットである。〈Strictly Rhythm〉のときには来るべきデジタル時代を表現すべく「サンプリングスポーツの面白さ」として彼にRE-EDITを依頼したのを覚えている。今作とはまったく真逆の発想でお願いしたのだが、見事なEDIT-WORKを披露してくれたのも記憶に新しい。
 そんな彼が現在の地元である「吉祥寺Cheeky」にて開催されているPARTY「JAMKARET」にてUZNKと出会い結成されたのが、「The Dubless」だ。
 前作は同じく吉祥寺を地元とするLighthouserecordsの増尾氏にオープンリールのMTRを借りて作られたCD-R版のみのミニアルバム。思えばこの時からこのユニットの方向性は定まって居たのかも知れない。せっかくのCDであるのに悪く言えば「こもった音質」だったり、良く言えば「どこか懐かしい音質」を感じる意欲作であり問題作だった。余談だがこの夏の暑さでマスターのテープが少しノビ気味になったらしく「もう2度と同じマスターで違うアプローチが出来なくなった」と本人は嘆いていたが、そんな2度と同じ物が作れないからこそ、その時一瞬の価値が高まるとも僕は感じている。

 末筆だが最近デジタル機器を存分に駆使してる友人のMOODMANが、最近のデジタル音源をその店の出力機器に合わせマスタリングを自ら施し、同じ音源でも3種類は用意して臨んでいると言う話も付け加えておく。
 要は画一化されてると思われやすいモノでもどれだけの手間や愛情を注いだかでフロアでのプレゼンテーションの幅は広がり、その気を感じることもDJとクラウドとの素敵な相関関係としてのCLUBの醍醐味ではないだろうか。それは音質博士のウンチク話とは別次元の話だ。
 この辺の話は小生も熱くなりすぎるので、The Dublessの新作の紹介は彼らとも親交の厚い長谷川賢司にお願いしよう。(五十嵐慎太郎)

 ──────────────────────────────

The Dubless
JAMKARET/Blackkite

ROOM FULL OF RECORDS

 ライブ・アクトの出来るアーティストの作品をオリジナル+ダンス・リミックスという形態でヴァイナル化。〈ROOM FULL OF RECORDS〉の第3弾リリースとなる本作、Ryo of DextraxとUZNKからなるユニット、The Dublessの人気曲が遂にアナログ化~!!!
 吉祥寺を拠点に活動するryo of dextraxが、地元のナイスなミュージックバー"bar Cheeky"で仲間たちと開催しているパーティ名をタイトルに冠した "JAMKARET"は大気圏を突破し無重力の宇宙空間まで一気に飛び抜けるかのような強い推進力と高揚感に溢れたバレアリック・チューン。
 スペイシーなエフェクトとウネりまくるベースがやけにカッコイイ"Blackkite"はまさに漆黒のサイケ・ファンク!
 そして、Rondenionによるリミックスはカット&ループとエフェクトがムーディーマンやセオ・パリッシュに通じるデトロイト・ハウス・フィールでよりフロアー仕様!
 彼らのロッキッシュなサイケ・メタル感とUR的なヘヴィー・ファンク感が渾然一体となって聴く者を次元上昇へと誘うフロアーフィラー3チューンを180gのヘヴィー・ヴァイナルに収めた一枚!
 是非、フロアーに向けガンガン鳴らしていただきたい。末筆になるが、ジャケのアートワークも素晴らしい!  (Kenji Hasegawa)

The Dubless リリースPARTY @新世界
https://shinsekai9.jp/2012/10/12/dubless/

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

DJ END REWIND CHART


1
Ten Billion Dubz - One Drop Banger / Depth Charge - Dub
https://snd.sc/OVQonJ

2
Negatins - Crimson Horn - Dub
https://snd.sc/WVlYBF

3
DD Black - Deep Cover - Dub
https://snd.sc/OVQaNo

4
Altered natives - Tenement Yard Vol 3 - Eye4Eye Recordings
https://boomkat.com/downloads/568053-altered-natives-tenement-yard-vol-3

5
Zed Bias - Heavy Water Riddim - Digital SoundBoy
https://snd.sc/U6Z3QB

6
Dusk&Blackdown - Wicked Vibez feat.GQ - Keysound
https://youtu.be/WwcpxmPugoI

7
Pearson Sound - Clutch - Hessle Audio
https://snd.sc/OxrOtd

8
New York Transit Authority - Off The Traxx(VIP) - Lobstar Boy
https://snd.sc/SQWPIY

9
Bounty Killer vs Dub Phizix - Cellular Phone Rags (1TA's Killer Dancehall Refix) - Free Mp3
https://snd.sc/WVoBDF

10
Death Grips - NO LOVE DEEP WEB - Free MixTape
https://snd.sc/PzjW5N

Bob Dylan - ele-king

 ボブ・ディランはふたご座の男である。
 ほかにふたご座の男といって思い浮かぶのは、モリッシー、ポール・マッカートニー、太宰治、荒木飛呂彦、プリンスなどがいる。
 モリッシーの陰気な叙情、ポール・マッカートニーの聡明なキャッチーさ、太宰治の決め文句、荒木飛呂彦のナルシシズム、プリンスの天才に基づく詐欺師臭さ。のすべてが『Tempest』にはあると思った。というか、ディランにそのすべてがあるのだ。
 
      **********

 わたしはディランとは不幸な出会い方をした。ガロの『学生街の喫茶店』がいけなかったのである。金髪にブリーチした亀の子だわしのような頭で通学していたパンク娘には、あの世界はどうにもしゃらくさい。だから、多感な時期に彼を聴くことはしなかった。しかも、最初に聴いたのが、ダブリンの中古レコード屋で売られていた『Slow Train Coming』だったと書けば、熱心なファンの方々には「ゴスペルから聴いたのか」と鼻で笑われてもしょうがない。
 とは言え、このアルバムには"Gotta Serve Somebody"が入っていた。この曲にはジョン・レノンのアンサーソング事件というのがあり、いきなりクリスチャンになって「人は誰かに仕えなければ」などと言い出したディランに対し、レノンがぶち切れて"Serve Yourself"(己に仕えろ)という、まるでアコースティック・パンクのようなパロディ曲を書いた。という有名なエピソードがある。(わたしはこの話が個人的に好きで、久しぶりに2曲続けて聴いたらやっぱり爆笑してしまったが、しかしこのServe Yourself問題というのは、現代にも深い影を落としている。というのも、人間がServe Yourselfを貫くというのは実はたいへん険しい道であり、だからこそ人はナショナリズムだの民族主義だのといった仕える対象を探してしまう。この点は、日本でも坂口安吾が「人間は可憐で脆弱で愚かなので、堕ちぬくには弱すぎる」と的確に指摘している)

 『Tempest』は、ジョン・レノンへのトリビュート曲で終わっている。
 列車に揺られている"Duquesne Whistle"ではじまり、タイタニック号が沈んでいる"Tempest"で不気味に幕を閉じたかと思ったら、最後は故人に捧げる歌だった。という構成のためか、これがディランの最終アルバムになるという説も囁かれたが、本人は否定している。
 が、ディランが死を見ているのはたしかだろう。いや、彼は昔から死を意識していたと主張するファンもおられようが、71歳の人間が見ている死はそういうのとは違う。遺作になるかもしれない。という気持ちがふとよぎる年齢の人間は、「これが俺だった」というアルバムを作りたいのが人情だろうし、近年のディランがひたすらプレ・ロック時代のサウンドに安住しているのはそうした心情があるのからなのかと思う。そう考えれば、プレ・ロックなディランの35作目が、彼をロックに向かわせた旧友へのトリビュート曲で終わっているというのは、実に思わせぶりな辻褄の合わせ方だ。
 「己に仕えろ!」と吠えたレノンは、レノンという偶像に仕えていた男に撃たれて死んだ。一方、ディランのクリスチャン期は飽きっぽい彼らしくすぐ終わり、その後も長いソウル・サーチングの旅を続けている。生存者にはギルトのような感情が残ることが多いが、ディランの"Roll On John"には、例えば『The Filth and The Fury』でシド・ヴィシャスを想って泣いたライドンの哀切や、「不良少年とキリスト」で太宰を偲んで慟哭した安吾の痛みはない。それは遺作を意識する年齢になった人間が書くトリビュートだからかもしれないし、これは本当はレノンに捧げた曲ではないからかもしれない。だとすれば、この曲はプレ・ロックの雄、ディランから、死んだと言われて久しいロックという音楽に向けての、「Shine your light. Move it on」というメッセージなのかとも思えてくる。

       ************

 などと、まじめに思索に耽りそうになってしまうが、騙されてはいけないと思う。
 なにしろ彼は、一筋縄では行かないふたご座の男だからだ。
 モリッシーの陰気な叙情、ポール・マッカートニーの聡明なキャッチーさ、太宰治の決め文句、荒木飛呂彦のナルシシズム、プリンスの天才に基づく詐欺師臭さ。のすべてを併せ持つディランは、実に老獪な詩人である。
 個人的には、"Scarlet Town"のような曲の歌詞にその真骨頂を感じる。

 In Scarlet Town, you fight your father's foes
 Up on the hill, a chilly wind blows
 You fight 'em on high and you fight 'em down in
 You fight 'em with whiskey, morphine and gin
 You've got legs that can drive men mad
 A lot of things we didn't do that I wish we had

 死によって結ばれる若い男女の悲劇について歌ったスコットランド民謡の替え歌、ならぬ替え詩の筈が、すっかり酒場でぐだをまいている爺さんの喋りみたいになってしまっているが、聴いた人々は、「Scarlet Townとは米国のことだ」とか「hillとは政府だ」とか眉間に皺を寄せて考え込み、「深遠すぎてわからない」と放心するのである。

 ボブ・ディランは、老齢化ではなく、老獪化している。

dj kamikaz - ele-king

dj kamikaz

clockwise recordings再始動しました!
私自身の活動としては、六本木bullet'sにて開催されている"Metropolis"に定期的に出演しています!clockwise recordingsのこれからの動きはチョコチョコ報コックしまっすので。ツイッターやgoogle検索とかをチェケラッチョしてみてください。
今回はちょっと古めから今現在までの曲で、雰囲気の良い曲をまとめてみましたので。
https://soundcloud.com/kazakami

Chart


1
Airhead - Black Ink

2
Matthewdavid - Being Without You

3
Jeremiah Jae - $easons

4
Ras G - Yea

5
Nicole Willis&The Soul Investigator - Soul Investigator's Theme(Heralds of Change Remix)

6
dj klock - machine live @Niigata club JunkBox 2004 12/4

7
dj klock - untitled(2003 out take)

8
himeshi - Break my heart

9
shlohmo - Places

10
RLP - Minovsky Physics

オウガ・ユー・アスホール - ele-king

 飄々としながら、ほとんど同じテンポで繰り返される『100年後』は、退屈さえも受け入れようとするオウガ・ユー・アスホールらしい開かれ方をしたアルバムだ。はったりはなく悲観もない、そして実はとんでもなく無理してはったりをかまし、悲観しているとも言えるが、たやすく涙に流されることをここまで拒んでいる作品はない。
 そんな問題作『100年後』から"素敵な予感 different mix"、12インチ・アナログ用の別ミックスのPVです。メンバーが企画制作すべてをてがけた意欲作。ele-king先行公開!



Chart - DISC SHOP ZERO 2012.10 - ele-king

越境ビーツ Selection #01

ひとつのジャンルにこだわっていては見落としてしまいそうな"越境"ビーツ&サウンドを、ワールド・ミュージックの感触を持った曲を中心に10曲。
https://discshopzero.tumblr.com/post/25012657366


1

LHF - EP3: Cities Of Technology (Keysound) /
ロンドン裏通りの移民感を感じさせるユニットの2枚組大作CDからのカット。世界の一都市としてのロンドン・ワールド・ミュージックとでも言うべき4曲。

2

SYNKRO - Broken Promise EP (Apollo) /
ジャジーなムードとエレクトロが持つウォームでクール(この2つが共存するのが素晴らしい~)な柔らかさが魅力のEPの中で、4の民族パーカッションが響くアンビエントが越境。

3

GUIDO - Flow / Africa (State Of Joy) /
自身のレーベルを立ち上げての2作目。親指ピアノ的フレーズも交えつつリズムが斬新な3のアフリカ感は新しいと思います。

4

MENSAH - The Gambia (Deep Medi Musik) /
タイトル通りにアフリカンなポリリズムがオールドスクールな感触も混ぜつつ表現されたキラー・エレクトロfromブリストル。

5

TUNNIDGE - Dark Skies / Tribe (Deep Medi Muzik) /
クラクラするようなベース音と催眠術のような男声ヴォイス、そしてシャープなスネアが覚醒を呼ぶ1もイイですが、タイトル通りトライバルさを前面に出した2がキラー。ダブステップを超えてます。

6

DISTAL - Booyant / Amphibian (Tectonic) /
ジュークを解体しファンキーな要素も加えた展開。1で聴かせてくれたサウンドをさらに解体した2は、ジューク感もありますが、よりトライバルなサウンドを指向するDJに上手く混ぜ込んでイッて(イカせて)欲しいです。

7

FUNKYSTEPZ - Trouble (Hyperdub) /
スクウィーな感触のアシッド味も加わったクレイジーなUKファンキー・サウンド。1のチープなシンセが生む中東感も◎。いずれもフロアでも効力発揮間違いなしの3曲。強力!

8

KAHN - Way Mi Defend / Azalea (Box Clever) /
ブリストルの要注目プロデューサー。レゲエの声ネタを使いつつ、3連パーカッションとシャープなワンドロップ・スネアが水滴のように深さを強調させる1。このレーベルは全て要注目。

9

DARLING FARAH - Body (by CivilMusic) /
デトロイト出身UAE経由、現ロンドン在住の20歳によるアルバム。4/4ビートのテクノ・サウンドをベースにしつつ、チルアウトでディープに洗練されたデトロイト・ソウル~ダブ・テクノを展開。5のテック・サンバが最高。

10

ADRIAN LENZ / SANDMAN - Cover Me / No Prisoners (Blank Mind) /
スペインはグラナダ発という2人の、ソカをベースにしたダークでマッドな1枚。ヤバイデス。

Goku Green - ele-king

 今年の3月のことである。写真家の植本一子は「とうとう眉毛を整えたラッパーが出てきたぞ! と石田さん(夫であるECDのこと)が鼻息荒く教えてくれた」とツイートしていた。SALUのことだ。それがひどく印象に残ってしまい、機会あってECDにインタビューした際に、「SALUをはじめとする若手ラッパーについて、どう思いますか?」とたずねてみた。返答は思いがけないものだった。「SALUは作られているといった感じがするんだけれど、北海道のGoku Greenというラッパーは天然で......どちらかというと、僕に近い気がする」。もちろんこれは眉毛の話なんかではなく。

 ECDが1996年の七夕の日に日本語ラップ史に残るイベント「さんピンCAMP」を主催したのは有名な話だが、Goku Greenはそのちょうど1年後に生まれた。音楽好きの両親のもと、スヌープやボブ・マーリーを師と仰ぎながら育ち、高校入学と同時に本格的に音楽制作をはじめる。そして、昨年秋に無料ダウンロードで発表されたミックステープ『ハッパ・スクール』を契機にシーンの注目を集めることになる。ウィズ・カリファやカレンシーといった、いわゆるUSストーナー・ラップ直系のスムースでメロディがかったフローが持ち味で、SALUとはラップ・スタイルが近似しているためによく比較されていた(ともに影響を受けたアーティストとしてボブ・マーリーを挙げている)。しかし、前出のECDの言葉が端的に表しているように、この二者には違いがある。似たようなフローのなかにおいても、アクセントや節回しから90年代~00年代の日本語ラップの潮流を汲んでいるSALUに対して、GOKU GREENは、荒削りな原石としての輝きがある。発声法やトラックへ合わせたデリヴァリーしかり、洗練という意味では、SALUの方が上手かもしれない。だが、必ずしもスキルの優劣が音楽の良し悪しに直結するものではないことを僕らは知っているし、彼はそういうタイプの歌い手でもない。ヴォーカルのかぶせやエディットも最小限の簡素なつくりで、少々危うさもつきまとうボーカルだが、なにより華があるのだ。彼が「生まれながらのMC/ナチュラル・ボーン・ラッパー」と言われるゆえんであり、ECDに「天然」と指摘されもするそんな屈託のなさは、あるいは、かつての5lackの「テキトー」と言いかえてもいいのかもしれない。

 そんな彼のデビュー作は『ハイ・スクール』と題された。それはたんに、彼の日常の大きな比重を占めている場所を指しているのだろうか。大半の曲で歌われる内容は、ショーティー、マネーにウィ―ド......いずれもオーソドックスなヒップホップ・テーマの例に漏れないものばかりだが、「高校」という主題からはおおよそかけ離れているし、自分が高校生ということに言及している詞も少ない。にもかかわらず、こうしたタイトルをつけているのは、全編にただようモラトリアムなムードと、それを許している自身の生活・環境を考えてのことだろう。いわば、想像と夢に耽ることを許された時間。"キャン・ユー・フィール・イット"で聴けるライン「人生の計画は考えないでノリはEasy」なんてすがすがしいほどだ。また、"ネボー・ギャング"なんていう、彼らの仲間内で使われているキュートなスラングのように、ヒップホップ・マナーでもっていかに日々を楽しむかというゲームを行っているようなフシも感じとれる。今作が描き出す彼の日常は、"ドリーム・ライフ"の意味を「夢の日々」、もしくは「夢のような日々」のいずれに解釈するにしろ、現実感に付随する重さをきらい、若さに満ちた確証の持てない希望を、個人的な願望に置きかえて歌っている。ラップ・スタイルとしては、やはり5lackの系譜に連なるとは思うが、ストーナー・ラップの括りでいえば、ファンタジーを織り交ぜて東京という街を描出し、楽観的にも厭世的にもとれる平熱的な語り口を持つ詩人、ERAをも思い出させる。だがGOKU GREENはより初々しく甘酸っぱく、ドリーミーでポップだ。つまり、グリーンはグリーンでも、ストーンというよりはエヴァー・グリーン。思いがけないドラマに導かれた彼に言わせれば、ヒップホップのクリシェ「Life's A Bitch(人生はクソだ)」よりは、「Ma Life Iz Like A Movie」なのである。



 『ハイ・スクール』リリース後、GOKU GREENは8月にフリーのミックステープ『ダーティ・キッズ』を発表。こちらは発表直後から長らくダウンロードできなかったのだが、つい先ごろ2曲追加した形で再度発表された(ダウンロードはコチラ→)。『ダーティ・キッズ』はミックステープらしいつくりで、というのも、いくつかは既存の曲のビート・ジャックもので、フリースタイルでサクッと録ったような印象。だが、前半部を聴くだけでもビート・アプローチが確段にうまくなっていることがわかる。キャッチーなフックとフローのメロディ・センスは健在で、多幸感あふれるクローザー・トラック(その名も"ネボー!!!")まで心地よく聴かせられてしまう。総じて言えることではあるが、非常に軽い聴きざわりで、それが快い。目玉はLil'諭吉プロデュースの"キャンディ・キャンディ!!!!"で、テーマ・パークのメルヘンチックなBGMをサウス寄りのバウンシーなトラックにアレンジしたような好トラックだ。また、ニコラップをフィールドに活躍する気鋭のラッパーRAqやYURIKAといった客演陣は、非常に完成度の高いヴァースを提供しており、こちらも聴きごたえ十分。

 今年に入ってAKLO、LBとOtowaなど、ミックステープを主戦場として活動していたアーティストが有償かつフィジカルでのリリースを果たしている。そんななかでもGOKU GREENはミックステープ『ハッパ・スクール』のみを足がかりに、1年と経たずインディ・ヒップホップ専門の新興レーベル〈BLACK SWAN〉の第1弾アーティストとしてデビューを果たした。このアクションのはやさには「非メインストリームに潜むすばらしい音楽やアーティストを自由に紹介すること」をレーベル・ポリシーとして掲げる〈BLACK SWAN〉の強い思いがあったようだ。それにしても、THE OTOGIBANASHI'Sをはじめ、『REV TAPE』にも収録され話題となっていたdodoや、早くから騒がれていたRIKKIに、12月に〈LOW HIGH WHO?〉からデビューする女子高生ラッパーdaokoなどなど新たな世代の胎動と加速する若年化の波は、けっしてアイドル業界にかぎった話ではない。そんな過渡期ともいえるなか、先鞭をつけるかたちで若干16歳のGOKU GREENがアルバム・リリースを果たしたことの意味は大きい。長い目でみれば、『ハイ・スクール』は、ひとつの指標になり得る作品なのではないか。そう思ってしまうほどに、GOKU GREENはフレッシュで、ヒップホップ・ドリームをふたたび、僕らに夢見させてくれるのだ。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727