「K A R Y Y N」と一致するもの

DBS 15th Anniversary - ele-king

 音が好きな若者たち、クラブに行きましょう。音楽を大音量で踊りながら聴くってことは、音好きにとっては気持ち良い以外の何モノでもないですよ。

 さて、今週はベース・ミュージックで東西が揺れる。ジェームス・ブレイクの東京公演のアンコールで彼は、予定になかった"ANTI DUB WAR"を歌ったわけだが、そのときの会場の静まり方が傑作だった。いったい何人のオーディエンスがそのオリジナルを聞いているというのだろう(名古屋は"ANTI DUB WAR"で大盛り上がりだったという。名古屋、偉いぞ!)。
 そして、そこで"ANTI DUB WAR"を歌うブレイクが、何をオーディエンスに問うていたかは知る人にとって用意に想像できる。「僕はここから来たんだよ。そしてその最良の出発点にいるひとりがマーラなんだ」、そんなところだ。ダブステップの歴史はいま、DMZとコード9といったアンダーグラウンドの活動家を出発点とするものとして書き換えられている。

 その"ANTI DUB WAR"の作者、マーラがドラムンベース・セッション15周年のゲストとして、そして大阪のベースの祝祭拠点、Zettai-Mu16周年のためにやってくる。マーラだけじゃない、ベテランのカリバー、ゴス・トラッドやマコトといった連中が東京で迎えれば、大阪(いまもっともクラブ・カルチャーが抑圧されている町)では、不屈の精神を持つ男KURANAKAが、なんと深夜営業なしの2デイズとして、これまた濃い連中をオーガナイズする。DJノブとかこだま和文とかクワイエットストームとかONOとか......。というか、いまこの時期だからこそZETTAI-MUを盛り上げないと。

 なお、11月24日、DOMMUNEでは7時から9時まで、「ドラムンベース・セッションこの15年」特集をやります。どうか、現場まで足を運んでトークに参加してください!!


feat. MALA - DIGITAL MYSTIKZ

■2011.11.26 (SAT) at UNIT
feat. MALA - DIGITAL MYSTIKZ

 CALIBRE
 GOTH-TRAD
 MAKOTO
 YAMA a.k.a SAHIB

vj/laser: SO IN THE HOUSE

B3/SALOON: DX, TETSUJI TANAKA, DJ MIYU, DOPPELGENGER, DUBTRO , OSAM "GREEN GIANT"

open/start 23:30
adv. ¥3500 door ¥4000

info. 03.5459.8630 UNIT
https://www.dbs-tokyo.com

★UKアンダーグラウンド・サウンズのリアル・ヴァイブスを伝えるべく1996年11月にスタートしたDBS (DRUM & BASS SESSIONS)が15周年を迎える。この15年間でドラム&ベース音楽は遺伝子となり、絶えることはない。そしてダブステップの潮流も同様、ベースミュージックと包括されつつも未来へ繋がって行くことだろう。DBSにとって節目となる今回の"DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ"は、深遠なる独自の音宇宙を創るCALIBREとMALAの3度目の競演が実現!そして日本から世界に羽ばたくMAKOTO、GOTH-TRAD、YAMA a.k.a SAHIBらの参戦も決定!

MALA - DIGITAL MYSTIKZ (DMZ, Deep Medi Musik, UK)
MALA ダブステップ・シーンのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、一躍脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとMALAの知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年に自己のレーベル、Deep Medi Musikを設立して以来、自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。そして昨'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』をアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールで自己の音宇宙を明示する。MALAの才能はMARY ANNE HOBBS、FRANCOIS K、ADRIAN SHERWOOD、ROB SMITH、GILLES PETERSONらからも絶賛され、世界各地からDJのオファーは絶えない。今回の来日公演もダブステップの真髄を体感させてくれるに違いない。"Come meditate on bass weight!"
https://www.dmzuk.com/
https://deepmedi.com/
https://www.myspace.com/malamystikz

CALIBRE (Signature Records, UK)
CALIBRE 北アイルランド、ベルファスト出身のCALIBREは、幼少からレゲエやロックを聞き育ち、10代で様々な楽器を習得、ジャズ~パンクまでバンド活動を送る。美術を専攻した大学時代はJOHN CAGEに影響を受ける。やがてデトロイト・テクノ、ハウス、アンビエントに親しみ、エレクトロニック・ミュージックの制作を開始、'97年頃からドラム&ベースの制作に着手する。'00年にFABIOのCreative Sourceから発表された"Mystic/Feelin'"は彼の存在をシーンに知らしめ、'01年には1st.アルバム『MUSIQUE CONCRETE』を発表、絶賛を浴びる。その後、MARCUS INTALEX ら交流し、Soul:rを中心に精力的なリリースを展開、'03年には自己のレーベル、Signatureを立ち上げ、数々のビッグ・チューンを連発する。'05年には2nd.アルバム『SECOND SUN』をリリース、オリジナリティ溢れるディープなサウンドでトップ・プロデューサーの地位を確立する。'07年のアルバム『SHELFLIFE』に続き'08年にはヴィンテージ作品として話題を集めたアルバム『OVERFLOW』を発表。そして'09年『SHELF LIFE VOL.2』、また'08年のMALAとの来日共演が契機となり、Deep Mediからダブステップのリリースを開始、さらには本名のDOMINICK MARTIN名義のアルバム『SHINE A LIGHT』をSignatureから発表し、ドラム&ベースの枠を越えた自身の広大な音楽観を披露する。彼の創作意欲は途絶える事なく、'10年には"Judgement Day EP"、アルバム『EVEN IF...』、そして本'11年には"Hummer EP"を始めとするシングルに続き、通算8作目となる最新アルバム『CONDITION』を発表、デビューから13年の現在、CALIBREの音楽は輝き続けている。
https://www.facebook.com/signaturerecordings

Ticket outlets: NOW ON SALE !
PIA (0570-02-9999/P-code: 153-041)、 LAWSON (L-code: 76190 )
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、
TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/Bonjour Records (5458-6020)
恵比寿/WE NOD(5458-6232)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
warszawa(3467-1997)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、
Dub Store Record Mart(3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011

【重要!】 会場の変更のお知らせ

再び、緊急のお知らせとなります。
先日「開催期間/時間の変更」をお知らせ致しました、Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 ですが、再度、会場であるCCOクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)より、夕方公演でも会場の貸し出しを行わないと決断したとの連絡を昨日(11/12)受けました。

時間の変更に前向きに考えて頂いてるお客様、23日なら行けるとの声や、励ましのメールなど頂き、DAY TIME &2DAYS に向かって準備を進めている矢先でした。

そして、再び、開催の中止も視野に、慎重に検討を重ねた結果、やはり今回の様な奇跡的なラインナップを再集結させる事は不可能と判断し、本イベントを大阪湾の神戸側に位置する深江浜・芦屋の湾岸にある倉庫を使用した多目的スペース『ZINK』に場所を移し、予定通りの日程 11月22日(祝前日-火)11月23日(祝日-水) (※22日のみオープン時間を変更)で
2 DAYS 行う事を決断致しました。
ご迷惑をお掛けすることとなった皆様、またチケットをご購入済みのお客様には心よりお詫び申し上げるとともに2度に渡る変更に快く対応して頂いた出演者並びに関係者の皆様、また急なお話に真摯に対応して頂いたZINKの皆様には心より感謝申し上げます。

両日の出演者情報(出演者の日程の変更はありません)(近日中にタイムテーブルの発表も出来ると存じます)
また、チケットの払い戻し等については下記【イベント情報】【チケット内容のお知らせ】および、オフィシャルサイトをご参照 ください。

また、22日・23日の両日《難波⇔会場へのシャトルバス》を運行致します(すぐにでも時間等の詳細はお知らせ出来ると存じ ます)。
名村造船所までの交通をお考え頂いていたお客様、大阪在住のお客様は是非ご利用下さいますようお願い申し上げます。

2転3転、大変ご迷惑ご面倒をお掛けしていると存じます、
集まって頂いた皆様と、良い未来を創造出来るような2日にしたいと願っています。
ZETTAI-MU スタッフ一同

ZINK - 会場マップ&アクセス
特設サイト - NEWS "会場の変更のお知らせ"
ZETTAI-MU TWITTER

【会場/時間変更の詳細】
会場:
CCOクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)→ ZINK(深江浜-湾岸倉庫)
時間:
11月22日(火-祝前)16:00~23:30 → 11月22日(火-祝前)20:00 to LATE
11月23日(水-祝日)時間変更はありません。



■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 "DAY 1"

CALIBRE

日時:11月22日 (火 - Before holiday)
時間:20:00 to LATE
会場:ZINK(深江浜-湾岸倉庫)

MALA (Digital Mysticz, DEEP MEDi, DMZ, UK)
Mouse On The Keys
DJ NOBU (FUTURE TERROR)
O.N.O a.k.a Machine Live (THA BLUE HERB)
RUMI & SKYFISH
LITE
KURANAKA 1945 (ZETTAI-MU)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi)
最高音響 SOUND SYSTEM
COLO (BetaLand)
若野 桂
ekran+friends
ONA

■Zettai-Mu 16th Anniversary 2011 "DAY 2"

日時:11月23日 (水 - Holiday)
時間:OPEN 15:00 / START 15:30 / CLOSE 22:30
会場:ZINK(深江浜-湾岸倉庫)

DRY&HEAVY with NUMB
EYE (BOREDOMS/VOREDOMS)
MIYAKE YOHEI & Peace-K
KODAMA KAZUFUMI
SOFT
QUIETSTORM (中目黒薬局/TIGHT)
KURANAKA 1945 (ZETTAI-MU)
最高音響 SOUND SYSTEM
COLO (BetaLand)
若野 桂
ekran+friends
ONA

※ 両日共、PARTITAの常設サウンドシステムに最高音響サウンドシステムを追加。

【チケット料金の変更のお知らせ】

● 前売 1 DAY Ticket ¥3,000 (11/10頃発売開始) (11/22、11/23共に250名限定)
● 前売 2 DAY Ticket ¥5,500
● 前売 『 いい夫婦券 』1 DAY Ticket (2枚組) ¥ 5,500 (11/10頃発売開始) (11/22、11/23共に100組限定)
● 前売 手拭い付き 2 DAY Ticket ¥6,000 (16th特設サイトのみで発売)
● 当日 ¥3,300 (両日) (ドリンク代不要)

(旧)前売 Ticket ¥5,000
→ ※ そのまま 【前売 2 DAY Ticket ¥5,500】 としてご使用頂けます。
(旧)前売 手拭い付き Ticket ¥5,500
→ ※ そのまま 【前売 手拭い付き 2 DAY Ticket ¥6,000】 としてご使用頂けます。
(旧)前売 4P Groop Ticket ¥18,000 → 4P Groop 2 DAYS Ticket
→ ※ そのまま 【前売 2 DAY Ticket (4枚組)】としてご使用頂けます。

★特設サイトでは 11月9日(水)よりチケットの販売を再開(予約受付を開始)致します★  https://www.zettai-mu.net/16th/

【 チケットの払い戻しのご案内 】
オフィシャルサイト をご参照お願い致します。

★ 各種プレイガイド、コンビニ、協力店舗にて11/10~11頃より発売開始!!
《 プレイガイド・コンビニ 》
◎ オフィシャルサイト - https://www.zettai-mu.net/16th/
◎ チケットぴあ(P:CODE: 未定 )- https://t.pia.jp/
◎ ローソンチケット(L:CODE : 未定 )- https://l-tike.com/
◎ イープラス(e+) - https://eplus.jp

《 大阪 》
◎ Newtone records / TEL. 06-6281-0403 / WEB.
◎ club NOON / TEL. 06-6373-4919 / WEB.
◎ digmeout cafe / TEL. 06-6213-1007 / WEB.
◎ TIME BOMB Records / TEL.06-6213-5079 / WEB.
◎ Buttah / TEL. 06-6241-5273 / WEB.
◎ アララギ / TEL. 06-6764-1238 / WEB.
◎ SC WORLD+ / TEL. 06-6599-8948 WEB.

《 京都 》
◎ JAPONICA / TEL. 075-211-8580 / WEB.
◎ JET SET / TEL. 075-211-8580 / WEB.
◎ Strictly Vibes / TEL. 075-212-0719 / WEB.
◎ 民族楽器コイズミ / TEL. 075-231-3052 / WEB.
◎ レストアの森 / TEL. 075-212-7756 / WEB.

《 神戸 》
◎ studio Bapple / TEL. 078-261-8644 / WEB.

《 ZETTAI-MU.NET 》
https://www.zettai-mu.net/16th/ticket.html

Noel Gallagher's High Flying Birds - ele-king

 今日のいかなるブリット・ロック・バンドもレディオヘッドのようにダブステップを取り入れるか、あるいはデーモン・アルバーンのようにアフリカン・ミュージックにアプローチするとは限らない。60年代のブリット・ロックのふたつの巨星、ザ・ビートルズとザ・ローリング・ストーンズ以来の成功を収めたバンド、オアシスの曲を手がけていたノエル・ギャラガーは、すでに手垢でべたべたの、古めかしいブリット・ロック・サウンドに新たな気持ちで臨んでいる。弟のリアムによるビーディ・アイが、まさにブリット・ロックの歴史博物館に閉じこもったようなアルバムによって本国ではかんばしい評価を得られなかったこととは裏腹に、ノエルはこのアルバム『高く飛ぶ鳥たち』でブリット・ロックの拡張につとめている......という話になっている。英国でのレヴューを読むと(それで特別に評価されているわけではない。ただし、UKでは2011年にもっとも売れたロック・アルバムになるかもしれない、もうひとつのブリット・ロック・モンスター、アークティック・モンキーズよりも)。
 僕は『ガーディアン』のこのアルバムの記事の、ノエルが「エンニオ・モリコーネとデリック・メイに対する愛情を語っていた」と、そして収録曲の"AKA...ホワット・ア・ライフ!"の「ピアノ・リフはリズム・イズ・リズムの"ストリングス・オブ・ライフ"からの影響だ」というくだりを読んでいちだんと興味を抱いた。マンチェスターは20年以上昔に、"ストリングス・オブ・ライフ"がおそらく世界で最初にヒットした町だろう。というわけで、僕は真っ先に6曲目に収録された"AKA...ホワット・ア・ライフ!"から聴いた......まあたしかに、言われてみればそうなのかと思った。が、言われなければ一生気がつかなかっただろう、このピアノ・リフがそれだとは。
 ともあれ、オアシスとはアシッド・ハウス以降のダンス(エレクトロニック)に染まったブリット・ロックを昔ながらのバンド・サウンドに引き戻した張本人でもあるから、そのバンドの音楽的中心人物がいまさらリズム・イズ・リズムを口にすること自体、音楽ファンからするとじつは面白い話なのだ。さらにまた、周知のようにノエルはこのあともう1枚のソロ・アルバムのリリースが控えているが、そのコラボレーターはアモルファス・アンドロジーナス、そう、同郷のベテラン・テクノ・プロジェクト、フューチャー・サウンド・オブ・ロンドンの別名義だという。FSOLは日本ではUKほどに評価も人気が高くないとはいえ、"パプア・ニューギアニア"のヒットを知っている世代からするとちょっと驚きだ。

 これだけ言われれば『高く飛ぶ鳥たち』を聴かない手はない。"AKA...ホワット・ア・ライフ!"のあとに、まあ当然のことそれでは最初からと、オープニング・トラックの"エヴリバディズ・オン・ザ・ラン"を聴いて、そしてまずはその涙もろさに度肝を抜かれた......が、しかしオアシスとはビール腹の大人もいっしょに大声で歌わせ、号泣せることで有名なバンドなのだ。60年代的でスタイリッシュなブリット・ロックの(ディキシーランド・ジャズからの影響による)"ドリーム・オン"を聴くと、『オアシス』は「図々しくもいろんな時代のすべての偉大なバンドから言葉とメロディを盗んでいる」という『ピッチフォーク』の皮肉めいた評の通りだと思うのだけれど、そんなことは世界中のどのバンドにもあることで、"イフ・アイ・ハッド・ア・ガン"のようなバラードには力があるし、60年代後半のザ・キンクスのような"ザ・デス・オブ・ユー・アンド・ミー"も決して悪くはない。
 ノエル・ギャラガーなりに雑食性は高いつもりかもしれないけれど、しかし結局のところブリット・ロックの最良の部分が継承されていると思うし、そこがこのアルバムの最大の魅力となっていると思う。日本の人気ロック・バンドの多くは、それこそ「図々しくもいろんな時代のすべての偉大なバンドから言葉とメロディを盗んでいる」わけだが、彼らが盗みきれないブリット・ロックの真髄=伝統芸がこのアルバムにはある。それは技法的なこともさることながらオアシスの最大の魅力であっただろう、人の目など気にせずに好きなように生きるってことだ。

 マンチェスターの初演ではダフ屋が300ポンド(円高とはいえ4万円近く)の値段を付け、アルバム発表後間もないというのにオーディエンスはノエルといっしょにすでに歌を歌えている......と『ガーディアン』はレポートしている。ロックンロールの物語への執着心というよりも"俺たちのノエル"が帰ってきたというわけだ。ユナイティッドやシティのサポーターと同じような気持ちかもしれないが、この文章を読んでいるみんなはどう思うだろう、こんなものは醜いと思うのだろうか......ビール腹の大人たちが涙ながらにこんな歌詞を合唱している国というのは。「頑張ってくれ/耐えるんだ/誰もみな自由を求めているのだから」

Wilco - ele-king

敬礼をささげたいと思う アメリカ国旗の燃え殻と
そして買物袋からあふれそうな 落ち葉に対して "アメリカ国旗の灰"

 2002年に発表された『ヤンキー・ホテル・フォックストロット』は、ほとんど偶然だったとはいえ、アートワークにもあるようにまるで9.11直後のアメリカを覆った息苦しさに呼応するようなアルバムで、そこで星条旗は落ち葉とともに燃やされていた。「高いビルが揺れる」と歌う"ジーザス、エトセトラ"は「泣かないで」と繰り返すラヴ・ソングであり、「きみの頬に張られた弦(涙の暗喩だろう)に音を合わせて」などと詩的に綴られたそれは、そのときアメリカで暮らす人びとが悲しみとともに生きていく歌として鳴らされていた。
ウィルコがかつて呼ばれた「オルタナ・カントリー」という言葉はほとんど使われることもなくなったが、彼らがジャズやブルーズやエレクトロニカと組み合わせて更新したカントリーは、保守層が聴いているようなマッチョで旧態然としたカントリーとはまったく別のものであるという点で言葉通りオルタナティヴだった。戦争に明け暮れたゼロ年代のアメリカのなかで、ウィルコの歌は「そうではない生き方」を模索する原動力になったといまでも僕は思う。

 『ヤンキー・ホテル』がアメリカで大絶賛された後の数作は、そのアルバムからの距離のとり方に苦労してきたような印象もあるが、前作『ウィルコ(ジ・アルバム)』は久しぶりに彼ららしい軽やかさが前面に感じられるアルバムだった。そして自身のレーベル〈dBpm Records〉を立ち上げて初となる『ザ・ホール・ラヴ』は、さらに風通しの良い1枚になっている。その実験的な内容が所属していたレーベルとほとんど喧嘩別れする原因となった『ヤンキー・ホテル』が「俺たちはやりたいことをやらなければならない」というある意味での頑なさを持っていたのに対し、本作は「俺たちは何をやってもいい」という開放感に貫かれている。ウィルコの音に対する欲望が生き生きと跳ね回るアルバムだ。
 ノイズとアブストラクトなドラミングの応酬で幕を開けるオープニングの"アート・オブ・オールモスト"からして、7分の長尺のなかにジャズもポスト・ロックもギター・ソロが咆哮するジャム・セッションも詰め込んだ不敵なナンバーだ。軽快なキーボードどノイジーなギターが共存するシングル"アイ・マイト"の皮肉っぽいポップさ、ディープなフォーク・チューン"ブラック・ムーン"の奥からゆっくり立ち上がってくるストリングスの幽玄、シンセとグロッケンとメロトロンが軽やかに弾む"キャピトル・シティ"の洒脱なアレンジ、"スタンディング・オー"のアッパーでノリのいいロック・チューンの同時に備えた落ち着き......音質の硬軟を自在に使い分けるギターも、あるときはジャジーに、あるときはメロウに、またあるときはウォームに響くメロディも、音の粒をきれいに揃えつつ多彩な音色を聞かせるドラムも、あらゆる要素が悠然としていて、ときにはおどけてみせる茶目っ気も見せてくれる。ウィルコはここでも軸足をルーツ・ミュージックにしっかりと置いたまま、しかしその多様な音楽的語彙をじつに慣れた手さばきで差し出してみせる。12分続く、ロード・ムーヴィーのようなラスト・トラック"ワン・サンデー・モーニング"には、頬に風を感じる涼やかさと叙情性が宿っていて、聴いていると浮ついた気持ちも静かな場所へと落ち着いていくようだ。

 ウィルコの音楽が軽やかになったからといって10年前に比べてアメリカが生きやすくなったはずもない。テレビのなかのウォール街のデモを見ているとそこには深刻な格差問題な複雑に絡み合っているようだ。ただウィルコはアメリカの閉塞感をここでは過剰に背負ってはいない。感情的に『ヤンキー・ホテル』は悲しみに比重が置かれたアルバムだったが、『ザ・ホール・ラヴ』ではそのエモーションの触れ幅はより広く、さまざまな想いが混在しているように聞こえる。例えばフリート・フォクシーズが潔癖に調和を求めるのともまた違って、あらゆる音が......もしくはさまざまな感情がぶつかり合って発生するノイズをそのまま肯定してしまうその態度が、ウィルコの理想主義のあり方なのだろうと思う。
 リスナーがウィルコに期待しているのはたとえばこんな歌だ。柔らかで美しいフォーク・ナンバー"オープン・マインド"でジェフは歌う......「君の心を開いてあげる人になりたいんだ」。そんな素朴な言葉はしかし、その心にある喜びも悲しみも引き受けるという覚悟を静かに湛えている。

Tarwater - ele-king

 まさかのマガジン、30年ぶりの5作目。
 09年に再結成ライヴをおこなった後、そのまま新作のレコーディングに入るという噂は本当に実現してしまいました。ただし、ベースのバリー・アダムスンは録音までは参加せず、オリジナル・メンバーはヴォーカルのハワード・ディヴォート、ドラムスのジョン・ドイル、キーボードのデイヴ・フォーミュラのみ、PIL脱退後に眠ったまま息を引きとっていたジョン・マクゲオフの代わりにギターはラグジュリアからノコが参加している。

 結果はもちろん、大したことはない。82年か83年にリリースされていても、それほどのインパクトではなかったのではないだろうか。一度は引退を宣言していたこともあるディヴォートは(マイケル・ウインターボトム監督『24アワーズ・パーティー・ピープル』に掃除夫の役で出ていた以外に)ノコが参加していたアポロ440に歌詞を提供していたり、02年にはピート・シェリーと組んでシェリー/ディヴォートの名義でテクノのアルバムを出しているぐらいだから、新しいサウンドに興味を持っていなかったわけはなかったろう(セカンド・サマー・オブ・ラヴの時期にバリー・アダムスンはアシッド・ジャズ、デイヴ・フォーミュラはカウント・ベイス-Eの名義でアシッド・ハウスもやっていた)。しかし、ここでは30年という時間はなかったこととして往年のマガジン・サウンドにヴァリエイションを与えているだけ。それはもうものの見事に過去の再現であり、新曲であるにも関わらずノスタルジーが湧き上がってくるのみである。嬉しくもあり、「なんで戻ってきたんだ!」と叫びたくなったり。時間軸の上を自分が激しく行き来し、喜んだり退屈したり、忙しいことこの上ない。これを書いている11月2日現在、パッケージに貼られたシールにある通り、全英ツアー中のマガジンをこの目で見ていればきっと何も文句は言わないと思うけど(笑)。

 レイディオヘッドもカヴァーしている「ショット・バイ・ボス・サイズ」で77年にデビューしたマガジンは、マンチェスターのパンク・バンドであるバズコックスを脱退したハワード・ディヴォートが即座に結成したニューウェイヴ・バンドで、キーボードを大幅に導入していたことと、ルー・リードのパンク・ヴァージョンともいえるディヴォートの頽廃的なセンスが他とは大きく異なっていた(ユーチューブで当時のライヴを観ると、そのことはかなりわかりやすい。"ディフィニティヴ・ゲイズ"のリハーサルや、とくに"モーターケイド"はまるで神聖かまってちゃん? そう、間違っても09年の再結成ライヴは見ないように......)。ちなみに"ショット・バイ・ボス・サイズ"と同じくアート・ワークがオディロン・ルドンだったことも新作に対する期待を煽ったことはたしか。

 最初の勢いだけでなく、オーヴァー・プロデュースだといわれたセカンド・アルバム『セカンドハンド・デイライト』と、その反動のようにしてシンプルにまとめられたサード・アルバム『コレクト・ユース・オブ・ソープ』がバンドのピークといってよく、"007ゴールドフィンガー"やスライ・ストーン"サンキュー"などカヴァーのセンスも抜群だった。さらに言えば、どこか気がないように歌うわりに、いつの間にか彼(ら)のパッションに引きずり込まれているといった風なところが最大の魅力だったように思うし、そのセンスはけして失われていないと思うものの、やはり往時のシャープさには及ぶべくもなく、失われるものがあるのは当然だとして、その代わりに成熟した部分がどこなのか、そこがもうひとつ見えないところが「30年ぶり」を実感させてくれないところなのだろう。カート・コベインを取り上げた"ハロー・ミスター・カーティス(ウイズ・アポロジャイズ)"でディヴォートが「自分が本当に老いてしまう前に死にたい」とラストで繰り返すところはあまりにもいただけないし、かつてのように突き放した叙情性を失った"フィジックス"など、聴き続けることが苦痛に感じられる曲もある。それでも同年代の友人たちと同窓会的に聴きたいとか思ってしまうのだからポップ・ミュージックの呪縛というのは恐ろしい。自分にもそういうところがあって良かったとも思うし......。

 同じようにデビューから15年経って、やはり代わり映えしていないように思えたのがターウォーターで、ジャーマン・プログレッシヴ・ロックやノイエ・ドイッチェ・ヴェレの再発に務める〈ビューロ・B〉からリリースされた9作目は、マガジンからパンクを差し引いてアンニュイだけを切々と垂れ流す。だらだらと、あるいは、もっさりとしたビートが地面を這い回り、浮ついた気持ちにはけして導いてくれない。それこそラスティのように世界の果てまで一気に飛んでいってしまいそうな勢いはかけらもない。ここにあるのは1996年の空気そのもので、モータベースやフィッシュマンズ、もしくはDJシャドウやエールが運んできた空気をいまだにデリヴァリーし続けているのがリポック&ジェストラムだといえる。そして、この年の空気になぜか僕は逆らえないようで、何ひとつ代わり映えしないんだけどな......と、思いながら、この1ヶ月、毎日2回は聴いてしまうというパラノアイ状態にある。これほどまでにやる気の出ない毎日にあっさりとフィットし、人に会いたくない気分をサポートしてくれる音楽もない。1996年というのは、そういえば、あのときに孤独であることがどれだけ輝きを持っていたか。あの感じ。懐かしい。

 前々作でヴァージン・プルーンズ『スウィートホーム・アンダー・ホワイト・クラウズ』をカヴァーし、少なからずの驚きを与えてくれたターウォーターは、ここではさらに、DAF"サト・サト"をピック・アップし、DAFの曲にこのようなアンニュイを持ち込めるのかという驚きをまたしてももたらしてくれた。KMDFMのような同好の解釈からは生まれないカヴァー曲の醍醐味というやつである。グトルン・グートとAGFのグライエ・グート・フラクションによるパレ・シャンブール"ヴィア・バウエン・アイネ・ノイエ・シュタット"のカヴァーもユニークだったけれど、この"サト・サト"はあまりにも素晴らしく、マッチョ性というものをすべて剥ぎ取ってもDAFの響きが完全には失われないだけでなく、部分的にはバルカン・ミュージックのようなアレンヂも可能だということを証明している。DAFをワールド・ミュージックと結びつけたときに、どことなく、かつてのインダストリアル・ミュージックがフォークロア的なものを持ち出す傾向にあったこともダブって見えてくるところがあり、抵抗のレヴェルが意外と深いというか、DAFのなかにあった民族的なものがかえって剥き出しになってくるような錯覚まで引き起こす。いっそ、DAFだけで1枚カヴァー・アルバムをつくって欲しいと思うぐらいである。ほかにはジョン・レノン&ヨーコの未発表曲だった「ドゥー・ザ・オズ」のカヴァーも。

The Amazing Births - ele-king

 マーク・マッガイア(エメラルズ)の新ユニットによる1作目(前2作はカセットで、定冠詞はなかった)。エレクトロニクスをメインに扱うジュリアン・ガライアスとのタッグで、ガライアスはソロで展開するシナプティック・フォリエイジやヒーティッド・ヴォイドのほかにアダム・ミラーとのクロウテイションズ、さらにはコメット・ボディーズとしても昨年あたりからカセット・リリースなどを開始したニュー・フェイス。前後してリリースされたマッガイア『ゲット・ロスト』のアートワークも手掛けている。いささかスピッたユニット名は......どちらのセンスなのだろう?

 エレクトロニクスのループにギターを絡めるという構成は『ゲット・ロスト』とほぼ同じで、シンセサイザーはさらに重層的。ギターもカッティング・ワークがメインで、メロディを聴かせるのはラストの1曲ぐらい。もっといえばシンセサイザーはあくまでもギターの脇役だった『リヴィング・ウイズ・ユアセルフ』から適度な拮抗関係へと移行した『ゲット・ロスト』への変化は、きっとガライアスがもたらしたものなのだろう。奔放なギター・サウンドが抑制されている分、『ヤング・ムーン』の方ほうが想像力に導かれている感じがあり、何よりも〈メゴ〉への移籍とともに薄らいでしまったドローン回帰が彼らの意欲を物語る。〈ノット・ノット・ファン〉や〈OESP〉がシンセ-ポップを展開するなど、ドローンがゼロ年代のように創造の戦場ではなくなってしまったことはもはや明白だし、グローイングの物まねにしか聞えないマインド・オーヴァー・ミラーズ『ザ・ヴォイス・ローリング』など、シーンは惨憺たる状況にあると思えるからである(ギター・オンリーのドローンを展開する2枚組CDR『ギター・メディテイションズ2』の、とくにディスク1は傑作だと思うけど)。

 神経症的な電子音の錯綜に導かれる"ダイアル・アウト"がまずはいい。マッガイアのパブリック・イメージを裏切って、とにかく不安を煽りまくる。エメラルズでいえば『ソーラー・ブリッジ』の頃まで戻ってしまった感じか。数え切れない要素の音が縺れあったまま、最後まで混沌とし続ける。部分的にはルー・リード『メタル・マシーン・ミュージック』のハイ・スピード・ヴァージョンにさえ聞えてくる。さらにモーンフルに、あるいはよれよれと曲は続く。"P・K・リッパー"というのは超能力の切り裂き魔という意味だろうか?

 「マーク・マッガイア=ゼロ年代のマニュエル・ゲッチング」という図式はここにはない。イエロー・スワンズやダブル・レオパードとはまさか言わないけれど、強迫的に繰り返されるカッティングや黒雲によって覆い尽くされるようなベースの蠢きは一種の暴力衝動を浮かび上がらせることもある。エッジの立った凶暴性というよりも、彼(ら)の場合は真綿でどうのというあれである。『アメジスト・ウェイヴス』や『ゲット・ロスト』が晴れた日のそれだったとしたら、曇り空をドローンで表現したものといえるだろう。ラ・デュッセルドルフ"シルヴァー・クラウド"をカヴァーして欲しいと思うのは僕だけだろうか。

 また、マッガイアと同じくドローンへの奇妙な執着を見せているのがイクスプレスウェイ・ヨー・ヨー・ダイエッティングことパット・マウアーで、スクリューとドローンを結びつけた展開は、さすがにほかに例を見ない(シュローム『バッド・ヴァイブス』の後半がちょっとそんな感じだった)。潰れたバス・ドラムが延々と連打されるので、ドローンとは言わないだろうと自分でも思いたくなるのだけれど、元はテクノだろうと思われる素材をそれとして機能しなくなるほど変形させ、曲全体の雰囲気はリズムのそれではなく、うなりの持続のように聞かせてしまう。ある種の傑作だった『バブルサグ』ではヒップホップに聞えないヒップホップをこれでもかと聞かせたマウアーがララ・コンチータと組んだダイアモンド・カタログ『マグニファイド・パレット』ではあてどない混沌に不安定な失踪感を与え、破壊のためのサウンドトラックを実現する。80年代のインダストリアル・ミュージックに広く認められた苦悩のメタファーでもなく、90年代の空虚さとも距離があり、ゼロ年代の無手勝流から生まれた「何か」を発展させたものなのだろう。どこかに素直な衝動を感じるためか、茫漠としていながらも聴き終わった後に空しさが残ることはない。位置づけが本当に難しい人だけれど、作品としてはかなりの力作だと思う。カセット・オンリーのレーベルから初のアナログ・リリースだったりするし。

vol.19:キャスリン・ディ・マライス - ele-king

11/2(wed) Caithlin De Marrais @ Union Hall
W/yellow birds, Lindsay Sullivan

 ハロウィン・ウイークに積雪があったニューヨークでは、スカーフ、手袋が手放せなくなってきた。11月に入っても毎日のようにショーに出かけている。11月1日は〈ミュージック・ホール〉にSBTRKTを見に行ったらソールドアウトで入ることができず、隣の〈パブリック・アセンブリー〉でやっていた映画の上映会に行くとサイキック・イルズ、エンドレス・ブギーのショーをやっていた。
 サイキック・イルズ......何年やっていても、相変わらずドローンでサイケデリックで、ベースのリズはかわいくて......と印象は変わらない。エンドレス・ブギーはちょっと時代を間違えたかなと思けれど、かなり上手い。ロングヘアのおじさんたちがいまだにサイケデリック、ロックンロールを現役でやっている。さらにその晩のショーに一緒に行った友だち(アメリカ人男子、Cとしておこう)は〈ウエブスター・ホール〉にバトルスとにせんねんもんだいを見に行ったのだが、「日本の女の子のバンド、かなり良かった!」と興奮して話してくれた。今日もまた別の場所であるのでショーが終わったら行こうかと、話した。

 今日のショーは元キラメキ青春エモ・ポップ・バンド、レイナー・マリアの紅一点、キャスリン・ディ・マライス。場所は〈ユニオンホール〉。
 私がレイナー・マリアを見たのは1998~99年あたりだろうか、たぶんミネアポリスの学校かどこかの講堂だったと思う。誰かについて行ったらそこでバンドがプレイしていた。ウィスコンシン州のマディソン出身。マディソンと言えば、¥私のなかでは、〈ポリヴァイナル〉――レイナー・マリアをリリースしていたレコード・レーベル。現在はオブ・モントリオール、アソビ・セクス、オーウェンなどを出している――なのだが、マディソンといえばその頃、エモ・ロックがブームになっていて、ジョン・オブ・アークやペレ、サンディズ・ベストなどが出てきた都市だと記憶されている。
 その講堂でみたレイナー・マリアはとってもあどけない、学生バンドという印象だったが、キャスリン(ヴォーカル、ベース)の容姿淡麗、清潔感漂う雰囲気とカイル(ギター・ヴォーカル)のおちゃらけキャラ、どこまでもプレイヤーなステージ・パフォーマンスが見ていてとても楽しく、そのふたりを後ろであたたかく構えるビル(ドラム)という編成のこのバンドにとても高感度が湧いた。ショーのあと、ほとんど誰もいなかったので世間話をして、それがきっかけで仲良くなり、私がやっていた〈コンタクト・レコーズ〉のコンピレーションの参加してもらったこともあった。その後、彼らも私もブルックリンに引っ越した。ブルックリンといっても彼らが住んでいるのは、パークスロープ周辺(東京でいう吉祥寺、三鷹?)、私はウィリアムスバーグ(東京でいう下北沢?)なので偶然会うこともなかった。

 レイナー・マリアは2006年に終結し、メンバーはそれぞれ新しいバンドをはじめ、ドラムのビルは、2006あたりにプロサイクスというバンドをやっていて(マタドールからレコードがリリースされている)、私がよくいくマイティ・ロボット/シークレット・プロジェクト・ロボット(今月11月より正式にブシュウィックに引っ越した)周辺でよくプレイしていた。ビルとはそこで会うと、「以前、レイナー・マリアをやっていたよね」など話しをよくしていたが、キャスリンとカイルには会わなかった。聞くと、そのあいだに彼らは自分たちのレコード・レーベル、〈エンド・アップ・レコーズ〉を立ち上げ、自分たちや友だちのバンドを音源をリリースしている。さらに、キャスリンはママになり、ヨガの先生になっていた。

 レイナー・マリア解散以来、自分のなかでは過去のバンドになっていたし、他のバンドの気を取られて忘れていたので、今回またキャスリンを見るのは特別な気分だった。

 というのも、会場の〈ユニオン・ホール〉に来たのは、ニューヨークに10年住んでいるが実は初めてのことだ。パークスロープはウィリアムスバーグにいると、なかなか行かないエリアなのだ。だいたいツアー・バンドはパーク・スロープでショーをするとウィリアムスバーグ、もしくはブシュウィックでもう一本ショーをするし、シングルが多いウィリアムスバーグにくらべてカップルや家族が住む高級エリアなのだ。

 一歩会場にはいると、雰囲気がとてもファミリー的で、安全、優しい感じがする。ウィリアムバーグのように汚かったり、荒んでいたり、パンク色だったり、危険な要素がまったくない。入ると右側にバーがあり、そのうしろにはゆったりしたソファーとテーブルがカフェっぽく置いてある。なんならその後ろには、図書館のように本の棚がずらっと並んで、静かにコーヒーを飲みながら読書している人もいる。ベレー帽率高し......だ。えっと、ここライヴ会場ですよね? さらにバーにある飲み物はシックス・ポイントなどのファンシー系ビール($6~)やリカー系。ウィリアムスバーグやイーストヴィレッジなどのチープなバーに置いているような、カンのPBR($2~)はない。でもここのビールおいしい。Cはビールのあてにコーンドッグを注文していたけれど、納得できる。奥には、左にボッセ(Bocce)と言うゲームのレーンがふたつあって、みんな一生懸命プレイしている。ビリヤード、ボウリング、サッカーの中間ぐらいのゲーム(https://en.wikipedia.org/wiki/Bocce)。ここはこれで有名らしい。
 右にはバックヤードに続くドアがあり、寒くてみていないが、煙草も吸えるらしい。やっと地下の会場にたどり着いた。知らなかったら普通にバーとして使っていそうな場所だ。上が居心地良いので、油断していると見たいバンドを見逃してしまいそうだ(現にCは前のバンドを見逃していた。知り合いだったというのに......)。
 下は適度な水曜日の夜の空気が流れていた。混んではないが、適度な入りだ。キャスリンも友だちと談笑したり、うろうろしている。ドアにいたのが、かわいらしい知的な女の子だったのだが、Cが彼女が集めたお金(チケット代)を堂々と開けっ放しにしているのを見て、「ダメだよ、レジを開けっぱなしにしちゃ!」とあわてて注意していたのが面白かった。Cはよくフリーマーケットで物を売っているので、その辺にはとても敏感なのだ。女の子はきょとんとしていた。だってそこは安全なところなんだからね。
 今日のバンドは、ギターのジョシュ、ドラム(名前がわからない)とキャスリンの3人体制。リリース・パーティなので、ニュー・アルバムからの曲がほとんど(セットリスト参照)。11月8日に「マジックシティ」に続くソロ第二弾、「レッド・コーツ」が発売される。彼女いわく、全て自分で手作業で作ったらしい。 https://endup.org/artists/caithlindemarrais/

 彼女の声はとても深く、どこか悲しげで、訴えかける力、雰囲気がある。楽曲のせいかと思ったが、彼女が歌うとどの曲もそうなってしまうのかもしれない。レイナー・マリア時代から彼女の声は印象的だったが、子供を産んでか、声により深みがましたように思える。先生に向いているなとか(実際ヨガの先生らしいです)、悲しい経験がたくさんあったのかななど、雰囲気がどこから来ているのか......、考えを巡らせたが、結局これが彼女のキャラクターなのだろう。
 この日は彼女のお母さん出身でもあるニュージャージーから古い友だちが来ていたらしいが、"City Girl"を歌う前に、"シティ・ガール"と"ジャージー・ガール"を少し皮肉っていた所が面白かった。シティ(=ニューヨーク)とジャージー(=ニュージャージー)には、東京と大阪みたいな変な対立感覚があるのだ。

 2曲目の"Bird"にはヴィデオもあって、むかし何度みても映画みたいに思ったが、今日のショーも全体的に、スローモーションで映画を見ているようだった。3人がときどき顔を合わせて、にこっと笑って合図したり、グルーヴ感、言葉にできないつながりがあった。さらには共演のイエローバード(Cが見逃したバンドね)のサムとアニーがゲスト登場して、1曲を披露。決してきらびやかなショーではないし、テクニックを披露するわけでもない。自分の歌を忠実に表現するのみで、そしてそれだけでお客さんを惹き付けるのはすばらしいことだと思う。来ているお客さんは友だちばかりだったかもしれないけれど、彼女が好きでサポートしたいという気持ちが見えた。女性客が多かった。終わったあとには良い映画を見終わったような心地よい充実感があった。
 話しかると彼女もびっくり、「久しぶり!」と。相変わらず容姿端麗、美しい。誠実そうで一本気、そんな彼女の人間性にみんなが微笑んでいるのだろう。

Chart by JET SET 2011.11.07 - ele-king

Shop Chart


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DISCODROMO FEAT. HARD TON

DISCODROMO FEAT. HARD TON BUILD A HOUSE »COMMENT GET MUSIC
話題のHard Tonフィーチャー・トラック!!Prins Thomas & Tensnake Remix収録!!正統派コズミック・ディスコ・リリースの前作に引き続きレーベル首領Prins Thomasによるリミックスを収録。さらに昨年のインディ・アンセム"Coma Cat"で御馴染みのTensnakeによるB面もお勧めです。

2

MR RAOUL K

MR RAOUL K REMIXES VOL.2 »COMMENT GET MUSIC
Welcome Stranger Remix & Kuniyuki Remix続編!!Kuniyukiによる渾身の1トラックを収録した"Remixes Vol.1"に続く傑作リミキシーズ第二章。

3

SEAHAWKS & AUTRE NE VEUT

SEAHAWKS & AUTRE NE VEUT DON'S RAINBOW »COMMENT GET MUSIC
Lo Recordings主宰のJon Tyeと、田名網敬一とのコラボレートでも御馴染みのPete Fowlerからなるバレアリック~チルアウト・トップ・ユニットによるセルフ・レーベル"Ocean Moon"第一弾シングル。

4

SPACE DIMENSION CONTROLLER

SPACE DIMENSION CONTROLLER PATHWAY TO TIRAQUON6 »COMMENT GET MUSIC
必殺のギャラクティックUKGディスコからSquarepusher直系の高速フュージョンまでを詰め込んだ、ベルジャン老舗R&Sからの待望の1st.フル・アルバムがこちら!!名盤です。

5

LEE PERRY VS DIGITAL MYSTIKZ

LEE PERRY VS DIGITAL MYSTIKZ LIKE THE WAY YOU SHOULD (MALA REMIX) / OBEAH ROOM (MALA REMIX) »COMMENT GET MUSIC
ご存じUKダブ名門On-U Soundから、Kode9やHorsepower Productions、Moody Boyzらに続く御大Lee Perryのダブステップ・リミキシーズ・シリーズMala編が登場です!!

6

NEW AGE STEPPERS

NEW AGE STEPPERS FADE AWAY »COMMENT GET MUSIC
Adrian Sherwood主宰、On-U Soundの処女作として知られるNew Age Steppersのデビュー曲"Fade Away"。UK老舗Rough Tradeが運営するコレクタブル・レーベルFor Us Records製作の300枚限定7"リイシュー盤が登場です。B面にはまさかの新曲を収録!!

7

J.ROCC

J.ROCC STAY FRESH »COMMENT GET MUSIC
アルバム序盤のハイライトとなったタイトル曲やリミックス、ニューテイクを含む全5曲を収録! 全方向位にオススメできる素晴らしい内容、Stay Freshhh!!!

8

V.A.

V.A. LATE NIGHT CHRONICLES »COMMENT GET MUSIC
ここ数年、活動が再度活発化してきているデトロイト発の老舗ディープハウス・レーベル"Soiree Records International"からリリースされたコンピレーション最新作をリストック。

9

V.A.

V.A. BODY & SOUL 15 YEARS »COMMENT GET MUSIC
James Brownから808 Stateまでハウスをベースに様々なジャンルにクロスする、Body & Soulの真骨頂と言えるクラシカルなミックスを収録。大充実の2枚組です!

10

NOCOW

NOCOW IN A WAY EP »COMMENT GET MUSIC
旧ソ連産アンダーグラウンド・ハウス2011年決定打!!新星ロシアンNocow a.k.a. Alexey NikitinによるAnton Zap主宰"Ethereal Sound"新作10"。

 21世紀に入って音楽文化は停滞しているんじゃないかと人に言われるたびに、たとえばこう言う。20世紀では、たとえば山下洋輔や富樫雅彦といった名前を欧米の(ジャズの専門誌ではなく)ポップ・メディアで見かけることはまずなかったと思う。が、今世紀、日本のインプロヴァイザーの名は、たとえばティム・ヘッカーやビヨンセまでを評価するようなポップ・メディアのなかで見つかる。そう、つまり、80年代以降に生まれた人たちの耳にそれらは馴染んでいる。多くの優れた日本の音楽とともに。
 もっとも海外が気がつく前からそれらは素晴らしい音楽だったが、いま20代の君にわかりやすく説明すれば坂田明はそうしたひとりだ。今年リリースされた『And That's the Story of Jazz...』はそうしたある種の(そしてある意味では真の意味での)"ワールド・ミュージック"として高い評価を得ている。今週の水曜日、渋谷のWWWに行かないで手はない!

contrarede presents
坂田明&ちかもらち
~ちかもらち空を飛ぶ!東京ーモスクワーヨーロッパー東京~

ちかもらち 空を飛ぶ!最終着陸地点は渋谷WWW!!
山下洋輔、ジム・オルーク、八木美知依と豪華盟友陣をゲストに迎えてまさにスペシャルな一夜!これで何か起きないはずは無い!?

11/9 (WED)
SHIBUYA,WWW(03-5458-7685)
open 18:30 / start 19:30,
adv 3,700yen / door 4,200yen (+1drink)
live : 坂田明&ちかもらち(坂田明、ダーリン・グレイ、クリス・コルサーノ)
Guest : 山下洋輔、ジム・オルーク、八木美知依

https://contrarede.com/special/sakataakira.html

山本精一 - ele-king

 『プレイグラウンド』は「うた」にピントをあわせたアルバムだったので音は歌のあとに隊列を組んでつづくように思われた。それは歌を聴かせる音楽であるフォークが多くのひとの気を惹いていたゼロ年代最後の年に出した、山本精一らしい作品であるとも『プレイグラウンド』は思わせたが、淡々と歌いながら、その背後に無数の音楽を背負ってもいた。歌詞には虚無の裂け目があったが、歌の前に音楽の仕掛けは霞んでしまった。おかしないい方だが、歌を聴くのに懸命で音楽が置き去りになっていた。羅針盤が封印されたいま、山本精一の歌は過去になったものとばかり思っていた。なぜだかわからないが。それが不意に現れたものだから歌と同時に音楽全体を聴いていたにもかかわらず、呆然と聴き惚れてしまった。山本精一は巨大な歌を歌うひとだが、その巨大さを支える音楽の細部には巨大さと同じものが横たわっている。聴くほうはワンセンテンスでそれをいいあてられないから、結局は「うた」と「ポップス」が合体した「うたもの」ということで話はまとまりかけるのだが、かつてその代表格だった羅針盤からの時間の隔たりを感じさせる変化が『プレイグラウンド』にはたしかにあった。円熟を感じさせるいっぽうで、2010年代の新しい歌としてのさまざまな可能性が歌の底にうごめいている。

 無数の方向性からひとつを選び1枚の作品に仕立てのが『ラプソディア』だろう。このアルバムは『プレイグラウンド』から1年経っている。今回も山本精一(ヴォーカル/ギター/ベース)と千住宗臣(ドラムス/パーカッション)のデュオ体制のシンプルな「うたもの」なのだけど、その顔つきは前作とはまるでちがう。前のアルバムはどちらかといえばフォークだったが、今回はロックである。しかも豪快に歪んだ山本精一のギターを久しぶりに堪能できる。『プレイグラウンド』にもそういった曲はあるにはあったが、ギターはややスパイス的に立場だった。ここではそれがより大ぶりな存在感をみせることで、全体がバンド的な音作りにシフトしている。千住宗臣との掛け合いは一体感を増し、セッション的なグルーヴを終始保持しているが、ギターとドラムを接着するベースの役割は前作以上に重要なものになっている。山本精一は前作のベース演奏をピーター・ペレットのイングランズ・グローリーを引き合いに出して説明したが、『ラプソディア』のベースはパンク的な硬質なものではなく、ファットかつ(やや)ファンキーである。だけでなく、手探りで音をたぐりよせる不安定さが合奏に絶妙なテンションを付加している。"ラプソディア"のハネ具合やヌキ具合はロビー・シェイクスピアもコリン・ムールディングにもマネできない。そう書いて思ったが、米国式フォーク・ロックあるいはサイケデリック・ロックの遺伝子ともに、ブリティッシュ・トラッド、UKロックの影がさすことでこのアルバムの立体感はより強くなっている。この回収不能感は伝統が属性と即断される現在においてはやはり異能のことといわねばならない。もっとも山本精一はただ孤高として別の山のように屹立するのではなく、彼の音楽には次の音楽を示唆するものが潜まされてもいる。これと較べるべきは、山本と同じくヴォーカルとギターとベースとを担当した坂本慎太郎のソロ『幻とのつきあい方』であり、両者の描き出す索漠とした風景は音楽を、音楽を奏でる主体に拮抗させることで歌をつくってきたここ数年から、主体はどうあがいても音に匹敵できないという諦念含みの分裂を前提に置きながら、その間のミゾから目を逸らさないことで、ポップ・ミュージックの折り返し地点を示すものかもしれない。というのは大袈裟だろうか。

Chart by TRASMUNDO 2011.11.04 - ele-king

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S.L.A.C.K.

S.L.A.C.K. この島の上で »COMMENT GET MUSIC

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H.FUTAMI

H.FUTAMI MIX CD »COMMENT

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UG KAWANAMI

UG KAWANAMI BOOTLEG »COMMENT

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STARRBURST

STARRBURST 7inch EP »COMMENT GET MUSIC

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ILL FANTASTICO

ILL FANTASTICO STEAL MY SUNSHINE vol.3 »COMMENT GET MUSIC

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TWIN PEAKS

TWIN PEAKS Live at OPPA-LA »COMMENT GET MUSIC

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SUN BEAM SUN

SUN BEAM SUN ALMOST THERE »COMMENT GET MUSIC

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GRADIS NICE&SCRATCH NICE

GRADIS NICE&SCRATCH NICE TWICE IS NICE »COMMENT GET MUSIC

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CE$

CE$ BCTRBDSS EST 2011 BEATDOWN COLLEGE »COMMENT GET MUSIC

10

KURI

KURI BLACK FOREST LIVE IN GRASSROOTS »COMMENT GET MUSIC
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