「K A R Y Y N」と一致するもの

interview with Clark - ele-king


Clark
Feast / Beast

Warp/ビート

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 まず、アートワークが秀逸だ。シュールなユーモア、そこはかとない猟奇性、しかしどこか飄々とした表情......そして何より、彼の「手」は分裂して、増殖している。来る日も来る日も休まずに、カッ飛んだトラックを作りまくっているクラークの作品にぴったりである。

 いままで出ていなかったのが不思議なぐらいだが、多作な彼による数多くのリミックスのなかから厳選した初のリミックス集である(それでも2枚組30曲の大ヴォリュームだが)。初期の繊細なエレクトロニカ/IDMから、ボディ・ミュージックやエレクトロを飲み込んでエクストリームな方向に振り切った中期、そして最近作『イラデルフィック』でアコースティックな要素を大きく取り込みまた新たな方向に進もうとしているクラークだが、本作はそんな彼の多面性がよく伝わる内容になっている。しかしまた、たんにリミックスのコレクションではなくひとつの流れがある「作品」にしたかったと以下のインタヴューで本人が何度も強調しているが、そうして聴くと不思議と一貫性も見出せる。『フィースト』は電子音が美しいメロディを奏でるテクノやエレクトロニカ、アンビエントが中心を占め、『ビースト』はマッシヴなビートが暴れるクラブ・トラックが並んでいるが、そのどちらも制御装置が故障しているような、明るい壊れ方をしている。マッシヴ・アタックからDMスティス、マキシモ・パークからバトルスにヘルスまで......みんなブッ飛んでいる。そういう意味では、リミックス集とはいえ、自身の土俵で堂々と取り組んだ、立派なクラークの作品である。

 おそらく、本作を契機に音としてはまた違うステージに進もうとしているのだろう。エイフェックス・ツインの長い不在の間、彼と比べられ続けたクラークはしかし、「手」を止めなかった。休まずに素早く動かした......と言うよりは、増殖しているようにしか思えないのだ、やっぱり。

「Feast」は散歩しながら聴いたり、座っているときに聴く音楽。だから「Feast(=ごちそう)」と名づけた。座って、比較的、落ち着いて楽しめるもの。それに比べ「Beast(=野獣)」はより攻撃的なクラブ・ミュージックだ。

ここのところハイ・ペースなリリースが続いていますが、なぜこのタイミングでリミックス盤を出そうと思ったのですか?

クラーク:今年はリミックスのオファーがたくさん来て、そのうちの多くが実現した。2枚組のアルバムをリリースするにしてもこれ以上曲を収録できないから、このリミックス集をまとめたんだ。今後はもうリミックスはやらないと思う。僕のキャリアにおいてリミックスをする時期は終わりを迎えた気がする。

今年中に作ったものでないのもありますよね?

クラーク:うん、なかには10年以上前のものもあるよ。

『フィースト/ビースト』というタイトルの由来と、「Feast」と「Beast」に分けた基準を教えてください。

クラーク:「Feast」は散歩しながら聴いたり、座っているときに聴く音楽。だから「Feast(=ごちそう)」と名づけた。座って、比較的、落ち着いて楽しめるもの。それに比べ「Beast(=野獣)」はより攻撃的なクラブ・ミュージックだ。ふたつの言葉は韻を踏んでいて、互いによく合う言葉だと思う。「Beast」はよりクラブ向けの音楽で、もうひとつの方はアコースティックギターが入っていたりして、よりソフトな感じの音楽だ。

かなりの曲数ではありますが、それでもここに収録された以外にもあなたには膨大なリミックス・ワークがありますよね。権利の関係で収録できなかったものもあるとは思うのですけれども、それ以外に、このリミックス集の収録の基準としたところはありましたか?

クラーク:このコンピレーションに合わないと感じた曲もあり、それらは収録しなかった。このアルバムに入れるにはしっくりこないと感じたから入れなかった。とにかくリミックスならなんでも入れてしまおう、とは考えなかった。このアルバムに入っているのは、数多くのリミックスのなかから選んだ優れたリミックスだ。

ということは、このアルバムに合うかどうかという基準で選んだということでしょうか?

クラーク:そのとおり。作品をアルバムのように仕上げたかった。単なるコンピレーションではなく、一連のプレイリストとして良いものであるような作品を作りたかった。

あなたのリミックスだけでなく、あなたの曲をほかのアーティストがリミックスしたトラックも挟まっていますよね。アルバムの流れで聴くといいアクセントになっているんですけど、どうして自分のリミックスだけにせず、収録しようと思ったのですか?

クラーク:じつはビビオからあの曲のリミックスを出せって、長い間せがまれていたんだ。ネイサン(・フェイク)からもしつこく言われていた。だからようやくリリースできたというところだ。ネイサンのリミックスは、以前12インチでリリースを試みたんだけど実現しなかった。"グロウルス・ガーデン"、あの曲はとても気に入っている。嵐のようなクラブ・トラックだ。
 でもほかにもアルバムには、友人のバンドのベージュ・レザースのような、まだレーベル未契約のアーティストなども収録してある。彼らのアンビエント・トラックをリミックスした。アルバムの最初のトラックだよ。だからこのアルバムには、まだリスナーが聴いたことのない音楽もけっこう入っているんだ。

そもそも、リミックスは依頼があればけっこうすんなり引き受けている感じですか? それとも、けっこう慎重に選ぶほうですか?

クラーク:けっこう慎重なほうだよ。その決断が難しいときもある。時間がないときは、とにかくできない。だから忙しいときは断ってしまうね。リミックスにおいては大体の場合、友人の曲をリミックスするのは楽しい。ある意味、ビッグなバンドの曲をリミックスするよりも楽しい。だから友人の曲をリミックスするほうが断然好きだね。

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属しているという意識はあまりない。このアルバムにはアコースティックな要素も結構入っているから、アルバムを通してさまざまなスタイルが聞こえてくると思う。だからどこかに属しているという感じはとくにないね。


Clark
Feast / Beast

Warp/ビート

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アルバムとして通して聴くと非常にあなたの色が強く、率直に言ってクラークのオリジナル・アルバムと言われれば信じてしまいそうです。かなり自由に原曲を触っているように思うんですけれども、どうでしょう? そうではなくて、逆に、ひとのトラックであることで制約を設けることはありますか?

クラーク:自由はある。原曲の要素を全く入れずにリミックスと称している作品は好きじゃないけれど、僕がよくやるのは、曲のヴォーカル・ラインだけを取り、曲を変形させてしまう方法だ。だから僕にとっては、ヴォーカルを扱うことがリミックスの一番良い点だと考えているんだ。ヘルスの曲はヴォーカルしか使ってないし、DMスティスの曲もそう。僕がリミックスをやる上で一番好きなことはそれなんだ。ヴォーカル・ラインを取って、それを違ったテクスチャーやメロディに載せてみる。

では、逆に制約を設けることはありますか?

クラーク:いやあまりない。それはしないようにしている。

オリジナルのトラックを作るときと、リミックス・ワークの最大の違いはどこにありますか? さきほどの質問とは逆に、リミックスだからできることってありますか?

クラーク:リミックスの方がずっと解放的になれる。アルバムに取り組むほど真剣に取り組まなくていいからね。普段だったら探求しようとしないようなアイディアを、リミックスで探求することができる。だけど、リミックスは大抵1週間くらいの締め切りがあるから、早く仕上げなければいけないというプレッシャーもある。

そんなに早いんですか。

クラーク:そう。だから自分の腕を試す良い試験のようなものだよ。アルバムの音楽を作っているときは、その制作活動を続けていればいい。それがどれだけかかってもいい......何年かかってもいいんだ。だからタイトな締め切りがあるのも良いことだと思う。だけど、マッシヴ・アタックのリミックスにはとても時間がかかって結局仕上げるまで3カ月かかった。とにかく時間がかかったんだ。なぜかはわからないけど。トラックはシンプルなんだけど、バージョンが5つくらいできてしまって、そこからが大変だった。

さきほどの質問とは逆に、リミックスだからできることってありますか?

クラーク:あるよ。リミックスする曲には他のアーティストの声が入っている。それを扱うことができるんだ。あと、原曲をどのようにして自分のサウンドにしていくか。どのように自分の音の特徴を加えるか、という醍醐味がある。ここに収録されているリミックス曲からも僕のスタイルを聴き取ることができると思う。

とくに印象に残っているトラックがあれば教えてください。

クラーク:1枚目に入っているDMスティスの曲はとても気に入っている。彼は素晴らしい声の持ち主だと思う。僕は彼のヴォーカルをいじったり、いろいろ操作するのに何時間も費やしたよ。彼とはリミックスについていい話もできたし、彼もこのアイディアに賛成してくれた。よい経験だったよ。とても楽しくリミックスができた。

リミックスをやってみたいアーティストはいますか?

クラーク:いつかビビオのリミックスをやってみたいね。彼には借りがある気がするしね。ネイサンも同様。あ、でもネイサンのリミックスはアルバムに入ってるね。あれは結構前にリミックスしたものだ。ほかにはレディオヘッド、モグワイなどやったら面白いと思う。

じつにさまざまなジャンルの、ヴァラエティ豊かなラインアップになっていることで、あなたの自由な立ち位置が表れていると思うのですが、あなた自身はどこかに属しているという意識はありますか?

クラーク:属しているという意識はあまりない。このアルバムにはアコースティックな要素も結構入っているから、アルバムを通してさまざまなスタイルが聞こえてくると思う。だからどこかに属しているという感じはとくにないね。

では、共感できるアーティストはいますか?

クラーク:もちろん。オープンな考え方で音楽に取り組めるひと。そういうひとだったら誰でも共感できる。特定のことを求めるのではなく、オープンな考えを持って音楽に取り組んでいるひと。

アートワークが面白いですけど、あれはどういったところから出てきたアイディアなのでしょう?

クラーク:僕がガールフレンドとオーストラリアから帰る途中に、彼女が雑誌を買ったんだ。その雑誌にアルマ・ヘイサという写真家の作品が載っていた。でも、フランクフルトから電車で帰るという経路をもう少しで選ばないところだったんだ。別のフライトで帰ろうと思っていた。だから、駅であの雑誌を買っていなければ、このアートワークは実現していなかっただろうね。だから偶然だった。そして、マネージャーに彼女に連絡を取ってもらった。
 彼女の作品は本当に素晴らしいと思う。画質がブリーチされたというかフラットな感じがする。とても好きだ。それから折り紙のようなイメージ。僕の音楽に対するアプローチにとても合っている気がする。複雑で何重もの層になっているところなんかがね。アルマはドイツ人の写真家だ。いま、住んでいるのはロンドンかな。

ここ数年では、やはり『イラデルフィック』が大きな分岐点であったと思うのですが、このリミックス集を出したことが、今後のあなたのキャリアや作品に影響することはありそうですか?

クラーク:これからはバンドとのコラボレーションをたくさんやっていきたいと思っている。リミックスは、ある意味、コラボレーションの機会を増やすための扉を開けてくれるようなものだと思っている。リミックスができるということは、ほかのひととも仕事ができるという意味だから。今後はバンドとたくさん仕事をしていきたい。だからこのリリースは、その方向に向けての第一歩と言えるかもしれない。

もっとアコースティックというか生演奏の音楽と関わっていきたいということでしょうか?

クラーク:そのとおり。リミックスをするのは、それに向けての第一歩のようなものだ。

恐らくここに収められたリミックス・トラックも例に漏れず、あなたはとにかく作曲をし続けていることで知られていますが、その原動力はいったいどこからやって来るのでしょうか?

クラーク:何かを作っていないと落ち着かない、ソワソワした感じと、自分を前へ進めて制作するという気持ちがつねにあるんだ。はっきりとはよく分からない。でも僕にとって創作活動とは自然にそういう風になっている。

では、つねにアイディアで溢れているという感じですか?

クラーク:まあ、そうだね。だけどそのアイディアは常により良いものへと進化させていかなければならない。だから同時にたくさんのアイディアを捨てるということもしている。すべてが良いものとは限らないから。アイディアはつねに更新され発展され続けなければいけない。だから修正作業がたくさんある。修正の繰り返しだよ。

Iron & Wine - ele-king

 今年の爆音映画祭はメインがマイケル・チミノ特集であったから、中学生のときの僕のヒーローだったロバート・デ・ニーロが若々しい『ディア・ハンター』をはじめて映画館で観ることができた。むろん映画は素晴らしかった、が、それとは別のところで妙に感慨深かったのは、そこで描かれているような鹿狩りをする男たちがいまだにアメリカの田舎にはたくさん......とまではいかなくても、一定数いることに気づかされたことだった。そう言えばボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンはコネティカット州での銃乱射事件のあと、遺憾の意を示しながらも、自分は自分が属する狩猟文化を、そのコミュニティを捨てられないともこぼしていた。『ディア・ハンター』はヴェトナム戦争によって瓦解する男たちの絆とそのコミュニティを描いていたが、しかしそこで描かれていたような70年代やそれ以前の続きをいまも生きている人びともたしかにいるのだ。
 アイアン&ワインもまた音楽的な意味において、あるいは表現する風景においても、70年代の続きのアメリカを生きているようだ。彼、サム・ビームの歌う歌には生きた動物が登場し、月と星が空にかかり、草が生い茂り風がそよいでいる。古きよき、と言うよりは時代の変化すら飲み込んでそこに厳然と残り続ける自然と、それを前にした叙情を見つめ続けている。

 サム・ビームのように生きられたら......『ele-king vol.10』の部屋聴きチルアウトのディスクを選びながら、僕はぼんやりと考えていた。チルアウトのためにフォーク・アルバムを探していたのは、せわしい毎日を忘れさせるような行ったことのない雄大な風景を幻視したいからだ。考えてみてほしい......あごヒゲをあんなにも生やしたビジネスマンがどこにいるだろう。そう、彼はボヘミアンだ。妻と5人の娘に囲まれながら、ギターを弾き、絵を描き、詩を書いて、優しく歌っている。あんな風に生きられたら、と思うのはもちろん前提としてそれができない現実の日々が目の前にあるからだが、だけど、それが絶対に不可能だなんてどうして言い切れるのだろう。アイアン&ワインの音楽のどこかあっけらかんとした「漂泊感」は、いつだってそこに行けるのではないかと思わせるような風通しの良さがある。

 5作目となる『ゴースト・オン・ゴースト』はアコースティック・ギターによるフォーク・ミュージックと言うよりは、もはやジャズ・アルバムであり、前作の方向性を推し進めた極めてアダルトな内容となっている。上品にエッセンスになるAORや70sソウル。"ザ・デザート・バブラー"や"ニュー・メキシコズ・ノー・ブリーズ"の涼風のようなコーラスとストリング・アレンジの洗練はどうだろう。もしくは、"ラヴァーズ・レヴォリューション"のアーバンなジャズ・インプロヴィゼーション。たしかに出世作『アワ・エンドレスナンバード・デイズ』のようにそこはかとなく漂う危うさはもうないし、すっかり落ち着いてしまったと感じるファンもいるにはいるだろう。

 けれども、根本的なところで彼は何も変わっていないのではないか、とも思う。いや、たしかにモチーフとして年を重ねていくことの責任がより目立つようになっていて、それが音の変化に表れたとも読み取れるかもしれない。ラスト・トラックの得意のスウィートなバラード"ベイビー・センター・ステージ"は明らかに、子どもたちやを家族を守りながら生きていく決意についての歌だ。だが、その相手は社会システムでも時代でもなく、ハリケーンなのだ。この自然のなかで生きていくこと。物悲しいメロディを持ち、「12月の雪のミルウォーキー」を歌う"ウィンターズ・プレイヤーズ"も出色だが、ベストは甘く切ないコーラスが空間を満たすジャジー・ソウル"グラス・ウィドウズ"だろうか。「僕らは木々の間で風に吹かれてお互いを見つけたんだ/欠けてゆく月は海に飲み込まれたがっていたよね/まるでようやくこの世界の色を目にしたように」......。

 アイアン&ワインの歌にはスマートフォンの小さい画面もなく、インターネットもSNSもない。その時代錯誤感が、いいことなのか悪いことなのかは僕にはわからない。けっして「現代的」ではないだろう、が、この歌は遠い場所の美しい風景を目の前に出現させる。それはひょっとしたら、この窮屈な毎日からふっと抜け出すヒントになるのかもしれない。
 春に出たアルバムだが、この夏の終わりにこそ情感豊かに染み入ってくる。

interview with Franz Ferdinand - ele-king


Franz Ferdinand
Right Thoughts, Right Words, Right Action

Domino / ホステス

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 2004年、ひと昔。フランツ・フェルディナンドのファースト・アルバムを手にしたのが、つい3年ほど前のように感じられる人もいるかもしれない。10年も経っていることに驚くのは、単純に「光陰矢の如し」的な感慨なのか、彼らがほとんど古びていないということなのか、それともUKロックに目立った更新がなかったということなのか。久々のフル・アルバムとなる『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション』を聴いていると、そのどれでもあるように感じられる。

 今作にシンセ・ポップ寄りの嗜好が見られるように、彼らの音楽にはそのときどきのモードを反映したマイナー・チェンジはあるものの、4枚のアルバムを通して大きな方向転換はなかった。大ヒットした"ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター"は、ほぼ真っ直ぐに2009年の"ユリシーズ"へと連続している。バンド自体のストーリーとしても、とくにドラマチックな事件や変化を迎えたりはしていない。それで10年も現役としてメジャーな存在感を保っていられるというのが彼らのスペシャルなところだ。
 フランツ・フェルディナンドには何があるのか。
 今回はバンドの支柱とも呼べるベーシスト、ボブ・ハーディに話をきいた。彼らはけっして若さのために輝き、脚光を浴びたのではない。下積みが長いことがよく知られているが、彼らにあったのはずば抜けてクレバーなポップ・バンドとしてのアイロニーや批評性である。「信じるべきものなど何もないと僕は信じてる」("フレッシュ・ストロベリーズ")という一行(しかもカラっとした皮肉をこめて、のびやかに歌われる)は、その意味で彼らの来し方と行く末を照らすものかもしれない。若さやデビューの勢いが減退したからといって、まったく影響を受けない魅力やスタイルを、彼らは当初から備えている。

 何度めかの「ロックンロール・リヴァイヴァル」が終わりかけていた頃、それと入れ替わるようにフランツ・フェルディナンドはロック・アンサンブルをダンス・フロアへと持ち出し、シーンをまるごと踊らせた。そしてその後につづく大きな潮流――空虚さを祭に転換するようなポストパンク・リヴァイヴァル――をある一側面において象徴することにもなった。「信じるべきものなど何もないと僕は信じてる」というのは、思えば一貫したスタイルである。
 しかし、年を重ねること見えてくるものもあるはずだ。彼らにとっていまはどういう時期なのか、これからどんなふうに年をとっていこうと思っているのか。質問に対して、ボブ・ハーディは落ち着いた声と態度で語ってくれた。

「正しい考え、正しい言葉、正しい行動」、この3つの要素を適用すれば、人生のなかの大体のことは成功するんじゃないかな。

今作のタイトルは『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション』ですが、私ははじめ「ライト」って「light(軽い)」の方かと思ってたんです。その方がいい意味で音楽性にも合っているというか、あなた方が標榜する無神論的な態度やプレイスタイルをよく表しているような気がしたんですね。ですが実際は「right(正しい)」の意味で、どうやら仏教に由来するタイトルであると。
 この「right」には、「ブリティッシュ・ポップ界きってのアホ野郎」とも自称されていたあなたたちの、わりとマジな理念や思考が反映されていると考えていいのでしょうか?

ハーディ:ははは、なるほどね。今回のタイトルに関してはどんなふうにでも意味をとってもらえるような余白があって、けっこういいんじゃないかって思ってるよ。僕らの込めた意味合いとしては、とても前向きなものがあるんだけどね。人生についてポジティヴな思いもあるし、バンド自体にもいまとてもいいエネルギーがあるんだ。「正しい考え、正しい言葉、正しい行動」、この3つの要素を適用すれば、人生のなかの大体のことは成功するんじゃないかな。僕らなりにはそう考えてつけたタイトルなんだ。だけど、全然、どうとってもらってもかまわないよ。

今作はプロデューサー/ミキサーとしてトッド・テリエも参加していますが、あなたがたは一貫して人々を踊らせるというコンセプトを大事にされていますね。デビューから10年、ダンス・ミュージックもさまざまに変化してきたわけですが、エレクトロニックな表現に距離を置いて、あくまでバンドによるセッションのスタイルを大事にされるのはなぜでしょう?

ハーディ:たしかに僕らは「踊れる」とか「クラブ向き」っていうふうに言われてきたけど、そもそもそれを目指していたバンドではないからね。ライヴをやって、ギターがその中心にいて......というバンドのスタイルは最初から持っていたつもりでね。今回のアルバムはとくにその感じが全面に出ているかもしれない。レコーディングの過程を通じて4人がいっしょにプレイするということを貫いているからね。
 トッドに入ってもらったのは、僕らが彼のファンだからだよ。こっちから声をかけたんだ。僕らがやった音の上に何か足せるものがあるかなってふうに呼びかけて、ロンドンのスタジオに来てもらった。音を聴いてもらって、その上でトッドなりに思うところがあれば......っていう感じでね。ベーシックなトラックは作ってあったから、その上にトッドらしい、ダンシーなフレイヴァーを加えてもらったんだ。最終的には彼はそれをオスロに持ち帰って、向こうで仕上げてくれたよ。彼がやってくれた2曲はその後、「エクステンデッド・ミックス」というかたちで8分くらいの尺に延ばしたものになったんだけど、それがすっごくいいんだ。僕らの演奏は生きてるんだけど、それをとてもいいかたちにミックスしたダンス・チューンになったるよ。いずれ2曲を両面に入れたシングルを出すつもり。というか、すぐ出るはずだね!

他に参加しているアーティストにはメロディメイカーが揃っているなという印象もありました。ビヨーン・イットリングとかアレクシス・テイラー、ジョー・ゴッダートというのはポップなソング・ライティングにおいて屈指の存在だと思いますが、起用の理由もやはりそのあたりになるのでしょうか?

ハーディ:才能ということで言えば、アレクシスとジョーのふたりとも、とてもメロディに秀でてるよね。1曲め("ライト・アクション")と10曲め("グッバイ ラヴァーズ&フレンズ")が彼らに参加してもらった曲なんだけど、1曲めの方はアレクシスにメロディを追加してもらってるし、10曲めの方ではキーボード・パートも加えてもらっているよ。10曲めはヴォーカル・ハーモニーもだね。アレクシスの高音のヴォーカルが目立っていると思うけど、ああいう、彼ならではのヴォーカルをあの曲に入れられたのはすごくうれしいなって思うよ。

ああ、アルバム全体のなかでもとても印象的なパートですね。あれはアレクシス・テイラーなんですね。

ハーディ:そう。そしてビヨーンについてだけど、ビヨーンのユニット自体がそうであるように、スウェディッシュ・ポップ自体がもともとメロディを重んじる音楽だよね。「いい曲」を大事にする彼らに僕はすごく惹かれるんだ。メロディメイカーとしてはもちろんだけど、プロデューサーとしての腕も確かで、リッケ・リー(Lykke Li)のプロダクション・ワーク(『ユース・ノベルス』2008年)なんかはほんとによかったな......。

なるほど。リッケ・リー自体も好きなんですか?

ハーディ:ほんと、大好きだよ。それにあのアルバムにはビヨーンのプロデューサーとしての才能が詰まってるよね。

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シニカルというのは、本当に生きることの意味を探しはじめたからこそ出てくるものだとも思うし、僕らのような無神論者がほかになにを信じて生きていけばいいのか――生きていくために必要な、信じるべき対象を探しているという部分が出ているのかもしれない。

そうですね。ところで、先ほどアルバムの大きな性格として「前向き」ということをおっしゃっておられましたが、私もすごくポジティヴなマインドを受け取りました。はじめの2曲なんかも、ほんとに10年前のファーストのときのような活力がありますね。その一方で、歌われている内容自体は、失恋というか、やぶれた関係のようなものがわりとテーマになったりもしています。こうしたテーマは自然に出てきたものなのでしょうか?

ハーディ:そういう音楽が僕は個人的に好きなんだよー。音楽だけ聴いているとアップで楽しいんだけど、詞のほうは逆。シリアスっていうんだろうか。ちょっと惨めなところがあったりね。例で言えばザ・スミス。ジョニー・マーのギターだけ聴いていればすごくエネルギッシュで、だけどモリッシーの歌の内容をきくと、そういうことばっかりじゃないというね。そういう組み合わせの曲の方が僕は好きだし、つい歌いたくなるのもそういう音楽だ。でも僕らのアルバムの詞がずっとそんな感じだからって、壊れた関係や別れってことばかり頭に残るんじゃなくて、音楽に身を任せて気分を上げて踊れるようになってると思うから、そういう両面を楽しんでもらえればなって思うよ。

すでに活動も長いわけで、最初の作品の頃から比べて、人間性に深みが出るというか、苦くなったり影ができていくような部分もあるのかなと思いまして。最後の曲では「恋人が友人に変わる」場面が描かれていたりしますが、それをきれいな思い出としてスッキリ処理しないでくれと呼びかけるくだりは、10代、20代の無邪気さからは遠いものですよね。フランツ・フェルディナンドがどんなふうに年を重ねてきたのか、時間の経過を少し感じさせるように思いました。

ハーディ:この曲は恋愛関係の終わりというよりは、死というか、「葬式」を歌ってもいるんだ。だから、関係の終わりではなくて命の終わりなんだよね。そのなかで、死んだ人が、「こういうことだけはしないでくれ」っていうことをあげつらっている曲なんだ。ポップ・ミュージックは流さないでくれ、とか、自分にそぐわない神話や美談を作り上げないでくれ、とかね(笑)。
アレックスも、べつに自分の葬式を想定しているわけではなくて、別のキャラクターを想定しているんだと思うんだけど、たしかに僕らにも多少シニカルなところは出てきたのかもしれないよね。それはべつに悪いことではないと思ってる。シニカルというのは、本当に生きることの意味を探しはじめたからこそ出てくるものだとも思うし、僕らのような無神論者がほかになにを信じて生きていけばいいのか――生きていくために必要な、信じるべき対象を探しているという部分が出ているのかもしれない。それがタイトルにもつながっていくんじゃないかな。

だけど、まず自分たちが楽しむということ自体がなかなか簡単なことではないんだよ。

なるほど......"フレッシュ・ストロベリーズ"では、「僕らは摘みたての新鮮なイチゴだけど、そのうち腐って忘れ去られるだろう」っていうようなことが歌われてますね。これはもしかすると部分的には自分たちの境遇や、長くアーティストを続けることの比喩だったりするのかなと思いました。

ハーディ:ははっ、そうだね。

いえ、比喩として(笑)。それで、バンドにとって年を重ねることと、クリエイティヴの幅を広げていくこととは、対立することなくうまく結びついていると思いますか? フランツ・フェルディナンドはどのように年をとっていくのでしょう?

ハーディ:あの曲は、腐る直前のあの甘さ......じつはそこがいちばん味わい深く貴重な魅力を秘めているということを歌ってるんだ。それはとても重要なことでもある。
 バンドとしては、これまで学んできたものがあるからいまがあると思っているし、年数を積んできただけのものはあるつもりだよ。たとえば、創造性をうまく保っていくためにはスケジュールに踊らされていてはいけない。スケジュールからも解放され、ツアーからも解放され、お互いからも距離を置いて自分だけのスペースを持つことがどれだけ大切かということを過去の経験から学んだ。そしてこのアルバムを作る前にそういう時間をしっかり設けたということが、この作品の出来につながっていると思うし、そうしないとアイディアが生まれてくる新鮮な感覚が持てなくなってしまうんだよね。書きたいことがなくなってしまうというか。
 でもがんばってツアーなんかをしてきたから――その経験のなかから書くべきことが生まれているとも言えるわけだよね。それがいいかたちでいまの作品には出てると思うんだ。

"スタンド・オン・ザ・ホライズン"なんかはめずらしくストレートに弱みやエモーションを見せている曲だと思うんですが、これは気に入っていますか? わりと湿っぽいことも、そう湿っぽくはしないのがフランツ・フェルディナンドだと感じるのですが、それはバンドとしての姿勢というか、哲学のようなものなんでしょうか?

ハーディ:ああ、"スタンド・オン・ザ・ホライズン"ね、ありがとう! 僕のフェイヴァリットだよ、この曲は。そうだな、ダンス・ミュージックをギターで演じるというのがやっぱり僕らの根本にあるわけだから、音的に高揚感を持たせることは意識しているよ。歌詞のテーマはその都度変わるけれども、ちょっとしたメランコリーのようなものはどうしても出てしまうことがある。だから音によってそこを引き上げようということは、意図的に行ったりはするね。

フランツ・フェルディナンドは優れたバンドであるとともに、優れたエンターテイナーであるからこそ、ここまで人々に受け入れられるようになったと思うのですが、人を楽しませることと、自分が楽しむこととでは、基本的にはどちらが大切だと考えますか?

ハーディ:まずはやっぱり自分たちが楽しむことを大事にしているかな。そうじゃないと続けられないものね。だけど、まず自分たちが楽しむということ自体がなかなか簡単なことではないんだよ。4人の好みもバラバラだしね。そのあたりのチェック・リスト的なものが無意識にあって――たとえば誰かはこれが好きだけどポールはそれでは納得しない、とかってふうにね――そうやってそれぞれの嗜好をすり合わせながら曲を作っていくという過程自体が、広く受け入れられる音楽性を作っていくのかもしれないよね。というか、そうならざるを得ないということに近いかもしれないよ。

ele-king presents "ANTI GEEK HEROES" - ele-king

 もう何回も言ってることだけど、日曜は下北沢THREEで遊ぼうぜ!
先日告知したele-king本誌最新刊vol.10連動イベント「アンチ・ギーク・ヒーローズ」のことですよ。な、な、な、なぁぁぁんと、LowPass、カタコトに加え、ele-kingに欠かせないマン・オブ・タレント、踊ってばかりの国の下津光史(a.k.a The Acid House.)の出演が決定! イエー、ロックンロール~!

 さらにはDJに、いまや売れっ子のライター二木信が登場。某ラップ・ユニットのミックステープではフリースタイルで客演するなど、垣根を超えた活動をするこの男が一体どんな曲をスピンするのか......見所と言えば、もしかしたらこれが一番の......いやいや、新人カタコトを見て欲しい!

 というわけで、今週末、8月25日(日)、18時開場!
 マジ、頼みます。みんな、下北沢THREEで遊ぼう!



ele-king presents "ANTI GEEK HEROES"
8.25 (sun) 下北沢 THREE
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV / DOOR 2,000 yen (+ drink fee)
LIVE: LowPass / カタコト / 下津光史(踊ってばかりの国)
Opening ACT: バクバクドキン
DJ: 二木信

*公演の前売りチケット予約は希望公演前日までevent@ele-king.netで受け付けております。お名前・電話番号・希望枚数をお知らせください。当日、会場受付にてご精算/ご入場とさせていただきます。
INFO: THREE 03-5486-8804 www.toos.co.jp/3


Asian Dub Foundation - ele-king

 2011年3月4日、エイジアン・ダブ・ファウンデイションの、前作『ア・ヒストリー・オブ・ナウ』を引っ提げたツアー東京公演で軽くショックな場面を目にした。ギターのチャンドラソニックの発した「チュニジア、エジプト、リビアの市民にリスペクトを!」というMC(その通りのシンプルな英語だった)に対して、渋谷の会場を埋め尽くし、踊り狂っていた聴衆の大半が、きょとんとして反応しなかったのだ。よりによってこんなタイトルのツアーの公演に詰めかけた"ファン"(という言葉の定義を疑うが、それはともかく)が、あのとき地球上の最大の事件だった〈アラブの春〉に関心を示さない景色は、ステイジの上からどう映ったのだろう?(ピース・サインは、こういうときのためにあるはずなのだが)

 活動歴20年を数えるエイジアン・ダブ・ファウンデイションのヴェテラン・サポーターに対しては釈迦に説法だろうが、ADFは言わばひとつの学校のようなものである。そもそも彼らはベンガル(バングラデシュ、インド)・オリジンの恵まれない若者たちに音楽を教える東ロンドンの民間ワークショップ《コミュニティー・ミュージック》を背景に結成された。Dr.ダス(b.)やチャンドラソニック(g.)はそこで演奏を教える側にいたのだが、社会的バリアーによって抑圧されているマイノリティーの若者が同所で演奏技術を学ぶということは、社会に対して自分の意見を表明することと同義だった。そこでの教育とは、〈きみが大衆の前で演奏できるなら、政治的な集会で発言だってできる〉というものだったからだ(つまりその主眼は、社会的弱者として泣き寝入りしないために、音楽を通して社会に意見することを学ぶことにあった)。
 その後ADFは、《コミュニティー・ミュージック》をモデルとして、自分たち独自のネットワークの中に《ADFED(Asian Dub Foundation EDucation)》という、同目的の教育部門を作っている。若者たちに無料で音楽を教え、機材の使い方も手ほどきして自由に使わせ、卒業制作的に録音もでき、その曲は《ADF Sound System》でプレイされたり、実際にそこで作曲者がマイクを握ってオーディエンスに実地披露できたりもする。そういう組織体の前面に、アーティスト名義(バンド)としてのエイジアン・ダブ・ファウンデイションが存在してきたわけだ。
 例えば2000年の『Community Music』を最後に天才肌のMCディーダー・ザマンがグループを去ったあとにやってきたフロント2名:MCスペックスとアクターヴェイター(要するにあの「Fortress Europe」の2人)だって、別のグループのメンバーでありながら《ADFED》カリキュラムに参加した、同制度の最初期の"生徒"だったし、2人はその後《ADF Sound System》を経てADFの"本体"に抜擢されたわけである(その後スペックスは07年にフォーメイションから離れた。アクターヴェイターは一度離れたが再加入:現行メンバー)。

 つまりADFは、南アジア・オリジンの在英エスニック・マイノリティーの視点から、植民地政策、新自由主義経済システム、人種差別、宗教対立などに関する重大な問題にスポットを当て、リスナーを啓蒙し、考えさせるメディアであり、そして、自分たちと同じように音楽を媒体として世の中にプロテストする若者を育てる学校として機能している。そこでの"音楽"とは、社会的弱者のための厳然たる政治手段であり、カリキュラムとしてラヴ・ソングは扱われず、民族主義や権威主義は明確に忌避され、宗教的にもニュートラルであり続けている(今作からレゲエ・シンガーのゲットー・プリーストが戻ってきた現ADFでは、"違う神"を信じるムスリムとラスタファリアンが並んでマイクを握る)。
 そうしたスタンス/ポリシーと、そこから発せられるメッセージの質が厳格であればあるほど、それを高次で中和、かつ補強するための音楽的快楽を必要とする。それが彼らの"エデュテインメント"であり、そのために、バングラ・ビートなどのオリエンタル・ルーツ・ファクター、ブレイク・ビーツ、レゲエ、ラガにジャングル、ハード・パンク、ダブ・ステップ etc. が渾然とする彼らのサウンドがある。そのCDを買ってきて鳴らすことは簡単だが、共鳴することはまた別の話だ。それは、大なり小なり自分で学び、考えることを抜きにしてはあり得ない。
 ......と言うと堅苦しく聞こえるかもしれないが、ちなみにぼくがそのためにやっていることは単純だ。ADFの新作は、毎回必ず日本盤を買い、解説原稿と歌詞対訳を熟読しながら聴き込むのだ(彼らの曲を真に楽しむには、まず彼らのアクションや楽曲の意味を知ることが不可欠。各曲の背景に最初から通じていて、英語の聞き取りに問題のない人なら解説も対訳も不要だろうけれど、ぼくは残念ながらそうではない)。

 常に世界情勢に敏感に反応するADFだけに、今回は2011年のロンドン(とイギリス各地の)暴動や、〈アラブの春〉以降の世界を彼らがどう見ているのかに興味が湧くわけだが、今回も解説や歌詞対訳からいろいろな知識が得られた。大石始さんによる優れた解説原稿には、それらの出来事以外にも(2005年フランス暴動の問題の核心をその10年前に描いていた)マテュー・カソヴィッツ監督のフランス映画『憎しみ(La Haine)』と本作との関係性についても詳述されていて興味深い。ADF2003年の名盤『Enemy of the Enemy』にその名も「La Haine(ラ・エンヌ)」という同映画へのオマージュ曲が入っていたことを思い出して聴き返したり、あの映画が今も変わらずADFと深く通じていることを知って、久しぶりに観返したくなった。こうした発展的な刺激を与えてくれる解説原稿は楽しい。

 訳詞を読んで即、疑問が氷解したのが、アルバム2曲目のタイトル・チューン"The Signal and the Noise"の意味するところだ。先行公開されたPVを観ても漠然としていてよくわからなかったのが、訳詞を調べてピンときた。"the signal and the noise"は通信工学用語で("S/N比"はオーディオ用語としても知られるが)、これはそのまま、アメリカの若き統計学者ネイト・シルヴァーによる2012年のベスト・セラー本のタイトルでもあったのだ。で、ここでの意味は──世界は意味のある信号(有益な、正しい情報)と、ただ思考を惑わすだけのノイズ(ニセ/操作情報)の混交体であり、現象の正確な把握のためにはそれらの見極めが必要だ──という、つまり世に溢れる情報に対する注意を喚起する曲だったのだ。そう思ってPVを観返してみると、(動きを監視されている)白人青年が一体何に翻弄されているのか? ネクタイを締めたADFのメンバーが誰を演じているのか? ビルの屋上に逃れた若者は何を目にするのか? そのすべてがスッキリ理解できる。歌詞も映像もわざと抽象的に作ってあり、こちらに一歩踏み込んで考えさせる、さすがにうまい作りだ(すぐわからなかったオレが愚鈍なだけかもしれないが......)。

 アルバム・オープナー"Zig Zag Nation"は、問題が次々に生じて人びとが対立し、地域や国家の中に新たなジグザグした分断線が引かれていく状況を歌った曲だが、そのサビ部分の歌詞〈ジグザグな時代に生きる/厳しいかもしれないが、直線よりマシだ〉の、最後の部分にもしみじみ考えさせられた。日本でも、原発、憲法改正、米軍基地、歴史認識、多民族共生等々の問題が人々をジグザグに分断している。スッキリ直線的に二分されて両陣営が膠着してしまうより、むしろジグザグの突起部分が相手側に入り込み、刺激し合って対話を絶やさないところから距離を縮め、解決の糸口を探っていくしかない......というメッセージだと解釈したがどうだろう? そうだとすると、この"Zig Zag"という短い響きが含蓄するものは、この地球全体をもすっぽり飲み込んでしまう大きなものだ......。

 "The Signal and the Noise"にも先んじて、今年5月に本アルバムから最初に発表された曲が、アルバム3曲目の"Radio Bubblegum"。このヴィデオはストーリーがわかりやすいが、これも訳詞を読むと相当辛辣な内容であることがさらによくわかる。国が推奨するバブルガム(おこちゃま向け)なラジオ局への批判だが、金と権力を握る者たちがコントロールするラジオ放送とは、連中の金儲けとプロパガンダのためのメディアであり、市民を自分の頭で考えることのできない"おこちゃま(未成熟)"にしておくための装置だ、という曲だ。映像では、どんなものをラジオから流せばリスナーがイカれてしまうか(効率よく国民を"バカ"にできるか)を研究している。
 この曲に関してもう1点特筆すべきことがある。今作ではADF創始者のDr.ダスをはじめ、ドラムズのロッキー・シン、ヴォーカリストのゲットー・プリーストがバンドに正式に戻ってきたことも大きな注目点だが、その新生ADFの最初の曲のヴォーカリストが、わざわざバンド外部からフィーチャーされたLSKだったということだ。本アルバムの総合プロデュースは、『Enemy of the Enemy』以来となるエイドリアン・シャーウッドで、たしかにLSKはシャーウッドのお気に入りの歌手だ。しかしそれ以上に、この起用の仕方がADFという組織体の本質をはっきり示していて、その意味からも、活動20周年を記念する新アルバムのリード曲としてふさわしかったと思う。
 これまでを振り返っても、ADFはインストゥルメンタリストどころか、ディーダー・ザマンにはじまるヴォーカリスト(フロントマン)さえ代替可能な集団だったし、今回のように新生ADFのお披露目の曲にメンバー以外のシンガーを大々的にフィーチャーすることもできる。つまり肝心なのは誰が"メンバー"かではなく、誰が参加しても組織と音楽の性格が不変であることなのであって、それが彼らの政治運動体としての"コミュニティー・ミュージック"の肝なのである。極端な話、誰が入って、抜けて、戻ってもよく、運動体内部にヒエラルキーはなく、無論マイクを握る者に特別な権威を与えることもない。同じ敵に向かうのであれば、誰が声を上げてもいい(The enemy of the enemy / He's a friend)のであって、肝心なのは歌う人格ではなくて、歌われるメッセージだからである。

 と、ここまでいろいろ書いてきたけれど、これでもADFの新作から、ただ単に頭の3曲を紹介したに過ぎない。あとは各自、国内盤CDを買って1曲ごとじっくり取り組んで欲しい。最後まで強烈な、カッコいいアルバムだから。
 しかしこの国内盤......その内容の良さに加え、充実した解説、対訳ばかりかボーナス・トラックまで付いて1,980円というのは普通に考えてちょっと安過ぎる。言っておくけど、ぼくはレコード会社から飼われてはいない。ADFのファンであることを真剣に楽しんでいるだけだ。その点は信用して欲しい。


The Signal And The Noise


Asian Dub Foundation Ft. LSK - Radio Bubblegum

Prrrr... hello!! hello!?... - ele-king

 世界レベルで語られているTOKYOストリート・アイコンSk8ightTingを中心にT.Feltwell、Y.Hishiyamaらで奏でるアパレル・ブランド〈C.E〉と、セレクト・ショップの代表格のひとつ〈ユナイテッドアローズ〉が展開する人気ライン〈BEAUTY&YOUTH〉がオーガナイズするフリー・エントランスなパーティが大阪・心斎橋のONZIEMEにて8/30(金)開催される。

 原宿の格好いいレコ屋さんBIG LOVEからアルバムもリリースし、ele-kingにも何度も登場いただいているSapphire Slowsや、〈C.E〉からはスケシンさんトビーさんがDJとして参加(『ele-king vol.10』の特集を万が一読まれていない方はぜひ読んでファンタジー感アップして出かけましょう!!)。そしてグラフィック・デザイナーとしても広く認知される石黒慶太こと1-DRINKさんに、先日の〈TOTAL FREEDOM〉来日公演でもVJをかましていたBECONクルー(個人的に熱視線ちう)と、TOKYOストリート~ベースメントに乱反射するミラーボールの光が心斎橋に降り注ぐこと必至! 一方で地元大阪からはMobbinHoodのオーガナイズやノイズ・ビート・ダウン・バンドshe luv itにも参加するCE$がDJとして参加する。その存在感からてっきり首都圏にて活動していると思われても不思議ではないCE$とのシンクロニシティを、われわれは必ずや目撃することができるだろう。8月に終わりを告げる最終金曜日、大阪心斎橋。エントランス・フリーでもあるこのパーティはExpress Yourself、21st的に記すとExtreme Yourself、なのだ。


■DIAL: HELP!

LIVE:
Sapphire Slows (100% SILK/Not Not Fun Records/BIG LOVE)

DJ:
Sk8ightTing (C.E)
Toby Feltwell (C.E)
CE$ (she luv it/MobbinHood)
1-DRINK
POOTEE (BACON)

VJ:
BACON

DATE:
2013/08/30/FRI/8:00 PM~

ENTRANCE:
FREE (1 drink purchase required)

PLACE:
ONZIEME
Mido-suji Bldg. 11F 1-4-5 Nishishinsaibashi Chuo-Ku Osaka 542-0086
☎06-6243-0089
https://www.onzi-eme.com/




Luke Wyatt - ele-king

〈PPU〉のスリーヴ・デザインや映像作家として人気のルーク・ワイアットがこれまで使ってきたトーン・ホーク名義のセカンド・アルバムを自身のレーベルから、そして、本人名義のデビュー・アルバムをニック・ナイスリーのレーベルからほぼ同時にリリース。いずれもクラウトロックを基本としたもので、非常にフレッシュな感性を縦横に展開している。リーヌ・ヘルやエメラルズのようにノイズ・ドローンを起源に持つ世代とは明らかに咀嚼の仕方が異なり、ヴェイパーウェイヴのような抜け殻モードでもない。クラウトロック・リヴァイヴァルからコニー・プランク的な人工性を抽出し、しっかりと現在のシーンに定位置を見定めている。

 イーノ&クラスターにクラウス・ディンガーが加わったような『ティーン・ホーク』はこれまでの集大成といえるだろう。シャキシャキとしたパッセージで穏やかなメロディを引き立てるあたりは往年のクラウトロック・マナーそのままにも関わらず、ノスタルジーに回収されてしまう余地は与えず、全体的にシャープでさわやかな感性がキープされる。小刻みに反復されるドローンにも類まれなる抒情性が持ち込まれ、それほど音数は多くないのにイメージの広がりも圧倒的。これが本当にアメリカ人の音楽なのかと思うほど人間不在の自然観が伝わってくる。素晴らしい。

 一転して、メビウス&プランクを思わせる『10・フォー・エッジ・テック』はインダストリアルな要素も上手く取り入れた新機軸。これはフィンランドの海運業者から依頼を受けてつくったものだそうで、タグボートが氷を砕いていくときのBGMだかなんだかに使われるものらしい(ホントかなー)。強迫的なメトロノミック・ビートや全体として与えるシャープでさわやかな感触には変わりがなく、ダンス・ミュージックは意図していないのかもしれないけれど、妙なスウィング感まであって、この暑いのについつい体が動いてしまう(......ゲロゲロ)。

"スリー"

 ミニマルとしても目新しいし(とくに"ナイン")、アンディ・ストットとプラスティックマンが合体したような"シックス"が氷を一気に掻き砕くかと思えば、スーサイドを思わせる"フォー"はそれをじわじわと溶かし、ビート・ダウンした"セヴン"もじつにいい。単にダイナミックなだけではなく、相反するような音響効果を仕掛けることで、激しさのなかにも優しさを持たせてしまうところがこの人のセンスなんだろう。いや、もう、降参です。ルーク・ワイアットという人は、けっこう控えめに言ってもクラウトロックの新たなフォーマットを生み出してしまったのではないだろうか。考えてみればOPNに驚いたのがもう3年前。USアンダーグラウンドはとどまるところを知らず、2013年にはアレックス・グレイ、マシュー・セイジ、そして、このルーク・ワイアットをフロントラインに浮上させてきた。


SEIHOU
Abstraktsex

DAY TRIPPER

Interview Amazon

 勢いが止まらない! そして夏休みは終らない! 先月インタヴューにてele-kingにも登場してもらったSeihoのセカンド・アルバム、『ABSTRAKTSEX』リリース・パーティーがすごいぞ。ゲストにはUltrademonが参加! Seapunkがモニターを飛び出す! 迎えうつゲスト勢も、tomadからAvec Avecら盟友がズラリと一同に会した豪華な布陣。いま彼らのまわりに何が起こっているのか、目撃するチャンスは今日&明日。今年最高の「陸の海」へと、さあ、繰り出そう!


いよいよ今週! トロピカルなモチーフでファッションのトレンドにもなった10年代のネット/ユース・カルチャーを象徴する #Seapunk のオリジネーター Ultrademonが遂に日本へ初上陸!東京公演では新世代ビートメーカーの旗手Seihoのセカンド・アルバム『ABSTRAKTSEX』のリリパにゲスト出演!!

【Ultrademon Japan Tour 2013】

■8.16 (FRI) @ Circus Osaka with idlemoments
OPEN/START 18:00
ADV 1,500 yen / Door 2,000 yen (+1drink)

LINE UP:
Ultrademon
gigandect
Avec Avec
Terror Fingers (okadada+keita kawakami)
SEKITOVA
eadonmm
doopiio
kibayasi
Alice
?
VJ:
Tatsuya Fujimoto

FOOD:
カレー屋台村山ねこ

more info: https://idlemoments-jp.com

■8.17 (SAT) @ UNIT with Seiho ABSTRAKTSEX Release Party
OPEN/START 23:00 | ADV 3,000yen / DOOR 3,500yen

LINE UP:
[UNIT]
Seiho
Ultrademon
LUVRAW & BTB + Mr.MELODY
RLP
Taquwami
terror fingers (okadada & Keita Kawakami)
tomad
eadonmm

VJ:
ネオカンサイ
Kazuya Ito as toi whakairo

[SALOON]
Licaxxx
Redcompass
Mismi
Hercelot
FRUITY
andrew/Eiji Ando

more info: https://www.unit-tokyo.com


 新世代のラッパーたちよる9つのインタヴューを収録した、巻紗葉『街のものがたり』(ele-king books)が、このたびスタートする音楽トーク・イヴェント・シリーズ〈Songs in The Bookshelf [本棚の音楽]〉第一回で取り上げられることになりました! 当日は著者・巻紗葉(ロールシャッハ)も参加。切れ味するどいゲスト・スピーカー、三田格&矢野利裕両氏との会話のなかで、きっとこの本の新たな魅力が発見されるはずです!

ジュンク堂書店池袋本店で今週末から開催の「編集者が選ぶ本フェア」にはele-kingからも野田・橋元師弟コンビが選書に参加していますが、このフェアはもともと「(写真メインのものではなく)テキストを主体とした批評色の強い音楽雑誌やカルチャー書が売れている」という書店の現場での実感がもとになっています。

そんな状況を鑑みてele-kingにも時折寄稿している音楽書編集者の大久保が、音楽書の新刊を取り上げるイヴェントを立ち上げることになりました。単に本を紹介するだけでなく、本の中で扱われている音源を聴き、また関連する他の書籍なども取り上げながら、著者や識者を招いてお話を聞き、内容を掘り下げつつ、音楽を言葉で語ることの意味、音楽書の面白さと可能性に迫っていきたいと思っています。

第一回として取り上げるのはele-king booksより『街のものがたり』。ここに登場するラッパーたちはそれぞれに強い主張と思慮深さを併せ持った面々が並んでいます。そして黒子として彼らの言葉を引き出すことに徹したこの謎めいた著者は何を思ったのか。

ゲスト・スピーカーとしては矢野利裕さんと三田格さんをお招きしました。今年大谷能生氏・速水健朗氏とともにジャニーズについて考察した『ジャニ研!』を世に問うたのも記憶に新しい矢野さんは、独自に様々なラップ・ミュージックを継続的にチェックしてきたこともあり、また違った日本語ラップ観を持っているはずです。
三田さんはそこまでディープに最近の日本語ラップを追っておられないかもしれませんが、むしろこの本はそういう人にこそ読んでほしい本でもあるし、また日本におけるクラブ・ミュージックの受容をずっと見てきた方ならではの視点があるでしょう。

当日はほかにもここ最近のヒップホップ/日本語ラップ関連書を取り上げて紹介します。会場は壇上と客席の距離がとても近い店なので、来場の方もお気軽にご意見・ご質問いただければと思います。

■Songs in The Bookshelf [本棚の音楽]#1
「文化系のための"日本語"ラップ入門」
『街のものがたり ―新世代ラッパーたちの証言―』をめぐって

https://boutreview.shop-pro.jp/?pid=62135018

[出演] 巻紗葉、矢野利裕、三田格、大久保潤
[日時] 2013年8月19日(月) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] Live Wire Biri-Biri酒場 新宿
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
[料金] 1500円 (当日券500円up)

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します。参加費は2800円です(当日参加は3000円)。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。
※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。
※ご注文者には整理番号をメールでご連絡します。
 お申し込み時に住所をご記入いただきますが、チケットの送付はいたしません。
 当日会場受付にて、名前、電話番号、整理番号をお伝えいただければ入場できます。
※満席の場合は、立ち見をお願いいたします。
※お支払い後のキャンセルは一切受け付けませんのでご注意ください。
※銀行振り込み決済の締め切りは8/16(金)午後3時、カード決済の締め切りは当日午前0時です。

■街のものがたり
著者:巻紗葉
判型:四六判/256ページ
価格:税抜き1900円
発売日:2013年6月28日
ISBN:978-4-907276-01-0

Amazonご購入ページ


FUSHIMING 1st 12"EP "HEAVY MOON EP"が、HOLE AND HOLLANDから7月24日に発売されます。
ALTZ氏、KZA氏、INNER SCIENCE氏、SANDNORM氏がすでにプレイしています。コメントもALTZ氏、高木壮太氏、KZA氏、箭内健一氏から頂いてますので下記ホーランドのWEBにてCHECKしてみて下さい。

https://www.hole-and-holland.com
https://soundcloud.com/hole-and-holland
https://www.jetsetrecords.net/FUSHIMING-HEAVY-MOON-EP/p/724004639262

最近頻度の高い12インチシングルを選びました。


1
Thompson Twins - In The Name Love 12"Dance Extension - Arista

2
Venus Dodson - Where Are We Headed - WB/RFC

3
Sebastien Tellier - Broadway - Lucky Number Music

4
Azymuth - Ta Nessa Ainda Bicho_(Zed Bias 4×4 Remix) - Far Out

5
Blackjoy - Moustache - Yellow

6
Popnoname - Surrounded By Weather Remixes B1 - Italic

7
Torch Song - Prepare To Energize12" - I.R.S

8
Trussel - Gone For The Weekend - Elektra

9
Fernando - Endless Disco - Redux

10
Rharaohs - Island Time 12" - Spinning Wheel
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727