「K A R Y Y N」と一致するもの

Vladislav Delay - ele-king

 フィンランドのミニマル大王、ヴラディスラフ・ディレイことサス・リパッティが2月27日に新作をドロップする。2014年の『Visa』以来、およそ5年ぶりのアルバムだ。同作は、リパッティがツンドラの過酷な状況で過ごした体験からインスパイアされているという。レーベルは、最近シャックルトンの新プロジェクト=チューンズ・オブ・ネゲイションをリリースしたばかりの〈Cosmo Rhythmatic〉。現在サンクラスポティファイにて “Raajat” が先行公開中。ユーチューブにはティーザー動画もあり。

artist: Vladislav Delay
title: Rakka
label: Cosmo Rhythmatic
catalog #: CR11
release date: February 27th, 2020

Tracklist:
01. Rakka
02. Raajat
03. Rakkine
04. Raakile
05. Rampa
06. Raataja
07. Rasite

Boomkat

Oli XL - ele-king

 どうも2017年の『Mono No Aware』がひとつの起点になっているような気がしてならない。カニエケレラを触発したカリーム・ロトフィをはじめ、マリブーやフローラ・イン=ウォンなど、同盤に参加していた面々が、以降、より注目を集めるようになってきているのだ。なかでも重要なのはイヴ・トゥモアの動きで、彼が〈Warp〉に籍を移すと同時にコペンハーゲンの〈Posh Isolation〉勢とも接触したことは、近年北欧がエレクトロニック・ミュージックの新たな震源地となっていることをほのめかしている。
 おなじく〈PAN〉の『Mono No Aware』に名を連ねた翌年、まさにその〈Posh Isolation〉のコンピ『I Could Go Anywhere But Again I Go With You』に参加することになったストックホルムのオリ・エクセル、彼もまたそのような昨今の動きを象徴する存在といえるだろう(おなじくストックホルムを拠点に活動し、おなじく〈Posh Isolation〉の一員であるヴァリ(Varg)とも共演済みだし)。

 新たにみずからの手で起ちあげたレーベル〈Bloom〉からのリリースとなったオリ・エクセルのファースト・アルバムは、絶妙なバランス感覚でポップとアヴァンギャルドのあいだを駆け抜けていく。全体的に、ある時期のハーバートやアクフェンあたりを想起させる音響に包まれているが、ドラムはより今日的で重く、たとえば日本語のサンプルからはじまる “Mimetic” によくあらわれているように、UKガラージ~グライムからの影響が色濃くにじみでている。2014年のデビューEP「005 / Wish We Could Zone」では深い深いダブの霧のなかにジャングルをぶちこんで遊んでいた彼だけれど、今回のアルバムは「Tracer Wanz」(2016)や「Stress Junkie / Mimetic」(2018)で試みられていたベース・ミュージック由来のリズムの解体作業を、よりテッキーな音響のなかで実践したものといえるだろう。

 ときにダブだったりインダストリアルだったりと、細部も丁寧につくりこまれている。具体音の聞かせ方もおもしろく、ウェイトレスなシンセの波に覆われた “DnL” では、チョークで何かを書く/描くような音が最高の快楽をもたらしてくれる。ちなみに同曲では「退屈、ダルい」ということばが何度も繰り返されているが、加工された音声も本作の聴きどころのひとつだ。
 とりわけ注目すべきは、リード・トラックの “Clumsy” だろう。「ぼくは負け犬、殺しちまえよ」。ベックである。高ピッチの音声によって読み上げられるこの “Loser” のフレーズは、ハイテックかつダンサブルな曲調ともあいまって、自己憐憫的な感傷を極限まで抑え込んでいる。ユーモアがあるという点においてはオリジナルを踏襲しているわけだが、ゆえにこの引用は、資本や国家がけっして弱者を殺すことはせず、むしろ生殺しの状態のまま「負け犬」としてえんえんこきつかうさまを、「頼むから殺してくれ」と、陽気に諷刺しているように聞こえる(『クワイータス』はインセルやマスキュリニティの文脈から捉えようとしていたけど)。

 エレクトロニカの音響とベース・ミュージックのリズムを実験的に融合させつつ、かろやかにユーモアで包みこむこと。それはEPの時点ではまだ試みられていなかったアイディアであり、どうしても暗くなってしまいがちな当世にあって、このオリ・エクセルのやり方はなかなか有効な手段といえるのではないだろうか。今後の成長が楽しみな若手の登場である。

φonon - ele-king

 この1月で設立2周年を迎える佐藤薫主宰の〈φonon (フォノン)〉。じょじょにタイトル数も増えている同レーベルだけれど、きたる2月、新たに2作品がカタログに加わることとなった。ひとつは、宇川直宏と森田潤によるユニット=グレイヴスタイルやギャルシッドなどを収めたオムニバスの『Mutually Exclusive Music 2』。もうひとつは、ドイツ出身のトランペット奏者=アクセル・ドナーのソロ第2作。どちらもただならぬ匂いがぷんぷんなので、しっかりチェックしておこう。

「φonon(フォノン)」のニュー・リリース2タイトル 2020年2月21日(金)発売

新レーベル〈φonon (フォノン)〉は、EP-4 の佐藤薫が80年代に立ち上げたインディー・レーベル〈SKATING PEARS〉のサブレーベルとして2018年に始動。SKATING PEARS は当初カセットテープ・メディアを中心に多彩な作品をリリースしてきたが、〈φonon〉は佐藤薫のディレクションによって主にエレクトリック/ノイズ系の作品を中心にリリースする尖鋭的なレーベルだ。これまでに13タイトルを発表、2020年2月発売の2タイトルを合わせて15作品にのぼる。

レーベルサイト
https://www.slogan.co.jp/skatingpears/

2020年2月21日(金)
2タイトル同時発売!!

アーティスト:Various Artists
アルバム・タイトル:『Mutually Exclusive Music 2』(ミューチュアリー・エクスクルーシヴ・ミュージック 2)

発売日:2020年2月21日(金)
定価:¥2,000(税別)
品番:SPF-014
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS

「你墜入騒音地獄──森田潤・法外監修!」
昨年〈φonon〉からリリースし驚愕の注目を集めた70歳を超えるというソプラノ女性歌手、Madam Anonimo (アノニモ夫人)のアルバム『il salone di Anonimo (サロン・アノニモ)』の音楽プロデュースを担当した森田潤。その森田が2018年に発表したオムニバス・アルバム『Mutually Exclusive Music』に続くシリーズ第二弾が登場する。副題の『Cohesion and Coupling of Modules (モジュールの凝集度と結合度について)』とは、電子楽器のプログラミング/パッチングの相互排他的な抽象度による関係反転原理が、操作する者とその音楽作品としての効果/結果に及ぼすある種の仕掛け/ギミックのことだ。それは、前作のシニカルなエレクトロ・ビートの概念から、アンビエントやハーシュ・ノイズなどを包摂していく本作の編纂過程でもある。

参加アーティストは、貪欲騒音機械を操るグレイヴスタイル(宇川直宏+森田潤)、ギャルシッド、フューエルフォニック、デイヴ・スキッパー、ハタケンという5組。これこそモジュラーのダイバーシティだ。


GRAVESTYLE/グレイヴスタイル
DOMMUNE 代表の「宇川直宏」とモジュラー楽士「森田潤」の二人によるユニット。1989年に結成され、VJの概念が未確立の時代に、芝浦 GOLD などで行ったオーディオ・ビジュアル・パフォーマンスが伝説的な評価を得る。30年ぶりの再編で「沖縄電子少女彩」に楽曲を提供。GRAVESTYLE 名義では今回が初の作品リリースとなる。


galcid/ギャルシッド
モジュラーシンセと TB-303 リズムマシーンを駆使した “完全即興ライヴ” が話題の「Lena」によるソロユニット。 2016年の 1st. アルバム『hertz』が賞賛を得た後、18年には坂本龍一による Spotify の『SKMT Picks』にも選ばれ、電子音楽に特化した国内外イベントへの出演を重ねる。19年秋以降、4つのレーベルより作品をリリース予定。


fuelphonic/フューエルフォニック
趣味が高じてバイクのエキゾーストノートだけでプレイするようになったというDJの「坂田律子」と、シンセ/コンピュータ好きが高じた果ての演奏を披露する「野本直輝」による、2018年末結成のデュオユニット。奇妙なエレクトロニクスサウンドと疾走感満点のバイクノイズが織り成す、ドラッグレースのような摩訶不思議音響ワールドが魅力だ。


Dave Skipper/デイヴ・スキッパー
英国出身の現役キリスト教宣教師。2010年より東京で活動を始める。アナログモジュラー機材を中心としたライヴ・パフォーマンスを様々なクラブにて展開。サイケデリック~ノイズ~アブストラクト~日射しで脳が溶解──聖書とノイズの関係性を求め研究に邁進中。“Tokyo Festival of Modular” や “Heavier Than Jupiter” などのイベントを主催。


HATAKEN/ハタケン
発信する新たな音響世界が国内外から注目を集めるモジュラーシンセ・パフォーマー/プロデューサー。“Tokyo Festival of Modular” を主催するほか、欧州から、北米、アジア各地でのフェス出演やワークショップを敢行。また「Greg Hunter」とのプロジェクトやギタリスト「SUGIZO」との共演、「Coppe’」のプロデュースなど、精力的に活動する。


Jun Morita/森田潤
DJとしてワールド・ミュージック、ジャズ、エレクトリック・サウンドに幅広くコミット。同時に、モジュラー・シンセの自動演奏に即興を組み合わせたパフォーマンスでライブ活動中。2018年、ソロ作品『LʼARTE DEI RUMORI DI MORTE』発売。レア・ヴァイナル復刻のマスタリング・エンジニアとしても評価される。

ライナーノーツ・毛利嘉孝
ジャケットデザイン・福永和三郎

トラックリスト:
01. Introduction to Modular Synthesizer with _Kaiwa_
02. GRAVESTYLE - Thee Temple OV Ocarina Youth
03. galcid - Metal Processing
04. galcid - Rubber Snake
05. fuelphonic - sunabokori
06. Dave Skipper - Alienoid
07. Dave Skipper - Lab Panic
08. Dave Skipper - Incursion
09. Dave Skipper - Excision
10. Dave Skipper - Nightfade
11. HATAKEN - expansion phase

アーティスト:Axel Dörner (アクセル・ドナー)
アルバム・タイトル:『inversich』(インファージッヒ)
発売日: 2020年2月21日(金)
定価:¥2,000(税別)
品番:SPF-015
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS

「トランペットの《零度》もっと深く……」
ヨーロッパや日本をはじめ世界を駆け巡り多彩な演奏活動を続けるドイツ出身のトランペット奏者「アクセル・ドナー」のソロ第2作。2018年に第1作として発表した『unversicht/ウンフェルジヒト (SPF-007)』は、ポストデジタル時代の指標としてその存在の特異点を示した作品となっていたが、本作でも電子的に拡張/メタモルフォーゼさせたトランペット音による孤独な実験の成果を、一連の新世紀音響ガイドとして聴く者に提供する。タイトルの『inversich』とはドナーによる造語で存在しない単語だが、ドイツ語的には、反転/自己/逆の/私の/逆しま/自分自身──などの意味的交わりを想起させながら、前作『unversicht』と共鳴している。多様なプレイヤーとのセッション作品が多いドナーながら、ここでは続編として一貫した圧倒的ソロ・アンサンブルを構成。トランペット音とエレクトロニクスを加工編集した実験的な音像が、前作からの流れを継承しながら新たな展開を迎える!

ライナーノーツ・渡邊未帆
ジャケットデザイン・日下聡

トラックリスト
01. 1
02. 2
03. 3
04. 4
05. 5

Jeff Parker - ele-king

 前作『The New Breed』の成功でもはやトータスのメンバーとして以上に、むしろソロ・アーティストとして牢固たる地位を確立した感のあるジャズ・ギタリスト、ジェフ・パーカー。その新作が出るというのだから見逃せない。『The New Breed』がジェフの父へのトリビュート作だったのにたいし、今回のタイトルは『Suite for Max Brown』で、彼の母に捧げる作品となっている。日本での発売は1月29日。原盤はマカヤ・マクレイヴンなどで知られる〈International Anthem〉と〈Nonesuch〉の共同リリースとなっており、そのマカヤ・マクレイヴンや盟友ロブ・マズレクらが参加している。収録曲にはコルトレーンやジョー・ヘンダーソンのカヴァーも含まれているようで、もうとにかく楽しみだ。
 なおジェフは、2月9日から11日にかけ、トータスの一員として来日することが決まっている。そちらの情報はこちらから。

Jeff Parker & The New Breed “Suite for Max Brown”
ジェフ・パーカー『スイート・フォー・マックス・ブラウン』

フォーマット:CD
商品番号:IARC-J029 / HEADZ 244 (原盤番号:IARC0029)
価格:¥2,100+税
発売日:2020.1.29 ※オリジナル(US)盤発売日:2019.1.24
原盤レーベル:International Anthem Recording Co. / Nonesuch Records Inc.
バーコード:4582561391378

01. Build a Nest (feat. Ruby Parker) 2:13
 ビルト・ア・ネスト(フィーチャリング・ルビー・パーカー)
02. C'mon Now 0:25
 カモン・ナウ
03. Fusion Swirl 5:32
 フュージョン・スワール
04. After the Rain 4:45
 アフター・ザ・レイン
05. Metamorphoses 1:48
 メタモルフォーゼズ
06. Gnarciss 2:12
 ナールシス
07. Lydian Etc 0:55
 リディアン・エトセトラ
08. Del Rio 1:38
 デル・リオ
09. 3 for L 4:47
 スリー・フォー・L
10. Go Away 4:58
 ゴー・アウェイ
11. Max Brown 10:36
 マックス・ブラウン
12. Blackman 2:56
 ブラックマン

Total Time 42:50
       
※ track 12 … 日本盤のみのボーナス・トラック(from 7" phonograph flexi disc:IARC0021)

All songs composed by Jeff Parker (umjabuglafeesh music, BMI);
except “After The Rain” by John Coltrane, and “Gnarciss” which contains elements of “Black Narcissus” by Joe Henderson.

“C’mon Now” features samples from the Otis Redding recording “The Happy Song (Dum-Dum).” Produced under license from Atlantic Recording Corp. By Arrangement with Rhino Entertainment Company, a Warner Music Group Company.

All arrangements by Jeff Parker.

Engineered and edited by Jeff Parker at Headlands Center For The Arts, Sausalito, California and at home in Altadena, California.
Engineered, edited and mixed by Paul Bryan in Pacific Palisades, California.
Mastered by Dave Cooley at Elysian Masters, Los Angeles, California.

Produced by Paul Bryan and Jeff Parker.

“Build a Nest (feat. Ruby Parker)”
Jeff Parker - drums, vocals, piano, electric guitar, Korg MS20
Ruby Parker - vocals

“C’mon Now”
Jeff Parker - sampling, editing

“Fusion Swirl”
Jeff Parker - electric guitar, bass guitar, samplers, percussion, vocals

“After the Rain”
Paul Bryan - bass guitar
Josh Johnson - electric piano
Jeff Parker - electric guitar and percussion
Jamire Williams - drums

“Metamorphoses”
Jeff Parker - glockenspiel, sequencer, sampler, MS20

“Gnarciss”
Paul Bryan - bass guitar
Josh Johnson - alto saxophone
Katinka Kleijn - cello
Rob Mazurek - piccolo trumpet
Makaya McCraven - drums and sampler
Jeff Parker - electric guitar, JP-08, sampler, midi strings

“Lydian, Etc”
Paul Bryan - bass guitar
Jeff Parker - electric guitar, pandeiro, midi programming, etc.

“Del Rio”
Paul Bryan - bass guitar
Jeff Parker - electric guitar, mbira, sampler, Korg MS20, drums, electric piano

“3 for L”
Jay Bellerose - drums and percussion
Jeff Parker - electric guitar, Korg MS20

“Go Away”
Paul Bryan - bass guitar and vocals
Makaya McCraven - drums
Jeff Parker - electric guitar, vocals and sampler

“Max Brown”
Paul Bryan - bass guitar
Josh Johnson - alto saxophone
Jeff Parker - guitar, Korg MS20, JP-08
Nate Walcott - trumpet
Jamire Williams - drums

“Blackman”
Produced, Performed & Recorded by Jeff Parker.
Vocals by Ruby Parker.
Mixed by Paul Bryan.
Mastered by David Allen.

Graduated studies of sampling, cycles & soulful jazz harmonics mix Monkian miniatures into a fusion-swirled dedication.

2020年2月に1998年の名盤『TNT』の完全再現公演で来日するポストロックの代表バンド、トータスのメンバーであり、平行してジャズ・ギタリストとしても活躍するジェフ・パーカーの名盤の誉れ高き、2016年のリーダー作『The New Breed』(NPR、Observer、New York Times、Los Angeles Times、Jazz Standard、Bandcamp 等にて、2016年の年間ベストに選出。日本盤は2017年リリース)に続く、新作アルバム『Suite for Max Brown』が遂に完成。

ジェフと並ぶ看板アーティストでもあるドラマーのマカヤ・マクレイヴンのリーダー作等で近年日本でも注目されているシカゴの新興ジャズ・レーベル、〈International Anthem〉とあの〈Nonesuch Records〉との共同リリースの第一弾アルバム(第一弾は2019年12月2日にリリースされたジェフのアルバムの先行シングル「Max Brown - Part 1」)となる本作は、『The New Breed』の姉妹作(『The New Breed』はジェフの亡き父親に捧げられたアルバムで、アルバムのアートワークにもフィーチャーされていたが、本作はジェフの母親の19歳の頃の写真がジャケットにフィーチャーされている。まだご存命の母親へ捧げられたアルバムで、アルバム・タイトルも母親の旧姓に因んでいる。)ともいえる作品で、前作同様にジェフがマルチ・インストゥルメンタリストやビートメーカーとして一人で制作した楽曲と The New Breed というグループ名でライブ活動をするまでに発展した前作のレコーディング・メンバーが再び集結して制作された楽曲が違和感なく収録されている。

『The New Breed』と同様プロデュースはジェフ自身と、エイミー・マン、アラン・トゥーサン、ノラ・ジョーンズの作品等で有名なポール・ブライアン(2018年のグラミーでエイミー・マンの2017年のアルバム『Mental Illness』のプロデューサーとして「Best Folk Record」を受賞)が担当(ミックスも担当し、ベースでも参加。ミシェル・ンデゲオチェロやルーファス・ウェインライトのライブにも参加するなどプレイヤーとしても活躍している)。

エスペランサ・スポルディングやミゲル・アトウッド・ファーガソン、カルロス・ニーニョ、キーファー、リオン・ブリッジズとも共演してきたサックス奏者のジョシュ・ジョンソン、ロバート・グラスパー・トリオのメンバーで、先鋭的ジャズ・コレクティヴ、エリマージを率いる新世代ドラマー、ジャマイア・ウィリアムス(モーゼス・サムニーの2017年作『Aromanticism』にはドラマーとして、ソランジュの2019年作『When I Get Home』にはプロデューサーの一人として参加している)が脇を固めている。本作には更に二人のドラマーが参加しており、一人はレーベルメイトで何度も共演していて、日本でも人気上昇中のマカヤ・マクレイヴン(『The New Breed』の日本盤のボーナス・トラックとして収録されたリミックスも担当)、もう一人は『The New Breed』にも参加していたジェイ・ベルローズ(ポール・ブライアン関連作のみならず、ポーラ・コールの作品を中心に、エルトン・ジョン、ロバート・プラントとアリソン・クラウスのグラミー受賞作『Raising Sand』他、ジャンルに関係なく活躍)。

シカゴ・アンダーグラウンド・オーケストラ以降、何度も共演を重ねてきた盟友ロブ・マズレクがピッコロ・トランペット、ブライト・アイズ(コナー・オバーストのソロ作も)やエンジェル・オルセンの2019年作『All Mirrors』にも参加しているネイト・ウォルコットがトランペットで参加している。

また、ジェフのバークリー音楽院時代の同級生で、現在は Chicago Symphony Orchestra に在籍しているチェリスト、Katinka Klejin (2019年末来日したラリー・ウォーカーと共演作をリリースしている)も参加している。

アルバムの冒頭を飾る “Build a Nest” には、前作収録の “Cliche” に引き続き Chicago High School of the Arts の学生でもある17歳のジェフの愛娘、ルビー・パーカーのヴォーカルをフィーチャーしている。

ジェフのオリジナル楽曲とともに、ジョン・コルトレーンの1963年作『インプレッションズ』収録の “After the Rain” のカヴァー、ジョー・ヘンダーソンの “ブラック・ナルシサス” をジェフ流に解釈した “Gnarciss” を収録している。

マスタリングも前作同様、J・ディラ『Donuts』を手掛けたデイヴ・クーリーが担当している。

ヒップホップにインスパイアされた現在進行形のサウンドと、古き良きジャスがバランスよくブレンドされた、ジェフのミュージシャンやコンポーザーとしての懐の深さを感じさせる、『The New Breed』を更新・進化させた正にマスターピース。

日本盤には2018年5月21日に7インチのソノシートのみでフィジカル・リリースされた、Madlib とのコラボでも知られるジョージア・アン・マルドロウ(〈ストーンズ・スロウ〉初の女性アーティストとしてデビューし、現在は〈ブレインフィーダー〉所属)の “Blackman” (1st フル・アルバム『Olesi: Fragments of an Earth』収録曲)のカヴァー曲をボーナス・トラックとして収録(アルバム用にリマスタリングされている)。

ライナーノーツは、Jazz The New Chapter の柳樂光隆が担当。
日本盤のみ歌詞・対訳付。

Daniel Lopatin - ele-king

 ダニエル・ロパティンが劇伴を手がけた映画『アンカット・ダイヤモンド』(原題:『Uncut Gems』)が Netflix にて1月31日より配信開始となる。その布石として、サウンドトラック制作の背景を追ったドキュメンタリーが YouYube にて公開中だ。日本語の字幕付きで視聴できるのはありがたい。予想以上に良い内容のサントラだっただけに、どんなふうに制作が進められていったのか、気になるところです。下記、新たにコメントも到着。いわく、「すべてが美しい叙事詩のよう」。ロパティン本人のインタヴューはこちらから。

アダム・サンドラー主演/サフディ兄弟監督/A24 配給
『UNCUT GEMS』(邦題『アンカット・ダイヤモンド』)
Netflix にて1月31日より独占配信開始!
OPNことダニエル・ロパティンが手がけたサウンドトラックの制作ドキュメンタリーが日本語字幕付きで公開!

サフディ兄弟による本作は、そのストーリーと音楽によって、ニューヨークの喧騒を見事に描き出し、時には映像さえ必要ないのではないかとすら思わせる。 ──The New York Times

サフディ兄弟監督/アダム・サンドラー主演/A24配給の映画『Uncut Gems』(邦題『アンカット・ダイヤモンド』 Netflix にて1/31より独占配信開始)。世界に先駆け公開となったアメリカでは興行収入が A24 史上最高記録を塗り替え、NY映画批評家協会賞とサンディエゴ映画批評家協会賞では監督賞受賞、キャリア史上最高レベルの素晴らしい演技と評判の主演アダム・サンドラーは、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で『JOKER』のホアキン・フェニックスを抑え主演男優賞を受賞するなど、配信開始前からここ日本でも映画ファンを沸かせている本作。

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)ことダニエル・ロパティンが手がけた本作のサウンドトラックの制作背景を追ったドキュメンタリー映像が公開! 日本語字幕付きでの視聴が可能となっている(YouTube 上の設定ボタンより「字幕⇨日本語」で設定)。

ニューヨーク宝石市場を舞台とした一風変わったクライム・サスペンス作品を彩るダニエルが手がけた音楽は、緊迫した物語と絡みながら、ヴァンゲリスやタンジェリン・ドリーム、そして芸能山城組をも彷彿とさせる幻想的な音色や、まるでスティーヴ・ライヒが書き下ろしたオペラのようなミニマルでパーカッシヴな声楽曲までを幅広く表現。映画のシーンに合わせどのように音を構築したのか、そしてサフディ兄弟と互いを刺激し合いながら、いかにしてこのかつてない劇伴を完成まで至らせたのか、貴重な制作の裏側が垣間見られる内容となっている。

Behind the Soundtrack: 'Uncut Gems' with Daniel Lopatin (DOCUMENTARY)
https://www.youtube.com/watch?v=pIAvmtNIx9I&feature=youtu.be

今でもこのサウンドトラックがどういうものか説明出来ない。 なぜならすべてが美しい叙事詩のようでその瞬間その瞬間に意味があるからだ。 ──Daniel Lopatin

予告編
https://youtu.be/vTfJp2Ts9X8

『アンカット・ダイヤモンド』 (原題:『Uncut Gems』)
監督:ジョシュア・サフディ&ベニー・サフディ
脚本:ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ、ロナルド・ブロンスタイン
製作:スコット・ルーディン、イーライ・ブッシュ、セバスチャン・ベア・マクラード
出演:アダム・サンドラー、キース・スタンフィールド、ジュリア・フォックス、ケビン・ガーネット、イディナ・メンゼル、エリック・ボゴシアン、ジャド・ハーシュ
音楽:ダニエル・ロパティン
公開:2020年1月31日 Netflix にて全世界配信開始

label: BEAT RECORDS / WARP RECORDS
artist: Daniel Lopatin
title: Uncut Gems Original Motion Picture Soundtrack
release date: 2019/12/13 FRI ON SALE

国内盤CD
BRC-625 (解説書封入) ¥2,200+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10630
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZR5G8DL

TRACKLISTING
01. The Ballad Of Howie Bling
02. Pure Elation
03. Followed
04. The Bet Hits
05. High Life
06. No Vacation
07. School Play
08. Fuck You Howard
09. Smoothie
10. Back To Roslyn
11. The Fountain
12. Powerade
13. Windows
14. Buzz Me Out
15. The Blade
16. Mohegan Suite
17. Uncut Gems

インタビュー掲載中!
ele-king: https://www.ele-king.net/interviews/007303/
──人間としての自分に近い作品に思えた

BEATINK 年間ベスト「BEATINK BEST OF 2019」キャンペーン実施中!
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10746

MAE.SUN - ele-king

 サキソフォニストにしてヴォーカリストのヘイリー・ニスワンガー率いるバンド、メイサン(MAE.SUN)がセカンド・アルバムを送り出す。彼女は、USのマルチ楽器奏者エスペランサ・スポルディングからもあつい信頼を置かれているプレイヤーで、まだ知らない方は要チェックっす(昨秋のハーヴィー・メイソンの来日公演では、マーク・ド・クライヴ=ロウとも共演)。ジャズと現代ソウルとの蜜月を教えてくれる、素敵な1枚をぜひ。

MAE.SUN
Vol.2 Into The Flow

エスペランサ・スポルディング、テイラー・アイグスティ(ケンドリック・スコット・オラクル)等とも共演を果たす、サックス奏者・ボーカリスト、ヘイリー・ニスワンガーを中心に結成された MAE.SUN (メイサン)。
コンテンポラリー・ジャズの洗練さとネオ・ソウルのフィーリングが融合し、色彩豊かな輝きを増したセカンド・アルバム!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/maesun

ネオソウル以降の音楽シーンに新たな息吹を与える MAE.SUN。率いるのは女性サックス奏者ヘイリー・ニスワンガー。十代でリーダー作を発表してジャズの世界で認められた気鋭のプレイヤーであり、その実力はエスペランサ・スポルディングからも厚い信頼を得ている。だけど、MAE.SUN での彼女はもっと抜きん出てた才能を発揮する。自らヴォーカルも取り、真にグルーヴィーでマインドフルな音楽を追求する姿勢が、このアルバムから伝わるはずだ。 (原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : MAE.SUN (メイサン)
タイトル : Vol. 2: Into The Flow
発売日 : 2020/2/19
価格 : 2,400円+税
レーベル/品番 : rings (RINC64)
フォーマット : CD (日本企画限定盤)

Tracklist :
01. Awaken
02. Change
03. Bond (feat. Amber Navran)
04. Cycle
05. Ritual
06. Ascension (feat. Kate K-S)
07. Acceptance
08. Free

Banter × Thomas Fehlmann - ele-king

 大ヴェテラン、トーマス・フェルマンが2月15日に来日する。会場は表参道の VENT。今回のパーティは、Moss と SITH のふたりから成るオーディオ・ヴィジュアル・ユニット Banter による初の作品「THER」のリリース・パーティとして企画されたもので、同作にフェルマンがリミキサーとして参加したことがきっかけになった模様。目も耳も思うぞんぶん楽しめる一夜になりそうだ。

リビング・レジェンド、Thomas Fehlmann が Banter 初作品のリリースパーティーに登場

デトロイト~ベルリンの架け橋としてベルリンのテクノ・シーンの礎を築き上げ、The Orb の長年のコラボ・メンバーとしても活躍してきたリビング・レジェンド、Thomas Fehlmann (トーマス・フェルマン)。Banter の初のリリース作品にリミキサーとして起用された Thomas Fehlmann と共に、リリース・パーティーを2月15日に開催!

Thomas Fehlmann は、79年に Holger Hiller や Moritz Von Oswald と共に伝説のニューウェイヴ・バンド Palais Schaumburg を結成。バンド解散後、ソロ活動を開始してからは、盟友 Moritz Von Oswald とのプロジェクト 2MB、3MB でデトロイト・テクノのオリジネーター Blake Baxter や Eddie Fowlkes や Juan Atkins と邂逅、デトロイトとベルリンの架け橋としてベルリンのテクノ・シーンの礎を築いた人物と言って過言ではないだろう。その後、The Orb の長年のコラボレーション・メンバーとして積極的にリリースに関わる。ソロ作品は〈R&S〉や〈Tresor〉、〈KOMPAKT〉などの名門レーベルからリリースし、多くの映像作品用にも楽曲を提供してきた。

今回のパーティーを仕掛ける Banter は、サウンド・プロデューサーの Moss と VJ の SITH aka So In The House が2017年に結成したミニマルでアシッドなオーディオ・ビジュアル・ユニットだ。Moss が生み出す緻密なサウンドに SITH がビジュアルをシンクロさせ、オーディエンスの聴覚と視覚を揺れ動かしてきた。Banter 初のリリース作品「THER」がこの度リリースされることになり、リミキサーとして Thomas Fehlmann が起用されている。

静逸なアンビエントからミニマル&テクノまでを自在に操り、ドイツのクラブ・シーンに非常に大きな貢献を残した Thomas Fehlmann と、日本発のアップカミングな才能である Banter が、共に創り出した作品のリリースパーティーで相見える一夜は注目に値するだろう!

[イベント概要]
- Thomas Fehlmann at Banter Vol. 7 -
DATE : 02/15 (SAT)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥3,600 / FB discount : ¥3,100
ADVANCED TICKET : ¥2,750
https://jp.residentadvisor.net/events/1373267

=ROOM1=
Thomas Fehlmann (Kompakt, DE)
Banter - Audio & Visual Live Set (Moss / Sith)
RAHA (Beat In Me)
SAYA SATURN (Banter)
VJ DRAKHMA

=ROOM2=
BLACK NICO (L...deep)
erica
STONEVIBES
MAL

※ VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case. Thank you for your cooperation.

Thundercat - ele-king

 前作『Drunk』でも大成功を収めたベーシスト、サンダーキャットが3年ぶりとなるニュー・アルバムを〈Brainfeeder〉よりリリースする。フライング・ロータスとの共同プロデュースで、さらに信じられないくらい豪華なゲストたちが大勢参加している。現在スティーヴ・レイシーとスティーヴ・アーリントンを迎えた新曲 “Black Qualls” が公開中なので、まずはそちらをチェック。

[2月18日追記]
 4月に来日公演も決定しているサンダーキャットが、待望の新作より新たに “Dragonball Durag” を公開。曲名どおり、『ドラゴンボール』からインスパイアされた曲である。「俺にはドラゴンボールのタトゥーがある……ドラゴンボールは全てをつかさどるんだ。ドラゴンボールは人生だ、という格言もあるんだぜ」とのこと。プロデュースは本人とフライロー、演奏にはカマシも参加。なお、来日公演のチケットの一般発売はいよいよ今週末22日から。こちらをチェック。

[2月28日追記]
 くだんの “Dragonball Durag” のMVが公開されました。サンダーキャットのコメントと、歌詞の一部も翻訳されています。

この世界には2種類の人間がいる。ドゥーラグをしている奴と、ドゥーラグが何か知らない奴だ。ドゥーラグにはスーパーパワーがあるのさ。スワッグ(イケてる度)を上げるためのな……ドゥーラグには効果があるんだ、自分を変えてくれるっていう効果が。クローゼットに一つあれば、今夜していこうかと考える。でも何が起こるか分からないからドゥーラグがはずれちまうことだってあるかもしれないぜ。 ──Thundercat

俺のビデオゲームとか漫画とか、別に好きにならなくていいよ/ベイビー・ガール、俺のドゥーラグ似合ってるかな?/うまく結べてる?/そのドレス、俺だけのために着てくれたの?/なぜなら俺はそのドレスを引きちぎろうとしてるから/ベイビー・ガール、俺は自分のドゥーラグにブチ込むよ/それしかないから ──“Dragonball Durag” の歌詞より

[3月18日追記]
 まもなくリリースを控えるニュー・アルバムより、新たに新曲 “Fair Chance” が公開されました。タイ・ダラー・サイン、リル・Bが参加。国内盤CDの特典も決定していますので、下記をチェック。

4月3日リリースの最新作『It Is What It Is』より、
タイ・ダラー・サイン、リル・B参加の新曲 “Fair Chance” を公開!
国内盤CD各種購入特典も決定!

唯一無二のキャラクターで多くの音楽ファンを虜にし、アーティストやセレブリティーからも熱い視線を集めるアーティスト、サンダーキャット。LAの人気姉妹バンド、ハイム、R&Bシンガーのカリ・ウチス、コメディアンのクインタ・ブランソンが出演した “Dragonball Durag” (ドラゴンボール・ドゥーラグ)のミュージックビデオの公開も話題となった彼が、4月3日発売の最新作『It Is What It Is』より新曲 “Fair Chance (feat. Ty Dolla $ign & Lil B)” を公開!

Thundercat - Fair Chance (feat. Ty Dolla $ign & Lil B)
https://www.youtube.com/watch?v=IoFOXgIme9M

楽曲にはファンク・バンドのメンバーとして活動していた父と、アイズレー・ブラザーズのメンバーとして活躍する叔父を持つという、サンダーキャット同様に音楽一家で生まれ育った人気シンガー/プロデューサーのタイ・ダラー・サインと、いち早くアンビエントやニュー・エイジを取り入れたノン・ビートのプロダクションでラップをするなど、アヴァンギャルドな作風で注目を集めるラッパー、リル・Bが参加している。

これはマックについての曲なんだ……。彼が逝った時、周りのアーティスト達はみんなショックに陥った。タイはタフな奴だよ、彼が曲を聴いた時、それがどうあるべきか既にわかっていた。俺は彼がレコーディングしているときに一緒に居たんだ。俺たちはそのことについて話し合ったし、彼は自分自身が正しいと感じたことをやって、俺もそれを気に入ったんだ。 ──Thundercat

THUNDERCAT
『Drunk』より3年、サンダーキャット待望の最新作『It Is What It Is』が遂に完成!

フライング・ロータスとサンダーキャットが共同プロデュースした本作に、超豪華アーティストが再び集結!

チャイルディッシュ・ガンビーノ|スティーヴ・レイシー|スティーヴ・アーリントン|カマシ・ワシントン|リル・B|タイ・ダラー・サイン|バッドバッドノットグッド|ルイス・コール|ザック・フォックス

伝説のファンク・バンド、スレイヴのスティーヴ・アーリントンと、若き天才プロデューサー、スティーヴ・レイシーが参加した新曲 “Black Qualls” を公開!

国内盤にはマイケル・マクドナルド参加のボーナストラックを追加収録!
Tシャツ・セットの発売も決定!

サンダーキャットが待望の新作をひっさげて帰ってきた! その年を代表する傑作として名高い2017年の『Drunk』で、超絶技巧のベーシストから正真正銘の世界的アーティストへと飛躍を遂げた以降も、フライング・ロータスの『Flamagra』やトラヴィス・スコットの『Astroworld』、故マック・ミラーの『Swimming』への参加、ここ日本でもフジロック、サマーソニックへの出演や、渡辺信一郎が監督を務めたアニメ『キャロル&チューズデイ』への楽曲提供、さらにフライング・ロータス来日公演に飛び入りで参加するなど、常に注目を集めてきたサンダーキャットが、遂に待望の最新作『It Is What It Is』を4月3日(金)にリリースすることを発表! あわせて、新曲 “Black Qualls (feat. Steve Lacy & Steve Arrington)” を公開した。

Black Qualls (feat. Steve Lacy & Steve Arrington)
https://thundercat.lnk.to/it-is-what-it-is/youtube

ザ・インターネットの中心メンバーで、ソロ・デビュー作がグラミー賞ノミネートを果たしたスティーヴ・レイシーと、伝説のファンク・バンド、スレイヴのヴォーカル、スティーヴ・アーリントンが参加した本楽曲は、自身の持つ音楽の血統に焦点をあて、インスピレーションの源となったミュージシャンたちに敬意を表したいという、サンダーキャットの思いを具現化した楽曲となった。アーリントンが十代の終わりに作った作品を発見し、たちまち夢中になったサンダーキャットは「ベースのトーンや、彼の感じ方、動き、それがおれの全身に響き渡ったんだ」と語る。また楽曲誕生のきっかけはスティーヴ・レイシーとのセッションだったと明かし、レイシーを「オハイオ・プレイヤーズが一人の肉体に宿った化身。心底ファンキーなヤツだね」と評している。

盟友フライング・ロータスとサンダーキャット自身による共同プロデュースで完成した最新作『It Is What It Is』には、スティーヴ・レイシーとスティーヴ・アーリントンの他にも、チャイルディッシュ・ガンビーノ、カマシ・ワシントン、リル・B、タイ・ダラー・サイン、バッドバッドノットグッド、ルイス・コール、ザック・フォックスら、超豪華アーティストが勢揃い! 国内盤には前作の大ヒット・シングル「Show You The Way」でも共演したマイケル・マクドナルド参加のボーナストラックも追加収録決定!

このアルバムで表現しているのは、愛、喪失、人生、それに伴う浮き沈みだ。 皮肉っぽいところもあるけど、誰だって人生のさまざまな時点で、必ずしも理解できるとは限らない出来事に遭遇する…… そもそも理解されることを意図していないこともあるしね。 ──Thundercat

待望の最新作『It Is What It Is』は4月3日(金)に世界同時リリース! 国内盤CDにはボーナストラック “Bye For Now (feat. Michael McDonald)” が収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。また数量限定でTシャツ付きセットも発売決定。アナログ盤は、レッド・ヴァイナル仕様、クリーム・ヴァイナル仕様、特殊パッケージ入りクリア・ヴァイナル仕様、特殊パッケージ入りピクチャーディスク仕様の4種類が発売される。

label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: It Is What It Is
release date: 2020/04/03 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-631 ¥2,200+税
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書・歌詞対訳封入

Tシャツ付きセットも発売決定!
詳細は後日!

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10772

TRACKLISTING
01. Lost In Space / Great Scott / 22-26
02. Innerstellar Love
03. I Love Louis Cole (feat. Louis Cole)
04. Black Qualls (feat. Steve Lacy, Steve Arrington, & Childish Gambino)
05. Miguel's Happy Dance
06. How Sway
07. Funny Thing
08. Overseas (feat. Zack Fox)
09. Dragonball Durag
10. How I Feel
11. King Of The Hill
12. Unrequited Love
13. Fair Chance (feat. Ty Dolla $ign & Lil B)
14. Existential Dread
15. It Is What It Is
16. Bye For Now (feat. Michael McDonald) *Japanese Bonus Track

Nyantora + Duenn feat. 津田翔平 & 毛利悠子 - ele-king

 2016年にナカコーのプロジェクトのひとつである Nyantora と福岡在住の duenn によって始動し、年数回ペースで開催されている《HardcoreAmbience》。これまでも刺激的な企画を提案してきた同イベントだが、今回は2009年に亡くなったグラフィックデザイナーの粟津潔に焦点を当てた内容になっているようで、ゲストに美術家の毛利悠子と津田翔平が参加する。詳細は下記より。

ENVIRONMENT 粟津潔と環境と音楽 by HardcoreAmbience
(出演:Nyantora、Duenn、津田翔平、毛利悠子)

Koji Nakamura こと Nyantora と、福岡を拠点とするサウンドアーティスト duenn による共同イベント〈HardcoreAmbience〉の開催が決定。2009年にこの世を去ったグラフィックデザイナー粟津潔氏。金沢21世紀美術館に収蔵されている彼のグラフィック作品の中から今回のイベントコンセプトに合わせて作品をセレクトし、それらを図形楽譜に見立て約60分間のサウンドセッションを行う。出演者は、Nyantora+duenn、特別ゲストに美術家毛利悠子、美術家/グラフィックデザイナー津田翔平を招聘。各々が粟津潔作品を再解釈し、一つの “ENVIRONMENT” を生み出すことで、時空を超えたコラボレーションを展開する。

[日時]
2月4日(火)
20:15開場/20:30開演(21:30終演予定)

[会場]
アップリンク渋谷

[料金]
前売¥3,000 / 当日¥3,500(共に1ドリンク付き)

[詳細]
https://shibuya.uplink.co.jp/event/2020/55513

〈HardcoreAmbience〉は2016年から始動。Nyantora と duenn が自分達の出したい音、聴きたい音を追求し、その音に静かに深く向き合う場を作り続けるというコンセプトのもと、幅広い年齢層のアーティストを招聘し、年数回ペースで開催されている。イベント命名者は現代美術家宇川直宏。

Nyantora
ナカコーの多岐にわたる活動の中でキャリア最長を誇るアンビエントプロジェク ト。HARDCORE AMBIENCE を共同主催する Nyantora+duenn のライブ音源が、ベルギーの実験音楽レーベル〈Entr’acte〉からリリースされるなど、海外での評価も高まっている。2018年6月に、7年振りとなるCD『マイオリルヒト』を発表。

duenn
福岡在住のエレクトロニクス・コンポーザー。必要最小限の機材でミニマルな作品を制作。HARDCORE AMBIENCE を共同主催する Nyantora+duenn のライブ音源を、ベルギーの実験音楽レーベル〈Entr’acte〉で発表するなど国内外のレーベルより複数のEP、アルバムをリリース。

津田翔平
1986年東京都生まれ/茨城県在住。現代美術家、実験建築家、グラフィックデザイナー、ノイズレーベル〈UNNOISELESS〉主宰。空間における個人の存在を探究する実験や、既にそこに在る事象を志向/拡張することで意識と無意識を反転させるアーティスト。多次元空間を紡ぎ出すかの様に制作された作品群には、一貫して解体/測量/再構築といわれる建築的要素が含まれている。表現方法は建築・インスタレーション・絵画・彫刻・映像・音楽・ライブパフォーマンス・グラフィックデザイン・ノイズ音源のリリースなど多岐にわたる。
www.shoheitsuda.net

毛利悠子
1980年生まれ。美術家。磁力や重力、光など、目に見えず触れられない力をセンシングするインスタレーションを制作。2015年、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)のグランティとして渡米。2018年に英国カムデン・アーツ・センターでの個展「Voluta」、十和田市現代美術館での個展「毛利悠子:ただし抵抗はあるものとする」が開かれたほか、「第5回ウラル・インダストリアル・ビエンナーレ」(ロシア)、「アジア・パシフィック・トライアニュアル2018」(オーストラリア)、「リヨン・ビエンナーレ2017」(フランス)、「コーチ=ムジリス・ビエンナーレ2016」(インド)、「ヨコハマトリエンナーレ2014」(神奈川)など国内外の展覧会に多数参加。2015年に日産アートアワード グランプリ、2016年に神奈川文化賞未来賞、2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。現在、東京芸術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専任講師。
https://www.mohrizm.net/

企画:HardcoreAmbience 
協力:金沢21世紀美術館、粟津ケン

Sefi Zisling - ele-king

 ベーシストとトランペットの両アヴィシャイ・コーエンやシャイ・マエストロ、オメル・アヴィダルなど、現在のコンテンポラリー・ジャズ界ではイスラエル出身のミュージシャンが高い評価を集めている。彼らの多くはニューヨークを拠点に活動し、世界的に有名なプレイヤーとなっているのだが、近年のイスラエルでは新しいミュージシャンもいろいろ出てきており、ジャズに限らず様々な分野の音楽シーンで活躍している。たとえばネオ・ソウルやR&B方面で注目されたJ・ラモッタ・スズメ(彼女はもともとジャズ・トランペッターでビートメイキングもおこなう)、ジャズと民族音楽、ソウルとビート・ミュージックを融合したバターリング・トリオ、そのメンバーのリジョイサーことユヴァル・ハヴキンほか、ピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツ、ドラマーのソル・モンクことアヴィ・コーエンらが結成した新ユニットのタイム・グローヴなどは日本でも話題になったアーティストだ。そのタイム・グローヴにも参加していて、ほかにもいろいろなプロジェクトで多彩な活動を行なうトランペット奏者、セフィ・ジスリングも近年の注目株のひとりである。

 テル・アヴィヴ出身でテルマ・イェリン芸術学校に学んだセフィ・ジスリングは、同校出身のリジョイサーや彼が主宰するレーベルの〈ロウ・テープス〉周辺で活動してきた。昨年デビュー・アルバムをリリースしたリキッド・サルーンもこの周辺から生まれたアフロ・ジャズ・バンドで、セフィとドラマーのアミール・ブレスラー、キーボード奏者/プロデューサーのノモックことノアム・ハヴキンが組んでいる。ほかにもソウル/ファンク・バンドのメン・オブ・ノース・カントリーやファンケンシュタイン、ロックやサイケ、ブルースやカントリーなどのミクスチャー・バンドのラミレス・ブラザーズといろいろなバンドで演奏しているが、彼の音楽の大きな柱となっているのがジャズとファンクとアフロで、リジョイサーをプロデューサーに迎えて〈ロウ・テープス〉からリリースしたファースト・ソロ・アルバム『ビヨンド・ザ・シングス・アイ・ノウ』(2017年)は、そんな彼の資質にビート・ミュージック的なエッセンスや抒情性も交えた好作品となっていた。それから2年半ぶりの新作『エクスパンス』はUKの〈トゥルー・ソウツ〉からのリリースということで、彼の注目度が世界的に増していることが伺える。

 演奏メンバーはセフィのほかにノアム・ハヴキン(キーボード)、オムリ・シャニ(ベース)、トム・ボーリング(ドラムス)、イダン・カッペバーグ(パーカッション)、ウジ・ラミレス(ギター)、ヤイル・スラツキ(トロンボーン)、ヤロン・オウザナ(トロンボーン)、ショロミ・アロン(テナー・サックス)、アイヤル・タルムディ(テナー・サックス)、ノアム・ドレムバス(アルト・サックス、パーカッション)、サチャル・ジヴ(フレンチ・ホルン)など、『ビヨンド・ザ・シングス・アイ・ノウ』及びリキッド・サルーン、ファンケンシュタイン、ラミレス・ブラザーズなどで共演してきたミュージシャンが参加。またヴォーカルでバターリング・トリオのケレン・ダンや、ジャスミンとライラのモアレム姉妹が参加するほか、イスラエル出身のDJ/マルチ・ミュージシャンとして世界的に有名なクティマンもヴィヴラフォン、パーカッション、キーボードでゲスト演奏をおこなっている。

 『ビヨンド・ザ・シングス・アイ・ノウ』に比べて、『エクスパンス』は1960年代のジャズ・ファンクのようなオーガニックな音色が前面に出ていて、より生音らしいアルバム作りがおこなわれている。変拍子のアフロ・キューバン・ジャズの “ハイ・ライド” がその筆頭で、セフィのトランペットはじめホーン・セクションやキーボードなどが作り上げる重厚で迫力のある演奏を楽しめる。最近はこうした1960年代風のサウンドを聴くことが少なくなっていたので、逆に新鮮でもある。ケレン・ダンとジャスミンとライラのモアレム姉妹を配した “ザ・スカイ・シングス” は、アフロの要素の入ったジャズ・ファンクにソフト・サイケとムード音楽が結びついたような妖しいコーラスが異彩を放つ。クティマンの参加した “ハッピー・ソウル・リターン” はもっともアフロビートの色合いが強い曲で、演奏者全員が作り出すグルーヴが素晴らしい。ほかにもスロー・ナンバーの “オンゴーイング・モーニング” での哀愁に満ちた深遠な演奏、“エピローグ” でのフリーフォームなインプロヴィゼイションとさまざまな魅力が詰まったアルバムとなっており、イスラエルの新しいジャズ・シーンを知るのに最適な一枚と言える。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727