「K A R Y Y N」と一致するもの

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

宇都宮をホームに開催してきたB-Lines Delightが遂に東京に上陸! この記念すべき日にゲストに迎えるのはRob Smith aka.RSDと"野蛮ギャルド"なドラム&ベース・パーティ「Soi」よりDx!!師と兄が揃ったBLD的にこれ以上ない鉄板なメンツで送る6.30B-Lines Delight in Tokyo、よりカンペキな一夜をお約束します!
North Bass Music Movement
"B-Lines Delight" in TOKYO
2012.06.30(sat) open.24:00
@SECO www.secobar.jp
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/

BLDクルー、DD BlackのEPがAlterd Natives主宰EYE4EYE Recordingsより12"&Digitalでリリースされます!!リリース日及び詳細はブログで後程紹介しますので是非チェックしてください!

DJ END REWIND CHART


1
DD Black - EP - Forthcoming EYE4EYE Recordings

2
Henry & Louis feat.Prince Green - Love Like(RSD Remix) - 2Kings

3
Swindle - Do The Jazz - DEEP MEDi Musik

4
Grenier - Here Come The Dark Lights - Photek

5
ENA - Analysis Code - 7even Recordings

6
Pearson Sound - Footloose - PEARSON SOUND

7
Dubmonger - Experiments In Dub - Dubmonger

8
LHF - Keepers Of The Light - Keysound

9
VA - Shanggan Shake - Honest Jones

10
Death Grips - The Money Store - Epic

Hot Chip - ele-king

 ■以下、見出し例------------------------------

 ホット・チップも〈もしもし〉からデビューして8年が経つ。ザ・ビートルズであれば、とっくにコンサートはやらず、おまけの最後っ屁『レット・イット・ビー』を発表して解散裁判を開始している時期だ。

 サウンドと歌詞の相互作用というよりむしろ、歌詞の変化こそがこの端正に整理されたサウンドを求めたのだと言ってしまえるかもしれない。どうやら、この変化を指摘している日本語のレヴューはないようだ。

 アルバムを通してホット・チップが高らかに歌い上げているのは「プリーズ・プリーズ・ユー(お願いだから君を喜ばさせてくれ)」だ。リスナーへの応援歌。しかも、非常に啓発的で、啓蒙主義の性格が強い。

 もしくはUK的クラブ・ポップの進化論とねじくれた政治性のアクロバット、と同時に、UKガラージを横目に見ながら玄関先でお出かけ前の夫婦のチューをかまし、中産階級的前向きさであたりいち面のシニシズムにラヴラヴ度を見せつけたポエム型啓発本である。


 ■以下、本文----------------------------------

 ホット・チップも〈もしもし〉から『Coming On Strong』(「強引な振る舞い」の意)でデビューして8年が経つ。ザ・ビートルズであれば、とっくにコンサートはやらず、おまけの最後っ屁『レット・イット・ビー』を発表して解散裁判を開始している時期だが、幸いなことにホット・チップはいまだに世界をツアーで巡るし、ゆりかごから墓場まで―赤子から老人まで全人類/一生涯対応の、これ以上ないほど完成されたポップ・ソングを作り続け、5枚目のアルバムを発表したばかりだ。
 相変わらずの80年代のスムースなアップデート・サウンドとはいえ、モチーフはシンセ・ポップよりはむしろファンクやR&Bの影響が色濃くなっており、非常にスウィートなアルバムになっている。シングルカット曲"Night And Day"がプリンスの"All Day All Night"のオマージュであることはタイトルと節の引用(「make me feel alright」)とセクシャルな歌詞からも明らかだし、"Look At Where We Are"のサウンドは完全に(ホット・チップのTシャツではエナジードームを被せられている)R・ケリーだ。よく比較されていたニュー・オーダーの面影はだいぶ薄くなっている。"Now There Is Nothing"のテンポチェンジは決してビートルズほどナチュラルではないが、メロディはさながらエミット・ローズというかポール・マッカートニー以上にポール・マッカートニーに聴こえるほどで、影響といった枠から遂に抜け出し、完全にいまのポールを超えたのではないかと思う。

 2010年の前作『ワン・ライフ・スタンド』に対して、ファンからは賛否両論の声が上がっていた。クラブで安易に踊らせまいとするような批評的な態度のリズムを鳴らしてきたホット・チップ。彼らの変化球的なクラブ/ダンス・ミュージックのギミックを愉しんできた人たちにとって、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスからの影響が強い『ワン・ライフ・スタンド』のラフでシンプルなビートはあまりにも単調でスムース過ぎ、ゴスペルのように強調された歌声のハーモニーもダンスの邪魔だったのかもしれない(とはいえ、その予兆は2008年の『メイド・イン・ザ・ダーク』で見えていたのだが)。
 そんな『ワン・ライフ・スタンド』よりさらに歌声・メロディが強調されているにも関わらず、本作『イン・アワ・ヘッズ』が「いままでよりダンス・ミュージックになった」と数多から称賛されている理由は、歌の息がトラックとピタリと組み合わさり、リズムの構築をより強固なものにしているからだろう。それを実現に導いたのは、メンバーのソロ・プロジェクトでも引っ張りだこのエンジニアMark Ralph(マーク・ラルフ)の手腕によるところも大きいと思われる。

 しかし、本作『イン・アワ・ヘッズ』には、サウンド以上に歌詞においてかなり重要な変化が表れている。サウンドと歌詞の相互作用というよりむしろ、歌詞の変化こそがこの端正に整理されたサウンドを求めたのだと言ってしまえるかもしれない。どうやら、この変化を指摘している(少なくとも)日本語のレヴューはないようなので、ぜひここに記しておきたい。そして、なんといってもこの原稿が遅れたのは、その変化に筆者がひどく動揺して魘されてしまっていたからだ(野田編集長、すみません)。

 『ワン・ライフ・スタンド』(およびそれ以前の作品)と『イン・アワ・ヘッズ』のあいだにある決定的な違いは、メッセージを発する彼らの態度にある。

 ずっとずっとわかっていたんだ
 君は 僕の愛ある人生(マイ・ラヴ・ライフ)
 だから僕も 君のように輝けていいはずだ
"Hand Me Down Your Love"(2010)

 僕はただ 君の「一生かぎり」の相手になりたいだけなんだ
 教えて 君は 君の男の側に一生いますか?
"One Life Stand"(2010)

 前作『ワン・ライフ・スタンド』での歌詞から感じ取れるのは、恋人への真摯な愛を表明しつつも、そこに「自分は、相手のようには輝いていない」という劣等のコンプレックスが潜んでいることだ。それはレディオヘッドの"クリープ"のような自己嫌悪や諦念とも違い、コンプレックスが重要事項として歌われているのではなく、あくまで主題は相手に向けられた誠実な愛である。
 また、ルックスやサウンドを頻繁に「ナード」や「ギーク」などと揶揄されながらも、クラブ・ミュージックを意識的に分解しポップ・ソングに組み込んで8年ものあいだ歌ってきたのには、若さやセクシャルな熱狂を囃し立てる流行のダンス・ミュージックおよびそれを享受するクラバーに対する批評的な意識が彼らのなかに常に潜在し、そして、それはやはり劣等のコンプレックスに基づいたものでもあったということではないだろうか。ホット・チップ―つまり「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というバンド名にもそれが窺える。

 しかし、この『イン・アワ・ヘッズ』で歌うホット・チップは、そんな劣等のコンプレックスなどまったく忘れてしまったか、大したことではないとタカを括って開き直ってしまったかのようだ。そんな彼らの居直りを、端正で非の打ち所がないサウンドが、恐ろしいほどなんの疑いもなくガッチリと肯定している。1曲目"Motion Sickness"(モーション・シックネス)のイントロで威風堂々と吹かれるホーンなどは、まるで巨大な戦艦に乗って海の向こうから彼らがやってくるかのようだ。ゼロ年代を経て、彼らはテン年代のインディ・ミュージック大海戦での勝利を確信しているのだろうか。それどころか、むしろ、「自分たちは勝ったのだ」と高らかに宣言しているようでもある。

 そうか もうやっていけないと、君は思ったんだね
 (中略)
 僕らは強くなってきていると思うし
 僕らが帰着すべき場所も 僕は知ってる
 (中略)
 今夜 もし君がステップを踏みたいなら
 僕も君とともにステップを踏もう
 前に向かって歩こう 歩きとおすんだ
 君はあっという間に成長してしまうだろう
"Don't Deny Your Heart"(2012)

 このアルバムに収められているのは、いまある平和と愛を享受するための音楽であって、悲しみを和らげたり、苦しみからの救済をリスナーに施すようなポップ・ソングではない。"Don't Deny Your Heart"(君の心を否定しないで)――ここにある言葉は、光り輝く壇上から降り注いでくるような、いわば勝者のメッセージに感じられる。恋人を鼓舞するような歌詞はまるでビートルズの"プリーズ・プリーズ・ミー"(「お願いだから僕を喜ばせてくれ」)を思い起こさせるが、アルバムを通してホット・チップが高らかに歌い上げているのは「プリーズ・プリーズ・ユー(お願いだから君を喜ばさせてくれ)」だ。リスナーへの応援歌。しかも、非常に啓発的で啓蒙主義の性格が強いムードが、ほぼアルバム全体に流れている。これは、いままでのホット・チップには見られなかった態度である。彼らは、はっきりと変わったのだ。

 そんな彼らの変化を、僕は易々とは受け入れられないでいる。「Parental Advisory」シールを貼られていた8年前の『Coming On Strong』を恋しく思ってしまうほどだ。「君の『一生かぎり』の相手になりたい」と愛を乞うていた人間が、なぜ相手に「僕はいままでいつだって君の恋人だったでしょう」("Always Been Your Love")と歌うことになるのか。やはり、彼ら自身が「ハッピー・ノイズ」と形容する結婚・出産がもたらした力なのだろうか。"How Do You Do"の「君が僕を目覚めさせてくれる時―それが僕のとっておき」などは、もはや出勤前の夫婦のチューの光景と変わらない。僕のような新卒就職を逃がしたばかりの独り身フリーターにはなかなか堪える。いまのホット・チップはあまりにも眩(まばゆ)すぎて、向き合うのが苦しい。

 僕は、たったいま、君の方を向こうとしている
 見てのとおり、僕は薄っぺらい人間だよ
"Motion Sickness"(2012)

 某日、野田編集長から何の前触れもなく「大統領選どう思う?」と電話で聞かれたときに答に詰まってしまったのは、その質問の唐突さもさることながら、どうも4年前に比べて盛り上がっていないように自分には感じられるからだ。アーケイド・ファイアが「爆弾がどこに落ちるか教えてくれ」と歌い、ゼロ年代最高のアメリカ映画の一本『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』においてポール・トーマス・アンダーソンが石油産業の血塗られた歴史を掘り起こしたのが2007年。そのときアメリカのポップ・カルチャーにはたしかに政治があった。それからリーマン・ショックがあり政権交代がありオキュパイがあり......この2012年、ブルース・スプリングスティーンが「We take care of our own(俺たちは自分たちで支え合う)」と言うとき、その「We」はオバマが4年前に支持者たちと繰り返していた「We can change」の「We」と異なる響きをしているように僕には聞こえる。そこにはもう政治家には頼りたくない、という拒絶がいくらか含まれている(「俺たちは自分たちで支え合う、星条旗がどこで翻っていようと」)。長引く不況やイラク戦争の「終結」の残尿感を噛み締めざるを得ないオバマ政権の(かつての)支持者たちは、4年前の熱狂を自己反省してしまっているのだろうか......。

 電話で話を聞きながら僕は、この4年ほどのジョージ・クルーニーの円熟、そして枯れと疲労感について考えていた。カウンター・カルチャーに対するビターなノスタルジーあるいはレクイエム『ヤギと男と男と壁と』(グラント・ヘスロヴ監督、09年)、資本主義の暴挙に傷つけられるか弱い共同体によるささやかな抵抗『ファンタスティック・Mr.Fox』(ウェス・アンダーソン監督、09年)、人びとが職を失い衰退していくアメリカの上空をただ飛び続けるしかない『マイレージ、マイライフ』(ジェイソン・ライトマン監督、09年)......。クルーニーはそれらの映画で、人生の黄昏に突入する中年男の侘しさと諦念を静かに受け止めるかのように立っている(あるいは、発話している)。彼がそのような境地を醸し出せる俳優にまでなったという事実は、それこそ『ER』の頃から何となく追い続けていた自分には驚きだし、客観的に言ってもゼロ年代半ばにはコーエン兄弟やスティーヴン・ソダーバーグといったハリウッドの優等生監督たちとつるんだり、『シリアナ』(スティーヴン・ギャガン監督、05年)や『グッドナイト&グッドラック』(ジョージ・クルーニー監督、05年)、『フィクサー』(トニー・ギルロイ監督、07年)といったわかりやすくポリティカルな作品の「顔」を引き受けたりしていたことを思い返せば、その緩やかだがたしかな変化に何かを嗅ぎ取りたくなってくる。「ハリウッドでもっとも重要な男」にまでなっていたはずのジョージ・クルーニーが――いまもその地位は他に譲ってはいないだろうが――、しかし映画のなかではくたびれた中年であるのはどうしてなのか?


ファミリー・ツリー
監督/アレクサンダー・ペイン
出演/ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー他
配給/20世紀フォックス映画
2011年 アメリカ

Official Site

 今年日本で公開された出演作二作はとくに象徴的だ。自身が監督・出演しアメリカでは昨年公開された『スーパー・チューズデー』においてクルーニーは、若くカリスマティックで、そして革新的な――同性婚を若者との討論のなかで支持するような――大統領候補を演じている。ライアン・ゴズリングが扮するその参謀は彼をはじめ信奉しながらも、彼のスキャンダルを知ってしまうことで政治の泥仕合の渦中に放り込まれ、理想を失っていく......というのは原作の戯曲を書いたボー・ウィリモンが2004年の民主党大統領予備選挙で実際にした経験から着想を得た物語ではあるのだが、ここでクルーニーは民主党内部のリーダーに対する失望感、もしくはアメリカの政治のあり方そのものへの徒労?感の表象になっているのである。それが極めて2012年的なテーマのように感じられるのは、何も劇中でクルーニー演じる大統領候補の選挙ポスターがオバマのそれと酷似しているからだけではないだろう。そこでは民主党を支持し続けることへのいくらかの疑念や、政治そのものへの疲労感が滲んでいる。現実世界では変わらずオバマ政権を支持し、資金集めのパーティ(参加費は4万ドルだそうだ)を開催するいっぽうで、クルーニーはこの2012年にオバマ(あるいは政治)に熱狂することの難しさを代弁する。
 そしてアレクサンダー・ペイン監督の『ファミリー・ツリー』では、アメリカの辺境としてのハワイを舞台にしながら、白髪のジョージ・クルーニーは人生のどうにもならなさに翻弄されるばかりだ。もちろん、それはペイン監督が描いてきた中年以降の人生の苦さについての物語ではあるのだが、そこにこれまででももっとも枯れたクルーニーがいることでアメリカの斜陽を思う。昏睡状態に陥った妻の不倫を聞かされても、怒りの行き着く場所はない。そうたぶん、いまのアメリカでは正義や理想に基づく怒りの矛先は定まらず、何となく落ちぶれていく「中年男のような」侘しさが漂っているようなのだ。けれども『ファミリー・ツリー』は、全編を緩やかに覆うペーソスと拭いきれない愛によって、枯れてゆく人生をゆっくりと肯定する。

 きわめてアメリカ的なアイコンであり続け、浮き沈みを経ながらもゼロ年代を通して申し分ないキャリアを積んできたジョージ・クルーニーはいま、誰よりも年老いていくことを受け止めているように見える......それは、あの国がゆっくりと老いていることをどこか慈しむようでもある。チョコレートのカカオの成分が舌に残るようなその後味は、じわじわとたしかに衰えていくこの国に住む我々にも覚えがあるのではないか。
 4年前のような盛り上がりはまだ感じられなくとも、秋にもなればまた政治の季節はやってくるだろう。それまでは、この哀愁に浸ることも悪くはないと僕は思う。『ファミリー・ツリー』でクルーニーは、透き通った涙を流していた。

interview with Richard Russell - ele-king


Bobby Womack
The Bravest Man In The Universe

XL Recordings/ホステス

Amazon iTunes

 一作年は詩人ギル・スコット・ヘロンの(結局は......)遺作となった『アイム・ニュー・ヒア』を、昨年はアフリカのコンゴのミュージシャンとのプロジェクト、DRCミュージックによる『Kinshasa One Two』を、ともにデーモン・アルバーンらと共同で制作しているのがリチャード・ラッセル、〈XL・レコーディングス〉の社長である。
 今年に入ってつい先日も、フレッシュ・タッチなる名義でエチオピアのミュージシャンとの共同作業の成果を12インチ・シングルとして発表しているが、リチャード・ラッセルと〈XL・レコーディングス〉はこの6月にもボビー・ウーマックの『ザ・ブレイヴェスト・マン・イン・ジ・ユヴァース(The Bravest Man In The Universe)』をリリースしたばかりだ。1960年代から活動しているアメリカの超ベテランのソウル・シンガーをポップの最前線へとフックアップしたのはデーモン・アルバーンのゴリラズだったけれど、ウーマックにとって18年ぶりのオリジナル・アルバムとなる本作『ザ・ブレイヴェスト・マン・イン・ジ・ユヴァース』は、アデルの『21』がロング・セラー中のレーベル社長の音楽愛、そして同時に英国音楽産業のプライドの高さを感じる1枚でもある。

 ギル・スコット・ヘロンに引き続き、リチャード・ラッセルは、USのブラック・ミュージックの伝説にUKのクラブ・サウンドの――ベース・ミュージック以降の――モードを注いでいる。古いソウルと更新されたビートがある。つまり、『アイム・ニュー・ヒア』とジェイミー・XXによるそのリミックス盤『ウィアー・ニュー・ヒア』の2枚と同じように、『ザ・ブレイヴェスト・マン・イン・ジ・ユヴァース』は世代に関係なく楽しめるアルバムである......などと適当なことを言ってしまいそうなほど、アップデートされたソウル・アルバムとしての完成度は高い。
 たとえばアルバムのオープニングをつとめるタイトル曲、ウーマックによる迫力満点の、宇宙を震わせるかのようなヴォーカリゼーションからはじまって、そして鋭いビートがミックスされる、この展開、わかっちゃいるけどグッと来る。ウーマックのアコースティックな響きのブルース・ギターもフィーチャーされているように、『ザ・ブレイヴェスト・マン・イン・ジ・ユヴァース』はメロウで、とてもリラックスしている。情報筋によれば、このところUKではブロークン・ビーツがリヴァイヴァルとしているそうだが、たしかに僕は本作を聴きながらニュー・セクター・ムーヴメントの最初のアルバムの陶酔を思い出した。20年前にプロディジーで一発当てた社長が、10年前に4ヒーローがやっていたようなことをいまやるというのも、歴史を知る人には感慨深いモノがあるだろう......。まあ、そういうわけで、ジャザノヴァの新作とも共通した感覚を有している。

熱心な音楽ファンは、素晴らしいアーティストの音楽を聴けばその価値がわかるものさ。そして独自性があって素晴らしいアーティストを人びとに紹介するのが僕らの役割だ。そういう役割を担うっていうのはとても名誉のあることだよ。

ボビー・ウーマックの功績、素晴らしいキャリアについていまさら言うまでもありませんが、彼をリリースした理由は、彼があなたの個人史におけるヒーローのひとりだからでしょうか? それともレーベル・オーナーとしてのあなたにとって新しい試みのひとつとして重要だったのでしょうか? あるいは、あなた個人のプロデューサーとしての試みとして重要だったのでしょうか?

リチャード・ラッセル(以下、RR):〈XL・レコーディングス〉はただこのアルバムが良いアルバムだからリリースしたいと思ったんだ、それが唯一の基準だよ。もちろんボビーは偉大な功績を持った素晴らしいアーティストだけど、それだけでなくこのアルバム自体が彼自身の最高傑作と言えるだけのクオリティでなければならなかったんだ。

レーベルの経営と音楽の制作現場への介入とでは作業や考えることが違いますが、ギル・スコット・ヘロンをやり遂げたことで、あなたのなかによりプロデュースへの情熱が燃えたぎったんじゃないですか?

RR:ギルと一緒に働くのはとても光栄なことだったし、いろいろなことを学べる素晴らしい機会だった。そして間違いなく僕自身にとって、自分がどれだけスタジオが好きかを思い出すいい機会にもなったね。

こういうプロジェクトをやっていて何がいちばん面白いですか?

RR:僕は自分でクリエイティヴなことをする機会を持つってことと、他の人びとがクリエイティヴになれる環境を提供するっていうことが大好きなんだ。そういうことが楽しくてたまらないね!

あなたの言葉でボビー・ウーマックの音楽の魅力、そして彼の人柄を説明してください。

RR:彼はとても優しくて繊細であると同時にタフで厳格でもあって、それがとてもバランスのいい組み合わせになっていると思う。とてもユニークで、惹き付けるような魅力のある人物だよ。

デーモン・アルバーンのどんなところをあなたは評価していますか?

RR:デーモンとは、アフリカ・エクスプレスと一緒にエチオピアに行ったときに知り合ったんだ。その後一緒にコンゴに行って、Oxfam(イギリス発祥の慈善事業団体)のためのプロジェクト、DRCミュージックとしてアルバム『Kinshasa One Two』を制作した。彼は素晴らしいミュージシャンだし、みんなにやる気を起こさせる、非常にカリスマ性のある人物だね。

実際に今回のアルバム制作はどんな風に進行したのでしょうか?

RR:僕らは一緒にスタジオにあるテーブルを囲んで、ボビーはアコースティック・ギター、デーモンはシンセサイザー、僕はアカイのMPCを持って、一緒にジャムをしながらアイデアを引き出していったんだ。とても良い制作の仕方だったよ。

あなた自身、スタジオでは具体的にどんなことをしているのでしょう? プログラミングも自分でやられるんですか?

RR:僕自身はMPCとロジック、そしてCDJを使うよ。僕が20年以上かけて集めている膨大な量のサンプルやサウンドのライブラリがあって、それらを自分の手で実際に操作して使っている。あとは、アメリカのFolktechという会社が作っている楽器も使っている。どれもとても面白くて、変わっているんだよ。その他には生のドラムとパーカッションも演奏するし、その場にある楽器や叩けるモノ何でも叩いて鳴らしてみたりするのも好きだね!

ボビー・ウーマックといっしょに作業してみて、とても面白かったエピソードをひとつ教えてください。

RR:ボビーは僕が〈XL〉と関わりがあるとすら知らなかったんだ。彼は、僕がデーモンの連れてきたミュージシャンだと思っていた。とても光栄なことだね!

〈XL・レコーディングス〉の主要リスナーにとってギル・スコット・ヘロンやボビー・ウーマックのような音楽家はそれほど馴染みがないだろうし、ギル・スコット・ヘロンやボビー・ウーマックの昔ながらの年配のリスナーがジ・XXやM.I.A.に夢中になっているとも思えないですよね。とても興味深い文化的なシェイクだと思うのですが、反応はいまのところどうでしょうか?

RR:熱心な音楽ファンは、素晴らしいアーティストの音楽を聴けばその価値がわかるものさ。そして独自性があって素晴らしいアーティストを人びとに紹介するのが僕らの役割だ。そういう役割を担うっていうのはとても名誉のあることだよ。

ギル・スコット・ヘロンのファンがダブステップに興味を持ったなんていう話はありますか?

RR:すべてのものは繋がっているし、人びとはみんな広い視野を持って、さまざまなジャンルの音楽を好きになることができると信じているよ。

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僕自身はMPCとロジック、そしてCDJを使うよ。僕が20年以上かけて集めている膨大な量のサンプルやサウンドのライブラリがあって、それらを自分の手で実際に操作して使っている。

昔と同じように、いまの音楽シーンも愛していますか?

RR:僕は現在の音楽シーンが大好きだよ。驚くほどエキサイティングだし、音楽シーンっていうのはいつだってそうだ。本当に独創性のある音楽というのを探し続けることが大事だよ。

ラナ・デル・レイの起用は誰のアイデアですか? リスキーな起用とも言えますよね?

RR:〈XL〉のImran Ahmed(ヴァンパイア・ウィークエンドのマネージャー)が提案したことだよ。それまで僕は彼女(ラナ・デル・レイ)のことを知らなかった。彼女はスタジオで素晴らしい仕事をしてくれたよ、ボビーは彼女に感銘を受けていたね。でき上がったアルバムでも彼女の歌は素晴らしく聴こえていると思う。

アルバムのタイトルはあなたが付けたんですよね? どういう経緯で生まれたのですか?

RR:ボビーが書いて来た歌詞の中のフレーズで、ボビー自身それをアルバムのタイトルにしたいと思っていたんだ。

ギル・スコット・ヘロンのときのようにリミックスは当然考えてらっしゃるでしょうけど、もしも、すでにミキサーが決まっていたら教えてください。

RR:しばらくは時間をおいて、いいアイデアが出てくるのを待つよ。まずは人びとに僕らがアルバムとして作ったものを聴いてもらって理解してもらうのが大事なんだ。

〈XL・レコーディングス〉は今後もこうしたリジェンドとの共同制作を続ける予定はありますか?

RR:あまり先のことを予測はしないようにしているよ。いままで一緒にやったアーティストもみんな、もともとはそうなるとは予期していなかったしね。

実は自分は〈XL・レコーディングス〉がプロディジーの「チャーリー」がヒットしていた頃、1992年ですが、ロンドンのオフィスまで行って取材をお願いしたことがあります。たしか住宅街の坂を上ったか、下がったところあったように記憶しています。あの頃、〈XL・レコーディングス〉がギル・スコット・ヘロンやボビー・ウーマックのアルバムを出すことになるとは誰も想像できなかったと思います。しかし、あなた自身のなかには、いつかはこういうことをやりたいという夢がずっと前からあったんでしょうか?

RR:僕自身、元々ソウル・ミュージックに大して深い情熱を持っていた。その情熱が僕の血に流れているんだ。でもどの音楽のジャンルにも、何かしら好きな部分があるよ。そこに流れるスピリットが何より大事だね。

〈XL・レコーディングス〉はこの20年、なんだかんだとダンス・カルチャーと関わっていますが、20年前の良かったところ、そして現在の良いところとふたつについて話してください。

RR:いつの時代も誰かしら他と違っていてエキサイティングなものを作っている人がいるよ、いまならジェイミー・XXみたいにね。

レーベルのこの20年の歩みについてどのような感想を持っているのか話してください。

RR:昔を振り返ったりはしないよ、そしてできる限り先のことも考えないんだ。なるべくいま現在に集中して、いま自分がやっていることをやっている最中にしっかり体験するようにしている。

ここ1~2年のUKのインディ・シーンについてはどのような感想を持っていますか? ノスタルジックな空気も感じますし、ダブステップ以降のクラブ・ミュージックの勢いも感じます。

RR:どんなときも、どんなジャンルでも、必ず誰かマジカルなことをやっている人間がいるし、誰かしら純粋に独創的な人はいる。個人的には、ザ・ホラーズやジ・XXは素晴らしいと思うよ。

最後に、もういちど生まれたら、またレーベル経営をやりたいですか?

RR:いや、鳥になりたいな。彼らはすごく自由に見えるからね。


Various - ele-king

 なにも知らずにこのコンピレーションを聴いたら、どう感じるのだろうか......。ベッドルームで作られたローファイ・ソウル? ドリーミーで、ちょっとドラッギーでソウルフルなザ・フライング・リザーズ? これは......シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノが生まれる前の、1970年代なかばから80年代初頭の忘却の記録。
 
 スライ&ザ・ファミリー・ストーンの1971年のマスターピース『暴動(There's a Riot Goin' On)』には、スライ自身によるドラムマシン(リズムボックス)の重ね録りによるビート――麻薬的で、陶酔的なビート――が注がれていることは有名な話だが、〈チョコレート・インダスリーズ〉(1990年代後半から2000代にかけてアブストラクト・ヒップホップの拠点でもあったシカゴのレーベル)が発表する『パーソナル・スペース』、17曲からなるこのアンソロジーは、そうしたドラムマシンやシンセサイザーの普及にともなって、1970年代後半にひっそりと作られ、ドーナッツ盤としてひっそりとリリースされた"個人的な空間"すなわちベッドルーム・ミュージックすなわち黒人宅録音楽の記録だ。ダン・カーファンガとロブ・ゼヴィアによるライナーノーツにはこのように書いてある。「70年代から80年代前半に、自主制作の、多くの単独作業から生まれたエレクトロニック・ソウル。多くが耳にしたことのない、そのひっそりとした地下世界的姿を垣間見せてくれるのが本作だ」
 たしかに彼らが主張する通り、それらは「のどか、奇怪、ファンキーと姿を変える」「時代の先を行っていた広大なるサウンド」なのだ。シンセとBOSSのドラムマシンで作った1曲目のジェフ・フェルプスの"Excerpts From Autumn"を聴けばよくわかる。感情を引っ掻くようなひどく安物のドラムマシンの音がたまらない(フェルプスはもう1曲収録されているが、それはいわば黒いクラフトワークである)。以下、興味深い曲が最後まで続いている。ギター・レッドの"Disco From A Space Show "のドラミングは学研のおまけのような音質だが、しかし、これはシカゴ・ブルース界の巨匠による作品だというから驚きだし、ジェリー・グリーンの"I Finally Found The Love I Need"はヤズーの青写真のようであり、ベースラインはサイボトロンのようなロボット・ファンク。トライバルなキー&クリアリーの"A Man"もいいが、彼の人生の躁鬱病が影を落としているとライナーで説明されているスポンタネアス・オーヴァースローによるエレクトロ"All About Money"の不気味さは、オッド・フューチャーやクラウド・ラップともそう離れてはいない。
 スケベ心いっぱいのUSエリーズの"Are You Ready To Come?"やダビーなミキシングによるその"Pt.2 "、メーカーズによる風呂上がりでトロピカルな"Don't Challenge Me"、デトロイトのジョニー・ウォーカーによるプレ・ムーディーマンとも言える"Love Vibrator"......デボラ・ワシントン&ジ・アスターズによる出来損ないのファンク"Shortest Lady"、スティーヴ・エリオットによる哀愁を誘う"One More Time"、女のあえぎ声が反復する宇宙的ダブ"My Bleeding Wound"......。

 いまさながら、金をかけずにアイデアを捻り出す連中の音楽の素晴らしさを知る。アルバムの最後では、オーティス・G・ジョンソンによるシンセ"ゴスペル"ポップの"Time To Go Home"が彼らの栄光を讃えている。我々と同じように彼らも時代に翻弄され、決して平坦ではない人生を歩みながらもこんなに大きな、そしてユニークな夢を見ていたのである。

Cold Specks - ele-king

 夢を見ることさえ虚しく思えるこの時代に、それでも夢の世界を自由に、あるいは華麗に歩いて見せたのが、仮にビーチ・ハウスによるドリーミー・ソウルだったとすれば、コールド・スペックスは、数十年前にソウル・ミュージックが見た夢、その甘い記憶に耳を澄ませながら、沸き起こる余韻のいっさいを保留して、ささくれだった荒野を颯爽と、それも堂々と歩いている。素晴らしいモダン・ソウルの登場だ。ある時代を、しかもその時代のユースとされる世代が、同時代から消去された時代遅れなスタイルで生きること。それは二度と戻らない人生において、ある重要な季節を異邦人として生きることと言えよう。『ガーディアン』曰く、「過去100年のうちのどの時点で録音されたものだと言われても信じてしまいそうな」、なるほどたしかに同時代性の薄いオールドスクール・ソウルであるが、単なる懐古趣味とは言わせない気合、「私は誇りを持ってこのスタイルを選んでいるの」という迫力のようなものがある。

 『ピッチフォーク』によれば、コールド・スペックスを名乗るAl Spxは、現在24歳の女性シンガー/ソングライター(かつギタリスト)であり、「デモ音源が放つ強烈な印象」によって、今年早々に〈Mute〉と契約している。今月29日発売、エレクトロニック・ミュージックにおける"浮女子"特集を組んだ本誌紙版『vol.6』。そこに登場する先端的なアーティストとほぼ同年代であるが、彼女は彼女の道を行っている。そこでは、ビル・キャラハン(a.k.a. スモッグ)めいたミニマルなインディ・フォークが丁寧に紡がれている。あるいは、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのようなディープ・ソウルが、優美な弦アレンジとともに夜を照らしている。バンドはときに、エレクトリック編成とエモーショナルなコーラスによって、アーケード・ファイヤーを彷彿するロックの高揚感を打ち出してもいる。ホーン・アレンジも情熱の花を咲かせている。そして、ほぼすべての曲において、ゴスペルの祝福が舞い降りている。

 大げさではなく、『I Predict a Graceful Expulsion』は、モダン・ソウル・ミュージックの偉大なる1年となった2008年の火照りを少し思い出させてくれる。TV・オン・ザ・レディオの『Dear Science』、そして、ボン・イヴェールの『For Emma, Forever Ago』から譲り受けたような、情熱の手触りによって。惜しむらくは......アルバムに収録された約半分の曲が、オーヴァー・アレンジメントの装飾性に微妙に絡み取られている点である。これは作者に敬意を欠いた言い方だろうか? もちろん、インディのシーンから出発してさらに大きな世界を目指す過程において、すでに実績を積んだ人物たちと協働するのは、悪いことではないと思う。多くの人に会う前に、最低限の外装、身だしなみ、その清潔さに気を使うのは、むしろ自然なことだ。「メイシー・グレイのウィスパー版」なんて評が出るくらい洗練されたヴェルヴェット・ソウル、ないしはインディ・ゴスペルというべき本作の完成度は、リード・ギター以外のほとんどのサウンド・プロダクションに大きく関与したというジム・アンダーソン抜きには成し得なかったものだろう。

 だが、このポスト・インターネットの時代にあって、聴衆を広く集めるひとつの手段は、(矛盾するようだが)聴衆の一部を想定から捨てることでもあるのではないか。「売りたくてウズウズしている音楽」には、やはりどこか類型的な出力があり、仮にアーティストが古いイメージのリスナー像を想定しているとすれば、敏感なリスナーにはすぐバレてしまう。「この音楽は自分に向けられたものではない」と。私が言うのではあまりにも生意気だが、ポップ・ミュージックの短くも長い歴史は、そんな聴き手を相当数、すでに育てているはずである。事実、ナイトメア・ロックの"Hector"などをジ・XXと比較する評論家さえ、いるのだ。無名の段階で〈Mute〉とサインするような逸材だ、いるかもわからない不特定の聴衆に目配せをする前に、もっと小規模で親密なリスナーを信頼してもいい。『I Predict a Graceful Expulsion』には、少しだけ勇気が足りていない。日本語で書いても伝わらないのはわかっているが、それでも書く。あなたの素顔、装飾の裏側、そのほころびがもっと見たい。

Sapphire Slows First US Tour Diary! - ele-king

昨年末ロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉から12インチ・シングルでインターナショナル・デビューを果たした東京在住のサファイア・スロウズ。彼女がele-king読者のために去る3月のツアー日記を書いてくれました。現在のUSインディの感じがそれとなく伝わると思います。それはどうぞ!!!


Sapphire Slows
True Breath

Not Not Fun

Amazon iTunes

 こんにちは。Sapphire Slowsです。

 今年の3月に初めてのUSツアーで、ロサンゼルスとサンフランシスコとテキサスのSXSWに二週間かけて行ってきたんですが、そのとき書いていた日記を読んでもらうことになりました。(恥ずかしいけど!)

 最初にアメリカに行くと決めたのは去年の10月くらいで、〈Not Not Fun〉のブリットからSXSWに誘われたのがきっかけです。アメリカでツアーするなんて最初は想像もできなかったけど、レーベルの人たちやアーティストのみんなに会いたい! という気持ちが強くて、何はともあれ行ってみることにしました。少し時間が経ってしまったけど、いろんなことがあって最高だったので、とにかく、この日記を読んで向こうのシーンについて少しでも知ってもらえればなぁと思います。


ようやく対面した〈100%Silk〉のアマンダは、会うまではものすごくぶっ飛んでるんじゃないかと思ってたけど、実際に会ってみると小さくて華奢で、ものすごくかわいらしかった。

3/5
ロサンゼルス初日

 朝8時、LAに到着。LAでは車がないと不便すぎるので、すぐに空港の近くでレンタカーを借りて、アメリカで使える携帯電話も購入。とりあえず〈Not Not Fun〉のアマンダとブリット、その他にも会う予定にしてたアーティストたちに連絡をいれて、ハリウッド近くのステイ先にチェックイン。ランチを食べたあとは、LAで絶対行こうと思ってたWELTENBUERGERへ。ここはアマンダおすすめの服屋さんで、ヨーロッパやいろんな国のデザイナーの服やアクセサリーをおいてるセレクトショップ。二階建ての小さなお店だけど、本当にセンスがよくてとってもいい感じ。店内には〈100%Silk〉のレコードも置いてある。私はそこでピアスと黒いドレスを買って、そのあともショッピングや視察のために街中をブラブラ。

 夜はDUNESのライヴへ。他にも何組かやってたけどDUNESが一番よかったな。ギター/ヴォーカルはショートヘアの小さくて可愛い女の人、ベースは普通の男の人。そしてドラムの女の人の叩き方がエモーショナルで超よかった。そのあとは近くのビアバーで飲んで帰った。1日目は当たり前だけど見るものすべてがただおもしろくて新鮮でアメリカにきたなーという気分を始終満喫。ただの観光客。


DUNESのライヴ

3/6
ロサンゼルス2日目。 NNF & 〈100%Silk〉 Night @ Little Temple

 この日がアメリカで最初のライヴの日。というか正真正銘初めてのライヴ。ああとうとうきてしまったこの日がという感じで朝から緊張しまくりだったけど、夜まで時間があったのでPuro InstinctのPiperに会いにいった。Piperがたまに働いてるらしいヴィンテージのインテリアショップへ。彼女は女の子らしい感じだけどなんていうか強そうで、でもすごく優しくて、そしてとてもよくしゃべる。最近のPuroの話をいろいろしてくれた。いろんな人と共同作業しながら新しい音源を作っていて、次の音源は打ち込みっぽいこととか、もっと実験的な部分もあるのだとか。楽しみ!

 夜になって、「〈100%Silk〉 Night」の会場、Santa MonicaにあるLittle Templeへ。着いたらまだ誰もいなくて、どきどきしながら待っているとメガネで背の高い男の人がやってきて、「君、Sapphire Slows?」と話しかけてきた。誰だろうと思ったらLeechのブライアンだった。「僕も今日プレイするんだ、よろしくね!」「あ、よ、よろしく!」そのうちにみんなぞくぞくとやってきて会場に入る。行くまで知らなかったけど一階がライヴフロアで二階は〈dublab〉のオフィスと放送スタジオになっていた。すぐに〈dublab〉のDJでもあるSuzanne KraftのDiegoとSFV AcidのZaneがレコードをまわしはじめて、PAの用意ができるまでみんなでシャンパンをあけてわいわい。遊びにきてくれたPiperもすでにアガっている。なんだか素敵な部室みたい! そしてようやく対面した〈100%Silk〉のアマンダは、会うまではものすごくぶっ飛んでるんじゃないかと思ってたけど、実際に会ってみると小さくて華奢で、ものすごくかわいらしかった。「ハローキヌコ! やっと会えて本当に嬉しいわ!」私は皆に会えた感動でアワアワしつつ、「こ、これは夢じゃないぞ!」と自分を落ち着かせるのに必死......。


dublabのスタジオで。左からPuro InstinctのPiper, Austin, Suzanne KraftのDiego.

 この日、最初のアクトはソロアーティストのLeech。LeechといえばMiracles ClubのHoneyたちがやってる〈Ecstasy Records〉界隈の人だと思っていたけど、〈100%Silk〉ともしっかり繋がりがあったみたい。私の好みド直球の音で、最初からやられた。次のPharaohsは意外にフィジカルで、数台のアナログシンセやサックスなどを使って本格的に演奏していた。グルービー!転換の間はSuzanne KraftとSFV Acidが始終いい感じのDJをしてる。そしてやってきたLA Vampires、やばい! Amandaのダンスは神懸かっていて、音は最近のOcto Octaとのコラボレーションの影響もあるのか、過去のレコードと違ってかなりビートもしっかりした、ハイファイな感じ。

 私がライヴをしているあいだも、お客さんはあったかくて皆盛り上がってくれた。私はここに来るまでインターネットでしかフィードバックがなかったから、正直自分の音楽がちゃんと受け入れられるのか不安だったけど、たくさん反応があってなんだかすごくほっとした。ほっとしすぎて泣きそうになりながら二階で機材を片付けていると、SFV AcidのZaneがライヴよかったよと話しかけてくれた。そして色々話しているうちに「LAにいるあいだ暇があったらうちで一緒にレコーディングしよう!」という流れに。ワーイ。

 それからPeaking Lightsの後半半分くらいを見た。彼らはライヴに巨大なカセットデッキを使っていて、この日はいきなりテープが再生できなくなったり機材のトラブルも多かった。でもそれも含めアナログっぽさならではの良さがあってとても素敵だった。パーティが終わり、最高だった2日目も終了。


LA Vampires @ Little Temple

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家のなかは本とカセットとレコードだらけで、(Night Peopleのカセットが全部ある!)私が想像してた通り、というかそれ以上のセンスでまさに完璧な理想の家。全部の配置が、おしゃれなインテリアみたい! 

3/7
ロサンゼルス3日目。

 お昼過ぎにRoy St.のNNF Houseに遊びに行く。アマンダは出かけていて、ブリットが迎えてくれた。それからすぐLA Vampiresのニックも来てくれた。ブリットたちは去年の11月くらいに引っ越したばかりで、新しい家は本当に超かっこいい! 外の壁は全部紫っぽく塗ってあって、絵が描いてあったり、変な形の植物がいっぱいあったり。庭にはハンモック、納屋みたいな小さな離れはスタジオルームになってる。スタジオにはCasioのSK-1とかSK-5とか、おなじみの古いチープな楽器がいっぱい。家のなかは本とカセットとレコードだらけで、(Night Peopleのカセットが全部ある!)私が想像してた通り、というかそれ以上のセンスでまさに完璧な理想の家。全部の配置が、おしゃれなインテリアみたい! 家具も、アマンダの趣味の作りかけのジグゾーパズルも、ちょっとした置物も。将来こんなふうに生活したいよね......と誰に同意を求めるわけでもなく納得。かっこいいことしてるかっこいい人たちがかっこいい家に住んでてよかった。音と、人と、環境が、まったくズレてない。彼らのセンスを信じてて良かった。


Not Not Fun Houseの居間にてブリットと。


Not Not Fun Houseにて。壁にはカセットテープ。

 BrittとNickといろいろおしゃべりしたあと、お腹すいていたのでNNF Houseを後にし、Eagle Rockあたりにある、Brittに教えてもらったタイレストランへ。うまー。それからハリウッドの近くに戻り、Amoeba Musicっていう死ぬほどデカイ、あらゆるジャンルが置いてあるレコード屋さんに行った。90年前後のハウスのレコードを中心に掘ったけど、何時間あっても見きれない。そして古いレコードはほとんどが1枚2ドルで、クリアランスは99セント。安すぎるー。


レコードをディグる。

 夜は昨夜の約束通り、SFV AcidのZaneの家へ。待ち合わせ場所でZaneは絵を描きながら待ってた。彼はスケッチブックを持ち歩いていて、いつでもどこでも絵を描いてる。部屋にもそこら中に絵があって、どれもめちゃくちゃかっこよかった。彼にとって絵は音楽と同じくらいかそれ以上に大切なものなんだろうと思う。不思議で、ちょっと(だいぶ?)変で、でもちゃんと自分の考え方やこだわりを持ってて、そして何より本当は繊細なんだってことが、話してても作品を見ててもわかった。Zaneの家は地下がスタジオになっていたので、アナログシンセやTR-707、TR-909、TB-303などを使ってジャム! 声をサンプリングさせて、と言われて適当に歌ったりしてすごく楽しかった。



SFV Acidの自宅スタジオでセッション!

 そうしてるうちに誰かが家に帰ってきて、誰だろう? と思ったらなんと4ADのINC.のDanielとAndrewが来てた。ここが繋がってるとは思ってなかったのでびっくり。2階に住んでるらしい。ふたりは双子なので顔もそっくりで見分けがつかないくらいなんだけど、Danielが一瞬二階に上がって降りてくると「いま剃った!」とスキンヘッドになっていた。おかげで見分けがつくようになったよありがとう......。

 そのあとはしばらくみんなでダラダラ。INC.たちがご飯を作ってくれたので、お礼に煙草が好きらしいAndrewに日本のマルボロをあげたらすごく喜んでた。それから、僕も何かあげなきゃ、と渡されたのが大量のINC.のロゴ入りコンドーム。なんじゃこりゃ、と思ってよく見ると小さく<inc-safesex.com>のURLが。一体なんのサイトだろうとドキドキしながら、結局帰国してからアクセスしてみたんだけど......。それにしてもゴム作るってすごいセンス。余計好きになった! そんな感じで盛り上がっていると、Andrewが明日よかったら僕たちのスタジオにくる?と言ってくれて、次の日遊びに行くことに。

 そのあとはみんなでDown Townのクラブへ遊びに行った。そこは本当にLAでも最先端の若者たちが集まってるっていう感じで、みんなエッジーで本当におしゃれ、というか、垢抜けていてセクシーだった。この夜、私は楽しさと疲れで飲んでいるうちに緊張の糸が切れたのか、あまりに幸せすぎていきなり泣き出してしまった。みんなびっくりしてどうしたの!? と心配して慰めてくれたんだけど、こんなに素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、みんな友だちで、っていうのはそのときの私には東京じゃ考えられないことで、心底うらやましかった。ずっとひとりで引きこもって音楽を作っていたし本当はすごく寂しかったっていうのもあると思う。だからアメリカにきて、あまりにもたくさんの素晴らしい人たちに出会えたことが夢みたいで、号泣しながら、日本に戻りたくない! と思った。

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彼はスケッチブックを持ち歩いていて、いつでもどこでも絵を描いてる。部屋にもそこら中に絵があって、どれもめちゃくちゃかっこよかった。彼にとって絵は音楽と同じくらいかそれ以上に大切なものなんだろうと思う。

3/8
ロサンゼルス4日目。Korallreven/Giraffage @ Echoplex

 この日はLAでふたつめのライヴ。その前にINC.のスタジオに遊びに行かせてもらった。家の地下にあったスタジオとは別の、かなりちゃんとしたINC.専用のプライヴェートスタジオ。わかんないけど、4ADに与えられてるのかなぁ?スタジオは広い倉庫みたいなところで、中は真っ白に塗ってあってとてもきれい。天井からは白い透けた布みたいなのがたくさんぶら下げられていて、彼らの美へのこだわりを感じた。メインの空間にはiMacと、生ピアノ、シンセ、ミキサー、数本のギターとベース、ドラムセットがあって、それとは別にクッションで防音してある小さな歌入れ用の部屋がある。(スタジオの写真は彼らのサイトで見れるよ! でもつい最近レコーディングが終わって引き払っちゃったみたい。)

 ふたりは今新しいアルバムの最後の作業中で、そのなかの何曲かを聴かせてもらった。INC.のアルバムなんてもう聴かなくても最高なのはわかってるけど、やっぱり最高だった。それからふたりは曲を作りはじめた。AndrewがMPCでドラムを打ち込んで、Danielはピアノをひいてる。ふたりはもともと、他のアーティストのライヴのサポートをするスタジオミュージシャン? のようなことをしていたらしく、とても演奏がうまい。私はふたりの生演奏をききながらぼーっとして、このまま死んでもいいなって感じだった。そのくらい素晴らしい空間で、素晴らしい音楽で、ふたりが美しくてかっこよすぎたから! そんな感じでしばらく音を聴かせてもらったり、いろいろしてるうちにライヴのリハに行かなくちゃいけない時間になった。名残惜しかったけど、AndrewとDanielに自分のレコードを渡して、お礼を言って、お別れ。


INC.のスタジオにて。左奥がAndrew、一番右にいるのがDaniel.左手前がリハーサル前に迎えにきてくれたPiperで、右奥に立ってるのはPiperの友だちのJosh.

 この日のライヴはKorallrevenやGiraffageと。同じくUSツアー中のKorallrevenは意外ながら〈Not Not Fun〉が好きらしく、私が彼らのオープニングをつとめさせてもらうことに。場所はEcho ParkというLAのインディーシーンの中心にある、Echoplexという結構大きめの箱だった。私はこの日のライヴ中、実はあまり体調がよくなくて、ダウナーで頭がフラフラになってたんだけど、友だちを連れて見にきてくれてたPiperやBritt, Nick, Zaneたちはみんな暖かく見守ってくれた。


Sapphire Slows LIVE @ Echoplex

 ライヴのあと、私が明日LAを経つから、ということでPiperたちがホテルの屋上のバーみたいなところに連れて行ってくれた。オープンルーフで開放的な中、音楽がガンガン鳴っていて、ダウンタウンが見下ろせる景色のいいところ。夜景がすごくきれいで。きっと彼らなりに、普段行かないような特別な場所に連れて行ってくれたんだと思う。Piperはずっとおしゃべりしてたし、PuroのバンドメンバーのAustinはずっとハイテンションで踊ってる。Zaneはここでもずっと絵を描いてた。みんな同い年くらいで友だちみたいに接してくれたからすごく楽しかったな。LAのシーンでは結構若い人が多かった。Puro Instinctも、SFV Acidも、Suzanne Kraftも、INC.も、みんな20代前半。みんなと離れるのは本当に寂しかったけど、またアメリカに来たら遊ぼうね! 日本にも来てね! と言ってバイバイ。


ホテルの屋上のバーで、Austin, Josh, Piper, 私, Zane。(左から)

3/9
サンフランシスコ初日。Donuts @ Public Works w/Magic Touch & Beautiful Swimmers

 ロサンゼルスからサンフランシスコへ移動の日。朝早く出発。フライトは一時間くらいで、すぐサンフランシスコに到着。空港まではMagic Touch/Mi AmiのDamonが迎えにきてくれた。Damonはツアーのことも助けてくれていたし、アメリカに行くずっと前から連絡を取り合って一緒に曲を作ったりもしていたので、やっと会えたって感じで嬉しい! サンフランシスコでは一緒に作った曲をプレイできるのも楽しみだった。

 この日の夜はDonutsというDamonの友だちのKat(DJ Pickpocket)がオーガナイズしてるパーティでライヴ。とりあえずDamonの家に荷物をおかせてもらったあと、タコスを食べに行った。サンフランシスコではほぼ毎日タコスだったような......そのあとBeautiful SwimmersのAndrewとAriと合流して、アイスクリームを食べたり、公園みたいなところで犬と遊んだりビールのみながら夕方までまったりと過ごす。サンフランシスコにいる間はずっとMagic Touch、Beautiful Swimmers、Katと一緒に遊んでた。

 17時くらいに一旦サウンドチェックへ。会場はPublic Worksという、壁いっぱいに派手な絵が描いてあって素敵なところ。この日のライヴはMagic Touchと私だけだったので、サウンドチェックとセッティングを終えてDamonの家に戻ると、オーガナイザーのKatと、テンション高めのAndre(Bobby Browser)が来てた。Andreは大量のパエリアとサラダを作ってくれて、すごくおいしかった! みんなで腹ごしらえをしたあと、疲れていた私はパーティのオープンまでちょっとだけ寝て、ライヴのため再びPublic Worksへ。ライヴはこのとき3回目だったけど、まだ緊張で頭がぼーっとしてる感じがあって、なかなか慣れない......。

 ライヴのあとは外でAndreと話して、その会話がすごく印象的だった。機材についてきかれたから、Macと、中古のMidiコントローラーと、ジャンクのキーボードと500円のリズムマシンしか使ってないの、というとびっくりしてた。Andre いわく、「音楽を作るっていうこととDJをするのは全然ちがうし、DJをやろうとする人は多いけど作ろうとする人はあんまりいない。お金と機材がないと作れないと思ってる人が多いし、持ってる奴らに限ってみんな『僕はJunoもMoogも808も、あれもこれもたくさん持ってるんだぜ!』って機材ばかり自慢する。じゃあ君の音楽はどうなの? ときくと『それはちょっと......』って、肝心の音楽は作ってなかったりしてね。でも君は少ない機材でもちゃんと自分らしい音楽を作ってるし、もしもっとお金と機材があったらもっとすごいことができるってことじゃん!」私はそんなふうに考えたことがなかったからすごく嬉しかったけど、なんだか照れくさくなってなんて言えばいいのかわからなかった。それでまた「でも、日本にはこんなに素敵なミュージシャン仲間たくさんいないからうらやましいよ」って言ってしまったんだけど、Andreが「僕はOaklandに住んでるけど同じ趣味の仲間たちとミーティングするときは10人もいなくて、多くて7、8人くらいかなぁ? OaklandはHIPHOPのシーンが盛んだからあんまり仲間がいないんだ」と言ってるのを聞いて、どこにいても同じなのかもしれないなぁと思った。

 私の次にはMagic Touchがライヴをして、そのときにDamonと一緒に作った曲もプレイした。初めてで慣れないけど、一緒にライヴをするのはすごく楽しかった。Beautiful SwimmersのDJもかなり最高で、みんなで踊りまくった。思っていたよりディスコっぽくなくて結構ハードな4つ打ちばかりだったのは、最近の彼らの趣味かも。

 同じPublic Worksでは別の階にある大きいフロアで同時に違うイヴェントをやってて、(スタッフのChrisいわく、Burning Manみたいなイヴェント)そっちにも少しだけ遊びに行った。変なコスプレをしたり、変な帽子をかぶったり、頭に角をつけてる人たちがたくさんいて、異常に盛り上がっていた。どのへんがBurning Manだったのかは謎だけど、たぶんあのコスプレみたいな人たちのことを言ってたんだろう......。

 そのあと疲れてきた私はうっかり、階段のところでうたた寝をしてしまった(ほんとに一瞬)。知らなかったけど、アメリカではクラブで寝るのはタブーらしく? いきなりガードマンのいかつい黒人さんたちが3人くらいやって来て引きずり出されてめちゃ怒られた(まじで怖かったー!)。みんな私が疲れてるのを知っててかばってくれたけど、最初なんで怒られてるのかわからず、え? 何も悪いことしてないよ! 状態でした。寝るだけであんなに怒られるとは......。そう、場所によるとは思うけど、アメリカと日本のクラブで違うなぁと思ったところはいくつかあって、「絶対に寝てはいけない(経験済み)」「お酒は2時までしか飲めない」「イヴェント自体もだいたい朝4時までには終わる」「室内は絶対禁煙」っていう感じだったな。

 イヴェントが終わったあとみんなで歩いて帰って、朝7時頃に違うパーティでBeautiful SwimmersのDJがあったけど私は起きられなくてそのまま寝ちゃった。みんなが帰ってきたのは朝9時くらい!

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こんなに素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、みんな友だちで、っていうのはそのときの私には東京じゃ考えられないことで、心底うらやましかった。ずっとひとりで引きこもって音楽を作っていたし本当はすごく寂しかったっていうのもあると思う。

3/10
サンフランシスコ2日目。

 みんな帰りが遅かったので、昼すぎまで寝てる。昼ごはんはタコス。とはいえもう夕方だったけど。そのあとはみんなでドライヴ。「どっか行きたいとこある?」と言われて、ほんとは服とかも見たかったんだけど、Magic TouchとBeautiful Swimmersに女の子の買い物付き合わせるのもなぁ、と思って大人しくレコード屋に行きたいと言う。ということで、サンフランシスコで一番有名な通りらしいHaight Streetを通って(通っただけ)、Amoeba Musicサンフランシスコ店へ。LAよりは少し小さいけど、やはりデカイ。みんな大量にお買い上げ。でも私はもうこれ以上買えない......LAでも結構買っちゃったし、重すぎてひとりで運べなくなるから。機材もあるし仕方ないけど悲しいなぁと思っていると、KatとDamonがおすすめのレコードを1枚ずつ選んでプレゼントしてくれた。こういうのは宝物!

 夜は日本料理屋 へ。精進料理(のつもり)のレストラン。みんなたぶん私のために連れて行ってくれたんだけど、揚げ出し豆腐以外はまずかった!でもみんなで精進料理っていうシチュエーションがおもしろしすぎて十分楽しかった。夜はDamonと近くのクラブに遊びに行ったけど、疲れていたのであまり長居せずに帰った。

 みんな本当にレコードおたくで、とくにAndrewは昨日もこの日もめちゃくちゃ買ってた。そして家に帰ると「今日買ったレコード自慢大会」がはじまるのが恒例。なんかそういうのがいいんだよね。やっぱりみんな大好きなんだなと思って。あと、最近はなぜかコクトー・ツインズのCDがお気に入りみたいで、家でもハウスのレコードかけてみんなで盛り上がったあとは必ずコクトーツインズで落ち着いた。

3/11
サンフランシスコ3日目。

 起きてみんなで歩いて出かけて、昼ごはんはまたまたタコス。いいけど! 私はビーフサンドイッチみたいなのを選んだ。そのあとはぶらぶらしながらコーヒを飲んだり、アイスを食べたり、本屋やレコード屋にいってのんびり過ごした。街の小さなレコード屋で、〈Triangle〉からリリースしてるWater Bordersっていうバンドのレコードを買った。彼らはサンフランシスコに住んでて、Public Worksにも来てくれてたけどすごくかっこいい。

 その後は車に乗って、サンフランシスコで有名なGolden Bridgeっていう大きな橋を渡って、Muir Woodsという国立公園に行った。平均樹齢500歳以上のカリフォルニア・レッドウッドの原生林で、気持ちよく森林浴。そのあとグニャグニャした崖の道を走って、サンセットを見るために海へ行く。サンフランシスコの海岸はすごく広かった。車のなかでは大音量で音楽をかけてみんなテンションあがってハイになって、
 めちゃくちゃ綺麗なサンセットを見ながら幸せすぎてこのまま死んでもいいなぁと思った(二度目、いやほんとは三度目くらい)。


サンフランシスコの海岸で。Damon(左)とAndrew(右)と記念撮影!

 夜はみんなでIndian Pizzaを食べに行った。ピザの上にカレーがのってるような食べ物で、アメリカで一番おいしかったかも。サンフランシスコではほとんどダラダラ遊んで過ごしただけだったけど、住むならここがいいなと思えるくらい居心地のいい街で、やっぱり離れるのは嫌だった。でも明日はもうテキサスに移動する日。荷造りをして早く寝た。

3/12
SXSW初日

 朝早くにサンフランシスコを出発。空港へ。飛行機に乗ってすぐロサンゼルスやサンフランシスコでのことを思い出していると、ホームシックならぬカリフォルニアシックになって、なぜかひとりで号泣してしまった。飛行機のなかでだいぶ怪しかったと思う。ロサンゼルスもサンフランシスコも両方だけど、カリフォルニアは最高だった。本音を言うと、疲れもピークだったテキサスでの最初の数日よりもずっとずっと楽しかったし、すぐにでもまた行きたいと思った。泣き止んで気持ちが落ちついた頃にはソルトレイクに着いて、乗り換えてテキサスのオースティンについたのは夕方頃。

 オースティンにいる間は広い家に住んでる若い夫婦のエクストラルームを借りてステイした。家について挨拶したあと、バスや電車でSXSWのメイン会場のほうへの行き方を教えてもらって、夫婦に連れられてタコスを食べに行った(また!)。でもさすがに、本拠地テキサスのタコスは格別にうまい。フィッシュタコスっていう魚のタコス。ステイ先のエクストラルームは部屋もバスルームもすごく綺麗でずっと快適だった。この日はライヴを見たりすることもなく終了。

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みんな本当にレコードおたくで、とくにAndrewは昨日もこの日もめちゃくちゃ買ってた。そして家に帰ると「今日買ったレコード自慢大会」がはじまるのが恒例。なんかそういうのがいいんだよね。やっぱりみんな大好きなんだなと思って。

3/13
SXSW2日目。ここからは適当なライヴ・レヴューがメインかも!

 昼間は中心のストリートからちょっと歩いたところにある小規模な野外ステージでXray EyebellsやBig Dealを見る。芝生でビール飲んでごろごろしながら見たBig Dealはよかったな。アメリカ、テキサスで聴くUKの感じが新鮮で。男女2人組のメランコリックで優しい空気感。

 夕方からはこのあと何度も行くことになる会場Mohawkで『Pitchfork』のパーティへ。ここ、中心部にある結構メインでいい会場なんだけどいかんせん人が多くて入るのも大変。 Shlohmo,、Star Slinger、Sun Araw、Trustを見る。Shlohmoは若手のイケメンビートメーカーということでわくわくしてたけど込みすぎててほとんど顔見えなかった。音はもちろんいいよ! Trustは〈Sacred Bones〉からの「Candy Walls 」が大好きで本当に楽しみだったんだけど、最前列のファンたちがなんというかダサくて、テンションさがってしまった......逆にStar Slingerは頑張って真ん前まで見に行くと、気付けば周りに熱狂的なデブとオタクとオッサンしかいなくて妙に納得、より大好きになった。

 夜も更けてきて、そのあとは会場忘れたけど別のとこでSurviveとBodytronixを見た。どっちも最高。Surviveは見た目怖い人たちがヴィンテージのドーンとしたアナログシンセを横に4台並べてプレイ。最前列のファンもやばげな人たちが踊り狂ってていい感じ。Bodytronixはオースティンの2人組のアーティストで、見るまでは知らなかったのだけれど、そこにいた同じくオースティン在住のPure XのボーカルNateに「オースティンで一番かっこいいから見たほうがいいよ!」と激押しされ見てみると最高にかっこよかった。SFV Acidをもっとハードにした感じの音で、どツボでした。


Survive @ SXSW

3/14
SXSW3日目。

 昼間はまたMohawkへ。大好きなBlood Orangeを見る。ひとりでトラックを流しつつ、ギターソロを弾きまくりながら歌うスタイル。ステージから降りて激しくパフォーマンスをしているとき、記者会見並みにみんな写真を撮りまくっていてなんだかなぁという気分に。私は自分のライヴ中にパシャパシャ携帯で写真をとられるのが嫌いでそういうの見てるといつも嫌になる。Pure XのNateもライヴ中に写真撮られるの本当は嫌いなんだって言ってたなぁ。まぁその話はいいとして......人混みに疲れてしまった私はしばらくダウンして、夜になり同じストリートにあるBarbarellaでD'eonを見た。そのあと一度抜けて違うクラブに行き、Italians Do It Betterのドン、Mike SimonettiのDJで飲みながら踊る。どこに行ってもそうだったんだけど、私が行ったところには日本人が全くいなくて踊っても何してても浮いてた。そのあとBarbarellaに戻って見たPure XとBlondesは最高だった。Pure Xのサイケデリックでノイズな夢の中、ボーカルNateの唐突なシャウトは心のかなり奥の方にガツンときたし、NYからのBlondesはあの音で全部ハードウェアで演奏してるっていうのが超かっこいい。ああいうダンス的な音楽はもはやラップトップやMidiを使ってやるほうが多いと思うから。

3/15
SXSW4日目。

 またまたMohawkへ。もうドアマンに顔を覚えられている。ほんとはFriendsが見たかったんだけど、混みすぎてて並んでるうちに終わっちゃった(涙)ので、SBTRKTとCloud Nothingsを見た。SBTRKTは「?」だったけど、Cloud Nothingsはグランジな感じで演奏もよくてかっこよかった。そのあとメインストリートとは逆のサイドにある会場まで行って、Dirty Beachesを見る。なんというか本当にアジアの星だね、彼は。カナダだけど。見た目に関してだけ言うと、アジア人ってそれだけで普通は欧米人よりダサくなってしまうような気がするけど彼は違う。最高にエッジーでかっこいい。彼になら殴られてもいい! いや、殴られたい! そしてそこには同じくカナダのJeff Barbaraもいて、話していると彼らが仲良しなことが判明。Dirty BeachesとJeff Barbara、音は全然違うけど、なんかいいね。スタジオをシェアしたり、LAでのSFV AcidとINC.みたいにルームシェアしてたりとかそういうの。東京はどうだろう?なんて思ったり。音が違っても心が通じてる、そんな感じの仲間がたくさんいればいいね。

 夜はRed 7という会場で〈Mexican Summer〉ショーケース。〈Mexican Summer〉rはもちろん大好きだから本当は全部見たかったんだけど、この日は本当に疲れていて、最初のPart Timeだけ見て帰ってしまった。Light Asylumも、Oneohtrix Point Neverも、The Fresh & Onlysも、Kindnessも、死ぬほど見たかった! けど、ここまでの旅の疲れと、なんともいえない孤独感と、SXSWの人混みとクレイジーな祭り状態にしんどさがMAX限界状態だったのです。ちなみにPart Timeはめちゃくちゃダサかった(良い意味で)。

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私は自分のライヴが終わったあと、トリのPeaking Lightsを見ながら、明日には日本に帰るのかと思うと悲しくなりすぎて、またホロリ。何度目? 本当に帰りたくなくて。

3/16
SXSW5日目。NNF House Show@Hounds of Love Gallery

 あまりに疲れたのでこの日はライヴは見に行かず、自分のライヴのために体力温存&準備しながらまったり。

 夜。SXSWで最初のライヴはNNFファミリーの身内感あふれるハウス・パーティ。Hounds of Love GalleryはギャラリーではなくNNFのヴィデオなどを作っている映像作家Melissaのギャラリーっぽい自宅。そこによく集まってるらしいMelissaとそのアートスクール仲間たちはみんな映像を作ったり絵を描いたりしてる子で、年も私と同じくらいだったので話しやすかった。この日のうちにCuticleのBrendan、Samantha GlassのBeau、Willieと仲良くなり、彼らと最後の2日間遊び続けることに。

 ライヴはオースチンの漢(おとこ)、Xander Harrisからスタート。VJで怪しげな映像を流しつつ、途中から脱いでいた。彼の人柄は野性的なのか律儀なのかよくわかんない感じでおもしろかった。その次はCuticle! 話してると普通なんだけど、ライヴしてるときはなんともいえない色気があってぞくぞく! Cuticleは似たような音のアーティストたちのなかでもなんとなく奇妙さと個性があって好き。アイオワに住んでるからカリフォルニアのSILKアーティストたちとは場所的にも離れているけど、離れたところでひとりマイペースにやってるとこも共感できるのかな。Samantha Glassはゆったりとした、ディープでサイケでギターの音が溶ける心地のいいサウンド。私はこの日トリで、そこそこ飲んでいたし音響などの環境も悪かったけれど、とくに問題なくプレイできた。床でやったけどね。この日のライヴはMelissaのVimeoで見ることができるので興味ある人はこちらからどうぞ。(https://vimeo.com/40269662


ライヴ中はセクシーなCuticle @ Hounds of Love Gallery

 ハウス・パーティが終わったあとはCuticleとSamantha Glassと違うパーティに遊びに行って、そこでSleep Overをみた。他のメンバーと別れひとりになったSleep Over、心無しかライヴも悲しく哀愁が漂っている。そして変な弦楽器を悲しげに弾いている。嫌いじゃない......。そのあとはお腹がすいたのでみんなでスーパーにいって、ご飯を買ってかえった。

3/17
SXSW6日目。最終日そして最後のライヴ。Impose Magazine Presents The Austin Imposition III @ Long Branch

 前日からもはやお祭り騒ぎのSXSWに疲れ果て、他のアーティストのライヴを見に行くことを放棄している私。この日、昼間はCuticleのBrendan、Samantha Glassのふたりとその友だちの女の子たち6人くらいで車に乗って郊外へ遊びに行った。なんとかSpringっていう池なのか川なのかよくわからないところで泳いだり飛び込んだりして(飛び込んではしゃぎまくってたのは主に男たち)、遊んだあとはSXSWに戻って会場入り。アメリカで最後のライヴだ......。Cuticle、Xander Harris、Peaking Lightsとは二度目の共演。この日初めて見たキラキラで怪しさMAXの女子ふたり組Prince Ramaのパフォーマンスはすごかった。ライヴっていうか、儀式。ダンスが最高で、取り巻きファン的な男の人たちもかなり熱狂的だった。Tearistも力強いというか強烈なインパクトがあって、ヴォーカルの女の人の髪が扇風機的なものでずっとTM Revolution並になびいていた。私は自分のライヴが終わったあと、トリのPeaking Lightsを見ながら、明日には日本に帰るのかと思うと悲しくなりすぎて、またホロリ。何度目? 本当に帰りたくなくて。でもみんなに背中を押されつつなんとか帰って、無理矢理荷造り......。

3/18
帰路

 早朝に出発、したにも関わらず飛行機が5時間くらい遅れてやってきて、デトロイトで乗り換えできなくなってしまった。よくあることらしいんだけど、想定外のホテル一泊。ここで帰るのが遅れても嬉しくないよ。結局丸一日半ほど遅れて日本に帰国。ただいま。

あとがき

 日記、めちゃくちゃ長くなっちゃった。読んでくれてありがとうございました。行くまでは大変だったけど、楽しすぎて何度も日本に帰りたくないと思った。でも向こうのアーティスト同士のつながりやシーンを見ていて、東京でもこれからやっていけることがたくさんあるんじゃないかなと思ったし、離れた場所にたくさんの仲間がいることがわかって、どこにいても何をしてても、ちゃんとつながっていけるんだなぁと実感。それが一番の収穫かな? とにかく行ってよかった。またいつでも行けるようにこれからも音楽作っていこうと思います。

オワリ

 

※この続きは......というか、彼女のインタヴューは、紙版『ele-king vol.6』にてご覧ください!


Burial Hex - ele-king

 たしか椹木野衣先生に自分の作品をプレゼンした際、僕の米国にてレイシズムに出会ったことがない......という発言に対し、氏にLAやNYは米国じゃないですよ......と言われたことがあったっけ。本当の意味でU.Sインディー・シーンを考察するに当たって、僕にとってまったく何のイメージも沸かない地方をヤサにするアーティストは魅力的であったりする。ピーキング・ライツ(Peaking Lights)、ゾラ・ジーザス(Zola Jesus)、そしてこのブリアル・ヘックス(Burial Hex)、彼らはウィスコンシン在住のミュージシャンだ......どこ?(読者のなかのウィスコンシン在住もしくは出身者の方々、無礼をご容赦下さい。これが意味するのは無知無学かつ超観念的な筆者です)
 米国の友人たちにウィスコンシンって何かシーンあんの? と訊ねてもみな一様に知らぬのひと言。じゃあ何でこんな変なバンド出て来んの? と訊ねてもみな一様に冬寒いからみんな籠って変な事してんじゃん? の釈然としない回答。インターネットが空気のような存在になった現在も音楽における地域性が損なわれないのは不思議でならない。

 クレイ・ルビー(Clay Ruby)の"黒い"クリエイティヴィティは留まることを知らない。過去から現在にかけて彼が手掛けて来たプロジェクト、Second Family Band、Wormsblood、Journey to Ixtran、Zodiac Moutains、 Davenport等などなど......のなかで彼がメインで精力的な活動をおこなってきたのがブリアル・ヘックスである。ホラー・エレクトロニクス、ネクロ・ディスコ、はたまたデス・インダストリアルなどという耳慣れない甘美な響きで形容されるこのプロジェクトはクレイの一貫した禍々しいヴィジョンである古代の"魔術"を相方であるナサニエル・リッター(Nathaniel Ritter)のエレクトロニクスによって現代に再構築させるサウンドだ。
 ......はい、この文章がキモいと思ったそこのアナタ。騙されたと思って彼らのレコードを聴いてみなさい。え? 騙された? いやいや、彼らのサウンドが持つ多様性はそれこそヒップスターが集うようなゴス・パーティからガチでスカムなノイズ・イヴェントまで実際に彼らが足を運んで来たライヴの場が表すように幅広い。まだ未聴だが本作『Book of Delusions』のリミックス盤は完全にクラブ・ミュージックのフィールドでもある。昨年脅威のクソ・ディスコ・サウンドへと変貌を遂げたプリュリエント(Prurient)といい、三田格氏が語るように昨今のノイジシャンのエレクトロ化は大変面白いが、それは本当にギリギリのバランスの上でしか成立し得ないものに思える。そういう意味でブリアル・ヘックスのこのギリギリのセンスは素晴らしい。プリュリエントの変貌は単純にキモいなーと思ってしまったが、Prurient(病的なほど猥褻な)という意味では逆に僕の反応は彼の思うツボなのかもしれない。

 クレイ曰くこのアルバムと〈Sound of Cobra〉よりリリースされた『in Psychic Defense』を最後にブリアル・ヘックスしての活動にはひとまずピリオドを打つそうで、僕が長年の望みであった対バンもどうやらあきらめざる終えなそうだ。だって対バンしたあらゆる友人たち曰く、ウィアードな奴だ。友達になれそうな気がしない。とみな口を揃えて言われると、性格と根性がねじ曲がった僕はさらに会ってみたいと思うのだ。

Chart by JET SET 2012.06.18 - ele-king

Shop Chart


1

Anna Lunoe & Friends - Real Talk, Dj Hmc Dirty House Dub (Future Classic) /
オーストラリアの名門Future Classicから登場の大注目作!女流プロデューサーならではの感性を感じさせるクラシカルなアルペジオ・ピアノを大胆にアレンジした今年のサマー・アンセム"Real Talk"収録!

2

Bepu N'gali - I Travel To You Remixes (International Feel) /
バレアリック・トップ・レーベル"International Feel"より先日リリースされたボツワナのプロデューサーBepu N'galiによる傑作「I Travel To You」をTim 'Love' Lee & Rune Lindbaekがリミックス。

3

Four Tet - Jupiters / Ocoras (Text) /
リプレスを果たしたBurialとのコラボ盤『Nova』がヒット中の天才Four Tet率いるTextから、最新鋭Ukベースとも連動する孤高のレフトフィールド・ミニマル・サウンドが到着です!

4

Secret Circuit - Jungle Dogs,Jungle Bones - Inc.Tiago & Prins Thomas Remix (Internasjonal Spesial) /
Rub-N-TugのThomas BullockとのプロジェクトLaughing Light Of Plentyでも知られるEddie RuschaによるプロジェクトSecret Circuit最新作!Eneなどからのリリースでも注目を集めるTiagoと、レーベルオーナーPrins Thomasによるリミックスを収録!!

5

Pollyn - Sometimes You Just Know - Dj Harvey / Moodymann Remix (Music! Music Group) /
Dj Harvey、Moodymann Remixを収録!アメリカ西海岸を拠点に活動する、ヴォーカルのGenevieve Artadi、ギターのAnthony Cava、パーカッショニストのAdam Jay Weissmanの3人から成るシンセ・ポップ・バンドPollynによる作品!

6

Julien Dyne - Glimpse (Wonderful Noise) /
Nzの至宝Julien Dyneが先の2ndアルバムから11曲入りミニ・アルバムをリリース!ジャズ、ソウル、ヒップホップ、エレクトロ、デトロイト・ビートダウン、ポストロックEtc.を消化し、美しくもまた新たな強靭なビートを鳴らす注目作!

7

Coach Station Reunion - Eli E.p. (Discos De Kirlian) /
甘く爽やかなシンセとナイーヴで柔らかいメロディ、涼しく淡いビートが海岸の風のように吹き抜けるサマー・ネオアコ・ポップ。注目のデビュー・7インチ!!

8

Robin C & Omar V - Complete Skatebard Remix / (Full Pupp)

9

Bamboos - Medicine Man (Tru Thoughts) /
Aloe Blaccが歌う冒頭曲、James Blake必殺カヴァー、Kylie Auldistが歌う激燃えファンク等々、これまで以上にキャッチーかつパワフルに!!同内容のCdも封入。

10

House Shoes - Let It Go (Tres) /
House Shoesの待望のオフィシャル・アルバム!客演にはBlack MilkやGuilty Simpsonを始めとし、Nottz, Oh No, Med, Danny Brown, Alchemist, Shafiq Husaynなど強力メンツが参加! ※ゲートフォールド・ジャケット、ライナーノーツ、ダウンロード・コード付。

Hot Chip in DOMMUNE - ele-king

 ABBAは持ってないし
 GABBAはプレイしない
 ZAPPが好きなんだ
 ZAPPAじゃない
 だから、そのタワゴトは止めてくれませんか
 僕はMACCAを選曲してる
 ここはAIYA NAPAじゃないんだよ
 僕がラッパーに見えるかい?
 
 僕 が ラ ッ パ ー に 見 え る か い ?
 
        ホット・チップ"ナイト・アンド・デイ"(2012)


 見えません。

 ele-kingの読者のみなさん、初めまして! ホット・チップくんです。ファンサイトなき時代に、ホット・チップの情報を垂れ流すツイッターをやっています(https://twitter.com/#!/HOTCHIPjp)。パブリック娘。というグループでラップもやっているぞオラオラ。辛辣な合評を待ってます。ライターとしては、ele-kingの癌あるいは恥部のようでありたいと思っています。毒ポスト・ツイッタラーのみなさんもどうぞお手固くよろしくお願いします。

 さて、チケットもどうやら完売の<Hostess Club Weekender>2日目での来日公演に併せて、ホット・チップのアレクシス・テイラーとアル・ドイルがDOMMUNEでDJをするぞ。1年前にアレクシスと話をしたときはDOMMUNEのことをまったく知らなかったようなのに、今じゃ出演するようになるなんて。ホット・チップも大きくなったんだなと思うよね。アレクシスの背も伸びているのだろうか。
 新譜『In Our Heads(イン・アワ・ヘッズ)』もどうやら絶賛の嵐で、これをきっかけに日本でのブームがようやくやってきたのかもしれません。僕は、新譜には複雑な思いがあるのだけど!

 冒頭にも上げた新曲"ナイト・アンド・デイ"やオフィシャル・インタヴュー(https://www.iloud.jp/interview/hot_chipin_our_heads_1.php)で語っているように、あまりにも注文をつけるとレコードを投げ飛ばし、DJ機材をなぎ倒してしたことがあるとのこと。温厚なアレクシスが暴れているところはなかなか面白そうなので、ぜひ「ザッパをかけろ!」「おい、ラッパー! ガラージをかけろ! プリンスはかけるな!」とリクエストしてみよう(ただし、PCの前でね)。ハッシュタグは#DoILookLikeARapperで。
 そうでなくて、まったりとグッド・ミュージックに身体を揺らしたい人はぜひ現場へ!あと、眼鏡男子に萌えの女子もね。先着50人だなんてあっという間だから。

予約はコチラから!

 1年前、アレクシスはagehaで開催された<KITSUNE CLUB NIGHT>で朝4時から2時間DJを務めたのだけれど、アゲアゲでイケイケなパーティーピーポーは、ジルダや80KidzやHEARTSREVORULTIONで踊りきったのか、アレクシスのプレイしはじめたミニマルなテクノをBGMに「おつかれー!」とばかりに続々と帰っていった。アレクシスはさして気にしている様子も見せず(でもきっと気にしてる)、まったり身体を揺らす客に「やっぱり、これいいよね」と無言で語りかけるかのようにYAZOO(ヤズー)の"Situation(シチュエーション)"をプレイし、自身のヴォーカル曲でマイクをとり客を盛り上げ(分かってやってるのがニクい)、ポール・マッカートニーの"Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)"を笑顔で流しながら締めくくるのだった。
 アレクシス、それ2年前にも流していたよね。今年も待ってるよ。


斎藤辰也akaホットチップくん

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